JP3499325B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体

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JP3499325B2 JP09101495A JP9101495A JP3499325B2 JP 3499325 B2 JP3499325 B2 JP 3499325B2 JP 09101495 A JP09101495 A JP 09101495A JP 9101495 A JP9101495 A JP 9101495A JP 3499325 B2 JP3499325 B2 JP 3499325B2
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、自動車部品、エ
ンジニリアリングプラスチック代替品等に好適に用いら
れる、剛性および耐衝撃性などの機械的強度、耐熱性な
らびに表面硬度に優れるポリプロピレン系樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、一般に安価であり、
かつその特徴である軽量性、透明性、機械的強度、耐熱
性、耐薬品性、光沢などの性質を生かし、機械部品、電
気・電子部品などの工業材料、各種包装材料、などに広
く利用されている。近年、製品の高機能化あるいはコス
ト低減化に伴い、これらの材料に対する特性向上が強く
要望されている。これらの特性のうち、剛性、耐熱性な
どの機械的強度を改良する方法として、タルク、炭酸カ
ルシウム、マイカ等の無機充填剤を添加する方法が公知
である(例えば特開昭53−79938号公報、特開昭
55−120642号公報、特開昭56−141341
号公報など)。また、ソルビトール誘導体を添加するこ
とにより透明性、剛性あるいは耐熱性を改良する方法は
数多くの提案がされている(例えば、特開昭53−11
7044号公報、特開昭58−84728号公報な
ど)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
無機充填剤を添加する方法は、剛性、耐熱性の改良効果
に乏しい。また、後者の方法は、ソルビトール誘導体の
添加量が樹脂分100重量部あたり0.1〜1.0重量
%の範囲であり、それ以上添加しても剛性及び耐熱性等
の物性の改善効果が飽和してしまう傾向にあるほか、ブ
リードアウトするという問題があった。従って、従来の
方法では、特に剛性や耐熱性が求められるエンジニアリ
ングプラスチック代替品としては、性能が不十分なもの
であった。本発明は、かかる状況に鑑みてなされたもの
であり、剛性、耐熱性および表面硬度に優れ、かつ耐衝
撃性、光沢等の外観も良好なポリプロピレン系樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定のポリプロピレンに、無機充填剤と
ソルビトール誘導体を併用することにより相乗効果が期
待できることを見い出し、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は(A)下記
(1)〜(4)の物性を有するプロピレンの実質的単独
重合体 55〜97重量%、 (1)25℃におけるキシレン抽出不溶部 99.0
重量%以上、 (2)アイソタクチックペンタッド分率 98.5%
以上 (3)アイソタクチック平均連鎖長 500以上 (4)カラム分別法による各フラクションの平均連鎖長
が800以上のものの合計 10重量%以上 (B)ソルビトール誘導体 1.5〜5重量%および (C)無機充填剤 3〜50重量%[ただし、(A)+
(B)+(C)=100重量%である]からなるポリプ
ロピレン系樹脂組成物を提供するものである。以下、本
発明を具体的に説明する。
【0005】本発明における(A)プロピレンの実質的
単独重合体とは、プロピレンの単独重合体または少量の
エチレン、ブテン−1など他のα−オレフィンとの共重
合体(以下総称して「PP」という)をいう。本発明の
PPは、以下の物性を有することが必要である。すなわ
ち、本発明のPPは、(1)25℃におけるキシレン抽
出不溶部(以下「XI」という)が99.0重量%以上
であり、好ましくは99.5重量%以上、さらに好まし
くは99.7重量%以上である。XIが99.0重量%
未満では剛性および耐熱性が低下する。なお、XIはP
Pを135℃のオルトキシレンにいったん溶解した後、
25℃に冷却して析出したポリマーの割合を重量%で表
したものである。
【0006】また、本発明のPPは(2)アイソタクチ
ックペンタッド分率(以下「IP」いう)が98.5%
以上であり、99.0%以上が好ましく、特に99.5
%以上が好適である。IPが99.0%未満では剛性お
よび耐熱性が低下する。ここで、IPとは、同位体炭素
による核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を使用し
て測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位
でのアイソタクチック分率である。その測定法は、A. Z
ambelli,Macromolecules,Vol.6,p-625(1973)、同,Vol.
8,p-687(1975)に記載された方法に従った。なお、本発
明でいうIPは、重合で得られたPPそのものの測定値
であって、前記キシレン抽出、その他抽出、分別等を行
った後のPPの測定値ではない。
【0007】また、本発明のPPは(3)アイソタクチ
ック平均連鎖長(以下「N」という)が500以上、好
ましくは700以上、特に好ましくは800以上である
必要がある。Nが500未満では剛性および耐熱性が劣
る。なお、Nとは、ポリプロピレン分子内のメチル基の
アイソタクチック部分の平均的な長さを表すものであ
り、その測定方法はJ.C.Randllによって報告されている
方法(Polymer Sequence Distribution, Academic Pres
s, New York 1977, chapter2)をもとに算出することが
できる。具体的には、ポリプロピレンを1,2,4−ト
リクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒ポリマ
ー濃度が10重量%となるように温度130℃に加温し
て溶解する。この溶液を内径10mmφのガラス製試料管
に入れ、上記IPと同一の測定条件で13C−NMRを測
定する。
【0008】一方、重合理論としてShan-Nong ZHU,Xiao
-Zhen YANG,Riichiro Chujo;Polymer Jounal,Vol.15,N
o.12,p859-868(1983)に記載された2サイトモデルがあ
る。すなわち、重合時の活性点が触媒側とポリマー末端
の2種類あるとするものであり、触媒側は触媒支配重
合、もう一方は末端支配重合と呼ばれるものである(詳
細については、古川淳二;高分子のエッセンスとトピッ
クス2、「高分子合成」、p−73、(株)化学同人発
行(1986年)に記載されている)。上記文献による
と、2サイトモデルは、 α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)によ
る重合末端にD体およびL体が付加する確率、すなわち
アイソタクチック連鎖中の乱れの程度の指標 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)による重合末端と
同じものが不可するメソ体ができる確率) ω:αサイトの割合 と定義して、ペンタッド単位でのアイソラクチシティー
の異なる10種類のアイソタクチック強度を論理的に計
算できる。そして、前記NMRによる測定強度と上記理
論強度が一致するように、α、σ、ωを最小自乗法で求
め、次式によって、各ペンタッド単位を求める。
【0009】
【表1】
【0010】次に、前述のJ.C.Randall の文献に記載さ
れている平均連鎖長(N)の定義式N=メソ体の連鎖数
/メソ体のユニット数にあてはめ、実際には上記A1
7 の各ペンタッド単位を求め下記式によって求めるこ
とができる。 N=1+(A1 +A2 +A3 )/0.5(A4 +A5 +A6 +A7
【0011】さらに、本発明のPPは(4)カラム分別
法による各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長
(以下「Nf 」という)が800以上のものの合計量は
10重量%以上であることが必要であり、好ましくは3
0重量%以上、特に好ましくは50重量%である。Nf
が800以上のものの合計が10重量%未満では剛性、
表面硬度および耐熱性の改良効果に乏しい。ここで、カ
ラム分別法とは、キシレン不溶部分のポリマーをパラキ
シレンに温度130℃で溶解後、セライトを加え、10
℃/時間の降温速度で温度30℃まで下げ、セライトに
付着させる。次に、スラリー状セライトをカラムに充填
し、パラキシレンを展開液として温度30℃から2.5
℃毎に段階的に温度を上昇し、ポリマーをフラクション
別に分取する方法である。分取したポリマーのNf は、
前記Nの測定法を用いて測定される。本方法の詳細につ
いては、Masahiro Kakugo,Tatsuya Miyatake,Yukio Nit
o,Kooji Mizunuma;Macromolecules,Vol.21,p314-319(19
88) に記載がある。
【0012】本発明のPPの好ましい例としては、例え
ば固体触媒成分として従来から用いられている三塩化チ
タン系触媒や、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子
供与性化合物を必須成分とする固体触媒では、前述の条
件を満たすPPを得ることは難しい。本発明で用いられ
る好ましい触媒系の具体例としては、例えばマグネシウ
ム、チタン、ハロゲンおよび電子供与性化合物を必須成
分とする固体触媒、またはこの固体触媒を、更に、電子
供与性化合物で1回以上、ハロゲン含有化合物で2回以
上処理した触媒を用いて重合して得られるものが挙げら
れる。
【0013】また、本発明に用いる(B)ソルビトール
誘導体はポリプロピレンなどの結晶性樹脂の透明核剤と
して広く使用されているものである。好ましいソルビト
ール誘導体の例としては、1・3,2・4−ジベンジリ
デンソルビトール、1・3,2・4−ジ(アルキルベン
ジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−メ
チルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ
(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、4−p−メ
チルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジ
(アルキルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・
4−ジ(アルコキシベンジリデン)ソルビトール、1・
3,2・4−ビス(2−ナフチルメチレン)ソルビトー
ル等が挙げられる。これらの中でも、1・3,2・4−
ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジ(p
−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4
−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールが好適で
ある。
【0014】本発明に用いる(C)無機充填剤は特に制
限するものはなく、熱可塑性樹脂および合成ゴム分野に
おいて充填剤として慣用されているものである。具体的
には、タルク(珪酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、
けい酸、けい酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウ
ム、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、ほう酸アルミ
ニウムウィスカー等が挙げられる。これらの中でもタル
ク、炭酸カルシウムが好ましい。これらの充填剤は1種
でもよく、2種以上を併用してもよい。これらの充填剤
は、そのまま用いてもよいが、各種有機チタネート系カ
ップリング剤、シランカップリング剤、アルミニウム系
カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステ
ル等で表面処理したものでもよい。
【0015】本発明の樹脂組成物に占める(A)成分の
組成割合は55〜97重量%であり、60〜95重量%
が好ましく、特に65〜90重量%が好適である。
(A)成分の組成割合が55%重量未満では耐衝撃性お
よび成形品の外観が低下するので好ましくない。一方、
97重量%を超えると剛性および耐熱性が低下するので
好ましくない。(B)成分の組成割合は1.5〜5重量
%であり、2.0〜4.5重量%が好ましく、特に2.
5〜4.0重量%が好適である。(B)成分の組成割合
が1.5重量%未満では剛性および耐熱性の改良効果が
乏しい。一方、5重量%を超えても改善効果のさらなる
向上が期待できない上、耐衝撃強度の低下やブリードア
ウトを起こす恐れがあるので好ましくない。(C)成分
の組成割合は3〜50重量%であり、5〜48重量%が
好ましく、特に7〜45重量%が好適である。(C)成
分が3重量%未満では剛性および耐熱性の改良効果が乏
しい上、ブリードアウトの恐れがある。一方、50重量
%を超えると耐衝撃性および成形品の外観が著しく低下
するので好ましくない。
【0016】また、本発明に用いる(D)ゴム状重合体
は、特に制限はなく、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴ
ム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブ
タジエンゴム水添物、スチレン−エチレン/ブテン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンゴム水
添物、スチレン−エチレン/イソプレン−スチレンブロ
ック共重合体水添物、アクリルゴム、ブチルゴム、エチ
レン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン―非共役
ジエンゴム、エチレン−ブタジエンゴム水添物などが挙
げられる。これらのゴム状重合体は1種でもよく2種以
上を混合して使用することもできる。これらの中でも、
エチレン−プロピレンゴム、スチレン−エチレン/ブテ
ン−スチレンブロック共重合体、エチレン−ブタジエン
ゴム水添物等が好ましい。本発明の樹脂組成物100重
量部に対する(D)成分の配合割合は30重量部以下で
あり、好ましくは25重量部以下、さらに好ましくは2
0重量部以下である。(D)成分を配合することによ
り、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた組成物を得る
ことができる。
【0017】また、本発明の組成物には、ポリプロピレ
ンを有機過酸化物とともに無水マレイン酸、アクリル
酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸を処理した、グ
ラフト変性ポリプロピレンを加えて使用することも出来
る。さらに、本発明の樹脂組成物には、当該技術分野に
おいて慣用されている各種添加剤、例えば酸化防止剤、
耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止
剤、防曇剤、顔料、可塑剤、柔軟剤などを本発明の目的
を損なわない範囲で適宜配合できる。
【0018】本発明の樹脂組成物は、公知の混合方法、
例えば、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミ
キサー、ジェットミルなどを用いて各成分を混合し、さ
らに、ニーダー、ミキシングロール、バンバリミキサ
ー、押出機などを用いて溶融混合する方法により得られ
る。溶融混合温度については、通常170〜280℃で
あり、180〜260℃が好ましい。本発明の樹脂組成
物は、公知の溶融成形法および圧縮成形法により、家電
部品および自動車部品等の成形品、チューブ、ボトル、
シート、フィルムなどに成形でき、単体での使用および
他の材料を積層しても使用することができる。以下、実
施例を挙げ本発明を更に詳しく説明する。
【0019】
【実施例】尚、測定方法は次の方法で行った。 キシレン不溶部(XI) 2.5gのポリマーを135℃のキシレン(250m
l)に溶解した後、25℃に冷却し、析出したポリマー
の割合(重量%)をXIとした。 アイソタクチックペンタッド分率(IP) 日本電子(株)製のJNM−GSX400(13C核磁気
共鳴周波数400MHz)を用いて測定した。それぞれ
のシグナルは、A.ZambelliらのMacromolecules,Vol.13,
267(1980) で帰属した。測定条件を以下に示す。 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μsec パルス繰り返し時間:3.0sec 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
/重ベンゼンの混合溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃
【0020】アイソタクチック平均連鎖長(N) ポリプロピレンを1,2,4−トリクロロベンゼン/重
ベンゼンの混合溶媒にポリマー濃度が10重量%となる
ように温度130℃に加温して溶解する。この溶液を内
径10mmφのガラス製試料管に入れ、上記IPと同一
の測定条件で13C−NMRを測定する。 MFR(メルトフローレート) JIS K7210に準拠し、表1、条件14でタカラ
社製メルトインデクサーを用いて測定した。 曲げ弾性率 JIS K7203に準拠して行った。 ロックウェル硬度 JIS−K720 に準拠して行った。 アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) JIS K7110に準拠して23℃の温度で上島製作
所製U−F インパクトテスターを用いて測定した。 荷重たわみ温度 JIS K7207B法に準拠して4.6kgの荷重で
測定を行った。装置は、(株)東洋精機製作所製HDT
εVSPTテスターを用いた。 ブリードアウト 平板(150×110mm、厚さ2mm)を20ショッ
ト射出した後、金型のブリードアウトによる汚れの状態
を目視観察により次の3段階で評価した。 ○ ・・・・ 汚れが全く見られない。 △ ・・・・ 汚れが多少見られる。 × ・・・・ 汚れが明らかに見られる。 また、使用したポリプロピレンの製造例を以下に示す。
【0021】(a)固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール1
00g、出光興産社製ワセリンオイル(CP15N)5
00mlおよび信越シリコーン社製シリコーン油(KF
96)500mlからなる混合液に窒素雰囲気下、12
0℃で完全に溶解させた。この混合物を特殊機化工業社
製TKホモミキサーを用いて120℃、3000回転/
分で3分間撹拌した。撹拌を保持しながら、2リットル
の無水ヘプタン中に0℃以下を維持するように冷却しな
がら移送した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十分
に洗浄し室温下で真空乾燥した。得られたMgcl2
2.5C25 OHの球状固体30gを無水ヘプタン2
00ml中に懸濁させた。0℃で撹拌しながら、四塩化
チタン500mlを1時間かけて滴下した。次に、加熱
を始めて40℃になったところで、フタル酸ジイソブチ
ル4.96gを加えて、100℃まで約1時間で昇温さ
せた。100℃で2時間反応させた後、熱時ろ過にて固
体部分を採取した。得られた固体を四塩化チタン500
mlを懸濁させた後、120℃で1時間反応させた。反
応終了後、再度、熱時ろ過にて固体触媒を採取し、60
℃のヘキサン1.0リットルで7回、室温のヘキサン
1.0リットルで3回洗浄した。
【0022】(b)Ticl4 [C64 (COOiC
492 ]の調製 四塩化チタン19gを含むヘキサン1.0リットルの溶
液に、フタル酸ジイソブチル:C64 (COOiC4
92 27.8gを、0℃を維持しながら約30分間
で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応
させた。反応終了後、固体部分を採取しヘキサン500
mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0023】(c)重合触媒成分の調製 上記(a)で得られた固体触媒20gをトルエン300
mlに懸濁させ、25℃で上記(b)で得られたTic
4 [C64 (COOiC492 ]5.2gで1
時間処理して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固
体部分を採取し、トルエン300mlと四塩化チタン1
0mlに再懸濁させ、90℃1時間撹拌洗浄し、熱時ろ
過にて固体部分を採取し、その後、この反応物を90℃
のトルエン500mlで5回、室温のヘキサン500m
lで3回洗浄した。
【0024】(予備重合)窒素雰囲気下、内容積3リッ
トルのオートクレーブ中に、n−ヘプタン500ml、
トリエチルアルミニウム6.0g、ジシクロペンチルジ
メトキシシラン0.39gおよび(c)で得られた重合
触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間
撹拌した。次に重合触媒成分1gあたり10gのプロピ
レンが重合するようにプロピレンをオートクレーブ中に
供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重合した。得
られた予備重合触媒は、n−ヘプタン500mlで3回
洗浄を行い、以下のPPの重合に使用した。
【0025】(本重合)窒素雰囲気下、内容積60リッ
トルの撹拌機付きオートクレーブに、上記の方法で調製
された予備重合固体触媒成分2.0g、トリエチルアル
ミニウム11.4g、ジシクロペンチルジメトキシシラ
ン6.84gを入れ、温度70℃でプロピレンを圧入
し、1時間重合した後、未反応モノマー及び水素をパー
ジし重合を停止し、ポリプロピレン(以下「PP−1」
という)を得た。また、比較用として、上記(a)〜
(c)の操作のうち、(a)のみの操作を行った以外
は、PP−1と同様の操作を行いポリプロピレン(以下
「PP−2」という)を得た。以上のポリプロピレンに
ついてXI、IP、NおよびNf を測定した。その結果
を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】ソルビトール誘導体として、1・3,2・
4−ジベンジリデンソルビトール(以下「核剤A1」と
いう)、1・3,2・4−ジ(p−メチルベンジリデ
ン)ソルビトール(以下「核剤A2」という)および1
・3,2・4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビト
ール(以下「核剤A3」という)を用いた。また、比較
用としてリン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t
−ブチルフェニル)ナトリウム(以下「核剤B」とい
う)およびナトリウムベンゾエート(以下「核剤C」と
いう)を用いた。無機充填剤としてタルク(林化成社
製、MICRON WHITE #5000S )および炭酸カルシウム
(白石カルシウム社製、沈降炭酸カルシウム StaVigot
15A 、以下「炭カル」という)を使用した。ゴム状重合
体としてエチレン−プロピレンゴム(三井石油化学社
製、タフマーP0480 、以下「EPR」という)およびス
チレン−エチレン/ブテン−スチレンブロック共重合体
(旭化成社製、タフテック H1052、以下「SEBS」と
いう)を使用した。
【0028】実施例1〜9、比較例1〜8 表3に種類および配合量が示されている(A)成分、
(B)成分、(C)成分および(D)成分ならびに安定
剤としてジ−t−ブチル−p−クレゾール0.05重量
部、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]0.1重量部およびカルシウムステアレート0.
1重量部を川田製作所社製スーパーミキサー(SMV2
0型)を用いて混合し、ナカタニ機械社製二軸押出機
(AS30型)を用いてペレット化した。得られたペレ
ットを、東芝機械社製IS−170FIIを用いて成形温
度220℃、金型冷却温度50℃での試験片を作成し
た。試験片からブリードアウトを評価した。また、試験
片を温度23℃、湿度50%の恒温室に2日放置後、曲
げ弾性率、ロックウェル硬度、アイゾット衝撃試験(ノ
ッチ付き)および荷重たわみ温度を測定した。得られた
結果を表4に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、剛性および耐衝
撃性などの機械的強度、耐熱性ならびに表面硬度に優れ
るので、自動車部品、エンジニリアリングプラスチック
代替品等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレンのメチル領域における核磁気共
鳴スペクトルの例である。
【符号の説明】
a スペクトル図 b aの拡大図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/1575 C08K 5/1575 //(C08L 23/12 C08L 23:16 23:16) 53:02 (C08L 23/12 53:02) (56)参考文献 特開 平7−292022(JP,A) 国際公開95/31490(WO,A1) 特許3385099(JP,B2) 特許3398469(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 3/00 - 13/08 C08F 4/64 - 4/69 C08F 110/00 - 110/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記(1)〜(4)の物性を有す
    るプロピレンの実質的単独重合体 55〜97重量%、 (1)25℃におけるキシレン抽出不溶部 99.0
    重量%以上、 (2)アイソタクチックペンタッド分率 98.5%
    以上 (3)アイソタクチック平均連鎖長 500以上 (4)カラム分別法による各フラクションの平均連鎖長
    が800以上のものの合計 10重量%以上 (B)ソルビトール誘導体 1.5〜5重量%および (C)無機充填剤 3〜50重量%[ただし、(A)+
    (B)+(C)=100重量%である]からなるポリプ
    ロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組
    成物 100重量部に対し、(D)ゴム状重合体を多く
    とも30重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 (A)プロピレンの実質的単独重合体が
    マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合
    物および電子供与性化合物を必須成分とする固体触媒を
    更に一般式:TiXa・Yb(式中、XはCl,Br,
    Iのハロゲン原子を、Yは電子供与性化合物を、aは3
    もしくは4、bは3以下の整数をそれぞれ表す)で示さ
    れるチタン化合物で処理後、ハロゲン含有化合物で洗浄
    し更に炭化水素で洗浄して得られる改良重合触媒を用い
    て重合して得られるものである請求項1または請求項2
    記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポ
    リプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形
    体。
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