JPH09157450A - 高粘性流体組成物およびそれを用いる振動エネルギー減衰装置 - Google Patents

高粘性流体組成物およびそれを用いる振動エネルギー減衰装置

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JPH09157450A
JPH09157450A JP7346696A JP34669695A JPH09157450A JP H09157450 A JPH09157450 A JP H09157450A JP 7346696 A JP7346696 A JP 7346696A JP 34669695 A JP34669695 A JP 34669695A JP H09157450 A JPH09157450 A JP H09157450A
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viscosity
fluid composition
vibration energy
composition
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JP7346696A
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English (en)
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Haruhisa Katase
晴久 片瀬
Sakae Kanai
栄 金井
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16F9/00Springs, vibration-dampers, shock-absorbers, or similarly-constructed movement-dampers using a fluid or the equivalent as damping medium
    • F16F9/10Springs, vibration-dampers, shock-absorbers, or similarly-constructed movement-dampers using a fluid or the equivalent as damping medium using liquid only; using a fluid of which the nature is immaterial
    • F16F9/103Devices with one or more members moving linearly to and fro in chambers, any throttling effect being immaterial, i.e. damping by viscous shear effect only
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
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    • F16L3/00Supports for pipes, cables or protective tubing, e.g. hangers, holders, clamps, cleats, clips, brackets
    • F16L3/16Supports for pipes, cables or protective tubing, e.g. hangers, holders, clamps, cleats, clips, brackets with special provision allowing movement of the pipe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比重が1以上であり、長期間の使用において
も物性が低下することのない振動エネルギー減衰装置用
の高粘性流体組成物およびそれを用いる振動エネルギー
減衰装置を提供する。 【解決手段】 高粘性炭化水素流体および無機フィラー
からなることを特徴とする振動エネルギー減衰装置用高
粘性流体組成物およびそれを用いる振動エネルギー減衰
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制震壁などの振動
エネルギー減衰装置に使用する高粘性流体組成物および
それを充填してなる振動エネルギー減衰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】風、地震などの突発的な原因による振動
によって建物内の家具や設備機器などが転倒あるいは落
下したり、人間と物との衝突などによる災害が発生する
ことを防ぎ、また橋梁や高架道路などにおける車両の交
通による日常の地盤振動を防止し、さらに架設工事中の
作業員の安全および高所酔防止などを図るために、これ
らの振動を抑制することが重要であり、近年地震から常
時微動までの広い範囲の振動エネルギーを吸収し低減す
るため種々の振動エネルギー減衰装置が開発されてい
る。減衰装置として具体的には、ビルなどの建築物の壁
に用いられる制震壁(特公平4−38867号公報、特
開平5−86744号公報等)などがある。そのほか、
研究所、コンピュータールーム、原子力設備を収納する
建屋などのように、地震による振動はいうまでもなく、
機器の作動によって生じる微振動あるいは人間や機器の
移動に伴う微振動も排除することが必要な建築物の内部
で用いられる免震除振床、橋梁や高架道路などの桁状構
造物の除振装置、自動車エンジンルームのマウント装
置、配管などを固定する支持台などが挙げられる。これ
らの装置は、内部に粘性流体混合物が充填されており、
その粘性によるせん断抵抗力によって振動エネルギーを
吸収し低減する。
【0003】従来用いられている高粘性流体混合物は、
その比重が1未満であるために、振動エネルギー減衰装
置、例えば制震壁内に雨水や結露などの水が混入した場
合、制震壁の底に水が溜り、高粘性流体混合物の粘着
力、粘性などの特性が低下する懸念が生じる。そこで、
混入した水を抜き出すために制震壁の底部に穴を設ける
などの手段が考えられる。しかしながら、穴を設けて水
を除去する場合に、水のみを抜き出すことは困難であ
り、また、制震壁に穴を開けることによって制震壁自体
の強度が低下するなど新たな問題が生じる。さらに、水
の混入の有無について定期的に制震壁の点検を行った
り、雨水や結露の混入によって減少した高粘性流体混合
物を補充するなど、制震壁を施工した後にも保守点検を
行うことが必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比重
が1以上であり、長期間の使用においても物性が低下す
ることのない振動エネルギー減衰装置用の高粘性流体組
成物およびそれを用いる振動エネルギー減衰装置を提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の第1
は、高粘性炭化水素流体物(A)、および無機フィラー
(B)からなることを特徴とする振動エネルギー減衰装
置用高粘性流体組成物に関する。また本発明の第2は、
比重が1以上であることを特徴とする本発明の第1に記
載の振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成物に関す
る。また本発明の第3は、前記A成分がポリブテンであ
ることを特徴とする本発明の第1および第2に記載の振
動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成物に関する。ま
た本発明の第4は、前記A成分が、数平均分子量1,0
00〜4,000の範囲にある低分子量ポリブテンおよ
び数平均分子量が4,000より大きいポリブテンから
なることを特徴とする本発明の第1または第2に記載の
振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成物に関する。
また本発明の第5は、前記A成分が、数平均分子量1,
000〜4,000の範囲にある低分子量ポリブテン、
粘度平均分子量20,000〜70,000の範囲にある
中分子量ポリブテンおよび粘度平均分子量900,00
0〜2,100,000の範囲にある高分子量ポリブテン
からなることを特徴とする本発明の第1または第2に記
載の振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成物に関す
る。また本発明の第6は、前記B成分が、比重3以上の
無機フィラーであることを特徴とする本発明の第1から
第5のいずれかに記載の振動エネルギー減衰装置用高粘
性流体組成物に関する。また本発明の第7は、酸化防止
剤を含むことを特徴とする本発明の第1から第6のいず
れかに記載の振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成
物に関する。さらに本発明の第8は、前記A成分および
B成分からなる高粘性流体組成物を充填し、組成物の粘
性によるせん断抵抗力を利用することを特徴とする振動
エネルギー減衰装置に関する。
【0006】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明の振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成
物(以下、「高粘性流体組成物」と略す)は高粘性炭化
水素流体(A)および無機フィラー(B)からなるもの
である。本発明において用いるA成分としての高粘性炭
化水素流体は、高粘性の流体であればその粘度は特に限
定されないが、例えば、常温において1,000〜10
0,000Pa・s の粘度を有する炭化水素が挙げられ
る。具体的にはノルマルパラフィン、イソパラフィン、
流動パラフィン、ナフテン、ポリオレフィン系炭化水素
などの飽和脂肪族または脂環族炭化水素である。例え
ば、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィンの
オリゴマー、アタクチックポリプロピレン、ポリブテン
およびこれらの混合物などが挙げられる。またこれらの
水素添加物も含まれる。これらの炭化水素は、振動エネ
ルギー減衰装置の構成部材を腐食させないこと、変質し
難いこと、および温度変化による粘性係数の変動が小さ
いことなどの点で好ましいものである。特に化学的に安
定で、人体に対して毒性を示さず、耐水性、耐湿性およ
び耐老化性に優れたポリブテンが適当である。
【0007】上記ポリブテンとは、精製したイソブチレ
ンを原料とするイソブチレンの単独重合体のほかに、石
油精製における流動床式接触分解装置またはナフサクラ
ッカーからのC4留分に含まれるイソブチレンを選択的
に塩化アルミニウム、フッ化ホウ素などのフリーデル・
クラフツ触媒を用いて反応させて得られるイソブチレン
の単独重合体、またはイソブチレンを主体とするイソブ
チレンとブテンとの共重合体などである。
【0008】ポリブテンの好ましい態様としては、分子
量の異なる複数種のポリブテンを配合したものが挙げら
れる。具体的には、数平均分子量1,000〜4,000
の範囲にある低分子量ポリブテンおよび数平均分子量が
4,000より大きい分子量を有するポリブテンからな
る組成物が例示される。また、数平均分子量1,000
〜4,000の範囲にある低分子量ポリブテン、粘度平
均分子量(フローリー法)20,000〜70,000の
範囲にある中分子量ポリブテンおよび粘度平均分子量
(フローリー法)900,000〜2,100,000の
範囲にある高分子量ポリブテンからなる組成物が例示さ
れる。ここで、高分子量ポリブテンとはポリイソブチレ
ンと同等のものである。上記組成物は、低分子量ポリブ
テンによって流動性が付与され、中分子量および高分子
量ポリブテンによって粘着性および粘性がそれぞれ付与
される。それらの配合量は、中分子量ポリブテン100
重量部に対して低分子量ポリブテンは10〜350重量
部、好ましくは30〜200重量部であり、高分子量ポ
リブテンは0.1〜50重量部、好ましくは1〜40重
量部である。低分子量ポリブテンの配合量が10重量部
より少ないと流動性が劣り、350重量部を越える量を
配合すると流動性は改良されるが粘着力や粘性が低下す
るため好ましくない。また高分子量ポリブテンは、50
重量部を越える量を配合すると粘着力や粘性が増大し過
ぎるので好ましくない。
【0009】本発明に用いる成分Bの無機フィラーは、
高粘性流体組成物の比重を1以上とする目的で配合する
ものである。無機フィラーとしては、比重が3以上、特
に5以上のものが好ましい。比重が3未満の場合には、
ポリブテンに対する配合量を多くすることが必要にな
り、そのため分散性の低下や粘度の著しい低下などを起
こすので適当でない。
【0010】本発明において配合することができる無機
フィラーとして具体的には、マイカ、アスベスト、炭化
ケイ素、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、リトポン、ア
ルミナ、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸
化第一錫、酸化第二錫、二酸化タングステン、三酸化タ
ングステン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化第
二鉄、酸化第一銅、酸化第二銅、二酸化モリブデン、二
硫化モリブデン、三酸化ビスマス、酸化チタン、酸化チ
タン鉄、酸化タンタル、チタン酸バリウム、酸化第一
鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、ケイ酸ジルコニウム
などが挙げられる。取扱性や人体に対する安全性および
コスト面などから酸化亜鉛が好ましい。また、高粘性流
体組成物に難燃性を付与する必要がある場合には、三酸
化アンチモンなどの難燃効果のある無機フィラーを配合
することにより実現が可能である。
【0011】無機フィラーの平均粒径は、1μm以下の
ものが特に好ましい。1μmより大きいと分散性が低
く、無機フィラーが短期間のうちに沈降する懸念がある
ので好ましくない。
【0012】無機フィラーの配合量は、高粘性炭化水素
流体100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは
5〜45重量部である。50重量部を超える量を配合す
ると粘度が著しく低下するので好ましくない。
【0013】本発明に用いる高粘性炭化水素流体(A)
には、酸化防止剤を配合することができる。酸化防止剤
としては、炭化水素の酸化防止剤として公知のものをい
ずれも使用することができるが、具体的には、モノフェ
ノール系酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−
p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソ
ール(BHA)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチ
ルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど;
ビスフェノール系酸化防止剤として2,2'−メチレンビ
ス(4−メチル−6− tert−ブチルフェノール)、
2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチル
フェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メ
チル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス
〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ}エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカンなど;高分子型フェノール系酸化防止剤
として1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチ
レン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'
−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)
ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−
トリス(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシ
ベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5
H)トリオン、トコフェロールなど;硫黄系酸化防止剤
としてジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジ
ミリスチル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステア
リル−3,3'−チオジプロピオネートなど;リン系酸化
防止剤としてトリフェニルホスファイト、ジフェニルイ
ソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファ
イト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−ter
t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイク
リックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホス
ファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ト
リス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノ
ニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリ
スリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−
オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサ
イド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−
ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デ
シロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホ
スファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタン
テトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホ
スファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホス
ファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイトなどが挙げられ
る。
【0014】酸化防止剤の配合量は、高粘性炭化水素流
体物100重量部に対して0.01〜10重量部であ
る。0.01重量部より少ないと配合効果が見られず、
また10重量部より多く配合しても効果は向上せず不経
済であり、いずれも好ましくない。
【0015】さらに高粘性流体組成物には、本発明の効
果が損なわれない範囲においてステアリン酸、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリ
ウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸ア
ミドなどの脂肪酸、その金属塩およびアミドなどを適宜
配合することができる。
【0016】本発明の高粘性流体組成物は、ニーダー、
ロールミキサー、バンバリーミキサーなどの混合機を用
いて配合することができる。これらの混合機による配合
方法としては、例えば高粘性炭化水素流体、無機フィラ
ーおよび必要に応じて酸化防止剤の必要量を混合機に送
入して混合を行うが、これらの成分の添加順序は特に制
約されない。混合温度や混合時間も特に制限はなく、十
分均一になるまで混合を行うことが好ましい。
【0017】以上の方法によって得られた本発明の高粘
性流体組成物は、比重が1以上であるために、雨水や結
露などによって水が振動エネルギー減衰装置内に混入す
ることがない。さらに、常温を中心に広い温度範囲にわ
たってほぼ一定した粘着力や粘性を保ち、長時間の使用
においてもそれらの特性はほとんど低下することがな
い。
【0018】本発明の高粘性流体組成物を充填した振動
エネルギー減衰装置は、高粘性流体の粘性によるせん断
抵抗力を利用して振動エネルギーを減衰する装置であれ
ば特に限定されない。例えば、建築物の地盤面に固定さ
れた床面に直接または間接的に固定されている凹部分
と、その凹部分が固定されている床面と切り離された面
に直接または間接的に固定されている凸部分、および上
記凹部分に充填され、上記凸部分を取り巻く本発明の高
粘性流体組成物とから構成され、凹部分または凸部分が
直接または間接的に固定された面のいずれか一方の面ま
たは両方の面に振動エネルギーが加わると、凸部分表面
と高粘性流体組成物との間に粘性によるせん断抵抗力が
発生し、その抵抗力によって振動エネルギーを減衰する
装置等が例示される。上記振動エネルギー減衰装置とし
て具体的には、前記の通り、制震壁、免震除振床、除振
装置等が挙げられる。
【0019】上記の制震壁について添付図面により説明
する。図1は、制震壁の一例を模式的に示す斜視図であ
る。制震壁1は、上階の建築構造体の骨組みに固定され
て垂下し、下階の建築構造体の骨組みと切り離された1
枚または複数枚の板からなる垂下壁2と、その垂下壁と
平行に下階の建築構造体の骨組みに固定されて垂下壁を
取り囲むように立ち上がり、上階の建築構造体の骨組み
と切り離された複数枚の板からなる立上り壁3との隙間
に、高粘性流体組成物を充填してなる振動エネルギー減
衰装置である。
【0020】制震壁1の垂下壁2および立上り壁3を構
成する材料としては、鋼板のほかに、強化用繊維、具体
的にはガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊
維またはアミド繊維などと、マトリックス樹脂、具体的
には不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂、またはポリアミド、ポリプロピレン、ABS
樹脂などの熱可塑性樹脂との組合せからなる繊維強化プ
ラスチック板を使用することができる。
【0021】さらに制震壁の具体的構造として、これら
の制震壁1の水平方向および鉛直方向に所定の間隔を空
けて垂下壁2と立上り壁3とを貫通するボルト孔を空け
(図示せず)、これら両壁のボルト孔に両壁間の隙間を
保持する隙間調整ボルトを挿通してナットで螺合し、両
壁間の隙間の大きさを隙間調整ボルトのナットへの螺合
長さに応じて調整することができるもの(特公平4−3
8867号公報)、あるいは壁の空間部の上端部もしく
は側部に、充填する粘性物質の貯溜部を設けたもの(特
開平5−86744号公報)などがある。
【0022】制震壁内への高粘性流体組成物の充填は、
垂下壁を立上り壁に建て入れる前または建て入れた後に
行うことができ、その方法には特に限定はない。建入れ
前の充填方法としては、例えば立上り壁の上部から壁内
へ長い流入管を取り付けて高粘性流体組成物を流し込み
充填する方法、立上り壁の下部に複数の注入口を設け
て、その注入口からグラウト注入機などのポンプを利用
して高粘性流体組成物を充填する方法などがある。これ
らの方法により立上り壁内に高粘性流体組成物の充填を
完了した後、垂下壁を立上り壁内に建て入れることによ
り制震壁を完成する。図2は、図1の制震壁の組立て前
の状態を示す斜視図である。立上り壁3の内部に、すで
に高粘性流体組成物4が充填されている場合の例を示し
た。また、垂下壁を立上り壁に建て入れた後に高粘性流
体組成物を充填する場合には、立上り壁の下部に注入口
を設けて注入する方法を用いることができる。なお、充
填の時期については、あらかじめ制震壁の製作現場にお
いて高粘性流体組成物を充填して施工現場に搬入した
り、または施工現場において配合し充填するなど任意に
行うことができる。
【0023】本発明の高粘性流体組成物は、三酸化アン
チモンなどの顕著な難燃効果を示す無機フィラーを配合
することができるので、このような高粘性流体組成物を
制震壁に充填することにより、建築資材自体に難燃性を
付与することもできる。
【0024】また、橋梁や高架道路などの桁状構造物の
除振装置とは、桁状構造物を支持する支承あるいは桁状
構造物に作用する活荷重、すなわち各種車輌の走行によ
ってもたらされる桁の振動および地震荷重による桁状構
造物の変位を吸収し緩和して橋脚などの下部構造に伝達
する機能を有する装置である。通常、桁は橋台や橋脚上
に可動支承あるいは固定支承を介して支持されている。
このような桁上を各種車輌が走行するときに生ずる桁の
たわみ振動が大きい場合には、桁上を歩行する人に心理
的に不安感を与えたり、また桁の振動が直接橋脚を伝わ
って地盤を振動させたり、超低周波空気振動を発生して
桁付近の人家の窓や戸を振動させることにより、二次騒
音(公害)を引き起こす原因となる。このような桁の振
動に起因する人の不安感あるいは二次騒音を取り除くた
めに、高粘性流体組成物を充填した除振装置を用いる。
このような装置として具体的には、例えば、特開昭50
−43730号公報、特開昭51−66137号公報、
特開昭53−76532号公報、特開昭54−5442
5号公報、特開昭55−111507号公報、特開平5
−59703号公報などに記載したものが挙げられる。
【0025】また、免震除振床とは、研究所、コンピュ
ータールームおよび原子力設備を収納する建屋などをは
じめとする各種の建築物を地震や振動の影響から保護
し、振動が支障の原因となる精密機械を除震支持し、あ
るいは振動発生源としての機器を防震支持したり、人間
や機器の移動に伴う微振動を防震支持するなどの目的で
用いられる装置であり、装置に高粘性流体組成物を充填
して除震や防震の効果を得ることができる。このような
装置として具体的には、特開昭62−9045号公報、
特開平1−55446号公報、特開平2−47477号
公報、特開平3−63361号公報、特開平5−332
008号公報に記載したものが挙げられる。
【0026】また、自動車エンジンのマウント装置にお
いては、エンジン始動(アイドリング)時あるいは急発
進時にエンジンに生ずる振幅(変位)の大きい低周波振
動を減衰して振動の車体側への伝達を低下させ、また走
行時には、路面の凹凸などによって車体側に生ずる振幅
の大きい低周波振動を減衰して振動のエンジン側への伝
達を絶縁し、振動によるエンジンの共振を防止し、高速
走行時にエンジンに生ずる振幅の小さい高周波振動に対
しては、振動を減衰して振動が車室へ伝播して車室内騒
音を高めることを抑制するなどの目的で、本発明の高粘
性流体組成物を充填して用いる。このような装置として
は、例えば特公平5−67819号公報に記載されたも
のなどがある。
【0027】さらに、配管の支持装置とは、配管内の流
体の流れなどにより生ずる振動の防振、あるいは地震動
により配管系に生ずる地震力の分散などに使用されるも
のであり、具体的には特公昭63−23436号公報に
記載された装置などが挙げられる。
【0028】その他、特開昭58−76361号公報に
記載された車両緩衝停止装置などにも本発明の高粘性流
体組成物を充填することができる。上記のように本発明
の高粘性流体組成物は種々の振動エネルギー減衰装置に
用いることができ、装置が設置される環境条件に従って
高粘性流体組成物の粘度を適宜調節する。このようにし
て高粘性流体組成物を充填した上記装置は、地震から常
時微動までの広い範囲の振動エネルギーを吸収し低減す
ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、実施例においてより具体的
に説明する。
【実施例】
<実施例1>中分子量ポリブテン(粘度平均分子量4
0,000)100重量部、高分子量ポリブテン(粘度
平均分子量1,600,000)30重量部、低分子量ポ
リブテン(1)(数平均分子量1,400)30重量部お
よび低分子量ポリブテン(2)(数平均分子量2,90
0)30重量部、ならびに酸化防止剤としてテトラキス
〔メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(商品
名:Irganox 1010、チバガイギー社製)をポリブテン混
合物 100重量部に対して0.5重量部および無機フ
ィラーとして三酸化アンチモン(比重5.2、平均粒径
0.5μm)をポリブテン混合物100重量部に対して
40重量部を混練機に入れ、室温で30分間攪拌混合
して、均一に分散した高粘性流体組成物を得た。得られ
た組成物の比重および粘度を表1に示す。
【0030】<実施例2〜6、比較例1、2>実施例1
で用いた各種ポリブテン、酸化防止剤および無機フィラ
ーを表1に示す配合割合で混合し、実施例1と同様にし
て高粘性流体組成物を得た。なお、比較例は、実施例1
および6において無機フィラーを配合していないもので
ある。それらの比重および粘度を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】上記実施例および比較例による組成物を、
図1に示す形状の制震壁の試験装置に充填し、組成物の
上部にそれぞれ水を張り、1日放置した後状態を観察し
た。比較例の場合には、水が下部に溜まり、一方、実施
例の組成物の場合には水は上部に保持されていた。な
お、別に測定した結果によれば、実施例の制震壁として
の制震効果は、有効なレベルであった。
【0033】
【発明の効果】本発明の振動エネルギー減衰装置用高粘
性流体組成物は、比重が1以上であるため、雨水や結露
などによって振動エネルギー減衰装置内に水が混入する
ことがほとんどないので、装置の施工後に定期的な保守
点検などを行う必要がない。また、本発明の高粘性流体
組成物は、適度な流動性を有するため、装置内への充填
作業などを短時間で行うことができ、さらに常温を中心
に広い温度範囲にわたってほぼ一定した粘着力や粘性を
保ち、長時間放置してもほとんど低下しないという格別
の効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】制震壁の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】制震壁の組立前の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 制震壁 2 垂下壁 3 立上り壁 4 高粘性流体組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 15/02 8917−3J F16F 15/02 F // F16L 3/20 F16L 55/02 3/215 3/20 F 55/02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高粘性炭化水素流体(A)および無機フ
    ィラー(B)からなることを特徴とする振動エネルギー
    減衰装置用高粘性流体組成物。
  2. 【請求項2】 比重が1以上であることを特徴とする請
    求項1に記載の振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記A成分がポリブテンであることを特
    徴とする請求項1または2に記載の振動エネルギー減衰
    装置用高粘性流体組成物。
  4. 【請求項4】 前記A成分が、数平均分子量1,000
    〜4,000の範囲にある低分子量ポリブテンおよび数
    平均分子量が4,000より大きいポリブテンからなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動エネル
    ギー減衰装置用高粘性流体組成物。
  5. 【請求項5】 前記A成分が、数平均分子量1,000
    〜4,000の範囲にある低分子量ポリブテン、粘度平
    均分子量20,000〜70,000の範囲にある中分子
    量ポリブテンおよび粘度平均分子量900,000〜2,
    100,000の範囲にある高分子量ポリブテンからな
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の振動エネ
    ルギー減衰装置用高粘性流体組成物。
  6. 【請求項6】 前記B成分が、比重3以上の無機フィラ
    ーであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに
    記載の振動エネルギー減衰装置用高粘性流体組成物。
  7. 【請求項7】 酸化防止剤を含むことを特徴とする請求
    項1から6のいずれかに記載の振動エネルギー減衰装置
    用高粘性流体組成物。
  8. 【請求項8】 高粘性炭化水素流体(A)および無機フ
    ィラー(B)からなる高粘性流体組成物を充填し、該組
    成物の粘性によるせん断抵抗力を利用することを特徴と
    する振動エネルギー減衰装置。
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