JP2001006160A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001006160A
JP2001006160A JP17488499A JP17488499A JP2001006160A JP 2001006160 A JP2001006160 A JP 2001006160A JP 17488499 A JP17488499 A JP 17488499A JP 17488499 A JP17488499 A JP 17488499A JP 2001006160 A JP2001006160 A JP 2001006160A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
layer
master
magnetic layer
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17488499A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuaki Yoshioka
康明 吉岡
Osamu Nakamura
修 中村
Nobuaki Wakamatsu
伸明 若松
Hiroyuki Yamaguchi
博之 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP17488499A priority Critical patent/JP2001006160A/ja
Publication of JP2001006160A publication Critical patent/JP2001006160A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ヘッドによる読み取りにおいて出力レベ
ルおよび波形が、通常のディジタルの磁気情報からは得
られないような多様に変化可能な情報をもち、他の磁気
記録媒体との判別が確実に行え、かつ、偽造や改ざん等
の不正行為を防止できる磁気記録媒体と、この磁気記録
媒体の製造方法を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体を、マスター磁性層とスレ
ーブ磁性層とがこの順に基材上に積層された磁気記録層
を有するものとし、マスター磁性層が保磁力の異なる2
種以上の磁性材料を含有し、スレーブ磁性層が磁性材料
を多様な密度の疎密パターンで含有するように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体、特
に偽造、変造が困難な磁気記録媒体と、その製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、基材の片面あるいは両面の全
域またはストライプ状に磁気記録層が形成された磁気記
録媒体は、例えば、プリペイドカード、定期券、乗車
券、入場券、車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、
磁気タグ等の金券、証券類や、IDカード、キャッシュ
カード、クレジットカード、会員カード等のカード類、
磁気ラベル等として幅広く使用されている。このような
磁気記録媒体は、磁気記録層に高い記録密度でディジタ
ルデータを書込み、外部から簡単には記録情報を読み出
せないようにしている。
【0003】しかし、磁気記録層の特性上、記録された
ディジタルデータの書換え、消去が自在であるため、偽
造、変造が可能であり、近年、大きな社会問題としてク
ローズアップされている。特に、現在は磁気ストライプ
の入手が容易であるため、類似のカードを製造すること
も可能であり、さらに、現在の仕様のように、磁気記録
媒体の表面に磁気記録層が露出している場合、ディジタ
ルデータを読み取ったり、磁気転写技術によりディジタ
ルデータを他の磁気記録層に移すことが容易にできてし
まうという問題もある。
【0004】このような磁気記録情報の可逆性という本
質的な欠点に基づく問題を解決するために、磁気記録情
報の書き換えを困難にする種々の方法が提案されてい
る。例えば、BaフェライトやSrフェライト等の高保
磁力磁性材料、高保磁力低キュリー点(高Hc低Tc)の磁
性材料、MnBiを含有する磁性材料等を用いることに
より、磁気情報を消去されにくくした磁気記録媒体等が
開発されている。
【0005】また、磁気的な書き換えを不可能とするた
めに、磁性層に物理的変化を与えることにより磁気記録
情報をもたせた磁気記録媒体も開発されており、例え
ば、印刷により磁気バーコードを設けた磁気記録媒体、
磁性層にレーザー等によりマーキングを施した磁気記録
媒体等が挙げられる。
【0006】さらに、基材上に比較的低い保磁力の磁性
材料を含むマスター磁性層を形成し、このマスター磁性
層に磁気記録を行った後、高保磁力の磁性材料を含む表
面磁性層を塗布形成して積層した磁気記録媒体も開発さ
れている。この磁気記録媒体では、マスター磁性層の磁
気記録パターンが表面磁性層にコピー(いわゆる磁気転
写)されているので、偽造、変造を目的とした磁気ヘッ
ドによる書き換えが困難である。
【0007】また、磁気記録情報として、ディジタルデ
ータではなく、アナログデータを故意に用いることによ
り、不正使用を防止するシステムも提案されている(特
開平8−315355号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような単に高保磁力磁性材料を用いた磁気記録媒体は、
外部磁場の影響による磁気記録情報の消去を防ぐことは
可能であるが、これは逆に磁気ヘッドで情報を書き込む
際には磁化されにくく、書き込み装置が制限されるとい
う新たな問題を生じている。
【0009】また、高Hc低Tc磁性材料やMnBi含有磁
性材料を有する磁気記録媒体では、加熱あるいは冷却に
よる保磁力の急激な低下を利用し、その条件下で磁気書
き込みを行うことも可能であるが、常温において磁気記
録情報の消去や書き込みができないため、装置が大掛か
りになるという問題がある。
【0010】さらに、磁気バーコードのように磁性層に
物理的変化を与えた磁気記録媒体では、磁気記録情報の
消去と、新たな情報の書き込みが不可能であるととも
に、情報の存在を容易に認識することができ、偽造等の
防止上、不充分であった。
【0011】また、表面磁性層に磁気転写された磁気記
録情報を備える磁気記録媒体は、非常に強い磁界が加わ
ると、磁気転写により記録された表面磁性層の磁気記録
が消去されてしまうという問題があり、さらに、高保磁
力磁性材料を含む表面磁性層に磁気転写を効率良く行う
ことが困難なため、読み取りに必要な磁気出力が表面磁
性層から得られないという問題もあった。
【0012】さらに、上記の特開平8−315355号
に開示のシステムは、磁気記録媒体中にランダムに分散
された磁気繊維から得られるアナログデータを用いて不
正使用を防止するものであるが、この情報自体を変化さ
せることはできないので、複雑な情報の運用が困難であ
り、また、磁気記録媒体の製造が簡便ではないという問
題があった。
【0013】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、磁気ヘッドによる読み取りにおいて出力
レベルおよび波形が、通常のディジタルの磁気情報から
は得られないような多様に変化可能な情報をもち、他の
磁気記録媒体との判別が確実に行え、かつ、偽造や改ざ
ん等の不正行為を防止できる磁気記録媒体と、この磁気
記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の磁気記録媒体は、基材と、該基材上
に設けられた磁気記録層とを有し、該磁気記録層は基材
側から順にマスター磁性層とスレーブ磁性層とが積層さ
れたものであり、前記マスター磁性層は保磁力の異なる
2種以上の磁性材料を含有し、前記スレーブ磁性層は磁
性材料を多様な密度の疎密パターンで含有するような構
成とした。
【0015】そして、前記マスター磁性層に保磁力の比
が2以上である高保磁力磁性材料と低保磁力磁性材料と
が含有されるような構成、前記マスター磁性層に保磁力
が300〜1000Oeの範囲内にある低保磁力磁性材
料と、保磁力が1000〜6000Oeの範囲内にある
高保磁力磁性材料とが含有されるような構成とした。
【0016】さらに、前記マスター磁性層に含有される
低保磁力磁性材料の含有量と高保磁力磁性材料の含有量
との比が0.5〜2の範囲内にあるような構成とした。
【0017】また、本発明の磁気記録媒体は、基材と、
該基材上に設けられた磁気記録層とを有し、該磁気記録
層は基材側から順にマスター磁性層とスレーブ磁性層と
が積層されたものであり、前記マスター磁性層は第1マ
スター磁性層と第2マスター磁性層とが積層され、第1
マスター磁性層に含有される磁性材料の保磁力と第2マ
スター磁性層に含有される磁性材料の保磁力とが異なる
ものであり、前記スレーブ磁性層は磁性材料を多様な密
度の疎密パターンで含有するような構成とした。
【0018】そして、前記第1マスター磁性層に含有さ
れる磁性材料の保磁力と第2マスター磁性層に含有され
る磁性材料の保磁力の比が2以上または0.5以下であ
るような構成、前記第1マスター磁性層および第2マス
ター磁性層の一方には保磁力が300〜1000Oeの
範囲内にある低保磁力磁性材料が含有され、他方には保
磁力が1000〜6000Oeの範囲内にある高保磁力
磁性材料が含有されるような構成とした。
【0019】さらに、第1マスター磁性層に含有される
磁性材料の含有量と第2マスター磁性層に含有される磁
性材料の含有量との比が0.5〜2の範囲内にあるよう
な構成とした。
【0020】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基材
上に保磁力の異なる2種以上の磁性材料を含有する磁性
塗料を塗布し乾燥してマスター磁性層を形成し、該マス
ター磁性層に含有される全磁性材料に書き込める条件で
1回目の磁気記録を行い、次に、前記マスター磁性層に
含有される低保磁力の磁性材料に書き込め、かつ、高保
磁力の磁性材料の磁気記録が消去されない条件で1回目
と異なる2回目の磁気記録を行った後、前記マスター磁
性層上にスレーブ磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗
膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施し
ながら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥し
て、前記マスター磁性層の磁気記録パターンに対応した
磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有するスレ
ーブ磁性層を形成して、前記マスター磁性層および前記
スレーブ磁性層からなる磁気記録層を形成するような構
成とした。
【0021】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、基材上に第1マスター磁性層用の磁性塗料を塗布し
乾燥して第1マスター磁性層を形成し、前記第1マスタ
ー磁性層用の磁性塗料とは異なる保磁力の磁性材料を含
有する第2マスター磁性層用の磁性塗料を前記第1マス
ター磁性層上に塗布し乾燥して第2マスター磁性層を積
層することによりマスター磁性層を形成し、該マスター
磁性層に含有される全磁性材料に書き込める条件で1回
目の磁気記録を行い、次に、前記マスター磁性層に含有
される低保磁力の磁性材料に書き込め、かつ、高保磁力
の磁性材料の磁気記録が消去されない条件で1回目と異
なる2回目の磁気記録を行った後、前記マスター磁性層
上にスレーブ磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗膜に
所定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施しなが
ら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥して、前
記マスター磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材
料の疎密パターンからなる固定情報を有するスレーブ磁
性層を形成して、前記マスター磁性層および前記スレー
ブ磁性層からなる磁気記録層を形成するような構成とし
た。
【0022】上記のような本発明では、スレーブ磁性層
が磁性材料を多様な密度の疎密パターンで含有し、これ
らの疎密パターンからなる固定情報を有する磁気記録層
を磁気ヘッドで読み取るときの出力波形は、磁性材料の
多様な密度を反映したアナログ波形となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
しながら説明する。
【0024】図1は本発明の磁気記録媒体の実施形態の
一例を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線矢視に
おける部分拡大断面図である。図1および図2におい
て、本発明の磁気記録媒体1は、基材2と、この基材2
上に設けられた磁気記録層3を備えており、磁気記録層
3はマスター磁性層4とスレーブ磁性層5とが積層され
て構成されている。尚、磁気記録層3には、ストライプ
状に記録領域6が設定されている。
【0025】また、図3は本発明の磁気記録媒体の他の
実施形態を示す図2相当の部分拡大断面図である。図3
において、本発明の磁気記録媒体11は、基材12と、
この基材12上に設けられた磁気記録層13を備えてお
り、磁気記録層13はマスター磁性層14とスレーブ磁
性層15とが積層されて構成されている。磁気記録層1
3を構成するマスター磁性層14は、基材12側から第
1マスター磁性層14a、第2マスター磁性層14bと
がこの順に積層されたものである。尚、図示されてはい
ないが、磁気記録層13にも、図1に示されるようなス
トライプ状の記録領域が設定されている。
【0026】本発明の磁気記録媒体1,11を構成する
基材2,12は、基材として要求される耐熱性、強度、
剛性等を考慮して、PET、PET−G、PEN等のポ
リエステル、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の樹
脂、生分解性樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含
浸紙、合成紙等の材料の中から適宜選択した材料の単独
あるいは組み合わせた複合体により構成することができ
る。このような基材2,12の厚さは、100μm〜1
mm、好ましくは150〜250μm程度とすることが
できる。
【0027】上記の磁気記録層3を構成するマスター磁
性層4は、保磁力の異なる2種以上の磁性材料を含有す
る。このような磁性材料としては、例えば、保磁力の比
が2以上である低保磁力磁性材料と高保磁力磁性材料と
の組み合わせが挙げられ、より具体的には、保磁力が3
00〜1000Oeの範囲内にある低保磁力磁性材料
と、保磁力が1000〜6000Oeの範囲内にある高
保磁力磁性材料との組み合わせが挙げられる。また、マ
スター磁性層4に含有される低保磁力磁性材料の含有量
と高保磁力磁性材料の含有量との比が0.5〜2の範囲
内であることが好ましい。
【0028】マスター磁性層4に含有される高保磁力磁
性材料と低保磁力磁性材料の保磁力の比が2未満である
と、マスター磁性層4の高保磁力磁性材料と低保磁力磁
性材料とに異なる磁気情報を記録することが困難とな
る。また、低保磁力磁性材料の保磁力が300Oe未満
であると、スレーブ磁性層5の形成時に配向磁界を印加
する場合、この配向磁界に対する耐性が不十分である。
一方、高保磁力磁性材料の保磁力が6000Oeを超え
ると、磁気ヘッドによる安定した記録が難しくなり好ま
しくない。尚、磁気ヘッドによる記録が安定して行える
ならば、保磁力が6000Oeを超える磁性材料を使用
することは可能である。さらに、マスター磁性層4に含
有される低保磁力磁性材料の含有量と高保磁力磁性材料
の含有量との比が0.5〜2の範囲から外れると、マス
ター磁性層4の高保磁力磁性材料と低保磁力磁性材料と
に異なる磁気情報を記録しても、一方の磁気情報に基づ
く磁界強度が不充分でスレーブ磁性層5における磁性材
料の疎密パターン形成に支障を来たすことがある。
【0029】上記の磁気記録層13を構成するマスター
磁性層14は、第1マスター磁性層14aに含有される
磁性材料の保磁力と第2マスター磁性層14bに含有さ
れる磁性材料の保磁力とが異なるものである。例えば、
第1マスター磁性層14aに含有される磁性材料の保磁
力と、第2マスター磁性層14bに含有される磁性材料
の保磁力との比を2以上または0.5以下とすることが
できる。あるいは、第1マスター磁性層14aと第2マ
スター磁性層14bの一方には保磁力が300〜100
0Oeの範囲内にある低保磁力磁性材料を含有させ、他
方には保磁力が1000〜6000Oeの範囲内にある
高保磁力磁性材料を含有させることができる。さらに、
第1マスター磁性層14aに含有される磁性材料の含有
量と第2マスター磁性層14bに含有される磁性材料の
含有量との比が0.5〜2の範囲内にあることが好まし
い。
【0030】第1マスター磁性層14aと第2マスター
磁性層14bに含有される磁性材料の保磁力の比が0.
5〜2の範囲から外れると、マスター磁性層14の高保
磁力磁性材料と低保磁力磁性材料とに異なる磁気情報を
記録することが困難となる。また、低保磁力磁性材料の
保磁力が300Oe未満であると、スレーブ磁性層15
の形成時に配向磁界を印加する場合、この配向磁界に対
する耐性が不十分である。一方、高保磁力磁性材料の保
磁力が6000Oeを超えると、磁気ヘッドによる安定
した記録が難しくなり好ましくない。尚、磁気ヘッドに
よる記録が安定して行えるならば、保磁力が6000O
eを超える磁性材料を使用することは可能である。さら
に、第1マスター磁性層14aに含有される磁性材料の
含有量と第2マスター磁性層14bに含有される磁性材
料の含有量との比が0.5〜2の範囲から外れると、マ
スター磁性層14の高保磁力磁性材料と低保磁力磁性材
料とに異なる磁気情報を記録しても、一方の磁気情報に
基づく磁界強度が不充分でスレーブ磁性層15における
磁性材料の疎密パターン形成に支障を来たすことがあ
る。
【0031】マスター磁性層4,14を構成する上記の
ような保磁力300〜1000Oeの範囲内にある磁性
材料、および、1000〜6000Oeの範囲にある磁
性材料としては、例えば、γ−Fe23 、Co被着γ
−Fe23 、Fe34 、CrO2 、Fe、Co、N
i、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Ni、Baフェラ
イト、Srフェライト等の磁性微粒子が挙げられる。
【0032】マスター磁性層4は、上記の磁性微粒子の
中から保磁力の異なる所望の磁性微粒子を選択し、これ
らを適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散してな
る磁性塗料を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法
等の公知の塗布方法に従って塗布し乾燥することにより
形成することができる。また、マスター磁性層14は、
上記の磁性微粒子の中から保磁力の異なる所望の磁性微
粒子を選択し、これらを用いて2種の磁性塗料を作製
し、上記の公知の塗布方法により第1マスター磁性層1
4aを形成した後、同様に第2マスター磁性層14bを
形成することができる。
【0033】マスター磁性層4,14の厚さは、例え
ば、塗布方法により形成される場合、乾燥後の膜厚で1
〜50μm、好ましくは3〜20μm程度とすることが
できる。また、マスター磁性層14を構成する第1マス
ター磁性層14a、第2マスター磁性層14bの各厚さ
は、1〜30μmの範囲内でマスター磁性層14の厚さ
が上記の範囲となるように設定することができる。
【0034】尚、上記の磁性材料を用いて、真空蒸着
法、スパッタリング法、めっき法等によりマスター磁性
層4,14を形成することもできる。
【0035】磁気記録媒体1の磁気記録層3を構成する
スレーブ磁性層5、および、磁気記録媒体11の磁気記
録層13を構成するスレーブ磁性層15は、磁性材料を
多様な密度の疎密パターンで含有しており、これにより
固定情報を保持するものである。図4は、このような多
様な密度の疎密パターンの一例を示す図である。図4に
おいて、疎密パターンの密部分は、磁性材料の含有密度
が最も高い密部分5aと、順次含有密度が低下する密部
分5b,5cから構成され、各密部分は疎部分を介して
所定のパターンで連続して存在する。尚、図4では、説
明を簡便にするために、密部分の磁性材料密度を3種と
しているが、これに限定されるものではない。
【0036】このようなスレーブ磁性層5,15を構成
する磁性材料としては、例えば、Al、Si、Fe等か
らなる磁性合金材料、パーマロイ、センダスト、Mn−
Znフェライト、Co−Znフェライト、Ni−Znフ
ェライト等のフェライト、γ―Fe23、Co被着γ―
Fe23、Fe34等の鉄酸化物、Fe、Co、Ni、
Fe−Cr、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Cr、C
o−Ni、CrO2、Baフェライト、Srフェライト
等の保磁力が1〜10000Oeの範囲の磁性材料を挙
げることができ、これらの磁性材料の中から1種、また
は2種以上の組み合わせを適宜選択して使用することが
できる。
【0037】また、スレーブ磁性層5,15に含有され
る磁性材料の保磁力がマスター磁性層4,14に含有さ
れる磁性材料の保磁力と同等もしくは大きいものとする
ことにより、マスター磁性層4,14に記録されている
可変情報のみを変造目的等で読み取るために、スレーブ
磁性層5,15に記録された固定情報に対して交流消去
を行った場合、マスター磁性層4,14の磁気情報も消
去されてしまい、読み取りは不可能となる。
【0038】スレーブ磁性層5,15は、上記の磁性材
料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されて
なる磁性塗料を、所望の磁気記録を行ったマスター磁性
層4,14上にグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法
等の公知の塗布方法に従って塗布し、所定のバイアス磁
界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配
向処理を施した後、磁性塗膜を乾燥することにより形成
することができる。このようなスレーブ磁性層5,15
の厚さは、1〜50μm、好ましくは3〜20μm程度
とすることができる。
【0039】尚、配向処理に用いる配向装置としては、
ソレノイド型の電磁石配向装置が好ましい。
【0040】このような構成である本発明の磁気記録媒
体1,11では、スレーブ磁性層5,15が磁性材料を
多様な密度の疎密パターンで含有しているので、磁気記
録層3,13の記録領域(6)を磁気ヘッドで読み取る
ことにより、アナログ波形が検出される。例えば、図4
に示されるような疎密パターンからなる固有情報を有す
る磁気記録層3上を矢印a方向に磁気ヘッドで再生する
と、図5に示されるように、再生出力は磁性材料の密部
分5a,5b,5cの密度を反映したアナログ波形とな
る。このアナログ波形は、通常の磁気記録媒体では表現
できない出力波形である。また、磁気ヘッドで読み取る
際のスレーブ磁性層5,15の着磁の状態、バイアス磁
界の有無、または、その向きによって、得られる磁気出
力レベルおよび波形が変化する。
【0041】また、マスター磁性層4,14に所望の磁
気情報を記録した後に、無バイアス読み取りを行うと、
マスター磁性層4,14から得られる出力波形と、スレ
ーブ磁性層5,15の疎密パターンから得られる出力波
形とが重畳されたアナログ波形が検出される。その後、
マスター磁性層4,14に同じ磁気情報をオーバーライ
トしても、スレーブ磁性層5,15から得られる固定情
報に対して完全に同じ位置となるようにマスター磁性層
4,14に磁気情報を書き込むことができないので、得
られるアナログ波形は、オーバーライト前のアナログ波
形と異なるものとなる。したがって、本発明の磁気記録
媒体から得られるアナログ波形の情報は可変であるが、
不可逆であり、例えば、残度数データ等の記録に用いる
には最適である。
【0042】尚、本発明では、磁気記録層3,13の記
録領域(6)外の領域において、任意の可変磁気情報を
記録することができ、スレーブ磁性層5,15の磁性材
料の密部分にも任意の可変磁気情報を記録することがで
きる。
【0043】また、上記の本発明の磁気記録媒体では、
磁気記録層3,13が基材の一方の面の全面に形成され
た構成であるが、基材2,12の一部にストライプ状に
磁気記録層3,13を形成した構成であってもよい。
【0044】本発明では、磁気記録媒体1,11の磁気
記録層3,13上に、保護、隠蔽、装飾効果をもたせる
ための保護層、着色層や絵柄を設けてもよい。
【0045】保護層、着色層や絵柄はエチルセルロー
ス、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロ
ース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−
メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共
重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル
等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは
共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジ
ン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル
樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトル
エン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色す
べき色に応じて各種の顔料を添加し、必要に応じて磁気
ヘッドのクリーニング効果をもたせるよう、酸化チタ
ン、アルミナ粉末、マイクロシリカ等を添加し、さらに
必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、
乾燥剤、乾燥補助剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加し
た後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練してなる着色塗
料あるいはインキを用いて、通常のグラビア法、ロール
法、ナイフエッジ法、オフセット法等の塗布方法あるい
は印刷方法により、所望部分に形成できる。
【0046】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の
一実施形態について、上述の磁気記録媒体1を例として
図6を参照しながら説明する。
【0047】まず、第1の工程として、基材2にマスタ
ー磁性層4を形成する(図6(A))。このマスター磁
性層4の形成は、例えば、上述の保磁力が300〜10
00Oeの範囲内にある低保磁力磁性材料と、保磁力が
1000〜6000Oeの範囲内にある高保磁力磁性材
料との組み合わせからなる磁性材料を適当な樹脂あるい
はインキビヒクル中に分散して作製した磁性塗料を、グ
ラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方
法に従って塗布し乾燥することにより形成することがで
きる。樹脂あるいはインキビヒクルとしては、ブチラー
ル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル
樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いら
れ、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいは
ウレタンエラストマー等が添加される。また、耐熱性を
考慮して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサル
ホン等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは
硬化反応によりTgが上昇する系を用いることができ
る。上記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性
材料が分散されてなる磁性塗料中に、必要に応じて分散
剤、可塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を適宜含有さ
せてもよい。また、マスター磁性層4は、上記の磁性材
料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法
等により形成することもできる。
【0048】次に、このマスター磁性層4に所望の磁気
記録を行う(図6(B))。このマスター磁性層4への
磁気記録は、まず、マスター磁性層4に含有される全磁
性材料に書き込める条件で1回目の磁気記録を行う。次
に、マスター磁性層4に含有される低保磁力の磁性材料
に書き込め、かつ、高保磁力の磁性材料の磁気記録が消
去されない条件で1回目と異なる2回目の磁気記録を行
う。この2回の磁気記録により、マスター磁性層4には
磁界強度、磁界分布パターンが多様に変化した磁気パタ
ーンが形成される。
【0049】次に、磁性材料が適当な樹脂あるいはイン
キビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、所望の磁気
記録が行われたマスター磁性層4上に、グラビア法、ロ
ール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗
布して、磁性塗膜5′を形成し、次いで、バイアス磁界
を一定方向に加えて磁気配向処理を施す(図6
(C))。これにより、マスター磁性層4から発生する
磁力線によって磁性塗膜5′中に存在する磁化方向と、
バイアス磁界の方向とが一致する部位に、磁性材料が移
動して集まり、未乾燥の磁性塗膜5′中に磁性材料が密
な部分が形成される。この密部分は、マスター磁性層4
の磁気パターンの磁界強度に対応して種々の密度のもの
となる。印加するバイアス磁界は150〜3000Gの
範囲で、マスター磁性層4の磁気記録が消去されないよ
うに、使用する磁性材料に応じて適宜設定することがで
きる。
【0050】その後、磁性塗膜5′を乾燥(上記のバイ
アス磁界を印加しながらでもよい)することにより、マ
スター磁性層4の磁気記録パターンに対応した磁性材料
の疎密パターンからなる固定情報を有するスレーブ磁性
層5を形成する(図6(D))。
【0051】次に、マスター磁性層4の磁気記録が消去
されるようなバイアス磁界を一定方向に加えて、マスタ
ー磁性層4の磁気記録を消去するとともに、スレーブ磁
性層5の固定情報に着磁を行い、磁気記録媒体1とす
る。尚、マスター磁性層4の磁気記録を消去しなくても
よい。
【0052】このように製造される本発明の磁気記録媒
体1では、磁気記録層3のスレーブ磁性層5における固
定情報が、未乾燥状態の磁性塗膜中を磁性材料が移動し
て形成された多様な密度の疎密パターンからなるので、
強磁界が加わっても消去されることがない。そして、磁
気ヘッドで読み取ったときの磁気出力波形は、スレーブ
磁性層5の着磁の状態、バイアス磁界の有無、または、
その向きによって変化する。例えば、スレーブ磁性層5
に含有された磁性材料が一様に着磁された状態で、バイ
アス磁界を印加しない通常の無バイアス読み取りを行う
と、スレーブ磁性層5の疎密パターンに対応したアナロ
グ波形が検出される。
【0053】本発明の磁気記録媒体の製造方法では、上
記のスレーブ磁性層5における固定情報をマスター磁性
層4への磁気記録によって磁気記録媒体個々に任意に設
定することができるので、他の磁気記録媒体との判別が
容易な磁気記録媒体の製造が可能となる。
【0054】上述の磁気記録媒体11は、まず、基材1
2上に第1マスター磁性層用の磁性塗料を塗布し乾燥し
て第1マスター磁性層14aを形成する。次に、上記の
第1マスター磁性層用の磁性塗料とは異なる保磁力の磁
性材料を含有する第2マスター磁性層用の磁性塗料を、
第1マスター磁性層14a上に塗布し乾燥して第2マス
ター磁性層14bを積層してマスター磁性層14を形成
する。その後、上述の磁気記録媒体1の製造と同様に、
マスター磁性層14に含有される全磁性材料に書き込め
る条件で1回目の磁気記録を行い、次に、マスター磁性
層14に含有される低保磁力の磁性材料に書き込め、か
つ、高保磁力の磁性材料の磁気記録が消去されない条件
で1回目と異なる2回目の磁気記録を行う。次いで、マ
スター磁性層14上にスレーブ磁性層用の磁性塗料を塗
布し、上述の磁気記録媒体1の製造と同様にスレーブ磁
性層15を形成する。
【0055】尚、基材としてポリエチレンテレフタレー
トフィルムのような樹脂フィルムを使用し、上述のよう
な製造方法で基材上にマスター磁性層とスレーブ磁性層
とを順に積層して磁気記録層を設けることにより磁気テ
ープを作製し、この磁気テープをカード基材等の全面、
あるいは、一部に貼合して磁気記録媒体を製造してもよ
い。
【0056】
【実施例】次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明する。
【0057】(実施例1)まず、基材として、厚さ18
8μmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製E
−22)を準備し、この基材の片面に下記の組成を有す
るマスター磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法
により塗布し乾燥して、厚み9μmのマスター磁性層を
形成した。
【0058】 (マスター磁性層形成用の塗工液) ・Baフェライト(保磁力=1000Oe) … 40重量部 ・Baフェライト(保磁力=3000Oe) … 40重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0059】次に、このマスター磁性層に書込み電流1
000mAで1回目の磁気記録D1を行った。このとき
の記録密度は200bpi(FM記録)とした。次い
で、書込み電流を150mA、記録密度を150bpi
(FM記録)として2回目の磁気記録D2を行った。
【0060】次に、このマスター磁性層上に、下記の組
成を有するスレーブ磁性層形成用の磁性塗料をグラビア
コート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
【0061】 (スレーブ磁性層形成用の塗工液) ・Baフェライト(保磁力=7000Oe) … 80重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0062】次に、上記の磁性塗膜に600Gのソレノ
イドによる直流バイアス磁界をマスター磁性層の記録方
向に沿って一方向に加えて磁気配向処理を施した。その
後、磁性塗膜を乾燥することにより厚み6μmのスレー
ブ磁性層を形成した。このスレーブ磁性層は、マスター
磁性層の磁気記録D1と磁気記録D2とに対応して磁性
材料が多様な密度の疎密パターンをなす固定情報(D1
+D2)′を有するものであった。
【0063】これにより、マスター磁性層とスレーブ磁
性層との積層体からなる磁気記録層を基材上に形成し
た。
【0064】上記のように磁気記録層を形成した基材を
86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本
発明の磁気記録媒体を得た。
【0065】次いで、この磁気記録媒体の磁気記録層に
ソレノイドによる20000Gの直流バイアス磁界をマ
スター磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、マ
スター磁性層の磁気記録D1、D2を消去するととも
に、スレーブ磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる
固定情報(D1+D2)′部に着磁を行った。
【0066】この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカ
ードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報(D1
+D2)′によるアナログ出力波形が得られた。
【0067】このことから、本発明の磁気記録媒体のス
レーブ磁性層の固定情報は、磁気的に消去できない磁気
情報として利用できること、および、この磁性材料を多
様な密度の疎密パターンで含有してなる固定情報から得
られるアナログ磁気出力は、通常の磁気記録媒体では表
現できないものであることが確認された。
【0068】(実施例2)実施例1と同様にして、マス
ター磁性層とスレーブ磁性層との積層体からなる磁気記
録層を基材上に形成し、86mm×54mmの大きさの
カード状に打ち抜いて、本発明の磁気記録媒体を得た。
【0069】次いで、上記の磁気記録媒体の磁気記録層
にソレノイドによる20000Gの直流バイアス磁界を
マスター磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、
マスター磁性層の磁気記録D1、D2を消去するととも
に、スレーブ磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる
固定情報(D1+D2)′部に着磁を行った。
【0070】次に、同一トラック上のマスター磁性層
に、実施例1における1回目の磁気記録と同じ条件(書
込み電流1000mA)で別の磁気記録D3を行った。
このときの記録密度は180bpi(FM記録)とし
た。この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカードリー
ダーを用いて読み取った結果、固定情報(D1+D
2)′、および、磁気記録D3とが重畳したアナログ出
力波形Pが得られた。
【0071】次に、再び同一トラック上のマスター磁性
層に上記と同じ条件で磁気記録D3を行った。この磁気
記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて
読み取った結果、固定情報(D1+D2)′、および、
磁気記録D3とが重畳したアナログ出力波形P′が得ら
れたが、これは上記のアナログ出力波形Pとは異なるも
のであった。
【0072】このことから、本発明の磁気記録媒体から
得られるアナログ波形の情報は可変であるが、不可逆で
あり、例えば、残度数データ等の記録に用いるには最適
であることが確認された。
【0073】(実施例3)まず、基材として、厚さ18
8μmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製E
−22)を準備し、この基材の片面に下記の組成を有す
る第1マスター磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコー
ト法により塗布し乾燥して、厚み5μmの第1マスター
磁性層を形成した。
【0074】 (第1マスター磁性層形成用の塗工液) ・Baフェライト(保磁力=3000Oe) … 80重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0075】次に、第1マスター磁性層上に下記の組成
を有する第2マスター磁性層形成用の磁性塗料をグラビ
アコート法により塗布し乾燥して、厚み4μmの第2マ
スター磁性層を形成した。
【0076】 (第2マスター磁性層形成用の塗工液) ・Baフェライト(保磁力=1000Oe) … 80重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0077】次いで、上記の第1マスター磁性層および
第2マスター磁性層の積層であるマスター磁性層に書込
み電流1000mA、記録密度を200bpi(FM記
録)として1回目の磁気記録D1を行った。次いで、書
込み電流を150mA、記録密度を150bpi(FM
記録)として2回目の磁気記録D2を行った。
【0078】次に、このマスター磁性層上に、実施例1
と同様にしてスレーブ磁性層を形成して、マスター磁性
層とスレーブ磁性層との積層体からなる磁気記録層を基
材上に設け、その後、86mm×54mmの大きさのカ
ード状に打ち抜いて、本発明の磁気記録媒体を得た。
【0079】次いで、この磁気記録媒体の磁気記録層に
ソレノイドによる20000Gの直流バイアス磁界をマ
スター磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、マ
スター磁性層の磁気記録D1、D2を消去するととも
に、スレーブ磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる
固定情報(D1+D2)′部に着磁を行った。
【0080】この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカ
ードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報(D1
+D2)′によるアナログ出力波形が得られた。
【0081】このことから、本発明の磁気記録媒体のス
レーブ磁性層の固定情報は、磁気的に消去できない磁気
情報として利用できること、および、この磁性材料を多
様な密度の疎密パターンで含有してなる固定情報から得
られるアナログ磁気出力は、通常の磁気記録媒体では表
現できないものであることが確認された。
【0082】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば基
材に設けられた磁気記録層がマスター磁性層とスレーブ
磁性層とをこの順に基材上に積層したものであり、スレ
ーブ磁性層は磁性材料を多様な密度の疎密パターンで含
有するので、これらの疎密パターンからなる固定情報を
有する磁気記録層を磁気ヘッドで読み取って得られる磁
気出力の波形は、磁性材料の多様な密度を反映したアナ
ログ波形となり、これにより、他の磁気記録媒体との判
別が可能となり、磁気記録媒体の真偽判定が確実に行え
る。本発明の製造方法では、マスター磁性層に2種の磁
気記録を行うことにより、含有される磁性材料が、その
保磁力に応じて、いずれかの磁気記録により磁化され、
結果としてアナログ的な磁気出力をもつので、このマス
ター磁性層上に形成されるスレーブ磁性層を、磁性材料
が多様な密度の疎密パターンで含有したものとすること
ができる。また、マスター磁性層や、スレーブ磁性層の
密部位に可変情報を記録することにより、この可変情報
と上記の各固定情報が重畳したアナログ波形が出力波形
として得られ、この場合の出力波形は、可変情報のオー
バーライトを行うと再現不可能な不可逆的なものであ
り、残度数データ等の記録に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す
斜視図である。
【図2】図1のA−A線矢視における部分拡大断面図で
ある。
【図3】本発明の磁気記録媒体の実施形態の他の例を示
す図2相当の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の磁気記録媒体のスレーブ磁性層におけ
る磁性材料の疎密パターンの一例を示す図である。
【図5】図4に示されるスレーブ磁性層を備える磁気記
録媒体の再生出力波形の一例を示す図である。
【図6】本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態の
一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1,11…磁気記録媒体 2,12…基材 3,13…磁気記録層 4,14…マスター磁性層 14a…第1マスター磁性層 14b…第2マスター磁性層 5,15…スレーブ磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若松 伸明 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 山口 博之 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2C005 HA02 JA02 KA06 KA10 KA19 KA21 LB18 5D006 BA08 BA19 BA20 DA01 EA05 FA00 5D112 AA05 AA11 AA28 BB06 CC06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、該基材上に設けられた磁気記録
    層とを有し、該磁気記録層は基材側から順にマスター磁
    性層とスレーブ磁性層とが積層されたものであり、前記
    マスター磁性層は保磁力の異なる2種以上の磁性材料を
    含有し、前記スレーブ磁性層は磁性材料を多様な密度の
    疎密パターンで含有することを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 マスター磁性層には、保磁力の比が2以
    上である高保磁力磁性材料と低保磁力磁性材料とが含有
    されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 マスター磁性層には、保磁力が300〜
    1000Oeの範囲内にある低保磁力磁性材料と、保磁
    力が1000〜6000Oeの範囲内にある高保磁力磁
    性材料とが含有されることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 マスター磁性層に含有される低保磁力磁
    性材料の含有量と高保磁力磁性材料の含有量との比が
    0.5〜2の範囲内にあることを特徴とする請求項2ま
    たは請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 基材と、該基材上に設けられた磁気記録
    層とを有し、該磁気記録層は基材側から順にマスター磁
    性層とスレーブ磁性層とが積層されたものであり、前記
    マスター磁性層は第1マスター磁性層と第2マスター磁
    性層とが積層され、第1マスター磁性層に含有される磁
    性材料の保磁力と第2マスター磁性層に含有される磁性
    材料の保磁力とが異なるものであり、前記スレーブ磁性
    層は磁性材料を多様な密度の疎密パターンで含有するこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 第1マスター磁性層に含有される磁性材
    料の保磁力と第2マスター磁性層に含有される磁性材料
    の保磁力の比が2以上または0.5以下であることを特
    徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 第1マスター磁性層および第2マスター
    磁性層の一方には保磁力が300〜1000Oeの範囲
    内にある低保磁力磁性材料が含有され、他方には保磁力
    が1000〜6000Oeの範囲内にある高保磁力磁性
    材料が含有されることを特徴とする請求項5に記載の磁
    気記録媒体。
  8. 【請求項8】 第1マスター磁性層に含有される磁性材
    料の含有量と第2マスター磁性層に含有される磁性材料
    の含有量との比が0.5〜2の範囲内にあることを特徴
    とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の磁気記
    録媒体。
  9. 【請求項9】 基材上に保磁力の異なる2種以上の磁性
    材料を含有する磁性塗料を塗布し乾燥してマスター磁性
    層を形成し、該マスター磁性層に含有される全磁性材料
    に書き込める条件で1回目の磁気記録を行い、次に、前
    記マスター磁性層に含有される低保磁力の磁性材料に書
    き込め、かつ、高保磁力の磁性材料の磁気記録が消去さ
    れない条件で1回目と異なる2回目の磁気記録を行った
    後、前記マスター磁性層上にスレーブ磁性層用の磁性塗
    料を塗布し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による
    磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を
    施した後に乾燥して、前記マスター磁性層の磁気記録パ
    ターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定
    情報を有するスレーブ磁性層を形成して、前記マスター
    磁性層および前記スレーブ磁性層からなる磁気記録層を
    形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 基材上に第1マスター磁性層用の磁性
    塗料を塗布し乾燥して第1マスター磁性層を形成し、前
    記第1マスター磁性層用の磁性塗料とは異なる保磁力の
    磁性材料を含有する第2マスター磁性層用の磁性塗料を
    前記第1マスター磁性層上に塗布し乾燥して第2マスタ
    ー磁性層を積層することによりマスター磁性層を形成
    し、該マスター磁性層に含有される全磁性材料に書き込
    める条件で1回目の磁気記録を行い、次に、前記マスタ
    ー磁性層に含有される低保磁力の磁性材料に書き込め、
    かつ、高保磁力の磁性材料の磁気記録が消去されない条
    件で1回目と異なる2回目の磁気記録を行った後、前記
    マスター磁性層上にスレーブ磁性層用の磁性塗料を塗布
    し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向
    処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後
    に乾燥して、前記マスター磁性層の磁気記録パターンに
    対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有
    するスレーブ磁性層を形成して、前記マスター磁性層お
    よび前記スレーブ磁性層からなる磁気記録層を形成する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
JP17488499A 1999-06-22 1999-06-22 磁気記録媒体およびその製造方法 Pending JP2001006160A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17488499A JP2001006160A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 磁気記録媒体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17488499A JP2001006160A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 磁気記録媒体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001006160A true JP2001006160A (ja) 2001-01-12

Family

ID=15986361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17488499A Pending JP2001006160A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 磁気記録媒体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001006160A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100232111B1 (ko) 자기기록매체 및 그 제조방법
JP2759747B2 (ja) 磁気記録媒体とその製造方法
JP2759746B2 (ja) 磁気記録媒体とその製造方法
JP2626858B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP4068762B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4095203B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2001006160A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2000137913A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4012334B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2736852B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4028661B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2000137915A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2706714B2 (ja) 磁気記録媒体とその製造方法
JPH06338050A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4080631B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2001034927A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2001034928A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2000268352A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2000268345A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2000268346A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4028660B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2706715B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2000268361A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2649756B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP4012335B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071225