JP2001034927A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2001034927A
JP2001034927A JP11210298A JP21029899A JP2001034927A JP 2001034927 A JP2001034927 A JP 2001034927A JP 11210298 A JP11210298 A JP 11210298A JP 21029899 A JP21029899 A JP 21029899A JP 2001034927 A JP2001034927 A JP 2001034927A
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English (en)
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Yasuaki Yoshioka
康明 吉岡
Osamu Nakamura
修 中村
Nobuaki Wakamatsu
伸明 若松
Hiroyuki Yamaguchi
博之 山口
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 磁気ヘッドによる読み取りにおいて出力レベ
ルおよび波形が多様に変化可能な固定情報をもち、他の
磁気記録媒体との判別が確実に行え偽造、改ざん等の不
正行為を防止できる磁気記録媒体と、その製造方法を提
供する。 【解決手段】 磁化状態での保磁力が7000Oe以上
であり、かつ常温における脱磁状態からの初期磁化特性
が上記保磁力の1/2以下の磁界で飽和するような磁性
材料を含有する第1磁性層と、磁性材料を所定の疎密パ
ターンで含有する第2磁性層とが、この順に基材上に積
層された磁気記録媒体、および第1磁性層を基板上に形
成し、磁性材料が脱磁状態であるときに第1磁性層に所
望の磁気記録を行った後、第1磁性層上に磁性塗料を塗
布し、磁性塗膜にバイアス磁界による磁気配向処理を施
しながら、あるいは、施した後に乾燥して、磁性材料の
疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を形
成することからなる磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体、特
に偽造、変造が困難な磁気記録媒体と、その製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】基材の片面あるいは両面の全域またはス
トライプ状に磁気記録層が形成された磁気記録媒体は、
例えば、プリペイドカード、定期券、乗車券、入場券、
車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、磁気タグ等の
金券、証券類や、IDカード、キャッシュカード、クレ
ジットカード、会員カード等のカード類、磁気ラベル等
として幅広く使用されている。従来、このような磁気記
録媒体は、磁気記録層に高い記録密度で情報を書込み、
外部から簡単には記録情報を読み出せないようにしてい
る。
【0003】しかし、磁気記録層の特性上、記録された
情報の書換え、消去が自在であるため、偽造、変造が可
能であり、近年、大きな社会問題としてクローズアップ
されている。特に、現在は磁気ストライプの入手が容易
であるため、類似のカードを製造することも可能であ
り、さらに、現在の仕様のように、磁気記録媒体の表面
に磁気記録層が露出している場合、磁気記録情報を読み
取ったり、磁気転写技術により磁気記録情報を他の磁気
記録層に移すことが容易にできてしまうという問題もあ
る。
【0004】このような磁気記録情報の可逆性という本
質的な欠点に基づく問題を解決するために、磁気記録情
報の書き換えを困難にする種々の方法が提案されてい
る。例えば、BaフェライトやSrフェライト等の高保
磁力磁性材料、高保磁力低キュリー点(高Hc低Tc)の磁
性材料、MnBiを含有する磁性材料等を用いることに
より、磁気情報を消去されにくくした磁気記録媒体等が
開発されている。
【0005】また、磁気的な書き換えが不可能となるよ
うに、磁性層に物理的変化を与えることにより磁気記録
情報をもたせた磁気記録媒体も開発されている。例え
ば、印刷により磁気バーコードを設けた磁気記録媒体、
磁性層にレーザー等によりマーキングを施した磁気記録
媒体等が挙げられる。
【0006】さらに、基材上に比較的低い保磁力の磁性
材料を含む第1磁性層を形成し、この第1磁性層に磁気
記録を行った後、高保磁力の磁性材料を含む第2磁性層
を塗布形成して積層した磁気記録媒体も開発されてい
る。この磁気記録媒体では、第1磁性層の磁気記録パタ
ーンが第2磁性層にコピー(いわゆる磁気転写)されて
いるので、偽造、変造を目的とした磁気ヘッドによる書
き換えが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような単に高保磁力磁性材料を用いた磁気記録媒体は、
外部磁場の影響による磁気記録情報の消去を防ぐことは
可能であるが、これは逆に磁気ヘッドで情報を書き込む
際には磁化されにくく、書き込み装置に制限ができると
いう新たな問題を生じている。
【0008】また、高Hc低Tc磁性材料やMnBi含有磁
性材料を有する磁気記録媒体では、温度による保磁力の
急激な低下を利用し、その条件下で磁気書き込みを行う
ことも可能であるが、常温において磁気記録情報の消去
や書き込みができないため、装置が大掛かりになるとい
う問題がある。
【0009】さらに、磁気バーコードのように磁性層に
物理的変化を与えた磁気記録媒体では、磁気記録情報の
消去と、新たな情報の書き込みが不可能である。
【0010】また、第2磁性層に磁気転写された磁気記
録情報を備える磁気記録媒体は、非常に強い磁界が加わ
ると、磁気転写による第2磁性層の磁気記録が消去され
てしまうという問題があり、さらに、高保磁力磁性材料
を含む第2磁性層に磁気転写を効率良く行うことが困難
なため、読み取りに必要な磁気出力が第2磁性層から得
られないという問題もあった。
【0011】さらに、予め磁気情報が書き込まれた第1
磁性層上に磁性塗料を塗布して第2磁性層を形成し、こ
の際、第1磁性層の磁化の影響により第2磁性層に磁性
材料の疎密パターンを形成する磁気記録媒体では、第2
磁性層の形成時にソレノイド等の磁気配向処理を施すこ
とが有効であるが、この磁気配向処理については制限が
ある。すなわち、磁気配向処理は、配向磁場が第1磁性
層の磁化を消去しなような磁場強度に抑えなければなら
ない。例えば、第1磁性層に保磁力1000Oeの磁性
材料を用いた場合、配向磁場は500G程度までに抑え
ないと、第1磁性層の磁化が消去されてしまい、第2磁
性層における磁性材料の疎密パターン形成が困難にな
る。しかし、このように配向磁場を抑えることにより、
第2磁性層の角形比を高くできないため、第2磁性層の
磁性材料の性能を十分に引き出せないという問題があ
る。
【0012】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、磁気ヘッドによる読み取りにおいて出力
レベルおよび波形が多様に変化可能な固定情報をもち、
他の磁気記録媒体との判別が確実に行え、偽造や改ざん
等の不正行為を防止できる磁気記録媒体と、この磁気記
録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の磁気記録媒体は、基材と、該基材上
に磁気記録層とを有し、該磁気記録層は基材側から順に
第1磁性層と第2磁性層とが積層されたものであり、前
記第1磁性層は磁化状態での保磁力が7000Oe以上
であり、かつ常温における脱磁状態からの初期磁化特性
が前記保磁力の1/2以下の磁界で飽和するような磁性
材料を含有し、前記第2磁性層は磁性材料を所定の疎密
パターンで含有するような構成とした。
【0014】また、本発明の磁気記録媒体は、第1磁性
層に含有される前記磁性材料がMnBi含有磁性材料で
あるような構成とした。
【0015】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、磁化
状態での保磁力が7000Oe以上であり、かつ常温に
おける脱磁状態からの初期磁化特性が前記保磁力の1/
2以下の磁界で飽和するような磁性材料を含有する第1
磁性層を基材上に形成し、前記磁性材料を脱磁状態とし
て前記第1磁性層に所望の磁気記録を行った後、前記第
1磁性層上に磁性塗料を塗布し、磁性塗膜にバイアス磁
界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配
向処理を施した後に乾燥して、前記第1磁性層の磁気記
録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる
固定情報を有する第2磁性層を形成して、前記第1磁性
層および前記第2磁性層からなる磁気記録層を形成する
ような構成とした。
【0016】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、第1磁性層を液体窒素で冷却し、常温に戻るまでの
間に交流磁場を印加して磁性材料を脱磁状態にするよう
な構成とした。
【0017】さらに、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、第2磁性層の形成時の磁気配向処理を第1磁性層に
含有される磁性材料の磁化状態での保磁力の30〜70
%の範囲の磁界強度で行うような構成とした。
【0018】上記のような本発明では、第1磁性層の磁
性材料が脱磁状態にあるときに磁気記録が容易になると
ともに、第1磁性層に記録された磁気情報は、磁性材料
が7000Oe以上の高保磁力を発現するので、常温で
外部磁場による影響をほとんど受けず、また、磁性材料
の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を
磁気ヘッドで読み取る際に、バイアス磁界の有無、およ
び、その向きによって、得られる磁気出力レベルおよび
波形が変化する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
しながら説明する。図1は本発明の磁気記録媒体の実施
形態の一例を示す概略断面図である。図1において、本
発明の磁気記録媒体1は、基材2と、この基材2上にス
トライプ状に設けられた磁気記録層3を備えており、磁
気記録層3は第1磁性層3aと第2磁性層3bとが積層
されて構成されている。
【0020】本発明の磁気記録媒体1を構成する基材2
は、基材として要求される耐熱性、強度、剛性等を考慮
して、PET、PET−G、PEN等のポリエステル、
塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の樹脂、生分解性
樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含浸紙、合成紙
等の材料の中から適宜選択した材料の単独あるいは組み
合わせた複合体により構成することができる。このよう
な基材2の厚さは、100μm〜1mm、好ましくは1
50〜250μm程度とすることができる。
【0021】上記の磁気記録層3を構成する第1磁性層
3aは、磁化状態での保磁力が7000Oe以上、好ま
しくは10000Oe以上であり、かつ常温における脱
磁状態からの初期磁化特性が上記保磁力の1/2以下、
好ましくは1/4〜1/3の磁界で飽和するような磁性
材料を含有する。このような第1磁性層3aは、磁性材
料が脱磁状態にあるときに低い磁界強度での磁気記録が
可能となり、通常の磁気ヘッドによる記録が安定して行
える。一方、常温では、一度磁化された磁性材料が70
00Oe以上の高保磁力を発現するので、外部磁界の影
響を受けることがほとんどない。
【0022】第1磁性層3aに含有される上記の磁性材
料としては、例えば、MnBi含有磁性材料が挙げられ
る。上記のような磁化状態での保磁力が7000Oe以
上であり、かつ常温における脱磁状態からの初期磁化特
性が上記保磁力の1/2以下の磁界で飽和するような磁
性材料は、わずかな磁界強度によっても磁化して保磁力
が7000Oe以上となるため、従来公知の磁気ヘッド
を用いた磁気記録は、脱磁状態においてのみ可能とな
る。
【0023】尚、第1磁性層3aには、上記の磁性材料
の他に、γ−Fe23、Co被着γ−Fe23、Fe3
4、CrO2、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Co−
Ni、Fe−Ni、Baフェライト、Srフェライト等
の保磁力300〜6000Oeの他の磁性材料を含有し
てもよい。ただし、第1磁性層3aに含有される磁性材
料に占める他の磁性材料の割合は、50重量%以下であ
ることが好ましい。
【0024】この第1磁性層3aは、上記の磁性材料が
適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる
磁性塗料を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等
の公知の塗布方法に従って塗布し乾燥することにより形
成することができる。第1磁性層3aの厚さは、乾燥後
の膜厚で1〜50μm、好ましくは3〜20μm程度で
ある。
【0025】また、上記の磁気記録層3を構成する第2
磁性層3bは、磁性材料を所定の疎密パターンで含有す
るものである。このような第2磁性層3bを構成する磁
性材料としては、例えば、Al、Si、Fe等からなる
磁性合金材料、パーマロイ、センダスト、Mn−Znフ
ェライト、Co−Znフェライト、Ni−Znフェライ
ト等のフェライト、γ―Fe23、Co被着γ―Fe2
3、Fe34等の鉄酸化物、Fe、Co、Ni、Fe
−Cr、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Cr、Co−
Ni、CrO2、Baフェライト、Srフェライト等の
保磁力が1〜10000Oeの範囲の磁性材料を挙げる
ことができる。
【0026】この第2磁性層3bは、上記の磁性材料が
適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる
磁性塗料を、所望の磁気記録を行った第1磁性層3a上
にグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗
布方法に従って塗布し、所定のバイアス磁界による磁気
配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施し
た後、磁性塗膜を乾燥することにより形成することがで
きる。この第2磁性層3bは、磁性材料の疎密パターン
からなる固定情報を有するものであり、厚さは、1〜5
0μm、好ましくは3〜20μm程度である。尚、配向
処理に用いる配向装置としては、ソレノイド型の電磁石
配向装置が好ましい。
【0027】このような構成である本発明の磁気記録媒
体1では、磁気記録層3の第1磁性層3aへの磁気記録
は、含有する磁性材料(磁化状態での保磁力が7000
Oe以上であり、かつ常温における脱磁状態からの初期
磁化特性が上記保磁力の1/2以下の磁界で飽和するよ
うな磁性材料)が脱磁状態にあるときのみ、通常の磁気
ヘッドによる記録が安定して行える。一方、一度磁気記
録がなされた後では、常温にて磁性材料が7000Oe
以上の高い保磁力を発現するので、第1磁性層3aの磁
気情報は外部磁界の影響、例えば、上記の第2磁性層形
成時の磁気配向処理の影響を受けることがほとんどな
い。
【0028】また、第2磁性層3bが磁性材料を所定の
疎密パターンで含有し、この疎密パターンからなる固定
情報を有している。このような第2磁性層3bにおける
固定情報は、磁気記録層3を磁気ヘッドで読み取る際
に、バイアス磁界の有無、または、その向きによって、
得られる磁気出力レベルおよび波形が変化する。すなわ
ち、第2磁性層3bに含有される磁性材料を充分着磁さ
せられる磁界強度で着磁した後、バイアス磁界なしで読
み取ると、高い磁気出力が得られる。また、第2磁性層
3bに含有される磁性材料の磁化方向が、第1磁性層3
aに含有される磁性材料の磁化方向と同じである場合、
両磁性層の磁気出力の合成波形が得られ、逆である場
合、ほとんど磁気出力が得られないことになる。しか
も、上記の第2磁性層3bにおける固定情報は、第1磁
性層3aへの磁気記録によって磁気記録媒体個々に任意
に設定することができる。したがって、他の磁気記録媒
体との判別が可能となり、磁気記録媒体の真偽判定が確
実に行える。
【0029】尚、上記の本発明の磁気記録媒体では、基
材2の一部にストライプ状に磁気記録層3を形成した構
成となっているが、図2に示されるように、磁気記録層
3が基材の一方の面の全面に形成された構成であっても
よい。
【0030】また、本発明では、磁気記録媒体1の磁気
記録層3上に、保護、隠蔽、装飾効果をもたせるための
保護層、着色層や絵柄を設けてもよい。
【0031】保護層、着色層や絵柄はエチルセルロー
ス、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロ
ース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−
メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共
重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル
等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは
共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジ
ン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル
樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトル
エン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色す
べき色に応じて各種の顔料を添加し、必要に応じて磁気
ヘッドのクリーニング効果をもたせるよう、酸化チタ
ン、アルミナ粉末、マイクロシリカ等を添加し、さらに
必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、
乾燥剤、乾燥補助剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加し
た後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練してなる着色塗
料あるいはインキを用いて、通常のグラビア法、ロール
法、ナイフエッジ法、オフセット法等の塗布方法あるい
は印刷方法により、所望部分に形成できる。
【0032】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の
一実施形態について、図3を参照しながら説明する。
【0033】まず、基材2に第1磁性層3aを形成する
(図3(A))。この第1磁性層3aの形成は、磁化状
態での保磁力が7000Oe以上であり、かつ常温にお
ける脱磁状態からの初期磁化特性が上記保磁力の1/2
以下の磁界で飽和するような磁性材料が適当な樹脂ある
いはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、グ
ラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方
法に従って塗布し乾燥することにより形成することがで
きる。樹脂あるいはインキビヒクルとしては、ブチラー
ル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル
樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いら
れ、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいは
ウレタンエラストマー等が添加される。また、耐熱性を
考慮して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサル
ホン等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは
硬化反応によりTgが上昇する系を用いることができ
る。上記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性
材料が分散されてなる磁性塗料中に、必要に応じて分散
剤、可塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を適宜含有さ
せてもよい。
【0034】次に、第1磁性層3aに所望の磁気記録を
行う(図3(B))。これにより、第1磁性層3aに磁
化方向が相違する磁気パターンが形成される。この磁気
記録は、第1磁性層3aの磁性材料(磁化状態での保磁
力が7000Oe以上であり、かつ常温における脱磁状
態からの初期磁化特性が上記保磁力の1/2以下の磁界
で飽和するような磁性材料)を脱磁状態として行うもの
である。磁性材料の脱磁は、例えば、第1磁性層3aを
液体窒素で冷却し、常温に戻るまでの間に交流磁場を印
加することにより行うことができる。このように磁性材
料を脱磁状態にすることにより、第1磁性層3aの飽和
書き込み電流値が大幅に低下し、通常の磁気ヘッドを用
いて磁気記録を行うことができる。
【0035】次に、第2磁性層3bを形成する。まず、
上述の磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中
に分散されてなる磁性塗料を、所望の磁気記録が行われ
た第1磁性層3a上に、グラビア法、ロール法、ナイフ
エッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布して、磁性塗
膜3´bを形成する(図3(C))。磁性塗料に使用す
る樹脂あるいはインキビヒクルは、上述の第1磁性層3
aの形成で挙げたものを使用することができ、また、必
要に応じて分散剤、可塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料
等を磁性塗料に適宜含有させてもよい。
【0036】次いで、バイアス磁界を一定方向に加えて
磁気配向処理を施す(図3(D))。これにより、第1
磁性層3aから発生する磁力線によって磁性塗膜3′b
中に存在する磁化方向と、バイアス磁界の方向とが一致
する部位に、磁性材料が移動して集まり、未乾燥の磁性
塗膜3´b中に磁性材料が密な部分が形成される。印加
するバイアス磁界は、第1磁性層3aに含有される磁性
材料の保磁力を考慮して適宜設定できる。しかし、常温
では第1磁性層3aに含有される磁性材料が7000O
e以上の高い保磁力を発現するので、第1磁性層3aの
磁気記録は外部磁界の影響をほとんど受けない。このた
め、通常、バイアス磁界は第1磁性層3aに含有される
磁性材料の磁化状態での保磁力の30〜70%の範囲の
高い磁界強度に設定できる。
【0037】その後、磁性塗膜3´bを乾燥することに
より、第1磁性層3aの磁気記録パターンに対応した磁
性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁
性層3bを形成する。形成された第2磁性層3bは、上
述のように高いバイアス磁界による配向処理が施されて
いるので、高角形比をもつものとなる。
【0038】尚、磁気配向処理を施しながら磁性塗膜
3′bを乾燥して第2磁性層3bを形成することもでき
る。
【0039】次に、液体窒素で冷却し、常温に戻るまで
の間に交流磁場を印加して、第1磁性層3aの磁気記録
を消去するとともに、第2磁性層3bの上記固定情報に
着磁を行い、磁気記録媒体1とする(図3(E))。
尚、このような第1磁性層3aの磁気記録の消去は、行
なわなくてもよい。
【0040】このように製造される本発明の磁気記録媒
体1では、磁気記録層3の第2磁性層3bにおける固定
情報が、磁性材料が磁性塗膜中を移動して形成された疎
密パターンからなるので、強磁界が加わっても消去され
ることがない。そして、磁気ヘッドで読み取ったときの
磁気出力波形は、第2磁性層3bに含有される磁性材料
の着磁の状態と、読み取りバイアス磁界の有無、およ
び、その向きによって変化する。例えば、第2磁性層3
bの含有される磁性材料が着磁されており、バイアス磁
界なしで読み取った場合は、磁性材料の疎密の境界部分
で生じる磁化の変化によって、疎密パターンに対応した
磁気出力(図3(E)に鎖線で示す)が得られる。
【0041】本発明では、上記の第2磁性層3bにおけ
る固定情報は、第1磁性層3aへの磁気記録によって磁
気記録媒体個々に任意に設定することができるので、他
の磁気記録媒体との判別が可能となる。
【0042】尚、基材としてポリエチレンテレフタレー
トフィルムのような樹脂フィルムを使用し、上述のよう
な製造方法で基材上に第1磁性層と第2磁性層とを順に
積層して磁気記録層を設けることにより磁気テープを作
製し、この磁気テープをカード基材等の全面、あるい
は、一部に貼合して磁気記録媒体を製造してもよい。
【0043】
【実施例】次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明する。
【0044】まず、基材として、厚さ188μmのポリ
エチレンテレフタレート(東レ(株)製E−22)を準
備し、この基材の片面に下記の組成を有する第1磁性層
形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布し乾燥
して、厚み10μmの第1磁性層を形成した。
【0045】 (第1磁性層形成用の塗工液) ・MnBi含有磁性材料 … 80重量部 磁化状態における保磁力=10000Oe 脱磁状態から初期磁化特性が飽和するのに必要充分な磁界 =1000G ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0046】次に、この第1磁性層を形成した基材を液
体窒素により冷却し、その後、常温に戻るまでの間に交
流磁界(1000G)を印加して、含有磁性材料を脱磁
状態とした。その後、常温にて書込み電流250mAで
磁気記録Dを行った。このときの記録密度は200bp
i(FM記録)とした。
【0047】次いで、この第1磁性層上に、下記の組成
を有する第2磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート
法により塗布して磁性塗膜を形成した。
【0048】 (第2磁性層形成用の塗工液) ・Baフェライト(保磁力=1000Oe) … 80重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0049】次に、上記の磁性塗膜に3000Gのソレ
ノイドによる直流バイアス磁界を第1磁性層の記録方向
に沿って一方向に加えて磁気配向処理を施した。その
後、磁性塗膜を乾燥することにより厚み8μmの第2磁
性層を形成した。この第2磁性層は、第1磁性層の磁気
記録Dに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定
情報D′を有するものであった。これにより、第1磁性
層と第2磁性層との積層体からなる磁気記録層を基材上
に形成した。
【0050】上記のように磁気記録層を形成した基材を
86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本
発明の磁気記録媒体を得た。
【0051】この磁気記録媒体に3000Gの直流磁界
を印加して第2磁性層に着磁を行った。ここでは、第1
磁性層の磁化パターンと第2磁性層の磁化パターンが同
一となる着磁の向きを正着磁(図4(A)参照)とし、
互いの磁化パターンが逆相の関係になる着磁の向きを逆
着磁(図4(B)参照)とした。そして、正着磁の磁気
記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて
読み取った結果、高い磁気出力(7.5V(p−p))
が得られた。一方、逆着磁の磁気記録媒体をバイアス磁
界なしでカードリーダーを用いて読み取った結果、磁気
出力がほとんど得られなかった。
【0052】次いで、この磁気記録媒体を液体窒素で冷
却し、常温に戻るまでの間に交流磁場(1000G)を
印加して第1磁性層の磁気情報Dを消去した。さらに、
この磁気記録媒体に3000Gの直流磁界を与え、第2
磁性層に着磁を行った。
【0053】この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカ
ードリーダーを用いて読み取った結果、第2磁性層の磁
性材料の疎密パターンに対応した磁気出力波形(磁気出
力=3.5V(p−p))が得られた。
【0054】また、磁気記録層の上記固定情報を記録し
た領域外のトラックに書込み電流250mAで磁気記録
D′を行った。このときの記録密度は200bpi(F
M記録)とした。その後、このトラックをカードリーダ
ーを用いて読み取った結果、良好な磁気出力波形(磁気
出力=4.1V(p−p))が得られた。
【0055】このことから、第2磁性層の形成時に高い
配向磁場を印加しても、第1磁性層の磁気情報がほとん
ど減磁しないので、第2磁性層に効率よく疎密パターン
を形成でき、この疎密パターンからなる第2磁性層の固
定情報は、磁気的に消去できない磁気情報として利用で
きること、第1磁性層の情報の有無、および、第2磁性
層の着磁の状態によって得られる磁気出力レベルおよび
波形が変化することが確認され、さらに、第2磁性層形
成時の配向磁場が充分であり、第2磁性層の角形比が良
好で、磁気情報の書き換えに際し、良好な磁気特性を有
していることが確認された。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば第
1磁性層は磁性材料が脱磁状態にあるときに磁気記録が
容易になるとともに、記録された磁気情報は、磁性材料
が7000Oe以上の高保磁力を発現するので、常温で
外部磁場による影響をほとんど受けず、第1磁性層上に
磁性塗料を塗布して磁場強度の大きい磁気配向処理を施
しても第1磁性層の磁化が消去されることがなく、これ
により、磁性材料の疎密パターンを有する第2磁性層
を、高角形比をもつように形成することができ、また、
第2磁性層は磁性材料の疎密パターンからなる固定情報
を有するので、磁気記録層を磁気ヘッドで読み取る場
合、第1磁性層の情報の有無、および、第2磁性層の着
磁の状態によって、得られる磁気出力レベルおよび波形
が変化し、これにより、他の磁気記録媒体との判別が可
能となり、磁気記録媒体の真偽判定が確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す
概略断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の実施形態を示す概
略断面図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態の
一例を示す工程図である。
【図4】第2磁性層の着磁の向きを示す図であり、
(A)は正着磁、(B)は逆着磁を示す図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体 2…基材 3…磁気記録層 3a…第1磁性層 3b…第2磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/113 H01F 1/113 (72)発明者 若松 伸明 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 山口 博之 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BA01 BA08 BA19 BA20 DA01 EA01 EA05 FA00 5D112 AA05 AA09 AA11 AA28 BB01 BD02 CC06 CC19 DD04 5E040 AA20 AB05 AB09 AC05 BB04 CA06 HB00 HB06 NN12 NN15 NN17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、該基材上に磁気記録層とを有
    し、該磁気記録層は基材側から順に第1磁性層と第2磁
    性層とが積層されたものであり、前記第1磁性層は磁化
    状態での保磁力が7000Oe以上であり、かつ常温に
    おける脱磁状態からの初期磁化特性が前記保磁力の1/
    2以下の磁界で飽和するような磁性材料を含有し、前記
    第2磁性層は磁性材料を所定の疎密パターンで含有する
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 第1磁性層に含有される前記磁性材料
    は、MnBi含有磁性材料であることを特徴とする請求
    項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁化状態での保磁力が7000Oe以上
    であり、かつ常温における脱磁状態からの初期磁化特性
    が前記保磁力の1/2以下の磁界で飽和するような磁性
    材料を含有する第1磁性層を基材上に形成し、前記磁性
    材料を脱磁状態として前記第1磁性層に所望の磁気記録
    を行った後、前記第1磁性層上に磁性塗料を塗布し、磁
    性塗膜にバイアス磁界による磁気配向処理を施しなが
    ら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥して、前
    記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の
    疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を形
    成して、前記第1磁性層および前記第2磁性層からなる
    磁気記録層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 第1磁性層を液体窒素で冷却し、常温に
    戻るまでの間に交流磁場を印加して磁性材料を脱磁状態
    にすることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 第2磁性層の形成時の磁気配向処理は、
    第1磁性層に含有される磁性材料の磁化状態での保磁力
    の30〜70%の範囲の磁界強度で行うことを特徴とす
    る請求項3または請求項4に記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
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