JPH07292022A - プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物 - Google Patents

プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物

Info

Publication number
JPH07292022A
JPH07292022A JP8494994A JP8494994A JPH07292022A JP H07292022 A JPH07292022 A JP H07292022A JP 8494994 A JP8494994 A JP 8494994A JP 8494994 A JP8494994 A JP 8494994A JP H07292022 A JPH07292022 A JP H07292022A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
propylene
based polymer
solid catalyst
titanium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8494994A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisayoshi Yanagihara
久嘉 柳原
Kazuyuki Watanabe
和幸 渡辺
Tomoshi Iwamoto
智志 岩本
Hirotoshi Takahashi
広敏 高橋
Kazuharu Ito
和晴 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP8494994A priority Critical patent/JPH07292022A/ja
Publication of JPH07292022A publication Critical patent/JPH07292022A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 剛性、表面硬度、耐熱性、水蒸気バリヤー性
等の物性に優れる自動車、家電分野、包装材料に好適な
プロピレン系重合体、その製造方法および組成物を得
る。 【構成】 (1)キシレン抽出不溶部(XI)が99.
0重量%以上、(2)13C核磁気共鳴スペクトルによる
アイソタクチックペンタッド分率(IP)が98%以
上、アイソタクチック平均連鎖長(N)が500以上
で、かつ、キシレン不溶部のカラム分別法による各フラ
クションの平均連鎖長(Nf )が800以上のものの合
計が10重量%以上であることを特徴とするプロピレン
系重合体とその製造方法および、このプロピレン系重合
体に少なくとも造核剤を0.05〜15重量%の範囲で
配合したプロピレン系重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剛性、表面硬度、耐熱
性、水蒸気バリヤー性等の物性に優れる自動車、家電分
野、包装材料に好適なプロピレン系重合体、その製造方
法およびその組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン系重合体は一般的に安価であ
り、かつその特徴である透明性、機械的強度、耐熱性、
表面光沢性、耐薬品性、耐油性、剛性、耐屈曲疲労性等
の性質を生かし、工業材料、食品包装材料、化粧品包装
材料、薬品包装材料等幅広い分野で用いられる。プロピ
レン系重合体は先に述べたように、剛性、耐衝撃性等の
特長を生かし、自動車、家電分野、雑貨等の各産業で広
く用いられている。最近、製品の軽量化、またはコスト
を下げるため、製品の薄肉化や製品の表面の傷つき防止
のため、表面硬度を上げることが検討されている。すな
わち、プロピレン系重合体は高剛性で、表面硬度が高
く、耐衝撃性に優れるものが要求されている。また、物
性、加工性に対する要求もますます高いレベルになって
きており、特に高温時の剛性と強度の保持、耐久性、大
型成形品の成形性向上が強く望まれている。
【0003】従来、プロピレン系重合体の高剛性化や透
明性改良、表面光沢改良に関しては、モノカルボン酸I
a およびIIa 族金属の塩(例えば安息香酸ナトリウ
ム)、ジカルボン酸(アジピン酸)、脂肪族ジカルボン
酸の III〜IV族の金属塩(例えばアジピン酸アルミニウ
ム)、ジベンジリデンソルビトール誘導体、タルク等の
フィラー類を造核剤として用いる方法(特公昭39−1
809号公報、特開昭60−139731号公報等)
や、プロピレン系重合体の分子量分布を広くする方法
(特開昭56−2307号公報、特開昭59−1725
07号公報、特開昭62−195007号公報等)がよ
く知られている。しかし、これら造核剤を用いた場合は
前述の物性改良効果はあるものの、用途によっては必ず
しも十分とはいえなかった。
【0004】従って、耐衝撃性、剛性等の機械的強度お
よび、表面硬度、耐熱性に優れる自動車、家電分野、包
装材料に好適なプロピレン系重合体および、タルク等の
フィラー類等を減らすことにより、製品密度を低くし、
製品を薄肉化することが望まれている。
【0005】また、プロピレン系重合体の立体規則性
(アイソタクチシチー)を向上させたり、分子量分布を
広げて、高分子量分布に依存する強度、耐久性を高め、
押し出し成形や中空成形等の成形性を改善するといった
努力も続けられている。
【0006】この中でも、特に高活性でかつ高立体規則
性を示す触媒の開発は、近年、精力的に検討されてい
る。いずれもマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電
子供与性化合物を必須成分として含有する固体触媒成分
と、有機アルミニウム、電子供与性化合物からなる触媒
系であり、例えば、特開昭57−63310、特開昭5
8−32604、特開昭58−83006、特開昭59
−206408、特開昭59−219311、特開昭6
0−130607、特開昭61−209207、特開昭
61−211309、特開昭62−72702、特開昭
62−104811、特開昭62−11705、特開昭
63−199703、特開昭63−264609、特開
平1−126306、特開平1−311106、特開平
1−318011、特開平2−77407、特開平2−
166104、特開平3−62805、特開平3−70
710、特開平3−163110、特開平4−1036
04、特開平4−114009、特開平4−20250
5各号公報のようなものが開示されている。
【0007】また、発明者らも、最近、特開平4−43
407、特開平4−149217、特開平4−1784
06、特開平4−180903、特開平4−18561
3、特開平4−198202、特開平4−19820
4、特開平5−9209、特開平5−287019各号
公報に開示してきた。
【0008】これら先行文献に開示されたプロピレン系
重合体では、キシレン抽出不溶部が99%未満であり、
13C核磁気共鳴スペクトル(以下、13C−NMRと略
す)で測定したポリプロピレンのメチル基のアイソタク
チックペンタッド分率(mmmm)が高々93〜98%
程度であり、剛性、耐熱性等の諸物性の向上には限界が
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プロ
ピレン系重合体の本来備えている特性を損なうことな
く、剛性、表面硬度、耐熱性、透明性、表面光沢、水蒸
気バリヤー性等に優れる自動車、家電分野、包装材料に
好適なプロピレン系重合体、その製造方法およびその組
成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決する方法を種々検討した結果、(1)キシレン抽
出不溶部(XI)が99.0重量%以上、(2)13C核
磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペンタッド
分率(IP)が98.0%以上、(3)アイソタクチッ
ク平均連鎖長(N)が500以上で、かつ(4)キシレ
ン不溶部のカラム分別法による各フラクションの平均連
鎖長(Nf )が800以上であるフラクションの合計が
全体の10重量%以上であるプロピレン系重合体とする
ことにより前述の課題を解決できることを見い出し、本
発明を完成した。
【0011】本発明のプロピレン系重合体の特徴につい
て具体的に説明する。 (1)キシレン抽出不溶部(XI)は、25℃のキシレ
ンに不溶なポリマーの重量%である。詳しくは135℃
のオルトキシレンに一旦溶解し、25℃で析出したポリ
マーの重量%である。本発明のプロピレン系重合体のX
Iは、99.0%以上であり、好ましくは、99.5%
以上、更に好ましくは99.7%以上である。XIが9
9.0%未満であると、所望とする剛性、耐熱性、表面
硬度、表面光沢、透明性、水蒸気バリヤー性等が不足す
る。
【0012】(2)13C核磁気共鳴スペクトルによるポ
リプロピレン分子鎖中のアイソタクチックペンタッド分
率(以下、IPと略記する場合もある)とは、 A. Zambel
li,Macromolecules, 6, 925(1973)による方法に従っ
た。すなわち、同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル
(13C−NMR)を使用して、測定されるプロピレン系重
合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分
率をいう。なお本発明のIPは重合で得られたポリプロ
ピレンそのものの測定値であって、前記キシレン抽出、
その他抽出、分別等を行なった後のポリプロピレンの測
定値ではない。ピークの帰属は、Macromolecules, 8, 6
87(1975)に記載してある上記文献の改訂版に基づいて、
13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピー
ク中mmmmピークの強度分率をもってIPを測定し
た。このように測定されるプロピレン系重合体中のIP
は98.0%以上である必要があり、この値より低いと
所望とする剛性、耐熱性、表面硬度、表面光沢、透明
性、水蒸気バリヤー性等が不足する。好ましくは、プロ
ピレン系重合体中のIPは98.5%以上が良い。特に
好ましくは、IPが99.0%以上のプロピレン系重合
体が良い。
【0013】(3)アイソタクチック平均連鎖長(N)
とは、ポリプロピレン分子内のメチル基のアイソタクチ
ック平均連鎖長であり、J. C. Randall によって報告さ
れている方法(Polymer Sequence Distribution, Acade
mic Press, New York 1977,chapter2)をもとに算出す
ることができる。具体的にはポリプロピレンを1,2,
4−トリクロロベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒にポリ
マー濃度が10重量%となるように温度130℃に加温
して溶解する。この溶液を内径10mmφのガラス製試料
管に入れ、先のアイソタクチックペンタッド分率(I
P)と同一の測定条件で13C−NMRを測定する。
【0014】「Shan-Nong ZHU. Xiao-Zhen YANG, Riich
iro CHUJO; Polymer Journal, vol.15, No.12, p859-86
8(1983) に記載している2サイトモデルの定義、すなわ
ち、重合時の活性点が2種類あると仮定する。そのうち
1種類は触媒支配重合、もう一方は末端支配重合と呼ば
れるものである。(この触媒支配重合と末端支配重合に
ついては、古川淳二;高分子のエッセンスとトピックス
2,「高分子合成」,p73,(株)化学同人発行(1
986年)に詳細に述べられている。) 2サイトモデルは、 α:触媒支配重合(アイソタクチック成分中の乱れの程
度の指標)によるD体およびL体が付加する確率 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)重合末端と同じも
のが付加するメソ体ができる確率 ω:αサイトの割合 と整理できる。
【0015】プロピレン単独重合体は、メチル基が立体
規則性によりペンタッド単位で10ピークに分裂する
が、実際の測定値と計算強度が一致するように、α,
β,ωを最小自乗法で求め、次式によって、各ペンタッ
ド単位を求める。
【表1】
【0016】次に前述のJ. C. Randallの文献に記載さ
れている平均連鎖長(N)の定義式 N=メソ体の連鎖数/メソ体のユニット数 に上記で求めたA1 〜A7 の各ペンタッド単位をあては
めると、
【数1】 によって平均連鎖長(N)を求めることができる。
【0017】なお、本発明におけるN値は、重合で得ら
れたポリプロピレンそのものの測定値であって、前記キ
シレン抽出、その他抽出、分別等を行なった後のポリプ
ロピレンの測定値ではない。本発明の高立体規則性プロ
ピレン系重合体のNは、500以上であり、好ましくは
700以上、更に好ましくは800以上である。Nが5
00未満であると所望とする剛性、耐熱性が不足する。
【0018】一般に、ポリプロピレンの13C−NMRシ
グナルはメチレン、メチン、メチルの3つの主ピークが
得られる。このうちメチル領域のピークを拡大すると図
2のようなデータが得られ、…mmmmrmmmm…,
…mmmmmmrrmmmmm…等の不整結合の形がわ
かる。結晶化可能なアイソタクチック平均連鎖長は不整
結合の数と逆数関係にあると考えて良い。不整結合の数
が多い程、つまりmmmmの構造を切っているラセミ構
造が多い程、平均連鎖長(N)は短くなる。こようにし
て求められる平均連鎖長(N)は、前述のように結晶化
可能なアイソタクチック構造のシーケンスの長さを表わ
すので、この長さが長い程(つまり不整結合が少ない
程)、プロピレン系重合体の剛性や耐熱性、水蒸気バリ
ヤー性等の物性が向上するものと考えられる。
【0019】(4)キシレン不溶部のカラム分別法による
各フラクションの平均連鎖長(Nf)とは、(1)で得
られるキシレン抽出不溶部のポリプロピレンをパラキシ
レンに温度130℃で溶解し、セライトを入れ、10℃
/時間の降温速度で温度30℃まで下げ、セライトに付
着させ、これをカラムに充填し、温度70から130℃
まで2.5℃ごとに昇温して、フラクション別に分取
し、分取された各フラクションごとの平均連鎖長(N)
を先の方法で求め、これを平均連鎖長(Nf )とする。
本発明のプロピレン系重合体においては、この分取され
た各フラクションごとの平均連鎖長(Nf )が800以
上であるフラクションの合計が全体に対し、10重量%
以上のものが良い。好ましくは、30重量%以上、特に
好ましくは50重量%以上のものが良い。平均連鎖長
(Nf )が800以上のものの合計が全体に対し、10
重量%以下では剛性、表面硬度、耐熱性、水蒸気バリヤ
ー性の改善効果が乏しく好ましくない。
【0020】次に本発明のプロピレン系重合体の製造方
法について説明する。本発明のプロピレン系重合体は、
(A)マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン含
有化合物、電子供与性化合物(1)を必須成分とする固
体触媒中に担持された電子供与性化合物(1)/チタン
原子含有量のモル比(D/T)がD/T≧1であること
を特徴とする固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化
合物、(C)電子供与性化合物(2)からなる重合触媒
を用いることによって製造することができる。
【0021】ここで、マグネシウム化合物としては、塩
化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウ
ムのようなハロゲン化マグネシウム;ジメトキシマグネ
シウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネ
シウム、ジブトキシマグネシウム、ジフエノキシマグネ
シウムのようなアルコキシマグネシウム;ラウリル酸マ
グネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酢酸マグネシ
ウムのようなカルボン酸塩;ジメチルマグネシウム、ジ
エチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムのよう
なアルキルマグネシウム等を例示することができる。ま
た、これらの各種マグネシウム化合物は、1種単独で使
用することもできるし、2種類以上併用して使用するこ
ともできる。好ましくは、ハロゲン化マグネシウム、ア
ルコキシマグネシウムを使用するもの、もしくは触媒形
成時にハロゲン化マグネシウムを形成するものである。
特に好ましくは、前記ハロゲンが塩素であるものであ
る。
【0022】チタン化合物としては、四塩化チタン、三
塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンのようなハ
ロゲン化チタン;テトラメトキシチタン、テトラエトキ
シチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチ
タン、テトラフェノキシチタンのようなアルコキシチタ
ン;エトキシチタンクロリド、ブトキシチタンクロリ
ド、フェノキシチタンクロリド、ジブトキシチタンジク
ロリド、トリブトキシチタンクロリドのようなアルコキ
シチタンハライド等を例示することができる。また、こ
れら各種チタン化合物は、1種単独で使用することもで
きるし、2種類以上併用して使用することもできる。好
ましくは、ハロゲン化を含む四価のチタン化合物であ
り、特に好ましくは四塩化チタンである。
【0023】ハロゲン含有化合物は、ハロゲンがフッ
素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくは塩素であ
り、実際に例示される具体的化合物は、触媒調製法に依
存するが、四塩化チタン、四臭化チタン等のハロゲン化
チタン、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素等のハロゲン化ケ
イ素、三塩化リン、五塩化リンのようなハロゲン化リン
等を例示できるが、触媒調製法によってはハロゲン化炭
化水素、ハロゲン分子、ハロゲン化水素酸を用いても良
い。
【0024】電子供与性化合物(1)としては、一般に
含酸素化合物、含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄化
合物等があげられる。含酸素化合物としては、例えば、
アルコール類、エーテル類、エステル類、酸ハライド
類、酸無水物類等があげられる。更に具体的には、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシル
アルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコー
ル、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−エチル
アルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコー
ル、フェニルエチルアルコール、フェノール、クレゾー
ル、エチルフェノール、ナフトールのようなアルコール
類。
【0025】メチルエーテル、エチルエーテル、プロピ
ルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ヘキシ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェ
ニルエーテルのようなエーテル類やジエーテル類;酢酸
エチル、クロル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸
エチル、アクリル酸エチル、クロトン酸エチル、オレイ
ン酸エチル、ステアリン酸エチル、フェニル酢酸エチ
ル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピ
ル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エ
チル、トルイル酸プロピル、トルイル酸ブチル、エチル
安息香酸メチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エ
トキシ安息香酸メチル、エトキシ安息香酸エチル、ケイ
皮酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジプロピル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジ
イソブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチ
ル、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸エ
チレンのようなエステル類;アセチルクロリド、ベンゾ
イルクロリド、トルイル酸クロリド、フタル酸クロリド
のような酸クロリド類;無水マレイン酸、無水フタル酸
のような酸無水物等があげられる。また、これらの電子
供与性化合物(1)は、1種単独で使用することもでき
るし、2種類以上併用して使用することもできる。好ま
しくはエステル類であり、特に好ましいものはフタル酸
エステル類である。
【0026】前記各成分の使用量は、本発明において効
果が認められる限り任意のものであるが、一般的に次の
範囲が好ましい。チタン化合物の使用量は、使用するマ
グネシウム化合物の使用量に対してモル比で0.000
1〜1000の範囲内が良く、好ましくは0.01〜1
00の範囲内である。必要に応じてハロゲン化合物を使
用するわけであるが、使用する場合には、その使用量は
チタン化合物、マグネシウム化合物がハロゲンを含む、
含まないによらず、使用するマグネシウムの使用量に対
してモル比で0.01〜1000の範囲内が良く、好ま
しくは0.1〜100の範囲内である。電子供与性化合
物(1)の使用量は、前記マグネシウム化合物の使用量
に対してモル比で0.001〜10の範囲内が良く、好
ましくは0.01〜5の範囲内である。
【0027】本発明において用いられる固体触媒の調製
方法は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子
供与性化合物(1)、更に必要に応じてハロゲン含有化
合物等の助剤とを一時的、または段階的に接触、反応さ
せて得られる従来公知の固体触媒の調製方法を用いるこ
とができる。公知方法の具体例として、以下の調製方法
がある。 (1)ハロゲン化マグネシウムと必要に応じて電子供与
性化合物(1)とチタン化合物を接触させる方法。 (2)ハロゲン化マグネシウムとテトラアルコキシチタ
ンおよび特定のポリマーケイ素化合物を接触させて得ら
れる固体成分に、ハロゲン化チタン化合物および/また
はケイ素のハロゲン化合物を接触させる方法。 (3)マグネシウム化合物をテトラアルコキシチタンお
よび電子供与性化合物(1)で溶解させて、ハロゲン化
剤またはハロゲン化チタン化合物で析出させた固体成分
に、チタン化合物を接触させる方法。 (4)アルミナまたはマグネシアをハロゲン化リン化合
物で処理し、それにハロゲン化マグネシウム、電子供与
性化合物(1)、ハロゲン化チタン化合物を接触させる
方法。 (5)有機マグネシウム化合物に代表されるグリニャー
ル試薬を還元剤や、ハロゲン化剤等と作用させた後、電
子供与性化合物(1)とチタン化合物とを接触させる方
法。 (6)アルコキシマグネシウム化合物にハロゲン化剤お
よび/またはチタン化合物を電子供与性化合物(1)の
存在もしくは不存在下に接触させる方法。 (7)マグネシウム化合物をテトラアルコキシチタンで
溶解し、ポリマーケイ素化合物で処理した後、ケイ素の
ハロゲン化合物および有機金属化合物で処理する方法。 (8)球状のマグネシウム化合物/アルコール錯体を電
子供与性化合物(1)およびハロゲン化チタン化合物等
で処理する方法。
【0028】本発明のプロピレン系重合体を製造するた
めには、上記のいずれの調製方法を採用しても良いが、
少なくとも固体触媒中に担持された電子供与性化合物
(1)/チタン原子含有量のモル比(D/T)がD/T
≧1となるような固体触媒を固体触媒成分として用いる
必要がある。この場合、D/T≧1.5であれば更に好
ましい。D/T<1では本発明の高立体規則性プロピレ
ン系重合体が得られにくい。また、従来の調製方法では
上記の条件を満足しない固体触媒であっても、更に以下
に示すような処理を施すことによって上記条件を満足す
るような固体触媒成分に改良しても良いし、更に好まし
くもある。この場合改良前の固体触媒中の電子供与性化
合物(1)/Ti原子含有量モル比(D/T)i と改良
触媒中の電子供与性化合物(1)/Ti原子含有量モル
比(D/T)m が、(D/T)m /(D/T)i >1の
関係にあることが必要であり、(D/T)m /(D/
T)i ≧2であれば更に好ましい。
【0029】たとえば前述したような種々の公知の方法
で調製された、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子
供与性化合物(1)を必須成分とする固体触媒を、更に
一般式TiXa ・Yb (式中、XはCl,Br,Iのハ
ロゲン原子、aは3もしくは4、Yは電子供与性化合物
(1)、0≦b≦3を表わす)で表わされるチタン化合
物で処理して担持させた後、ハロゲン含有化合物で洗浄
し更に炭化水素で洗浄することによって、担持量がD/
T≧1となる固体触媒成分に改良することができる。
【0030】TiXa (式中、XはCl,Br,Iのハ
ロゲン原子、aは3もしくは4)は、例えば、 R. S. P.
Coutts, P. C. Wailes, Advan. Organometal. Chem.,
9, 135(1970),第4版新実験化学講座 17 無機錯体・
キレート錯体 日本化学会丸善(1991) p. 35, H. K. Ka
kkoen, J. Pursiainen, T. A. Pkkanen, M. Ahlgren,
E. Iiskola, J. Organomet. Chem., 453, 175 (1993)
等に記載されているように、一般に電子供与性化合物と
は容易に錯体を形成することが知られている。
【0031】TiXa ・Yb のXはCl,Br,Iのハ
ロゲン原子であり、この中で好ましいのはClである。
aは3もしくは4であるが、好ましくは4である。Y
(電子供与性化合物(1))は、前述したものの中から
選択でき、固体触媒調製時に使用したものと同様であっ
ても異なっていても良い。TiXa ・Yb を調製する
際、電子供与性化合物(1)は1種単独で使用すること
もできるし、2種類以上併用して使用することもでき
る。Yの中で好ましいものは有機酸エステル類であり、
特に好ましいものはフタル酸エステル類である。Yのb
は、前述aが3の時は0<b≦3、aが4の時は0<b
≦2のようにTiXa ・Yb を調製する際のYのTiX
a に対する仕込みモル比、Yの有する電子供与性基数、
Tiの原子価による。最も好ましいのはaが4、bが1
の場合である。
【0032】TiXa ・Yb の使用量は、改良前の固体
触媒中のチタン原子に対して、0.001〜500モル
比の範囲内が良く、好ましくは0.01〜50モル比の
範囲内であり、特に好ましくは0.1〜10モル比の範
囲内である。また、TiXa・Yb の使用量が極端に少
ない場合は、(D/T)m /(D/T)i >1の関係を
取りにくく、反対にTiXa ・Yb の使用量が極端に多
い場合は、重合活性が低下するため好ましくない。
【0033】ハロゲン含有化合物の使用量は、固体触媒
中のチタン原子に対して、0.01〜10000モル比
の範囲内であり、好ましくは0.1〜1000モル比の
範囲内であり、特に好ましくは1〜100モル比の範囲
内である。また、ハロゲン含有化合物の使用量が極端に
少ない場合は、(D/T)m /(D/T)i >1の関係
を取りにくく、反対にハロゲン含有化合物の使用量が極
端に多い場合は、重合活性が低下したり、廃液量が多く
なるため好ましくない。なお、ハロゲン含有化合物は、
前述したものの中から選択でき、固体触媒調製時に使用
したものと同様であっても異なっていても良い。なかで
も、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化
炭化水素が好ましい。ハロゲン含有化合物は、1種単独
で使用することもできるし、2種類以上併用して使用す
ることもできる。
【0034】固体触媒をTiXa ・Yb で処理する温度
は、特に限定はないが、−30〜150℃、好ましくは
0〜100℃の範囲内である。また、固体触媒をハロゲ
ン含有化合物で洗浄する温度は、0〜200℃、好まし
くは50〜150℃の範囲内であり、これら以外の温度
条件の場合は、重合活性が低下するため好ましくない。
【0035】固体触媒のTiXa ・Yb による処理、ハ
ロゲン含有化合物による洗浄は、通常、炭化水素溶媒中
で行なうことができる。この際に用いられる炭化水素と
しては、特に限定はしないが、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、デカン、イソパラフィン等の脂肪族
炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素等の不活性炭化水素が好ましい。また、これらの
炭化水素は、固体触媒のTiXa ・Yb による処理、ハ
ロゲン含有化合物による洗浄後の改良オレフィン重合用
触媒の洗浄溶媒として用いることができる。固体触媒の
TiXa ・Yb による処理、ハロゲン含有化合物による
洗浄後の改良オレフィン重合用触媒を上記炭化水素で洗
浄する際の温度は、0〜100℃の範囲であり、好まし
くは60〜140℃である。この際の洗浄温度が極端に
低い場合は、(D/T)m /(D/T)i >1の関係を
取りにくく、反対に洗浄温度が極端に高い場合は、(D
/T)m /(D/T)i >1の関係は取るものの重合活
性が低下するため好ましくない。TiXa ・Yb による
処理回数、ハロゲン含有化合物による洗浄回数について
は特に制限はないが、TiXa ・Yb 処理した後、ハロ
ゲン含有化合物で1回以上洗浄すれば本発明の効果は十
分に発現する。ハロゲン含有化合物で洗浄しない場合に
は、本発明で得られる高い性能は得られない。
【0036】予備重合 上記の方法で調製された改良固体触媒成分は、後述する
有機アルミニウム化合物、電子供与性化合物(2)との
組み合わせにより、プロピレンの重合に使用されるが、
重合の前に少量のモノマーを予備重合させておくことが
可能である。通常は、調製された改良固体触媒成分1g
あたり、約0.01g〜約1000g、予備重合の温度
は任意であるが−30〜80℃である。予備重合は、通
常、後述する重合時に用いられる有機アルミニウム化合
物と電子供与性化合物(2)の共存下にて行なわれる。
予備重合は、一般に不活性炭化水素溶媒中で行なうこと
ができるが、液体モノマー中、気相モノマー中で行なう
ことも可能である。
【0037】予備重合で用いられるモノマーとしては、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−
ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−
ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシ
クロペンタン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフィ
ン類、スチレン、α−メチルスチレン等スチレン誘導
体、ブタジエン、1,9−デカジエン等のジエン類、ア
リルトリアルキルシラン類が例示される。また、これら
のモノマーは、1種類だけでなく2種類以上段階的にあ
るいは混合して使用することもできる。なお、予備重合
時に分子量調節剤として水素を用いることもできる。
【0038】プロピレン重合 上記の改良固体触媒成分は、有機アルミニウム化合物と
電子供与性化合物(2)の共存下で、プロピレン系重合
体を重合することができる。本発明で使用される有機ア
ルミニウム化合物は、代表的なものとしてトリメチルア
ルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルア
ルミニウム、トリブチルアルミニウム、、トリヘキシル
アルミニウム、トリオクチルアルミニウムのようなトリ
アルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムハイドラ
イド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジブチルア
ルミニウムハイドライドのようなアルキルアルミニウム
ハイドライド;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエ
チルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブ
ロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のア
ルキルアルミニウムハライド;ジエチルアルミニウムエ
トキサイド、ジエチルアルミニウムフェノキサイドのよ
うなアルキルアルミニウムアルコキシド;メチルアルミ
ノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキ
サンのようなアルミノキサンを例示することができる。
また、これらの有機アルミニウム化合物は、1種単独で
使用することもできるし、2種類以上併用して使用する
こともできる。好ましくは、トリアルキルアルミニウム
である。
【0039】本発明で使用される代表的な電子供与性化
合物(2)は、芳香族カルボン酸エステル化合物、Si
−O−CまたはSi−N−C結合を有するケイ素化合
物、アセタール化合物と、Ge−O−C結合を有するゲ
ルマニウム化合物、アルキル置換基を有する窒素または
酸素の複素環化合物等があげられる。これらの化合物の
具体例としては、安息香酸エチル、p−トルイル酸エチ
ル、p−アニス酸エチルのような芳香族カルボン酸エス
テル;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルメトキ
シシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−i
−プロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキ
シシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシク
ロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジ
メトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、シク
ロヘキシルトリメトキシシラン、テキシルトリメトキシ
シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
のようなケイ素化合物;ベンゾフェノンジメトキシアセ
タール、ベンゾフェノンジエトキシアセタール、アセト
フェノンジメトキシアセタール、アセトフェノンジエト
キシジエトキシアセタールのようなアセタール化合物;
ジフェニルジメトキシゲルマン、フェニルトリエトキシ
ゲルマンのようなゲルマニウム化合物;2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメ
チルピランのような複素環化合物を例示することができ
る。
【0040】また、これらの電子供与性化合物は、1種
単独で使用することもできるし、2種類以上併用して使
用することもできる。好ましくは、ケイ素化合物、アセ
タール化合物であり、特に好ましくは、Si−O−C結
合を有するケイ素化合物である。
【0041】本発明の製造方法における重合方法は特に
限定されず公知の方法を用いることができ、スラリー重
合やバルク重合のような液相重合法のほか、気相重合法
にも適用できる。また、バッチ重合のみならず、連続重
合、回分式重合を行なう方法にも適用できる。スラリー
重合の場合の重合溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、
シクロヘキサン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族
炭化水素の単独あるいは混合物が使用される。更に、重
合リアクター2基以上の多段重合にも本発明の製造方法
における重合方法は用いることができる。重合温度は、
−50〜200℃程度、好ましくは20〜150℃であ
り、重合圧力は、大気圧〜100kg/cm2 G、好ましく
は3〜50kg/cm2 Gである。また、重合時には水素を
適当量添加することにより、分子量を調節することがで
きる。
【0042】本発明の製造方法ではプロピレンの単独重
合、一般式R−CH=CH2 (Rは水素原子、または炭
素数1〜20の炭化水素残基であり、分岐基であっても
良い)で表わされるα−オレフィンと共重合させること
もできる。具体的には、エチレン、1−ブテン、3−メ
チル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メ
チル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテ
ン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が
例示される。更にスチレン、α−メチルスチレン等のス
チレン誘導体、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、
1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のジエン
類、アリルトリアルキルシラン類が例示される。また、
これらのモノマーは、1種類だけでなく2種類以上混合
して使用することもできる。
【0043】なお、本発明のプロピレン系重合体のう
ち、プロピレン−エチレンブロック共重合体について
は、重合リアクター2基以上の多段重合で製造すること
ができ、特に第1段でホモポリプロピレンを製造するこ
とが好ましい。この場合には、1段目の重合終了後に抜
き出したホモポリプロピレンが、本発明の構成要件を満
たすようにすれば、最終的に得られる共重合体も本発明
の課題を解決することができる。
【0044】また、本発明で得られるプロピレン系重合
体は、公知の造核剤を添加することにより結晶性、高速
成形性を更に向上させた樹脂組成物とすることができ
る。
【0045】造核剤の例としては、モノカルボン酸のI
a およびIIa 族の金属塩(例えば安息香酸ナトリウ
ム)、ジカルボン酸(アジピン酸)、脂肪族ジカルボン
酸のIII〜IV族の金属塩(例えばp−t−ブチル安息香
酸アルミニウム塩)、ジベンジリデンソルビトール誘導
体、タルク等のフィラー類を示すことができる。
【0046】特に好ましくは、1,3,2,4−ジベン
ジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メ
チルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ
−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,
2,4−ジ−(p−クロルベンジリデン)ソルビトー
ル、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メ
チルベンジリデンソルビトール、ナトリウム−ビス−
(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウ
ム−2,2−メチレン−ビス−(4,4−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスフェート、ナトリウム−2−2′−エ
チリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フ
ォスフェート等があげられる。これら造核剤の添加量
は、プロピレン系重合体に少なくとも造核剤を0.05
〜15重量%の範囲で配合すると、本発明の効果が著し
く好ましい。好ましくは、0.08〜0.8重量%、特
に好ましくは、0.1〜0.5重量%添加するのが好ま
しい。ただし、タルク等の無機化合物は、上記に例示し
た造核剤よりも核剤効果が小さいため、1〜15重量%
添加すると良い。好ましくは、2〜13重量%、特に好
ましくは5〜10重量%である。
【0047】本発明のプロピレン系重合体または樹脂組
成物に対しては、熱可塑性樹脂に慣用の他の添加物(例
えば、酸化防止剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、
ブロッキング防止剤、防曇剤、染料、顔料、オイル、ワ
ックス等)を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合
できる。例えば、このような添加剤の例としては、酸化
防止剤として2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4−チ
オビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチ
レン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチ
ル−1′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,
4′−チオビス(6−ブチルフェノール)、紫外線吸収
剤としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル
アクリレート、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オ
クトキシベンゾフェノン、可塑剤としては、フタル酸ジ
メチル、フタル酸ジエチル、ワックス、流動パラフィ
ン、リン酸エステル、帯電防止剤としてはモノステアレ
ート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン
酸、ポリエチレンオキシド、カーボンワックス、滑剤と
してはエチレンビスステアロミド、ブチルステアレート
等、着色剤としては、カーボンブラック、フタロシアニ
ン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタ
ン、ベンガラ等、充填剤としては、グラスファイバー、
アスベスト、マイカ、パラストナイト、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸アルミニウム等である。また、他の多くの高
分子化合物も本発明の作用効果が阻害されない程度にブ
レンドすることもできる。
【0048】本発明のプロピレン系重合体の溶融指数
(MFR〜JIS−7210,表1条件14)は特に限
定されるものではなく、成形法、用途によって選ばれる
が、通常は0.1〜500g/10分の範囲が適当であ
る。本発明のプロピレン系重合体は公知の溶融成形法お
よび圧縮成形法により、射出成形体、フィルム、シー
ト、チューブ、ボトル等に成形でき、単体での使用およ
び他の材料を積層しても使用できる。例えば、このよう
な積層方法としては、ポリウレタン系、ポリエステル系
等のドライラミネート接着剤を用い、本発明のプロピレ
ン系重合体または樹脂組成物の単層品にその他の熱可塑
性樹脂層を積層するいわゆるドライラミネート成形法や
サンドウィッチラミネーション法によって行なわれる
か、また共押出ラミ、共押出法(フィードブロック法、
マルチマニホールド方式)、共射出成形法、共押出パイ
プ成形法である。このようにして得られた多層積層体
は、次に真空成形機、圧空成形機、延伸ブロー成形機等
を用い、再加熱し延伸操作を加える方法あるいはこの多
層積層体または単体成形物を一軸あるいは二軸延伸機を
用いて、加熱延伸操作を施すことができる。以下、実施
例をあげ本発明を更に詳しく説明する。
【0049】
【実施例】なお、本発明における各物性値の測定方法お
よび装置を以下に示す。 (1)キシレン不溶部(XI) 2.5gのポリマーを135℃のオルトキシレン(25
0ml)に溶解し、25℃で析出したポリマー(重量%)
をキシレン不溶部(XI)とした。 (2)アイソタクチックペンタッド分率(mmmm) mmmm分率は、プロピレン系重合体分子鎖中のメチル
基のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。
測定は日本電子(株)製のJNM−GSX400(13
核共鳴周波数100MHz)を用いて行なった。それぞれの
シグナルは、A.Zambelli らのMacromolecules, 13, 26
7,(1980)で帰属した。測定条件を以下に示す。 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間:3.0s 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重
ベンゼンの混合溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃ (3)アイソタクチック平均連鎖長(N) アイソタクチック平均連鎖長(N)は、J. C. Radallに
よって報告されている方法(Polymer Sequence Distrib
ution, Academic Press, New York 1977, chapter 2)を
もとに算出したものである。具体的にはポリプロピレン
を1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼンの混合
溶媒にポリマー濃度が10重量%となるように温度13
0℃に加温して溶解する。この溶液を内径10mmφのガ
ラス製試料管に入れ、先のアイソタクチックペンタッド
分率(IP)と同一の測定条件で13C−NMRを測定す
る。次に、本文中に説明したように、メソ体の連鎖数と
メソ体のユニット数から、平均連鎖長(N)は次の定義
によって求めることができる。 N=メソ体の連鎖数/メソ体のユニット数 (4)カラム分別法 キシレン不溶部のプロピレン系重合体をパラキシレンに
温度130℃で溶解し、セライトを入れ、10℃/時間
の降温速度で温度30℃まで下げセライトに付着させ
る。この付着物をカラムに充填し、温度70℃から13
0℃まで2.5℃ごとに昇温して、フラクション別に分
取する。
【0050】(5)射出成形 東芝機械(株)製IS−170FII(理論射出容量25
0cm3 )を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50
℃で、アイゾット衝撃試験片、曲げ弾性率試験片、荷重
たわみ温度試験片、表面光沢用試験片(厚み2mm×15
cm×11cm平板)を作成した。次に、湿度50%、温度
23℃の恒温室に二昼夜放置後、これらの物性を測定し
た。 (6)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) JIS K7110に準拠して行なった。装置は上島製
作所(株)製のU−Fインパクトテスターを用いた。 (7)曲げ弾性率 JIS K7203に準拠して行なった。 (8)エチレン含有量 C. J. Carmanらによって報告されている13C−NMR法
による方法(Macromolecules, 10, 537 (1977))をもとに
算出した。 (9)MFR JIS K7210 表1条件14に準拠して行なっ
た。装置はタカラ(株)製のメルトインデクサーを用い
た。 (10)荷重たわみ温度 JIS K7207B法に準拠し、(株)東洋精機製作
所製のHDTεVSPTテスターを用いて行なった。 (11)ロックウェル表面硬度 温度230℃のプレス成形機で、測定用サンプルを作成
し東洋精機製作所(株)製のAR−10型ロックウェル
硬度計を用い、JIS K7202に準拠して行なっ
た。
【0051】(12)フィルム成形 吉井鉄工(株)製40mmφTダイフィルム成形機を用い、
ダイス温度230℃、冷却温度30℃、引き取り速度1
0m/分の条件で、厚み60μmのフィルムを作成し、
水蒸気透過量、Haze、表面光沢度を測定した。 (13)Haze JIS K7105法に準拠し、スガ試験機(株)製H
GM−2D型のHazeメーターを用いて行なった。 (14)表面光沢度 JIS K7105法に準拠し、日本電色工業(株)製
VG−1D型のグロスメーターを用いて行なった。 (15)水蒸気透過量 ASTM−E96に準拠し、MODERN CONTR
OLS INC社製PERMATRAN Wを用いて、
温度37.8℃、相対湿度90%の条件で測定を行なっ
た。
【0052】(16)触媒分析 改良前の固体触媒、改良オレフィン重合触媒を希硫酸で
分解し、ヘプタンで有機物を抽出した。水層は島津製作
所(株)製の原子吸光AA610S型を用いてTiを定
量した。ヘプタン層は日立製作所(株)ガスクロマトグ
ラフ263−50により電子供与性化合物を定量した。
【0053】(実施例1)(1)固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8g(597mmol)を、無
水エタノール100g(174mmol)、出光興産(株)
製のワセリンオイルCP15N500mlおよび信越シリ
コーン(株)製のシリコーン油KF96 500ml中、
窒素雰囲気下、120℃で完全に溶解させた。この混合
物を、特殊機化工業(株)製のTKホモミキサーを用い
て120℃、3000回転/分で3分間撹拌した。撹拌
を保持しながら、2リットルの無水ヘプタン中に0℃を
越えないような移送した。得られた白色固体は無水ヘプ
タンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥した。
【0054】得られたMgCl2 ・2.5C25 OH
の球状固体30gを無水ヘプタン200ml中に懸濁させ
た。0℃で撹拌しながら、四塩化チタン500ml(4.
5mol)を1時間かけて滴下した。次に、加熱を始めて4
0℃になったところで、フタル酸ジイソブチル4.96
g(17.8mmol)を加えて、100℃まで約1時間で
昇温させた。100℃で2時間反応させた後、熱時ろ過
にて固体部分を採取した。その後、この反応物に四塩化
チタン500ml(4.5mol)を懸濁させた後、120℃
で1時間反応させた。反応終了後、再度、熱時ろ過にて
固体部分を採取し、60℃のヘキサン1.0リットルで
7回、室温のヘキサン1.0リットルで3回洗浄した。
得られた固体触媒成分中のチタン含有率を測定したとこ
ろ、2.25重量%であった。また、電子供与性化合物
(1)は7.81重量%含まれていた。
【0055】(2)TiCl4 〔C64 (COOi
492 〕の調製 四塩化チタン19g(100mmol)を含むヘキサン1.
0リットルの溶液に、フタル酸ジイソブチル:C64
(COOi492 27.8g(100mmol)を、
0℃を維持しながら約30分間で滴下した。滴下終了
後、40℃に昇温し30分間反応させた。反応終了後、
固体部分を採取しヘキサン500mlで5回洗浄し目的物
を得た。
【0056】(3)改良オレフィン重合触媒成分の調製 上記(1)で得られた固体触媒20gをトルエン300
mlに懸濁させ、25℃でTiCl4 〔C64 (COO
i492 〕5.2g(11mmol)で1時間処理し
て担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部分を採
取し、トルエン300mlと四塩化チタン10ml(90mm
ol)に再懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ
過にて固体部分を採取し、その後、この反応物を90℃
のトルエン500mlで5回、室温のヘキサン500mlで
3回洗浄した。得られた固体触媒成分中のチタン含有率
を測定したところ、0.91重量%であった。また電子
供与性化合物(1)は10.6重量%含まれていた。改
良前後における触媒分析結果の比較を表1に示す。
【0057】予備重合 窒素雰囲気下のもと内容積3リットルのオートクレーブ
中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g(53mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシ
ラン0.39g(17mmol)、および、上記(3)で得
られた改良オレフィン重合触媒成分10gを投入し、0
〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、改良オレフ
ィン重合触媒成分1gあたり10gのプロピレンが重合
するようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0
〜5℃の温度範囲で1時間予重合した。得られた予備重
合触媒は、n−ヘプタン500mlで3回洗浄を行ない、
以下のプロピレン系重合体の製造に使用した。
【0058】本重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調製された予備重合固体触媒成
分2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g(10
0mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.84
g(30mmol)を入れ、次いでプロピレン18kg、プロ
ピレンに対して13000molppmになるように水素を装
入し、70℃まで昇温させ1時間の重合を行なった。1
時間後、未反応のプロピレンを除去し重合を終結させ
た。その結果、6.64kgのポリプロピレンが得られ重
合活性は34kg/g−固体触媒成分、重合体のMFRは
34.2g/10分であった。重合体の物性評価結果を
表2に示す。
【0059】(比較例1)窒素雰囲気下、内容積60リ
ットルの撹拌機付きオートクレーブに東ソー・アクゾー
(株)製のAA型三塩化チタン6.0g、ジエチルアル
ミニウムクロライド23.5g(195mmol)を入れ、
次いでプロピレン18kg、プロピレンに対して8000
molppmになるように水素を装入し、70℃まで昇温させ
1時間の重合を行なった。1時間後、未反応のプロピレ
ンを除去し重合を終結させた。その結果、6.23kgの
ポリプロピレンが得られ、重合体のMFRは32.2g
/10分であった。重合体の物性評価結果を表2に示
す。
【0060】(比較例2)プロピレン重合時に、実施例
1の(1)で調製された固体触媒を用いたこと、水素の
仕込み量を9300molppmとしたほかは、すべて実施例
1と同様な方法、条件でプロピレン重合を行なった。そ
の結果、6.88kgのポリプロピレンが得られ、重合体
のMFRは33.0g/10分であった。重合体の物性
評価結果を表2に示す。
【0061】(実施例2〜4)生成するポリプロピレン
のMFRが、それぞれ、10.5g/10分、2.7g
/10分、0.7g/10分になるように、プロピレン
系重合体製造時の水素の仕込み量を調節した以外は、す
べて実施例1と同様な方法、条件でポリプロピレンを製
造した。得られた重合体の物性評価結果を表2に示す。
【0062】(比較例3)生成するプロピレン系重合体
のMFRが、3.2g/10分になるように、プロピレ
ン系重合体製造時の水素の仕込み量を調節した以外は、
すべて比較例1と同様な方法、条件でプロピレン系重合
体を製造した。得られた重合体の物性評価結果を表2に
示す。
【0063】(実施例5)(1)改良前の固体触媒の調製 窒素雰囲気下、無水塩化マグネシウム47.6g(50
0mmol)、デカン250mlおよび2−エチルヘキシルア
ルコール234ml(1.5mol)を130℃で2時間加熱
反応を行ない均一溶液とした後、この溶液中に無水フタ
ル酸11.1g(75mmol)を添加し、130℃にて更
に1時間撹拌混合を行ない、無水フタル酸を該均一溶液
に溶解させた。得られた均一溶液を室温に冷却した後、
−20℃に保持された四塩化チタン2.0リットル(1
8mol)中に1時間にわたって全量滴下した。滴下終了
後、混合溶液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、
110℃に到達したところでフタル酸ジイソブチル2
6.8ml(125mmol)を添加し、2時間110℃で撹
拌反応させた。反応終了後、熱時ろ過にて固体部分を採
取し、その後、この反応物に四塩化チタン2.0リット
ル(18mol)を懸濁させた後、110℃で2時間反応さ
せた。反応終了後、再度、熱時ろ過にて固体部分を採取
し、110℃のデカン2.0リットルで7回、室温のヘ
キサン2.0リットルで3回洗浄して固体触媒成分を得
た。触媒分析結果を表1に示す。
【0064】(2)TiCl4 〔C64 (COOi
492 〕の調製 四塩化チタン19g(100mmol)を含むヘキサン1.
0リットルの溶液に、フタル酸ジイソブチル:C64
(COOi492 27.8g(100mmol)を、
0℃を維持しながら約30分間で滴下した。滴下終了
後、40℃に昇温し30分間反応させた。反応終了後、
固体部分を採取しヘキサン500mlで5回洗浄し目的物
を得た。
【0065】(3)改良オレフィン重合触媒成分の調製 上記(1)で得られた固体触媒40gをトルエン600
mlに懸濁させ、90℃でTiCl4 〔C64 (COO
i492 〕10.3g(22mmol)で1時間処理
して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部分を
採取し、トルエン600mlと四塩化チタン20ml(18
0mmol)に再懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱
時ろ過にて固体部分を採取し、その後、この反応物を9
0℃のトルエン1.0リットルで5回、室温のヘキサン
1.0リットルで3回洗浄して改良オレフィン重合触媒
成分を得た。触媒分析結果を表1に示す。
【0066】予備重合 窒素雰囲気下のもと内容積3リットルのオートクレーブ
中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g(0.053mmol)、ジフェニルジメトキシシ
ラン4.15g(0.017mmol)および、上記実施例
1の(3)で得られた改良オレフィン重合触媒成分10
gを投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次
に、改良オレフィン重合触媒成分1gあたり10gのプ
ロピレンが重合するようにプロピレンをオートクレーブ
中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重合し
た。得られた予備重合触媒は、n−ヘプタン500mlで
3回洗浄を行ない、以下のプロピレン系重合体の製造に
使用した。
【0067】プロピレンの重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調製された固体触媒成分200
mg、トリエチルアルミニウム11.4g(100mmo
l)、ジフェニルジメトキシシラン7.32g(30mmo
l)を入れ、次いでプロピレン18kg、プロピレンに対
して5300molppmになるように水素を装入し、70℃
まで昇温させ1時間の重合を行なった。1時間後、未反
応のプロピレンを除去し重合を終結させた。重合活性は
22.0kg/g−固体触媒成分であった。また、得られ
たポリプロピレンのMFRは14.5g/10分、XI
=99.3%、IP=99.3%、N=703、曲げ弾
性率は18500kg/cm2 であった。
【0068】(実施例6)(1)改良前の固体触媒の調製 ジエトキシマグネシウム50.0g(440mmol)、フ
タル酸ジ−n−ブチル15.3g(55mmol)を塩化メ
チレン250ml中で窒素雰囲気下、1時間還流撹拌し
た。得られた懸濁液を四塩化チタン2.0リットル(1
8mol)中に圧送し、110℃まで昇温し2時間反応させ
た。反応終了後、析出した固体を四塩化チタン2.0リ
ットル(18mol)と110℃で2時間反応させた。反応
終了後、110℃のn−デカン2.0リットルで3回洗
浄し、室温下、n−ヘキサン2.0リットルで塩素イオ
ンが検出されなくなるまで洗浄した。40℃で減圧乾燥
し目的とする固体触媒成分を得た。触媒分析結果を表1
に示す。
【0069】(2)改良オレフィン重合触媒成分の調製 上記(1)で得られた固体触媒40gをトルエン600
mlに懸濁させ、90℃でTiCl4 〔C64 (COO
i492 〕10.3g(22mmol)で1時間処理
して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部分を
採取し、トルエン600mlと四塩化チタン20ml(18
0mmol)に再懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱
時ろ過にて固体部分を採取し、その後、この反応物を9
0℃のトルエン1.0リットルで5回、室温のヘキサン
1.0リットルで3回洗浄した。触媒分析結果を表1に
示す。
【0070】予備重合時およびプロピレン重合時に、ジ
フェニルジメトキシシランの代わりに、ジイソプロピル
ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン
を等mol 用いたほかは、すべて実施例5と同様な方法、
条件でプロピレン重合を行なった。その結果、重合活性
は21.1kg/g−固体触媒成分であった。また、得ら
れたポリプロピレンのMFRは16.3g/10分、X
I=99.3%、IP=99.4%、N=765、曲げ
弾性率は18700kg/cm2 であった。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【表4】
【0073】(実施例7)実施例1と同様に内容積60
リットルの撹拌機付きオートクレーブでプロピレンを重
合した後(1段目)、液体プロピレンを除去し75℃で
エチレン/プロピレン=40/60(モル比)の混合ガ
ス2.2Nm3 /時間、水素20NL/時間の供給速度で、
40分間共重合した(2段目)。40分後、未反応ガス
を除去し重合を終結させた。その結果、8.0kgのプロ
ピレン−エチレン−ブロック共重合体が得られた。13
−NMRによるエチレン含有量は9.7重量%、MFR
は17.8g/10分であった。重合体の物性評価結果
を表3に示す。なお、表3中のXI,IP,Nは、1段
目の重合終了後に抜き出したホモポリプロピレンのもの
である。
【0074】(比較例4)比較例1と同様に内容積60
リットルの撹拌機付きオートクレーブでプロピレンを重
合した後、液体プロピレンを除去し65℃でエチレン/
プロピレン=40/60(モル比)の混合ガス2.2Nm
3 /時間、水素20NL/時間の供給速度で、40分供給
した。40分後、未反応ガスを除去し重合を終結させ
た。その結果、7.7kgのプロピレン−エチレン−ブロ
ック共重合体が得られた。13C−NMRによるエチレン
含有量は9.6重量%、MFRは18.3g/10分で
あった。重合体の物性評価結果を表3に示す。なお、表
1中のXI,IP,Nは、1段目の重合終了後に抜き出
したホモポリプロピレンのものである。
【0075】
【表5】
【表6】
【0076】(実施例8,9および比較例5)プロピレ
ン系重合体組成物の例として、本発明で得られるプロピ
レン系重合体にジ−t−ブチル−p−クレゾール0.0
5重量%、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシフェニル)〕プロ
ピオネート0.10重量%、ステアリン酸カルシウム
0.10重量%を配合し、川田製作所社製20リットル
スーパーミキサー(SMV20型)を用いて配合して、
ナカタニ機械社製AS30型30mmΦ二軸押出機を用い
てペレット化した。なお、造核剤として以下のものを用
い、配合量を適宜変更した。 (造核剤の種類) 造核剤A:p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩 造核剤B:リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェニル)ナトリウム 実施例1で得られたポリプロピレンに上記の造核剤等を
配合した組成物(実施例8,9)および比較例1で得ら
れたポリプロピレンに造核剤を配合した組成物(比較例
5)についての物性評価結果を表4に示す。
【0077】(実施例10および比較例6)実施例7お
よび比較例4で得られたプロピレン−エチレン−ブロッ
ク共重合体に実施例8と同様に造核剤等を配合した組成
物についての物性評価結果を表4に示す。
【0078】
【表7】
【表8】
【0079】
【発明の効果】本発明を実施することにより、従来より
も更に剛性、表面硬度、耐熱性、水蒸気バリヤー性等の
物性に優れる自動車、家電分野、包装に好適なプロピレ
ン系重合体および組成物が製造できるため、工業的にも
十分な価値がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロピレン系重合体の製造方法にかか
るフローチャート図である。
【図2】ホモポリプロピレンのメチル領域の13C−NM
Rスペクトル図の一例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 広敏 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工 株式会社大分研究所内 (72)発明者 伊東 和晴 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工 株式会社大分研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)25℃のキシレン抽出不溶部(X
    I)が99.0重量%以上、(2)13C核磁気共鳴スペ
    クトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)
    が98.0%以上、(3)アイソタクチック平均連鎖長
    (N)が500以上で、かつ、(4)キシレン不溶部の
    カラム分別法による各フラクションの平均連鎖長(N
    f )が800以上であるフラクションの合計が全体の1
    0重量%以上であることを特徴とするプロピレン系重合
    体。
  2. 【請求項2】 (A)マグネシウム化合物、チタン化合
    物、ハロゲン含有化合物、電子供与性化合物(1)を必
    須成分とする固体触媒中に担持された電子供与性化合物
    (1)/チタン原子含有量のモル比(D/T)がD/T
    ≧1であることを特徴とする固体触媒成分 (B)有機アルミニウム化合物 (C)電子供与性化合物(2) からなる重合触媒を用いることを特徴とする請求項1記
    載のプロピレン系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 マグネシウム化合物、チタン化合物、ハ
    ロゲン含有化合物、電子供与性化合物(1)を必須成分
    とする固体触媒を改良することによって、改良前の固体
    触媒中の電子供与性化合物(1)/チタン原子含有量の
    モル比(D/T)i と改良触媒中の電子供与性化合物
    (1)/チタン原子含有量のモル比(D/T)m が、
    (D/T)m /(D/T)i >1の関係となる改良固体
    触媒成分を用いることを特徴とするプロピレン系重合体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 マグネシウム化合物、チタン化合物、ハ
    ロゲン含有化合物、電子供与性化合物(1)を必須成分と
    する固体触媒を、更に一般式TiXa ・Yb(式中、X
    はCl,Br,Iのハロゲン原子、aは3もしくは4、
    Yは電子供与性化合物(1)、0<b≦3を表わす)で
    表わされるチタン化合物で処理して担持させた後、ハロ
    ゲン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄すること
    によって得られる改良固体触媒成分を用いることを特徴
    とするプロピレン系重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 プロピレン系重合体が請求項1のプロピ
    レン系重合体である、請求項3または請求項4記載のプ
    ロピレン系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のプロピレン系重合体に少
    なくとも造核剤を0.05〜15重量%の範囲で配合し
    たプロピレン系重合体組成物。
JP8494994A 1994-04-22 1994-04-22 プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物 Pending JPH07292022A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8494994A JPH07292022A (ja) 1994-04-22 1994-04-22 プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8494994A JPH07292022A (ja) 1994-04-22 1994-04-22 プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07292022A true JPH07292022A (ja) 1995-11-07

Family

ID=13844896

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8494994A Pending JPH07292022A (ja) 1994-04-22 1994-04-22 プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07292022A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08283489A (ja) * 1995-04-17 1996-10-29 Showa Denko Kk ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP2002544313A (ja) * 1999-05-07 2002-12-24 ボレアリス テクノロジー オイ 高剛性プロピレンポリマーおよびその製造方法
JP2010042377A (ja) * 2008-08-18 2010-02-25 Nitto Denko Corp 撹拌装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08283489A (ja) * 1995-04-17 1996-10-29 Showa Denko Kk ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP2002544313A (ja) * 1999-05-07 2002-12-24 ボレアリス テクノロジー オイ 高剛性プロピレンポリマーおよびその製造方法
JP2010042377A (ja) * 2008-08-18 2010-02-25 Nitto Denko Corp 撹拌装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5916990A (en) Propylene-based polymer, method of its production, composition thereof, catalyst component for polymerization, and method for its production
AU705455B2 (en) Propylene block copolymer and process for producing the same
EP1183307B1 (en) High-stiffness propylene polymers and a process for the preparation thereof
US6184328B1 (en) Propylene-based polymer, method for its production, composition thereof, catalyst component for polymerization, and method for its production
EP1030876A1 (en) Talc containing polypropylene compositions
US5684099A (en) Propylene block copolymer, process for producing the same, and resin composition comprising the same
JP3497080B2 (ja) プロピレン系重合体の重合用触媒成分の製法
JPH07292022A (ja) プロピレン系重合体、その製造方法およびその組成物
JPH0873547A (ja) プロピレンブロック共重合体、その製造方法およびその組成物
JP3552801B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2845624B2 (ja) プロピレン系重合体、その製法及び組成物
JP2001240634A (ja) プロピレンブロック共重合体の製造方法
KR100336338B1 (ko) 프로필렌계폴리머,그의제조방법,그조성물,중합용촉매성분,및그제조방법
EP0821012B1 (en) Propylene-based polymer, method for its production, composition thereof
AU706739B2 (en) A method for the production of propylene-based polymers, catalyst component or polymerization and method for its production
JP3002119B2 (ja) プロピレンブロック共重合体およびその製造方法
JP3427472B2 (ja) 二軸延伸フィルム用ポリプロピレン及び二軸延伸フィルム
TW419498B (en) Propylene-based polymer and composition thereof
CA2127721A1 (en) Propylene-based polymer, method for its production, composition thereof, catalyst component for polymerization, and method for its production
MXPA00007110A (es) Polimero a base de propileno, metodo para su produccion, composicion del mismo, componente catalizador para polimerizacion, y metodo para su produccion.
JP2001247616A (ja) プロピレン重合用触媒およびプロピレン系重合体の製造方法
JP2001247619A (ja) プロピレン重合用触媒およびプロピレン系重合体の製造方法
JPH0987447A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2000290332A (ja) プロピレンブロック共重合体の製造法
JPH0229444A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物およびその製造方法と用途