JP2845624B2 - プロピレン系重合体、その製法及び組成物 - Google Patents

プロピレン系重合体、その製法及び組成物

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JP2845624B2 JP51502294A JP51502294A JP2845624B2 JP 2845624 B2 JP2845624 B2 JP 2845624B2 JP 51502294 A JP51502294 A JP 51502294A JP 51502294 A JP51502294 A JP 51502294A JP 2845624 B2 JP2845624 B2 JP 2845624B2
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久嘉 柳原
和幸 渡辺
智志 岩本
広敏 高橋
和晴 伊東
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、剛性、表面硬度、耐熱性、水蒸気バリヤー
性等の物性に優れる自動車、家電分野、包装材料に好適
なプロピレン系重合体、その製造方法および組成物に関
する。
背景技術 プロピレン系重合体は一般的に安価であり、かつその
特徴である透明性、機械的強度、耐熱性、表面光沢性、
耐薬品性、耐油性、剛性、耐屈曲疲労性等の性質を生か
し、工業材料、食品包装材料、化粧品包装材料、薬品包
装材料等幅広い分野で用いられる。
プロピレン系重合体は先に述べたように、剛性、耐衝
撃性等の特長を生かし、自動車、家電分野、雑貨等の各
産業で広く用いられている。最近、製品の軽量化、また
はコストを下げるため、製品の薄肉化や製品の表面の傷
つき防止のため、表面硬度を上げることが検討されてい
る。すなわち、プロピレン系重合体は高剛性で、表面硬
度が高く、耐衝撃性に優れるものが要求されている。ま
た、物性、加工性に対する要求もますます高いレベルに
なってきており、特に高温時の剛性と強度の保持、耐久
性、大型成形品の成形性向上が強く望まれている。
従来、プロピレン系重合体の高剛性化や透明性改良、
表面光沢改良に関しては、モノカルボン酸のIaおよびII
a属金属の塩(例えば安息香酸ナトリウム)、ジカルボ
ン酸(アジピン酸)、脂肪族ジカルボン酸のIII〜IV属
金属の塩(例えばアジピン酸アルミニウム)、ジベンジ
リデンソルビトール誘導体、タルク等のフィラー類を造
核剤として用いる方法(特公昭39−1809号公報、特開昭
60−139731号公報等)や、プロピレン系重合体の分子量
分布を広くする方法(特開昭56−2307号公報、特開昭59
−172507号公報、特開昭62−195007号公報等)がよく知
られている。
しかし、これら造核剤を用いた場合は前述の物性改良
効果はあるものの、用途によっては必ずしも十分とはい
えなかった。
従って、耐衝撃性、剛性等の機械的強度および、表面
硬度、耐熱性に優れる自動車、家電分野、包装材料に好
適なプロピレン系重合体および、タルク等のフィラー類
等を減らすことにより、製品密度を低くし、製品を薄肉
化することが望まれている。
また、プロピレン系重合体の立体規制性(アイソタク
チシチー)を向上させたり、分子量分布を広げて、高分
子量成分に依存する強度、耐久性を高め、押し出し成形
や中空成形等の成形性を改善するといった努力も続けら
れている。
この中でも、特に高活性でかつ高立体規則性を示す触
媒の開発は、近年、精力的に検討されている。いずれも
マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与性化合
物を必須成分として含有する固体触媒成分と、有機アル
ミニウム、電子供与性化合物からなる触媒系であり、例
えば、特開昭57−63310、特開昭58−32604、特開昭58−
83006、特開昭59−206408、特開昭59−219311、特開昭6
0−130607、特開昭61−209207、特開昭61−211309、特
開昭62−72702、特開昭62−104811、特開昭62−11705、
特開昭63−199703、特開昭63−264609、特開平1−1263
06、特開平1−311106、特開平3−62805、特開平3−7
0710、特開平4−103604、特開平4−114009、特開平4
−202505号公報のようなものが開示されている。
また、発明者らも、最近、特開平4−43407、特開平
4−149217、特開平4−178406、特開平4−180903、特
開平4−185613、特開平4−198202、特開平4−19820
4、特開平5−9209、特開平5−287019各号公報に開示
してきた。
これら先行文献に開示されたプロピレン系重合体で
は、キシレン抽出不溶部が99%未満であり、13C核磁気
共鳴スペクトル(以下、13C−NMRと略す)で測定したポ
リプロピレンのメチル基のアイソタクチックペンタッド
分率(mmmm)が高々93〜98%程度であり、剛性、耐熱性
等の諸物性の向上には限界があった。
発明の開示 本発明の目的は、プロピレン系重合体の本来備えてい
る物性を損なうことなく、剛性、表面硬度、耐熱性、透
明性、表面光沢、水蒸気バリヤー性等に優れる自動車、
家電分野、包装材料に好適なプロピレン系重合体、その
製造方法および組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決する方法を種々検討し
た結果、(1)キシレン抽出不溶部(XI)が99.0重量%
以上、(2)13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタ
クチックペンタッド分率(IP)が98.0%以上、(3)ア
イソタクチック平均連鎖長(N)が500以上で、かつ
(4)キシレン不溶部のカラム分別法による各フラクシ
ョンの平均連鎖長(Nf)が800以上であるフラクション
の合計が全体の10重量%以上であるプロピレン系重合体
とすることにより前述の課題を解決できることを見い出
し、本発明を完成した。
発明を実施するための最良の形態 本発明のプロピレン系重合体の特徴について具体的に
説明する。
(1)キシレン抽出不溶部(XI)は、25℃のキシレンに
不溶なポリマーの重量%である。詳しくは135℃のオル
トキシレンに一旦溶解し、25℃で析出したポリマーの重
量%である。本発明のプロピレン系重合体のXIは、99.0
%以上であり、好ましくは、99.5%以上、更に好ましく
は99.7%以上である。XIが99.0%未満であると、所望と
する剛性、耐熱性、表面硬度、表面光沢、透明性、水蒸
気バリヤー性等が不足する。
(2)13C核磁気共鳴スペクトルによるポリプロピレン
分子鎖中のアイソタクチックペンタッド分率(以下、IP
と略記する場合もある)とは、A.Zambelli,Macromolecu
les,,925(1973)による方法に従った。すなわち、同
位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を使
用して、測定されるプロピレン系重合体分子鎖中のペン
タッド単位でのアイソタクチック分率をいう。なお本発
明のIPは重合で得られたポリプロピレンそのものの測定
値であって、前記キシレン抽出、その他抽出、分別等を
行なった後のポリプロピレンの測定値ではない。
ピークの帰属は、Macromolecules,,687(1975)に
記載してある上記文献の改訂版に基づいて、13C−NMRス
ペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピー
クの強度分率をもってIPを測定した。
このように測定されるプロピレン系重合体中のIPは9
8.0%以上である必要があり、この値より低いと所望と
する剛性、耐熱性、表面硬度、表面光沢、透明性、水蒸
気バリヤー性等が不足する。好ましくは、プロピレン系
重合体中のIPは98.5%以上が良い。特に好ましくは、IP
が99.0%以上のプロピレン系重合体が良い。
(3)アイソタクチック平均連鎖長(N)とは、ポリプ
ロピレン分子内のメチル基のアイソタクチック平均連鎖
長であり、J.C.Randallによって報告されている方法(P
olymer Sequence Distribution,Academic Press,New Yo
rk 1977,chapter2)をもとに算出することができる。
具体的にはポリプロピレンを1,2,4−トリクロロベン
ゼン/重ベンゼンの混合溶媒にポリマー濃度が10重量%
となるように温度130℃に加温して溶解する。
この溶液を内径10mmφのガラス製試料管に入れ、先の
アイソタクチックペンタッド分率(IP)と同一の測定条
件で13C−NMRを測定する。
「Shan−Nong ZHU.Xiao−Zhen YANG,Riichiro CHUJO;
Polymer Journal,vol,15,No.12,p859−868(1983)に記
載している2サイトモデルの定義、すなわち、重合時の
活性点が2種類あると仮定する。そのうち1種類は触媒
支配重合、もう一方は末端支配重合と呼ばれるものであ
る。(この触媒支配重合と末端支配重合については、古
川淳二;高分子のエッセンスとトピックス2、「高分子
合成」、p73、(株)化学同人発行(1986年)に詳細に
述べられている。) 2サイトモデルは、 ∝:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)重
合末端にD体およびL体が付加する確率、即ちアイソタ
クチック成分中の乱れの程度の指標 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)重合末端と同じ
ものが付加するメソ体ができる確率 ω:αサイトの割合 と整理できる。
ホモポリプロピレンは、メチル基が立体規則性により
ペンタッド単位で10ピークに分裂するが、実際の測定値
と計算強度(面積)が一致するように、α,σ,ωを最
小自乗法で求め、その上で次式によって、各ペンタッド
単位の量A1〜A10を求める。
次に前述のJ.C.Randallの文献に記載されている平均
連鎖長(N)の定義式 N=メソ体の連鎖数/メソ体のユニット数 に上記で求めたA1〜A7の各ペンタッド単位をあてはめる
と、 によって求めることができる。
なお、本発明におけるN値は、重合で得られたポリプ
ロピレンそのものの測定値であって、前記キシレン抽
出、その他抽出、分別等を行なった後のポリプロピレン
の測定値ではない。本発明の高立体規則性プロピレン系
重合体のNは、500以上であり、好ましくは700以上、更
に好ましくは800以上である。Nが500未満であると所望
とする剛性、耐熱性が不足する。
一般に、ポリプロピレンの13C−NMRシグナルはメチレ
ン、メチン、メチルの3つの主ピークが得られる。
このうちメチル領域のピークを拡大すると図1のよう
なデータが得られ、…mmmmrmmmm…,…mmmmmmrrmmmmm…
等の不整結合の形がわかる。
結晶化可能なアイソタクチック平均連鎖長は不整結合
の数と逆数関係にあると考えて良い。
不整結合の数が多い程、つまりmmmmの構造を切ってい
るラセミ構造が多い程、平均連鎖長(N)は短くなる。
このようにして求められる平均連鎖長(N)は、前述
のように結晶化可能なアイソタクチック構造のシーケン
スの長さを表わすので、この長さが長い程(つまり不整
結合が少ない程)、プロピレン系重合体の剛性や耐熱
性、水蒸気バリヤー性等の物性が向上するものと考えら
れる。
(4)キシレン不溶部のカラム分別法による各フラクシ
ョンの平均連鎖長(Nf)とは、(1)で得られるキシレ
ン抽出不溶部のポリプロピレンをパラキシレンに温度13
0℃で溶解し、セライトを入れ、10℃/時間の降温速度
で温度30℃まで下げ、セライトに付着させ、これをカラ
ムに充填し、温度70から130℃まで2.5℃ごとに昇温し
て、フラクション別に分取し、分取された各フラクショ
ンごとの平均連鎖長(N)を先の方法で求め、これらを
フラクションごとの平均連鎖長(Nf)とする。
本発明のプロピレン系重合体においては、この分取さ
れた各フラクションごとの平均連鎖長(Nf)が800以上
であるフラクションの合計が全体に対し、10重量%以上
のものが良い。好ましくは、30重量%以上、特に好まし
くは50重量%以上のものが良い。
平均連鎖長(Nf)が800以上のものの合計が全体に対
し、10重量%以下では剛性、表面硬度、耐熱性、水蒸気
バリヤー性の改善効果が乏しく好ましくない。
次に本発明のプロピレン系重合体の製造方法について
説明する。
本発明のプロピレン系重合体は、(A)マグネシウム
化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物及び第1の
電子供与性化合物を必須とし、担持された第1の電子供
与性化合物(D)とチタン(T)のモル比が(D/T)
である第1の重合用固体触媒成分を形成し、前記第1の
重合用固体触媒成分を処理して、担持された第1の電子
供与性化合物(D)とチタン(T)のモル比が(D/T)
である重合用固体触媒成分に改良し、(D/T)m/(D/
T)>1とすることを含む工程により得られるプロピ
レン重合用固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合
物、(C)第2の電子供与性化合物からなる重合触媒を
用いてプロピレンの重合を行なうことによって製造する
ことができる。
ここで、マグネシウム化合物としては、塩化マグネシ
ウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウムのような
ハロゲン化マグネシウム;ジメトキシマグネシウム、ジ
エトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジ
ブトキシマグネシウム、ジフェノキシマグネシウムのよ
うなアルコキシマグネシウム;ラウリル酸マグネシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、酢酸マグネシウムのよ
うなカルボン酸塩;ジメチルマグネシウム、ジエチルマ
グネシウム、ブチルエチルマグネシウムのようなアルキ
ルマグネシウム等を例示することができる。また、これ
らの各種マグネシウム化合物は、1種単独で使用するこ
ともできるし、2種類以上併用して使用することもでき
る。好ましくは、ハロゲン化マグネシウム、アルコキシ
マグネシウムを使用するもの、もしくは触媒形成時にハ
ロゲン化マグネシウムを形成するものである。特に好ま
しくは、前記ハロゲンが塩素であるものである。
チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタ
ン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンのようなハロゲン化
チタン;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタ
ン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、
テトラフェノキシチタンのようなアルコキシチタン;エ
トキシチタンクロリド、ブトキシチタンクロリド、フェ
ノキシチタンクロリド、ジブトキシチタンジクロリド、
トリブトキシチタンクロリドのようなアルコキシチタン
ハライド等を例示することができる。また、これら各種
チタン化合物は、1種単独で使用することもできるし、
2種類以上併用して使用することもできる。好ましく
は、ハロゲンを含む四価のチタン化合物であり、特に好
ましくは四塩化チタンである。
ハロゲン含有化合物は、ハロゲンがフッ素、塩素、臭
素、または要素、好ましくは塩素であり、実際に例示さ
れる具体的化合物は、触媒成分調製法に依存するが、四
塩化チタン、四臭化チタン等のハロゲン化チタン、四塩
化ケイ素、四臭化ケイ素等のハロゲン化ケイ素、三塩化
リン、五塩化リンのようなハロゲン化リン等を例示でき
るが、触媒成分調製法によってはハロゲン化炭化水素、
ハロゲン分子、ハロゲン化水素酸を用いても良い。
第1の電子供与性化合物としては、一般に含酸素化合
物、含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物等があ
げられる。含酸素化合物としては、例えば、アルコール
類、エーテル類、エステル類、酸ハライド類、酸無水物
類等があげられる。
更に具体的には、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチル
アルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコー
ル、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルア
ルコール、2−エチルアルコール、オレイルアルコー
ル、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、
フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ナフトー
ルのようなアルコール類; メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテ
ル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ヘキシルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエー
テルのようなエーテル類やジエーテル類; 酢酸エチル、クロル酢酸エチル、プロピオン酸エチ
ル、酪酸エチル、アクリル酸エチル、クロトン酸エチ
ル、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、フェニル
酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香
酸プロピル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トル
イル酸エチル、トルイル酸プロピル、トルイル酸ブチ
ル、エチル安息香酸メチル、アニス酸メチル、アニス酸
エチル、エトキシ安息香酸メチル、エトキシ安息香酸エ
チル、ケイ皮酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ
エチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジn−ブチル、
フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸
ジオクチル、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクト
ン、炭酸エチレンのようなエステル類; アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸
クロリド、フタル酸クロリドのような酸クロリド類; 無水マレイン酸、無水フタル酸のような酸無水物等が
あげられる。
また、これらの第1の電子供与性化合物は、1種単独
で使用することもできるし、2種類以上併用して使用す
ることもできる。好ましくはエステル類であり、特に好
ましいものはフタル酸エステル類である。
勿論、マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン
化合物、第1の電子供与性化合物は、1つの化合物がこ
れら4種の化合物のうち2つ以上を兼ねることができ
る。
前記各成分の使用量は、本発明において効果が認めら
れる限り任意のものであるが、一般的に次の範囲が好ま
しい。
チタン化合物の使用量は、使用するマグネシウム化合
物の使用量に対してもモル比で0.0001〜1000の範囲内が
良く、好ましくは0.01〜100の範囲内である。必要に応
じてハロゲン化合物を使用するわけであるが、ハロゲン
化合物を使用する場合には、その使用量はチタン化合
物、マグネシウム化合物がハロゲンを含む、含まないに
よらず、使用するマグネシウムの使用量に対してモル比
で0.01〜1000の範囲内が良く、好ましくは0.1〜100の範
囲内である。第1の電子供与性化合物の使用量は、前記
マグネシウム化合物の使用量に対してモル比で0.001〜1
0の範囲内が良く、好ましくは0.01〜5の範囲内であ
る。
本発明において用いられる改良前の第1の重合用固体
触媒成分の調製方法は、マグネシウム化合物、チタン化
合物および第1の電子供与性化合物、更に必要に応じて
ハロゲン含有化合物等の助剤とを一時的、または段階的
に接触、反応させて得られる従来公知の固体触媒成分の
調製方法を用いることができる。
公知方法の具体例として、以下の調製方法がある。
(1)ハロゲン化マグネシウムと必要に応じて第1の電
子供与性化合物とチタン化合物を接触させる方法。
(2)ハロゲン化マグネシウムとテトラアルコキシチタ
ンおよび特定のポリマーケイ素化合物を接触させて得ら
れる固体成分に、ハロゲン化チタン化合物および/また
はケイ素のハロゲン化合物を接触させる方法。
(3)マグネシウム化合物をテトラアルコキシチタンお
よび第1の電子供与性化合物で溶解させて、ハロゲン化
剤またはハロゲン化チタン化合物で析出させた固体成分
に、チタン化合物を接触させる方法。
(4)アルミナまたはマグネシアをハロゲン化リン化合
物で処理し、それにハロゲン化マグネシウム、第1の電
子供与性化合物、ハロゲン化チタン化合物を接触させる
方法。
(5)有機マグネシウム化合物に代表されるグリニャー
ル試薬を還元剤や、ハロゲン化剤等と作用させた後、第
1の電子供与性化合物とチタン化合物とを接触させる方
法。
(6)アルコキシマグネシウム化合物にハロゲン化剤お
よび/またはチタン化合物を第1の電子供与性化合物の
存在もしくは不存在下に接触させる方法。
(7)マグネシウム化合物をテトラアルコキシチタンで
溶解し、ポリマーケイ素化合物で処理した後、ケイ素の
ハロゲン化合物および有機金属化合物で処理する方法。
(8)球状のマグネシウム化合物/アルコール錯体を第
1の電子供与性化合物およびハロゲン化チタン化合物等
で処理する方法。
上記の如き調製方法により改良前の第1の重合用固体
触媒成分を製造した後、本発明によれば、その改良前の
第1の重合用固体触媒成分を改良処理して、改良固体触
媒成分中に担持された第1の電子供与性化合物(D)と
チタン(T)のモル比(D/T)が(D/T)m/(D/T)
>1の関係にある改良重合用固体触媒成分にすることを
特徴とする。(D/T)m/(D/T)≧2であることが好ま
しい。
また、本発明で用いるプロピレン重合用固体触媒成分
は(D/T)≧1であり、さらには(D/T)≧1.5であるこ
とが好ましい。
例えば、前述したような種々の公知の方法で調製され
た、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び第1の電子供
与性化合物を必須成分とする固体触媒成分を、さらに第
1の電子供与性化合物及び/又はハロゲン含有化合物で
処理することにより、D/Tを処理前より大きくして、触
媒を改良することができる。第1の電子供与性化合物に
よる処理とハロゲン化合物による処理の順序と回数は特
に制限はないが、一般的な固体触媒成分の処理法として
は、第1の電子供与性化合物で処理して担持させた後、
ハロゲン含有化合物で処理,洗浄し、更に炭化水素で洗
浄する。
触媒成分の改良に用いる第1の電子供与性化合物は、
改良前の固体触媒成分調製時に使用したものと同様であ
っても異なっていても良い。第1の電子供与性化合物
は、1種単独で使用することもできるし、2種類以上併
用して使用することもできる。好ましいものはエステル
類であり、特に好ましくはフタル酸エステル類である。
第1の電子供与性化合物の使用量は、固体触媒成分中
のチタン原子に対して、0.001〜500モル倍の範囲がよ
く、好ましくは0.01〜50モル倍の範囲内である。
第1の電子供与性化合物の使用量が極端に少ない場合
は、(D/T)m/(D/T)>1の関係を採りにくく、反対
に第1の電子供与性化合物の使用量が極端に多い場合
は、重合活性が低下するため好ましくない。
触媒改良に用いるハロゲン含有化合物は、改良前の固
体触媒成分調製時に使用したものと同様であっても異な
っていても良い。なかでも、ハロゲン化チタン、ハロゲ
ン化ケイ素、ハロゲン化炭化水素が好ましい。ハロゲン
含有化合物は、1種単独で使用することもできるし、2
種類以上併用して使用することもできる。
ハロゲン含有化合物の使用量は、固体触媒成分中のチ
タン原子に対して、0.1〜10000モル比の範囲内であり、
好ましくは1〜3000モル比の範囲内であり、特に好まし
くは5〜500モル比の範囲内である。また、ハロゲン含
有化合物の使用量が極端に少ない場合は、(D/T)m/(D
/T)>1の関係を取りにくく、反対にハロゲン含有化
合物の使用量が極端に多い場合は、重合活性が低下した
り、廃液量が多くなるため好ましくない。
改良のために固体触媒成分を第1の電子供与性化合物
で処理する温度は、−30〜150℃、好ましくは0〜100℃
の範囲内である。また、固体触媒成分をハロゲン含有化
合物で処理する温度は、0〜200℃、好ましくは50〜150
℃の範囲内である。これら以外の温度条件の場合は、重
合活性が低下するため好ましくない。
固体触媒成分の第1の電子供与性化合物、ハロゲン含
有化合物による改良処理は、通常、炭化水素溶媒中で行
なうことができる。この際に用いられる炭化水素として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン
などの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素などの不活性炭化水素が好まし
い。また、これらの炭化水素は、固体触媒成分の第1の
電子供与性化合物、ハロゲン含有化合物による処理後の
固体触媒成分の洗浄溶媒として用いることができる。
改良前固体触媒成分の第1の電子供与性化合物による
処理、ハロゲン含有化合物による洗浄後の改良オレフィ
ン重合用触媒を上記炭化水素で洗浄する際の温度は、0
〜200℃の範囲にあり、好ましくは60〜140℃である。こ
の際の洗浄温度が極端に低い場合は、(D/T)m/(D/T)
>1の関係を取りにくく、反対に洗浄温度が極端に高
い場合は、(D/T)m/(D/T)>1の関係は取るものの
重合活性が低下するため好ましくない。
固体触媒成分を第1の電子供与性化合物で処理した場
合、ハロゲン含有化合物による処理(洗浄)を行なわな
いと、重合活性が極めて低下し、かつ本発明の効果が発
現しない。ハロゲン含有化合物による処理(洗浄)の回
数は、特に制限しないが、本発明の効果を十分に発現さ
せるためには、2ないし4回が好ましい。1回では本発
明の効果が十分に発現せず、回数を多く重ねすぎると重
合活性が低下し好ましくない。
また、本発明では第1の電子供与性化合物として、一
般式TiXaYb(式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子、aは
3もしくは4、Yは電子供与性化合物(1)、0<b≦
3を表わす)で表わされるチタン化合物を用い、これで
処理して担持させた後、ハロゲン含有化合物で洗浄し更
に炭化水素で洗浄することによって、担持量がD/T≧1
となる固体触媒成分に改良することができる。これによ
って、固体触媒成分を第1の電子供与性化合物で処理し
た場合、一般的には本発明のハロゲン含有化合物による
処理(洗浄)の回数は前記のごとく最低2回は必要であ
るが、TiXa・Ybを用いた場合には、ハロゲン含有化合物
による処理(洗浄)回数は1ないし2回で本発明の効果
は十分に発現する。さらに、後述のごとくハロゲン含有
化合物の使用量も減らすことができるため、炭化水素に
よる改良固体触媒成分の洗浄時に排出される廃液量も大
幅に減らすことができる。
TiXa(式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子、aは3も
しくは4)は、例えば、R.S.P.Coutts,P.C.Wailes,Adva
n.Crganometal.Chem.,,135(1970)、第4版新実験化
学講座 17 無機錯体・キレート錯体 日本化学会丸善
(1991)p.35,H.K.Kakkoen,J.Pursiainen,T.A.Pkkanen,
M.Ahlgren,E.Iiskola,J.Organomet.Chem.,453,175(199
3)等に記載されているように、一般に電子供与性化合
物とは容易に錯体を形成することが知られている。
TiXa・YbのXはCl,Br,Iのハロゲン原子であり、この
中で好ましいのはClである。aは3もしくは4である
が、好ましくは4である。Y(第1の電子供与性化合
物)は、前述したものの中から選択でき、改良前固体触
媒成分調製時に使用したものと同様であっても異なって
いても良い。TiXa・Ybを調製する際、第1の電子供与性
化合物は1種単独で使用することもできるし、2種類以
上併用して使用することもできる。Yの中で好ましいも
のは有機酸エステル類であり、特に好ましいものはフタ
ル酸エステル類である。Yのbは、前述aが3の時は0
<b≦3、aが4の時は0<b≦2のようにTiXa・Yb
調製する際のYのTiXaに対する仕込みモル比、Yの有す
る電子供与性基数、Tiの原子価による。最も好ましいの
はaが4、bが1の場合である。
TiXa・Ybの使用量は、改良前の固体触媒成分中のチタ
ン原子に対して、0.001〜500モル比の範囲内が良く、好
ましくは0.01〜50モル比の範囲内であり、特に好ましく
は0.1〜10モル比の範囲内である。また、TiXa・Ybの使
用量が極端に少ない場合は、(D/T)m/(D/T)>1の
関係を取りにくく、反対にTiXa・Ybの使用量が極端に多
い場合は、重合活性が低下するため好ましくない。
ハロゲン含有化合物の使用量は、固体触媒中のチタン
原子に対して0.1〜1000モル比の範囲内であり、好まし
くは1〜500モル比の範囲内であり、特に好ましくは5
〜100モル比の範囲内である。
なお、ハロゲン含有化合物の選択も前記と同様である
ことができる。
さらに、固体触媒成分をTiXa・Ybで処理する温度は、
前記の第1の電子供与性化合物の処理温度と同様である
ことができ、また、固体触媒成分をハロゲン含有化合物
で洗浄する温度も前記と同様であることができる。
固体触媒成分のTiXa・Ybによる処理、ハロゲン含有化
合物による洗浄も、前記の第1の電子供与性化合物によ
る処理及びハロゲン含有化合物による洗浄と同様でよ
い。
TiXa・Ybによる処理回数、ハロゲン含有化合物による
洗浄回数については特に制限はないが、前述のごとく、
TiXa・Yb処理した後、ハロゲン含有化合物で1回ないし
2回洗浄すれば本発明の効果は十分に発現する。ハロゲ
ン含有化合物で洗浄しない場合には、本発明で得られる
高い性能は得られない。
予備重合 上記の方法で調製された改良固体触媒成分は、後述す
る有機アルミニウム化合物、第2の電子供与性化合物と
の組み合わせにより、プロピレンの重合に使用される
が、重合の前に少量のモノマーを予備重合させておくこ
とが可能である。通常は、調製された改良固体触媒成分
1gあたり、約0.01g〜約1000g、予備重合の温度は任意で
あるが−30〜80℃である。予備重合は、通常、後述する
重合時に用いられる有機アルミニウム化合物と第2の電
子供与性化合物の共存下にて行なわれる。予備重合は、
一般に不活性炭化水素溶媒中で行なうことができるが、
液体モノマー中、気相モノマー中で行なうことも可能で
ある。
予備重合で用いられるモノマーとしては、プロピレン
のほか、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−
1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−
1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニル
シクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフ
ィン類、スチレン、α−メチルスチレン等スチレン誘導
体、ブタジエン、1,9−デカジエン等のジエン類、アリ
ルトリアルキルシラン類を用いてもよい。また、これら
のモノマーは、1種類だけでなく2種類以上段階的にあ
るいは混合して使用することもできる。なお、予備重合
時に分子量調節剤として水素を用いることもできる。
プロピレン重合 上記の改良固体触媒成分は、有機アルミニウム化合物
と第2の電子供与性化合物の共存下で、プロピレン系重
合体を重合することができる。
本発明で使用される有機アルミニウム化合物は、代表
的なものとしてトリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルア
ルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチル
アルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム;ジメ
チルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウム
ハイドライド、ジブチルアルミニウムハイドライドのよ
うなアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアル
ミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニ
ウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムハライ
ド;ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアル
ミニウムフェノキサイドのようなアルキルアルミニウム
アルコキシド;メチルアルミノキサン、エチルアルミノ
キサン、プロピルアルミノキサンのようなアルミノキサ
ンを例示することができる。また、これらの有機アルミ
ニウム化合物は、1種単独で使用することもできるし、
2種類以上併用して使用することもできる。好ましく
は、トリアルキルアルミニウムである。
本発明で使用される第2の電子供与性化合物は、第1
の電子供与性化合物と同一でも異なっもよいが、代表的
には、芳香族カルボン酸エステル化合物、Si−O−Cま
たはSi−N−C結合を有するケイ素化合物、アセタール
化合物と、Ge−O−C結合を有するゲルマニウム化合
物、アルキル置換基を有する窒素または酸素の複素還化
合物等があげられる。
これらの化合物の具体例としては、安息香酸エチル、
p−トルイル酸エチル、p−アニス酸エチルのような芳
香族カルボン酸エステル;フェニルトリメトキシシラ
ン、ジフェニルメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメ
トキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ
−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメ
トキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シ
クロヘキシルメチルジメトキシシラン、t−ブチルトリ
メトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、
テキシルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、
テトラエトシシランのようなケイ素化合物;ベンゾフェ
ノンジメトキシアセタール、ベンゾフェノンジエトキシ
アセタール、アセトフェノンジメトキシアセタール、ア
セトフェノンジエトキシジエトキシアセタールのような
アセタール化合物;ジフェニルジメトキシゲルマン、フ
ェニルトリエトキシゲルマンのようなゲルマニウム化合
物;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テト
ラメチルピランのような複素環化合物を例示することが
できる。
また、これらの電子供与性化合物は、1種単独で使用
することもできるし、2種類以上併用して使用すること
もできる。好ましくは、ケイ素化合物、アセタール化合
物であり、特に好ましくは、Si−O−C結合を有するケ
イ素化合物である。
本発明の製造方法における重合方法は得に限定されず
公知の方法を用いることができ、スラリー重合やパルク
重合のような液相重合法のほか、気相重合法にも適用で
きる。また、パッチ重合のみならず、連続重合、回分式
重合を行なう方法にも適用できる。スラリー重合の場合
の重合溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキ
サン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素の
単独あるいは混合物が使用される。更に、重合リアクタ
ー2基以上の多段重合にも本発明の製造方法における重
合方法は用いることができる。
重合温度は、−50〜200℃程度、好ましくは20〜150℃
であり、重合圧力は、大気圧〜100kg/cm2G、好ましくは
3〜50kg/cm2Gである。また、重合時には水素を適当量
添加することにより、分子量を調節することができる。
本発明の製造方法ではプロピレンの単独重合のほか、
プロピレンを一般式R−CH=CH2(Rは水素原子、また
は炭素数1〜20の炭化水素残基であり、分岐基であって
も良い)で表わされるα−オレフィンと共重合させるこ
ともでいる。具体的には、エチレン、1−ブテン、3−
メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテ
ン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が
例示される。更にスチレン、α−メチルスチレン等のス
チレン誘導体、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−
オクタジエン、1,9−デカジエン等のジエン類、アリル
トリアルキルシラン類が例示される。また、これらのモ
ノマーは、1種類だけでなく2種類以上混合して使用す
ることもできる。
なお、本発明のプロピレン系重合体のうち、プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体については、重合リアク
ター2基以上の多段重合で製造することができ、特に第
1段でホモポリプロピレンを製造することが好ましい。
この場合には、1段目の重合終了後に抜き出したポモ
ポリプロピレンが、本発明の構成要件を満たすようにす
れば、最終的に得られる共重合体も本発明の課題を解決
しまた得られた物性を有することができる。
また、本発明で得られるプロピレン系重合体は、公知
の造核剤を添加することにより結晶性、高速成形性を更
に向上させた樹脂組成物とすることができる。
造核剤の例としては、モノカルボン酸のIaおよびIIa
族金属の塩(例えば安息香酸ナトリウム)、ジカルボン
酸(アジピン酸)、脂肪族ジカルボン酸のIII〜IV族金
属の塩(例えばp−t−ブチル安息香酸アルミニウム
塩)、ジベンジリデンソルビトール誘導体、タルク等の
フィラー類を示すことができる。
特に好ましくは、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビト
ール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソル
ビトール、1,3,2,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)
ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−クロルベンジリデ
ン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,
4,−p−メチルベンジリデンソルビトール、ナトリウム
−ビス−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、
ナトリウム−2,2−メチレン−ビス−(4,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2−2′
−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスフェート等、及びタルク、炭酸カルシウム等の無
機フィラー類があげられる。
これら造核剤の添加量は、プロピレン系重合体に少な
くとも造核剤を0.05〜15重量%の範囲で配合すると、本
発明の効果が著しく好ましい。
好ましくは、0.08〜0.8重量%、特に好ましくは、0.1
〜0.5重量%添加するのが好ましい。ただし、タルク等
の無機化合物は、上記に例示した造核剤よりも核剤効果
が小さいため、1〜15重量%添加すると良い。好ましく
は、2〜13重量%、特に好ましくは5〜10重量%であ
る。
本発明のプロピレン系重合体または樹脂組成物に対し
ては、熱可塑性樹脂に慣用の他の添加物(例えば、酸化
防止剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤ブロッキング
防止剤、防曇剤、染料、顔料、オイル、ワックス等)を
本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合できる。
例えば、このような添加剤の例としては、酸化防止剤
として2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、4,4−チオビス−(6−
t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−
3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−1′−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、4,4′−チオビス(6−ブチ
ルフェノール)、紫外線吸収剤としては、エチル−2−
シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−(2′−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチ
ル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル、帯電
防止剤としてはモノステアレート、ソルビタンモノパル
ミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシド、
カーボンワックス、滑剤としてはエチレンビスステアロ
ミド、ブチルステアレート等、着色剤としては、カーボ
ンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリ
ン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等、充填剤とし
ては、グラスファイバー、アスベスト、マイカ、パラス
トナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等で
ある。また、他の多くの高分子化合物も本発明の作用効
果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
本発明のプロピレン系重合体の溶融指数(MFR〜JIS−
7210、表1条件14)は特に限定されるものではなく、成
形法、用途によって選ばれるが、通常は0.1〜500g/10分
の範囲が適当である。
本発明のプロピレン系重合体は公知の溶融成形法およ
び圧縮成形法により、射出成形体、フィルム、シート、
チューブ、ボトル等に成形でき、単体での使用および他
の材料を積層しても使用できる。
例えば、このような積層方法としては、ポリウレタン
系、ポリエステル系等のドライラミネート接着剤を用
い、本発明のプロピレン系重合体または樹脂組成物の単
層品にその他の熱可塑性樹脂層を積層するいわゆるドラ
イラミネート成形法やサンドウィッチラミネーション法
によって行なわれるか、また共押出ラミネート法、共押
出法(フィードブロック法、マルチマニホールド方
式)、共射出成形法、共押出パイプ成形法である。
このようにして得られた多層積層体は、次に真空成形
機、圧空成形機、延伸ブロー成形機等を用い、再加熱し
延伸操作を加える方法あるいはこの多層積層体または単
体成形物を一軸あるいは二軸延伸機を用いて、加熱延伸
操作を施すことができる。
図面の簡単な説明 図1はホモポリプロピレンのメチル領域の13C−NMRス
ペクトル図の一例である。
以下、実施例をあげ本発明を更に詳しく説明する。
実施例 なお、本発明における各物性値の測定方法および装置
を以下に示す。
(1)キシレン不溶部(XI) 2.5gのポリマーを135℃のオルトキシレン(250ml)に
溶解し、25℃で析出したポリマー(重量%)をキシレン
不溶部(XI)とした。
(2)アイソタクチックペンタッド分率(mmmm) mmmm分率は、プロピレン系重合体分子鎖中のメチル基
のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。測
定は日本電子(株)製のINM−GSX400(13C核共鳴周波数
100MHz)を用いて行なった。それぞれのシグナルは、A.
ZambelliらのMacromolecules,13,267(1980)で帰属し
た。測定条件を以下に示す。
測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間:3.0μs 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重
ベンゼンの混合溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃ (3)アイソタクチック平均連鎖長(N) アイソタクチック平均連鎖長(N)は、J.C.Radallに
よって報告されている方法(Polymer Sequence Distrib
ution,Academic Press,New York 1977,chapter 2)をも
とに算出したものである。具体的にはポリプロピレンを
1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒に
ポリマー濃度が10重量%となるように温度130℃に加温
して溶解する。
この溶液を内径10mmφのガラス製試料管に入れ、先の
アイソタクチックペンタッド分率(IP)と同一の測定条
件で13C−NMRを測定する。次に、先に説明したように、
メソ体の連鎖数とメソ体のユニット数から、平均連鎖長
(N)は次の定義によって求めることができる。
N=メソ体の連鎖数/メソ体のユニット数 (4)カラム分別法 キシレン不溶部のプロピレン系重合体をパラキシレン
に温度130℃で溶解し、セライトを入れ、10℃/時間の
降温速度で温度30℃まで下げセライトに付着させる。こ
の付着物をカラムに充填し、温度70℃から130℃まで2.5
℃ごとに昇温して、フラクション別に分取する。
(5)射出成形 東芝機械(株)製IS−170F II(論理射出容量250c
m3)を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で、ア
イゾット衝撃試験片、曲げ弾性率試験片、荷重たわみ温
度試験片、表面光沢用試験片(厚み2mm×15cm×11cm平
板)を作成した。次に、湿度50%、温度23℃の恒温室に
二昼夜放置後、これらの物性を測定した。
(6)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) JIS K7110に準拠して行なった。装置は上島製作所
(株)製のU−Fインパクトテスターを用いた。
(7)曲げ弾性率 JIS K7203に準拠して行なった。
(8)エチレン含有量 C.J.Carmanらによって報告されている13C−NMR法によ
る方法(Macromolecoules,10,537(1977))をもとに算
出した。
(9)MFR(メルトフローレート) JIS K7210表1条件14に準拠して行なった。装置はタ
カラ(株)製のメルトインデクサーを用いた。
(10)荷重たわみ温度 JIS K7207B法に準拠し、(株)東洋精機製作所製のHD
TεVSPTテスターを用いて行なった。
(11)ロックウェル表面硬度 温度230℃のプレス成形機で、測定用サンプルを作成
し東洋精機製作所(株)製のAR−10型ロックウェル硬度
計を用い、JIS K7202に準拠して行なった。
(12)フィルム成形 吉井鉄工(株)製40mmφTダイフィルム成形機を用
い、ダイス温度230℃、冷却温度30℃、引き取り速度10m
/分の条件で、厚み60μmのフィルムを作成し、水蒸気
透過量、Haze、表面光沢度を測定した。
(13)Haze JIS K7105法に準拠し、スガ試験機(株)製HGM−2D型
のHazeメーターを用いて行なった。
(14)表面光沢度 JIS K7105法に準拠し、日本電色工業(株)製VG−1D
型のグロスメーターを用いて行なった。
(15)水蒸気透過量 ASTM−E96に準拠し、MODERN CONTROLS INC社製PERMAT
RAN Wを用いて、温度37.8℃、相対湿度90%の条件で測
定を行なった。
(16)触媒分析 改良前の固体触媒成分、改良オレフィン重合用固体触
媒成分を希硫酸で分解し、ヘプタンで有機物を抽出し
た。水層は島津製作所(株)製の原子吸光AA610S型を用
いてTiを定量した。ヘプタン層は日立製作所(株)ガル
クロマトグラフ263−50により電子供与性化合物を定量
した。
実施例1 (1)改良前固体触媒成分の調製(慣用法) 無水塩化マグネシウム56.8g(597mmol)を、無水エタ
ノール100g(174mmol)、出光興産(株)製のワセリン
オイルCP15N500mlおよび信越シリコーン(株)製のシリ
コール油KF96 500ml中、窒素雰囲気下、120℃で完全に
溶解させた。この混合物を、特殊機化工業(株)製のTK
ホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分で3分間撹
拌した。撹拌を保持しながら、2リットルの無水ヘプタ
ン中に0℃を越えないように移送した。得られた白色固
体は無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥し
た。
得られたMgCl2・2.5C2H5OHの球状固体30gを無水ヘタ
ン200ml中に懸濁させた。0℃で撹拌しながら、四塩化
チタン500ml(4.5mol)を1時間かけて滴下した。次
に、加熱を始めて40℃になったところで、フタル酸ジイ
ソブチル4.96g(17.8mmol)を加えて、100℃まで約1時
間で昇温させた。100℃で2時間反応させた後、熱時ろ
過にて固体部分を採取した。その後、この反応物に四塩
化チタン500ml(4.5mol)を懸濁させた後、120℃で1時
間反応させた。反応終了後、再度、熱時ろ過にて固体部
分を採取し、60℃のヘキサン1.0リットルで7回、室温
のヘキサン1.0リットルで3回洗浄した。得られた固体
触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.25重量
%であった。また、電子供与性化合物(1)は7.81重量
%含まれていた。
(2)改良固体触媒成分の調製 上記で得られた固体触媒成分20gをトルエン300mlに懸
濁させ、25℃でフタル酸ジイソブチル2.78g(10mmol)
と1時間反応させた。反応終了後、四塩化チタン100ml
(900mmol)を加えて90℃で1時間反応させた。反応終
了後、熱時ろ過にて固体部分を採取し、その後、この反
応物にトルエン300ml四塩化チタン100ml(900mmol)を
懸濁させた後、90℃で1時間反応させた。反応終了後、
再度、熱時ろ過にて固体部分を採取し、90℃のトルエン
500mlで7回、室温のヘキサン500mlで3回洗浄した。得
られた固体触媒成分中のチタン含有率を測定したとこ
ろ、1.01重量%であった。また、第1の電子供与性化合
物は12.0重量%含まれていた。改良前後における触媒成
分の分析結果の比較を表1に示す。
(3)予備重合 窒素雰囲気下のもと内容積3リットルのオートクレー
ブ中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g(53mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.
9g(17mmol)、および、上記(2)で得られた改良オレ
フィン重合触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度範囲
で5分間撹拌した。次に、改良オレフィン重合触媒成分
1gあたり10gのプロピレンが重合するようにプロピレン
をオートクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1
時間予備重合した。得られた予備重合固体触媒成分は、
n−ヘプタン500mlで3回洗浄を行ない、以下のプロピ
レン系重合体の製造に使用した。
(4)本重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調製された予備重合固体触媒成
分2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g(100mmol)、ジ
リクロペンチルジメトキシシラン6.84g(30mmol)を入
れ、次いでプロピレン18kg、プロピレンに対して13000m
olppmになるように水素を装入し、70℃まで昇温させ1
時間の重合を行なった。1時間後、未反応のプロピレン
を除去し重合を終結させた。その結果、6.56kgのポリプ
ロピレンが得られ重合活性は32.8kg/g−固体触媒成分、
重合体のMFRは33.0g/10分であった。重合体の物性評価
結果を表2に示す。
実施例2 (1)改良前固体触媒成分の調製 実施例1と同じにした。
(2)TiCl4[C6H4(COOiC4H9]の調製 四塩化チタン19g(100mmol)を含むヘキサン1.0リッ
トルの溶液に、フタル酸ジイソブチル:C6H4(COOiC
4H9227.8g(100mmol)を、0℃を維持しながら約30分
間で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応さ
せた。反応終了後、固体部分を採取しヘキサン500mlで
3回洗浄し目的物を得た。
(3)改良オレフィン重合触媒成分の調製 上記(1)で得られた固体触媒成分20gをトルエン300
mlに懸濁させ、25℃でTiCl4[C6H4(COOiC4H9]5.2
g(11mmol)で1時間処理して担持させた。担持終了
後、熱時ろ過にて固体部分を採取し、トルエン300mlと
四塩化チタン10ml(90mmol)に再懸濁させ、90℃で1時
間撹拌洗浄し、熱時ろ過にて固体部分を採取し、その
後、この反応物を90℃のトルエン500mlで5回、室温の
ヘキサン500mlで3回洗浄した。得られた固体触媒成分
中のチタン含有率を測定したところ、0.91重量%であっ
た。また第1の電子供与性化合物は10.6重量%含まれて
いた。改良前後における触媒分析結果の比較を表1に示
す。
(4)予備重合 窒素雰囲気下のもと内容積3リットルのオートクレー
ブ中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g(53mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.
9g(17mmol)、および、上記(3)で得られた改良オレ
フィン重合触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度範囲
で5分間撹拌した。次に、改良オレフィン重合触媒成分
1gあたり10gのプロピレンが重合するようにプロピレン
をオートクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1
時間予備重合した。得られた予備重合固体触媒成分は、
n−ヘプタン500mlで3回洗浄を行ない、以下のプロピ
レン系重合体の製造に使用した。
(5)本重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調製された予備重合固体触媒成
分2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g(100mmol)、ジ
シクロペンチルジメトキシシラン6.84g(30mmol)を入
れ、次いでプロピレン18kg、プロピレンに対して13000m
olppmになるように水素を装入し、70℃まで昇温させ1
時間の重合を行なった。1時間後、未反応のプロピレン
を除去し重合を終結させた。その結果、6.64kgのポリプ
ロピレンが得られ重合活性は34kg/g−固体触媒成分、重
合体のMFRは34.2g/10分であった。重合体の物性評価結
果を表2に示す。
比較例1 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに東ソー.アクゾー(株)製のAA型三塩化チタ
ン6.0g、ジエチルアルミニウムクロライド23.5g(195mm
ol)を入れ、次いでプロピレン18kg、プロピレンに対し
て8000molppmになるように水素を装入し、70℃まで昇温
させ1時間の重合を行なった。1時間後、未反応のプロ
ピレンを除去し重合を終結させた。その結果、6.23kgの
ポリプロピレンが得られ、重合体のMFRは32.2g/10分で
あった。重合体の物性評価結果を表2に示す。
比較例2 実施例1の(1)で調製された改良前の固体触媒成分
を用いたこと、プロピレン重合時に水素の仕込み量を93
00molppmとしたほかは、すべて実施例2と同様な方法、
条件で予備重合およびプロピレン重合を行なった。その
結果、6.88kgのポリプロピレンが得られ、重合体のMFR
は33.0g/10分であった。重合体の物性評価結果を表2に
示す。
実施例3〜5 生成するポリプロピレンのMFRが、それぞれ、10.5g/1
0分、2.7g/10分、0.7g/10分になるように、プロピレン
系重合体製造時の水素の仕込み量を調節した以外は、す
べて実施例2と同様な方法、条件でポリプロピレンを製
造した。得られた重合体の物性評価結果を表2に示す。
比較例3 生成するプロピレン系重合体のMFRが、3.2g/10分にな
るように、プロピレン系重合体製造時の水素の仕込み量
を調節した以外は、すべて比較例1と同様な方法、条件
でプロピレン系重合体を製造した。得られた重合体の物
性評価結果を表2に示す。
実施例6 (1)改良前の固体触媒成分の調製 窒素雰囲気下、無水塩化マグネシウム47.6g(500mmo
l)、デカン250mlおよび2−エチルヘキシルアルコール
234ml(1.5mol)を130℃で2時間加熱反応を行ない均一
溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸11.1g(75mmo
l)を添加し、130℃にて更に1時間撹拌混合を行ない、
無水フタル酸を該均一溶液に溶解させた。得られた均一
溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チ
タン2.0リットル(18mol)中に1時間にわたって全量滴
下した。滴下終了後、混合溶液の温度を4時間かけて11
0℃に昇温し、110℃に到達したところでフタル酸ジイソ
ブチル26.8ml(125mmol)を添加し、2時間110℃で撹拌
反応させた。反応終了後、熱時ろ過にて固体部分を採取
し、その後、この反応物に四塩化チタン2.0リットル(1
8mol)を懸濁させた後、110℃で2時間反応させた。反
応終了後、再度、熱時ろ過にて固体部分を採取し、110
℃のデカン2.0リットルで7回、室温のヘキサン2.0リッ
トルで3回洗浄して固体触媒成分を得た。触媒分析結果
を表1に示す。
(2)TiCl4[C6H4(COOiC4H9]の調製 実施例2の(2)と同じにした。
(3)改良オレフィンの重合触媒成分の調製 上記(1)で得られた固体触媒成分40gをトルエン600
mlに懸濁させ、90℃で上記(2)で得られたTiCl4[C6H
4(COOiC4H9]10.3g(22mmol)で1時間処理して担
持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部分を採取
し、トルエン600mlと四塩化チタン20ml(180mmol)に再
懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過にて固体
部分を採取し、その後、この反応物を90℃のトルエン1.
0リットルで5回、室温のヘキサン1.0リットルで3回洗
浄して改良オレフィン重合触媒成分を得た。触媒分析結
果を表1に示す。
(4)予備重合 窒素雰囲気下のもと内容積3リットルのオートクレー
ブ中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g(53mmol)、ジフェニルジメトキシシラン4.15g(1
7mmol)および、上記実施例2の(3)で得られた改良
オレフィン重合触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度
範囲で5分間撹拌した。次に、改良オレフィン重合触媒
成分1gあたり10gのプロピレンが重合するようにプロピ
レンをオートクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲
で1時間予備重合した。得られた予備重合固体触媒成分
は、n−ヘプタン500mlで3回洗浄を行ない、以下のプ
ロピレン系重合体の製造に使用した。
(5)プロピレンの重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調製された予備重合固体触媒成
分200mg、トリエチルアルミニウム11.4g(100mmol)、
ジフェニルジメトキシシラン7.32g(30mmol)を入れ、
次いでプロピレン18kg、プロピレンに対して5300molppm
になるように水素を装入し、70℃まで昇温させ1時間の
重合を行なった。1時間後、未反応のプロピレンを除去
し重合を終結させた。重合活性は22.0kg/g−固体触媒成
分であった。また、得られたポリプロピレンのMFRは14.
5g/10分であった。重合体の物性評価結果を表2に示
す。
実施例7 (1)改良前の固体触媒成分の調製 ジエトキシマグネシウム50.0g(440mmol)、フタル酸
ジ−n−ブチル15.3g(55mmol)を塩化メチレン250ml中
で窒素雰囲気下、1時間還流撹拌した。得られた懸濁液
を四塩化チタン2.0リットル(18mol)中に圧送し、110
℃まで昇温し2時間反応させた。反応終了後、析出した
固体を四塩化チタン2.0リットル(18mol)と110℃で2
時間反応させた。反応終了後、110℃のn−デカン2.0リ
ットルで3回洗浄し、室温下、n−ヘキサン2.0リット
ルで塩素イオンが検出されなくなるまで洗浄した。40℃
で減圧乾燥し目的とする固体触媒成分を得た。触媒分析
結果を表1に示す。
(2)TiCl4[C6H4(COOiC4H9]の調製 実施例2の(2)と同じにした。
(3)改良オレフィン重合触媒成分の調製 上記(1)で得られた固体触媒成分40gをトルエン600
mlに懸濁させ、90℃で上記(2)で得られたTiCl4[C6H
4(COOiC4H9]10.3g(22mmol)で1時間処理して担
持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部分を採取
し、トルエン600mlと四塩化チタン20ml(180mmol)に再
懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過にて固体
部分を採取し、その後、この反応物を90℃のトルエン1.
0リットルで5回、室温のヘキサン1.0リットルで3回洗
浄した。触媒分析結果を表1に示す。
予備重合およびプロピレン重合はすべて実施例6と同
様な方法、条件で行なった。その結果、重合活性は21.1
kg/g−固体触媒成分であった。また、得られたポリプロ
ピレンのMFRは16.3g/10分であった。重合体の物性評価
結果を表2に示す。
実施例8 実施例2と同様に内容積60リットルの撹拌機付きオー
トクレーブでプロピレンを重合した後(1段目)、液体
プロピレンを除去し75℃でエチレン/プロピレン=40/6
0(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間、水素20NL/時間の
供給速度で、40分間共重合した(2段目)。40分後、未
反応ガスを除去し重合を終結させた。その結果、8.0kg
のプロピレン−エチレン−ブロック共重合体が得られ
た。13C−NMRによるエチレン含有量は9.7重量%、MFRは
17.8g/10分であった。重合体の物性評価結果を表3に示
す。なお、表3中のXI,IP,Nは、1段目の重合終了後に
抜き出したホモポリプロピレンのものである。
比較例4 比較例1と同様に内容積60リットルの撹拌機付きオー
トクレーブでプロピレンを重合した後、液体プロピレン
を除去し65℃でエチレン/プロピレン=40/60(モル
比)の混合ガス2.2Nm3/時間、水素20NL/時間の供給速度
で、40分間供給した。40分後、未反応ガスを除去し重合
を終結させた。その結果、7.7kgのプロピレン−エチレ
ン−ブロック共重合体が得られた。13C−NMRによるエチ
レン含有量は9.6重量%、MFRは18.3g/10分であった。重
合体の物性評価結果を表3に示す。なお、表3中のXI,I
P,Nは、1段目の重合終了後に抜き出したホモポリプロ
ピレンのものである。
実施例9,10および比較例5 プロピレン系重合体組成物の例として、本発明で得ら
れるプロピレン系重合体にジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール0.05重量%、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3
−(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシフェニル)〕プロ
ピオネート0.10重量%、ステアリン酸カルシウム0.10重
量%を配合し、川田製作所社製20リットルスーパーミキ
サー(SMV20型)を用いて配合して、ナカタニ機械社製A
S30型30mmφ二軸押出機を用いてペレット化した。な
お、造核剤として以下のものを用い、配合量を適宜変更
した。
(造核剤の種類) 造核剤A:p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩 造核剤B:リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert
−ブチルフェニル)ナトリウム 実施例2で得られたポリプロピレンに上記の造核剤等
を配合した組成物(実施例9,10)および比較例1で得ら
れたポリプロピレンに造核剤を配合した組成物(比較例
5)についての物性評価結果を表4に示す。
実施例11および比較例6 実施例8および比較例4で得られたプロピレン−エチ
レン−ブロック共重合体に実施例9と同様に造核剤等を
配合した組成物についての物性評価結果を表4に示す。
産業上の利用分野 本発明を実施することにより、従来よりも更に剛性、
表面硬度、耐熱性、水蒸気バリヤー性等の物性に優れる
自動車、家電分野、包装に好適なプロピレン系重合体お
よび組成物が製造できるため、工業的にも十分な価値が
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 広敏 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社大分研究所内 (72)発明者 伊東 和晴 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社大分研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−104813(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 10/00 - 10/14 C08F 110/00 - 110/14 C08F 210/00 - 210/18 C08F 4/60 - 4/70 C08L 23/00 - 23/36

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)25℃のキシレン抽出不溶部(XI)が
    99.0重量%以上、(2)13C核磁気共鳴スペクトルによ
    るアイソタクチックペンタッド分率(IP)が98.0%以
    上、(3)アイソタクチック平均連鎖長(N)が500以
    上で、かつ(4)キシレン不溶部のカラム分別法による
    各フラクションの平均連鎖長(Nf)が800以上であるフ
    ラクションの合計が全体の10重量%以上であるプロピレ
    ン系重合体。
  2. 【請求項2】(1)25℃のキシレン抽出不溶部(XI)が
    99.0重量%以上、(2)13C核磁気共鳴スペクトルによ
    るアイソタクチックペンタッド分率(IP)が98.5%以
    上、(3)アイソタクチック平均連鎖長(N)が500以
    上で、かつ(4)キシレン不溶部のカラム分別法による
    各フラクションの平均連鎖長(Nf)が800以上であるフ
    ラクションの合計が全体の30重量%以上である請求の範
    囲第1項記載のプロピレン系重合体。
  3. 【請求項3】(i)マグネシウム化合物、チタン化合
    物、ハロゲン化合物及び第1の電子供与性化合物を必須
    成分とし、担持された第1の電子供与性化合物(D)と
    チタン(T)のモル比が(D/T)である第1の重合用
    固体触媒成分を形成し、前記第1の重合用固体触媒成分
    を処理して、担持された第1の電子供与性化合物(D)
    とチタン(T)のモル比が(D/T)である重合用固体
    触媒成分に改良し、(D/T)m/(D/T)>1とすること
    を含む工程により得られるプロピレン重合用固体触媒成
    分、 (ii)有機アルミニウム化合物、及び (iii)第2の電子供与性化合物 を含む重合触媒を用いて、プロピレンの重合を行う工程
    を含む請求の範囲第1項または第2項に記載のプロピレ
    ン系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】(D/T)m/(D/T)≧2である請求の範囲
    第3項記載の方法。
  5. 【請求項5】請求の範囲第1項または第2項に記載のプ
    ロピレン系重合体に少なくとも造核剤を0.05〜15重量%
    の範囲で配合したプロピレン系重合体組成物。
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