JP2000268361A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2000268361A
JP2000268361A JP6781399A JP6781399A JP2000268361A JP 2000268361 A JP2000268361 A JP 2000268361A JP 6781399 A JP6781399 A JP 6781399A JP 6781399 A JP6781399 A JP 6781399A JP 2000268361 A JP2000268361 A JP 2000268361A
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Yasuaki Yoshioka
康明 吉岡
Osamu Nakamura
修 中村
Nobuaki Wakamatsu
伸明 若松
Hiroyuki Yamaguchi
博之 山口
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偽造や改ざん等の不正行為を防止できること
はもとより、粗密パターンの形成が確実かつ経済的にで
きる磁気記録媒体の製造方法を提供する。 【解決手段】 基材の上に第1磁性層を形成するととも
に、第1磁性層に所定の磁気情報を記録するマスター層
形成工程と、この第1磁性層の上に直接あるいは中間層
を介して第2磁性層を塗設するとともに、第2磁性層が
未乾燥状態にあるうちに第2磁性層を磁場配向処理して
第1磁性層の磁気情報に応じた磁性粉の粗密パターンを
形成する固定情報形成工程と、を有する磁気記録媒体の
製造方法であって、前記第2磁性層の磁場配向処理が、
パルス状の磁場を用いることにより行われるように構成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体、特
に偽造、変造が困難な磁気記録媒体と、その製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】基材の片面あるいは両面の全域またはス
トライプ状に磁気記録層が形成された磁気記録媒体は、
例えば、プリペイドカード、定期券、乗車券、入場券、
車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、磁気タグ等の
金券、証券類や、IDカード、キャッシュカード、クレ
ジットカード、会員カード等のカード類、磁気ラベル等
として幅広く使用されている。従来、このような磁気記
録媒体は、磁気記録層に高い記録密度で情報を書込み、
外部から簡単には記録情報を読み出せないようにしてい
る。
【0003】しかし、磁気記録層の特性上、記録された
情報の書換え、消去が自在であるため、偽造、変造が可
能であり、近年、大きな社会問題としてクローズアップ
されている。特に、現在は磁気ストライプの入手が容易
であるため、類似のカードを製造することも可能であ
り、さらに、現在の仕様のように、磁気記録媒体の表面
に磁気記録層が露出している場合、磁気記録情報を読み
取ったり、磁気転写技術により磁気記録情報を他の磁気
記録層に移すことが容易にできてしまうという問題もあ
る。
【0004】このような磁気記録情報の可逆性という本
質的な欠点に基づく問題を解決するために、磁気記録情
報の書き換えを困難にする種々の方法が提案されてい
る。例えば、BaフェライトやSrフェライト等の高保
磁力磁性材料、高保磁力低キュリー点(高Hc低Tc)
の磁性材料、MnBiを含有する磁性材料等を用いるこ
とにより、磁気情報を消去されにくくした磁気記録媒体
等が開発されている。
【0005】また、磁気的な書き換えが不可能となるよ
うに、磁性層に物理的変化を与えることにより磁気記録
情報をもたせた磁気記録媒体も開発されている。例え
ば、印刷により磁気バーコードを設けた磁気記録媒体、
磁性層にレーザー等によりマーキングを施した磁気記録
媒体等が挙げられる。
【0006】さらに、基材上に比較的低い保磁力の磁性
材料を含む第1磁性層を形成し、この第1磁性層に磁気
記録を行った後、高保磁力の磁性材料を含む第2磁性層
を塗布形成していわゆる磁気転写記録(第1磁性層の磁
化パターンがコピーされる)を行った磁気記録媒体も開
発されている。この磁気記録媒体では、第1磁性層の磁
気記録パターンが、磁気ヘッドでは容易に記録できない
第2磁性層に磁気転写されているので、偽造、変造を目
的とした磁気ヘッドによる書き換えが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような単に高保磁力磁性材料を用いた磁気記録媒体は、
外部磁場の影響による磁気記録情報の消去を防ぐことは
可能であるが、これは逆に磁気ヘッドで情報を書き込む
際には磁化されにくく、書き込み装置に制限ができると
いう新たな問題を生じている。
【0008】また、高Hc低Tc磁性材料やMnBi含
有磁性材料を有する磁気記録媒体では、温度による保磁
力の急激な低下を利用し、その条件下で磁気書き込みを
行うことも可能であるが、常温において磁気記録情報の
消去や書き込みができないため、装置が大掛かりになる
という問題がある。
【0009】さらに、磁気バーコードのように磁性層に
物理的変化を与えた磁気記録媒体では、磁気記録情報の
消去と、新たな情報の書き込みが不可能である。
【0010】また、第2磁性層に磁気転写された磁気記
録情報を備える磁気記録媒体は、非常に強い磁界が加わ
ると、磁気転写による第2磁性層の磁気記録が消去され
てしまうという問題があり、さらに、高保磁力磁性材料
を含む第2磁性層に磁気転写を効率良く行うことが困難
なため、読み取りに必要な磁気出力が第2磁性層から得
られないという問題もあった。
【0011】このような問題点に対処するために、磁気
情報の未乾燥磁気層への磁気転写を利用した媒体、すな
わち、基材上に磁性材料を含む第1磁性層を形成し、こ
の第1磁性層に磁気記録を行った後、磁性材料を含む第
2磁性層を塗布形成して未乾燥状態にうちに磁場配向処
理して形成された磁気記録媒体も開発されている。この
磁気記録媒体では、第1磁性層の磁気記録パターンを利
用して、第2磁性層に磁性体の粗密パターンが固定情報
として記録されているので、偽造、変造を目的とした書
き換えが困難であり、セキュリティ性に優れる。このよ
うな第2磁性層の粗密パターンの形成には、第2磁性層
形成コーティング時に、未乾燥状態にある第2の磁性層
中の磁性体を移動させるために、磁場(磁化)配向処理
がおこなわれる。磁場配向処理としては、ソレノイドソ
レノイドや磁気ヘッドによる磁気配向処理が有効である
が、これらの場合には常に電流を流しっぱなしでの使用
が一般的であり、発熱が起きる場合には、冷却装置を付
加させなくてはならず経済的に有利とは言えない。
【0012】本発明は、このような実情の基に創案され
たものであり、その目的は、偽造や改ざん等の不正行為
を防止できることはもとより、粗密パターンの形成が確
実かつ経済的にできる磁気記録媒体の製造方法を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は、基材の上に第1磁性層を形成する
とともに、第1磁性層に所定の磁気情報を記録するマス
ター層形成工程と、この第1磁性層の上に直接あるいは
中間層を介して第2磁性層を塗設するとともに、第2磁
性層が未乾燥状態にあるうちに第2磁性層を磁場配向処
理して第1磁性層の磁気情報に応じた磁性微粒子の粗密
パターンを形成する固定情報形成工程と、を有する磁気
記録媒体の製造方法であって、前記第2磁性層の磁場配
向処理が、パルス状の磁場を用いることにより行われる
ように構成される。
【0014】本発明における前記磁場配向処理は、基材
の搬送速度をVs(mm/秒)、パルスの周波数をF(パ
ルス/秒)、有効磁場幅をL(mm)とした場合、これ
ら3要素の関係が、Vs/F<Lの関係を満たす条件で
行われるように構成される。
【0015】本発明においては、パルス状の磁場が第2
磁性層の全域に亘って途切れることなく印加されるよう
に作用する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】図1には、本発明の製造方法により製造さ
れた磁気記録媒体の好適な実施形態の一例が概略断面図
として示されている。
【0018】図1において、磁気記録媒体1は、基材2
と、この基材2の上にストライプ状に形成された記録層
3を備えており、記録層3は、第1磁性層31と、この
上に直接形成された第2磁性層35を有して構成されて
いる。図面上、記録層3は、基材2の中に部分的に埋設
された形態を採用しているが、単に、基材2の上に形成
されたものであってもよい。また、第1磁性層31と第
2磁性層35の間に本発明の作用効果を逸脱しない範囲
で適当な中間層を介在させることもできる。
【0019】このような磁気記録媒体1を構成する基材
2は、基材として要求される耐熱性、強度、剛性等を考
慮して、PET、PET−G、PEN等のポリエステ
ル、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の樹脂、生分
解性樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含浸紙、合
成紙等の材料の中から適宜選択した材料の単独あるいは
組み合わせた複合体により構成することができる。この
ような基材2の厚さは、100μm〜1mm、好ましく
は150〜250μm程度とすることができる。
【0020】上記の記録層3を構成する第1磁性層31
は、保磁力が300〜6000Oeの範囲にある磁性材
料を含有する。この磁性材料の保磁力が300Oe未満
であると、第2磁性層形成時の配向磁界に対する耐性が
不十分であり、6000Oeを超えると、磁気ヘッドに
よる安定した記録が難しくなり好ましくない。
【0021】第1磁性層31を構成する上記のような保
磁力300〜6000Oeの範囲にある磁性材料として
は、例えば、γ−Fe23 、Co被着γ−Fe2
3 、Fe34 、CrO2 、Fe、Co、Ni、Fe−
Co、Co−Ni、Fe−Ni、Baフェライト、Sr
フェライト等の磁性微粒子が挙げられる。
【0022】この第1磁性層31は、上記の磁性微粒子
を適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散してなる
磁性塗料を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等
の公知の塗布方法に従って塗布し乾燥することにより形
成することができる。真空蒸着法、スパッタリング法、
メッキ法等により第1磁性層31を形成することもでき
る。
【0023】第1磁性層31の厚さは、塗布方法により
形成される場合、乾燥膜厚で1〜50μm、好ましくは
3〜20μm程度である。
【0024】このような第1磁性層31の上には、上述
のごとく、第2磁性層35が塗設される。
【0025】第2磁性層35は、塗設後の塗膜中の磁性
材料(磁性微粒子)を所定の疎密パターンとして含有さ
せるものである。第2磁性層35中に含有される磁性材
料(磁性微粒子)の保磁力は、例えば、1〜10000
Oeの範囲にある磁性材料(磁性微粒子)を適宜選定し
て用いることが好ましい。すなわち、第2磁性層35を
構成する磁性材料としては、軟磁性体でも硬磁性体でも
よく、例えば、Al,Si,Fe等からなる磁性合金材
料、パーマロイ、センダスト、Mn−Znフェライト、
Co−Znフェライト、Ni−Znフェライト等のフェ
ライト、γ−Fe、Co被着γ−Fe、F
等のFe酸化物、Fe,Co,Ni,Fe−C
r,Fe−Co,Fe−Ni,Co−Cr,Co−N
i,CrO ,Baフェライト、Srフェライト等が挙
げられる。
【0026】第2磁性層35は、上記の磁性材料が適当
な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性
塗料を、所望の磁気記録を行った第1磁性層31の上に
グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布
方法に従って塗布し、所定方向(ストライプ方向)の磁
界による磁気配向処理を施した後、磁性塗膜を乾燥する
ことにより形成することができる。この第2磁性層35
は、磁性材料(磁性微粒子)の疎密パターンからなる固
定情報を有するものである。
【0027】本発明においては、当該固定情報を形成す
るための磁場配向処理の方法に特徴があるが、これにつ
いては、後の製造方法のところで詳述する。
【0028】第2磁性層35の厚さは、1〜50μm、
好ましくは3〜20μm程度である。
【0029】なお、上記の磁気記録媒体では、基材2の
一部にストライプ状に記録層3を形成した構成となって
いるが、図2に示されるように、記録層3が基材の一方
の面の全面に形成された構成であってもよい。
【0030】このような構成を有する本発明の磁気記録
媒体1の第2磁性層35には、磁性材料(磁性微粒子)
の疎密パターンが固定情報として形成されている。
【0031】また、磁気記録媒体1の記録層3の上に、
保護、隠蔽、装飾効果をもたせるための保護層、着色層
や絵柄を設けてもよい。
【0032】保護層、着色層や絵柄はエチルセルロー
ス、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロ
ース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−
メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共
重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル
等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは
共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジ
ン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル
樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトル
エン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色す
べき色に応じて各種の顔料を添加し、必要に応じて磁気
ヘッドのクリーニング効果をもたせるよう、酸化チタ
ン、アルミナ粉末、マイクロシリカ等を添加し、さらに
必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、
乾燥剤、乾燥補助剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加し
た後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練してなる着色塗
料あるいはインキを用いて、通常のグラビア法、ロール
法、ナイフエッジ法、オフセット法等の塗布方法あるい
は印刷方法により、所望部分に形成できる。
【0033】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の
一実施形態について、図3を参照しながら説明する。な
お、図3に示される媒体の形態は、図2のそれと実質的
に同じである。
【0034】まず、基材2の上に第1磁性層31を形成
する(図3(A))。この第1磁性層31の形成は、上
述の保磁力範囲にある磁性材料を適当な樹脂あるいはイ
ンキビヒクル中に分散してなる磁性塗料を、グラビア
法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従
って塗布し乾燥することにより形成することができる。
樹脂あるいはインキビヒクルとしては、ブチラール樹
脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹
脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いられ、
必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレ
タンエラストマー等が添加される。また、耐熱性を考慮
して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン
等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは硬化
反応によりTgが上昇する系を用いることができる。上
記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性材料が
分散されてなる磁性塗料中に、必要に応じて分散剤、可
塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を適宜含有させても
よい。
【0035】次に、第1磁性層31に所望の磁気記録を
行う(図3(B))。これにより、第1磁性層31に磁
化方向が相違する磁気パターンが形成される。この工程
を、特に本発明では、基材の上に第1磁性層31を形成
するとともに、第1磁性層31に所定の磁気情報を記録
するマスター層形成工程と称す。
【0036】次に、第2磁性層35を形成する。まず、
上述の保磁力を有する磁性材料(磁性微粒子)が適当な
樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗
料を、所望の磁気記録が行われた第1磁性層31上に、
グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布
方法に従って塗布して、磁性塗膜35aを形成する(図
3(C))。磁性塗料に使用する樹脂あるいはインキビ
ヒクルは、上述の第1磁性層31の形成で挙げたものを
使用することができ、また、必要に応じて分散剤、可塑
剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を磁性塗料に適宜含有
させてもよい。
【0037】次いで、当該塗膜が未乾燥の状態で、配向
のための磁界を一定方向(図示の場合、矢印(α)方
向)に加えて磁場配向処理を施す(図3(D))。本発
明における配向用の磁場は、パルス状の磁場を用いて行
なわれる。このようなパルス状の磁場は、磁場を発生さ
せることができるソレノイドや磁気ヘッドへの通電を間
欠的に行うことにより作り出すことができ、特に、磁場
反転のない直流磁場(DC磁場)とすることが望まし
い。
【0038】より具体的には、連続的に搬送される基材
の近傍に、ソレノイドや磁気ヘッドを備えたパルス磁場
発生装置を設置し、当該装置を用いて塗布直後の未乾燥
の第2磁性層(基材の上に塗布され連続搬送されている)
に向けて、パルス状の配向磁場を付与する。この場合、
当該磁場配向処理は、基材の搬送速度をVs(mm/
秒)、パルスの周波数をF(パルス/秒)、有効磁場幅を
L(mm)とした時、これら3要素の関係が、Vs/F
<Lの関係を満たす条件で行われる。有効磁場幅Lは、
基材の搬送方向に対して、所望の強度の磁場を維持して
いる長さであり、磁気ヘッドであれば、例えば、ギャッ
プ長さで近似することができ、ソレノイドであれば、例
えば、コイル有効幅で近似することができる。上記Vs
/Fの値が、有効磁場幅Lを超えると、搬送される第2
磁性層に対して磁場配向処理がされない部分が間欠的に
生じ、所望の粗密パターンからなる固定情報が得られな
いという不都合が生じてしまう。
【0039】第2磁性層35中に粗密パターンが形成さ
れる過程を以下に説明する。
【0040】第1磁性層31から発生する磁力線によっ
て磁性塗膜35aが影響を受ける磁力線方向と、配向磁
場方向(矢印(α)方向)とが一致する部位に、磁性微
粒子が移動して集まり、磁性塗膜35a中に磁性微粒子
の密な部分36が形成される。つまり、第1磁性層31
に記録された磁気情報から生じる磁力線と配向磁場方法
が一致した部分では磁力線成分が増長され、この部分に
磁性塗膜35a中の磁性微粒子が集まり密な部分36が
形成される。逆に、向きが一致していない部分の磁力線
成分は相殺され粗の部分37(磁性微粒子がほとんどな
い部分)が形成される。本発明においては、配向磁場
(矢印(α)方向)がパルス磁場の集合体として与えら
れるのであるが、上記Vs/F<Lの関係を満たす限り
において、第2磁性層35に対して配向のための磁場が
途切れることなく印加される。
【0041】印加される配向磁界(配向磁場)は、150
〜3000Gの範囲で、第1磁性層31の磁気記録が消
去されないように、使用する磁性材料に応じて適宜設定
することができる。その後、磁性塗膜35aを乾燥する
ことにより、第1磁性層31の磁気記録パターンに対応
した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する
第2磁性層35を形成する。
【0042】次に、第1磁性層31の磁気記録が消去さ
れるような消磁磁界を一定方向に加えて、第1磁性層3
1の磁気記録を消去するとともに、第2磁性層35の上
記固定情報に着磁を行い、磁気記録媒体1とする(図3
(E))。
【0043】このような本発明の製造方法によれば、配
向磁場として、パルス磁場を間欠的に用いているので、
経済的メリットが極めて大きい。
【0044】さらに、このように製造される本発明の磁
気記録媒体1において、記録層3の第2磁性層35に書
き込まれた固定情報は、磁性微粒子が磁性塗膜中を移動
して形成された粗密パターンからなるので、強磁界が加
わっても消去されることがない。
【0045】また、本発明では、上記の第2磁性層35
における固定情報は、第1磁性層31への磁気記録によ
って磁気記録媒体個々に任意に設定することができるの
で、他の磁気記録媒体との判別が可能となる。
【0046】なお、基材としてポリエチレンテレフタレ
ートフィルムのような樹脂フィルムを使用し、上述のよ
うな製造方法で基材上に第1磁性層と第2磁性層とを順
に積層して磁気記録層を設けることにより磁気テープを
作製し、この磁気テープをカード基材等の全面、あるい
は、一部に貼合して磁気記録媒体を製造してもよい。
【0047】
【実施例】次に、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明する。 [実験例1]
【0048】基材として、厚さ188μmのポリエチレ
ンテレフタレート(東レ(株)製E−22)を準備し、
この基材の片面に下記の組成を有する第1磁性層形成用
の磁性塗料をグラビアコート法により塗布し乾燥して、
厚み10μmの第1磁性層を形成した。 (第1磁性層形成用の塗工液) ・Baフェライト(保磁力=4000Oe) … 80重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0049】次に、この第1磁性層に書込み電流100
0mAで磁気記録Dを行った。このときの記録密度は2
00bpi(FM記録)とした。
【0050】次いで、下記の組成を有する第2磁性層形
成用の磁性塗料を、連続搬送される第1磁性層の上に、
塗布して磁性塗膜を形成した。 (第2磁性層形成用の塗工液) ・Srフェライト(保磁力=8000Oe) … 40重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部 ・ウレタン樹脂 … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 ・メチルイソブチルケトン … 50重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0051】次に、未乾燥の上記の磁性塗膜に対し、基
材の裏側から磁気ヘッドで2000Gの一定周期のパル
ス磁界を与えて磁場配向処理を行ない、第2磁性層に磁
性体の粗密パターンの固定情報を形成させた。なお、パ
ルス磁界による磁場配向処理に際して、基材の搬送速度
Vsは、166.7mm/秒、パルスの周波数Fは、8
3パルス/秒、磁気ヘッドによる有効磁場幅Lは3mm
のものを用いた。この場合、Vs/Fの値は、約2mm
となり、有効磁場幅L=3mmより小さいので、配向磁
場は搬送される基材(第2磁性層)に対して不足すること
なく十分に印加されている(約1mmのオーバーラップ
の余裕あり)。
【0052】その後、磁性塗膜を乾燥することにより厚
み10μmの第2磁性層を形成した。この第2磁性層
は、第1磁性層の磁気記録Dに対応した磁性材料の疎密
パターンからなる固定情報D′を有するものであった。
これにより、第1磁性層と第2磁性層との積層体からな
る磁気記録層を基材上に形成した。
【0053】上記のように磁気記録層を形成した基材を
86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本
発明の磁気記録媒体を得た。
【0054】次いで、この磁気記録媒体の記録層にソレ
ノイドによる24000Gの直流磁界を第1磁性層の記
録方向に沿って一方向に印加して、第1磁性層の磁気記
録Dを消去するとともに、第2磁性層の磁性材料の疎密
パターンからなる固定情報D′部に着磁を行った。
【0055】このようにして作製した磁気記録媒体サン
プルを用いて、磁気トラックを再生ヘッドで再生した。
その結果、得られた再生出力は、同じ強度の直流磁界で
第2磁性層を配向処理した従来品と同等のレベルである
ことが確認できた。消費電力が少なく節電できる分、本
発明の製造方法は、経済的に優れることが確認できた。
【0056】[実験例2]上記実験例1において、第2
磁性層に対するパルス磁場配向の操作条件を変えた。す
なわち、基材の裏側からソレノイドで2000Gの一定
周期のパルス磁界を与えて磁場配向処理を行ない、第2
磁性層に磁性体の粗密パターンの固定情報を形成させ
た。なお、パルス磁界による磁場配向処理に際して、基
材の搬送速度Vsは、333.3mm/秒、パルスの周
波数Fは、1.5パルス/秒、ソレノイドによる有効磁
場幅Lは300mmのものを用いた。この場合、Vs/
Fの値は、約222mmとなり、有効磁場幅L=300
mmより小さいので、配向磁場は搬送される基材(第2
磁性層)に対して不足することなく十分に印加されてい
る(約78mmのオーバーラップの余裕あり)。
【0057】このような磁場配向操作以外は、上記実験
例1と同様にして、実験例2の磁気記録媒体サンプルを
作製した。このようにして作製した磁気記録サンプルを
用いて、磁気トラックを再生ヘッドで再生した。その結
果、得られた再生出力は、同じ強度の直流磁界で第2磁
性層を配向処理した従来品と同等のレベルであることが
確認できた。消費電力が少なく節電できる分、本発明の
製造方法は、経済的に優れることが確認できた。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、基材の
上に第1磁性層を形成するとともに、第1磁性層に所定
の磁気情報を記録するマスター層形成工程と、この第1
磁性層の上に直接あるいは中間層を介して第2磁性層を
塗設するとともに、第2磁性層が未乾燥状態にあるうち
に第2磁性層を磁場配向処理して第1磁性層の磁気情報
に応じた磁性微粉末の粗密パターンを形成する固定情報
形成工程と、を有する磁気記録媒体の製造方法であっ
て、前記第2磁性層の磁場配向処理が、パルス状の磁場
を用いることにより行われているので、偽造や改ざん等
の不正行為を防止できることはもとより、粗密パターン
の形成が確実かつ経済的にできるという極めて優れた効
果が発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す
概略断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の実施形態を示す概
略断面図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態の
一例を経時的に示す工程図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体 2…基材 3…記録層 31…第1磁性層 35…第2磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若松 伸明 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 山口 博之 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2C005 HA01 HB01 HB04 HB10 HB11 HB13 JA01 JB23 KA01 KA16 KA21 LA18 LB04 5D006 BA19 BA20 DA01 FA00 5D112 AA05 AA11 AA28 CC19 DD04 DD08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の上に第1磁性層を形成するととも
    に、第1磁性層に所定の磁気情報を記録するマスター層
    形成工程と、 この第1磁性層の上に直接あるいは中間層を介して第2
    磁性層を塗設するとともに、第2磁性層が未乾燥状態に
    あるうちに第2磁性層を磁場配向処理して第1磁性層の
    磁気情報に応じた磁性微粉末の粗密パターンを形成する
    固定情報形成工程と、を有する磁気記録媒体の製造方法
    であって、 前記第2磁性層の磁場配向処理が、パルス状の磁場を用
    いることにより行われることを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記磁場配向処理は、基材の搬送速度を
    Vs(mm/秒)、パルスの周波数をF(パルス/秒)、有
    効磁場幅をL(mm)とした場合、これら3要素の関係
    が、Vs/F<Lの関係を満たす条件で行われる請求項
    1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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