JP3552801B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特に電気・電子部品、包装材料分野、機械部品、エンジニリアリングプラスチック代替品等に好適に用いられる、剛性および低温耐衝撃性などの機械的強度ならびに耐熱性に優れる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは、一般に安価であり、かつその特長である軽量性、透明性、機械的強度、耐熱性、耐薬品性などの性質を生かし、機械部品、電気・電子部品などの工業材料、各種包装材料などに広く利用されている。
近年、製品の高機能化あるいはコスト低減化に伴い、これらの材料に対する特性向上が強く要望されている。
ポリプロピレンの剛性、耐衝撃性、耐熱性などを改良する方法として、例えばエチレンブロック共重合体にエチレン−プロピレンゴムを配合する方法(昭60−3420号公報など)、あるいはメタロセン系触媒を用いて重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体を配合する方法(例えば、特開昭62−121709公報、特公平6−104700公報、特開平6−192500公報等)などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、いずれも特性の一部を改良するものではあるが、耐熱性、剛性および低温耐衝撃性についてはいまだ不十分である。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、剛性、耐熱性、低温耐衝撃性などのバランスに優れるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系樹脂に特定のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を配合することにより上記目的を達成しうることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)下記(i)ないし(vi)の性状を有するプロピレン系樹脂 50〜95重量%と、
(i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重量%以上
(ii)アイソタクチックペンタッド分率が98.5%以上
(iii)アイソタクチック平均連鎖長が500以上
(iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長が800以上のものの合計量が10重量%以上
(B)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる共重合体で、α−オレフィンの含有量が30〜80重量%であり、かつ下記(v)〜(vii)の性状を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体 50〜5重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を提供するものである。
(v )固体粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量が下記式を満足する
Y≧0.024X−0.32
(式中、Xはα−オレフィンの重量%を表し、30≦X≦80である)
(vi)ガラス転移点が−20℃以下
(vii )X線回折により測定される結晶化度が5%以下
以下、本発明を具体的に説明する。
【0005】
本発明における(A)プロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体およびプロピレンと他のα−オレフィンとのランダムあるいはブロック共重合体である。
α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等の炭素数12までのものが挙げられる。
【0006】
本発明の(A)成分としては、さらに下記(i)〜(iv) の性状を有することが必要である。
(i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重量%以上
(ii)アイソタクチックペンタッド分率が98.5%以上
(iii)アイソタクチック平均連鎖長 500以上
(iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長が800以上のものの合計量が10重量%以上
【0007】
(i)25℃におけるキシレン抽出不溶部(以下「XI」という)とは、ポリマーを135℃のオルトキシレンにいったん溶解した後、25℃に冷却した際、析出するポリマーの割合を表すもので、本発明においてはXIが99.0重量%以上であり、99.5重量%以上が好ましく、特に99.7重量%以上が好適である。XIが99.0重量%未満では剛性および耐熱性に劣る。
【0008】
また、(ii)アイソタクチックペンタッド分率(以下「IP」という)は、98.5%以上である必要があり、99.0%以上が好ましく、特に99.5%以上が好適である。IPが98.5%未満では剛性および耐熱性に劣るので好ましくない。
なお、IPとは、同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)を使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。その測定法は、A.Zambelli;Macromolecules,6,925(1973)、同,8,687(1975)および同,13,267(1980)に記載された方法に従った。
【0009】
また、(iii )アイソタクチック平均連鎖長(以下Nという)は500以上、好ましくは700以上、特に好ましくは800以上である必要がある。Nが500未満では、剛性および耐熱性に劣る。
なお、Nとは、ポリプロピレン分子内のメチル基のアイソタクチック部分の平均的な長さを表わすものであり、その測定方法は、J.C.Randll;Polymer Sequence Distribution, Academic Press,New York 1977,chapter2に記載されている方法に拠った。
【0010】
具体的には、ポリプロピレンを1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒にポリマー濃度が10重量%となるように温度130℃に加温して溶解する。この溶液を10mmφのガラス製試料管に入れ、IPと同様の方法で13C−NMRスペクトルを測定する。このスペクトル図の例を図1に示す。図1のaは、ポリプロピレンにおけるメチル基領域のスペクトルであり、bはそのスペクトルの拡大図である。スペクトルは、ペンタッド単位すなわち隣接するメチル基5個をひとつの単位として測定され、メチル基のアイソタクチシティー(構造的にはmmmm,mmmrなどの10種類がある)によって吸収ピークが異なる。図1bに吸収ピークとアイソタクチシティーとの対応を示す。
【0011】
一方、重合理論としてShan−Nong ZHUなど;Polymer Journal,Vol.15,No.12,p859−868(1983)に記載された2サイトモデルがある。すなわち、重合時の活性種が触媒側とポリマー末端の2種類あるとするものであり、触媒側は触媒支配重合、もう一方は末端支配重合と呼ばれるものである(詳細については、古川淳二;高分子のエッセンスとトピックス2、「高分子合成」、P73(株)化学同人発行(1986)に記載されている)。
【0012】
上記文献によると、結局、2サイトモデルは、
α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)による重合末端にD体およびL体が付加する確率、すなわちアイソタクチック連鎖中の乱れの程度の指標
σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)により重合末端と同じものが付加するメソ体ができる確率
ω:αサイトの割合
としてペンタッド単位でのアイソタクチシティーの異なる10種類のアイソタクチック強度を理論的に計算できる。
そして、前記NMRによる測定強度と、上記理論強度とが一致するようにα、σおよびωを最小自乗法で求め、次式により各ペンタッド単位を求める。
【0013】
【表1】
【0014】
次に、前述J.C.Randallの文献に記載された平均連鎖長(N)の定義式;N=メソ体の連鎖数/メソ体のユニット数
に当てはめ、具体的には次式により求めることができる。
N=1+(A1 +A2 +A3 )/0.5(A4 +A5 +A6 +A7 )
【0015】
さらに、(iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長(以下「Nf 」という)が800以上のものの合計量は、全体の10重量%以上であることが必要であり、好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上である。Nf が800以上であるものの合計量が10重量%未満では剛性および耐熱性の改良効果に乏しい。
【0016】
ここで、カラム分別法とは、前記キシレン抽出不溶部をパラキシレンに温度130℃で溶解後、セライトを加え、10℃/時間の降温速度で温度30℃まで下げ、セライトに付着させ、次に、スラリー状セライトをカラムに充填し、パラキシレンを展開液として温度30℃から2.5℃毎に段階的に温度を上昇し、ポリプロピレンをフラクション別に分取する方法である。詳細については、Masahiro Kakugo et al;Macromolecules,Vol.21,p314−319(1988)に記載されている。分取したポリプロピレンのNf は、上記Nの測定法を用いて測定される。
【0017】
本発明の(A)成分の好ましい例としては、例えばマグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン含有化合物および電子供与性化合物を必須成分とする固体触媒を、更に、一般式:TiXa・Yb(式中、XはCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電子供与性化合物を、aは3もしくは4を、bは3以下の整数をそれぞれ表わす)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄して得られる改良固体触媒成分を用いて重合して得られるプロピレン系重合体が挙げられる。
【0018】
なお、本発明における(A)成分がプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(以下「BPP」という)の場合は、第1段の反応で得られるプロピレン重合体ブロックが、上記(i )ないし(iv)の物性を満足する必要がある。具体的には第1段の反応終了後、サンプリングを行いそのプロピレン重合体ブロックについて上記方法で物性を評価できる。
本発明に用いるBPP中に占めるプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体ゴム成分の割合は、通常5〜25重量%であり、該ゴム成分中のプロピレン含有量は、通常30〜65重量%のものが用いられる。
本発明における(A)成分のメルトフローレート(JIS K7210 表1、条件14に準拠して測定、以下「MFR」という)は、特に制限するものではないが、剛性と耐衝撃性とのバランスから通常0.1〜300g/10分であり、好ましくは0.5〜100g/10分のものが用いられる。これらのプロピレン系樹脂は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
また、本発明における(B)成分は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体である。α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、中でも1−ブテンが特に好ましい。
本発明の(B)成分中に占める、α−オレフィンの含有量は30〜80重量%であり、好ましくは33〜77重量%、特に好ましくは、36〜74重量%である。α−オレフィン含有量が30重量%未満では、耐衝撃性が劣り好ましくない。一方、80重量%を越えると、剛性、耐熱性が劣り好ましくない。
なお、α−オレフィン含有量は、H.N.Cheng;Macromolecules,Vol.17,p1950−1955(1984)、E.T.Hsieh et al;ibid.,Vol.15.p353−360(1982)等に報告されている13C−NMRによる方法で測定される。
【0020】
さらに、本発明においては、(B)成分が下記(v)ないし(vii)の性状を有することが必要である。
(v )固体粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量(X)が下記式を満足する
Y≧0.024X−0.32
(式中、Xはα−オレフィンの重量%を表し、30≦X≦80である)
(vi)ガラス転移点が−20℃以下
(vii )X線回折により測定される結晶化度が5%以下
【0021】
(v )損失正接(tanδ)の最大値Yは、固体粘弾性装置を用いて高分子材料の動的粘弾性を測定したときに得られる温度−損失正接(tanδ)曲線のピーク値である。動的粘弾性は、振動数で振動するひずみ(応力)を与える測定法であり、固体粘弾性測定装置に関しては「プラスチック試験ハンドブック」第212〜223頁(日刊工業新聞社1969年発行)に記載されている。具体的には、樹脂をプレス成形法にて、温度170℃で5分間加圧保持後、温度30℃で5分間加圧冷却し、厚み0.2mmのサンプルを作成する。次に、湿度50%、温度23℃の恒温室に24時間以上放置後、50mm×2mmに試験片を切り出し、測定装置として(株)東洋ボールドウィン社製RHEOVIBRON DDV−II−EPを用い、初期試料長40mm、測定周波数110Hz、動的測定変位0.16mm、測定温度−150〜150℃、昇温速度2℃/分にて測定を行う。本発明の(B)成分の温度−tanδ曲線の例を図2に示す。
上記式は、好ましくはY≧0.024X−0.22であり、さらに好ましくはY≧0.024X−0.12である。
【0022】
また、(vi)ガラス転移点(以下「Tg」という)は上記固体粘弾性測定装置により得られるtanδピーク曲線のピーク温度である。該Tgは−20℃以下であり、好ましくは−23℃以下、特に好ましくは−26℃以下である。
【0023】
また、(vii)X線回折により測定される結晶化度(以下「Xc」という)は5%以下であり、好ましくは3%以下である。
なお、結晶化度はプレス成形法にて、温度170℃で5分間加圧保持後、温度30℃で5分間加圧冷却して得た、厚さ1mmのサンプルを湿度50%、温度23℃の恒温室に48時間以上放置後、理学電機社製RU−200を用いX線回折法により求めた。
【0024】
本発明における(B)成分を得るための触媒の例としては、下記成分(a),(b)および(d)、または成分(a),(b),(c)および(d)からなる触媒を用いて重合することにより得ることができる。
(a)表面に水酸基を持つ固体と、以下の一般式(1)で表される化合物を反応させて得られた担体
MR1 R2 R3 (1)
(式中、Mは周期律表第13族の元素であり、R1 、R2 、R3 は各々同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシド基もしくはハロゲンである)
(b)周期律表第4、5または6族遷移金属を含有する有機化合物
(c)下記の一般式(2)または(2’)で示される、ヘテロ原子含有化合物
AL1 L2 (2)
AL1 L2 L3 (2’)
(式中、Aは孤立電子対を持つ元素、L1 、L2 、L3 は各々同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基もしくはアルコキシド基である)
【0025】
(d)有機アルミニウム化合物
本発明の(a)成分に用いる表面に水酸基を持つ固体としては、無機酸化物、無機塩化物、無機水酸化物、有機高分子化合物であり、実質上表面等に水酸基を持つものを用いることが出来る。具体的には、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシア等の表面等に水酸基を持つ無機酸化物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩化物、またはポリビニルアルコール等の水酸基を持つ高分子化合物の群から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。これらの化合物は、平均粒子径が5〜200μm、比表面積が100〜1000m2 /gの微粒子であることが好ましい。さらに、吸着水を除き、水酸基数を制御するために熱処理を行う。例えばシリカの熱処理時間は2〜24時間、通常4〜8時間である。水酸基含有量は熱処理温度により異なり、150℃で処理した場合、水酸基は約5個/nm2 、600℃で処理した場合1個/nm2 程度となる。400〜600℃で処理したシリカ、アルミナもしくはシリカ−アルミナの群の1種もしくは2種以上を使用することが好ましい。
【0026】
本発明における一般式(1)で表される化合物(以下「第13族化合物」という。)は
MR1 R2 R3 (1)
であって、Mは周期律表第13族の元素であり、このうち好ましいのはホウ素、アルミニウムであり、特に好ましいのはホウ素である。R1 、R2 、R3 は各々同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはアルコキシド基またはハロゲンであってもよい。
第13族化合物の具体例としては、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリフェニルホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などがあり、詳細は特願平6−277133号に記載されている。
【0027】
本発明における水酸基を持つ固体と第13族化合物の反応は、種々の方法で行うことができ、非溶媒系で反応することも可能であるが、一般には有機溶媒中で行われる。使用する有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素、メチルシクロペンタン、シクロペンタン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素等を用いることができる。
【0028】
水酸基を持つ固体と第13族化合物を反応させる条件としては本発明の効果が認められる限り任意であるが、一般的には次の条件が望ましい。
反応温度条件は通常−70℃〜120℃であり、好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は濃度、温度等の条件により一概に規定できないが、第13族化合物と水酸基との反応は十分にさせることが好ましく、最低5分間以上が好ましい。
水酸基を持つ固体と第13族化合物の反応量比は特に制限はないが、水酸基数に対する第13族化合物が等当量以上であることが好ましい。
反応生成物である担体は反応液より分離し、未反応の第13族化合物は洗浄により取り除かねばならない。洗浄溶媒としては上記有機溶媒を用いることができる。洗浄温度は−30℃〜120℃であり、好ましくは0℃〜100℃である。洗浄は洗液中に第13族化合物が実質的に検出されないことが好ましい。洗浄終了後、担体は乾燥するかもしくは有機溶媒存在下で使用することができる。
【0029】
本発明における(b)周期律表第4、5または6族遷移金属を含有する有機化合物としては下記一般式(3)で示す化合物が挙げられる。
(式中、Meは周期律表第4、5、6族遷移金属であり、(C5 R4 m)、(C5 R5 n)はシクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニルであり、R4 およびR5 は同一でも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基、アルキルシリル基、シリルアルキル基であり、もしくは2つの隣接する炭素原子が結合して環を作っていてもよい。R6 は炭素数1〜20のアルキレン基、−GeR8 R9 −、−SiR8 R9 −、−O−、−S−、−NR8 −、−PR8 −であり、R7 は炭素数1〜20のアルキレン基、−GeR8 R9 −、−SiR8 R9 −、−O−、−S−、−NR8 −、−PR8 −または−OR8 、−NR8 R9 、−PR8 R9 (R8 、R9 は水素または炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基などの炭化水素基あるいはハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基)であって、R6 は(C5 R4 m)環2個と結合しており、R7 は(C5 R4 m)とMeに結合している。Qはアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基、アルキルシリル基から選ばれ、1〜20の炭素原子を持つ炭化水素基またはハロゲンであり、同じでも異なってもよい。Q’は炭素数1〜20のアルキリデンラジカルであり、sは0または1、pは0、1、または2、sはpが0のときは0、m並びにnはsが1のとき4であり、sが0のとき5である。)具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド、ジエチルシリレンビス(2−メチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ、詳細な例示は特願平6−277133号に記載されている。
【0030】
本発明における(c)ヘテロ原子含有化合物は、下記一般式(2)または(2’)で示される。
AL1 L2 (2)
AL1 L2 L3 (2’)
(式中、Aは孤立電子対を有する元素、L1 、L2 、L3 は各々同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルフェニル基などのケイ素含有炭化水素基、または炭素数1〜20のアルコキシド基である)
Aの具体例としては、窒素、酸素、硫黄、リン等が挙げられる。
ヘテロ原子含有化合物は担体に担持してもよく、また重合時に添加してもよい。ヘテロ原子含有物質の具体例としては、例えばエーテル類;チオエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリフェニルアミン、アニリン、ピリジン、ビピリジン、フェナントロリン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類;トリメチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィンを挙げることができ、好ましいものとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンである。
【0031】
本発明において使用される(d)有機アルミニウム化合物としては、下記の一般式で表わせる化合物が挙げられる。
AlRn Xm
(Rはアルキル基、Xはハロゲンを意味し、n,mは個数を意味し、n+m=3である)
具体的には、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等があげられるが、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムである。
【0032】
本発明のオレフィン重合用触媒は、前記成分(a)、(b)、(c)、(d)のうち(a)、(b)、(d)のみを用いても良いが(c)成分を用いることにより高い重合活性が得られる。各成分の接触方法に特に制限はなく、例えば
▲1▼不活性溶媒中で各成分を混合する方法
▲2▼不活性溶媒中で、担体(a)と成分(c)を接触させ、不活性溶媒で洗浄後、成分(b)、(d)と混合する方法
などの方法によることができる。
【0033】
本発明のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体の重合は、公知の連続式、回分式の方法いずれの方法でも得ることができ、重合反応器の形態に特に制限はない。上記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、ヘキサン、ヘプタン、燈油等の不活性炭化水素またはプロピレンのような液化α−オレフィン溶媒存在下でのスラリー法や無溶媒下の気相重合法で、重合温度が室温〜130℃の範囲で行われる。好ましくは、50〜90℃の範囲で行われる。重合圧力は2〜50Kg/cm2 の範囲で行われる。重合に際しては公知の手段、例えば温度、圧力の選定、あるいは水素の導入により分子量調節を行うことができる。
重合工程における反応器は、当該技術分野で一般に用いられるものが適宜使用できる。例えば、撹拌槽型反応器、流動床型反応器、循環式反応器を用いて、重合操作を連続式、半回分式、回分式のいずれかの方法で行うことができる。
得られたエチレン−α−オレフィンランダム共重合体スラリーまたは粉末は、必要に応じ、アルコールや水等で不活性化または残触媒の除去を行った後、乾燥し、添加剤と溶融混合し供される。
本発明における(B)成分のMFRは特に制限するものではないが、剛性と耐衝撃性のバランスから0.1〜50g/分のものが好適に使用される。
【0034】
本発明の樹脂組成物中に占める(B)成分の組成割合は5〜50重量%であり、10〜45重量%が好ましく、特に15〜40重量%が好適である。(B)成分が5重量%未満では耐衝撃性に劣る、一方、50重量%を超えると剛性、耐熱性が損なわれるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物は(A)成分および(B)成分ならびに必要に応じて添加剤等をヘンシェルミキサー等でドライブレンドした後、混練機等により溶融混練して製造することができる。このような混練機としては単軸押出機、2軸押出機、ニーダーおよびバンバリーミキサーといった公知のものが使用可能である。混練の温度は通常120〜300℃の範囲であり、好ましくは150〜250℃の範囲である。
【0035】
本発明の樹脂組成物に配合する添加剤としては、熱可塑性樹脂に慣用の添加剤(例えば、酸化防止剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロックキング防止剤、防曇剤、造核剤、染料、顔料、オイル、ワックス、充填剤等)を本発明の目的を損なわない範囲で適宜量配合できる。
例えば、このような添加剤の例としては、酸化防止剤として2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチルー1’−ヒドロキシフェニル)プロピネート、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4’−チオビス−(6−ブチルフェノール)、紫外線吸収剤としてはエチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、可塑剤としてフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、ワックス、流動パラフィン、りん酸エステル、帯電防止剤としてはペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシド、カーボンワックス、滑剤としてエチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等、造核剤として、カルボン酸の金属塩、ジベンジリデンソルビトール誘導体、フォスフェート金属塩、タルク、炭酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙げられる。具体例としては、安息香酸ナトリウム、アジピン酸アルミニウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、チォフェネカルボン酸ナトリウム、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4,−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、ナトリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)フオスフェート、カリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、タルク、炭酸カルシウム等の無機化合物などが挙げられる。着色剤としてカーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等、充填剤としてタルク、グラスファイバー、アスベスト、マイカ、ワラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等である。又、他の多くの高分子化合物も本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0036】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の溶融成形法及び圧縮成形法により射出成形体、フィルム、シート、チューブ、ボトルなどに成形でき、単体での使用及び他の材料と積層し積層体としても使用できる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
なお、物性は下記の測定法を用いた。
(1)MFR
JIS K7210に準拠し、表1条件14で測定した。
(2)曲げ弾性率
JIS K7203に準拠した。
(3)アイゾット衝撃強度
JIS K7110に準拠し、ノッチ付きで温度23℃および−30℃にて測定した。
(4)荷重たわみ温度
JIS K7207B法に準拠し、荷重4.6kgで測定した。
また、使用したポリプロピレン系樹脂の製造例を以下に示す。
【0038】
▲1▼固体触媒の調製
無水塩化マグネシウム56.8g(597mmol)を、無水エタノール100g(174mmol)、出光興産社製ワセリンオイル(CP15N)500mlおよび信越シリコーン社製シリコーン油(KF96)500mlからなる混合液に窒素雰囲気下、120℃で完全溶解した。この混合物を特殊機化工業社製TKホモミキサーを用いて120℃、3000回転/分で3分間撹拌した。次いで、撹拌を維持しながら、2リットルの無水ヘプタン中に0℃以下を維持するように冷却しながら移送した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十分洗浄し、室温下で真空乾燥した。
得られた白色固体30gを無水ヘプタン200ml中に懸濁させ、0℃で撹拌しながら四塩化チタン500ml(4.5mol)を1時間かけて滴下した。次に、加熱を始めて40℃になったところでフタル酸ジイソブチル4.96g(17.8mmol)を加え、100℃まで約1時間で昇温させた。100℃で2時間反応した後、熱時ろ過にて固体部分を採取した。得られた固体部分に四塩化チタン500ml(4.5mol)を加え、撹拌下120℃で1時間反応した後、再度熱時ろ過にて固体触媒を採取し、60℃のヘキサン1リットルで7回、さらに室温のヘキサン1リットルで3回洗浄した。
【0039】
▲2▼TiCl4 [C6 H4 (COOiC4 H9 )2 ]の調製
四塩化チタン19g(100mmol)を含むヘキサン1リットルの溶液に、フタル酸ジイソブチル27.8g(100mmol)を、0℃を維持しながら約30分間で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応させた。反応終了後、固体部分を採取しヘキサン500mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0040】
▲3▼重合触媒成分の調製
上記▲1▼で得られた固体触媒20gをトルエン300mlに懸濁させ、25℃で上記▲2▼で得られたTiCl4 [C6 H4 (COOiC4 H9 )2 ]5.2g(11mmol)で1時間処理して担持させた。担持終了後、熱時ろ過にて固体部分を採取し、トルエン300mlと四塩化チタン10ml(90mmol)に再懸濁させ、90℃で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過にて固体部分を採取し、その後、この反応物を90℃のトルエン500mlで5回、室温のヘキサン500mlで3回洗浄した。
【0041】
予備重合
窒素雰囲気下、内容積3リットルのオートクレーブ中に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム6.0g(53mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン3.9g(17mmol)、および上記▲3▼で得られた重合触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度範囲で5分間撹拌した。次に、重合触媒1gあたり10gのプロピレンが重合するようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重合した。得られた予備重合固体触媒成分は、n−ヘプタンで500mlで3回洗浄を行い、以下の本重合に使用した。
【0042】
本重合
窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオートクレーブに上記の方法で調製された予備重合固体触媒成分2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g(100mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.84g(30mmol)を入れ、温度70℃でプロピレンを圧入し1時間重合を行った。その後、未反応のプロピレンおよび水素を除去し重合を終結させた。その結果、MFRが35.3g/10分であるポリプロピレン(以下「PP1」という)を得た。また、上記PP1と同様、▲1▼〜▲3▼の触媒調製および予備重合を行った後、次の本重合を行った。
・第1段重合:ホモポリプロピレンの重合
窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオートクレーブに前記方法で調製された予備重合固体触媒2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.84gを投入し、次いでプロピレン、水素を装入し70℃に加温し1時間重合を行った。1時間経過後、未反応のプロピレンを除去し反応を終結した。反応終了後、反応生成物をサンプリングした。
・第2段重合:プロピレン−エチレン共重合体の重合
次に、エチレン/プロピレンの混合比を調製すると同時に水素を供給し、温度70℃で40分間反応した。反応後未反応ガスを除去し、MFRが29.2g/10分、ゴム成分含有量が14.5重量%であり、かつゴム成分中のプロピレン含有量が42.1重量%である共重合体(以下「BPP1」という)を得た。
【0043】
また、比較例として東ソー・アクゾ社製AA型三塩化チタン、ジエチルアルミニウムクロライドを触媒成分として用い、重合時の水素濃度を調製して、MFRが32.2g/10分であるポリプロピレン(以下「PP2という」)を得た。さらに、比較例として上記▲1▼〜▲3▼の操作のうち、▲1▼のみの操作を行った触媒を用いて予備重合および、BPP1と同様の本重合を行ってMFRが31.3g/10分、ゴム成分含有量が15.2重量%であり、かつゴム成分中のプロピレン含有量が40.8重量%である共重合体(以下「BPP2」という)を得た。
以上のポリプロピレン(BPP1およびBPP2については、第1段重合後サンプリングしたもの)について、XI,IP,NおよびNf を測定した。その結果を表2に示す。
【0044】
なお、IPの測定条件は次のとおりである。
【0045】
【表2】
【0046】
次に、使用したエチレン−α−オレフィン共重合体の製造例を以下に示す。
ホウ素担持無機担体の調製
シリカを窒素気流中600℃にて4時間焼成した。該シリカの表面水酸基数は2個/nm2 であった。該シリカ20gに300mlのトリス(テトラフルオロフェニル)ボランのイソパラフィン溶液を加え室温で1時間反応させた。反応物をヘキサン洗浄後、乾燥した。得られた個体にトルエン300mlと、N,N−ジメチルアニリン2.4mlを加え室温で3時間反応させた。反応物をトルエン洗浄後、乾燥し、ホウ素担持シリカを調整した。
エチレン−α−オレフィン共重合体の重合
【0047】
窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオートクレーブに、20℃にて精製トルエン18リットルとトリイソブチルアルミニウムの1.0Mトルエン溶液40ml、1−ブテン60molおよびエチレンをその分圧が7kg/cm2 になるように仕込み、十分に撹拌した。続いて、ジメチルシリレンビス(2−メチル−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリドの1mmol/lトルエン溶液20mlと上記ホウ素担持無機担体1gおよびトリイソブチルアルミニウムの1.0Mトルエン溶液10mlを接触混合した後、窒素でオートクレーブに圧入し、エチレンをその分圧が7kg/cm2 を維持するように連続的に供給しながら20℃で1時間重合した。その後メタノールをオートクレーブに圧入し重合を停止させ、得られた溶液を大量のメタノール中に投入し、析出した重合体を70℃で一昼夜減圧乾燥した。その結果、MFRが0.8g/10分であり、かつ1−ブテン含有量が40重量%のエチレン−1−ブテンランダム共重合体(以下「EOR1」という)を得た。
【0048】
同様にして、重合時のエチレン、1−ブテンの装入量を調製し、MFRが1.3g/10分でありかつ1−ブテン含有量が53重量%であるエチレン−1−ブテンランダム共重合体(以下「EOR2」という)を得た。
また、上記重合方法において、1−ブテンをプロピレンに代えることで、MFRが0.9g/10であり、かつプロピレン含有量が34重量%であるエチレン−プロピレンランダム共重合体(以下「EOR3」という)を得た。
【0049】
また、比較用として次の3種類のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を用いた。
EOR1と同じ触媒系によるエチレン−α−オレフィン共重合体の重合方法において、MFRが1.2であり、かつ1−ブテン含量が19重量%のエチレン−1−ブテン共重合体(以下「EORa」という)およびMFRが2.0であり、かつ1−ブテン含有量が92重量%のエチレン−1−ブテンランダム共重合体(以下「EORb」という)を得た。PP2の製造に使用したTi系固体触媒を用いて重合を行い、MFRが1.5でありかつ1−ブテン含量が51重量%のエチレン−1−ブテン共重合体(以下「EORc」という)を用いた。
【0050】
以上のエチレン−α−オレフィン共重合体について損失正接(tanδ)の最大値(Y)、TgおよびX線回折による結晶化度を測定した。その結果を表3に示す。
なお、損失正接(tanδ)の測定条件は以下のとおりである。
【0051】
【表3】
【0052】
実施例1〜5、比較例1〜7
表4に種類および配合量が示されている(A)成分および(B)成分を川田製作所製スーパーミキサー(SMV20型)を用いて混合し、ナカタニ機械社製二軸押出機(AS30型)を用いてペレット化した。得られた各ペレットを東芝機械社製射出成形機(IS−170FII)を用いて、温度220℃、金型冷却温度50℃で各試験片を作製した。得られた試験片を相対湿度50%、温度23℃の恒温室に2日放置後、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)、荷重たわみ温度を測定した。得られた結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、剛性および低温耐衝撃性などの機械的強度ならびに耐熱性に優れるので、電気・電子部品、包装材料分野、機械部品、エンジニアリングプラスチック代替品等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレンのメチル領域における核磁気共鳴スペクトルの例である。
【図2】本発明のエチレン−1−ブテンランダム共重合体の温度−tanδ曲線の例である。
Claims (3)
- (A)下記(i)ないし(vi)の性状を有するプロピレン系樹脂 50〜95重量%と、
(i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重量%以上
(ii)アイソタクチックペンタッド分率が98.5%以上
(iii)アイソタクチック平均連鎖長が500以上
(iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタクチック平均連鎖長が800以上のものの合計量が10重量%以上
(B)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる共重合体で、α−オレフィンの含有量が30〜80重量%であり、かつ下記(v)〜(vii)の性状を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体 50〜5重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物。
(v )固体粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量が下記式を満足する
Y≧0.024X−0.32
(式中、Xはα−オレフィンの重量%を表し、30≦X≦80である)
(vi)ガラス転移点が−20℃以下
(vii )X線回折により測定される結晶化度が5%以下 - 上記(B)成分が、下記成分(a),(b)および(d)、または成分(a),(b),(c)および(d)からなる触媒を用いて重合して得られるものである請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(a)表面に水酸基を持つ固体と、下記一般式(1)で表される化合物を反応させて得られる担体
MR1 R2 R3 (1)
(式中、Mは周期律表第13族の元素であり、R1 、R2 、R3 は各々同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシド基もしくはハロゲンである)
(b)周期律表第4、5または6族遷移金属を含有する有機化合物
(c)下記の一般式(2)または(2’)で示される、ヘテロ原子含有化合物
AL1 L2 (2)
AL1 L2 L3 (2’)
(式中、Aは孤立電子対を持つ元素、L1 、L2 、L3 は各々同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基もしくはアルコキシド基である)
(d)有機アルミニウム化合物 - 上記(B)成分のα−オレフィンが1−ブテンである請求項1または請求項2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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