JPH09165090A

JPH09165090A - 低温貯槽

Info

Publication number: JPH09165090A
Application number: JP7323379A
Authority: JP
Inventors: Minoru Okumura; 稔奥村; Tatsuro Tanaka; 達郎田中; Hidenori Kasashima; 英範笠島; Takeshi Kimura; 驍木村; Bikei Suzuki; 美啓鈴木
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 1995-12-12
Filing date: 1995-12-12
Publication date: 1997-06-24

Abstract

(57)【要約】【課題】屋根部の保冷工事を簡略化し得る地下式の低
温貯槽を提供する。【解決手段】地中に埋設される側壁部１をコンクリー
ト造とし、その上部にドーム状の屋根部３を架設して地
上に露出せしめる。側壁部の内面はメンブレン５により
覆い、屋根部は外槽材７と内槽材８とによる二重殻構造
としてそれらの間に粒状保冷材９を充填する。屋根部に
おける外槽材の外周縁部は側壁部の躯体上部に埋設固定
するが、内槽材の外周縁部は側壁部の上部に対し各方向
に熱変形可能な状態でアンカー部材１１により連結し、
その内槽材の外周縁部にメンブレンの上端縁を全周にわ
たって液密かつ気密裡に接続する。アンカー部材は帯状
金属板からなるアンカーストラップ１３を採用する。屋
根部の外槽材の頂部および周縁部に粒状保冷材を充填す
るためのマンホール１０を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＬＮＧあるいはＬ
ＰＧ等の低温液化ガスを貯留するための低温貯槽に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の低温貯槽は、その全体が地上に
設けられる地上式のもの（地上タンク）と、側壁部が地
中に埋設されて屋根部のみが地上に露出する地下式のも
の（地下タンク）に大別される。地上タンクは、側壁部
および屋根部をいずれも二重殻構造とし、二重殻の内部
に粒状パーライト等の保冷材を充填する構造のものが一
般的である。また、地下タンクは、地中に埋設される側
壁部を鉄筋コンクリート造の躯体として構築してその上
部にドーム状をなす鋼製の屋根部を架設するようにし、
側壁部の内面全体をステンレス板等のメンブレンにより
覆うとともに、屋根部の内面にポリウレタンフォーム等
の成形材からなるブロック状の保冷材を取り付けるとい
う構造のものが一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な地上タンクを施工するに際しての保冷工事は、二重殻
内に粒状保冷材を充填するだけであるのでその作業は容
易であるが、地下タンクを施工するに際しての保冷工事
は、屋根部の内面にブロック状の保冷材を取り付けると
いう高所での上向きの作業となるので、作業性の良くな
い重労働であるばかりか、そのための足場の設置も必要
であり、その改善が要望されていた。

【０００４】なお、地下タンクにおいてもその屋根部を
地上タンクと同様に二重殻構造とし、そこに粒状保冷材
を充填することで保冷工事を軽減することが検討されて
はいるが、側壁部も同様の二重殻構造とされる地上タン
クの場合とは事情が異なり、側壁部が鉄筋コンクリート
造とされる地下タンクの屋根部のみを単に二重殻構造と
した場合には、側壁部と屋根部とが構造的および熱的に
大きく異なる挙動を呈することに起因して種々の弊害が
生じることが想定される。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記事情に鑑み、本発明
は、側壁部が地中に埋設されているとともにドーム状の
屋根部が地上に露出している地下式の低温貯槽におい
て、前記側壁部をコンクリート造の躯体の内面にメンブ
レンにより覆って構成し、前記屋根部は外槽材と内槽材
とによる二重殻構造としてそれらの間に粒状保冷材を充
填することとし、その屋根部における外槽材の外周縁部
を前記側壁部の躯体上部に埋設固定するとともに、内槽
材の外周縁部は側壁部の上部に対し各方向に熱変形可能
な状態でアンカー部材により連結し、かつ、該内槽材の
外周縁部に前記側壁部のメンブレンの上端縁が全周にわ
たって液密かつ気密裡に接続するようにしたものであ
る。前記アンカー部材は帯状金属板を用いて構成するこ
とが好適であり、前記屋根部の外槽材の頂部および周縁
部に、二重殻内に粒状保冷材を充填するためのマンホー
ルを設けておくことが良い。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。図１は本実施例の地下式の低温貯槽（地下タンク）
の全体概略構成を示す立断面図である。この地下タンク
はＬＮＧあるいはＬＰＧ等の低温液化ガスを貯留するた
めのものであって、図中符号１は地中に埋設された鉄筋
コンクリート造の側壁部、２は同じく鉄筋コンクリート
造の底版部、３は側壁部１の上部に架設されて地上に露
出している鋼製のドーム状をなす屋根部である。側壁部
１および底版部２の内面全体は保冷材４を介してステン
レス板の薄板からなるメンブレン５により覆われてお
り、そのメンブレン５には熱変形吸収のためのコルゲー
ション６が形成されている。

【０００７】屋根部３は外槽材７と内槽材８からなる二
重殻構造とされ、その内部には粒状パーライト等の粒状
保冷材９が充填されて保冷性能が保たれるようになって
いる。外槽材７はたとえばＳＳ４１等の鋼板により形成
され、内槽材８はたとえば９％Ｎｉ鋼等の超低温鋼によ
り形成されている。外槽材７の頂部および周縁部には二
重殻内に粒状保冷材９を充填するための合計５箇所のマ
ンホール１０が設けられている。

【０００８】図２に示すように、外槽材７の外周縁部は
側壁部１の上部に直接的に埋設されて固定されている
が、内槽材８の外周縁部は熱変形に伴う各方向への変位
が許容される状態でアンカー部材１１により側壁部に対
して連結されている。アンカー部材１１は図４、図５に
示すように内槽材８の周方向に一定間隔で多数（本実施
例においては２４箇所）設けられている。各アンカー部
材１１は、図３に示すように、内槽材８の外面側の外周
縁部に固定された保持部１２と、その保持部１２の内側
を上下方向に変位可能かつ下方への引き抜きが防止され
る状態で挿通している帯板状のアンカーストラップ１３
により構成され、そのアンカーストラップ１３の下部が
側壁部１に埋設されて固定されたものとなっている。さ
らに、内槽材８の外周縁にはフランジ部１４が形成され
ており、そのフランジ部１４が側壁部１の上面において
各方向に摺動可能な状態で接している。そして、フラン
ジ部１４のやや上部に、側壁部１の内面を覆っているメ
ンブレン５の上端縁が全周にわたって溶接されており、
これによりメンブレン５と内槽材８とが液密および気密
保持可能に強固に接続されてそこでのシール性が確保さ
れたものとなっている。

【０００９】上記構成の地下タンクにあっては、屋根部
３を二重殻構造としてその内部にマンホール１０から粒
状保冷材９を充填するようにしたので、屋根部３に対す
る保冷工事を従来の地上タンクの場合と同様に実施でき
るものである。したがって、従来一般の地下タンクの場
合のように屋根部の内面にブロック状の保冷材を取り付
けるという高所における上向きの重労働作業を省略でき
るとともに、そのための足場も不要となり、その結果、
地下タンクの施工における保冷工事の大幅な省力化、コ
ストダウンを図ることができる。

【００１０】そして、上記の地下タンクにあっては、屋
根部３を構成する外槽材７は側壁部１に対して直接的に
埋設固定するが、内槽材８は側壁部１に対して直接的に
埋設固定することなく、アンカー部材１１を介して側壁
部１に対して各方向へ変形可能な状態に連結した構成と
したので、低温の液化ガスに直接晒されることで大きな
熱変形が生じることが避けられない内槽材８の熱変形が
アンカー部材１１によって有効に吸収されるものであ
る。したがって、内槽材８と側壁部１との接続部におい
て熱変形に起因する過度の応力が生じるようなことが未
然に回避され、その結果、内槽材８とメンブレン５との
接続部におけるシール性能が損われる懸念がない。

【００１１】なお、アンカー部材１１として帯板状のア
ンカーストラップ１３を用いたことにより、充分なるア
ンカー強度を確保し得ることはもとより、特に内槽材８
の径方向への変位に対して充分なる追随性を確保し得
る。また、外槽材７の頂部および周縁部にマンホール１
０を設けておくことで二重殻内への粒状保冷材９の充填
作業を容易にかつ作業性良く行い得る。

【００１２】

【発明の効果】以上のように、本発明の低温貯槽は、コ
ンクリート造の躯体に架設される屋根部を二重殻構造と
してその内部に粒状保冷材を充填するようにしたので、
従来一般の地下式低温貯槽の場合に比して屋根部に対す
る保冷工事を大幅に省力化でき、コストダウンを実現で
きることはもとより、屋根部を構成する内槽材を側壁部
に対して直接的に埋設固定することなくアンカー部材を
介して各方向に変形可能に連結して、その内槽材の外周
縁部に側壁部のメンブレンの上端縁を全周にわたって接
続した構成であるので、低温の液化ガスに直接晒される
ことで大きな熱変形が生じることが避けられない内槽材
の熱変形がアンカー部材によって有効に吸収され、した
がって、内槽材と側壁部との接続部において熱変形に起
因する過度の応力が生じるようなことが未然に回避さ
れ、内槽材とメンブレンとの接続部におけるシール性能
が損われる懸念がない。そして、アンカー部材として帯
板状のアンカーストラップを用いば、充分なるアンカー
強度を確保し得るとともに特に内槽材の径方向への変位
に対して充分なる追随性を確保し得るという利点があ
り、また、外槽材の頂部および周縁部にマンホールを設
けておくことで二重殻内への粒状保冷材の充填作業を容
易にかつ作業性良く行い得るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である低温貯槽を示す立断面
図である。

【図２】同、要部拡大図である。

【図３】同低温貯槽におけるアンカー部材を示す斜視図
である。

【図４】同、屋根部を示す立面図である

【図５】同、平面図である。

【符号の説明】

１側壁部３屋根部５メンブレン７外槽材８内槽材９粒状保冷材１０マンホール１１アンカー部材１３アンカーストラップ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者木村驍東京都江東区豊洲三丁目２番16号石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内 (72)発明者鈴木美啓東京都江東区豊洲三丁目２番16号石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】側壁部が地中に埋設されているとともに
ドーム状の屋根部が地上に露出している地下式の低温貯
槽であって、前記側壁部はコンクリート造の躯体の内面
がメンブレンにより覆われてなり、前記屋根部は外槽材
と内槽材とによる二重殻構造とされてそれらの間に粒状
保冷材が充填されてなり、該屋根部における外槽材の外
周縁部は前記側壁部の躯体上部に埋設固定されていると
ともに、内槽材の外周縁部は該側壁部の上部に対し各方
向に熱変形可能な状態でアンカー部材により連結され、
かつ、該内槽材の外周縁部に前記側壁部のメンブレンの
上端縁が全周にわたって液密かつ気密裡に接続されてな
ることを特徴とする低温貯槽。
【請求項２】前記アンカー部材は帯状金属板を用いて
構成されてなることを特徴とする請求項１記載の低温貯
槽。
【請求項３】前記屋根部の外槽材の頂部および周縁部
に、二重殻内に粒状保冷材を充填するためのマンホール
が設けられていることを特徴とする請求項１または２記
載の低温貯槽。