JPH09143644A - 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

成形加工用アルミニウム合金板の製造方法

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JPH09143644A
JPH09143644A JP33108595A JP33108595A JPH09143644A JP H09143644 A JPH09143644 A JP H09143644A JP 33108595 A JP33108595 A JP 33108595A JP 33108595 A JP33108595 A JP 33108595A JP H09143644 A JPH09143644 A JP H09143644A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な成形加工性、焼付硬化性を有し、しかも
板製造後の室温での経時的な成形性の低下が少ない成形
加工用アルミニウム合金板を得る。 【解決手段】Mg0.3〜1.5%、Si0.3〜2.0%を含有し、
Mn、Cr、Zr、V、Fe、Ti、Znの1種以上を含有
し、さらにCuが0.1%未満に規制されたアルミニウム合
金を、所要の板厚の圧延板とした後、特定条件での溶体
化処理を行なってから100℃/分以上の冷却速度で4
5℃以上75℃未満の温度範囲まで冷却して、この温度
範囲内で5秒以上、0.2%耐力が100MPa以下にな
る時間以下の保持を行ない、続いて75℃以上85℃未
満の範囲内の温度に加熱して、この温度範囲で2時間以
上保持する安定化処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車ボディシ
ートや部品、各種機械器具、家電部品等の素材として、
成形加工および塗装焼付を施して使用されるアルミニウ
ム合金板の製造方法に関するものであり、特に成形性が
良好であるとともに、塗装焼付後の強度が高く、かつ室
温での経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のボディシートには、従来は主と
して冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車
体軽量化の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用す
ることが進められている。自動車のボディシートはプレ
ス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れ
ていること、また成形加工時におけるリューダースマー
クが発生しないことが要求され、また高強度を有するこ
とも必須であって、特に塗装焼付を施すことから、塗装
焼付後に高強度が得られることが要求される。
【0003】従来このような自動車用ボディシート向け
のアルミニウム合金としては、時効性を有するJIS6
000番系合金、すなわちAl−Mg−Si系合金が主
として使用されている。この時効性Al−Mg−Si系
合金では、塗装焼付前の成形加工時においては比較的強
度が低く、成形性が優れており、一方塗装焼付時の加熱
によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点を
有するほか、リューダースマークが発生しない等の利点
を有する。
【0004】ところで塗装焼付時における時効硬化を期
待したAl−Mg−Si系合金板の製造方法としては、
鋳塊を均質化熱処理した後、熱間圧延および冷間圧延を
行なって所定の板厚とし、かつ必要に応じて熱間圧延と
冷間圧延との間あるいは冷間圧延の中途において中間焼
鈍を行ない、冷間圧延後に溶体化処理を行なって焼入れ
るのが通常である。しかしながらこのような従来の一般
的な製造方法では、最近の自動車用ボディシートに要求
される特性を充分に満足させることは困難である。
【0005】すなわち、最近ではコストの一層の低減の
ためにさらに薄肉化することが強く要求されており、そ
のため薄肉でも充分な強度が得られるように、一層の高
強度化が求められているが、この点で従来の一般的な製
造方法によって得られたAl−Mg−Si系合金板では
不充分であった。
【0006】また塗装焼付については、省エネルギおよ
び生産性の向上、さらには高温に曝されることが好まし
くない樹脂等の材料との併用などの点から、従来よりも
焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向
が強まっている。そのため従来の一般的な製法により得
られたAl−Mg−Si系合金板では、塗装焼付時の硬
化(焼付硬化)が不足し、塗装焼付後に充分な高強度が
得難くなる問題が生じていた。
【0007】また従来のAl−Mg−Si系合金板と製
法では、塗装焼付後に高強度を得るために焼付硬化性を
高めようとすれば、素材の延性と曲げ加工性が低下し、
また板製造後に室温に放置した場合に自然時効により硬
化が生じやすくなり、そのため成形性が阻害されがちで
あるという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情を
背景としてなされたもので、良好な成形加工性特に良好
な曲げ加工性を有すると同時に、焼付硬化性が優れてい
て、塗装焼付時における強度上昇が高く、しかも板製造
後の室温での経時的な変化が少なく、長期間放置した場
合でも自然時効による硬化に起因する成形性の低下が少
ない成形加工用アルミニウム合金板の製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するべく本発明者等が実験・検討を重ねた結果、Al−
Mg−Si系合金の成分組成を適切に選択すると同時
に、板製造プロセス中において、溶体化処理後に適切な
熱処理を行なうことによって、前述の課題を解決し得る
ことを見出し、この発明をなすに至った。
【0010】具体的には、請求項1の発明は、Mg0.
3〜1.5%(重量%、以下同じ)、Si0.3〜2.
0%を含有し、Mn0.03〜0.4%、Cr0.03
〜0.4%、Zr0.03〜0.4%、V0.03〜
0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜
0.2%、Zn0.03〜2.5%のうちから選ばれた
1種または2種以上を含有し、さらにCuが0.1%未
満に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
るアルミニウム合金を素材とし、鋳塊に均質化処理、熱
間圧延および冷間圧延を行ない、所要の板厚の圧延板と
した後、その圧延板に対し、480℃以上の温度で5分
以内の溶体化処理を行なってから100℃/分以上の冷
却速度で45℃以上75℃未満の温度範囲まで冷却し
て、この温度範囲内で5秒以上の保持を行ない、かつそ
の保持時間の上限を、合金の0.2%耐力が100MPa
以下になるように規制し、続いて75℃以上85℃未満
の範囲内の温度に加熱して、この温度範囲で2時間以上
保持する安定化処理を行なうことを特徴とする、室温
(0〜40℃)での経時変化が少なくかつ成形性および焼
付硬化性に優れた成形加工用アルミニウム合金板の製造
方法である。
【0011】また請求項2の発明は、上記請求項1の、
熱間圧延と冷間圧延との間、あるいは冷間圧延途中にお
いて450〜580℃の温度範囲で5分以内の中間焼鈍
を施すことを特徴とする室温(0〜40℃)での経時変化
が少なくかつ成形性および焼付硬化性に優れた成形加工
用アルミニウム合金板の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】先ずこの発明の製造方法で用いる
合金の成分組成限定理由について説明する。 Mg:Mgはこの発明で対象としている系の合金で基本
となる合金元素であって、Siと共同して強度向上に寄
与する。Mg量が0.3%未満では塗装焼付時に析出硬
化によって強度向上に寄与するMg2Siの生成量が少
なくなるため、充分な強度向上が得られず、一方1.5
%を越えれば成形性が低下するから、Mg量は0.3〜
1.5%の範囲内とする。 Si:Siもこの発明の系の合金で基本となる合金元素
であって、Mgと共同して強度向上に寄与する。またS
iは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成され、その
金属Si粒子の周囲が加工によって変形されて、溶体化
処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組
織の微細化にも寄与する。Siが0.3%未満では上記
の効果が充分に得られず、一方2.0%を越えれば粗大
Siが生じて合金の靭性低下を招く。したがってSiは
0.3〜2.0%の範囲内とする。
【0013】Cu:Cuはこの発明の系の合金で必須な
元素ではなく、かえって0.1%以上になると合金の耐
糸錆性が劣化するため、Cuの含有量は0.1%未満に
規制する。
【0014】Mn,Cr,Zr,V,Ti,Fe,Z
n:これらは強度向上や結晶粒微細化のために1種また
は2種以上添加される。これらのうち、Mn,Cr,Z
r,Vはいずれも強度向上と結晶粒の微細化および組織
の安定化に効果がある元素であり、いずれも含有量が
0.03%未満では上記の効果が充分に得られず、一方
それぞれ0.4%を越えれば上記の効果が飽和するばか
りでなく、巨大金属間化合物が生成されて成形性に悪影
響を及ぼすおそれがあり、したがってMn,Cr,Z
r,Vはいずれも0.03〜0.4%の範囲内とする。
またTiも強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素で
あり、その含有量が0.005%未満では充分な効果が
得られず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽
和するばかりでなく、巨大晶出物が生じるおそれがある
から、Tiは0.005〜0.2%の範囲内とする。そ
してまたFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素で
あり、その含有量が0.03%未満では充分な効果が得
られず、一方0.5%を越えれば成形性が低下するおそ
れがあり、したがってFeは0.03〜0.5%の範囲
内とする。Znは時効硬化による強度向上と表面処理性
の向上のために添加される。含有量が0.03%未満で
は上記の効果が充分に得られず、一方それぞれ2.5%
を越えれば、成形性が低下するからZn量は0.03か
ら2.5%とする。なおこれらのMn,Cr,Zr,
V,Ti,Fe,Znの範囲は、積極的な添加元素とし
てこれらの元素を含む場合について示したものであり、
いずれもその下限値よりも少ない量を不純物として含有
していることは特に支障ない。特に、0.03%未満の
Feは、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有さ
れるのが通常である。
【0015】さらに高温時効促進元素あるいは室温時効
抑制元素であるAg,In,Cd,Be,Snの添加は
0.3%以下なら、特に支障ない。以上の各元素のほか
は、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良
い。一般に結晶粒微細化のために前述のTiと同時にB
を添加することもあり、この発明の場合もTiとともに
500ppm以下のBを添加することは許容される。
【0016】次にこの発明の方法における製造プロセス
について説明する。鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間
圧延の工程は従来の一般的なJIS 6000番系のA
l−Mg−Si系合金のそれと同様であれば良い。すな
わち、DC鋳造法等によって鋳造した後、常法により均
質化処理を施し、熱間圧延および冷間圧延を行なって所
要の板厚とすれば良い。
【0017】ただし、請求項2においては、熱間圧延と
冷間圧延との間、あるいは冷間圧延の中途において45
0〜580℃の温度範囲で5分以内の中間焼鈍を行な
う。この中間焼鈍は熱間圧延で残存された結晶組織、結
晶方位などを新たな再結晶で変化させ、溶体化処理と組
み合わせて板の集合組織を制御し、成形性の向上に寄与
する。また、この処理は溶体化処理を行う前により多く
のMgとSi原子の固溶量を確保し、溶体化処理の負荷
を低減させる役割がある。中間焼鈍温度は450℃未満
では、上記の効果が不十分で、580℃を越えると共晶
融解、再結晶粒粗大化の恐れがあるから中間焼鈍温度は
450〜580℃とする。中間焼鈍時間は5分を越える
と上記の効果が飽和し、経済性を損なうから、中間焼鈍
の時間は5分以内とする。また、冷却速度が10℃/分
以下では、冷却中に多量の析出物が生じて、固溶量の低
下につながり、結果的に塗装焼付硬化性に悪影響を及ぼ
す。したがって、冷却速度は10℃/分以上とする。
【0018】上述のようにして所要の製品板厚とした
後、480℃以上の温度で5分以内の溶体化処理を行な
う。この溶体化処理は、Mg2Si、単体Si等をマト
リックスに固溶させ、これにより焼付硬化性を付与して
塗装焼付後の強度向上を図るために重要な工程である。
この工程はMg2Si、単体Si粒子等の固溶によ
り、第二相粒子の分布密度が低下し、延性と曲げ性の向
上にも寄与し、また、再結晶化により全般に良好な成形
性を得るための工程でもある。溶体化処理温度が480
℃未満では室温の経時変化の抑制に関しては有利と思わ
れるが、Mg2Si、Siなどの固溶量が少なく、充分
な焼付硬化性が得られないばかりではなく、延性と曲げ
性も著しく悪化する。一方、溶体化処理温度の上限は特
に規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗
大化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望
ましい。また溶体化処理の時間は5分を越えると、溶体
化効果が飽和し、経済性を損なうばかりではなく、結晶
粒の粗大化の恐れもあるから溶体化処理の時間は5分以
内とする。
【0019】溶体化処理後には、100℃/分以上の冷
却速度で、45〜75℃の温度範囲まで冷却(焼入れ)
する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃/分
未満では、冷却中にMg2Siあるいは単体Siが粒界
に多量に析出してしまい、成形性が低下すると同時に、
焼付硬化性が低下して塗装焼付時の充分な強度向上が望
めなくなる。
【0020】45℃以上75℃未満の温度範囲まで冷却
(焼入)した後は、45℃以上75℃未満の温度範囲内
で時間Tだけ保持する。この保持時間Tは下限を5秒と
し、上限(Tmax)は合金の0.2%耐力が100MPa以
下になるように調整する。そしてこのように45℃以上
75℃未満の温度範囲での5秒〜Tmaxの保持の後、改
めて75℃以上85℃未満の範囲内の温度に加熱して、
この温度範囲内で2時間以上保持する安定化処理を行な
う。
【0021】このように溶体化処理後に45℃以上75
℃未満まで冷却して5秒〜Tmaxの保持を行なう理由は
次の通りである。すなわち、溶体化処理後、特に100
℃/分以上の冷却速度で45℃未満の室温に冷却した場
合には、室温クラスターが生成される。この室温クラス
ターは強度に寄与するG.P.ゾーンに移行しにくいた
め、塗装焼付硬化性に不利となる。一方、溶体化処理後
に75℃以上の温度範囲に冷却してそのまま保持した場
合には、高温クラスターあるいはG.P.ゾーンが生成
され、塗装焼付硬化性に対しては有利となるが、安定化
処理後の室温時効による経時変化が大きく、成形性に悪
影響を与える。したがって成形性と塗装焼付硬化性との
バランスの観点から、溶体化処理後には45℃以上75
℃未満の温度範囲内に焼入する必要がある。すなわち、
溶体化処理後には、45℃以上75℃未満の温度範囲内
に冷却することによって、成形性と塗装焼付硬化性との
両者を満たすことができるのである。
【0022】45℃以上75℃未満の温度範囲での保持
時間Tが5秒以下では、上述の効果、特に室温時効の抑
制の効果が得られない。一方、45℃以上75℃未満の
温度範囲での保持時間Tが長時間にわたれば、室温クラ
スターに近い構造と性質を有するクラスターあるいは
G.P.ゾーンが多量に生成されて、その後の塗装焼付
硬化性が低下してしまう。このように長時間保持した場
合の保持時間Tの影響は、合金成分や溶体化温度などに
よって変わるから、保持時間Tの上限は一律に定めるこ
とはできないが、合金の耐力を指標として定めることが
できる。すなわち、45℃以上75℃未満での保持時間
が長くなってその温度範囲での時効によってクラスター
あるいはG.P.ゾーンが多量に生成されれば合金の耐
力も高くなるから、45℃以上75℃未満の温度範囲で
保持時の耐力を指標として保持時間Tの上限Tmaxを定
めることができ、本発明者等の実験によれば、0.2%耐
力が100MPa以下の範囲内となるように保持時間T
の上限Tmaxを規制することが有効であることが判明し
た。なおこの耐力は、溶体化処理後、100℃/分以上
の冷却速度で45〜75℃の温度範囲に冷却し、その温
度範囲で保持した状態での0.2%耐力を意味する。した
がって実際の操業にあたっては、この耐力が100MP
a以下となるような保持時間Tの上限Tmaxの具体値
を、合金成分や溶体化処理温度などの実際の具体的条件
に応じて予備実験を行なうことにより求めておけば良
い。なお、本願組成とここまでの工程の組み合わせの範
囲内では保持時間Tmaxは3日間が最大となる。
【0023】上述のような45℃以上75℃未満の温度
範囲での保持の後には、室温まで冷却することなく、改
めて75℃以上85℃未満の範囲内の温度に加熱して安
定化処理を行なう。この安定化処理は、最終的にクラス
ターあるいはG.P.ゾーンの安定性を向上させ、板製
造後の経時変化を抑制して、充分な焼付硬化性を確保す
るとともに良好な成形加工性を得るために必要な工程で
あり、この安定化処理は、75℃以上85℃未満の範囲
内の温度に2時間以上保持の条件とする必要がある。安
定化処理の温度が75℃未満では上記の効果が充分に得
られず、一方85℃以上では高温時効によって粒界析出
の傾向が強くなり、成形性特に曲げ性が低下してしま
う。また安定化処理における75℃以上85℃未満の範
囲内の温度での保持時間が2時間未満では、その後の室
温での経時変化が速くなって成形性と焼付硬化性が悪く
なる。
【0024】以上のようにこの発明の製造方法では、合
金の成分組成を適切に調整するとともに、製造プロセス
中において、480℃以上の温度での溶体化処理、およ
び45℃以上75℃未満の温度範囲への冷却(焼入れ)
とその温度範囲での適切な保持の後に改めて75℃以上
85℃未満の条件で安定化処理を施すことにより、成形
性特に曲げ性が改善され、板製造後の室温での経時変
化、すなわち室温での自然時効の進行を阻止することも
可能となり、その結果、板製造後に長期間放置されてか
ら成形加工、塗装焼付を施す場合でも、良好な成形性、
優れた焼付硬化性を充分に確保することが可能となった
のである。
【0025】
【実施例】表1に示す本発明成分組成範囲内の合金記号
A1〜A2合金、および本発明成分組成範囲外の合金記
号B1〜B2の合金について、それぞれ常法に従ってD
C鋳造法により鋳造し、得られた鋳塊に530℃×5時
間の均質化処理を施してから、熱間圧延を開始し、続い
て冷間圧延を行なった。冷間圧延途中に種々の中間焼鈍
を行った。最終的に厚さ1mmの圧延板とした。次いで
各圧延板に対し、種々の溶体化処理を行なってから、1
00℃/分以上の冷却速度で種々の温度まで焼入れし
て、その焼入温度で保持し、さらに75℃以上85℃未
満で安定化処理を行なった。詳細な製造条件を表2に示
す。
【0026】以上のように安定化処理を行なって得られ
た板を、さらに室温に1日もしくは90日放置した各板
について、それぞれ180℃×30分の加熱の塗装焼付
処理を施し、その焼付前の機械的特性および成形性と、
焼付後の機械的特性を調べた。その結果を表3に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】製造番号1と2は、合金の成分組成がこの
発明で規定する範囲内でかつ製造条件もこの発明で規定
する条件を満たしたものであるが、この場合は、塗装焼
付前の伸びおよびエリクセン値が充分に高くて曲げ性が
優れ、かつ焼付硬化性が高くて塗装焼付時に大きな強度
上昇が生じており、特に板製造後90日室温に放置した
場合においても、伸びおよびエリクセン値の低下が少な
くて曲げ性が低下せず、かつ充分な焼付硬化性を示し
た。
【0031】これに対し製造番号3〜4は、合金の成分
組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造条件が
この発明で規定する条件を満たさなかったものである。
製造番号3(合金記号A1)は、溶体化処理後室温(3
0℃)まで冷却したものであるが、この場合には同じ合
金(合金記号A1)を用いた本発明例(製造番号1)と
比較して、焼付硬化性が大幅に劣った。また製造番号4
は、中間焼鈍温度と溶体化温度が低く、冷却後120℃
での保持で、保持時の合金の耐力が100Mpaを越え
てしまったものであるが、この場合には同じ合金を用い
た本発明例(製造番号2)と比較して焼付硬化性と曲げ
性が劣った。
【0032】一方、製造番号5,6はいずれも成分組成
がこの発明で規定する範囲を外れた合金について、この
発明で規定する範囲内の条件のプロセスを適用したもの
である。製造番号5(合金記号B1)は、焼付硬化性が
あるが、曲げ性が劣った。製造番号6(合金記号B2)
は、素材強度が低いばかりでなく、曲げ性も劣り、塗装
焼付後の強度も充分ではなかった。
【0033】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の成
形加工用アルミニウム合金板の製造方法によれば、高い
焼付硬化性が維持されながら、延性と曲げ性が優れてい
て、塗装焼付後の強度が著しく高く、しかも室温での経
時変化が少なくて、板製造後に室温で長期間放置した場
合にも成形性の低下が少ないとともに焼付硬化性の変化
も少ない、安定な成形加工用アルミニウム合金板を得る
ことができる。したがって自動車用ボディシート、家電
部品、各種機械器具部品、そのほか成形加工および塗装
焼付を施して用いる用途のアルミニウム合金の製造に最
適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg0.3〜1.5%(重量%、以下同
    じ)、Si0.3〜2.0%を含有し、Mn0.03〜
    0.4%、Cr0.03〜0.4%、Zr0.03〜
    0.4%、V0.03〜0.4%、Fe0.03〜0.
    5%、Ti0.005〜0.2%、Zn0.03〜2.
    5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、
    さらにCuが0.1%未満に規制され、残部がAlおよ
    び不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を素材と
    し、鋳塊に均質化処理、熱間圧延および冷間圧延を行な
    い、所要の板厚の圧延板とした後、その圧延板に対し、
    480℃以上の温度で5分以内の溶体化処理を行なって
    から100℃/分以上の冷却速度で45℃以上75℃未
    満の温度範囲まで冷却して、この温度範囲内で5秒以上
    の保持を行ない、かつその保持時間の上限を、合金の0.
    2%耐力が100MPa以下になるように規制し、続い
    て75℃以上85℃未満の範囲内の温度に加熱して、こ
    の温度範囲で2時間以上保持する安定化処理を行なうこ
    とを特徴とする、室温(0〜40℃)での経時変化が少な
    くかつ成形性および焼付硬化性に優れた成形加工用アル
    ミニウム合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延と冷間圧延との間、あるいは冷
    間圧延途中において450〜580℃の温度範囲で5分
    以内の中間焼鈍を施すことを特徴とする請求項1記載
    の、室温(0〜40℃)での経時変化が少なくかつ成形性
    および焼付硬化性に優れた成形加工用アルミニウム合金
    板の製造方法。
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Cited By (4)

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