JP3813260B2 - 酸化物多芯超電導導体およびその製造方法 - Google Patents

酸化物多芯超電導導体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネットやケーブル用導体として好適な、全長に渡り厚さが均一で高い臨界電流密度が得られる長尺の酸化物多芯超電導導体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物超電導体は、臨界温度Tcが液体窒素温度を超える超電導体であり種々の分野への応用が検討されている。この酸化物超電導体を線材に加工するには、例えば、金属シース法(Powder In Tube法、PIT法)が用いられている。この方法は図10(イ)〜(ト)に例示するように、超電導体となる原料粉体10を断面円形の金属管11内に充填して複合体12[図10(イ)]とし、これを延伸加工して断面六角形の単芯複合素線13[図10(ロ)]とし、この単芯複合素線13の複数本を再び断面円形の金属管31内に充填して多芯ビレット24[図10(ハ)]とし、この多芯ビレット24をスウェージング、引抜き、溝圧延等の方法により減面加工して断面円形の丸線材25[図10(ニ)]とし、これを2段ロール圧延、一軸プレス等によりテープ状の多芯超電導素材26[図10(ホ)]とし、これに熱処理と延伸加工[図10(ヘ)]とを繰返し施して酸化物多芯超電導導体27[図10(ト)]とする方法である。得られる酸化物多芯超電導導体27は、図11に例示するように、金属マトリックス18中に酸化物超電導体フィラメント19(以下フィラメントと略記)が多数本埋込まれたものである。このような酸化物多芯超電導導体27で臨界電流値Icを増大させるには、酸化物超電導体の密度と結晶配向性を向上させる必要があり、その為には酸化物多芯超電導導体27は、その幅wと厚さtの比(w/t)が10を超えるテープ状に加工されることが多い。
【0003】
ところで、酸化物超電導体は、その厚さが薄くなると結晶配向度が向上して臨界電流密度(Jc)が増大する。また長尺テープを作製する場合、そのテープのIcは長手方向における最小値に規制される。従ってフィラメントの長さ方向に不均一変形部分や局所的にでも欠陥が存在すると、全長のIcが低下する。即ち、数百〜数千mの長さの導体の臨界電流密度は10,000A/cm2に満たない低いものとなり、長さ数cmの短尺材で得られる通電容量に比べてかなり小さい値となる。従って、酸化物多芯超電導導体の高Jc化は導体内のフィラメントを均一な厚さで薄くすることがポイントになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、断面円形の多芯丸線材を1方向圧延または1軸プレスでテープ状に加工すると、フィラメントの厚さが長手方向に不均一になったり、図12に示すようにフィラメント19が波打つ形状になったり、図13に示すようにフィラメント19がソーセージングを起こしたりすることがある。そして、このようにフィラメントが不均一変形した酸化物多芯超電導導体27の臨界電流密度(Jc)は一般に低いものであった。
【0005】
そこで、本発明者等は、フィラメントが不均一変形する原因について種々調査を行った。即ち、個々のフィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕を変化させた線材を2段ロール、溝ロール、4方ロール等で圧延して平角形状やテープ形状に加工し、粉体フィラメントの形状変化を調査した。その結果、粉体フィラメントは銀などのマトリックス金属に比べて、その圧縮変形抵抗が大きいためマトリックス金属内に入り込む傾向があり、この傾向はフィラメント周りのマトリックス金属の量が多い程大きくなることを見出した。そして、圧延の際、大部分のフィラメントはテープの幅方向と平行な方向に幅広がりを生じるので、この方向のマトリックス量を少なくするとフィラメントの流れ込みを抑制できることを見出した。
【0006】
また、酸化物多芯超電導導体の組織を調べて、幅方向に隣接する単芯線a、a間に上下に位置する単芯線b、bが介在しているもの(図14参照)はJcが低下することを知見した。そしてこのように配列した箇所が生じる原因は、図15(イ)、(ロ)に示すように、圧延の際に、線材が圧延ロールに周方向に回転しながら入り、そのときフィラメントの位置が変化する為であることを突き止めた。尚、図14に示す導体の断面は、図16に示すように多芯ビレット内の単芯複合素線が矢印の方向に(六角素線の辺側を圧延面として)圧下される場合に生じる。更に、フィラメントが不均一変形しない多芯ビレットの形状、その減面加工法等を検討して、本発明を完成させるに至った。本発明の目的は、マグネットやケーブル用導体として好適な、全長に渡り高い臨界電流密度が得られる酸化物多芯超電導導体及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、BiSrCaCu(以下Bi−2223と記す)酸化物超電導フィラメントの周りに金属マトリックスKを配した単芯線の集合体をさらに金属マトリックスKで包囲したBi−2223酸化物多芯超電導導体において、前記Bi−2223酸化物多芯超電導導体の横断面における前記金属マトリックスK、Kの総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの比〔M/F〕が1.0〜4.0であり、前記単芯線における金属マトリックスKの面積mと超電導フィラメントの面積fとの比〔m/f〕が0.3〜0.9であることを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のBi−2223酸化物多芯超電導導体の幅方向に隣接する単芯線同士が直接接しており、これら幅方向に隣接する単芯線間が上下に位置する単芯線により分離されていないことを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体である。ここで、酸化物多芯超電導導体が、図17に示すように、複数のフィラメントを含む芯線によって構成されている場合は、芯線を図17中二点鎖線で示すようにフィラメントを1本含む部分ごとに分けて、それぞれの部分を単芯線とみなすものとする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のBi−2223酸化物多芯超電導導体の厚さ方向に隣接する単芯線同士が幅方向に0.1α(但しαはフィラメント幅)以上ずれていることを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体である。
【0010】
請求項4記載の発明は、Bi−2223酸化物超電導体又はその原料粉体を所定寸法の金属管A内に充填した複合体を単芯複合素線に加工し、この単芯複合素線の複数本を所定寸法の金属管B内に充填して多芯ビレットとし、この多芯ビレットを減面加工して多芯超電導素材とし、この多芯超電導素材に熱処理と延伸加工を繰返し施すBi−2223酸化物多芯超電導導体の製造方法であって、前記金属管Aの断面積を、前記単芯複合素線の横断面における金属マトリックスの面積mと超電導フィラメントの面積fの比[m/f]が0.3〜0.9になるように調整し、前記金属管Bの断面積を、前記Bi−2223酸化物多芯超電導導体の横断面における前記金属マトリックスの総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの比〔M/F〕が1.0〜4.0になるように調整し、前記単芯複合素線を充填する金属管の横断面外形が長方形又は正方形であり、前記多芯ビレットを平角状又はテープ状に減面加工することを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体の製造方法である。
【0011】
請求項5記載の発明は、横断面形状が長方形又は正方形の単芯複合素線を金属管内に、厚さ方向に隣接する層間で単芯複合素線同士が幅方向に0.1w(但しwは単芯複合素線幅)以上ずれるように積層して充填することを特徴とする請求項4記載のBi−2223酸化物多芯超電導導体の製造方法である。ここで、酸化物多芯超電導導体を製造するために用いる複合素線が、図18に示すように、酸化物超電導体又は、その原料粉体を充填した部分を複数箇所有するものである場合は、複合素線を図18中二点鎖線で示すように前記充填部分1箇所含む部分ごとに分けて、それぞれの部分を単芯複合素線とみなすものとする。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、導体を構成する単芯線のマトリックスとフィラメントの断面積比等を規定することにより、加工の際のフィラメントのマトリックスへの流れ込みを抑制して、フィラメントの不均一変形を防止した酸化物多芯超電導導体である。この発明で、酸化物多芯超電導導体の横断面におけるマトリックスの全断面積Mとフィラメントの全断面積Fの比〔M/F〕を1.0〜4.0に規定する理由は、1.0未満ではマトリックスの量が少なく線材に加工できなくなり、4.0を超えるとフィラメントの量が少なく超電導電流を十分な量流せなくなる為である。又単芯線の横断面におけるマトリックスの断面積mとフィラメントの断面積fの比〔m/f〕を0.3以上0.9以下に規定する理由は、0.3未満ではフィラメント同士が結合するようになって多芯化の効果が十分に得られなくなり、又0.9を超えると加工時のフィラメントのマトリックスへの流れ込みが増大してフィラメントの厚さが不均一になりJcが低下する為である。
【0013】
請求項2記載の酸化物多芯超電導導体は、図1に示すように、酸化物多芯超電導導体17の幅方向に隣接する単芯線1(a、a)同士が直接接しており、これら幅方向に隣接する単芯線1(a、a)間が上下に位置する単芯線1(b)により分離されていないもので、このように単芯線が配列されたものは、Jc等の超電導特性が比較的高い。尚、図で、Kは酸化物超電導体フィラメント19周りの金属マトリックス、Kは単芯線の集合体を包囲した金属マトリックスである。
【0014】
しかし、図1に示した組織からなる導体は、隣接するフィラメント同士が厚さ方向にも一直線に配列されている。即ち、圧縮変形抵抗の大きいフィラメントが圧縮応力方向に並んでおり、このように単芯線が配列していると、圧延加工の際、フィラメントの粉体密度が過大となり、フィラメントは長手方向にソーセージングを起こし易い。特にフィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕が0.5以下と小さい場合は、この傾向が強まる。
【0015】
請求項3記載の酸化物多芯超電導導体は、例えば、図2に示すように導体17の幅方向に隣接するフィラメント19同士が線材の幅方向(圧延方向に対し直角な方向)に一直線に配列され、導体の厚さ方向(圧延方向)に隣接するフィラメント同士は幅方向に0.1α(但しαはフィラメント幅)以上ずれて配列されたものである。このように単芯線を配列したものは、フィラメントのソーセージングや厚さの変動が一層少なくなり、Jc等の超電導特性が一段と向上する。尚、図2に示す導体の断面は、例えば、図3に示すように、多芯ビレット14内の単芯複合素線13が矢印の方向に(六角素線の角側を圧延面として)圧下される場合に生じる。
【0016】
請求項4記載の発明では、多芯ビレットの断面形状が長方形又は正方形で、且つこの多芯ビレットを平角状又はテープ状に減面加工するので、減面加工時に多芯ビレットが周方向に回転することが防止される。従って、フィラメントの不均一変形が抑制され、フィラメントの配置、形状、及び密度が、導体の長手方向全長に渡って均一な酸化物多芯超電導導体が得られる。その結果、酸化物多芯超電導導体は、長手方向での臨界電流値のばらつきが無くなり、短尺材の通電容量がそのまま長尺導体で実現されることになる。
【0017】
多芯ビレットをテープ状に減面加工するには、CIP、HIP、押出、溝圧延、拘束圧延(4方圧延等)、拘束プレス、スエージング、引抜き、伸線等の多芯ビレットの4側面を拘束して、その横断面形状が平行四辺形状から大きく逸脱しないように減面加工する任意の加工法が好適に用いられる。多芯ビレットの断面外形が長方形又は正方形の場合は、2段ロール圧延等を適用することも可能である。
本発明において、多芯ビレットの減面加工は、加工材の断面形状が長方形又は正方形に維持されるように加工するのが最も好ましい。
【0018】
減面加工後の多芯超電導素材中のフィラメント(原料粉体等)の粉体密度が高いと、後に施す熱処理と延伸加工により、高密度で異相の少ない酸化物超電導体が生成する。又高臨界電流密度を得る為の最適熱処理条件(温度、時間)は、フィラメントの厚さによって変化する。従って、フィラメントの厚さが均一だと熱処理条件の最適化が可能になり、得られる酸化物多芯超電導導体の臨界電流密度の向上が可能となる。
【0019】
金属管に充填する単芯複合素線の断面形状は、金属管の形状によって制限されるものではなく、長方形、正方形、正六角形、三角形、他の多角形、円形、楕円形等任意である。しかし、断面正六角形、長方形、又は正方形の単芯複合素線は、他の形状のものに比べて、減面加工時に、金属マトリックス中での単芯複合素線同士の不規則な相対移動が起き難く、フィラメント形状が確実に均一化する。又断面長方形又は正方形の単芯複合素線は幅方向に隣接するもの同士が側面で互いに密接し、その間に上下の単芯複合素線が入り込む余地を排除できる点で望ましい。又種々形状の単芯複合素線を混合して充填しても差し支えないが、混合したものの超電導特性は、同一形状の単芯複合素線を充填したものと較べて同等以下である。金属管に充填する単芯複合素線の本数は特に制限しないが9〜5000本程度が好ましい。酸化物超電導体には、ビスマス系、タリウム系、イットリウム系等の任意の酸化物超電導体が使用できるが、中でも、BiSrCaCu(以下Bi−2223と記す)等のビスマス系酸化物超電導体は、臨界温度、臨界電流密度が高く、又加工性に優れる為長尺体が得やすい。金属パイプの材質には、熱・電気伝導性、加工性に優れた銀、銀合金、銅、銅合金等が用いられる。中でも酸素透過性や耐酸化性に優れた銀、銀合金が好適である。
【0020】
図4(イ)は本願発明で用いる多芯ビレットの態様を示す横断面図である。断面正方形の金属管21内に、断面正方形の単芯複合素線13が充填されている。前記単芯複合素線13内の原料粉体10は断面円形に成形されている。ところで、図4(イ)に示したように単芯複合素線13を、金属管21内に縦横両方向に等間隔に整列配置して充填したものは、フィラメント(原料粉体等)とマトリックスが片寄った配置(フィラメントが分散していない)をとり、減面加工時の材料の流れが不均一となり易く、得られる酸化物多芯超電導導体は特に長さ方向のフィラメントの厚さが不均一な形態となり易い。この片寄りは単芯複合素線の断面形状が円形状のもの程大きい。図4(ロ)に示した多芯ビレット14は原料粉体10が断面正方形以外は、図4(イ)と同じもの、図4(ハ)に示した多芯ビレット14は単芯複合素線13と原料粉体10が断面長方形以外は、図4(イ)と同じもの、図4(ニ)に示した多芯ビレット14は金属管21、単芯複合素線13、原料粉体10がいずれも断面長方形のものである。前記図4(イ))〜(ニ)に示した多芯ビレット14を用いることにより図1に示したように、幅方向に隣接する単芯線間が直接接している断面構造の酸化物多芯超電導導体17を製造することができる。
【0021】
請求項5記載の発明は、前記欠点を是正するもので、横断面形状が長方形又は正方形の単芯複合素線を金属管内に、厚さ方向に隣接する単芯複合素線同士が幅方向に 0.1w(但しwは単芯複合素線幅)以上ずれるように積層して充填することを特徴とする請求項4記載の酸化物多芯超電導導体の製造方法である。
【0022】
図5(イ)は、断面正方形の金属管21内に、断面正方形の単芯複合素線23を、厚さ方向に隣接する層間で 0.5wの距離だけずらして充填したものの例である。このように、単芯複合素線23をずらして積層することより、減面加工時に多芯ビレット全体が均一に変形し、得られる酸化物多芯超電導導体のフィラメントの分布(配置)が良好となり超電導特性がより向上する。前記の単芯複合素線の配置位置のずれの大きさは、単芯複合素線の幅wの 0.1倍未満ではその効果が十分に得られず、0.1倍以上にするのが好ましい。図5(ロ)は、断面長方形の金属管21内に、断面長方形の単芯複合素線23を、厚さ方向に隣接する層間で0.5wの距離だけずらして充填したものの例である。図6は、幅が異なる2種の単芯複合素線23,33を交互に積層することにより、厚さ方向に隣接する層間の単芯複合素線23,33同士が、幅方向にずれるようにしたものである。図5(イ)、(ロ)、図6に示した構造の多芯ビレット14を用いることにより図2に示したようなフィラメント配置の断面構造の酸化物多芯超電導導体17を製造することができる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
六角素線を用い、多芯丸線を圧延してテープ化する通常のPIT法により、本発明の請求項1を満足する銀マトリックス超電導テープを製造した。即ち、Bi23、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOの粉末をBi、Pb、Sr、Ca、Cuのモル比が1.8:0.4:2:2:3となるように配合し混合して、これを大気中800℃で100時間焼成して粉砕し、粒径1〜8μmの粉末を選別し、選別した原料粉体を外径25mm、内径15mmの断面円形の銀管内に充填して複合体を作製し、この複合体をスエージングと引抜加工により対辺長2.3mmの断面正六角形の単芯複合素線に加工した。引抜加工の際に皮剥ぎして銀比を調整し、フィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕が0.3、0.5、0.7、0.9の4種類の単芯複合素線を作製した。次に、前記単芯複合素線を定尺に切断し、各々55本ずつを外径25mm、内径19mmの断面円形の銀管内に充填して多芯ビレットとした。次いで各多芯ビレットをスエージングと引抜加工により1.5mmφの多芯丸線材にした。引抜加工の際に皮剥ぎして総マトリックス比〔M/F〕を1.0〜4.0に調整した。次いで前記多芯丸線材を六角単芯複合素線の角側が圧延面になるように(図3参照)、又は辺側が圧延面になるように(図16参照) 保ちつつ、2段ロール圧延して断面寸法が0.25mm×3.2mm のテープに加工し、次いで835℃/50時間の熱処理、2段ロール圧延(上がり断面寸法0.20mm×3.4mm)、835℃/200時間の熱処理を順に施して酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0024】
(比較例1)
フィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕を1.0または1.5とした他は、実施例1と同じ方法により酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0025】
(比較例2)
総マトリックス比〔M/F〕を 0.8または5.0とした他は、実施例1と同じ方法により酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0026】
各酸化物多芯超電導導体について、フィラメント厚さの変動(標準偏差/平均値)およびJcを調べた。フィラメント厚さの変動は、導体の横断面のフィラメントの厚さを100点測定し、その標準偏差をその平均値で除して求めた。数値が大きいほど厚さのばらつきが大きいことを示す。結果を表1、2に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003813260
【0028】
【表2】
Figure 0003813260
【0029】
表1、2より明らかなように、本発明例のNo.1〜16は、フィラメント厚さの変動が小さく、またJcが高い値を示した。No.15〜16は幅方向に隣接する単芯線間が上下に位置する単芯線により分離されている為フィラメント厚さの変動が若干大きくなり、それにつれJcも幾分低下した。尚、テープ寸法、フィラメント数が同じ場合、総マトリックス比が大きいほど平均フィラメント厚さは小さくなり、Jcが高くなっている。これに対し、比較例のNo.17,18は全体のマトリックス比〔M/F〕が1.0未満のためフィラメントが結合して多芯化効果が薄れ、Jcが低下した。No.19〜24はフィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕が0.9を超えている為、加工時にフィラメントのマトリックスへの流れ込みが起き、フィラメント厚さの変動が大きくなりJcが低下した。No.25〜28は総マトリックス比〔M/F〕が大き過ぎて超電導電流が減少した。
【0030】
(実施例2)
複合体をスエージングと引抜加工により一辺1.6mmの正方形とし、その64本を図7(イ)に示すように、外径25mmφの、中央部分に一辺14mmの正四角形の穴2の開いた金属管(銀管)11に充填して多芯ビレット14とし、1.5mmφの多芯丸線材25からの圧延方向を図7(ロ)に示す矢印の方向とした他は、実施例1と同じ方法により厚さ0.2mm,幅3.4mm、総マトリックス比〔M/F〕3.0、フィラメント周りのマトリックス比〔m/f〕0.5の酸化物多芯超電導導体を製造した。このものは、厚さ変動が18%で、Jcが25KA/cm2の良好な特性を示した。
【0031】
(実施例3)
実施例1のNo.8で用いたのと同じ複合体をスエージングと引抜加工により対辺長が1.9mmの断面正方形の素線とし、これを定尺に切断した64本を対辺長20mm、肉厚2mmの断面正方形の銀管に充填して多芯ビレットとし、次いで2000(kg/cm2)の圧力でCIP処理した後、線材全側面を拘束する4方ロール圧延により、対辺長1.5mmの断面正方形の角線材とした。次に、この角線材に2段ロールによる圧延を繰返し施して、断面寸法0.25mm×3.0mmのテープとした。このテープに実施例1と同じ条件で、超電導体生成処理を施して、図1又は2に示す、断面寸法0.20mm×3.2mm の超電導テープとした。尚、前記多芯ビレットでは、厚さ方向に隣接する断面正方形素線同士を幅方向にずらせた。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 0003813260
【0033】
表3より明らかなように、厚さ方向に隣接する断面正方形素線同士を幅方向に0.1α以上ずれたもの(No.29,30)はフィラメント厚さの変動が小さく、Jcも高い値を示した。この実施例では、断面正方形の単芯複合素線を断面正方形に集合させた多芯ビレットを4方ロール圧延して断面角形の多芯超電導素材としこれを2段ロール圧延したものなので単芯線がずれていないもの(No.32)でも、断面六角形の単芯複合素線を断面円形に集合させた多芯ビレットをスエージャー、引抜加工して断面円形の多芯超電導素材とし、これを2段ロール圧延した実施例1のもの(No.8)に較べて、フィラメント厚さの変動が少なく、Jcも高い値を示している。
【0034】
(実施例4)
実施例1において、1.5mmφ線材の皮剥ぎ後の加工を、4方ロール圧延(圧延後の断面寸法0.25mm×1.0mm)、熱処理、4方ロール圧延(圧延後の断面寸法0.20mm×1.0mm)を順に施して行った他は、実施例1と同じ方法により酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0035】
(比較例3)
実施例4において、マトリックス比〔M/F〕、〔m/f〕を本発明条件外とした他は、実施例3と同じ方法により、酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0036】
得られた各々の酸化物多芯超電導導体について、フィラメント厚さの変動(標準偏差/平均値)およびJcを調べた。結果を表4、5に示す。
【0037】
【表4】
Figure 0003813260
【0038】
【表5】
Figure 0003813260
【0039】
表4、5より明らかなように、Jcの絶対値は低めだが、マトリックス配分とJcの関係はテープの結果とほぼ同様であった。
【0040】
(実施例5)
断面長方形(2.5mm×3.8mm)の単芯複合素線を用い、これを定尺に切断した48本または42本を外側寸法が20mm×35mm、肉厚2mm の中空断面長方形の銀管に充填して多芯ビレットとし(図4(ニ)、図5(ロ)参照)、このビレットを2000(kg/cm2)の圧力でCIP処理した後、全側面を拘束する4方ロール圧延により0.45mm厚×1.0mm 幅の断面長方形の平角線材とした以外は、実施例3と同じ方法により0.40mm厚×1.0mm 幅の酸化物多芯超電導導体を製造した。尚、前記多芯ビレットでは厚さ方向に隣接する断面長方形素線同士を幅方向にずらせた。結果を表6に示す。
【0041】
【表6】
Figure 0003813260
【0042】
実施例3の場合と同様に、厚さ方向に隣接する断面長方形素線同士を幅方向に0.5αずれたもの(No.59)はフィラメント厚さの変動が小さく、Jcも高い値を示した。
【0043】
以上、原料粉体又は単芯複合素線を充填する管材に純銀を用いた例について説明したが、本発明はAg−0.2wt%Mg合金等、導電性、加工性等に優れた他の金属材料を用いた場合にも同様の効果が得られるものである。
【0044】
(参考例1)
図8(イ)〜(ト)に示す工程に従ってBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。先ず、Bi23、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOの粉末をモル比で1.8:0.4:2:2:3となるように配合し混合して、これを大気中800℃で 100時間焼成して粉砕し、粒径1〜8 μmの粉末を選別し、この選別した原料粉体10を外径25mm、内径18mmの断面円形の銀管11内に充填して複合体12を作製し[図8(イ)]、この複合体12をスウェージング加工と引抜加工により対辺長1.9mmの断面正方形の単芯複合素線13に加工した[図8(ロ)]。次にこの単芯複合素線13を定尺に切断した64本を対辺長20mm、肉厚2mmの断面中空正方形の銀管21に充填し多芯ビレット14とした[図8(ハ)]。次にこの多芯ビレット14を2,000(kg/cm2)の圧力でCIP(冷間静水圧成形)処理した後、4側面を拘束する菱形圧延法により、対辺長1.5mmの断面正方形の角線材15とした[図8(ニ)]。次にこれに2段ロール圧延を繰返し施して厚さ0.25mm×幅3.5mmのテープ状の多芯超電導素材16を作製した[図8(ホ)]。前記角線材15は、圧延時に周方向に回転するようなことはなかった。次に前記多芯超電導素材16を、大気中840℃×50時間の熱処理(中間熱処理)後、2段ロール圧延により厚さ0.20mm・幅3.7mmに加工し、再度大気中で840℃・50時間の熱処理(最終熱処理)を施して[図8(ヘ)]、テープ状のBi−2223酸化物多芯超電導導体17を製造した[図8(ト)]。
【0045】
(参考例2)
参考例1で作製した複合体12をスウェージング、伸線などにより加工して厚さ1mm、幅3mmの断面長方形の単芯複合素線13に加工した。次にこの単芯複合素線13を定尺で切断した64本を、縦14mm、横30mm、肉厚2mmの断面中空長方形の銀管に縦8本×横8本充填して多芯ビレット14とした。次にこれを2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、ロール駆動型のタークスヘッドロールで厚さ方向と幅方向に交互圧延して、縦1mm、横2mmの平角線材とした。この平角線材に2段ロール圧延を繰返し施して、厚さ0.25mm×幅5.5mmの多芯超電導素材を作製した。次に、この多芯超電導素材を、大気中840℃・50時間の熱処理後、2段ロール圧延により厚さ0.20mm×幅5.7mmに加工し、再度大気中で840℃・50時間熱処理してテープ状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0046】
(参考例3)
参考例1で作製した複合体12をスウェージングと伸線加工により対辺長2.1mmの断面正六角形の単芯複合素線13に加工した。その他は、参考例1と同じ方法によりテープ状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0047】
(比較例4)
参考例1で作製した複合体をスウェージングと伸線加工により対辺長2.1mmの断面正六角形の単芯複合素線に加工した。次に、この単芯複合素線を定尺で切断した61本を外径25mm、内径20mmの断面中空円形の銀管に充填して多芯ビレットを作製した。次にこの多芯ビレットを2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、スウェージングと伸線加工により1.5mmφの丸線とし、次いでこの丸線に2段ロール圧延を繰返し施して厚さ0.25mm×幅3.5mmのテープ状の多芯超電導素材を作製した。次に、この多芯超電導素材を、大気中 840℃・50時間の熱処理後、2段ロール圧延により厚さ0.20mm×幅3.7mmに加工し、再度大気中で840℃・50時間の熱処理を施してテープ状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0048】
得られた各々の酸化物多芯超電導導体について、自己磁界中での77Kにおける臨界電流密度(Jc)を、電圧端子間隔を1mにとって4端子法により測定した。又この導体の横断面内のフィラメント厚さの変動[(標準偏差/平均値)×100](%)を調べた。又多芯超電導素材の原料粉体(フィラメント)の相対密度(6.5g/cm3を100%とした場合)を測定した。結果を表7に示す。
【0049】
【表7】
Figure 0003813260
【0050】
表7より明らかなように、参考例1〜3のNo.61〜63は、Jcが高かった。これは、多芯ビレットが周方向に回転したりせずに減面加工され、その結果フィラメントが全長に渡り均一な形状となり、又その密度が高くなった為である。又単芯複合素線が正方形又は長方形の方がより良い結果が得られた。これに対し、比較例のNo.64はJcが低かった。これは多芯ビレットの断面形状が円形の為、減面加工中に多芯ビレットが周方向に回転しながら加工された為、フィラメントが部分的に異常変形し、又その密度が低下した為である。
【0051】
(参考例4)
参考例1で作製した複合体12をスウェージングと伸線加工により対辺長1.9mmの断面正方形の単芯複合素線13に加工した。次にこの単芯複合素線13を定尺で切断した64本を、対辺長20mm、肉厚2mmの正方形銀管に充填し多芯ビレットとした。次にこれを2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、4側面を拘束する菱形圧延法により、対辺長1.5mmの断面正方形の多芯超電導素材を作製した。次にこの多芯超電導素材を、大気中840℃・50時間の熱処理後、伸線加工により対辺長1.35mmの角線とし、再度大気中で840℃・50時間の熱処理を施して角状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0052】
(参考例5)
参考例1で作製した複合体12をスウェージング、伸線などにより加工して厚さ1.2mm、幅3mmの断面長方形の単芯複合素線13に加工した。次にこの単芯複合素線13を定尺で切断した64本を、縦14mm、横30mm、肉厚2mmの長方形銀管に縦8本×横8本充填して多芯ビレットとした。次にこの多芯ビレットを2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、ロール駆動型のタークスヘッドロールで厚さ方向と幅方向に交互圧延して、厚さ0.25mm×幅4.0mmのテープ状の多芯超電導素材を作製した。次にこの多芯超電導素材を、大気中840℃・50時間の熱処理後、ロール駆動型のタークスヘッドロールで、厚さ0.20mm×幅 4.0mmに加工し、再度大気中で840℃・50時間の熱処理を施して、平角状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0053】
(比較例5)
参考例1で作製した複合体をスウェージングと伸線加工により、対辺長2.1mmの断面正六角形の単芯複合素線に加工した。次にこの単芯複合素線13を定尺で切断した61本を外径25mm、内径20mmの断面円形の銀管に充填して多芯ビレットを作製した。次にこの多芯ビレットを2,000kg/cm2の圧力でCIP処理した後、スウェージングと伸線加工により1.8mmφの丸線とし、これを更に伸線加工して対辺長1.5mmの角状の多芯超電導素材を作製した。次にこの多芯超電導素材を、大気中840℃・50時間の熱処理後、伸線加工して対辺長1.35mmの角線とし、再度大気中840℃・50時間の熱処理を施して角状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0054】
(比較例6)
参考例1で作製した複合体をスウェージングと伸線加工により対辺長2.1mmの断面正六角形の単芯複合素線に加工した。次にこの単芯複合素線を定尺で切断した61本を外径25mm、内径20mmの断面円形の銀管に充填して多芯ビレットとした。これを2,000kg/cm2でCIP処理した後、スウェージングと伸線加工により1.8mmφの丸線とし、ロール駆動型のタークスヘッドロールにより厚さ方向と巾方向に交互圧延して、厚さ0.25mm×幅4.0mmのテープ状の多芯超電導素材とした。次にこの多芯超電導素材を、大気中840℃・50時間の熱処理後、ロール駆動型のタークスヘッドロールで、厚さ0.20mm×幅4.0mmに加工し、再度大気中で840℃・50時間熱処理して角状のBi−2223酸化物多芯超電導導体を製造した。
【0055】
得られた各々の酸化物多芯超電導導体について、自己磁界中での77Kにおける臨界電流密度(Jc)を、電圧端子間隔を1mにとって4端子法により測定した。又この導体の横断面内のフィラメント厚さの変動〔(標準偏差/平均値)×100〕を調べた。又多芯超電導素材の原料粉体(フィラメント)の相対密度を測定した。結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
Figure 0003813260
【0057】
表8より明らかなように、参考例のNo.65,66は、Jcが高かった。これは、多芯ビレットが長さ方向で回転せずに減面加工され、その結果フィラメントが異常変形したりせず、又フィラメントの密度が高くなった為である。これに対し、比較例のNo.67,68はJcが低かった。これは多芯ビレットの断面形状が円形の為、減面加工中に多芯ビレットが周方向に回転して加工された為、フィラメントが異常変形し、又その密度が低下した為である。
【0058】
(参考例6)
参考例1において、金属管内に単芯複合素線13を、隣接する層の単芯複合素線13同士がずれた配置となるように充填した他は、参考例1と同じ方法によりBi−2223酸化物多芯超電導テープを製造した。尚、多芯ビレット24の隙間には銀の棒材を挿入した。得られた酸化物多芯超電導導体について参考例1と同じ方法によりJc及びフィラメント厚さの変動を調べた。結果を表9に示す。
【0059】
【表9】
Figure 0003813260
【0060】
表9より明らかなように、単芯複合素線の位置をずらして充填したもの(No.70〜73)は、ずらさなかったもの(No.69)に較べて、いずれもJcが向上した。これはフィラメントがより均一に分布した為である。中でも0.10w以上ずらしたもの(No.71〜73)はJcが著しく向上した。
【0061】
参考例1(No.61)、参考例6(No.73)、又は比較例4(No.64)にて得られた厚さ0.2mm、幅3.7mmのテープ状酸化物多芯超電導導体について、臨界電流密度を電圧タップ間隔を種々に変えて測定した。結果を図9に示す。図9より明らかなように、参考例1(No.61)と参考例6(No.73)は、電圧タップ間隔に無関係に高い臨界電流密度が得られた。このことは、フィラメントの形状及び密度が全長に渡り均一なことを実証するものである。これに対し、比較例4(No.64)の臨界電流密度は、電圧タップ間隔が長くなると大きく低下している。これはフィラメントの形状や密度が長手方向に不均一であることを物語るものである。
【0062】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の酸化物多芯超電導導体は、その横断面における金属マトリックスの総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの比〔M/F〕および超電導フィラメント周りの金属マトリックス比〔m/f〕を適正に規定したので、線材の加工時に超電導フィラメントの流れ込み等が少なく、超電導フィラメントの形状が均一に保たれ、全長に渡り高い超電導特性が得られる。又断面外形が長方形又は正方形の多芯ビレットを、平角状又はテープ状に減面加工することにより、多芯ビレットが周方向に回転して加工されるようなことがなくなり、得られる酸化物多芯超電導導体は、フィラメントが全長に渡って形状均一で高密度なものとなり、超電導特性に優れた長尺の酸化物多芯超電導導体が得られる。又金属管に、断面長方形又は正方形の単芯複合素線を層状に積層し、且つ隣接する層間の単芯複合素線同士を0.1w(但しwは素線幅)以上ずらして積層すると、得られる酸化物多芯超電導導体はフィラメントが均一に分布し、フィラメント形状の均一性が更に高いものとなり、超電導特性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物多芯超電導導体の実施の形態を示す横断面組織図である。
【図2】本発明の酸化物多芯超電導導体の他の実施の形態を示す横断面組織図である。
【図3】多芯ビレット内の単芯複合素線の圧下方向の説明図である。
【図4】図の(イ)〜(ニ)は本発明にて用いる多芯ビレットの第1〜4の例を示すそれぞれ横断面図である。
【図5】図の(イ)、(ロ)は本発明にて用いる多芯ビレットの第5、6の例を示すそれぞれ横断面図である。
【図6】本発明にて用いる多芯ビレットの第7の例を示す横断面図である。
【図7】本発明にて用いる多芯ビレットの第8の例を示す斜視図(イ)、及び圧下方向の説明図(ロ)である。
【図8】本発明の酸化物多芯超電導導体の製造方法の実施例を示す工程説明図である。
【図9】本発明により得られた酸化物多芯超電導導体の電圧タップ間隔と臨界電流密度との関係図である。
【図10】従来の酸化物多芯超電導導体の製造方法の工程説明図である。
【図11】テープ状の酸化物多芯超電導導体の横断面斜視図である。
【図12】フィラメントの形状を示す説明図である。
【図13】フィラメントの形状を示す説明図である。
【図14】酸化物多芯超電導導体のフィラメントの形状を示す横断面説明図である。
【図15】多芯ビレットが周方向に回転して圧延されたときのフィラメントの異常変形の説明図である。
【図16】多芯ビレット内の単芯複合素線の圧下方向の説明図である。
【図17】図の(イ)、(ロ)は単芯線の例を示すそれぞれ横断面説明図である。
【図18】図の(イ)、(ロ)は単芯複合素線の例を示すそれぞれ横断面図である。
【符号の説明】
1 単芯線
2 穴
酸化物超電導フィラメント周りの金属マトリックス
単芯線の集合体を包囲した金属マトリックス
10 原料粉体
11,21,31 金属管
12 複合体
13,23,33 単芯複合素線
14,24 多芯ビレット
15 角線材
25 丸線材
16,26 多芯超電導素材
17,27 酸化物多芯超電導導体
18 金属マトリックス
19 酸化物超電導体フィラメント

Claims (5)

  1. BiSrCaCu(以下Bi−2223と記す)酸化物超電導フィラメントの周りに金属マトリックスKを配した単芯線の集合体をさらに金属マトリックスKで包囲したBi−2223酸化物多芯超電導導体において、前記Bi−2223酸化物多芯超電導導体の横断面における前記金属マトリックスK、Kの総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの比〔M/F〕が1.0〜4.0であり、前記単芯線における金属マトリックスKの面積mと超電導フィラメントの面積fとの比〔m/f〕が0.3〜0.9であることを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体。
  2. 請求項1記載のBi−2223酸化物多芯超電導導体の幅方向に隣接する単芯線同士が直接接しており、これら幅方向に隣接する単芯線間が上下に位置する単芯線により分離されていないことを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体。
  3. 請求項2記載のBi−2223酸化物多芯超電導導体の厚さ方向に隣接する単芯線同士が幅方向に0.1α(但しαはフィラメント幅)以上ずれていることを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体。
  4. Bi−2223酸化物超電導体又はその原料粉体を所定寸法の金属管A内に充填した複合体を単芯複合素線に加工し、この単芯複合素線の複数本を所定寸法の金属管B内に充填して多芯ビレットとし、この多芯ビレットを減面加工して多芯超電導素材とし、この多芯超電導素材に熱処理と延伸加工を繰返し施すBi−2223酸化物多芯超電導導体の製造方法であって、前記金属管Aの断面積を、前記単芯複合素線の横断面における金属マトリックスの面積mと超電導フィラメントの面積fの比[m/f]が0.3〜0.9になるように調整し、前記金属管Bの断面積を、前記Bi−2223酸化物多芯超電導導体の横断面における前記金属マトリックスの総面積Mと超電導フィラメントの総面積Fとの比〔M/F〕が1.0〜4.0になるように調整し、前記単芯複合素線を充填する金属管の横断面外形が長方形又は正方形であり、前記多芯ビレットを平角状又はテープ状に減面加工することを特徴とするBi−2223酸化物多芯超電導導体の製造方法。
  5. 横断面形状が長方形又は正方形の単芯複合素線を金属管内に、厚さ方向に隣接する層間で単芯複合素線同士が幅方向に0.1w(但しwは単芯複合素線幅)以上ずれるように積層して充填することを特徴とする請求項4記載のBi−2223酸化物多芯超電導導体の製造方法。
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