JPH09151282A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH09151282A
JPH09151282A JP33120995A JP33120995A JPH09151282A JP H09151282 A JPH09151282 A JP H09151282A JP 33120995 A JP33120995 A JP 33120995A JP 33120995 A JP33120995 A JP 33120995A JP H09151282 A JPH09151282 A JP H09151282A
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polypropylene resin
resin composition
ethylene
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polypropylene
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JP33120995A
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Tatsuo Teraya
竜男 寺屋
Eiji Kuchiki
栄治 朽木
Satoshi Shimizu
聡 清水
Tetsuya Kawamura
哲也 河村
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ弾性率、表面硬度などの剛性が低下する
ことなく、常温および低温における耐衝撃性がより優れ
る、すなわち優れた機械的物性をバランス良く有するポ
リプロピレン系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリプロピレン系樹脂50〜97
重量%および(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム
3〜50重量%からなり、該(B)エチレン−プロピレ
ン共重合体ゴムは、エチレン含有量が50〜60重量%
であり、かつ示差走査熱量計で測定した結晶化発熱量が
20〜35J/gであるポリプロピレン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂組成物に関する。さらに詳しくいえば、ポリプロピ
レン系樹脂に、エチレン含有量が50〜60重量%であ
り、かつ示差走査熱量計で測定した結晶化発熱量が20
〜35J/gであるエチレン−プロピレン共重合体ゴム
を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
このようなポリプロピレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率、表面硬度などの剛性が低下することなく、常温およ
び低温における耐衝撃性が優れる、すなわち優れた機械
的物性をバランス良く有するという特徴がある。特にバ
ンパーなどの自動車の内外装品、電気部品、スポーツ用
品、レジャ−用品、その他の工業部品の材料として有用
である。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂は低比重で、成形性
に優れるとともに、高い曲げ弾性率、良好な表面硬度、
高い熱変形温度などの機械的物性、電気絶縁性、耐薬品
性などに優れていることから、自動車の内外装品、電装
部品、家電製品、スポーツ用品、家具、事務用品などの
材料として広く利用されている。しかしポリプロピレン
樹脂は、耐衝撃性が低く、脆いという問題がある。かか
る問題を解決する一般的な手段として、ポリプロピレン
樹脂にエチレン−プロピレン共重合体ゴムを配合するこ
とにより、耐衝撃性の向上がおこなわれてきた。エチレ
ン−プロピレン共重合体ゴムのエチレン含有量は、通常
70〜80重量%であるが、低温においても耐衝撃性を
向上するために、エチレン含有量を50〜60重量%に
下げることが考えられた。しかしこのようなポリプロピ
レン樹脂は、低温において耐衝撃性が向上するものの、
逆に曲げ弾性率、表面硬度などの剛性が低下する。この
ため優れた機械的物性が、バランス良く得られないとい
う欠点がある。すなわち曲げ弾性率、表面硬度などの剛
性を低下することなく、常温および低温での耐衝撃性を
向上したポリプロピレン樹脂が望まれていた。
【0003】この問題を解決するために多くの試みがな
された。例えば特公平4−25974号公報には、結晶
性ポリプロピレンホモポリマ−および/または結晶性プ
ロピレン−エチレン共重合体に、特定のエチレン−α−
オレフィン系共重合ゴムを配合してなる、曲げ弾性率、
硬度、低温での耐衝撃性に優れるとともに、塗膜の接着
性の高いポリプロピレン樹脂組成物が記載されている。
ここで上記の特定のエチレン−α−オレフィン系共重合
ゴムは、特に示差走査熱量計で測定した50〜100℃
の範囲の融解熱量が、全融解熱量の6%以上である。さ
らに実施例には、塗膜剥離強度と低温での耐衝撃性は優
れるものの、曲げ弾性率と表面硬度が低い。
【0004】また特公平4−25975号公報には、結
晶性ポリプロピレン樹脂に、特定のエチレン−α−オレ
フィン系共重合ゴムを配合してなる、曲げ弾性率、耐衝
撃性に優れるとともに塗装性が改善された樹脂組成物が
記載されている。ここで上記の特定のエチレン−α−オ
レフィン系共重合ゴムは、特に分子量分布の異なる二種
類のエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムの混合組成
物である。さらに実施例には、耐衝撃性は優れるもの
の、曲げ弾性率が低い。
【0005】さらに特開平7−207080号公報に
は、ポリプロピレンに、特定のエチレン−プロピレン共
重合ゴムを配合してなる、曲げ弾性率、硬度などの剛性
を低下することなく低温での耐衝撃性を改善したポリプ
ロピレン樹脂組成物が記載されている。ここで特定のエ
チレン−プロピレン共重合ゴムは、プロピレン含有量が
15〜30重量%のときに、示差走査熱量計で測定した
結晶化発熱のピーク温度が一つで15〜25℃の範囲に
あり、結晶化発熱量の総量が30〜50J/gである。
【0006】しかし前記従来の技術のいずれにおいて
も、曲げ弾性率、硬度などの剛性が低下することなく、
常温および低温での耐衝撃性をバランス良く、かつ充分
に改善したポリプロピレン樹脂を得ることができなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来の技術を改善し、曲げ弾性率、表面硬度などの剛性
が低下することなく、常温および低温での耐衝撃性が優
れる、すなわち優れた機械的物性をバランス良く有する
ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】我々は、ポリプロピレン
系樹脂組成物の剛性および耐衝撃性について鋭意検討を
重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂に、エチレン含有量
が50〜60重量%であり、かつ示差走査熱量計で測定
した結晶化発熱量が20〜35J/gであるエチレン−
プロピレン共重合体ゴムを配合したポリプロピレン系樹
脂組成物は、曲げ弾性率、表面硬度などの剛性を低下す
ることなく、常温および低温における耐衝撃性が著しく
向上する、すなわち優れた機械的物性をバランス良く有
することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】したがって本発明は、(A)ポリプロピレ
ン系樹脂50〜97重量%および(B)エチレン−プロ
ピレン共重合体ゴム3〜50重量%からなり、該(B)
エチレン−プロピレン共重合体ゴムは、エチレン含有量
が50〜60重量%であり、かつ示差走査熱量計で測定
した結晶化発熱量が20〜35J/gであるポリプロピ
レン系樹脂組成物を提供する。
【0010】本発明は上記のようなポリプロピレン系樹
脂組成物であるが、その好ましい態様として、次のもの
を包含する。 (1)(A)成分の配合割合が、60〜95重量%であ
り、(B)成分の配合割合が、5〜40重量%である前
記ポリプロピレン系樹脂組成物。 (2)(A)成分のメルトフロ−レ−ト(MFR)が、
0.01〜1000g/10分であり、かつ13C−NM
Rで測定したメソ平均連鎖長(Nm)とメルトフロ−レ
−ト(MFR)とが、次式 Nm≧97+29.5log(MFR) で表される関係を有する高結晶性ホモポリプロピレンま
たは高結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の
単独組成物もしくは混合組成物である前記ポリプロピレ
ン系樹脂組成物、または上記(1)記載のポリプロピレ
ン系樹脂組成物。 (3)(A)成分のメルトフロ−レ−ト(MFR)が、
0.5〜300g/10分であり、かつ13C−NMRで
測定したメソ平均連鎖長(Nm)とメルトフロ−レ−ト
(MFR)とが、次式 Nm≧97+29.5log(MFR) で表される関係を有する高結晶性ホモポリプロピレンま
たは高結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の
単独組成物もしくは混合組成物である前記ポリプロピレ
ン系樹脂組成物、または上記(1)記載のポリプロピレ
ン系樹脂組成物。 (4)(B)成分のメルトフロ−レ−ト(MFR)が、
0.1〜50g/10分である前記ポリプロピレン系樹
脂組成物、または上記(1)〜上記(3)記載のうちの
いずれか1のポリプロピレン系樹脂組成物。 (5)(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に
対して、無機充填材3〜70重量部を配合した前記ポリ
プロピレン系樹脂組成物、または上記(1)〜(4)記
載のうちのいずれか1のポリプロピレン系樹脂組成物。 (6)(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に
対して、無機充填材5〜50重量部を配合した前記ポリ
プロピレン系樹脂組成物、または上記(1)〜(4)記
載のうちのいずれか1のポリプロピレン系樹脂組成物。 (7)無機充填材が、タルクである上記(5)または
(6)記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【0011】以下に、本発明を詳細に説明する。 (ポリプロピレン系樹脂組成物)本発明のポリプロピレ
ン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂および
(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴムからなる。さ
らに本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、所望によ
り(C)無機充填材および/または(D)その他の配合
剤を配合することができる。(A)成分の配合割合は、
(A)成分と(B)成分の合計量に対して、50〜97
重量%であり、好ましくは60〜95重量%である。ま
た(B)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の
合計量に対して、3〜50重量%であり、好ましくは5
〜40重量%である。(B)成分の配合割合が、3重量
%未満の場合にはポリプロピレン系樹脂組成物の低温で
の耐衝撃性が低くなり、50重量%を超える場合には曲
げ弾性率、表面硬度などの剛性が低下する。さらに
(C)成分の配合割合は、(A)成分および(B)成分
の合計量100重量部に対して、3〜70重量部であ
り、好ましくは5〜50重量部である。(C)成分の配
合割合が3重量部未満の場合には、ポリプロピレン系樹
脂組成物の曲げ弾性率の向上効果が小さく、70重量部
を超える場合には、成形加工が困難である。
【0012】(A)ポリプロピレン系樹脂 本発明で使用する(A)ポリプロピレン系樹脂は、プロ
ピレンのホモポリマー、すなわちホモポリプロピレンに
限らず、プロピレンと他のα−オレフィンとのブロック
共重合体またはランダム共重合体を使用することができ
る。他のα−オレフィンの含有量は、0〜30重量%で
あり、好ましくは0〜20重量%である。α−オレフィ
ンの含有量が、30重量%を超える場合には、曲げ弾性
率、表面硬度などの剛性が低下する。またホモポリプロ
ピレン、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
およびプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体
は、単独組成物または混合組成物を使用することができ
る。
【0013】ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量
は、50,000〜1,000,000である。このよ
うなポリプロピレン系樹脂は、0.01〜1000g/
10分のメルトフロ−レ−ト(以下、MFRともい
う。)(ASTM D−1238により、230℃、荷
重2.16kgの条件で測定した値)、好ましくは0.
5〜300g/10分のMFR、さらに好ましくは10
〜200g/10分のMFRを有する。MFRが0.0
1g/10分未満の場合には、ポリプロピレン系樹脂組
成物の剛性、成形性、外観などが不良となり、1000
g/10分を超える場合には、常温および低温における
耐衝撃性が劣る。
【0014】またホモポリプロピレンが高結晶タイプで
ある場合、またはプロピレン−α−オレフィンブロック
共重合体中のホモポリプロピレン部分が高結晶タイプで
ある場合に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の剛
性および耐衝撃性が、顕著に向上する。すなわち高結晶
性ポリプロピレン系樹脂は、MFRが0.01〜1,0
00g/10分、好ましくは0.5〜300g/10分
であり、かつ13C−NMRで測定したメソ平均連鎖長
(Nm)とMFRが、次式、 Nm≧97+29.5log(MFR) で表される関係を有する。
【0015】ここでメソ平均連鎖長(Nm)は、「Po
lymer Sequence Determinat
ion(p.37,Academic Press,L
ondon,1977)」(James C. Ran
dall)記載の方法に従って、13C−NMR装置で測
定したメソ−メソトライアッド[mm]とメソ−ラセミ
トライアッド[mr]から、次式により求めることがで
きる。
【0016】
【数1】
【0017】このような高結晶性ポリプロピレン系樹脂
は、特開平7−133319号公報に記載されている方
法によって製造することができる。すなわち、(a)マ
グネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与性化合物を
必須成分とする固体成分を、(b)有機アルミニウム化
合物及び(c)化学式
【0018】
【化1】 (但し、R1は環内にエーテル若しくはチオエーテル結
合含有環状置換基、環内エーテル結合含有環状置換基の
オキシ基、環内ケトン結合含有環状置換基、窒素原子含
有複素環式置換基、珪素原子含有複素環式置換基、ラク
トン骨格構造を有する置換基、R2は炭素数1〜10個
の炭化水素基、R4O−、R5 3Si−若しくはR6 3Si
O−、R3はメチル基若しくはエチル基、xは1若しく
は2、yは0若しくは1、zは2若しくは3、x+y+
z=4であり、R4は炭素数3〜10の炭化水素基、R5
及びR6は炭素数1〜10個の炭化水素基である。)で
示される有機珪素化合物の存在下、(d)オレフィンと
接触させてなるα−オレフィン重合用触媒成分、を用い
てプロピレンを重合することにより、高結晶性ポリプロ
ピレンを製造することができる。
【0019】高結晶性ポリプロピレンは、MFRが0.
01〜1000g/10分であることが必要であり、
0.01未満では成形性が低下し、1000を超えると
耐衝撃性が低下する。さらに高結晶性ポリプロピレン
は、メソ平均連鎖長(Nm)とMFRとが Nm≧97+29.5log(MFR) 好ましくは、 Nm≧103+29.5log(MFR) さらに好ましくは、 Nm≧109+29.5log(MFR) なる関係を満足することが必要であり、Nm<97+2
9.5log(MFR)では剛性および耐熱性が不十分
である。
【0020】(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム 本発明で使用する(B)エチレン−プロピレン共重合体
ゴムは、エチレンとプロピレンの共重合体でゴム状のも
のを使用することができる。エチレン−プロピレン共重
合体ゴムのエチレン含有量は、50〜60重量%であ
り、エチレン含有量が、50重量%未満の場合は、ポリ
プロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率、表面硬度などの
剛性が不充分となり、60重量%を超える場合は、常温
および低温における衝撃強度が向上しない。さらに示差
走査熱量計で測定した結晶化発熱量は、20〜35J/
gであり、結晶化発熱量が、20J/g未満の場合は、
ポリプロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率、表面硬度な
どの剛性が不充分となり、35J/gを超える場合は、
常温および低温における衝撃強度が向上しない。またM
FRは、0.1〜50g/10分であり、好ましくは
0.5〜20g/10分である。さらにGPC法で測定
した重量平均分子量は、30,000〜500,000
である。
【0021】結晶化発熱量は、示差走査熱量計(以下、
DSCとも言う)に試料を装填し、試料を200℃まで
加熱して完全に融解させた後、−10℃/分で冷却した
時に得られる曲線において、結晶化に伴う発熱ピ−クの
面積から結晶化発熱量を求めることができる。具体的に
は、図1に例示する曲線において、発熱ピークが始まる
点(A点)よりも十分に高温側からベースラインに接線
を引き、該接線がさらに曲線と交わる点をB点とし、接
線と曲線で囲まれた部分(斜線部)の面積を結晶化発熱
量とした。
【0022】(C)無機充填材 無機充填材は、樹脂組成物に使用する公知のものを使用
することができる。例えば炭酸カルシウム、タルク、ク
レー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化
チタン、アルミナ、石膏、ガラス繊維、ケイ酸カルシウ
ム、ガラスビーズ、カーボンブラック、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、けい藻土、炭
素繊維、合成けい酸系ファイバーなどを挙げることがで
きる。無機充填材の配合割合は(A)成分および(B)
成分の合計量100重量部に対して、3〜70重量部、
好ましくは5〜50重量部である。これらの無機充填材
は1種または2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0023】また無機充填材は、その表面を未処理のま
ま使用してもよく、また表面処理剤で表面処理しもかま
わない。表面処理した無機充填材は、(A)成分および
(B)成分と無機充填材との接着性が向上し、分散性が
向上する。表面処理剤としては、公知のシランカップリ
ング剤、チタンカップリング剤および高級脂肪酸、高級
脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類な
どの界面活性剤を使用することができる。
【0024】これらの表面処理剤は、(C)成分をあら
かじめ表面処理剤で処理した後、(A)成分、(B)成
分および所望により次に述べる(D)成分と、溶融混練
して使用することができる。もしくは(A)成分、
(B)成分および所望により次に述べる(D)成分を、
溶融混練する際に、直接表面処理剤を添加して使用する
ことができる。
【0025】(D)その他の配合剤 その他の配合剤は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成
物の性能を損なわない範囲で、所望により樹脂組成物に
使用する公知の配合剤を使用することができる。これら
の配合剤は1種または2種以上を適宜組み合わせて使用
することができる。その具体例として、その他の樹脂、
酸化防止剤(フェノール系、イオウ系、りん系)、紫外
線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、造
核剤、可塑剤、架橋剤、顔料、中和剤などを挙げること
ができる。
【0026】(ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方
法)本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポ
リプロピレン系樹脂に、(B)エチレン−プロピレン共
重合体ゴム、および所望により(C)無機充填材および
/または(D)その他の配合剤を溶融混練して製造する
ことができる。
【0027】溶融混練の方法としては、公知の製造方法
を採用することができる。すなわち(A)成分、(B)
成分ならびに所望により(C)成分および/または
(D)成分は、例えばヘンシェルミキサー、ドラムタン
ブラーなどの混合機を用いて予備混合し、この混合物を
一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、混練ロ
ール、ブラベンダー、ニーダーなどの混練機を用いて、
100〜250℃、好ましくは120〜230℃で溶融
混練する方法を用いることができる。混練時間は0.1
〜20分程度である。また(C)成分および(D)成分
は、予め(A)成分および(B)成分とドライブレンド
しておくことができる。さらに押出機などを使用する場
合には、(A)成分、(B)成分および/または(D)
成分をドライブレンドした後、(C)成分を、重量式フ
ィーダーなどを用いて押出機の途中から供給することも
できる。
【0028】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
曲げ弾性率、表面硬度などの剛性が低下することなく、
常温および低温における耐衝撃性がより優れることか
ら、広範囲に用途を展開することができる。代表的な用
途として自動車の内外装品材料や電装部品材料(例え
ば、バンパ−材、インストルメントパネル材、エアーク
リーナーケース材、ファンシュラウド材、カーヒーター
ケース材、トリム材など)、家電製品材料(例えば、洗
濯槽材、テレビパネル材、アイロン把手材、ファン材、
ビデオテープカセット材、ラジオカセットハウジング材
など)、事務用品材料(例えば、複写機ハウジング材、
コンピューターハウジング材など)、スポーツ用品材
料、家具材料などが挙げられる。
【0029】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに詳細に説明する。なお本発明は、以下の実施
例によって何等限定されるものではない。また以下の実
施例および比較例では、原料成分として次の成分を使用
した。
【0030】(A)ポリプロピレン系樹脂 HPP:ホモポリプロピレン樹脂であるHJ240(東
燃化学(株)製)を使用した。MFR40g/10分で
ある。 BPP:ブロックポリプロピレンであるBJ530(東
燃化学(株)製)を使用した。エチレンプロピレン共重
合体12重量%、共重合体のエチレン含有量50重量
%、MFR30g/10分である。
【0031】(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム EPR1:MDV91−9(エクソン化学(株)製)を
使用した。エチレン含有量54重量%、MFR1.9g
/10分、結晶化発熱量28.3J/gである。 EPR2:EP02P(日本合成ゴム(株)製)を使用
した。エチレン含有量73重量%、MFR3.2g/1
0分、結晶化発熱量50.1J/gである。
【0032】(C)無機充填材 タルク:LMS−300(富士タルク(株)製)を使用
した。
【0033】なお、上記の(A)成分および(B)成分
が示す力学的物性の測定方法は以下の通りである。 (1)MFR:ASTM D−1238により、230
℃、荷重2.16kgの条件で測定した。 (2)エチレン含有量:「Macromolecule
s」[James C.Randall:Vol.1
1,No.1,33〜36(1978)]に記載の方法
により、核磁気共鳴スペクトルから求めた。 (3)結晶化発熱量:示差走査熱量計(セイコ−電子
(株)製、DSC220C)を使用し、試料量約10m
g、室温で示差走査熱量計に装填し、200℃まで加熱
して完全に融解させた後、−10℃/分で−100℃ま
で冷却した時に得られる曲線において、結晶化に伴うピ
ーク面積から結晶化発熱量を求めた。
【0034】(実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較
例9)表1および表2に示す配合割合で、(A)ポリプ
ロピレン系樹脂(HPP、BPP)、(B)エチレン−
プロピレン共重合体ゴム(EPR1、EPR2)および
(C)無機充填材(タルク)を、ヘンシェルミキサーで
ドライブレンドした後、直径30mmの二軸押出機のメ
インホッパーより投入した。バレル温度230℃で混練
し、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリ
プロピレン系樹脂組成物について、曲げ弾性率(23
℃)、アイゾット衝撃強度(23℃、−30℃)および
表面硬度(23℃)を測定した。その結果を併せて表1
および表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】なお表1および表2に示した各機械的物性
の測定方法は、次のようである。 (1)曲げ弾性率:ASTM D−790により、23
℃で測定した。 (2)アイゾット衝撃強度:ASTM D−256によ
り、23℃および−30℃で測定した(Vノッチ付)。 (3)表面硬度:ASTM D−785により、23℃
で測定した。結果は、ロックウエルR60スケ−ルで表
した。
【0038】表1の実施例1〜実施例6は、比較例1〜
比較例6に比べると、23℃および−30℃でのアイゾ
ット衝撃強度が顕著に向上している。また表2に示すよ
うに、タルクを配合した樹脂組成物においても、実施例
7〜実施例9は、比較例7〜比較例9に比べると、表1
におけると同様、23℃および−30℃のアイゾット衝
撃強度が顕著に向上している。
【0039】
【発明の効果】以上詳細かつ具体的に説明したように、
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂およびエチレン
−プロピレン共重合体ゴムからなることを特徴とする新
規かつ曲げ弾性率、表面硬度などの剛性が低下すること
なく、常温および低温における耐衝撃性が優れる、すな
わち優れた機械的物性をバランス良く有するポリプロピ
レン系樹脂組成物が提供され、特にバンパーなどの自動
車の内外装品、電気部品、スポーツ用品、レジャ−用
品、その他の工業部品の材料として有用である。
【0040】本発明のポリプロピレン樹脂組成物が、上
述のように優れた効果を発現する理由は、次のようなと
ころにあるとも考えられる。すなわちエチレン−プロピ
レン共重合体ゴムのエチレン含有量が高い場合は、ポリ
プロピレン系樹脂組成物の結晶性が高くなって剛性が向
上するものの、脆くなって耐衝撃性が低下し、逆にエチ
レン含有量が低い場合は、剛性が低くなるものの、耐衝
撃性が向上することが、本発明に際して行った検討の過
程で認識された。一方エチレン−プロピレン共重合体ゴ
ムの結晶化熱量は、結晶性を表す指標と考えることがで
きる。
【0041】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、
上述のように優れた効果を発揮する理由は、次のような
ところにあるとも考えられる。すなわちエチレン−プロ
ピレン共重合体ゴムのエチレン含有量が高い場合は、ポ
リプロピレン系樹脂組成物の結晶性が高くなって剛性が
向上するものの、脆くなって耐衝撃性が低下し、逆にエ
チレン含有量が低い場合は、剛性が低くなるものの、エ
チレン−プロピレン共重合体ゴムの分子運動性は高くな
り、耐衝撃性が向上することが、一般的に知られてい
る。従ってエチレン−プロピレン共重合体ゴムのエチレ
ン含有量が低いにも関わらず、ある程度高い結晶性を有
している場合に、剛性と耐衝撃性とをバランスよく兼ね
備えたポリプロピレン系樹脂組成物を得ることが可能に
なったものと考えられる。しかし我々は本発明の効果に
関する、このような機構の当否にこだわるものではな
い。
【0042】かくして本発明のポリプロピレン系樹脂組
成物は、曲げ弾性率、表面硬度などの剛性を低下するこ
となく、常温および低温におけるアイゾット衝撃強度が
著しく、かつバランス良く向上したものとも考えられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査熱量計(DSC)を使用して測定した
曲線の例で、結晶化発熱量を求める方法を示す図であ
る。
【符号の説明】
A 発熱ピ−クが始まる点 B ベ−スラインとの接線が曲線と交わる点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 哲也 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリプロピレン系樹脂50〜97
    重量%、および(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴ
    ム3〜50重量%からなり、該(B)エチレン−プロピ
    レン共重合体ゴムは、エチレン含有量が50〜60重量
    %であり、かつ示差走査熱量計で測定した結晶化発熱量
    が20〜35J/gであるポリプロピレン系樹脂組成
    物。
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