JPH0987447A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH0987447A
JPH0987447A JP20364295A JP20364295A JPH0987447A JP H0987447 A JPH0987447 A JP H0987447A JP 20364295 A JP20364295 A JP 20364295A JP 20364295 A JP20364295 A JP 20364295A JP H0987447 A JPH0987447 A JP H0987447A
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ethylene
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彰博 大坪
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 剛性および低温耐衝撃性などの機械的強度な
らびに耐熱性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を提
供する。 【構成】 (A)下記(i)ないし(vi)の性状を有す
るプロピレン系樹脂 40〜90重量%、(B)エチレ
ンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなり、かつ下
記(v)〜(vii)の性状を有するエチレン−α−オレフ
ィンランダム共重合体 5〜40重量%および(C)無
機充填剤 5〜50重量%からなるポリプロピレン系樹
脂組成物である。 (i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重
量%以上、(ii)アイソタクチックペンタッド分率が9
8.5%以上、(iii)アイソタクチック平均連鎖長が5
00以上、(iv)アイソタクチック平均連鎖長が800
以上のものの合計量が10重量%以上(v )損失正接
(tanδ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量
(X(重量%)との関係式: Y≧0.024X−0.
32、(vi)ガラス転移点が−20℃以下、(vii )X
線回折により測定される結晶化度が5%以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に電気・電子部品、
包装材料分野、機械部品、エンジニリアリングプラスチ
ック代替品等に好適に用いられる、剛性および低温耐衝
撃性などの機械的強度ならびに耐熱性に優れる樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、一般に安価であり、
かつその特長である軽量性、透明性、機械的強度、耐熱
性、耐薬品性などの性質を生かし、機械部品、電気・電
子部品などの工業材料、各種包装材料などに広く利用さ
れている。近年、製品の高機能化あるいはコスト低減化
に伴い、これらの材料に対する特性向上が強く要望され
ている。ポリプロピレンの剛性、耐衝撃性、耐熱性など
を改良する方法として、例えばエチレンブロック共重合
体にエチレン−プロピレンゴムを配合する方法(昭60
−3420号公報など)、あるいはメタロセン系触媒を
用いて重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重
合体を配合する方法(例えば、特開昭62−12170
9公報、特公平6−104700公報、特開平6−19
2500公報等)などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、いずれも特性の一部を改良するものではある
が、耐熱性、剛性および低温耐衝撃性についてはいまだ
不十分である。本発明は、かかる状況に鑑みてなされた
ものであり、剛性、耐熱性、低温耐衝撃性などのバラン
スに優れるポリプロピレン系樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定のプロピレン系樹脂に特定のエチレ
ン−α−オレフィンランダム共重合体および無機充填剤
を配合することにより上記目的を達成しうることを見い
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、(A)下記(i)ない
し(iv)の性状を有するプロピレン系樹脂 40〜90
重量%、 (i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重
量%以上 (ii)アイソタクチックペンタッド分率が98.5%以
上 (iii)アイソタクチック平均連鎖長が500以上 (iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタク
チック平均連鎖長が800以上のものの合計量が10重
量%以上 (B)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから
なる共重合体で、α−オレフィンの含有量が30〜80
重量%であり、かつ下記(v)〜(vii)の性状を有する
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体 5〜40
重量%および (v )固体粘弾性測定により得られる損失正接(tan
δ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量が下記式を
満足する Y≧0.024X−0.32 (式中、Xはα−オレフィンの重量%を表し、30≦X
≦80である) (vi)ガラス転移点が−20℃以下 (vii )X線回折により測定される結晶化度が5%以下 (C)無機充填剤 5〜50重量%(ただし、(A)+
(B)+(C)=100重量%)からなるポリプロピレ
ン系樹脂組成物を提供するものである。 以下、本発明を具体的に説明する。
【0006】本発明における(A)プロピレン系樹脂
は、プロピレン単独重合体およびプロピレンと他のα−
オレフィンとのランダムあるいはブロック共重合体であ
る。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、
4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン等の炭素数12までのものが挙げられ
る。本発明の(A)成分としては、さらに下記(i)〜
(iv) の性状を有することが必要である。 (i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重
量%以上 (ii)アイソタクチックペンタッド分率が98.5%以
上 (iii)アイソタクチック平均連鎖長 500以上 (iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタク
チック平均連鎖長が800以上のものの合計量が10重
量%以上
【0007】(i )25℃におけるキシレン抽出不溶部
(以下「XI」という)とは、ポリマーを135℃のオ
ルトキシレンにいったん溶解した後、25℃に冷却した
際、析出するポリマーの割合を表すもので、本発明にお
いてはXIが99.0重量%以上であり、99.5重量
%以上が好ましく、特に99.7重量%以上が好適であ
る。XIが99.0重量%未満では剛性および耐熱性に
劣る。
【0008】また、(ii)アイソタクチックペンタッド
分率(以下「IP」という)は、98.5%以上である
必要があり、99.0%以上が好ましく、特に99.5
%以上が好適である。IPが98.5%未満では剛性お
よび耐熱性に劣るので好ましくない。なお、IPとは、
同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)を使用し
て測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位
でのアイソタクチック分率である。その測定法は、A.
Zambelli;Macromolecules,
,925(1973)、同,,687(1975)
および同,13,267(1980)に記載された方法
に従った。
【0009】また、(iii )アイソタクチック平均連鎖
長(以下Nという)は500以上、好ましくは700以
上、特に好ましくは800以上である必要がある。Nが
500未満では、剛性および耐熱性に劣る。なお、Nと
は、ポリプロピレン分子内のメチル基のアイソタクチッ
ク部分の平均的な長さを表わすものであり、その測定方
法は、J.C.Randll;Polymer Seq
uence Distribution, Acade
mic Press,New York 1977,c
hapter2に記載されている方法に拠った。
【0010】具体的には、ポリプロピレンを1,2,4
−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に
ポリマー濃度が10重量%となるように温度130℃に
加温して溶解する。この溶液を10mmφのガラス製試
料管に入れ、IPと同様の方法で13C−NMRスペクト
ルを測定する。このスペクトル図の例を図1に示す。図
1のaは、ポリプロピレンにおけるメチル基領域のスペ
クトルであり、bはそのスペクトルの拡大図である。ス
ペクトルは、ペンタッド単位すなわち隣接するメチル基
5個をひとつの単位として測定され、メチル基のアイソ
タクチシティー(構造的にはmmmm,mmmrなどの
10種類がある)によって吸収ピークが異なる。図1b
に吸収ピークとアイソタクチシティーとの対応を示す。
【0011】一方、重合理論としてShan−Nong
ZHUなど;Polymer Journal,Vo
l.15,No.12,p859−868(1983)
に記載された2サイトモデルがある。すなわち、重合時
の活性種が触媒側とポリマー末端の2種類あるとするも
のであり、触媒側は触媒支配重合、もう一方は末端支配
重合と呼ばれるものである(詳細については、古川淳
二;高分子のエッセンスとトピックス2、「高分子合
成」、P73(株)化学同人発行(1986)に記載さ
れている)。
【0012】上記文献によると、結局、2サイトモデル
は、 α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)によ
る重合末端にD体およびL体が付加する確率、すなわち
アイソタクチック連鎖中の乱れの程度の指標 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)により重合末端と
同じものが付加するメソ体ができる確率 ω:αサイトの割合 としてペンタッド単位でのアイソタクチシティーの異な
る10種類のアイソタクチック強度を理論的に計算でき
る。そして、前記NMRによる測定強度と、上記理論強
度とが一致するようにα、σおよびωを最小自乗法で求
め、次式により各ペンタッド単位を求める。
【0013】
【表1】
【0014】次に、前述J.C.Randallの文献
に記載された平均連鎖長(N)の定義式;N=メソ体の
連鎖数/メソ体のユニット数に当てはめ、具体的には次
式により求めることができる。 N=1+(A1 +A2 +A3 )/0.5(A4 +A5
6 +A7
【0015】さらに、(iv)カラム分別法による各フラク
ションのアイソタクチック平均連鎖長(以下「Nf 」と
いう)が800以上のものの合計量は、全体の10重量
%以上であることが必要であり、好ましくは30重量%
以上、特に好ましくは50重量%である。Nf が800
以上であるものの合計量が10重量%未満では剛性およ
び耐熱性の改良効果に乏しい。
【0016】ここで、カラム分別法とは、前記キシレン
抽出不溶部をパラキシレンに温度130℃で溶解後、セ
ライトを加え、10℃/時間の降温速度で温度30℃ま
で下げ、セライトに付着させ、次に、スラリー状セライ
トをカラムに充填し、パラキシレンを展開液として温度
30℃から2.5℃毎に段階的に温度を上昇し、ポリプ
ロピレンをフラクション別に分取する方法である。詳細
については、Masahiro Kakugo et
al;Macromolecules,Vol.21,
p314−319(1988)に記載されている。分取
したポリプロピレンのNf は、上記Nの測定法を用いて
測定される。
【0017】本発明の(A)成分の好ましい例として
は、例えばマグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲ
ン含有化合物および電子供与性化合物を必須成分とする
固体触媒を、更に、一般式:TiXa・Yb(式中、X
はCl,Br,Iのハロゲン原子を、Yは電子供与性化
合物を、aは3もしくは4を、bは3以下の整数をそれ
ぞれ表わす)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲ
ン含有化合物で洗浄し、更に炭化水素で洗浄して得られ
る改良固体触媒成分を用いて重合して得られるプロピレ
ン系重合体が挙げられる。
【0018】なお、本発明における(A)成分がプロピ
レンブロック共重合体(以下「BPP」という)の場合
は、第1段の反応で得られるプロピレン重合体ブロック
が、上記(i )ないし(iv)の物性を満足する必要があ
る。具体的には第1段の反応終了後、サンプリングを行
いそのプロピレン重合体ブロックについて上記方法で物
性を評価できる。
【0019】本発明に用いるBPP中に占めるプロピレ
ンと他のα−オレフィンとの共重合体ゴム成分の共重合
割合は、通常5〜25重量%であり、該ゴム成分中のプ
ロピレン含有量は、通常30〜65重量%のものが用い
られる。本発明における(A)成分のメルトフローレー
ト(JIS K7210 表1、条件14に準拠して測
定、以下「MFR」という)は、特に制限するものでは
ないが、剛性と耐衝撃性とのバランスから通常0.1〜
300g/10分であり、好ましくは0.5〜100g
/10分のものが用いられる。これらのプロピレン系樹
脂は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】本発明の樹脂組成物中に占める(A)成分
の組成割合は40〜90重量%であり、43〜87重量
%が好ましく、特に45〜85重量%が好適である。
(A)成分が40重量%未満では剛性および耐熱性が低
下する。一方、90重量%を超えると耐衝撃性に劣るの
で好ましくない。
【0021】また、本発明における(B)成分は、エチ
レンと炭素数3〜12のα−オレフィンとのランダム共
重合体である。α−オレフィンとしてはプロピレン、1
−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、中でも1−ブテン
が特に好ましい。本発明の(B)成分中に占める、α−
オレフィンの含有量は30〜80重量%であり、好まし
くは33〜77重量%、特に好ましくは、36〜74重
量%である。α−オレフィン含有量が30重量%未満で
は、耐衝撃性が劣り好ましくない。一方、80重量%を
超えると、剛性、耐熱性が劣り好ましくない。なお、α
−オレフィン含有量は、H.N.Cheng;Macr
omolecules,Vol.17,p1950−1
955(1984)、E.T.Hsieh et a
l;ibid.,Vol.15.p353−360(1
982)等に報告されている13C−NMRによる方法で
測定される。
【0022】さらに、本発明においては、(B)成分が
下記(v )ないし(vii )の性状を有することが必要で
ある。 (v )固体粘弾性測定により得られる損失正接(tan
δ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量(X)が下
記式を満足する Y≧0.024X−0.32 (式中、Xはα−オレフィンの重量%を表し、30≦X
≦80である) (vi)ガラス転移点が−20℃以下 (vii )X線回折により測定される結晶化度が5%以下
【0023】(v )損失正接(tanδ)の最大値Y
は、固体粘弾性装置を用いて高分子材料の動的粘弾性を
測定したときに得られる温度−損失正接(tanδ)曲
線のピーク値である。動的粘弾性は、振動数で振動する
ひずみ(応力)を与える測定法であり、固体粘弾性測定
装置に関しては「プラスチック試験ハンドブック」第2
12〜223頁(日刊工業新聞社1969年発行)に記
載されている。具体的には、樹脂をプレス成形法にて、
温度170℃で5分間加圧保持後、温度30℃で5分間
加圧冷却し、厚み0.2mmのサンプルを作成する。次
に、湿度50%、温度23℃の恒温室に24時間以上放
置後、50mm×2mmに試験片を切り出し、測定装置
として(株)東洋ボールドウィン社製RHEOVIBR
ON DDV−II−EPを用い、初期試料長40mm、
測定周波数110Hz、動的測定変位0.16mm、測
定温度−150〜150℃、昇温速度2℃/分にて測定
を行う。本発明の(B)成分の温度−tanδ曲線の例
を図2に示す。上記式は、好ましくはY≧0.024X
−0.22であり、さらに好ましくはY≧0.024X
−0.12である。
【0024】また、(vi)ガラス転移点(以下「Tg」
という)は上記固体粘弾性測定装置により得られるta
nδピーク曲線のピーク温度である。該Tgは−20℃
以下であり、好ましくは−23℃以下、特に好ましくは
−26℃以下である。
【0025】また、(vii)X線回折により測定される結
晶化度(以下「Xc」という)は5%以下であり、好ま
しくは3%以下である。なお、結晶化度はプレス成形法
にて、温度170℃で5分間加圧保持後、温度30℃で
5分間加圧冷却して得た、厚さ1mmのサンプルを湿度
50%、温度23℃の恒温室に48時間以上放置後、理
学電機社製RU−200を用いX線回折法により求め
た。
【0026】本発明における(B)成分を得るための触
媒の例としては、下記成分(a),(b)および
(d)、または成分(a),(b),(c)および
(d)からなる触媒を用いて重合することにより得るこ
とができる。 (a)表面に水酸基を持つ固体と、以下の一般式(1)
で表される化合物を反応させて得られた担体 MR123 (1) (式中、Mは周期律表第13族の元素であり、R1 、R
2 、R3 は各々同一でも異なっていてもよく、水素、炭
素数1〜20の炭化水素基、アルコキシド基もしくはハ
ロゲンである) (b)周期律表第4、5または6族遷移金属を含有する
有機化合物 (c)下記の一般式(2)または(2’)で示される、
ヘテロ原子含有化合物 AL12 (2) AL123 (2’) (式中、Aは孤立電子対を持つ元素、L1 、L2 、L3
は各々同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の
炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基もしくはアル
コキシド基である)
【0027】(d)有機アルミニウム化合物 本発明の(a)成分に用いる表面に水酸基を持つ固体と
しては、無機酸化物、無機塩化物、無機水酸化物、有機
高分子化合物であり、実質上表面等に水酸基を持つもの
を用いることが出来る。具体的には、シリカ、アルミ
ナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコ
ニア、カルシア等の表面等に水酸基を持つ無機酸化物、
塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩
化カルシウム等の無機塩化物、またはポリビニルアルコ
ール等の水酸基を持つ高分子化合物の群から選ばれる1
種または2種以上を使用することができる。これらの化
合物は、平均粒子径が5〜200μm、比表面積が10
0〜1000m2 /gの微粒子であることが好ましい。
さらに、吸着水を除き、水酸基数を制御するために熱処
理を行う。例えばシリカの熱処理時間は2〜24時間、
通常4〜8時間である。水酸基含有量は熱処理温度によ
り異なり、150℃で処理した場合、水酸基は約5個/
nm2 、600℃で処理した場合1個/nm2 程度とな
る。400〜600℃で処理したシリカ、アルミナもし
くはシリカ−アルミナの群の1種もしくは2種以上を使
用することが好ましい。
【0028】本発明における一般式(1)で表される化
合物(以下「第13族化合物」という。)は MR123 (1) であって、Mは周期律表第13族の元素であり、このう
ち好ましいのはホウ素、アルミニウムであり、特に好ま
しいのはホウ素である。R1 、R2 、R3 は各々同一で
も異なっていてもよく、水素、炭素数1〜20の炭化水
素基もしくはアルコキシド基またはハロゲンであっても
よい。第13族化合物の具体例としては、トリメチルホ
ウ素、トリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリブ
チルホウ素、トリフェニルホウ素、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素などがあり、詳細は特願平6−2
77133号に記載されている。
【0029】本発明における水酸基を持つ固体と第13
族化合物の反応は、種々の方法で行うことができ、非溶
媒系で反応することも可能であるが、一般には有機溶媒
中で行われる。使用する有機溶媒としては、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂
肪族炭化水素、メチルシクロペンタン、シクロペンタ
ン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素ベンゼン、トル
エン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素等
を用いることができる。
【0030】水酸基を持つ固体と第13族化合物を反応
させる条件としては本発明の効果が認められる限り任意
であるが、一般的には次の条件が望ましい。反応温度条
件は通常−70℃〜120℃であり、好ましくは0℃〜
100℃である。反応時間は濃度、温度等の条件により
一概に規定できないが、第13族化合物と水酸基との反
応は十分にさせることが好ましく、最低5分間以上が好
ましい。水酸基を持つ固体と第13族化合物の反応量比
は特に制限はないが、水酸基数に対する第13族化合物
が等当量以上であることが好ましい。反応生成物である
担体は反応液より分離し、未反応の第13族化合物は洗
浄により取り除かねばならない。洗浄溶媒としては上記
有機溶媒を用いることができる。洗浄温度は−30℃〜
120℃であり、好ましくは0℃〜100℃である。洗
浄は洗液中に第13族化合物が実質的に検出されないこ
とが好ましい。洗浄終了後、担体は乾燥するかもしくは
有機溶媒存在下で使用することができる。
【0031】本発明における(b)周期律表第4、5ま
たは6族遷移金属を含有する有機化合物としては下記一
般式(3)で示す化合物が挙げられる。 (C54 mp6 s(C55 n)MeQ3-p または(C54 m)R7 MeQ’ (3) (式中、Meは周期律表第4、5、6族遷移金属であ
り、(C54 m)、(C55 n)はシクロペンタジエニ
ルまたは置換シクロペンタジエニルであり、R4 および
5 は同一でも異なっていてもよく、水素または炭素数
1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アルキル
アリールまたはアリールアルキル基、アルキルシリル
基、シリルアルキル基であり、もしくは2つの隣接する
炭素原子が結合して環を作っていてもよい。R6 は炭素
数1〜20のアルキレン基、−GeR89 −、−Si
89 −、−O−、−S−、−NR8 −、−PR8
であり、R7 は炭素数1〜20のアルキレン基、−Ge
89 −、−SiR89 −、−O−、−S−、−N
8 −、−PR8 −または−OR8 、−NR89 、−
PR89 (R8 、R9 は水素または炭素数1〜20の
アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリ
ール基、アリールアルキル基などの炭化水素基あるいは
ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基)で
あって、R6 は(C54 m)環2個と結合しており、R
7 は(C54 m)とMeに結合している。Qはアリール
基、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基ま
たはアリールアルキル基、アルキルシリル基から選ば
れ、1〜20の炭素原子を持つ炭化水素基またはハロゲ
ンであり、同じでも異なってもよい。Q’は炭素数1〜
20のアルキリデンラジカルであり、sは0または1、
pは0、1、または2、sはpが0のときは0、m並び
にnはsが1のとき4であり、sが0のとき5であ
る。)
【0032】具体例としては、ジメチルシリレンビス
(2−メチルベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロ
リド、ジエチルシリレンビス(2−メチルインデニル)
−ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ、詳細な例示
は特願平6−277133号に記載されている。
【0033】本発明における(c)ヘテロ原子含有化合
物は、下記一般式(2)または(2’)で示される。 AL12 (2) AL123 (2’) (式中、Aは孤立電子対を有する元素、L1 、L2 、L
3 は各々同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20
の炭化水素基、トリメチルシリル基、トリメチルシリル
フェニル基などのケイ素含有炭化水素基、または炭素数
1〜20のアルコキシド基である) Aの具体例としては、窒素、酸素、硫黄、リン等が挙げ
られる。ヘテロ原子含有化合物は担体に担持してもよ
く、また重合時に添加してもよい。ヘテロ原子含有物質
の具体例としては、例えばエーテル類;チオエーテル
類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミン、トリイソブチルアミン、トリフェニルアミン、
アニリン、ピリジン、ビピリジン、フェナントロリン、
N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアニリン等
のアミン類;トリメチルフォスフィン、トリエチルフォ
スフィン、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン
を挙げることができ、好ましいものとしては、N,N−
ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンである。
【0034】本発明において使用される(d)有機アル
ミニウム化合物としては、下記の一般式で表わせる化合
物が挙げられる。 AlRn (Rはアルキル基、Xはハロゲンを意味し、n,mは個
数を意味し、n+m=3である) 具体的には、トリエチルアルミニウム、トリプロピルア
ルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアル
ミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド
等があげられるが、好ましくはトリイソブチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウムである。
【0035】本発明のオレフィン重合用触媒は、前記成
分(a)、(b)、(c)、(d)のうち(a)、
(b)、(d)のみを用いても良いが(c)成分を用い
ることにより高い重合活性が得られる。各成分の接触方
法に特に制限はなく、例えば 不活性溶媒中で各成分を混合する方法 不活性溶媒中で、担体(a)と成分(c)を接触さ
せ、不活性溶媒で洗浄後、成分(b)、(d)と混合す
る方法 などの方法によることができる。
【0036】本発明のエチレン−α−オレフィンランダ
ム共重合体の重合は、公知の連続式、回分式の方法いず
れの方法でも得ることができ、重合反応器の形態に特に
制限はない。上記プロピレン−α−オレフィンランダム
共重合体は、ヘキサン、ヘプタン、燈油等の不活性炭化
水素またはプロピレンのような液化α−オレフィン溶媒
存在下でのスラリー法や無溶媒下の気相重合法で、重合
温度が室温〜130℃の範囲で行われる。好ましくは、
50〜90℃の範囲で行われる。重合圧力は2〜50K
g/cm2 の範囲で行われる。重合に際しては公知の手
段、例えば温度、圧力の選定、あるいは水素の導入によ
り分子量調節を行うことができる。
【0037】重合工程における反応器は、当該技術分野
で一般に用いられるものが適宜使用できる。例えば、撹
拌槽型反応器、流動床型反応器、循環式反応器を用い
て、重合操作を連続式、半回分式、回分式のいずれかの
方法で行うことができる。得られたエチレン−α−オレ
フィンランダム共重合体スラリーまたは粉末は、必要に
応じ、アルコールや水等で不活性化または残触媒の除去
を行った後、乾燥し、添加剤と溶融混合し供される。
【0038】本発明における(B)成分のMFRは特に
制限するものではないが、剛性と耐衝撃性のバランスか
ら0.1〜50g/分のものが好適に使用される。本発
明の樹脂組成物中に占める(B)成分の組成割合は5〜
40重量%であり、8〜37重量%が好ましく、特に1
0〜35重量%が好適である。(B)成分が5重量%未
満では耐衝撃性に劣る、一方、40重量%を超えると剛
性および耐熱性が低下するので好ましくない。
【0039】本発明における(C)無機充填剤は従来公
知の各種充填剤が使用できる。その例としては、例えば
タルク、マイカ、グラスファイバー、カーボンファイバ
ー、ワラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミ
ニウム、炭酸カルシウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸
アルミニウム、硫酸マグネシウム、カーボンブラック等
が挙げられる。これらの中でも、タルク、マイカおよび
炭酸カルシウムが好ましい。本発明の樹脂組成物中に占
める(C)成分の組成割合は5〜50重量%であり、8
〜48重量%が好ましく、特に10〜40重量%が好適
である。(C)成分が5重量%未満では剛性および耐熱
性の改良効果が劣る。一方、50重量%を超えると耐衝
撃性の低下およびブリードアウトによる金型汚染を起こ
すので好ましくない。本発明における樹脂組成物のMF
Rは0.5〜300g/10分が好ましく、1〜150
g/10分が好適である。
【0040】本発明の樹脂組成物は上記(A)〜(C)
成分ならびに必要に応じて周知の他の添加剤をヘンシェ
ルミキサー等でドライブレンドした後、混練機等により
溶融混練して製造することができる。このような混練機
としては単軸押出機、2軸押出機、ニーダーおよびバン
バリーミキサーといった公知のものが使用可能である。
混練の温度は通常120〜300℃の範囲であり、好ま
しくは150〜250℃の範囲である。
【0041】本発明の樹脂組成物に配合する添加剤とし
ては、熱可塑性樹脂に慣用の添加剤(例えば、酸化防止
剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロックキング
防止剤、防曇剤、造核剤、染料、顔料、オイル、ワック
ス等)を本発明の目的を損なわない範囲で適宜量配合で
きる。例えば、このような添加剤の例としては、酸化防
止剤として2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−
チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2−メ
チレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル
−1’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラ
キス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4’−
チオビス−(6−ブチルフェノール)、紫外線吸収剤と
してはエチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリ
レート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクト
キシベンゾフェノン、可塑剤としてフタル酸ジメチル、
フタル酸ジエチル、ワックス、流動パラフィン、りん酸
エステル、帯電防止剤としてはペンタエリスリットモノ
ステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オ
レイン酸、ポリエチレンオキシド、カーボンワックス、
滑剤としてエチレンビスステアロアミド、ブチルステア
レート等、造核剤として、カルボン酸の金属塩、ジベン
ジリデンソルビトール誘導体、フォスフェート金属塩な
どが挙げられる。
【0042】具体例としては、安息香酸ナトリウム、ア
ジピン酸アルミニウム、p−t−ブチル安息香酸アルミ
ニウム塩、チォフェネカルボン酸ナトリウム、1,3,
2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4
−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,
3,−pクロルベンジリデン−2,4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、ナトリウム−ビス−(4−t−
ブチルフェニル)フオスフェート、カリウム−ビス−
(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウ
ム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブ
チルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’
−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フ
ォスフェ−トなどが挙げられる。着色剤としてカーボン
ブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリ
ン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等である。又、
他の多くの高分子化合物も本発明の作用効果が阻害され
ない程度にブレンドすることもできる。
【0043】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、は
公知の溶融成形法及び圧縮成形法により射出成形体、フ
ィルム、シート、チューブ、ボトルなどに成形でき、単
体での使用及び他の材料と積層し積層体としても使用で
きる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、物性は下記の測定法を用いた。 (1)MFR JIS K7210に準拠し、表1条件14で測定し
た。 (2)曲げ弾性率 JIS K7203に準拠した。 (3)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠し、ノッチ付きで温度23℃
および−30℃にて測定した。 (4)荷重たわみ温度 JIS K7207B法に準拠し、荷重4.6kgで測
定した。また、使用したポリプロピレン系樹脂の製造例
を以下に示す。
【0045】固体触媒の調製 無水塩化マグネシウム56.8g(597mmol)
を、無水エタノール100g(174mmol)、出光
興産社製ワセリンオイル(CP15N)500mlおよ
び信越シリコーン社製シリコーン油(KF96)500
mlからなる混合液に窒素雰囲気下、120℃で完全溶
解した。この混合物を特殊機化工業社製TKホモミキサ
ーを用いて120℃、3000回転/分で3分間撹拌し
た。次いで、撹拌を維持しながら、2リットルの無水ヘ
プタン中に0℃以下を維持するように冷却しながら移送
した。得られた白色固体は無水ヘプタンで十分洗浄し、
室温下で真空乾燥した。
【0046】得られた白色固体30gを無水ヘプタン2
00ml中に懸濁させ、0℃で撹拌しながら四塩化チタ
ン500ml(4.5mol)を1時間かけて滴下し
た。次に、加熱を始めて40℃になったところでフタル
酸ジイソブチル4.96g(17.8mmol)を加
え、100℃まで約1時間で昇温させた。100℃で2
時間反応した後、熱時ろ過にて固体部分を採取した。得
られた固体部分に四塩化チタン500ml(4.5mo
l)を加え、撹拌下120℃で1時間反応した後、再度
熱時ろ過にて固体触媒を採取し、60℃のヘキサン1リ
ットルで7回、さらに室温のヘキサン1リットルで3回
洗浄した。
【0047】TiCl4 [C64 (COOiC4
92 ]の調製 四塩化チタン19g(100mmol)を含むヘキサン
1リットルの溶液に、フタル酸ジイソブチル27.8g
(100mmol)を、0℃を維持しながら約30分間
で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応
させた。反応終了後、固体部分を採取しヘキサン500
mlで5回洗浄し目的物を得た。
【0048】重合触媒成分の調製 上記で得られた固体触媒20gをトルエン300ml
に懸濁させ、25℃で上記で得られたTiCl4 [C
64 (COOiC492 ]5.2g(11mmo
l)で1時間処理して担持させた。担持終了後、熱時ろ
過にて固体部分を採取し、トルエン300mlと四塩化
チタン10ml(90mmol)に再懸濁させ、90℃
で1時間撹拌洗浄し、熱時ろ過にて固体部分を採取し、
その後、この反応物を90℃のトルエン500mlで5
回、室温のヘキサン500mlで3回洗浄した。
【0049】予備重合 窒素雰囲気下、内容積3リットルのオートクレーブ中
に、n−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム
6.0g(53mmol)、ジシクロペンチルジメトキ
シシラン3.9g(17mmol)、および上記で得
られた重合触媒成分10gを投入し、0〜5℃の温度範
囲で5分間撹拌した。次に、重合触媒1gあたり10g
のプロピレンが重合するようにプロピレンをオートクレ
ーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予備重合
した。得られた予備重合固体触媒成分は、n−ヘプタン
で500mlで3回洗浄を行い、以下の本重合に使用し
た。
【0050】本重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに上記の方法で調製された予備重合固体触媒成
分2.0g、トリエチルアルミニウム11.4g(10
0mmol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.
84g(30mmol)を入れ、温度70℃でプロピレ
ンを圧入し1時間重合を行った。その後、未反応のプロ
ピレンおよび水素を除去し重合を終結させた。その結
果、MFRが35.3g/10分であるポリプロピレン
(以下「PP1」という)を得た。
【0051】また、上記PP1と同様、〜の触媒調
製および予備重合を行った後、次の本重合を行った。 ・第1段重合:ホモポリプロピレンの重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに前記方法で調製された予備重合固体触媒2.
0g、トリエチルアルミニウム11.4g、ジシクロペ
ンチルジメトキシシラン6.84gを投入し、次いでプ
ロピレン、水素を装入し70℃に加温し1時間重合を行
った。1時間経過後、未反応のプロピレンを除去し反応
を終結した。反応終了後、反応生成物をサンプリングし
た。 ・第2段重合:プロピレン−エチレン共重合体の重合 次に、エチレン/プロピレンの混合比を調製すると同時
に水素を供給し、温度70℃で40分間反応した。反応
後未反応ガスを除去し、MFRが29.2g/10分、
ゴム成分含有量が14.5重量%であり、かつゴム成分
中のプロピレン含有量が42.1重量%である共重合体
(以下「BPP1」という)を得た。
【0052】また、比較例用として東ソー・アクゾ社製
AA型三塩化チタン、ジエチルアルミニウムクロライド
を触媒成分として用い、重合時の水素濃度を調製して、
MFRが32.2g/10分であるポリプロピレン(以
下「PP2という」)を得た。さらに、比較例用として
上記〜の操作のうち、のみの操作を行った触媒を
用いて予備重合および、BPP1と同様の本重合を行っ
てMFRが31.3g/10分、ゴム成分含有量が1
5.2重量%であり、かつゴム成分中のプロピレン含有
量が40.8重量%である共重合体(以下「BPP2」
という)を得た。
【0053】以上のポリプロピレン(BPP1およびB
PP2については、第1段重合後サンプリングしたも
の)について、XI,IP,NおよびNf を測定した。
その結果を表2に示す。
【0054】なお、IPの測定条件は次のとおりであ
る。 測定器 日本電子社製 JNM−GSX400 測定モ−ド :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μsec パルス繰返時間 :3.0sec 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼンの混合 溶媒(75/25重量%) 内部循環 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃
【0055】
【表2】
【0056】次に、使用したエチレン−α−オレフィン
共重合体の製造例を以下に示す。 ホウ素担持無機担体の調製 シリカを窒素気流中600℃にて4時間焼成した。該シ
リカの表面水酸基数は2個/nm2 であった。該シリカ
20gに300mlのトリス(テトラフルオロフェニ
ル)ボランのイソパラフィン溶液を加え室温で1時間反
応させた。反応物をヘキサン洗浄後、乾燥した。得られ
た個体にトルエン300mlと、N,N−ジメチルアニ
リン2.4mlを加え室温で3時間反応させた。反応物
をトルエン洗浄後、乾燥し、ホウ素担持シリカを調整し
た。
【0057】エチレン−α−オレフィン共重合体の重合 窒素雰囲気下、内容積60リットルの撹拌機付きオート
クレーブに、20℃にて精製トルエン18リットルとト
リイソブチルアルミニウムの1.0Mトルエン溶液40
ml、1−ブテン60molおよびエチレンをその分圧
が7kg/cm 2 になるように仕込み、十分に撹拌し
た。続いて、ジメチルシリレンビス(2−メチル−ベン
ゾインデニル)ジルコニウムジクロリドの1mmol/
lトルエン溶液20mlと上記ホウ素担持無機担体1g
およびトリイソブチルアルミニウムの1.0Mトルエン
溶液10mlを接触混合した後、窒素でオートクレーブ
に圧入し、エチレンをその分圧が7kg/cm2を維持
するように連続的に供給しながら20℃で1時間重合し
た。その後メタノールをオートクレーブに圧入し重合を
停止させ、得られた溶液を大量のメタノール中に投入
し、析出した重合体を70℃で一昼夜減圧乾燥した。そ
の結果、MFRが0.8g/10分であり、かつ1−ブ
テン含有量が40重量%のエチレン−1−ブテンランダ
ム共重合体(以下「EOR1」という)を得た。
【0058】同様にして、重合時のエチレン、1−ブテ
ンの装入量を調製し、MFRが1.3g/10分であり
かつ1−ブテン含有量が53重量%であるエチレン−1
−ブテンランダム共重合体(以下「EOR2」という)
を得た。また、EOR1と同じ触媒系による重合方法に
おいて、1−ブテンをプロピレンに代えることで、MF
Rが0.9g/10であり、かつプロピレン含有量が3
4重量%であるエチレン−プロピレンランダム共重合体
(以下「EOR3」という)を得た。
【0059】また、比較用として次の3種類のエチレン
−α−オレフィンランダム共重合体を用いた。EOR1
と同じ触媒系によるエチレン−α−オレフィン共重合体
の重合方法において、MFRが1.2であり、かつ1−
ブテン含量が19重量%のエチレン−1−ブテン共重合
体(以下「EORa」という)およびMFRが2.0で
あり、かつ1−ブテン含有量が92重量%のエチレン−
1−ブテンランダム共重合体(以下「EORb」とい
う)を得た。PP2の製造に使用したTi系固体触媒を
用いて重合を行い、MFRが1.5でありかつ1−ブテ
ン含量が51重量%のエチレン−1−ブテン共重合体
(以下「EORc」という)を用いた。
【0060】以上のエチレン−α−オレフィン共重合体
について損失正接(tanδ)の最大値(Y)、Tgお
よびX線回折による結晶化度を測定した。その結果を表
3に示す。なお、損失正接(tanδ)の測定条件は以
下のとおりである。 測定器 :(株)東洋ボールドウィン社製RHEOVIBRON DDV−II−EP 測定温度 :−150〜150℃ 昇温速度 :2℃/分 測定周波数 :110Hz 動的測定変位:0.16mm 初期試料長 :40mm
【0061】
【表3】
【0062】また、充填剤としてタルク(林化成社製
「エンスタルク」)、炭酸カルシウム(白石カルシウム
社製「スタビゴット15−A」)およびマイカ(山口雲
母社製「AB32」)を用いた。
【0063】実施例1〜8、比較例1〜6 表4に種類および配合量が示されている(A)成分、
(B)成分および(C)成分を川田製作所製スーパーミ
キサー(SMV20型)を用いて混合し、ナカタニ機械
社製二軸押出機(AS30型)を用いてペレット化し
た。得られた各ペレットを東芝機械社製射出成形機(I
S−170FII)を用いて、温度220℃、金型冷却温
度50℃で各試験片を作製した。得られた試験片を相対
湿度50%、温度23℃の恒温室に2日放置後、曲げ弾
性率、アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)、荷重たわみ
温度を測定した。得られた結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、剛性および低温
耐衝撃性などの機械的強度ならびに耐熱性に優れるの
で、電気・電子部品、包装材料分野、機械部品、エンジ
ニアリングプラスチック代替品等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレンのメチル領域における
核磁気共鳴スペクトルの例である。
【図2】本発明のエチレン−1−ブテンランダム共重合
体の温度−tanδ曲線の例である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記(i)ないし(iv)の性状を
    有するプロピレン系樹脂 40〜90重量%、 (i)25℃におけるキシレン抽出不溶部が99.0重
    量%以上 (ii)アイソタクチックペンタッド分率が98.5%以
    上 (iii)アイソタクチック平均連鎖長が500以上 (iv)カラム分別法による各フラクションのアイソタク
    チック平均連鎖長が800以上のものの合計量が10重
    量%以上 (B)エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから
    なる共重合体で、α−オレフィンの含有量が30〜80
    重量%であり、かつ下記(v)〜(vii)の性状を有する
    エチレン−α−オレフィンランダム共重合体 5〜40
    重量%および (v )固体粘弾性測定により得られる損失正接(tan
    δ)の最大値(Y)とα−オレフィン含有量が下記式を
    満足する Y≧0.024X−0.32 (式中、Xはα−オレフィンの重量%を表し、30≦X
    ≦80である) (vi)ガラス転移点が−20℃以下 (vii )X線回折により測定される結晶化度が5%以下 (C)無機充填剤 5〜50重量%(ただし、(A)+
    (B)+(C)=100重量%)からなるポリプロピレ
    ン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記(B)成分が、下記成分(a),
    (b)および(d)、または成分(a),(b),
    (c)および(d)からなる触媒を用いて重合して得ら
    れるものである請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組
    成物。 (a)表面に水酸基を持つ固体と、下記一般式(1)で
    表される化合物を反応させて得られる担体 MR123 (1) (式中、Mは周期律表第13族の元素であり、R1 、R
    2 、R3 は各々同一でも異なっていてもよく、水素、炭
    素数1〜20の炭化水素基、アルコキシド基もしくはハ
    ロゲンである) (b)周期律表第4、5または6族遷移金属を含有する
    有機化合物 (c)下記の一般式(2)または(2’)で示される、
    ヘテロ原子含有化合物 AL12 (2) AL123 (2’) (式中、Aは孤立電子対を持つ元素、L1 、L2 、L3
    は各々同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の
    炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基もしくはアル
    コキシド基である) (d)有機アルミニウム化合物
  3. 【請求項3】 上記(B)成分のα−オレフィンが1−
    ブテンである請求項1または請求項2記載のポリプロピ
    レン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 上記(C)充填剤がタルク、マイカまた
    は炭酸カルシウムである請求項1〜3のいずれか1項に
    記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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