JP2008014074A - 制震部材及び床構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】三次元方向等の揺れを吸収緩和し、地震等の衝撃を軽減し、家具等の転倒、移動を抑制すると共に、重量床衝撃音、軽量床衝撃音も大きく低減する事も出来る制震部材を得る。
【解決手段】床躯体と浮床層との間に配設される制震部材1を提供する。制震部材1は基板2と複数の制振材3,4,5等を有する。制振材3,4,5等は基板2の上面及び下面の少なくとも一方又は双方に設けられ、少なくとも1種の制振材は硬い基材と柔らかい粘弾性体との組合せの材料から構成される。制振材は、螺旋管と少なくともその表面又は内面の粘弾性体とから構成する事が出来、さらに、少なくとも1種の制振材は、粘弾性体、弾性体及びそれらの組合せから選ばれる少なくとも1種の材料から構成する事が出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の各階の床躯体と浮床層の間に複数離間して設置され、地震の三次元方向の揺れに対応し、地震エネルギーを吸収緩和する、総厚が薄く特別な設計を必要としない制震部材に関する。
従来技術
地震の影響を受け難くする方法としては、従来より、建物全体を支持する免震構造として、ボールベアリングやテフロン支承やロッキングボールを使って、水平方向の二次元の揺れに対応する方法が知られている。又、積層ゴムを使う方法も知られ、これも水平方向の二次元の揺れに対応する方法である。他には、質量効果機構として、液体や固体を構造体に付加し、質量の運動により構造体自体の振動を制御するものが知られている。
又、自動制御機構として、入力をセンサで感知し、これに対し、系の振動が制御される様に、柱やブレースの剛性を変化させたり、構造体に付加された質量に振動を与えたりするものが知られている。これ等の他には、ダンパ機構として、オイルダンパ、粘性ダンパ、粘弾性ダンパ、摩擦ダンパ、履歴ダンパ等の機構が知られている。又、各階を制震構造床とする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11-107575号公報
しかし乍ら、これ等は、地震の上下動に対応する物ではなく、水平方向の前後左右の二次元若しくはいずれか一方の一次元で十分に対応する様に考えられた物で、三次元の動きに充分に対応出来る物では無い。
一方、建物全体でなく各階の床を支持する方式として、上記手段の単独又は組合せで用いられる例はあるが、鉛直方向にも有効にする為に空気バネやオイルダンパを併用する方法であり、装置が複雑で一般の居住者、施工者にはメンテナンス等が充分に行え無いとか、長期耐久性に不安がある。又、装置の総厚みが大きく、一般住居には不向きである。
そこで、総厚が薄く、特別な設計変更が無くても使用出来、メンテナンスも不要で、浮床を支持するスペースで用いる事が出来る、三次元的に有効な制震部材が求められるが、その様な物の提案は無い。
本発明の課題は、床躯体に制震部材を設置し、その上に浮床層を設置固定する事で、地震時のP波、S波、表面波の三次元方向等の揺れを吸収緩和し、地震等の衝撃を軽減し、家具等の転倒、移動を抑制すると共に、重量床衝撃音、軽量床衝撃音も大きく低減する事も出来る制震部材を得る事である。
本発明は、床躯体と浮床層との間に配設される制震部材であって、基板と複数の制振材とを有し、前記制振材が前記基板の上面及び下面の少なくとも一方又は双方に設けられ、少なくとも1種の前記制振材が(A)硬い基材と柔らかい粘弾性体との組合せの材料から構成される、制震部材及びかかる制震部材を用いる床構造に係るものである。
本発明によれば、所定の制振材から構成される制震部材によって、地震等の三次元の揺れ方向に対応した揺れのエネルギーの吸収が行われ、総厚が薄く、浮床を支持するスペースにおいて特別な設計変更やメンテナンスが無くても使用出来、揺れに対して三次元的に有効で、しかも重量床衝撃音や軽量床衝撃音の改善にも優れる制震床構造が得られる。
本発明は、建物本体の耐震を行うものではなく、耐震等に考慮はされてはいるが、具体的に免震装置等が設けられてはいない既存の建物や、今後建築されるであろう建物に対し、階毎に床で三次元方向の揺れを吸収緩和する、床用制震部材及び床構造を提供するものである。
地震時の建物は倒壊や崩壊が最悪であるが、それ等が発生しない様に耐震を考慮した建物は、具体的に免震装置等を設けた建物よりは、現状では、遥かに多数あり、今後も一生のうち一回あるか無いかのマグニチュード7程度以上の地震に対しての免震装置等を設けた建物が多く建築されるとは考え難い。それよりも、常時発生する重量床衝撃音や軽量床衝撃音が大きく改善され、万一の地震時には、各階の床を通して居住者に伝わる振動を、三次元方向で揺れを軽減し、構造上の問題を生じさせず、居住者の恐怖感を減少し、かつ、家具等の転倒を抑制する床を提供する事こそ重要である。
本発明では、多種多様な複数の制震部材を用いる事が出来、床躯体上に、各制震部材を任意の間隔で各々離間して配置し、固定する事が出来る。制震部材は三次元方向に可動する制振材と制振材の上下の少なくとも一方の基板を有する。制振材は、(A)硬い基材と柔らかい粘弾性体を組み合わせたものを用いるが、必要に応じて、(B)粘弾性体からなるもの、(C)弾性体からなるもの、又は(D)(A)〜(C)のいずれか少なくとも2種を組み合わせたものを用いる事が出来、これを少なくとも1種、又は1種又はそれよりも多い種類を少なくとも1つか、それよりも多い数組み合わせ、基板の所定位置に配置した制振材の群として設ける事が出来るものである。この様にする事で、制振材の群からなる制震部材は三次元方向の地震等の揺れに対し、地震や揺れのエネルギーの吸収緩和と減衰を行う事が出来、居住者への揺れを軽減し、家具等の飛び上がり、転倒を抑制出来る。その結果、地震等のエネルギーよりも小さな重量床衝撃や軽量床衝撃にも充分な吸収緩和能力が発揮出来る。
以下、本発明にかかる構成材について順次詳細に説明する。
床構造は、建築物の床躯体上で、複数離間し設置固定する制振部材とその上に設置固定される浮床層とからなる事が出来る。
本発明では、制震部材は、中高層建築物の床でも充分地震エネルギーの吸収緩和や重量床衝撃音や軽量床衝撃音の低減に大きな効果を有するが、特に戸建や低層のアパートでは従来重量床衝撃音を大きく低減出来る床材はなく、地震についても三次元の揺れ方向に対応し、地震エネルギーを充分に吸収緩和するものは無い。それ故に、本発明に従う制震部材は、建築構造材の柱、梁、床、壁等の相互固定度の低い木造、ツーバイフォー造、鉄骨造等の戸建や低層アパートではその有効性が大きい。
床躯体は建築物の構造躯体の床部分であり、床躯体は、ALC版、PC版、中空押出セメント版等の無機質床版や木床パネル、根太に合板やパーティクルボード等の板材が固定される木質床版や、それ等に更に石膏ボード、遮音板、遮音シート、合板やパーティクルボード等の板状材が単層か複数層積層されるもので良く、更に個々の床版を連絡一体化した床版を用いる事が出来る。この床躯体の中には、下階の天井も含めたパネル状の床版も含まれる。
浮床層は後述する制震部材によって浮かされる床部分であり、浮床層としては、一般的に浮床と称される、板材を積層して構成されるもの、その表面に床仕上材が設けられるものが含まれる。床仕上材は通常用いられる市販の床仕上材であれば、特に制約される事なく何でも用いる事が出来るが、防音床では、本発明においては制震部材それ自体が防音性を発揮するので、割高な防音フロアーを用いる意味はあまり無い。浮床を構成する板材としては、最下層には、用いる板材のうち一番曲げ剛性の強い材質を使う方が浮床の歩行時のたわみも少なく歩行感が良い。又、積層は板材の長辺と短辺を交互に積層し、上下の板材の継目を少なくとも10cm以上ずらす方が床としての曲げ剛性が高くなり、床面が均一な曲げ剛性となるので好ましい。又、固定はビス固定とすれば、解体後の再利用も行い易く、材料の分別処理もし易い。
浮床層に用いる板材としては、合板、パーティクルボード、石膏ボード、遮音板を例示する事が出来、直ちに板材とは言い難いが、板状材として、遮音シートや、防湿シートを用いる事も出来る。防湿シートは、特に無機質床版を用いるときには、無機質床版が高い含水率の場合が多く、無機質床版上に防湿シートを敷設し、その上からパーティクルボード等の板材でビス固定し、無機質床版からの水分が浮床層に吸収されない様にするのに好都合である。又は、防湿シートは、浮床層の最下層板に全面に貼り付けておいても良い。この様に浮床層への防湿処理を行う事で、浮床層の木質板の吸水による伸縮が防止出来、表面仕上材をフローリングとしたときの目隙き現象等の不具合を防止する事が出来る。
次に、制震部材について説明する。
制震部材は、必須構成要素としての制振材と基板を用いる。制振材は、(A)硬い基材と柔らかい粘弾性体を組み合わせたものを用いるが、(B)粘弾性体からなるもの、(C)弾性体からなるもの、(D)(A)〜(C)の少なくとも1種のものの組合せが含まれていて良く、制振材は、少なくとも1種以上、又は1種を1つ以上か、2種以上を各々1つ以上組み合わせ、1つの群として用いる事が出来る。
(A)又は(B)の粘弾性体は、ゴム、熱可塑性エストラマ、架橋反応性液状ゴム、熱可塑性樹脂を単独又は併用して用いる事が出来る。液状ゴムは架橋反応させる事が出来るが、その他は必ずしも架橋反応させ無いでも用いられる。ソリッド、発泡体、粉粒体等からなるもので良く、粉粒体等をバインダで成形したものを用いる事も出来、それらを積層品としても良い。
組み合わせる制振材の種類や形状、数量等に応じ、任意の物性をコントロールすれば良く、その手段としてゴム工業で用いられる充填剤、可塑剤、瀝青剤、粘着付与樹脂、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、触媒、老化防止剤等を適宜使用する事が出来る。
前記ゴムの具体例は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンターポリマ、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレン、各種再生ゴムを例示出来る。
熱可塑性エストラマ(以下、TPEと略記)としては、ハードセグメントをポリスチレンとし、ソフトセグメントをポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンとしたポリスチレンTPE、ハードセグメントをポリエチレン又はポリプロピレンとし、ソフトセグメントをエチレンプロピレン共重合ゴムとしたポリオレフィンTPE、ハードセグメント及びソフトセグメント共にポリ塩化ビニルとしたポリ塩化ビニル系TPE、ハードセグメントをポリウレタン樹脂としソフトセグメントをポリエーテル又はポリエステルとしたポリウレタン系TPE、ハードセグメントをポリエステル、ソフトセグメントをポリエーテルとしたポリエステル系TPE、ハードセグメントをポリアミドとし、ソフトセグメントをポリエーテル又はポリエステルとしたポリアミド系TPE、ハードセグメントをシンジオタクチック-1,2-ブタジエンとし、ソフトセグメントをアタクチック-1,2-ブタジエンとしたTPE等を例示出来る。
反応性(架橋反応性)液状ゴムとしては、ポリブタジエン、クロロプレン、イソプレン、スチレンブタジエン、アクリロニトリルブタジエン等の主鎖骨格に末端反応基を1分子当り2個以上有するポリマと、末端反応基と反応性を有する反応基を有する化合物とを硬化反応させて得られたゴムが例示出来る。
熱可塑性樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチルペンテン-1、アイオノマ、アクリロニトリル-スチレン共重合体へのポリブタジエンの混合物、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、セルロースアセテート等を例示出来る。
これらを用いた粘弾性体は弾性のバネ要素のみでなく、粘性に由来する制振要素も併せ持つので、高さ、硬度、バネ定数、圧縮復元時間、反撥係数等を考慮して、(A),(B),(D)の制振材において、又は(A)〜(D)の制振材との最適の組合せの群を作製する事が出来る。
次に、(C)の弾性体は、前述のゴム、熱可塑性ポリマ、反応性液状ゴム、熱可塑性樹脂を単独又は併用して構成する弾性成分に富むものや、金属バネ、プラスチックバネが例示出来、これらから制振材を構成する事が出来る。弾性体からなる制振材は上下の何れか一方を基板と固定し、固定して無い方にキャップを被せて、キャップで滑り易い材質を用いたり、又はや処理をしたりしておくと、一定の応力になるまでは摩擦抵抗を利用し、そこから剪断変形でのエネルギーロスを行わせる事も出来る。
本発明で言う硬い基材と柔らかい粘弾性体を組み合わせた制振材は、硬い基材単体でか、若しくは柔らかい粘弾性体と組み合わせる事で、変形し、復元し得るものを言う。前述の粘弾性体が用いられ、この粘弾性体に比べ相対的に硬い基材を組み合わせたものである。基材には、種々の材質、形状のものを用いる事が出来るが、その具体例としては、金属やプラスチックからなる螺旋管(フレキシブル管の様な凹凸を有する管でも良い)や凹凸を有する板状物、鋼板、金属やプラスチックからなるバネを用いるのが良い。制振材は、螺旋管や板状物等の基材に、粘弾性体を積層又は充填、被覆、被着等させたり、組み合わせたりする事で得る事が出来る。又、前記バネでは、その内周、外周の少なくとも一方の一部に粘弾性体を用い、必要に応じて、併用するもの、前記バネの片端に、少なくとも一部に粘弾性体を備え、表面摩擦材を有する滑り部を設けたもの、滑り部を設けたバネの内周、外周の少なくとも一方の一部に粘弾性体を設けたもの、金属やプラスチック等からなる板材等の基材と粘弾性体とでは、粘弾性体を複数層、必要に応じて交互に積層したもの、前記積層物の片端に滑り部を設けたもの等を例示する事が出来る。
螺旋管は、少なくともその外面又は内面に、又外周又は内周に粘弾性体を設ける事で、螺旋管自体の制振も行え、振動の減衰性、変形応力を調整する事も出来る。又、螺旋管は内部に粘弾性体を充填しても良く、充填率も変形応力等により調整出来、内部に充填する粘弾性体もソリッド、発泡体、粉粒体等からなるものであっても良く、液状ゴムを反応硬化させ乍ら形成する事も出来る。螺旋管を使用した場合も、弾性体と同様に、剪断変形を粘弾性体ほど大きくとる事が出来ないので、一定応力になるまでは摩擦抵抗を利用する事が好ましい。鋼板とゴムとを交互に多数積層した免震体に類似するものでは、上下の少なくとも一方に、上下動に対応する柔軟な材質を利用する事が望ましい。通常の免震体では1つ当りの負担荷重が非常に大きく、この様な対処は出来無いが、本発明においては、制震部材1つ当りの負担荷重は浮床層及び家具によるもので非常に小さい為、この様な上下動の対処が可能となる。
次に、(A)〜(D)の少なくとも1種の組合せ群について説明する。この制振材の群には、充分な剪断変形能を有する制振材が1つの群として上下方向の荷重、衝撃に耐え、通常の床としての歩行感や周囲を第三者が歩行したときの床の振動が少ないのが望ましい。それらの為には、上下方向の変形に対し復元力の良い事が必要となり、これには、(A)の硬い基材と柔らかい粘弾性体の組合せや(C)の弾性体からなる制振材が好ましい。(B)の粘弾性体からなる制振材は剪断変形を大きくする上で有利である。
(A)や(C)の制振材、特に(A)や(C)の螺旋管の場合では、復元性が良い割に振動が継続し易いので、(A)や(C)の制振材は(B)のものよりも高さを低くして使用するのが好ましい。
制震部材の基板は、複数の制振材と共に用いられるもので、特に、材質、形状等に制限はないが、材質は、鉄、ステンレス等の金属板で良く、塗装があっても良く、合板、パーティクルボード等の木質板であっても良い。基板は、複数の制振材の群を一つの制震部材としてまとめ、優れた制震性能の発揮や一定以上の制震性能の設計に大いに役立つ。又、基板は、制振材の群を予め所定位置に配設しておく事が出来、取付配置によっては作用効果が異なってしまう事を防止し、施工ミスを防止し簡単な施工にする上で非常に有効となる。施工面からは床躯体面に、基板裏面に設けた粘着層で固定しても、ビス等で固定しても良い。同様に、浮床層に粘着層で固定しても良く、ビスで固定しても良い。したがって、特に、固定方法、手段等に制約は無いが、金属の場合は粘着の方が便利で有利である。
制震部材は固定部材を備える事が出来る。固定部材は制震部材を床構造に設ける為に用いる事が出来る。或は又、固定部材は、それ自体に制震性能を発揮させるか、又は制震部材の制震性能を促進させたり、補助したりする事が出来る。固定部材は、三次元の揺れ方向に可動し得るもので、固定部材が、基板及び/又は少なくとも1つの制振材を貫通し、制震部材を床躯体及び/又は浮床層に固定する様にする事が出来る。
基板への制振材の取り付けにおいては、剪断変形を大きくとれる(A)の鋼板と粘弾性体とを多数積層したものによる制振材や(B)の粘弾性体によるものでは、上下共に基板又は床躯体又は浮床層に固定して剪断変形による振動エネルギーのロスを行う事が望ましい。
このとき、制振材は上下方向の穴を有する様にする事が出来、又基板への制振材の設置位置で基板に貫通穴に設ける事が出来、制震部材を床躯体や浮床層へ三次元の揺れ方向に可動する固定部材で固定する事に用いる事も出来、固定部材を可動させる事で地震エネルギーをロスさせる上で都合が良い。
固定部材は、特に制限される事なく、種々の材質、形状等のものを用いる事が出来るが、ピアノ線やステンレス線を多数撚ってワイヤ状とし、両端に固定用のボルトやナットを設けたものや、バネの両端に固定用のボルトやナットを設けたもの、或は固定部材としてのワイヤ状物やバネ状物の中間にゴムを設けたもの、ゴムの両端に固定用ボルト、ナット、フック等を設けたものを例示する事が出来る。
このとき、粘弾性体や弾性体をゴムとした場合は、固定部材の片端を板状の留め具として制振材の穴を貫通穴としない方法でも良い。この様に、制振材の上下方向に貫通穴や穴を設ける事により、三次元方向に可動な固定部材で固定すると、基板や床躯体や浮床層と完全に固定される訳ではなく、上下方向の床荷重で固定され、固定部分では横方向に揺れると滑り変形も兼ねる事で、摩擦抵抗力も使える。又、制振材の水平方向での貫通穴は制振材の変形し易さを生じさせ、上下方向、剪断方向の抵抗力の調整に利用出来る。したがって、制振材の貫通穴は、水平方向と言っても状況によっては少し傾斜した軸で穴を設ける方が良い場合もある。
制震部材は表面摩擦材を備える事が出来る。表面摩擦材は制振材が基板と接触する部分で用いられるか、又は基板が床躯体又は浮床層と接触する部分で用いられる。表面摩擦材としては、制振材又は基材上の球面状突起やキャップ等で良く、形状等、必ずしも摩擦抵抗を少なくする球面状、凸状とする必要はなく、凹面状であっても、エッジ部等に丸みを持たせる等の処理で、充分に供用出来る。つまり、材質もテフロンの様な高価なものを使用する必要はなく、汎用プラスチックのポリエチレンやポリプロピレン等の様な、粘弾性体に比べ相対的に硬いものを使用すれば、充分に摺動出来、かつ摩擦抵抗も利用出来る。表面摩擦材は、制振材や制震部材の摺動摩擦を基板や床躯体、浮床層との間で摺動可能とする事が出来、制振材や制震部材を三次元的方向での揺れに対し有効に機能させる事が出来る。表面摩擦材は、従来の免震構造で多用されているボールベアリングやテフロン支承の様な摩擦抵抗を少なくして大きく摺動させる事を目的としたものではなく、むしろ、逆に摺動は可能であるが、摩擦抵抗を大きくし、摺動距離は短くし、上下固定した場合と比べ、摺動する事で制振材のダメージを少なくし、摩擦抵抗力で早期減衰を目的としたものである。
制震部材、特にその制振材は、予め所定応力で圧縮固定する事が出来、制振材を予め一定応力で一定圧縮変形を与えておく事は、ある程度以上の衝撃や振動の入力があって初めて制振材が作用する事を意味し、特に床の歩行感や第三者歩行振動の感覚面で好印象を与える事が出来る。
図面を参照し、本発明をより一層詳細に説明する。
図1は1例の制震部材を裏側から見た裏面図である。図2は図1の制震部材の側面図である。図3は1例の床構造における制震部材の割付図である。図4は他の例の制震部材における制振材の配置図である。図5は図4の制震部材のA-A断面図である。図6は図4の制震部材のB-B断面図である。図7は他の例の床構造における図4の制震部材の設置図である。図8は更に他の例の制震部材における制振材の配置図である。図9は図8の制震部材のC-C断面図である。
図1及び図2は1例の制震部材1を示すもので、図1にはその裏面を、図2にはその側面を示す。制震部材1は、細長い基板2と複数の制振材3,4,5とからなる。制振材は、楕円錘状の粘弾性体からなる制振材3と、円錘状の粘弾性体からなる制振材4と、円錐状金属バネ弾性体からなる制振材5で構成される。制振材5では、円錐状金属バネ弾性体5Aが台座5Bにカシメ固定され、ポリエチレン製キャップ5Cが付けられ、各制振材3,4,5には、粘着層6が設けられる(キャップ5C、粘着層6は図1では省略する)。制振材3,4は基板2の長さ方向での組として用いられ、制振材4は単独でも用いられ、制振材4,5は基板2の幅方向での組として用いられる。制振材は、全体として、1種の粘弾性体、2種の粘弾性体の組、及び1種の粘弾性体と1種の弾性体との組から構成される制振材の群を形成する。これらの群は、各々基板2に接着又はビスで固定される。
図2に示す様に、制震部材1は、その下側が、図3に示す様な床躯体7に取り付けられる方で、上側が浮床層を設置する方である。基板2は各制振材3〜5の上面の片面のみにあり、図3に示す様に、制振材3,4は床躯体7へはその接地部の粘着層6で固定され、制振材5の弾性体の金属バネは制振材3,4より低い高さを持ち、衝撃や地震の変位を受けたときに接地し、エネルギー吸収を行う様になる。
図3は制震部材1を用いる1例の床構造8を示すが、浮床層は示してい無い。振動試験の供試体として機能させる事が出来る。制震部材1を3分割し、それら部分1A,1B,1Cを用いた床躯体7上での割付を示す図である。制震部材1の各制振材3,4,5は基板2を透視して見えるものである。制震部材1の部分1A,1B,1Cは、図1の制震部材1において制振材又はその組を右から3列ずつ切り取った形の部材を3本各々離間させて並べて設置する。
図4〜6は、他の例の制震部材11を示すもので、平面矩形の基板12上の制振材13,14,15の配置状況を示す略図である。中央に円錐状金属バネからなる制振材13があり、その長辺方向両側に、円錐状粘弾性体からなる制振材14が1個ずつあり、円錐状金属バネ制振材13の短辺方向に、各々3個ずつ列状に配置される円錐状粘弾性体からなる制振材15がある。
図4のA-A断面図である図5に詳細に示す様に、制振材13,14の上下に基板12がある。制振材13は、本質的には円錐状金属バネ弾性体13Aからなり、そのバネ弾性体13Aは、下側基板12にビス止めした座金13Bのカシメ固定部13Cで止められる。バネ弾性体13Aは、バネの摺動材兼キャップ13Dで上側基板12に接する。制振材13は中央にあり、その両側の円錐状粘弾性体からなる制振材14よりわずかに低い。
図4のB-B断面図である図6は、制震部材11の短辺方向の粘弾性体からなる制振材15の断面状況を示す。両側の制振材15は上下方向貫通穴15Aを有する。貫通穴15Aには、揺れ方向に可動なワイヤからなる固定部材16が通され、両端のナット16Aで床躯体及び浮床へ固定される。中央の制振材15は、粘弾性体の上下方向で約半分の深さの穴15Bを有し、固定部材17で下側基板12に止められる。固定部材17は、ピアノ線を捩じった揺れ方向に可動なワイヤ17Aと係止材17Bとナット17Cとからなり、中央の制振材15は床躯体に固定される。
制震部材11は、図7に示す様に床躯体18に配置される。図7の床構造19は、他の例の振動供試体として用いられ、それに設置される制震部材11の床躯体18上での配置図を示す。床躯体18の長辺長さLにおいて両短辺から1/4の所の中心に、制振部材11の中心を合わせ、制震部材11の長辺が床躯体の長辺に直交する方向で設置される。
図8及び9は、更に他の例の制震部材21を示すもので、平面矩形の基板22上で用いられる制振材23,24の配置を示す平面略図及び断面図である。基板22中央には、制振材23が配置され、制振材23は、硬い基材23Aと柔らかい粘弾性体23Bとを組み合わせたものである。制振材23では、上下に鉄板23Cが溶接され固定され、床躯体に固定する為のボルト用穴23Dがある。基板22の四隅には、円錐台状の粘弾性体からなる制振材23が固定される。
図9には、図8のC-C断面図を詳細に示す。上下の基板22には、制振材23,24が接触する。制振材23は、中央の硬い基材23Aと柔らかい粘弾性体23Bとを組み合わせるもので、上下に鉄板23Cを溶接固定する。上側鉄板23Dの中央には、球面状の突起23Eが設けられ、摺動摩擦が上側基板22との間で可能になる。粘弾性体からなる制振材24は四隅で基板22と接着固定される。
以下、実施例により具体的に本発明を説明し、その効果を示す。
(例1)
図1及び図2に示す様な制震部材を用いて、図3に示す様な床構造を施工する。
ALC床版(100mm厚×606mm幅×910mm長さ)の上に硬質石膏ボード(12.5mm厚×606mm幅×910mm長さ)とパーティクルボード(12mm厚×606mm幅×910mm長さ)を積層し、パーティクルボード上からDACビスにてALC床版に縦横303mmピッチで固定して、床躯体を作製する。
床躯体上に、基板を合板(9mm厚×100mm幅×606mm長さ)とし、粘弾性体からなる制振材(イ)(楕円錘台状:上底(長さ44mm×幅22mm)、下底(長さ88mm×幅44mm)、高さ27mm)を1個と、粘弾性体からなる制振材(ロ)(円錘台状:上底22φ、下底44φ、高さ27mm)を3個と、弾性体からなる制振材(ハ)(円錘台状バネ:上底19φ、下底38φ、高さ25mm)を1個とを用いて、制振材(イ)と(ロ)を基板長さの中央に約20mm離間して貼り付け、中央から227.5mmの位置に、各々制振材(ロ)単体と、制振材(ロ)1個と制振材(ハ)1個を約10mm離間させて取り付けて、制震部材Iを2個作製する。
次に、基板長さの中央に約10mm離間させて、制振材(ロ)と(ハ)を各々1個ずつ取り付け、中央から227.5mmの位置に、各々制振材(イ)1個と、制振材(ロ)1個を約20mm離間させて取り付け、制震部材IIを1個作製する。用いる制振材の構成、配合処方を表1及び表2に示す。
床躯体の長さ中央に、床躯体の幅方向と平行に制震部材IIを取り付け、床躯体の長さ方向で芯〜芯303mm離間させて、床躯体の幅方向と平行に制震部材Iを各々1個ずつ取り付けて、図3に示す様な配置とする。
次に、浮床層の最下層のパーティクルボード(20mm厚×606mm幅×910mm長さ)を設置し、制震部材上を300mmピッチで各3本ずつビス固定する。次に、アスファルト系遮音材(4mm厚×455mm幅×910mm長さ、4mm厚×151mm幅×910mm長さ)を隙間なく最下層パーティクルボード上に敷き、その上に、パーティクルボード(15mm厚×606mm幅×910mm長さ)を積層し、縦横300mmピッチで最下層パーティクルボードにビス固定する。次に、カラーフロア(12mm厚×303mm幅×606mm長さ)を3枚フロアーネイルにてパーティクルボードに固定して、振動試験の供試体とする。
(振動試験)
2点吊りとし、床躯体の幅方向端面中央に3.5mm厚鉄板をビス固定し、鉄板をインパクトハンマで加振し、床躯体のX,Y,Z軸方向の最大加速度を測定すると共に、浮床表面のX,Y,Z軸方向の最大加速度を測定する。結果を表3に示す。尚、床躯体面及び浮床面のピックアップは3軸方向が測定出来るピックアップを用い、測定位置は、床躯体、浮床共に加振方向と反対端部より50mm内側の幅方向中央の1点とする。加振方向はX軸、加振方向と直交する水平方向をY軸、鉛直方向をZ軸とし、インパクトハンマの衝撃力は1.3kNとする。
一方で、約1.8m×3.6mの開口部外周の四隅に30mm厚鋼板を介してジョイントボックスをボルト固定し、予めI型鋼両端にジョイントボックスに固定する穴開き板を溶接固定してあるI型鋼を固定し、長辺梁2本、短辺梁2本を固定し、予め長辺梁中央に、穴開き板を溶接固定してある穴を利用して、短辺梁1本を追加固定して、日の字状の梁組を作り、短辺梁に振動絶縁ゴムを貼り付け、その上にALC床版(100mm厚×606mm幅×1818mm長さ)を、幅方向で支持する様に横架させ、計6枚を短辺梁に固定する。その上に、硬質石膏ボード(12.5mm厚×910mm幅×1820mm長さ)とパーティクルボード(12mm厚×910mm幅×1820mm長さ)を、ALC床版の長辺と直交する方向で、DACビスによりALC床版に縦横303mmピッチで固定し、床躯体を作製する。その上に、図1及び2に示す制振材を芯〜芯303mmピッチで設置し、その上に振動試験と同じ床断面を有する様に浮床層を作り、JIS-A-1418-1及びJIS-A-1418-2[衝撃力特性(1)による]に準じて床衝撃音試験を行う。結果を表3に併せて示す。
その後、床の感応試験として、歩行感及び第三者の歩行での振動の伝わり方を測定する。この評価では、10名の各人が、良いを5点、悪いを1点とし、1点きざみで評価する。結果を表3に併せて示す。
(例2)
図4〜6の様な制震部材を用い、図7に示す様な床構造を施工する。
基本的には、例1で用いるものと同様な振動試験の床躯体を用い、図4〜6に示す制振部材を用いて図7に示す配置とする。床躯体に予め固定しておくボルトに、制震部材の各制振材の固定部材のナットを固定する。次に、予め浮床層に固定しておくボルトに、固定部材端部のナットを固定する。尚、床躯体及び浮床層と制震部材は、予め制震部材に設けた粘着層で基板と固定する。
制震部材は、中央に弾性体からなる制振材(ニ)(円錐台状バネ:上底24φ、下底50φ、高さ27mm)を設け、その長辺方向両横に粘弾性体からなる制振材(ホ)(円錐台状:上底30φ、下底50φ、高さ30mm)を各1個ずつ設け、制振材(ニ)の短辺方向の両方に各3個の制振材(へ)(円錐台状:上底20φ、下底34φ、高さ30mm)を設ける。制振材(へ)は、上下方向貫通穴を設けたものを片側両端と反対側中央とし、制振材(へ)の上下方向穴を上下方向の中央までとし、固定部材は、ワイヤを捩って径6mmとし、上下貫通穴を設けたものは両端にナットを固定し、上下方向中央までの穴としたものは、穴下部のゴム側に係止材を取り付け、残る片端をナットで固定する。
制震部材の上下は鉄板(3.2mm厚×300mm幅×400mm長さ)を基板として、制振材(ニ)は、下側のみを固定し、制振材(ホ)は上下を基板に粘接着固定し、制振材(ニ)の貫通穴のあるタイプは、上下共固定部材で固定し、上下方向中央までの穴のタイプは固定部材で下基板に固定して、特に基板と粘着材や接着剤で固定しない。尚、上下基板には粘着剤が設けられ床躯体や浮床層と粘接着する様になる。浮床層最下層に予めボルトを埋め込み固定しておき、ボルト固定する。用いる制振材の構成、配合処方を表1及び表2に示す。
浮床層は最下層でパーティクルボード(20mm厚×606mm幅×910mm長さ)を固定し、次いでアスファルト系遮音材(4mm厚×455mm幅×910mm長さ、4mm厚×151mm幅×910mm長さ)を隙間なく敷き、その上にパーティクルボード(15mm厚×606mm幅×910mm長さ)を最下層パーチにビス固定し、カラーフロア(12mm厚×303mm幅×606mm長さ)を3枚フロアーネイルで固定して振動試験の供試体とする。振動試験は例1と同様に行い、結果を表3に示す。
床衝撃音測定は、例1の床躯体に制震部材を配置し固定し、その上にパーティクルボード(20mm厚×606mm幅×910mm長さ)を振動供試体と同一の配置で固定し、アスファルト系遮音材(4mm厚×455mm幅×910mm長さ)を隙間なく敷き、その上に、パーティクルボード(15mm厚×910mm幅×1820mm長さ)を下地パーティクルボードの継目が重ならない様に設置し、ビスで下地パーティクルボードに固定する。その上に、カラーフロア(12mm厚×303mm幅×1818mm長さ)をフロアーネイルで固定して、例1と同様に床衝撃音及び床の感応試験を行う。結果を表3に示す。
(例3)
図8及び9に示す様な制震部材を用い、図7に示す様な床構造を施工する。
制震部材は、基本的には図8及び9に示すものであり、中央の硬い基材(鉄製螺旋管)と柔らかい粘弾性体を組みあせた制振材(ト)1個と、四隅の粘弾性体からなる制振材(チ)(円錐台状:上底40φ、下底80φ、高さ100mm)4個とを上下に基板(パーティクルボード:9mm厚×350mm幅×450mm長さ)を設けて用いる。制振材(ト)は予め螺旋管(山部径151mm、谷部101mm径、3山、螺旋部高さ60mm、両端直管10mm長さ、板厚1.5mm)の両端に、3.2mm厚×200mm幅×200mm長さの鉄板を溶接し、下側鉄板の四隅に基板への固定穴からビス固定する。螺旋管山谷部外周に粘弾性体を設け、粘弾性体外径を170mmとする。上側鉄板の中央に球面状の摺動用硬質ポリエチレンを予め裏面よりビス固定する。更に、上側基板と四隅の制振材(チ)の上底とを接着固定して、制震部材とする。用いる制振材の構成、配合処方を表1及び表2に示す。
例2で用いる床版を用い、制震部材の配置を例2と同様にして、制震部材の長手方向の中心線を床躯体の長辺方向と直交とし、端部から3227.5mm(床躯体長さLの1/4)として設置し、DACビス固定する。これは図7と同じ配置である。上側基板は粘着層を設け、浮床層(最下層のパーティクルボード:20mm厚×606mm幅×910mm長さ)を設置し、ビスと粘着の両方で固定する。その上にアスファルト系遮音材(4mm厚×455mm幅×910mm長さ、4mm厚×151mm幅×910mm長さ)を隙間なく敷き、その上にパーティクルボード(15mm厚×606mm幅×910mm長さ)をビスで下層パーティクルボードに固定する。次に、カラーフロア(12mm厚×303mm幅×606mm長さ)を3枚フロアーネイルで固定し、供試体を作製し、例1、2と同様に試験する。結果を表3に示す。
例1、2と同様に、二階床開口部に設置する床躯体上に、制震部材を設置し、その上に、パーティクルボード(20mm厚×606mm幅×1818mm長さ)を、ビス及び粘着の併用で固定し、その上にアスファルト系遮音材を敷設する。その上に、パーティクルボード(15mm厚×910mm幅×1820mm長さ)をビス固定した後、カラーフロア(12mm厚×303mm幅×1818mm長さ)を固定して振動試験供試体とする。
例1、2と同様に、二階床開口部上に設置する床躯体上に、制震部材を図7に示す振動供試体と同様に配置し設置固定し、その上にパーティクルボード(20mm厚×606mm幅×1820mm長さ)を設置し、ビス固定後その上全面にアスファルト系遮音材(4mm厚×455mm幅×910mm長さ)を隙間なく敷き、その上に下のパーティクルボードの長辺、短辺の継目が合わない様にパーティクルボード(15mm厚×910mm幅×1820mm長さ)を設置し、ビス固定し、その上にカラーフロア(12mm厚×303mm幅×1818mm長さ)を下のパーティクルボードの長辺と長辺を直交してフロアーネイルで固定し、床衝撃音の測定と床の感応試験を行う。結果を表3に示す。尚、用いる制振材の組み合わせて、配合処方を表1及び2に示す。
Figure 2008014074
Figure 2008014074
Figure 2008014074
表1〜3を参照し、実施例及び比較例の結果から、本発明の効果を説明する。
例1は、総厚36mmの制震部材を床躯体と浮床層の間に介在させ、床高さの増加を非常に抑制した例である。結果は充分な制震部材の効果を示し、振動実験の結果、床躯体に1.3kNの入力を行った所、床躯体のX,Y,Zの三軸方向での最大加速度は、X軸の+方向、-方向で、各々184.50m/sec(秒)2、130.24m/sec2となり、大きな加速度であったにも拘らず、浮床面では、X軸の+方向、-方向で、各々2.37m/sec2、8.67m/sec2となり、浮床面には、各々1.28%、6.66%しか伝達し無い。Y軸もZ軸も同様にチェックすると、Y軸、+方向、-方向で、各々1.88%、0.62%、Z軸、+方向、-方向で、各々1.55%、1.85%しか伝達し無い。これは非常に大きな効果といえる。又、常時生活時に影響を受ける床衝撃で見ると、最も改善し難い重量床衝撃音でLH54となり、比較例1の床躯体単体でのLH68を3ランク低減出来る。軽量床衝撃音では、LH44となり、床仕上材が通常のカラーフロアで硬さを保ちながら、床躯体単体から5ランク改善し、非常に良好な結果が得られる。又、歩行感、第三者歩行振動も全く問題の無い、しっかりとした硬い床に仕上がる。
例2は、総厚39mmの制震部材を床躯体と浮床層の間に介在させ、床高さの増加を抑制した例である。結果は充分な制振効果が得られ、振動実験の結果、例1と同様な評価を行うと、X軸方向の+方向、-方向で床躯体上の振動は浮床面では各々1.70%、5.75%しか伝達してい無い。Y軸方向の+方向、-方向では各々1.49%、0.70%しか伝達し無い。Z軸方向の+方向、-方向では、各々1.66%、1.98%しか伝達してい無い。この結果、三次元方向での振動伝達防止が充分出来る。一方、床衝撃音では重量床衝撃音でLH53、軽量圧衝撃音でLH45となり、床躯体単体より重量音で3ランク、軽量音で5ランクの改善効果が見られ、非常に良い結果が得られる。歩行感、第三者歩行床振動も全く問題の無いしっかりとした硬い床に仕上がる。
例3は、総厚118mmの制震部材を床躯体と浮床層の間に介在させ、床高増加を抑制した例である。結果は例1,2と同様の検討をすると、X軸方向の+方向、-方向で各々、床躯体の振動が3.53%、8.14%しか伝達し無い。Y軸方向の+方向、-方向では各々、4.56%1.55%であり、Z軸方向の+方向、-方向では各々2.85%、3.47%となり、非常に伝達し難い事が判る。一方、重量床衝撃音ではLH52となり、床躯体単体より5ランク、軽量床衝撃音ではLL42となり、床躯体単体より5ランクの大きな改善がある。歩行感、第三者歩行振動の体感性も良好で、しっかりとした硬い床の印象が強い。
以上より、本発明の制震部材を床躯体と浮床層の間に介在させる事で、常時影響を受ける床衝撃音では、戸建住宅や低層集合住宅の様に構造躯体間相互の固定度の低い建物であっても床衝撃音のLHで3ランク、LLで5ランクの非常に大きな改善が出来、生活上の歩行感や第三者歩行振動も良好であり、万一の地震時でも床躯体の振動を非常に伝達し難い床を形成させ、家具等の飛びや転倒防止に効果が高いと予測出来る。
1例の制震部材の裏面図である。 図1の制震部材の側面図である。 1例の床構造における制震部材の割付図である。 他の例の制震部材における制振材の配置図である。 図4の制震部材のA-A断面図である。 図4の制震部材のB-B断面図である。 図4の制震部材の床躯体上での割付図である。 更に他の例の制振部材における制振材の配置図である。 図8の制震部材のC-C断面図である。
符号の説明
1、11、21 制震部材
2、12、22 基板
3、4、5、13、14、15、23、24 制振材
6 粘着層
7、18 床躯体
8、19 床構造
16、17 固定部材

Claims (7)

  1. 床躯体と浮床層との間に配設される制震部材であって、基板と複数の制振材とを有し、前記制振材が前記基板の上面及び下面の少なくとも一方又は双方に設けられ、少なくとも1種の前記制振材が(A)硬い基材と柔らかい粘弾性体との組合せの材料から構成される、制震部材。
  2. 制振材が、螺旋管と少なくともその表面又は内面の粘弾性体とから構成される、請求項1の制震部材。
  3. さらに、少なくとも1種の制振材が、(B)粘弾性体、(C)弾性体及び(D)それらの組合せから選ばれる少なくとも1種の材料から構成される、請求項1又は2の制震部材。
  4. 床躯体と浮床層との間に配設される制震部材であって、基板と複数の制振材とを有し、前記制振材が前記基板の上面及び下面の少なくとも一方又は双方に設けられ、少なくとも1種の前記制振材が(A)硬い基材と柔らかい粘弾性体との組合せの材料から構成され、さらに、三次元の揺れ方向に可動し得る固定部材を備え、前記固定部材が、前記基板及び/又は少なくとも1つの制振材を貫通し、前記制震部材を床躯体及び/又は浮床層に固定される、制震部材。
  5. 床躯体、床躯体上の制震部材及び制震部材上の浮床層を備える床構造であって、制震部材が基板と複数の制振材とを有し、前記制振材が前記基板の上面及び下面の少なくとも一方又は双方に設けられ、少なくとも1種の前記制振材が(A)硬い基材と柔らかい粘弾性体との組合せの材料から構成される、床構造。
  6. 複数の制震部材が用いられ、前記各制震部材が任意の間隔で離間して配置される、請求項5の床構造。
  7. 制震部材が予め所定応力で圧縮固定される、請求項5又は6の床構造。
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