JPH09167530A - 酸化物多芯超電導導体およびその製造方法 - Google Patents

酸化物多芯超電導導体およびその製造方法

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JPH09167530A
JPH09167530A JP8268763A JP26876396A JPH09167530A JP H09167530 A JPH09167530 A JP H09167530A JP 8268763 A JP8268763 A JP 8268763A JP 26876396 A JP26876396 A JP 26876396A JP H09167530 A JPH09167530 A JP H09167530A
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秀樹 伊井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネット用導体等として好適な、全長に渡
り高い超電導特性が得られる酸化物多芯超電導導体を提
供する。 【解決手段】 酸化物超電導フィラメントの周りに金属
マトリックスK1を配した単芯線の集合体をさらに金属マ
トリックスK2で包囲した酸化物多芯超電導導体におい
て、前記酸化物多芯超電導導体の横断面における前記金
属マトリックスK1、K2の総面積Mと超電導フィラメント
の総面積Fとの比〔M/F〕が 1.0〜4.0 であり、前記
単芯線における金属マトリックスK1の面積mと超電導フ
ィラメントの面積fとの比〔m/f〕が 0.3〜0.9 とす
る。 【効果】 金属マトリックスと超電導フィラメントとの
面積比が適正に規制したので、フィラメントの形状が均
一に保たれ、全長に渡り高い超電導特性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネットやケー
ブル用導体として好適な、全長に渡り厚さが均一で高い
臨界電流密度が得られる長尺の酸化物多芯超電導導体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は、臨界温度Tcが液体
窒素温度を超える超電導体であり種々の分野への応用が
検討されている。この酸化物超電導体を線材に加工する
には、例えば、金属シース法(Powder In Tube法、PI
T法)が用いられている。この方法は図10 (イ)〜(ト) に
例示するように、超電導体となる原料粉体10を断面円形
の金属管11内に充填して複合体12[図10(イ)]とし、これ
を延伸加工して断面六角形の単芯複合素線13 [図10(ロ)]
とし、この単芯複合素線13の複数本を再び断面円形の金
属管31内に充填して多芯ビレット24 [図10(ハ)]とし、こ
の多芯ビレット24をスウェージング、引抜き、溝圧延等
の方法により減面加工して断面円形の丸線材25 [図10
(ニ)]とし、これを2段ロール圧延、一軸プレス等により
テープ状の多芯超電導素材26 [図10(ホ)]とし、これに熱
処理と延伸加工 [図10(ヘ)]とを繰返し施して酸化物多芯
超電導導体27 [図10(ト)]とする方法である。得られる酸
化物多芯超電導導体27は、図11に例示するように、金属
マトリックス18中に酸化物超電導体フィラメント19(以
下フィラメントと略記)が多数本埋込まれたものであ
る。このような酸化物多芯超電導導体27で臨界電流値I
cを増大させるには、酸化物超電導体の密度と結晶配向
性を向上させる必要があり、その為には酸化物多芯超電
導導体27は、その幅wと厚さtの比(w/t)が10を超
えるテープ状に加工されることが多い。
【0003】ところで、酸化物超電導体は、その厚さが
薄くなると結晶配向度が向上して臨界電流密度(Jc)
が増大する。また長尺テープを作製する場合、そのテー
プのIcは長手方向における最小値に規制される。従っ
てフィラメントの長さ方向に不均一変形部分や局所的に
でも欠陥が存在すると、全長のIcが低下する。即ち、
数百〜数千mの長さの導体の臨界電流密度は 10,000A/c
m2に満たない低いものとなり、長さ数cmの短尺材で得ら
れる通電容量に比べてかなり小さい値となる。従って、
酸化物多芯超電導導体の高Jc化は導体内のフィラメン
トを均一な厚さで薄くすることがポイントになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、断面円形の多
芯丸線材を1方向圧延または1軸プレスでテープ状に加
工すると、フィラメントの厚さが長手方向に不均一にな
ったり、図12に示すようにフィラメント19が波打つ形状
になったり、図13に示すようにフィラメント19がソーセ
ージングを起こしたりすることがある。そして、このよ
うにフィラメントが不均一変形した酸化物多芯超電導導
体27の臨界電流密度(Jc)は一般に低いものであっ
た。
【0005】そこで、本発明者等は、フィラメントが不
均一変形する原因について種々調査を行った。即ち、個
々のフィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕を変
化させた線材を2段ロール、溝ロール、4方ロール等で
圧延して平角形状やテープ形状に加工し、粉体フィラメ
ントの形状変化を調査した。その結果、粉体フィラメン
トは銀などのマトリックス金属に比べて、その圧縮変形
抵抗が大きいためマトリックス金属内に入り込む傾向が
あり、この傾向はフィラメント周りのマトリックス金属
の量が多い程大きくなることを見出した。そして、圧延
の際、大部分のフィラメントはテープの幅方向と平行な
方向に幅広がりを生じるので、この方向のマトリックス
量を少なくするとフィラメントの流れ込みを抑制できる
ことを見出した。
【0006】また、酸化物多芯超電導導体の組織を調べ
て、幅方向に隣接する単芯線a、a間に上下に位置する
単芯線b、bが介在しているもの(図14参照)はJcが
低下することを知見した。そしてこのように配列した箇
所が生じる原因は、図15(イ),(ロ) に示すように、圧延の
際に、線材が圧延ロールに周方向に回転しながら入り、
そのときフィラメントの位置が変化する為であることを
突き止めた。尚、図14に示す導体の断面は、図16に示す
ように多芯ビレット内の単芯複合素線が矢印の方向に
(六角素線の辺側を圧延面として)圧下される場合に生
じる。更に、フィラメントが不均一変形しない多芯ビレ
ットの形状、その減面加工法等を検討して、本発明を完
成させるに至った。本発明の目的は、マグネットやケー
ブル用導体として好適な、全長に渡り高い臨界電流密度
が得られる酸化物多芯超電導導体及びその製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
酸化物超電導フィラメントの周りに金属マトリックスK1
を配した単芯線の集合体をさらに金属マトリックスK2
包囲した酸化物多芯超電導導体において、前記酸化物多
芯超電導導体の横断面における前記金属マトリックス
K1、K2の総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの
比〔M/F〕が 1.0〜4.0 であり、前記単芯線における
金属マトリックスK1の面積mと超電導フィラメントの面
積fとの比〔m/f〕が 0.3〜0.9 であることを特徴と
する酸化物多芯超電導導体である。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の酸
化物多芯超電導導体の幅方向に隣接する単芯線同士が直
接接しており、これら幅方向に隣接する単芯線間が上下
に位置する単芯線により分離されていないことを特徴と
する酸化物多芯超電導導体である。ここで、酸化物多芯
超電導導体が、図17に示すように、複数のフィラメント
を含む芯線によって構成されている場合は、芯線を図17
中二点鎖線で示すようにフィラメントを1 本含む部分ご
とに分けて、それぞれの部分を単芯線とみなすものとす
る。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項2記載の酸
化物多芯超電導導体の厚さ方向に隣接する単芯線同士が
幅方向に 0.1α(但しαはフィラメント幅)以上ずれて
いることを特徴とする酸化物多芯超電導導体である。
【0010】請求項4記載の発明は、酸化物超電導体又
はその原料粉体を金属シースした単芯複合素線の複数本
を金属管内に充填して多芯ビレットとし、この多芯ビレ
ットを減面加工して多芯超電導素材とし、この多芯超電
導素材に熱処理と延伸加工を繰返し施す酸化物多芯超電
導導体の製造方法において、前記単芯複合素線を充填す
る金属管の横断面外形が長方形又は正方形であり、前記
多芯ビレットを平角状又はテープ状に減面加工すること
を特徴とする酸化物多芯超電導導体の製造方法である。
【0011】請求項5記載の発明は、横断面形状が長方
形又は正方形の単芯複合素線を金属管内に、厚さ方向に
隣接する層間で単芯複合素線同士が幅方向に 0.1w(但
しwは単芯複合素線幅)以上ずれるように積層して充填
することを特徴とする請求項4記載の酸化物多芯超電導
導体の製造方法である。ここで、酸化物多芯超電導導体
を製造するために用いる複合素線が、図18に示すよう
に、酸化物超電導体又は、その原料粉体を充填した部分
を複数箇所有するものである場合は、複合素線を図18中
二点鎖線で示すように前記充填部分1箇所含む部分ごと
に分けて、それぞれの部分を単芯複合素線とみなすもの
とする。
【0012】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、導体を構
成する単芯線のマトリックスとフィラメントの断面積比
等を規定することにより、加工の際のフィラメントのマ
トリックスへの流れ込みを抑制して、フィラメントの不
均一変形を防止した酸化物多芯超電導導体である。この
発明で、酸化物多芯超電導導体の横断面におけるマトリ
ックスの全断面積Mとフィラメントの全断面積Fの比
〔M/F〕を 1.0〜4.0 に規定する理由は、1.0未満で
はマトリックスの量が少なく線材に加工できなくなり、
4.0を超えるとフィラメントの量が少なく超電導電流を
十分な量流せなくなる為である。又単芯線の横断面にお
けるマトリックスの断面積mとフィラメントの断面積f
の比〔m/f〕を 0.3以上 0.9以下に規定する理由は、
0.3未満ではフィラメント同士が結合するようになって
多芯化の効果が十分に得られなくなり、又 0.9を超える
と加工時のフィラメントのマトリックスへの流れ込みが
増大してフィラメントの厚さが不均一になりJcが低下
する為である。
【0013】請求項2記載の酸化物多芯超電導導体は、
図1に示すように、酸化物多芯超電導導体17の幅方向に
隣接する単芯線1(a、a)同士が直接接しており、こ
れら幅方向に隣接する単芯線1(a、a)間が上下に位
置する単芯線1(b)により分離されていないもので、
このように単芯線が配列されたものは、Jc等の超電導
特性が比較的高い。尚、図で、K1は酸化物超電導体フィ
ラメント19周りの金属マトリックス、K2は単芯線の集合
体を包囲した金属マトリックスである。
【0014】しかし、図1に示した組織からなる導体
は、隣接するフィラメント同士が厚さ方向にも一直線に
配列されている。即ち、圧縮変形抵抗の大きいフィラメ
ントが圧縮応力方向に並んでおり、このように単芯線が
配列していると、圧延加工の際、フィラメントの粉体密
度が過大となり、フィラメントは長手方向にソーセージ
ングを起こし易い。特にフィラメント周りのマトリック
ス比〔m/f〕が 0.5以下と小さい場合は、この傾向が
強まる。
【0015】請求項3記載の酸化物多芯超電導導体は、
例えば、図2に示すように導体17の幅方向に隣接するフ
ィラメント19同士が線材の幅方向(圧延方向に対し直角
な方向)に一直線に配列され、導体の厚さ方向(圧延方
向)に隣接するフィラメント同士は幅方向に 0.1α(但
しαはフィラメント幅)以上ずれて配列されたものであ
る。このように単芯線を配列したものは、フィラメント
のソーセージングや厚さの変動が一層少なくなり、Jc
等の超電導特性が一段と向上する。尚、図2に示す導体
の断面は、例えば、図3に示すように、多芯ビレット14
内の単芯複合素線13が矢印の方向に(六角素線の角側を
圧延面として)圧下される場合に生じる。
【0016】請求項4記載の発明では、多芯ビレットの
断面形状が長方形又は正方形で、且つこの多芯ビレット
を平角状又はテープ状に減面加工するので、減面加工時
に多芯ビレットが周方向に回転することが防止される。
従って、フィラメントの不均一変形が抑制され、フィラ
メントの配置、形状、及び密度が、導体の長手方向全長
に渡って均一な酸化物多芯超電導導体が得られる。その
結果、酸化物多芯超電導導体は、長手方向での臨界電流
値のばらつきが無くなり、短尺材の通電容量がそのまま
長尺導体で実現されることになる。
【0017】多芯ビレットをテープ状に減面加工するに
は、CIP、HIP、押出、溝圧延、拘束圧延(4方圧
延等)、拘束プレス、スエージング、引抜き、伸線等の
多芯ビレットの4側面を拘束して、その横断面形状が平
行四辺形状から大きく逸脱しないように減面加工する任
意の加工法が好適に用いられる。多芯ビレットの断面外
形が長方形又は正方形の場合は、2段ロール圧延等を適
用することも可能である。 本発明において、多芯ビレ
ットの減面加工は、加工材の断面形状が長方形又は正方
形に維持されるように加工するのが最も好ましい。
【0018】減面加工後の多芯超電導素材中のフィラメ
ント(原料粉体等)の粉体密度が高いと、後に施す熱処
理と延伸加工により、高密度で異相の少ない酸化物超電
導体が生成する。又高臨界電流密度を得る為の最適熱処
理条件(温度、時間)は、フィラメントの厚さによって
変化する。従って、フィラメントの厚さが均一だと熱処
理条件の最適化が可能になり、得られる酸化物多芯超電
導導体の臨界電流密度の向上が可能となる。
【0019】金属管に充填する単芯複合素線の断面形状
は、金属管の形状によって制限されるものではなく、長
方形、正方形、正六角形、三角形、他の多角形、円形、
楕円形等任意である。しかし、断面正六角形、長方形、
又は正方形の単芯複合素線は、他の形状のものに比べ
て、減面加工時に、金属マトリックス中での単芯複合素
線同士の不規則な相対移動が起き難く、フィラメント形
状が確実に均一化する。又断面長方形又は正方形の単芯
複合素線は幅方向に隣接するもの同士が側面で互いに密
接し、その間に上下の単芯複合素線が入り込む余地を排
除できる点で望ましい。又種々形状の単芯複合素線を混
合して充填しても差し支えないが、混合したものの超電
導特性は、同一形状の単芯複合素線を充填したものと較
べて同等以下である。金属管に充填する単芯複合素線の
本数は特に制限しないが9〜5000本程度が好ましい。
酸化物超電導体には、ビスマス系、タリウム系、イット
リウム系等の任意の酸化物超電導体が使用できるが、中
でも、Bi2 Sr2 Ca2 Cu3x (以下Bi-2223
と記す)等のビスマス系酸化物超電導体は、臨界温度、
臨界電流密度が高く、又加工性に優れる為長尺体が得や
すい。金属パイプの材質には、熱・電気伝導性、加工性
に優れた銀、銀合金、銅、銅合金等が用いられる。中で
も酸素透過性や耐酸化性に優れた銀、銀合金が好適であ
る。
【0020】図4(イ) は本願発明で用いる多芯ビレット
の態様を示す横断面図である。断面正方形の金属管21内
に、断面正方形の単芯複合素線13が充填されている。前
記単芯複合素線13内の原料粉体10は断面円形に成形され
ている。ところで、図4(イ) に示したように単芯複合素
線13を、金属管21内に縦横両方向に等間隔に整列配置し
て充填したものは、フィラメント(原料粉体等)とマト
リックスが片寄った配置(フィラメントが分散していな
い)をとり、減面加工時の材料の流れが不均一となり易
く、得られる酸化物多芯超電導導体は特に長さ方向のフ
ィラメントの厚さが不均一な形態となり易い。この片寄
りは単芯複合素線の断面形状が円形状のもの程大きい。
図4(ロ) に示した多芯ビレット14は原料粉体10が断面正
方形以外は、図4(イ)と同じもの、図4(ハ) に示した多
芯ビレット14は単芯複合素線13と原料粉体10が断面長方
形以外は、図4(イ) と同じもの、図4(ニ) に示した多芯
ビレット14は金属管21、単芯複合素線13、原料粉体10が
いずれも断面長方形のものである。前記図4 (イ)〜(ニ)
に示した多芯ビレット14を用いることにより図1に示し
たように、幅方向に隣接する単芯線間が直接接している
断面構造の酸化物多芯超電導導体17を製造することがで
きる。
【0021】請求項5記載の発明は、前記欠点を是正す
るもので、横断面形状が長方形又は正方形の単芯複合素
線を金属管内に、厚さ方向に隣接する単芯複合素線同士
が幅方向に 0.1w(但しwは単芯複合素線幅)以上ずれ
るように積層して充填することを特徴とする請求項4記
載の酸化物多芯超電導導体の製造方法である。
【0022】図5(イ) は、断面正方形の金属管21内に、
断面正方形の単芯複合素線23を、厚さ方向に隣接する層
間で 0.5wの距離だけずらして充填したものの例であ
る。このように、単芯複合素線23をずらして積層するこ
とより、減面加工時に多芯ビレット全体が均一に変形
し、得られる酸化物多芯超電導導体のフィラメントの分
布(配置)が良好となり超電導特性がより向上する。前
記の単芯複合素線の配置位置のずれの大きさは、単芯複
合素線の幅wの 0.1倍未満ではその効果が十分に得られ
ず、 0.1倍以上にするのが好ましい。図5(ロ) は、断面
長方形の金属管21内に、断面長方形の単芯複合素線23
を、厚さ方向に隣接する層間で 0.5wの距離だけずらし
て充填したものの例である。図6は、幅が異なる2種の
単芯複合素線23,33 を交互に積層することにより、厚さ
方向に隣接する層間の単芯複合素線23,33 同士が、幅方
向にずれるようにしたものである。図5(イ),(ロ) 、図6
に示した構造の多芯ビレット14を用いることにより図2
に示したようなフィラメント配置の断面構造の酸化物多
芯超電導導体17を製造することができる。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。 (実施例1)六角素線を用い、多芯丸線を圧延してテー
プ化する通常のPIT法により、本発明の請求項1を満
足する銀マトリックス超電導テープを製造した。即ち、
Bi2 3 、PbO、SrCO3 、CaCO3 、CuO
の粉末をBi、Pb、Sr、Ca、Cuのモル比が 1.
8:0.4:2:2:3となるように配合し混合して、これを大気
中 800℃で 100時間焼成して粉砕し、粒径 1〜8 μmの
粉末を選別し、選別した原料粉体を外径25mm、内径15mm
の断面円形の銀管内に充填して複合体を作製し、この複
合体をスエージングと引抜加工により対辺長 2.3mmの断
面正六角形の単芯複合素線に加工した。引抜加工の際に
皮剥ぎして銀比を調整し、フィラメント周りのマトリッ
クス比〔m/f〕が 0.3、 0.5、 0.7、 0.9の4種類の
単芯複合素線を作製した。次に、前記単芯複合素線を定
尺に切断し、各々55本ずつを外径25mm、内径19mmの断面
円形の銀管内に充填して多芯ビレットとした。次いで各
多芯ビレットをスエージングと引抜加工により 1.5mmφ
の多芯丸線材にした。引抜加工の際に皮剥ぎして総マト
リックス比〔M/F〕を 1.0〜4.0 に調整した。次いで
前記多芯丸線材を六角単芯複合素線の角側が圧延面にな
るように(図3参照)、又は辺側が圧延面になるように
(図16参照) 保ちつつ、2段ロール圧延して断面寸法が
0.25mm×3.2mm のテープに加工し、次いで 835℃/50時
間の熱処理、2段ロール圧延(上がり断面寸法0.20mm×
3.4mm)、 835℃/200時間の熱処理を順に施して酸化物多
芯超電導導体を製造した。
【0024】(比較例1)フィラメント周りのマトリッ
クス比〔m/f〕を 1.0または 1.5とした他は、実施例
1と同じ方法により酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0025】(比較例2)総マトリックス比〔M/F〕
を 0.8または 5.0とした他は、実施例1と同じ方法によ
り酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0026】各酸化物多芯超電導導体について、フィラ
メント厚さの変動(標準偏差/平均値)およびJcを調
べた。フィラメント厚さの変動は、導体の横断面のフィ
ラメントの厚さを 100点測定し、その標準偏差をその平
均値で除して求めた。数値が大きいほど厚さのばらつき
が大きいことを示す。結果を表1、2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1、2より明らかなように、本発明例の
No.1〜16は、フィラメント厚さの変動が小さく、またJ
cが高い値を示した。No.15〜16は幅方向に隣接する単
芯線間が上下に位置する単芯線により分離されている為
フィラメント厚さの変動が若干大きくなり、それにつれ
Jcも幾分低下した。尚、テープ寸法、フィラメント数
が同じ場合、総マトリックス比が大きいほど平均フィラ
メント厚さは小さくなり、Jcが高くなっている。これ
に対し、比較例のNo.17,18は全体のマトリックス比〔M
/F〕が 1.0未満のためフィラメントが結合して多芯化
効果が薄れ、Jcが低下した。 No.19〜24はフィラメン
ト周りのマトリックス比〔m/f〕が 0.9を超えている
為、加工時にフィラメントのマトリックスへの流れ込み
が起き、フィラメント厚さの変動が大きくなりJcが低
下した。 No.25〜28は総マトリックス比〔M/F〕が大
き過ぎて超電導電流が減少した。
【0030】(実施例2)複合体をスエージングと引抜
加工により一辺 1.6mmの正方形とし、その64本を図7
(イ) に示すように、外径25mmφの、中央部分に一辺14mm
の正四角形の穴2の開いた金属管(銀管)11に充填して
多芯ビレット14とし、1.5 mmφの多芯丸線材25からの圧
延方向を図7(ロ) に示す矢印の方向とした他は、実施例
1と同じ方法により厚さ0.2mm,幅 3.4mm、総マトリック
ス比〔M/F〕3.0 、フィラメント周りのマトリックス
比〔m/f〕 0.5の酸化物多芯超電導導体を製造した。
このものは、厚さ変動が18%で、Jcが25KA/cm2の良好
な特性を示した。
【0031】(実施例3)実施例1のNo.8で用いたのと
同じ複合体をスエージングと引抜加工により対辺長が
1.9mmの断面正方形の素線とし、これを定尺に切断した6
4本を対辺長20mm、肉厚 2mmの断面正方形の銀管に充填
して多芯ビレットとし、次いで2000(kg/cm2)の圧力でC
IP処理した後、線材全側面を拘束する4方ロール圧延
により、対辺長 1.5mmの断面正方形の角線材とした。次
に、この角線材に2段ロールによる圧延を繰返し施し
て、断面寸法0.25mm×3.0mm のテープとした。このテー
プに実施例1と同じ条件で、超電導体生成処理を施し
て、図1又は2に示す、断面寸法0.20mm×3.2mm の超電
導テープとした。尚、前記多芯ビレットでは、厚さ方向
に隣接する断面正方形素線同士を幅方向にずらせた。結
果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表3より明らかなように、厚さ方向に隣接
する断面正方形素線同士を幅方向に0.1α以上ずれたも
の(No.29,30) はフィラメント厚さの変動が小さく、J
cも高い値を示した。この実施例では、断面正方形の単
芯複合素線を断面正方形に集合させた多芯ビレットを4
方ロール圧延して断面角形の多芯超電導素材としこれを
2段ロール圧延したものなので単芯線がずれていないも
の(No.32)でも、断面六角形の単芯複合素線を断面円形
に集合させた多芯ビレットをスエージャー、引抜加工し
て断面円形の多芯超電導素材とし、これを2段ロール圧
延した実施例1のもの(No.8)に較べて、フィラメント厚
さの変動が少なく、Jcも高い値を示している。
【0034】(実施例4)実施例1において、 1.5mmφ
線材の皮剥ぎ後の加工を、4方ロール圧延(圧延後の断
面寸法0.25mm×1.0mm)、熱処理、4方ロール圧延 (圧延
後の断面寸法0.20mm×1.0mm)を順に施して行った他は、
実施例1と同じ方法により酸化物多芯超電導導体を製造
した。
【0035】(比較例3)実施例4において、マトリッ
クス比〔M/F〕、〔m/f〕を本発明条件外とした他
は、実施例3と同じ方法により、酸化物多芯超電導導体
を製造した。
【0036】得られた各々の酸化物多芯超電導導体につ
いて、フィラメント厚さの変動(標準偏差/平均値)お
よびJcを調べた。結果を表4、5に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】表4、5より明らかなように、Jcの絶対
値は低めだが、マトリックス配分とJcの関係はテープ
の結果とほぼ同様であった。
【0040】(実施例5)断面長方形(2.5mm×3.8mm)の
単芯複合素線を用い、これを定尺に切断した48本または
42本を外側寸法が20mm×35mm、肉厚2mm の中空断面長方
形の銀管に充填して多芯ビレットとし(図4(ニ),図5
(ロ) 参照)、このビレットを2000(kg/cm2)の圧力でCI
P処理した後、全側面を拘束する4方ロール圧延により
0.45mm厚×1.0mm 幅の断面長方形の平角線材とした以外
は、実施例3と同じ方法により0.40mm厚×1.0mm 幅の酸
化物多芯超電導導体を製造した。尚、前記多芯ビレット
では厚さ方向に隣接する断面長方形素線同士を幅方向に
ずらせた。結果を表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】実施例3の場合と同様に、厚さ方向に隣接
する断面長方形素線同士を幅方向に0.5αずれたもの(N
o.59)はフィラメント厚さの変動が小さく、Jcも高い
値を示した。
【0043】以上、原料粉体又は単芯複合素線を充填す
る管材に純銀を用いた例について説明したが、本発明は
Ag−0.2wt%Mg合金等、導電性、加工性等に優れた他
の金属材料を用いた場合にも同様の効果が得られるもの
である。
【0044】(実施例6)図8 (イ)〜(ト) に示す工程に
従ってBi-2223 酸化物多芯超電導導体を製造した。先
ず、Bi2 3 、PbO、SrCO3 、CaCO3 、C
uOの粉末をモル比で 1.8:0.4:2:2:3となるように配合
し混合して、これを大気中 800℃で 100時間焼成して粉
砕し、粒径 1〜8 μmの粉末を選別し、この選別した原
料粉体10を外径25mm、内径18mmの断面円形の銀管11内に
充填して複合体12を作製し [図8(イ)]、この複合体12を
スウェージング加工と引抜加工により対辺長 1.9mmの断
面正方形の単芯複合素線13に加工した [図8(ロ)]。次に
この単芯複合素線13を定尺に切断した64本を対辺長20m
m、肉厚2mmの断面中空正方形の銀管21に充填し多芯ビ
レット14とした [図8(ハ)]。次にこの多芯ビレット14を
2,000(kg/cm2)の圧力でCIP(冷間静水圧成形)処理
した後、4側面を拘束する菱形圧延法により、対辺長
1.5mmの断面正方形の角線材15とした [図8(ニ)]。次に
これに2段ロール圧延を繰返し施して厚さ0.25mm×幅
3.5mmのテープ状の多芯超電導素材16を作製した [図8
(ホ)]。前記角線材15は、圧延時に周方向に回転するよう
なことはなかった。次に前記多芯超電導素材16を、大気
中 840℃×50時間の熱処理(中間熱処理)後、2段ロー
ル圧延により厚さ0.20mm・幅 3.7mmに加工し、再度大気
中で 840℃・50時間の熱処理(最終熱処理)を施して
[図8(ヘ)]、テープ状のBi-2223 酸化物多芯超電導導
体17を製造した [図8(ト)]。
【0045】(実施例7)実施例6で作製した複合体12
をスウェージング、伸線などにより加工して厚さ1mm、
幅3mmの断面長方形の単芯複合素線13に加工した。次に
この単芯複合素線13を定尺で切断した64本を、縦14mm、
横 30mm 、肉厚2mm の断面中空長方形の銀管に縦8本×
横8本充填して多芯ビレット14とした。次にこれを 2,0
00kg/cm2の圧力でCIP処理した後、ロール駆動型のタ
ークスヘッドロールで厚さ方向と幅方向に交互圧延し
て、縦1mm、横2mmの平角線材とした。この平角線材に
2段ロール圧延を繰返し施して、厚さ0.25mm×幅 5.5mm
の多芯超電導素材を作製した。次に、この多芯超電導素
材を、大気中 840℃・50時間の熱処理後、2段ロール圧
延により厚さ0.20mm×幅 5.7mmに加工し、再度大気中で
840 ℃・50時間熱処理してテープ状のBi-2223 酸化物
多芯超電導導体を製造した。
【0046】(実施例8)実施例6で作製した複合体12
をスウェージングと伸線加工により対辺長 2.1mmの断面
正六角形の単芯複合素線13に加工した。その他は、実施
例6と同じ方法によりテープ状のBi-2223 酸化物多芯
超電導導体を製造した。
【0047】(比較例4)実施例6で作製した複合体を
スウェージングと伸線加工により対辺長 2.1mmの断面正
六角形の単芯複合素線に加工した。次に、この単芯複合
素線を定尺で切断した61本を外径25mm、内径20mmの断面
中空円形の銀管に充填して多芯ビレットを作製した。次
にこの多芯ビレットを 2,000kg/cm2の圧力でCIP処理
した後、スウェージングと伸線加工により 1.5mmφの丸
線とし、次いでこの丸線に2段ロール圧延を繰返し施し
て厚さ0.25mm×幅 3.5mmのテープ状の多芯超電導素材を
作製した。次に、この多芯超電導素材を、大気中 840℃
・50時間の熱処理後、2段ロール圧延により厚さ0.20mm
×幅 3.7mmに加工し、再度大気中で840 ℃・50時間の熱
処理を施してテープ状のBi-2223 酸化物多芯超電導導
体を製造した。
【0048】得られた各々の酸化物多芯超電導導体につ
いて、自己磁界中での77Kにおける臨界電流密度(J
c)を、電圧端子間隔を1mにとって4端子法により測
定した。又この導体の横断面内のフィラメント厚さの変
動[(標準偏差/平均値) ×100](%) を調べた。又多芯超
電導素材の原料粉体(フィラメント)の相対密度(6.5g/
cm3 を100%とした場合)を測定した。結果を表7に示
す。
【0049】
【表7】
【0050】表7より明らかなように、本発明例の実施
例6〜8の No.61〜63は、Jcが高かった。これは、多
芯ビレットが周方向に回転したりせずに減面加工され、
その結果フィラメントが全長に渡り均一な形状となり、
又その密度が高くなった為である。又単芯複合素線が正
方形又は長方形の方がより良い結果が得られた。これに
対し、比較例のNo.64 はJcが低かった。これは多芯ビ
レットの断面形状が円形の為、減面加工中に多芯ビレッ
トが周方向に回転しながら加工された為、フィラメント
が部分的に異常変形し、又その密度が低下した為であ
る。
【0051】(実施例9)実施例6で作製した複合体12
をスウェージングと伸線加工により対辺長 1.9mmの断面
正方形の単芯複合素線13に加工した。次にこの単芯複合
素線13を定尺で切断した64本を、対辺長20mm、肉厚2mm
の正方形銀管に充填し多芯ビレットとした。次にこれを
2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、4側面を拘束
する菱形圧延法により、対辺長 1.5mmの断面正方形の多
芯超電導素材を作製した。次にこの多芯超電導素材を、
大気中 840℃・50時間の熱処理後、伸線加工により対辺
長1.35mmの角線とし、再度大気中で 840℃・50時間の熱
処理を施して角状のBi-2223 酸化物多芯超電導導体を
製造した。
【0052】(実施例10)実施例6で作製した複合体12
をスウェージング、伸線などにより加工して厚さ1.2mm
、幅3mmの断面長方形の単芯複合素線13に加工した。
次にこの単芯複合素線13を定尺で切断した64本を、縦14
mm、横30mm、肉厚2mmの長方形銀管に縦8本×横8本充
填して多芯ビレットとした。次にこの多芯ビレットを
2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、ロール駆動型
のタークスヘッドロールで厚さ方向と幅方向に交互圧延
して、厚さ0.25mm×幅4.0mmのテープ状の多芯超電導素
材を作製した。次にこの多芯超電導素材を、大気中 840
℃・50時間の熱処理後、ロール駆動型のタークスヘッド
ロールで、厚さ0.20mm×幅 4.0mmに加工し、再度大気中
で 840℃・50時間の熱処理を施して、平角状のBi-222
3 酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0053】(比較例5)実施例6で作製した複合体を
スウェージングと伸線加工により、対辺長 2.1mmの断面
正六角形の単芯複合素線に加工した。次にこの単芯複合
素線13を定尺で切断した61本を外径25mm、内径20mmの断
面円形の銀管に充填して多芯ビレットを作製した。次に
この多芯ビレットを2,000kg/cm2 の圧力でCIP処理し
た後、スウェージングと伸線加工により 1.8mmφの丸線
とし、これを更に伸線加工して対辺長 1.5mmの角状の多
芯超電導素材を作製した。次にこの多芯超電導素材を、
大気中 840℃・50時間の熱処理後、伸線加工して対辺長
1.35mmの角線とし、再度大気中 840℃・50時間の熱処理
を施して角状のBi-2223 酸化物多芯超電導導体を製造
した。
【0054】(比較例6)実施例6で作製した複合体を
スウェージングと伸線加工により対辺長 2.1mmの断面正
六角形の単芯複合素線に加工した。次にこの単芯複合素
線を定尺で切断した61本を外径25mm、内径20mmの断面円
形の銀管に充填して多芯ビレットとした。これを2,000k
g/cm2 でCIP処理した後、スウェージングと伸線加工
により 1.8mmφの丸線とし、ロール駆動型のタークスヘ
ッドロールにより厚さ方向と巾方向に交互圧延して、厚
さ0.25mm×幅 4.0mmのテープ状の多芯超電導素材とし
た。次にこの多芯超電導素材を、大気中 840℃・50時間
の熱処理後、ロール駆動型のタークスヘッドロールで、
厚さ0.20mm×幅 4.0mmに加工し、再度大気中で840℃・5
0時間熱処理して角状のBi-2223 酸化物多芯超電導導
体を製造した。
【0055】得られた各々の酸化物多芯超電導導体につ
いて、自己磁界中での77Kにおける臨界電流密度(J
c)を、電圧端子間隔を1mにとって4端子法により測
定した。又この導体の横断面内のフィラメント厚さの変
動〔(標準偏差/平均値)×100〕を調べた。又多芯超
電導素材の原料粉体(フィラメント)の相対密度を測定
した。結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
【0057】表8より明らかなように、本発明例のNo.6
5,66は、Jcが高かった。これは、多芯ビレットが長さ
方向で回転せずに減面加工され、その結果フィラメント
が異常変形したりせず、又フィラメントの密度が高くな
った為である。これに対し、比較例のNo.67,68はJcが
低かった。これは多芯ビレットの断面形状が円形の為、
減面加工中に多芯ビレットが周方向に回転して加工され
た為、フィラメントが異常変形し、又その密度が低下し
た為である。
【0058】(実施例11)実施例6において、金属管内
に単芯複合素線13を、隣接する層の単芯複合素線13同士
がずれた配置となるように充填した他は、実施例6と同
じ方法によりBi-2223 酸化物多芯超電導テープを製造
した。尚、多芯ビレット24の隙間には銀の棒材を挿入し
た。得られた酸化物多芯超電導導体について実施例6と
同じ方法によりJc及びフィラメント厚さの変動を調べ
た。結果を表9に示す。
【0059】
【表9】
【0060】表9より明らかなように、単芯複合素線の
位置をずらして充填したもの(No.70〜73) は、ずらさな
かったもの(No.69) に較べて、いずれもJcが向上し
た。これはフィラメントがより均一に分布した為であ
る。中でも0.10w以上ずらしたもの (No.71 〜73) はJ
cが著しく向上した。
【0061】実施例6(No.61) 、実施例11(No.73) 、又
は比較例4(No.64) にて得られた厚さ 0.2mm、幅 3.7mm
のテープ状酸化物多芯超電導導体について、臨界電流密
度を電圧タップ間隔を種々に変えて測定した。結果を図
9に示す。図9より明らかなように、本発明例の実施例
6(No.61) と実施例11(No.73) は、電圧タップ間隔に無
関係に高い臨界電流密度が得られた。このことは、フィ
ラメントの形状及び密度が全長に渡り均一なことを実証
するものである。これに対し、比較例4(No.64) の臨界
電流密度は、電圧タップ間隔が長くなると大きく低下し
ている。これはフィラメントの形状や密度が長手方向に
不均一であることを物語るものである。
【0062】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の酸化物多
芯超電導導体は、その横断面における金属マトリックス
の総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの比〔M
/F〕および超電導フィラメント周りの金属マトリック
ス比〔m/f〕を適正に規定したので、線材の加工時に
超電導フィラメントの流れ込み等が少なく、超電導フィ
ラメントの形状が均一に保たれ、全長に渡り高い超電導
特性が得られる。又断面外形が長方形又は正方形の多芯
ビレットを、平角状又はテープ状に減面加工することに
より、多芯ビレットが周方向に回転して加工されるよう
なことがなくなり、得られる酸化物多芯超電導導体は、
フィラメントが全長に渡って形状均一で高密度なものと
なり、超電導特性に優れた長尺の酸化物多芯超電導導体
が得られる。又金属管に、断面長方形又は正方形の単芯
複合素線を層状に積層し、且つ隣接する層間の単芯複合
素線同士を 0.1w(但しwは素線幅)以上ずらして積層
すると、得られる酸化物多芯超電導導体はフィラメント
が均一に分布し、フィラメント形状の均一性が更に高い
ものとなり、超電導特性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物多芯超電導導体の実施の形態を
示す横断面組織図である。
【図2】本発明の酸化物多芯超電導導体の他の実施の形
態を示す横断面組織図である。
【図3】多芯ビレット内の単芯複合素線の圧下方向の説
明図である。
【図4】図の (イ)〜(ニ) は本発明にて用いる多芯ビレッ
トの第1〜4の例を示すそれぞれ横断面図である。
【図5】図の(イ),(ロ) は本発明にて用いる多芯ビレット
の第5、6の例を示すそれぞれ横断面図である。
【図6】本発明にて用いる多芯ビレットの第7の例を示
す横断面図である。
【図7】本発明にて用いる多芯ビレットの第8の例を示
す斜視図(イ) 、及び圧下方向の説明図(ロ) である。
【図8】本発明の酸化物多芯超電導導体の製造方法の実
施例を示す工程説明図である。
【図9】本発明により得られた酸化物多芯超電導導体の
電圧タップ間隔と臨界電流密度との関係図である。
【図10】従来の酸化物多芯超電導導体の製造方法の工程
説明図である。
【図11】テープ状の酸化物多芯超電導導体の横断面斜視
図である。
【図12】フィラメントの形状を示す説明図である。
【図13】フィラメントの形状を示す説明図である。
【図14】酸化物多芯超電導導体のフィラメントの形状を
示す横断面説明図である。
【図15】多芯ビレットが周方向に回転して圧延されたと
きのフィラメントの異常変形の説明図である。
【図16】多芯ビレット内の単芯複合素線の圧下方向の説
明図である。
【図17】図の(イ),(ロ) は単芯線の例を示すそれぞれ横断
面説明図である。
【図18】図の(イ),(ロ) は単芯複合素線の例を示すそれぞ
れ横断面図である。
【符号の説明】
1 単芯線 2 穴 K1 酸化物超電導フィラメント周りの金属マトリ
ックス K2 単芯線の集合体を包囲した金属マトリックス 10 原料粉体 11,21,31 金属管 12 複合体 13,23,33 単芯複合素線 14,24 多芯ビレット 15 角線材 25 丸線材 16,26 多芯超電導素材 17,27 酸化物多芯超電導導体 18 金属マトリックス 19 酸化物超電導体フィラメント

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導フィラメントの周りに金属
    マトリックスK1を配した単芯線の集合体をさらに金属マ
    トリックスK2で包囲した酸化物多芯超電導導体におい
    て、前記酸化物多芯超電導導体の横断面における前記金
    属マトリックスK1、K2の総面積Mと超電導フィラメント
    の総面積Fとの比〔M/F〕が 1.0〜4.0 であり、前記
    単芯線における金属マトリックスK1の面積mと超電導フ
    ィラメントの面積fとの比〔m/f〕が 0.3〜0.9 であ
    ることを特徴とする酸化物多芯超電導導体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸化物多芯超電導導体の
    幅方向に隣接する単芯線同士が直接接しており、これら
    幅方向に隣接する単芯線間が上下に位置する単芯線によ
    り分離されていないことを特徴とする酸化物多芯超電導
    導体。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の酸化物多芯超電導導体の
    厚さ方向に隣接する単芯線同士が幅方向に 0.1α(但し
    αはフィラメント幅)以上ずれていることを特徴とする
    酸化物多芯超電導導体。
  4. 【請求項4】 酸化物超電導体又はその原料粉体を金属
    シースした単芯複合素線の複数本を金属管内に充填して
    多芯ビレットとし、この多芯ビレットを減面加工して多
    芯超電導素材とし、この多芯超電導素材に熱処理と延伸
    加工を繰返し施す酸化物多芯超電導導体の製造方法にお
    いて、前記単芯複合素線を充填する金属管の横断面外形
    が長方形又は正方形であり、前記多芯ビレットを平角状
    又はテープ状に減面加工することを特徴とする酸化物多
    芯超電導導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 横断面形状が長方形又は正方形の単芯複
    合素線を金属管内に、厚さ方向に隣接する層間で単芯複
    合素線同士が幅方向に 0.1w(但しwは単芯複合素線
    幅)以上ずれるように積層して充填することを特徴とす
    る請求項4記載の酸化物多芯超電導導体の製造方法。
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