JP4413344B2 - 防音床構造 - Google Patents

防音床構造 Download PDF

Info

Publication number
JP4413344B2
JP4413344B2 JP32899999A JP32899999A JP4413344B2 JP 4413344 B2 JP4413344 B2 JP 4413344B2 JP 32899999 A JP32899999 A JP 32899999A JP 32899999 A JP32899999 A JP 32899999A JP 4413344 B2 JP4413344 B2 JP 4413344B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floor
soundproof
impact
shock absorbing
convex portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32899999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001146811A (ja
Inventor
浩之 矢島
博文 柿本
治 木曽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hayakawa Rubber Co Ltd
Daiwa House Industry Co Ltd
Original Assignee
Hayakawa Rubber Co Ltd
Daiwa House Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hayakawa Rubber Co Ltd, Daiwa House Industry Co Ltd filed Critical Hayakawa Rubber Co Ltd
Priority to JP32899999A priority Critical patent/JP4413344B2/ja
Publication of JP2001146811A publication Critical patent/JP2001146811A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4413344B2 publication Critical patent/JP4413344B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Floor Finish (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨梁と、前記鉄骨梁によって支持される床下部構造体と、前記床下部構造体上の床上部構造体とを備えている、鉄骨構造住宅用の防音床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物の床衝撃音の低減に関する要望は多い。かかる床衝撃音は、軽量床衝撃音と重量床衝撃音に区別される。
【0003】
かかる床衝撃音の内、中でも、軽量床衝撃音は、比較的加振力の弱い振動源に対して対策すればよいので、建築物自体の構造にほとんど影響されることなく、仕上げ床材自体を対策することで容易に低減できるようになった。今では、かかる仕上げ床材は、防音床材として広く普及している。
【0004】
一方、重量床衝撃音は、RC造のような剛構造の建築物では床版厚を増すことで容易に改善できるので専ら床版厚の増加で対策がされている。
【0005】
ところが、一般の戸建住宅や低層集合住宅は、在来木造、ツーバイフォー、鉄骨造等が多く、柔構造が主流であるため、前記手法は、柱、梁等構造材の剛性増や床の重量増に要するコスト増のため、広く普及するには至っていない。なお、鉄骨造は、ツーバイフォーや在来木造と比べ剛性はあるものの、振動が伝播し易いという問題がある。
【0006】
また、鉄骨造、ツーバイフォー及び在来木造は、RC造よりも剛性が低い柔構造であるため、従来、梁の背を高くし、従って床の剛性を上げたり、床の重量を増したりすることが行われている。また、かかる柔構造床では、天井を独立天井として共振を回避し、更に天井材の増し貼りで遮音性を増したり、下階室の壁の内側に壁を設けたりと実に多くの実験が行われたが、供用し得る構造であって、音性能面でもコスト面でも満足し得る方法は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、床自体、床の支持固定方法、床/天井空間の利用、天井支持方法及び天井自体の改良等々様々な防音対策を考えた。その結果、床衝撃源の加振力を吸収緩和することで、重量床衝撃音が低減されることを解明した。
【0008】
従来、床版の上に発泡体等の緩衝層を全面に敷いて、その上に60mm厚以上のコンクリートを全面に形成する湿式浮床が行われたが、施工手間が多い点と、発泡体等の緩衝層が柔らかいことから、船酔い現象が生じる点等が指摘され、現在ではほとんど使用されていない。一方、この湿式浮床は、重量増の問題で、戸建住宅や低層住宅では構造上負担が大きすぎるので好ましくない。
【0009】
また、乾式二重床として、床版上に、約1m角位の板材の四隅に防振ゴム脚を設けた床下地材を置き並べ、その上に捨貼材や仕上材で床を形成する方法がある。しかし、かかる乾式二重床は、1つづつが下の床版に固定されていないので、衝撃を受けた反力で床版から浮き上がり、二度打ちが生じたり、単一のバネ特性だけで構成され、しかも床の面積に比べ防振ゴム脚が小さいので、十分衝撃が吸収できない欠点がある。
【0010】
このような従来の技術では、コスト面、実用性面から戸建や低層集合住宅が主流である柔構造建築物で、重量床衝撃音(特に、LH −55)の低減が十分に解決されておらず、コストを含め実用性の点で満足できる床構造の出現が待ち望まれている。
【0011】
本発明は、鉄骨造の戸建住宅や低層集合住宅において、重量床衝撃源の衝撃力を分離及び分散させて、重量床衝撃音が著しく低減できる防音床構造を得ることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鉄骨梁と、前記鉄骨梁によって支持される床下部構造体と、前記床下部構造体上の床上部構造体とを備えており、前記床下部構造体が、板状体と根太とを備える床パネル又は床版から形成されており、前記床上部構造体が、床下地材と前記床下地材上の床仕上げ材とから形成されている、鉄骨構造住宅用の防音床構造であって、前記床下部構造体と前記床上部構造体との間に複数の防音床材が配置されており、前記防音床構造を縦断面で見た時、前記各防音床材が互いに離間しており、前記各防音床材の間の水平方向に空間が設けられており、前記各防音床材が下部板材と複数の衝撃緩衝部材と上部板材とを備えており、前記下部板材が前記床下部構造体に固定されており、前記上部板材が前記床上部構造体に固定されており、前記各衝撃緩衝部材が前記下部板材と前記上部板材との間に配置されており、前記各衝撃緩衝部材が互いに離間しており、前記各衝撃緩衝部材の間の水平方向に空間が形成されており、前記各衝撃緩衝部材がバネ特性を有しており、前記バネ特性が、線形バネ特性、プログレッシブバネ特性及び定荷重バネ特性からなる群より選ばれており、一方の前記衝撃緩衝部材の前記バネ特性と他方の前記衝撃緩衝部材の前記バネ特性とが異なっており、前記床下地材が、JIS−A−5908試験での13.0N/mm2 以上の曲げ強さ及び15mm以上の厚みを有しており、前記床上部構造体の1m2 当たりの重量が40〜100kgであることを特徴とする、防音床構造に係るものである。
【0013】
本発明者等は、床衝撃源の加振力を吸収し緩和する構造について検討した。その結果、本発明者等は、防音床材を、既存の床版と板状捨貼材との間に設けることによって、床構造の重量床衝撃音が著しく改善されることを突き止めた。
【0014】
かかる防音床構造は、床を形成する土台となる板状捨貼材と床版との間に、複数の防音床材を離間させて設け、これらの防音床材で床衝撃力を吸収緩和するとともに、各防音床材の間の空間において、衝撃力を直接受ける板状捨貼材自体が問題とされる周波数よりも低い周波数の振動での変形振動をすることにより、床版への加振力の伝わりを低減し、床版からの放射音を著しく低減するものである。
【0015】
また、本発明者等は、重量床衝撃の力が4000N程度の大きさであり、この衝撃力を床構造で十分に緩衝させないと、梁や床根太から吊木で天井を吊った場合、天井の共振を伴ったり、下階室の壁からの放射音により重量床衝撃音が悪影響を受けることを突き止めた。
【0016】
本発明者等がかかる騒音の対策を検討したところ、新たに吊木受を設けて独立天井を設けるには、コスト上昇があり、場合によっては、天井空間を高くする必要が生じ、その結果、部屋の天井高が低くなり、圧迫感が出る等の問題が生じることがわかった。一方、壁からの放射音を防止するために、壁の内側に壁を作る等の対策では、コスト面でも実用面でも不適当な結果となる。
【0017】
かかる知見の下、鋭意研究した結果、本発明者等は、床下地材が、JIS−A−5908試験で13.0N/mm2 以上の曲げ強さを有し、15mm以上の厚みを有しており、床下地材や床仕上げ材から形成される床上部構造体の1m2 当たりの重量が40〜100kgであれば、重量床衝撃音をより一層改善できることを見出した。
【0018】
床下地材の曲げ強度及び厚みが大きく、床上部構造体の質量が大きいと、床上部構造体の変形や振動は抑えられ、上部床構造体の変形による衝撃エネルギーの損失は大きくなり、したがって、重量床衝撃音の改善量は大きくなると考えられる。
【0019】
しかしながら、本発明者等が研究したところ、曲げ強さと厚みが大きい床下地材は、局部的に変形し難く、より一層広い面積で変形し、そのため、床上部構造体を変形させ振動させるには、より一層多くのエネルギーの損失が起こることがわかった。
【0020】
また、本発明者等は、床上部構造体の質量が大きいと、床上部構造体の変形や振動が起こり難く、防音床材の各衝撃緩衝部材のバネ特性が有効に働き、床上部構造体全面への振動エネルギーの分散が起こり、より一層効率的に振動エネルギーを損失させることができることを突き止め、本発明を完成させた。
【0021】
本発明の防音床構造では、衝撃を直接受ける床上部構造体と、床本来の強度を有する床下部構造体との間に、複数の防音床材が設けられている。かかる各防音床材は、互いに離間させ、水平方向に空間を生じさせるように設けられている。かかる本発明の防音床構造では、床上部構造体が各防音床材間の空間で変形することによるエネルギー損失と、複数の防音床材に衝撃力が分散されることによる衝撃エネルギーの分散とによって、床下部構造体へ伝わる衝撃力が著しく抑制され、重量床衝撃音が著しく低減する。
【0022】
また、本発明にかかる防音床材では、下部板材と上部板材との間に、複数の衝撃緩衝部材が設けられている。各衝撃緩衝部材は、互いに離間しており、かかる各衝撃緩衝部材の間には、その水平方向に空間が形成されている。各衝撃緩衝部材はバネ特性を有しており、このバネ特性は、線形バネ特性、プログレッシブバネ特性及び定荷重バネ特性からなる群より選ばれている。複数の衝撃緩衝部材の内、一方の衝撃緩衝部材のバネ特性と他方の衝撃緩衝部材のバネ特性とは異なっている。
【0023】
本発明では、かかる衝撃緩衝部材は、異なったバネ特性を有し、各々独立で緩衝作用を示すことになる。かかる衝撃緩衝部材は、バネ特性の違いから、同時に同じ反力を示すことなく動くため、より一層短い変位量で、より一層大きな変形抵抗力を持つことができる。
【0024】
結果として、かかる衝撃緩衝部材を用いた本発明の防音床構造は、衝撃緩和力が大きく、床上部構造体の振動自体も減衰され易いため、変位量も騒音も小さく抑えることができる。
【0025】
また、本発明では、床下地材が、JIS−A−5908試験で13.0N/mm2 以上の曲げ強さを有し、15mm以上の厚みを有しており、床下地材や床仕上げ材から形成される床上部構造体の1m2 当たりの重量が40〜100kgであるので、床下部構造体は全体として重く振動し難い状況となり、しかも部分的な床上部構造体の変位が少なくなるにもかかわらず、その変位の回復により、より一層重量床衝撃音を低減することができる。
【0026】
本発明の防音床構造は、床上部構造体と床下部構造体との間に、複数の防音床材を離間させて設け、この防音床材とその間の空間とで、床の衝撃力を吸収緩和すること、及び上部板材と下部板材との間に、複数のバネ特性の異なった衝撃緩衝部材を離間させて設け、床上部構造体の振動を減衰させること、及び所定の曲げ強さと厚さを有する床下地材を用い、床上部構造体の重量を増すことにより、床下部構造体の振動を抑えることにより、床上部構造体上の歩行感を著しく向上させることができとともに、床下部構造体から生じる低周波数の騒音を著しく低減することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一例の防音床構造の断面図である。図2は、図1の防音床構造の平面図である。図3は、本発明にかかる一例の防音床材の平面図である。図4は、図3の防音床材の側面図である。図5は、本発明にかかる一例の衝撃吸収材の平面図である。図6(a)は、図5の衝撃吸収材をA−A線で切断して見た断面図である。図6(b)は、図5の衝撃吸収材をB−B線で切断して見た断面図である。図6(c)は、図5の衝撃吸収材をC−C線で切断して見た断面図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の防音床構造1は、鉄骨構造住宅用の防音床構造であり、鉄骨梁2と、鉄骨梁2によって支持される床下部構造体3と、床下部構造体3上の床上部構造体4とを備えている。
【0029】
床下部構造体3は、板状体と根太とを備える床パネル又は床版から形成されている。また、床上部構造体4は、床下地材5とこの床下地材5上の床仕上げ材6とから形成されている。
【0030】
図1及び図2に示すように、床下部構造体3と床上部構造体4との間には、複数の防音床材7が配置されている。これらの防音床材7は、防音床構造1を縦断面で見た時、互いに離間し、各防音床材7の間の水平方向には、空間8が設けられている。
【0031】
図3及び図4に示すように、各防音床材7は、下部板材9と複数の衝撃緩衝部材10,11と上部板材12とを備えている。図1に示すように、下部板材9は、床下部構造体3に固定されており、上部板材12は、床上部構造体4に固定されている。
【0032】
図1及び図4に示すように、各衝撃緩衝部材10,11は、下部板材9と上部板材12との間に配置され、互いに離間しており、それらの間の水平方向には空間13が形成されている。
【0033】
各衝撃緩衝部材10,11は、バネ特性を有しており、かかるバネ特性は、線形バネ特性、プログレッシブバネ特性及び定荷重バネ特性からなる群より選ばれている。一方の衝撃緩衝部材10のバネ特性と他方の衝撃緩衝部材11のバネ特性とは異なっている。
【0034】
床下地材5は、JIS−A−5908試験での13.0N/mm以上の曲げ強さ及び15mm以上の厚みを有しており、床上部構造体4の1m2 当たりの重量は、40〜100kgである。
【0035】
本発明の防音床構造1に重量衝撃源が落下すると、重量衝撃源は、それ自体も変形しながら、床仕上げ材6を変形させ、床下地材5をより大きな曲率半径で変形させる。この時、床仕上げ材6がフローリング材で、フロアーネイルで床下地材5に固定されていると、床上部構造体4を変形させるエネルギーとして衝撃力の一部が消費される。
【0036】
各防音床材7の間に衝撃を受ける場合、床上部構造体4は、その場所で変形が許容される。その変形は、床下地材5に固定されている上部板材12の曲げ変形応力を受けて復元し、衝撃エネルギーは損失する。
【0037】
また、この場合、上部板材12の変形は、上部板材12と下部板材9に挟まれた衝撃緩衝部材10,11に、圧縮変形を受ける部分と引張変形を受ける部分とを生じさせる。これによっても、衝撃エネルギーは損失する。
【0038】
すなわち、衝撃緩衝部材10,11のこれらの変形は、バネ特性による圧縮及び引張変形への抵抗力で、更には、バネ特性の違いから生じる異なった変形抵抗力によって回復し、衝撃エネルギーを損失させる。
【0039】
防音床材7の直上に衝撃を受ける場合、各衝撃緩衝部材10,11は、引張力がほとんどかかることなく圧縮変形を受け、バネ特性の違いで異なった複数の変形抵抗力を示し、衝撃エネルギーが損失する。
【0040】
また、重量衝撃源が床上部構造体4から離れると、床仕上げ材6及び床下地材5からなる床上部構造体4は、圧縮変形されていた反力で逆方向に曲がり、床上部構造体4を平滑に復元しようとする力が働き、床上部構造体4に蓄積された衝撃エネルギーの損失が生じる。
【0041】
この時、防音床材7の上部板材12は、曲げ応力が解除され、逆方向に曲がる力が働いて復元する。また、上部板材12と下部板材9との間で圧縮されている衝撃緩衝部材10,11には、引張力が働き、衝撃エネルギーの損失が起きて復元する。
【0042】
本発明では、図1及び図4に示すように、防音床材7が少なくとも2種の衝撃緩衝部材10,11を備えており、一方の衝撃緩衝部材10が上部板材12と接しており、他方の衝撃緩衝部材11が上部板材12との間に隙間14を有しており、床上部構造体4に衝撃が加わった時、他方の衝撃緩衝部材11と上部板材12とが接触するのが好ましい。
【0043】
また、本発明では、図1及び図4に示すように、床上部構造体4と上部板材12と間及び下部板材9と床下部構造体3との間の少なくとも一方に、衝撃吸収材15,16が設けられているのが好ましい。
【0044】
さらに、本発明では、図1及び図2に示すように、床下部構造体3が複数の床下部構造体片3aを水平に接ぎ合わすことで形成されており、下部板材9が各床下部構造体片3aの継目3b上に設けられており、継目3bの長さの25〜90%が下部板材9によって被覆されているのが好ましい。
【0045】
床下部構造体3は、床上部構造体4の質量によって全体として重くなり、床下部構造体片3aの継目3bを下部板材9で次々と連結一体化すると、全体として重く振動し難くなるので、防音床構造1が全体として床衝撃力を大きく低減させることができる。
【0046】
また、本発明では、図1に示すように、鉄骨梁2と床下部構造体3の間に、衝撃緩和材17が介在しているのが好ましい。衝撃緩和材17は、平板状の基材17aと複数の凸部17b,17cとを備えており、各凸部17b,17cが基材17aの表面及び裏面の少なくとも一方に設けられており、各凸部17b,17cが、基材の表面又は裏面から所定の高さで設けられており、基材の表面又は裏面上で、相対的に高い高さの一方の凸部17cと、一方の凸部17cの次に高い高さの他方の凸部17bとの高さの差が、一方の凸部17cの高さの5〜50%であり、一方の凸部17cが床下部構造体3又は鉄骨梁2と接触しており、他方の凸部17bと、床下部構造体3又は鉄骨梁2との間に隙間18が形成されており、各凸部17b,17cが、ポリノルボーネンゴム、粘着付与樹脂及び軟化剤を含有する原料から形成されており、各凸部17b,17cの比重が1.3〜1.8であり、防音床構造1に衝撃が加わった時、他方の凸部17bが床下部構造体3又は鉄骨梁2と接触し、他方の凸部17bが圧縮変形するのが好ましい。
【0047】
さらに、本発明では、床下地材5と床仕上げ材6との間で、床下地材5上に遮音板19が設けられており、遮音板19上に捨て貼り板20が設けられており、床上部構造体4が、日本農林規格協会(JAS協会)の規定するフローリングの曲げ強度試験に準じ、3kg荷重と7kg荷重の各々のたわみの差が3.5mm以下となる曲げ強度を有するのが好ましい。
【0048】
また、本発明では、各防音床材7の間及び床下部構造体3の周辺部の上面の少なくとも1箇所に、支持材が設けられており、支持材が床上部構造体4を支持しており、床上部構造体4上に衝撃が加わった時、支持材が床上部構造体4の変位を許容するのが好ましい。
【0049】
以下、本発明の防音床構造の構成材について説明する。
本発明の防音床構造は、鉄骨構造の梁に支持される床である。かかる鉄骨梁の鉄骨構造材は、鉄骨造建築物に一般的に用いられる鉄骨材で、部位別に必要な強度があれば良く、特に制約は無いが、塗装等で防錆処理をすることができる。
【0050】
この鉄骨梁の上には、直接又は衝撃緩和材を介して床下部構造体を設けることができる。
【0051】
衝撃緩和材は、各種素材の発泡体、フェルトや不織布等の繊維材料、ゴムやポリマーの粒体やゴム発泡体やポリマー発泡体の粒体を単独又は併用して、バインダーで成型一体化したものやコルク等の多孔体、ゴム粘弾性体を単体又は積層したものや各種形状に成型したもの等を用いることができる。
【0052】
かかる衝撃緩和材は、少なくとも片面に、高振動減衰材からなる凸部を有するのが好ましく、高さが異なる多数の凸部を有しているものがさらに好ましい。
【0053】
また、かかる凸部を構成するには、ゴム成分を用いるのが好ましく、このゴム成分100重量部のうち、5〜30重量部のポリノボーネンゴムを含有させ、このゴム成分100重量部に対し、7〜25重量部の粘着付与樹脂、10〜30重量部の軟化剤を含有させた原料から調製し、比重1.3〜1.8とするのが好ましい。衝撃緩和材として好結果が得られるからである。
【0054】
高振動減衰性を発揮させる上では、ポリノルボーネンゴムは高価であるが、非常に効率良くその効果を発揮することができる。また、凸部の原料のゴム成分100重量部のうち、5〜30重量部のポリノルボーネンゴムを用いると、衝撃緩和の性能面、コスト面を併せて好適な範囲である。
【0055】
ポリノルボーネンゴムが5重量部未満では、振動減衰性能が不十分で、様々な他の配合成分で調整しても、室温領域での振動減衰性能が悪くなる。逆に、30重量部を超えると、室温領域での振動減衰性能は良いものの、幅広い温度領域をカバーすることができなくなる点と、非常に高コストとなることで、実用性に欠ける。
【0056】
凸部の原料には、その他のゴム成分を用いることができ、例えば、EPT、NBR、CR、BR、SBR、IR、NR、ポリイソブチレン、再生ゴム等のゴムを単独又は併用して用いれば良い。
【0057】
かかる凸部の高振動減衰性は、以下に述べる手法により、より一層高めることができる。その具体例として、粘着付与樹脂や軟化剤を配合したり、凸部の比重を適正範囲にすることを例示できる。
【0058】
粘着付与樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロシン、変性ロシン、脂肪族炭化水素樹脂、石油系樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂等の具体例を挙げることができる。
【0059】
かかる粘着付与樹脂の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、7〜25重量部が好適である。7重量部未満の場合、少なくなるにつれ、振動減衰性が悪化するので好ましくない。逆に、25重量部を超えると、低温特性が悪化するので好ましくない。
【0060】
軟化剤としては、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系のオイルやフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アレイン酸誘導体、ポリブテン、トール油等を例示することができ、それ等は単独又は併用して用いれば良い。
【0061】
かかる軟化材の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、10〜30重量部が好適である。10重量部未満の場合は、少なくなるにつれ、振動減衰性が悪化するので好ましくない。逆に、30重量部を超えると、振動減衰性のピーク温度が低温側に移行し過ぎて好ましくない
【0062】
凸部の比重は、振動減衰性に比較的大きな影響を与える。好適な範囲は、1.3〜1.8である。1.3未満のときは、徐々に低比重になるに従って、振動減衰性能が悪化する傾向があり、圧縮永久歪も増すので好ましくない。逆に、1.8を超えても、性能面での利点がなく、延び性能や引張圧縮繰返し性能が悪化してくるし、耐久性の上でも好ましくない。
【0063】
かかる凸部を、高さが異なるようにして複数設けると、衝撃による圧縮変形を受ける時、高い方が先に衝撃吸収を行い、低い方が徐々に衝撃吸収するため、振動減衰性能が高く維持され、変位量を最小に抑えることができ、振動絶縁効果が高くなる。
【0064】
本発明にかかる床下部構造体について説明する。
本発明で言う床下部構造体とは、鉄骨梁に支持される床構造である。かかる床下部構造体は、その上での作業に支障が無いなら、特に制約は無い。
【0065】
床下部構造体の具体例としては、ALC版、PC版、中空押出セメント版等の無機質床版単体、又はそれ等の上に、モルタルを10mm〜30mm塗布したものを挙げることができる。
【0066】
かかる床下部構造体は、かかる無機質床版の上及び/又は下に、パーチクルボード、合板、鉄板、アスファルトと高比重物とを混合成型した板状物、ゴム又はポリマーの高比重シート等の板状体やシート等を一層又は複数層を積層したものであっても良い。このときの積層手段は、ビスや釘で物理的に固定しても良く、粘着剤や接着剤で化学的に固定しても良く、両方併用しても良い。
【0067】
この時、本発明では、隣接した床下部構造体間を板材で橋かけするように設置した方がよい。床下部構造体を一体化することで、床下部構造体が動き難くなるので、防音床構造としても安定するし、音性能の面でも良い。
【0068】
特に、ALC版等の無機質床版は、通常、その上にモルタルを塗布して床版を一体化することが一般的である。したがって、床版間の継目の上に板材を固定したり、本発明のように、床版間の継目を防音床材の下部板材で連結固定すれば、モルタルは特に必要なくなり、完全乾式工法とすることができる。かかる完全乾式工法では、モルタル塗布・乾燥の工程が短縮できるので、工期・コスト共メリットが大である。
【0069】
また、本発明にかかる床下部構造体は、木質系の床パネルであっても良い。かかる床パネルは、根太と板状体で構成される。かかる床下部構造体は、梁で根太を支持する構造でも、周囲を木枠で囲い、所々に根太又は格子で板状体を固定した構造でも良く、板状体は、根太や枠の上下に設けたものであっても良い。
【0070】
かかる床下部構造体の場合は、床衝撃による板状体の共振で太鼓現象を生じさせない工夫が必要である。その防止策の具体例としては、有孔板を使用したり、一方の板状体の質量を増して振動し難くしたり、中に吸音材を詰めたり、前記方法で吸音材間に石膏ボードを任意の寸法で介在させ、吸音材のバネ間に重りを設けた動吸振の構造とする等の方法を挙げることができる。
【0071】
また、かかる木質系の床下部構造体の場合は、根太や枠の剛性を付与するために、金属板や金属板の折り曲げ加工をした金具を用い、釘やビスで床下部構造体を部分的に補強する方法も、音性能の向上に有効である。さらに、板状体も、無機質床版と同様に、各種板材を積層することもでき、隣接した木質系の床下部構造体間に橋かけ状に交差して固定一体化することもできる。
【0072】
本発明にかかる防音床材について説明する。
かかる防音床材は、下部板材と上部板材とそれらの間の線形バネ特性、プログレッシブバネ特性又は定荷重バネ特性を有する衝撃緩衝部材から構成される。
【0073】
かかる下部板材と上部板材は、基本的には各種素材の板状物であれば良い。その具体例は、鉄、銅、黄銅、アルミニウム、ステンレス等の金属や合金の板材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ABS等のポリマーの板材、合板、集成材、木材等の板材を単体又は併用しても良い。
【0074】
下部板材又は上部板材としての金属製の板材は、メッキ、ゴム又はポリマーで被覆したもので良い。かかる金属製の板材は、メッキ、ゴムやポリマーで被覆したものでも良く、板材の2辺又は4辺を折り曲げて剛性を付与したり、予め床下部構造体への止め穴を設けた物であっても良い。
【0075】
ポリマーの板材は、FRPでも良く、金綱や織布、不織布を含浸又は含浸積層して剛性を付与したものでも良い。
【0076】
下部板材と床下部構造体との接触面や上部板材と床上部構造体との接触面に、衝撃吸収材を介在させても良い。特に、床下部構造体や床上部構造体に接する下部板材や上部板材の素材が異なる場合には、歩行時の異音発生要因となる危険性があるので、予め、衝撃吸収材を設けておくことが望ましい。
【0077】
かかる衝撃吸収材の具体例としては、ゴム、ポリマー、発泡体、フェルト、不織布等を挙げることができる。かかる衝撃吸収材は、床下部構造体や床上部構造体と下部板材や上部板材の接触面で、全面又は部分的に設けても十分にその効果を発揮させることができる。
【0078】
下部板材は、少なくとも隣り合う床下部構造体間を固定し、下部板材が床下部構造体間の継目を橋かけ固定する長さの和が、床下部構造体間の継目の25〜90%の長さであることが好適な範囲であり、より好ましくは、35〜80%である。25%未満の場合は、固定度が低くなり、63Hzの改善量が悪化する傾向が生じるので好ましくない。逆に、90%を超えても、63Hzや125Hzの改善効果が飽和になり、その他の利点も生じないばかりか、コストアップになるので好ましくない。なお、本発明で用いる床下部構造体間の継目の長さは、組み合わされた床下部構造体の最外周を含まず、床下部構造体片が隣り合って存在する場合の床下部構造体片の継目の長さを言う。
【0079】
本発明にかかる線形バネ特性を有する衝撃緩衝部材は、上部板材と下部板材との間の領域で、圧縮応力に対する変位量の関係が、線形変形するバネ特性を有するものである。具体的には、コイルバネ、円錐バネ等を挙げることができる。
【0080】
線形バネ特性を有する衝撃緩衝部材の材質としては、バネ鋼鋼材、硬鋼線、ピアノ線、オイルテンパー線、バネ用ステンレス鋼線、黄銅線、洋白線、リン青銅線、ヘリリウム銅線、等を例示でき、特に制約は無い。床に使用するので、高さを低くしても底突きしない円錐バネは、変位量を少なく設定できるので、好都合である。
【0081】
プログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材は、上部板材と下部板材との間の領域で、圧縮応力に対する変位量の関係が、変位量が増加するにつれ急激に圧縮応力が高くなるバネ特性を有するものである。各種素材の加硫ゴムを例示することができる。
【0082】
かかる衝撃緩衝部材は、ゴム硬度や形状寸法により、また、1個の防音床材に使用する個数によって、衝撃緩衝力を任意に決めることができる。
【0083】
定荷重バネ特性を有する衝撃緩衝部材は、圧縮応力と変位の関係が、ある変位量の範囲では変位量を増しても、ある一定の圧縮応力ではあるが、変位量が更に増すと急激に圧縮応力が高くなるバネ特性を有するものである。具体的には、嵩高の繊維系物、嵩高の発泡体系物を例示することができる。
【0084】
本発明にかかる防音床材の特性は、かかる衝撃緩衝部材によって大きく左右される。衝撃緩衝部材は、1種だけを使用したのでは、各々の衝撃緩衝部材が同じ抵抗成分として作用するので、衝撃緩衝作用には限界がある。そのため、本発明では、2種以上の異なったバネ特性を有する衝撃緩衝部材を併用し、並列で離間して用いることにより、衝撃力を分散させ、異なった抵抗成分として働かせ、より少ない変位量で衝撃力を低減させる。
【0085】
これ等のバネ特性を有する衝撃緩衝部材は、上部板材及び下部板材に接触する必要があるが、すべての衝撃緩衝部材が上部板材及び下部板材に固定される必要はない。つまり、衝撃緩衝部材は、供用時や、衝撃を受けた瞬間や、衝撃源が床面から離れた瞬間は、反力で逆に反るので、衝撃緩衝部材が圧縮され、その後復元する際に、その力を衝撃エネルギーの損失に利用することができれば、上部板材及び下部板材と固定されている必要はない。
【0086】
しかしながら、各衝撃緩衝部材は、横ズレを防止して、衝撃緩衝性能を安定して提供できるよう、少なくとも上部板材及び下部板材のいずれか一方には固定されていることが必要である。衝撃緩衝部材の固定は、種々の固定治具を介して行うことができる。
【0087】
また、各衝撃緩衝部材は、複数で並列に用いるが、この時、衝撃緩衝部材間に高さの差を設けて、一方の衝撃緩衝部材のバネ特性による抵抗成分が作用を始める時間と他の衝撃緩衝部材の抵抗成分が作用する時間をずらすことによって、衝撃力低減の調整を行うことができる。これは、特に少ない変位量で、衝撃力低減をさせる上で有効になる。
【0088】
本発明にかかる支持材について説明する。
かかる支持材は、硬質ウレタン、スチロール、フェノール等の硬質発泡体、木材等の外周又は上下に、合計で10mm以上、好ましくは20mm以上の厚みで、フェルト、不織布、各種ゴムの発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、軟質ウレタン等の発泡体を設けたもの等や、復元性に優れた厚みの厚い不織布を単体で設けたもの等が用いられる。
【0089】
かかる支持材は、特に、床下部構造体の周囲の上面や防音床材の間に、任意の寸法・間隔で設けるのが好ましい。かかる支持材は、床衝撃音に悪影響を与えることなく、間仕切壁や家具等の大きな荷重に対し、床が極端に沈み込むことを防ぎ、側路伝播音の影響を受けることを回避するのに有効であり、低コストで、歩行感に違和感を与えることも防止することができる。
【0090】
かかる支持材は、衝撃緩衝部材の厚みより厚く設定し、予め圧縮した状態で用いることが望ましい。つまり、フェルト、不織布、軟質発泡体は、定荷重バネ特性を示すので、圧縮して定荷重状況を予め作っておくことで、圧縮永久歪を受けても定荷重バネ特性を発揮することができる。
【0091】
かかる支持材は、厚みが10mm以上必要で、10mm未満であると、床衝撃音を悪化させるおそれがある。かかる支持材の厚みは、20mm以上がより望ましい。
【0092】
また、かかる支持材に好ましい材質としては、特に、不織布の中の繊維の融点を異ならせ混和しておき、加工中に熱処理し、繊維間に融着補強点を数多く持たせたものを挙げることができる。かかる支持材は、圧縮復元性に特に優れる。
【0093】
本発明にかかる床上部構造体について説明する。
かかる床上部構造体は、床の変位量及び重量床衝撃音に大きな影響を与え、非常に重要な構成要素である。かかる床上部構造体の上面は、ヒトが直接歩行する部分であり、防音床材を有効に利用することができるか否かの問題にかかる部分である。
【0094】
すなわち、床上部構造体は、その最下部にある床下地材によって、防音床材が橋かけられており、床上部構造体の変位や振動が重量床衝撃音の発生と密接に関係しているからである。
【0095】
床下地材は、曲げ強度が不足すると、特に防音床材の間の防音床材によって支持されていない部分の変位量が大きくなり過ぎ、歩行感を著しく悪化させる。
【0096】
本発明にかかる床下地材は、曲げ強さが13.0N/mm2 以上の材質で、厚みが15mm以上である。曲げ強さが13.0N/mm2 未満では、厚みが15mm以上であっても、変形量が大きくなる。また、曲げ強さが13.0N/mm2 以上であっても、厚みが15mm未満であると、変形量が大きくなる。
【0097】
かかる床下地材としては、パーチクルボード、合板、中空押し出しセメント版等を用いることができる。かかる床下地材は、釘やビス等によって、防音床材の上部板材と固定することができる。
【0098】
また、床上部構造体は、フロアーネイルで積層一体化することができるが、その際には、床下地材として無機質板を用いた場合には、木質系板材を併用することができる。
【0099】
かかる床下地材は、床に衝撃や荷重を受けた時に、一番大きく曲げ変形を受けるので、床下地材の曲げ強さを大きくして、厚みを増すことが、床上部構造体の変形を抑えるのに極めて重要である。
【0100】
本発明にかかる床上部構造体は、一体化して、大面積でしか変形しなくなり、衝撃エネルギーをより一層広範囲に分散させることができる。かかる広範囲に分散された衝撃エネルギーは、本発明にかかる防音床材で、効果的に損失され、重量床衝撃音は著しく低減される。
【0101】
本発明にかかる床上部構造体には、床下地材上に高比重の遮音板を設けることができる。かかる遮音板の上には、パーチクルボードのような捨貼り材を設け、重量増を図ることができる。その上には、通常用いられる床仕上げ材を載置して積層一体化することができる。
【0102】
本発明にかかる床上部構造体は、全体として、日本農林規格のフローリングに規定されている曲げ試験で、3kg荷重時と7kg荷重時のたわみの差が、3.5mm以下であることが好ましい。
【0103】
本発明では、床上部構造体は、全体として、1m2 当たり40〜100kgの質量である。床上部構造体が40kg未満では、軽くなるに従い、重量床衝撃音が悪化することになる。逆に、100kgを超えると、構造躯体への負担増や床上部構造体やバネ特性部のコスト増となり実用的でない。一方、防音床材の数を増やすことは、コスト増や作業性の観点から実用的でない。
【0104】
【実施例】
本発明を、図面を参照し、実施例及び比較例に基づいて、より一層具体的に説明する。
図7は、本発明の他の例の防音床構造の断面図である。図8は、図7の防音床構造の平面図である。図9は、本発明にかかる他の例の防音床材の平面図である。図10は、図9の防音床材の側面図である。
【0105】
図11は、本発明にかかる更に他の例の防音床構造の断面図である。図12は、本発明にかかる一例の床パネルの断面図である。図13は、図12の床パネルを梁に懸架した状態の側面図である。図14は、本発明にかかる他の例の衝撃緩和材の平面図である。図15は、図14の衝撃緩和材の側面図である。図16は、本発明にかかる更に他の例の防音床材の平面図である。図17は、図16の防音床材の側面図である。図18は、図11の防音床構造の平面図である。
【0106】
図19は、本発明にかかる更に他の例の防音床構造の断面図である。図20は、本発明にかかる他の例の床パネルの断面図である。図21は、図20の床パネルを梁に懸架した状態の側面図である。図22は、本発明にかかる更に他の例の防音床材の平面図である。図23は、図19の防音床構造の平面図である。図24は、比較例にかかる一例の床構造の断面図である。図25は、比較例にかかる他の例の床構造の断面図である。
【0107】
実施例1
図1及び図2に示すような防音床構造を製造した。鉄骨構造住宅のH型鋼梁2の上に、図5及び図6(a)〜(c)に示すような衝撃緩和材17を貼り付け、100mm厚×606mm幅×1810mm長さのALC床版3aの短辺両端を懸架した。
【0108】
ALC床版3aを床下部構造体3とし、図3及び図4に平面図と側面図を示したような防音床材7を図2に示すようにして、隣り合うALC床版3aのほぼ中央に、ALC床版3aの芯々で短辺・長辺ともに455mmピッチで設置し、90mm長さのビスで隣合うALC床版3aを防音床材7の下部板材9を、ALC床版3aを橋かけするように取付け、固定した。なお、ALC床版3aと下部板材9との間には、衝撃吸収材16として、2mm厚の非加硫ブチルゴムシートを介在させた。
【0109】
次に、床上部構造体4の床下地材5として、15mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーティクルボードを、ALC床版の長さ方向に直交する方向になるようにして、防音床材7の上部板材12の上に設置し、木ビスで固定した。なお、床下地材5と上部板材12との間には、衝撃吸収材15として2mm厚の10倍発泡ポリエチレンシートを上向きに貼り付けた。
【0110】
この床下地材5上に、8mm厚の比重2.5のアスファルト系制振材19を敷設し、その上に、床下地材5のパーチクルボードの長さ方向と直交する方向に、捨て貼り材20として、9mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボードを敷設し、更に、その上に、床仕上げ材6として、12mm厚×303mm幅×1818mm長さのフローリング材を、床下地材5の15mm厚のパーチクルボードに達するように、フローリング材のオス実部からフロアーネイル33を打ち込んで、床上部構造体4を形成し、防音床構造1を製造した。
【0111】
なお、この例の衝撃緩和材は、図5及び図6(a)〜(c)に平面図と断面図を示したものを使用したが、この衝撃緩和材は、表1に示す配合処方例1を原料として用い作製した。
【0112】
【表1】
Figure 0004413344
【0113】
また、この例の防音床材は、上部板材及び下部板材共に、12mm厚合板で、下部板材は、300mm角とし、上部板材は、225mm角とした。上部板材と下部板材と間には、図1、図3及び図4に示すように、中央に線系バネ特性を有する衝撃緩衝部材11として円錐状コイルバネを3個のツメ21で固定治具22に固定し、下部板材9には、木ビス23で4隅を固定した。
【0114】
一方、上部板材12の四隅近傍に、プログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材10を四角錐とし、底面を平行に切り取った形の台状物とした。この衝撃緩衝部材10は、液状テレキーリックポリマーを基本成分とした組成物から作り、接着剤にて上部板材12及び下部板材9に固定した。
【0115】
また、線形バネ特性を有する衝撃緩衝部材11は、固定治具22を含めて、高さを23mmとし、プログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材10は、4個共25mmの高さとし、これらの衝撃緩衝部材10,11の高さの差を2mmとした。
【0116】
鉄骨構造住宅の天井は、I型鋼梁の下端フランジから防振吊具を介して野縁を吊り、石膏ボード(12mm厚)2枚を各々継目をずらして野縁にビス止めした後、ロックウール50mm厚を野縁上全面に設置した。
【0117】
この防音床構造について、床衝撃音を測定した。床衝撃音は、JIS−A−1418に従って、重量床衝撃音、軽量床衝撃音共に測定した。結果を表2に示した。また、この例の防音床構造の主な構造的な特徴を表3にまとめた。
【0118】
【表2】
Figure 0004413344
【0119】
【表3】
Figure 0004413344
【0120】
実施例2
図7に示すような防音床構造34を製造した。実施例1と同一の衝撃緩和材とALC床版を使用し、ALC床版の長さ方向と直交する方向で、15mm厚のパーチクルボード24を敷設し、90mm長さのビスでALC床版に固定して、床下部構造体25とした。パーチクルボード24のALC床版の継ぎ目位置に墨線を打ち、隣合うALC床版間を、防音床材26の下部板材27と90mm長さビスで橋かけ固定した。また、この例の防音床構造では、図8に示すように、防音床材26と支持材28を配置した。
【0121】
図9及び図10に平面図及び側面図で示すように、この例で用いた防音床材26は、基本的には実施例1の防音床材7と同様である。ただし、防音床材26の下部板材27は、3.2mm厚の鉄板350mm角とした。また、衝撃吸収材としての2mm厚の非加硫ブチルゴムシート29は、下部板材27の下面にのみ設けた。上部板材30は、12mm厚の合板を300mm角として用いた。上部板材30及び下部板材27の間に、実施例1と同じ円錐状のコイルバネ11を固定治具22で固定し、下部板材27と可撓性エポキシ接着剤31で固定した。
【0122】
上部板材30の四隅部に、円錐の底面を平行に切った円錐の台状物の形状の衝撃緩衝部材32を配置し、これらの衝撃緩衝部材32を上部板材30と下部板材27とに接着した。衝撃緩衝部材32は、液状テレキーリックポリマーを基本成分として作製した。
【0123】
なお、線形バネ特性を有する衝撃緩衝部材11は、接着剤層31及び固定治具22の厚さを含めて、高さを24mmとし、プログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材32は、25mm高さとし、これらの異なる衝撃緩衝部材11,32の高さの差を1mmとした。
【0124】
図8に示した配置の防音床材26と支持材28の上に、床上部構造体の床下地材5として15mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーティクルボードを敷設し、防音床材26の上部板材30と木ビスで固定し、支持材28を圧着固定した。
【0125】
床下地材5上に、8mm厚の比重2.5のアスファルト系制振材19を敷設した。また、その遮音板19の上に、床下地材5の長さ方向に直交する方向で、捨て貼り材20として、9mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボードを敷設した。更に、床仕上げ材6として、12mm厚×303mm幅×1818mm長さのフローリング材をフロアーネイル33で床下地材5にまで届くようにして打ち込んで固定し、床上部構造体34とした。
【0126】
この例の支持材28は、ポリエステル高融点繊維とポリエステル低融点繊維の混合物を熱処理し、繊維間に融着結合点を多数有する復元性の高い不織布とし、これを約28mm圧縮させ、70mm厚の不織布として、100mm幅で配置した。
【0127】
この例の防音床構造を、実施例1と同様にして、床衝撃音を測定した。結果を表2に示す。また、この例の防音床構造についても、主な構造的な特徴を表3にまとめた。
【0128】
実施例3
図11に示すような防音床構造を製造した。実施例1と同一の天井条件、鉄骨構造とした。床下部構造体3は、図12に示すような床パネル35を用いた。この床パネル35は、断面40mm幅×90mm高さ×1820mm長さの根太木36とパーチクルボード37とを接着層38で接着して作製する。床パネル35の両端には、根太木の上面35aと、パーチクルボードの端部35bを設け、根太木の上面35aには、他の床パネルのパーチクルボードの端部を重ね、連結させるようにする。
【0129】
図13に示すように、根太木36の両端下部の梁2に接する部分に、図14及び図15に平面図及び側面図を示したような、8mm厚の40mm角の凸部の高さが異なる表面凹凸ゴムを衝撃緩和材39として設けた。
【0130】
衝撃緩和材39の内側には、図11及び図13に示すような、各々12mm厚×40mm縦×50mm横の合板40を酢酸ビニル系接着剤と木ネジを併用して固定し、落下防止材とした。
【0131】
床パネル35は、15mm厚×910mm幅×1820mm長さのパーチクルボード27を、酢酸ビニル系接着剤層38と木ネジ52を併用して、根太木36に、芯々で455mmピッチで、図12に示すように固定して作製した。床パネル35は、鉄骨梁2間に懸架した。
【0132】
防音床材の下部板材をパネル短辺方向を芯々455mmピッチ、長辺方向を芯々600mmピッチで隣合う床パネル間を橋かけし木ネジで固定した。
【0133】
防音床材としては、図16及び図17に示すものを用いた。防音床材41は、下部板材42を12mm厚、250mm角の合板とし、その下面に、衝撃吸収材として1.5mm厚の非加硫ブチルゴムシート43を貼った。上部板材44は、12mm厚、225mm角の合板を用い、その上面にも、衝撃吸収材として1.5mm厚の非加硫ブチルゴムシート43を貼った。
【0134】
上部板材44と下部板材42との間に、線形バネ特性を有する衝撃緩衝部材45としてのコイルバネをツメ46で3個所を固定した。固定治具47と下部板材42は、木ネジ43で固定した。
【0135】
上部板材44の四隅近傍に、液状テレキーリックポリマーを基本成分とし、四角錐台状に成型したプログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材48を配置して、上部板材44と下部板材42とに接着剤で固定した。
【0136】
線形バネ特性の衝撃緩衝部材45の固定治具を含めた高さは23mmとし、プログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材48の高さは25mmとし、その差を2mmとした。
【0137】
この例の防音床構造では、防音床材41及び支持材49を、図18に示すように配置した。支持材49には、図11に示すように、12mm厚の合板50の上下に、実施例2に用いた不織布51を用い、30mm厚で貼合わせ、約23mm圧縮して、床上部構造体4と床下部構造体35との間に設けた。
【0138】
防音床材41と支持材49の上に、床上部構造体を設けた。床下地材5としての20mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボードを、床パネル35の長さ方向と直交する方向で敷設し、防音床材41の上部板材44と木ビスで固定した。
【0139】
床下地材5の上には、8mm厚の比重2.5のアスファルト系制振材19を敷設した。その上に、9mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボードを捨て貼り材20として敷設し、更に、12mm厚×303mm幅×1818長さのフローリング材を床仕上げ材6として敷設した。床仕上げ材6は、フロアーネイル33で床下地材5に固定して、床上部構造体4を完成し、防音床構造52とした。
【0140】
なお、この例で用いた衝撃緩和材39は、図17及び図19に示すように、基材53上に、径の異なる凸部54,55,56が複数形成されており、これら凸部54,55,56の高さは異なって形成されている。
【0141】
また、この例の衝撃緩和材39は、表4に示す配合処方例2の原料から作製した。
【0142】
【表4】
Figure 0004413344
【0143】
この例の防音床構造を、実施例1と同様にして、床衝撃音を測定した。その結果を表2に示す。
【0144】
実施例4
図19に示す防音床構造を製造した。この例では、実施例1と同様の天井条件及び鉄骨構造とし、実施例3と同様の根太木及びパーチクルボードで床パネルを形成し、実施例3と同様の衝撃緩和材、落下防止材を用いた。
【0145】
図20及び図21に示すように、実施例3と同様の床パネルのパーチクルボード58の下面の根太木59の間に、石膏ボード60(12mm厚)を2枚、木ビス61とL金具62で固定して床パネル63とし、床パネル63の両端63a,63bを、他の床パネルの両端と木ネジで連結固定して、床下部構造体を作製した。
【0146】
この例では、図19及び図22に示す防音床材64を用いた。この防音床材64は、床下部構造体の上に、図19及び図23に示すように、床パネル63の短辺方向、長辺方向共、芯々で455mmピッチで配置し、下部板材65で隣り合う床パネル63の継目63cを橋かけし、木ビスで固定した。
【0147】
防音床材64は、上部板材66及び下部板材65共に、12mm厚の合板とした。下部板材65は、300mm角とし、その下面に、1.5mm厚の非加硫ブチルゴムシートを衝撃吸収材67として設けた。上部板材66は、225mm角とし、その上面に、1.5mm厚の非加硫ブチルゴムシートを衝撃吸収材68として設けた。
【0148】
上部板材66と下部板材65との間の中央に、線形バネ特性を有する衝撃緩衝部材69として円錘状コイルバネを設け、この衝撃緩衝部材69を固定具70としてのツメで固定し、固定治具71を含めたバネ高さを23mmとし、下部板材65と木ネジ72で固定した。
【0149】
上部板材66の四隅近傍に、四角錘台状の液状テレキーリックポリマーを基本成分とした衝撃緩衝部材73を設けた。この衝撃緩衝部材73は、25mm厚に成型し、プログレッシブバネ特性を有する。この衝撃緩衝部材73は、接着剤で上部板材66と下部板材65とに接着させた。
【0150】
実施例2で用いたのと同様の支持材74を、50mm厚×40mm幅×60mm長さの不織布として、隣接するプログレッシブバネ特性を有する衝撃緩衝部材73の間に4個、圧縮固定して、定荷重バネ特性を発揮させた。
【0151】
防音床材64の上に、床上部構造体4を形成した。床下地材として20mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボード5を敷設し、防音床材64の上部板材66に木ビスで固定した。4mm厚の比重2.5のアスファルト系制振材19を敷設し、9mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボードを捨て貼り材20として床下地材5の長さ方向と直交する方向に敷設し、12mm厚×303mm幅×1818長さのフローリング材を床仕上げ材6として敷設した。床仕上げ材6は、フロアーネイル33を床下地材5まで打ち込んで固定し、床上部構造体とし、この例の防音床構造75とした。
【0152】
この防音床構造について、実施例1と同様にして床衝撃音を測定した。結果を表2に示す。また、この例の防音床構造について、主な構造的な特徴を表3にまとめた。
【0153】
比較例1
図24に示す床構造81を作製した。実施例1と同一の同一の天井条件、鉄骨構造でI型鋼梁82の上に、直接に、100mm厚×606mm幅×1810mm長さのALC床版83を懸架した。ALC床版83の長さ方向に直交する方向で、15mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボード84を、90mmの長さのビス85で、ALC床版83に固定した。
【0154】
そのパーチクルボード84の上に、8mm厚の比重2.5のアスファルト系制振材86を敷設し、その制振材86の上に、9mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボード87を敷設し、更にその上に、12mm厚×303mm幅×1818長さのフローリング材88を敷設した。フローリング材88は、ALC床版83上のパーチクルボードまでフロアーネイル89を打ち込んで固定した。
【0155】
この例の床構造を実施例1と同様にして、床衝撃音を測定した。結果を表2に示す。
【0156】
比較例2
図25に示す床構造91を作製した。実施例1と同一の天井条件、鉄骨構造で根太木92(40mm幅×90mm高さ×1818長さ)を15mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボード93に、芯々455mmピッチで木ネジ94と酢酸ビニル系接着剤で固定して床パネル95を作製した。
【0157】
床パネル95をI型鋼梁96に懸架し、床パネル95を次々に連結して、床下部構造を作り、その上に直接、15mm厚のパーチクルボード97を床パネル95の長さ方向に直交する方向に敷設し、木ビス98で床パネル95に固定した。パーチクルボード97の上に、8mm厚の比重2.5のアスファルト系制振材99を敷設し、その上に、9mm厚×909mm幅×1818mm長さのパーチクルボード100を敷設し、更に、その上に、12mm厚×303mm幅×1818長さのフローリング材101を載置した。
【0158】
フローリング材101は、フロアーネイル102で床パネル95上のパーチクルボード97まで打ち込み固定し、床構造91を作製した。
【0159】
この床構造について、実施例1と同様にして、床衝撃音を測定した。結果を表2に示す。
【0160】
以下、実施例及び比較例の試験結果について説明する。
実施例1は、床下部構造体をALC床版とし、床上部構造体との間に防音床材を設けた例である。ALC床版と実施例1で使用した床上部構造体とを一体化した比較例1と比べると、重量床衝撃音に於ける63Hzや125Hzの改善し難い周波数帯域で、各々7dB、10dB改善できた。また、それ以上の各周波数帯域も、各々10dB程度改善できており、聴感では数値以上の性能に感じられる。以上より、重量床衝撃音のLH 値は55で、その時の決定周波数は63Hzである。非常に良好な結果と言える。
【0161】
次に、軽量床衝撃音を見ると、LL 値は46で、その時の決定周波数は250Hzである。比較例はLL 値69で、その時の決定周波数は500Hzである。実施例1及び比較例1何れも、床仕上材は、汎用12mm厚フローリング材を用いており、この点でも大きな効果が得られている。
【0162】
実施例2は、ALC床版にパーチクルボードをビス止めした床下部構造体の上に防音床材を設け、その上に床上部構造体として、下から床下地材、制振材、パーチクルボード、フローリング材をフロアーネイルで固定した例である。重量床衝撃音のLH 値は53で、その時の決定周波数は63Hzである。非常に良好な結果と言える。また、軽量床衝撃音のLL 値は44で、その時の決定周波数は250Hzである。床仕上材は、実施例1と同様汎用12mm厚のフローリング材であり、大きな改善効果が得られている。
【0163】
実施例3は、根太木とパーチクルボードから床パネルを作り、次々と連結させた床下部構造の上に、防音床材を設け、施工部周囲と防音床材の間に、支持材を設けて床上部構造体を設けた例である。
【0164】
重量床衝撃音のLH 値は58で、その時の決定周波数は63Hzである。これは、軽量の床下部構造である床パネルを使用している中では、非常に好結果が得られている。比較例2も、床下部構造体が床パネルであるので、比較例2からの改善量も63Hz、125Hzで各々10dB、4dB改善されていることからも改善量が大きいことが判る。また、軽量床衝撃音もLL 値は57であり、比較例2より1ランク以上改善されている。
【0165】
実施例4は、根太木とパーチクルボードからなる床パネルの下面の根太木の間に、石膏ボード(12mm厚)を2枚重ねて取り付けた床下部構造体に、3つの異なるバネ特性を有する衝撃緩衝部材を設け、その上に床上部構造体を設けた例である。
【0166】
重量床衝撃音のLH 値は57で、その時の決定周波数は63Hzである。これは、軽量の床下部構造体である床パネルを使用している中では、非常に好結果が得られている。比較例2からの改善量も63Hz、125Hzで、各々11dB、6dB改善されていることからも、改善量が大きいことが判る。また、軽量床衝撃音も、LL 値は55であり、比較例2から約2ランク改善されている。
【0167】
以上より、実施例の防音床構造は、比較例の床構造に比べ、鉄骨構造の建物の重量床衝撃音を大きく低減するたとができた。また、かかる防音床構造は、低周波域だけの低減でなく、全周波数帯域で大きく低減でき、聴感上も非常に良い結果となった。
【0168】
一方、通常、軽量床衝撃音は、床表面仕上材の影響が大きいものであるが、本発明では、防音床仕上材やカーペットを使用する必要がないレベルにまで改善できた。これは、床への衝撃力が、床上部構造体や防音床材によって、効率よく分離され、分散して、衝撃力の低減した力が防音床材や床下部構造体へ伝わり、そこからの放射音が低減し、更に鉄骨梁への振動伝達も低減したためである。
【0169】
【発明の効果】
本発明の防音床構造は、床上部構造体と床下部構造体との間に、複数の防音床材を離間させて設け、この防音床材とその間の空間とで、床の衝撃力を吸収緩和すること、及び上部板材と下部板材との間に、複数のバネ特性の異なった衝撃緩衝部材を離間させて設け、床上部構造体の振動を減衰させること、及び所定の曲げ強さと厚さを有する床下地材を用い、床上部構造体の重量を増すことにより、床下部構造体の振動を抑えることにより、床上部構造体上の歩行感を著しく向上させることができとともに、床下部構造体から生じる低周波数の騒音を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例の防音床構造の断面図である。
【図2】 図1の防音床構造の平面図である。
【図3】 本発明にかかる一例の防音床材の平面図である。
【図4】 図3の防音床材の側面図である。
【図5】 本発明にかかる一例の衝撃吸収材の平面図である。
【図6】 (a)は、図5の衝撃吸収材をA−A線で切断した断面図である。
(b)は、図5の衝撃吸収材をB−B線で切断した断面図である。
(c)は、図5の衝撃吸収材をC−C線で切断した断面図である。
【図7】 本発明の他の例の防音床構造の断面図である。
【図8】 図7の防音床構造の平面図である。
【図9】 本発明にかかる他の例の防音床材の平面図である。
【図10】 図9の防音床材の側面図である。
【図11】 本発明にかかる更に他の例の防音床構造の断面図である。
【図12】 本発明にかかる一例の床パネルの断面図である。
【図13】 図12の床パネルを梁に懸架した状態の側面図である。
【図14】 本発明にかかる他の例の衝撃緩和材の平面図である。
【図15】 図14の衝撃緩和材の側面図である。
【図16】 本発明にかかる更に他の例の防音床材の平面図である。
【図17】 図16の防音床材の側面図である。
【図18】 図11の防音床構造の平面図である。
【図19】 本発明にかかる更に他の例の防音床構造の断面図である。
【図20】 本発明にかかる他の例の床パネルの断面図である。
【図21】 図20の床パネルを梁に懸架した状態の側面図である。
【図22】 本発明にかかる更に他の例の防音床材の平面図である。
【図23】 図19の防音床構造の平面図である。
【図24】 比較例にかかる一例の床構造の断面図である。
【図25】 比較例にかかる他の例の床構造の断面図である。
【符号の説明】
1,34,75 防音床構造
2 鉄骨梁
3,25 床下部構造体
3a 床下部構造体片
4,34 床上部構造体
5 床下地材
6 床仕上げ材
7,26,41,64 防音床材
8,13 空間
9,27,42,65 下部板材
10,11,32,45,48,69,73 衝撃緩衝部材
12,30,44,66 上部板材
14,18 隙間
15,16,67,68 衝撃吸収材
17,39 衝撃緩和材
17a,53 基材
17b,17c,54,55,56 凸部
19 制振材
20 捨て貼り板
21,46 ツメ
22,47,71 固定治具
23,61,98 木ビス
24,37,58,84,87,93,97,100 パーチクルボード
28,49,74 支持材
29,43 非加硫ブチルゴムシート
31 可撓性エポキシ接着剤
33,89,102 フロアーネイル
35,63,95 床パネル
36,59,92 根太木
38 接着層
35a 根太木の上面
35b パーチクルボードの端部
40,50 合板
51 不織布
52,72,94 木ネジ
60 石膏ボード
62 L金具
63a,63b 床パネルの両端
63c 継目
70 固定具
81,91 床構造
82,96 I型鋼梁
83 ALC床版
85 ビス
86,99 アスファルト系制振材
88,101 フローリング材

Claims (6)

  1. 鉄骨梁と、前記鉄骨梁によって支持される床下部構造体と、前記床下部構造体上の床上部構造体とを備えており、前記床下部構造体が、板状体と根太とを備える床パネル又は床版から形成されており、前記床上部構造体が、床下地材と前記床下地材上の床仕上げ材とから形成されている、鉄骨構造住宅用の防音床構造であって、
    前記床下部構造体と前記床上部構造体との間に複数の防音床材が配置されており、前記防音床構造を縦断面で見た時、前記各防音床材が互いに離間しており、前記各防音床材の間の水平方向に空間が設けられており、前記各防音床材が下部板材と複数の衝撃緩衝部材と上部板材とを備えており、前記下部板材が前記床下部構造体に固定されており、前記上部板材が前記床上部構造体に固定されており、前記各衝撃緩衝部材が前記下部板材と前記上部板材との間に配置されており、前記各衝撃緩衝部材が互いに離間しており、前記各衝撃緩衝部材の間の水平方向に空間が形成されており、前記各衝撃緩衝部材がバネ特性を有しており、前記バネ特性が、線形バネ特性、プログレッシブバネ特性及び定荷重バネ特性からなる群より選ばれており、一方の前記衝撃緩衝部材の前記バネ特性と他方の前記衝撃緩衝部材の前記バネ特性とが異なっており、前記床下地材が、JIS−A−5908試験での13.0N/mm2 以上の曲げ強さ及び15mm以上の厚みを有しており、前記床上部構造体の1m2 当たりの重量が40〜100kgであることを特徴とする、防音床構造。
  2. 前記防音床材が少なくとも2種の衝撃緩衝部材を備えており、一方の前記衝撃緩衝部材が前記上部板材と接しており、他方の前記衝撃緩衝部材が前記上部板材との間に隙間を有しており、前記床上部構造体に衝撃が加わった時、前記他方の前記衝撃緩衝部材と前記上部板材とが接触することを特徴とする、請求項1記載の防音床構造。
  3. 前記床上部構造体と前記上部板材と間及び前記下部板材と前記床下部構造体との間の少なくとも一方に、衝撃吸収材が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2記載の防音床構造
  4. 前記床下部構造体が複数の床下部構造体を水平に接ぎ合わすことで形成されており、前記下部板材が前記各床下部構造体の継目上に設けられており、前記継目の長さの25〜90%が前記下部板材によって被覆されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の防音床構造。
  5. 前記各防音床材の間及び前記床下部構造体の周辺部の上面の少なくとも1箇所に、支持材が設けられており、前記支持材が前記床上部構造体を支持しており、前記床上部構造体上に衝撃が加わった時、前記支持材が前記床上部構造体の変位を許容することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の防音床構造。
  6. 前記鉄骨梁と前記床下部構造体の間に、衝撃緩和材が介在しており、前記衝撃緩和材が、平板状の基材と複数の凸部とを備えており、前記各凸部が前記基材の表面及び裏面の少なくとも一方に設けられており、前記各凸部が、前記表面又は前記裏面から所定の高さで設けられており、前記表面又は前記裏面上で、相対的に高い高さの一方の前記凸部と、前記一方の凸部の次に高い高さの他方の前記凸部との高さの差が、前記一方の凸部の高さの5〜50%であり、前記一方の凸部が前記床下部構造体又は前記鉄骨梁と接触しており、前記他方の凸部と、前記床下部構造体又は前記鉄骨梁との間に隙間が形成されており、前記各凸部が、ポリノルボーネンゴム、粘着付与樹脂及び軟化剤を含有する原料から形成されており、前記各凸部の比重が1.3〜1.8であり、前記防音床構造に衝撃が加わった時、前記他方の凸部が前記床下部構造体又は前記鉄骨梁と接触し、前記他方の凸部が圧縮変形することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の防音床構造。
JP32899999A 1999-11-19 1999-11-19 防音床構造 Expired - Fee Related JP4413344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32899999A JP4413344B2 (ja) 1999-11-19 1999-11-19 防音床構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32899999A JP4413344B2 (ja) 1999-11-19 1999-11-19 防音床構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001146811A JP2001146811A (ja) 2001-05-29
JP4413344B2 true JP4413344B2 (ja) 2010-02-10

Family

ID=18216483

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32899999A Expired - Fee Related JP4413344B2 (ja) 1999-11-19 1999-11-19 防音床構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4413344B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3628998B2 (ja) * 2001-11-28 2005-03-16 早川ゴム株式会社 防音床構造及びその施工方法
GB0520750D0 (en) 2005-10-12 2005-11-23 Boc Group Plc Vacuum pumping arrangement
JP5124108B2 (ja) * 2006-07-07 2013-01-23 早川ゴム株式会社 制震部材
WO2014199964A1 (ja) * 2013-06-14 2014-12-18 積水ハウス株式会社 遮音床構造
JP6560863B2 (ja) * 2014-12-19 2019-08-14 住友理工株式会社 制振床構造
JP2018017077A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 住友林業株式会社 二重床用支持脚及びそれを用いた二重床構造並びにその構築方法
CN107269752A (zh) * 2017-07-28 2017-10-20 中国地震局工程力学研究所 具有多道防线的三维隔震台座
KR102341255B1 (ko) * 2019-10-25 2021-12-20 강민호 충격 흡수장치 및 그것을 이용한 층간소음 차단구조
CN111456373A (zh) * 2020-04-16 2020-07-28 惠亚科技(东台)有限公司 地板钢架支撑装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001146811A (ja) 2001-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8066097B2 (en) Acoustic enhancement device for underlayment of a covering
JP4413344B2 (ja) 防音床構造
JP4901220B2 (ja) 構造物の二重構造、及び構造物の二重構造の施工方法
JP3477072B2 (ja) 建築物の床構造
JP3914033B2 (ja) 建築物の防振断熱床構造
JP3628998B2 (ja) 防音床構造及びその施工方法
JP2005509771A (ja) 音響伝播を減衰するシステムおよび方法
JP3227408U (ja) 建築物の遮音構造
JP3430202B2 (ja) 防音床構造及び防音床材
JP6434760B2 (ja) 防音断熱床構造
JP4271123B2 (ja) 防音床構造、防音床材と際根太の組合せ及び防音床構造の施工方法
JP4090835B2 (ja) 防音床構造
JP4335174B2 (ja) 防振際根太及び防音床構造の施工方法
JP5450931B2 (ja) 床構造
JPH0355705Y2 (ja)
KR200378945Y1 (ko) 건축물의 층간소음저감재
JP3353048B2 (ja) 衝撃音減衰床
JP4301408B2 (ja) 衝撃音遮断型二重構造
JP4121303B2 (ja) 床構造及び床構造に用いる幅木
JP2002285700A (ja) 防音床構造及び防音床材
EP3235974B1 (en) A building part with high sound insulation performance
JPH01192952A (ja) 浮床構造
JPH046834B2 (ja)
JPH11131779A (ja) 床構造
WO2020050276A1 (ja) 床構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091027

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091118

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151127

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees