JPH09131122A - コンバイン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンバインにおいて、手扱き作業の際に作業
者が誤って多量の穀稈をフィードチェーンの搬送始端部
上に載置しないようにできるとともに、人手による手扱
き作業をし易くできるようにする。 【解決手段】 刈取前処理部６の縦搬送装置１０の上方
箇所を覆う防塵カバー１１を、その後端部がフィードチ
ェーン９の搬送始端部近くに位置する後下がり傾斜姿勢
と、フィードチェーン９より上方に離間して防塵機能を
発揮する通常姿勢とに姿勢変更可能に前側の横軸芯Ｘ１
周りで揺動自在に支持し、刈取前処理部６及び脱穀装置
３を装備した走行機体が走行停止状態であることの検出
結果に基づいて、防塵カバー１１の後下がり姿勢への姿
勢変更を許容し、走行状態であることの検出結果に基づ
いて、防塵カバー１１の後下がり傾斜姿勢への姿勢変更
を禁止する姿勢変更許否手段１６を設けてあるコンバイ
ン。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、刈取前処理部の縦
搬送装置から受け渡された穀稈を脱穀装置を通過させる
ように挟持搬送するフィードチェーンを設けるととも
に、前記刈取前処理部の縦搬送装置の上方箇所を覆う防
塵カバーを設けたコンバインに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、この種のコンバインでは、枕
地等で手刈りされた穀稈を機体に搭載した脱穀装置を利
用して手扱きする際には、刈取前処理部を停止させた状
態で脱穀装置及びフィードチェーンを駆動させているの
であり、刈取前処理部の縦搬送装置等の上方を覆う防塵
カバーを開放する状態に切り換えてから、フィードチェ
ーンの搬送始端部上に人手によって穀稈を載置する作業
を行うことになる。そして、従来においては、単にフィ
ードチェーンの搬送始端部箇所は全体的に穀稈の載置が
可能な状態で露出しているものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従って、従来のコンバ
インにあっては、手扱き作業の際に作業者が誤って多量
の穀稈をフィードチェーンの搬送始端部上に載置したり
すると、フィードチェーンと挟持レールとの間に穀稈が
詰まったりする虞れが高いものとなっていた。

【０００４】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であって、手扱き作業を行う場合に、誤って多量の穀稈
をフィードチェーンの搬送始端部上に載置しないように
できるとともに、人手による手扱き作業をしやすくでき
るコンバインの提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

（構成） 本発明の請求項１にかかるコンバインは、刈
取前処理部の縦搬送装置から受け渡された穀稈を脱穀装
置を通過させるように挟持搬送するフィードチェーンを
設けるとともに、前記刈取前処理部の縦搬送装置の上方
箇所を覆う防塵カバーを設けたコンバインであって、前
記防塵カバーを、その後端部が前記フィードチェーンの
搬送始端部近くに位置する後下がり傾斜姿勢と、前記フ
ィードチェーンより上方に離間して防塵機能を発揮する
通常姿勢とに姿勢変更可能に前側の横軸芯周りで揺動自
在に支持するとともに、前記刈取前処理部及び脱穀装置
を装備した走行機体が走行停止状態であることの検出結
果に基づいて、前記防塵カバーの前記後下がり傾斜姿勢
への姿勢変更を許容し、走行状態であることの検出結果
に基づいて、前記防塵カバーの前記後下がり傾斜姿勢へ
の姿勢変更を禁止する姿勢変更許否手段を設けてあるこ
とを特徴構成とする。

【０００６】（作用） 本発明の請求項１にかかる構成
によれば、防塵カバーを、その後端部がフィードチェー
ンの搬送始端部近くに位置する後下がり傾斜姿勢と、フ
ィードチェーンより上方に離間して防塵機能を発揮する
通常姿勢とに姿勢変更可能に前側の横軸芯周りで揺動自
在に支持するとともに、刈取前処理部及び脱穀装置を装
備した走行機体が走行停止状態であることの検出結果に
基づいて、前記防塵カバーの前記後下がり傾斜姿勢への
姿勢変更を許容し、走行状態であることの検出結果に基
づいて、前記防塵カバーの前記後下がり傾斜姿勢への姿
勢変更を禁止する姿勢変更許否手段を設けてあるから、
防塵カバーがフィードチェーンの搬送始端部の一部の上
方箇所に覆う状態で近接させられることになって、その
覆われていないフィードチェーンの搬送始端部箇所にの
み手扱き用の穀稈を載置できるように規制するととも
に、穀稈は後下がり傾斜した防塵カバーの上面に載置す
れば、後方に自然に滑り落ちたりあるいは人手により適
量ずつ滑り落とされたりしてフィードチェーンの搬送始
端部上に載置されることになる。そして、走行停止状態
でないと、防塵カバーを後下がり姿勢に変更できるもの
でないから、手扱き作業の必要な走行停止時にのみ手扱
き作業可能な状態にフィードチェーンの搬送始端部側箇
所を変更できない。

【０００７】（効果） 本発明の請求項１にかかる構成
によれば、手扱き作業が行える走行停止状態でないと、
手扱き可能な状態に防塵カバーの姿勢を変え得るもので
ないから、走行停止時以外のときに手扱き作業を行えな
いよう牽制できるとともに、手扱き作業をするときに
は、走行停止状態の騒音の少ない作業し易い環境下にお
いて、防塵カバーによりフィードチェーンの搬送始端部
の一部を覆うことができることで、実際にフィードチェ
ーンの搬送始端部上に載置される穀稈量は少量に制限で
きることになって、フィードチェーンと挟持レールとの
間に穀稈詰まりが生じることも回避できるに至った。

【０００８】（構成） 本発明の請求項２にかかるコン
バインは、刈取前処理部の縦搬送装置から受け渡された
穀稈を脱穀装置を通過させるように挟持搬送するフィー
ドチェーンを設けるとともに、前記刈取前処理部の縦搬
送装置の上方箇所を覆う防塵カバーを設けたコンバイン
であって、前記防塵カバーを、その後端部が前記フィー
ドチェーンの搬送始端部近くに位置する後下がり傾斜姿
勢と、前記フィードチェーンより上方に離間して防塵機
能を発揮する通常姿勢とに姿勢変更可能に前側の横軸芯
周りで揺動自在に支持するとともに、前記刈取前処理部
が駆動停止状態であることの検出結果に基づいて、前記
防塵カバーの前記後下がり傾斜姿勢への姿勢変更を許容
し、前記刈取前処理部が駆動状態であることの検出結果
に基づいて、前記防塵カバーの前記後下がり傾斜姿勢へ
の姿勢変更を禁止する姿勢変更許否手段を設けてあるこ
とを特徴構成とする。

【０００９】（作用） 本発明の請求項２にかかる構成
によれば、防塵カバーを、その後端部が前記フィードチ
ェーンの搬送始端部近くに位置する後下がり傾斜姿勢
と、フィードチェーンより上方に離間して防塵機能を発
揮する通常姿勢とに姿勢変更可能に前側の横軸芯周りで
揺動自在に支持するとともに、刈取前処理部が駆動停止
状態であることの検出結果に基づいて、防塵カバーの前
記後下がり傾斜姿勢への姿勢変更を許容し、刈取前処理
部が駆動状態であることの検出結果に基づいて、防塵カ
バーの前記後下がり傾斜姿勢への姿勢変更を禁止する姿
勢変更許否手段を設けてあるから、防塵カバーがフィー
ドチェーンの搬送始端部の一部の上方箇所に覆う状態で
近接させられることになって、その覆われていないフィ
ードチェーンの搬送始端部箇所にのみ手扱き用の穀稈を
載置できるように規制するとともに、穀稈は後下がり傾
斜した防塵カバーの上面に載置すれば、後方に自然に滑
り落ちたりあるいは人手により適量ずつ滑り落とされた
りしてフィードチェーンの搬送始端部上に載置されるこ
とになる。そして、刈取前処理部が停止状態でないと、
防塵カバーを後下がり姿勢に変更できるものでないか
ら、手扱き作業の必要な走行停止時にのみ手扱き作業可
能な状態にフィードチェーンの搬送始端部側箇所を変更
できない。

【００１０】（効果） 本発明の請求項２にかかる構成
によれば、手扱き作業が行える刈取前処理部の駆動停止
状態でないと、手扱き可能な状態に防塵カバーの姿勢を
変え得るものでないから、刈取前処理部が駆動している
ときに手扱き作業を行えないよう牽制できるとともに、
手扱き作業をするときには、刈取前処理部が駆動停止状
態の騒音の少ない作業し易い環境下において、防塵カバ
ーによりフィードチェーンの搬送始端部の一部を覆うこ
とができることで、実際にフィードチェーンの搬送始端
部上に載置される穀稈量は少量に制限できることになっ
て、フィードチェーンと挟持レールとの間に穀稈詰まり
が生じることも回避できるに至った。

【００１１】（構成） 本発明の請求項３にかかるコン
バインは、刈取前処理部の縦搬送装置から受け渡された
穀稈を脱穀装置を通過させるように挟持搬送するフィー
ドチェーンを設けるとともに、前記刈取前処理部の縦搬
送装置の上方箇所を覆う防塵カバーを設けたコンバイン
であって、前記防塵カバーを、その後端部を前記フィー
ドチェーンの搬送始端部近くに位置させる後下がり傾斜
姿勢となる状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち上げ
揺動により該搬送穀稈の通過を許すように、その前部側
の横軸芯周りで自由揺動自在に支持してあることを特徴
構成とする。

【００１２】（作用） 本発明の請求項３にかかる構成
によれば、防塵カバーを、その後端部をフィードチェー
ンの搬送始端部近くに位置させる後下がり傾斜姿勢とな
る状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち上げ揺動によ
り該搬送穀稈の通過を許すように、その前部側の横軸芯
周りで自由揺動自在に支持してあるから、通常の刈取作
業時には、縦搬送装置で搬送されてきた穀稈は後下がり
姿勢の防塵カバーの後端側部分を搬送に伴って持ち上げ
ながら後方へ通過していくことになるとともに、手扱き
作業を行う場合はその後下がり傾斜姿勢となっている防
塵カバーの上面に穀稈を載置すれば、後方に自然に滑り
落ちたり人手により適量ずつ滑り落とされたりしてフィ
ードチェーンの搬送始端部上に載置されることになる。
また、防塵カバーが後下がり姿勢でその後端部がフィー
ドチェーンの搬送近くに位置することでフィードチェー
ンの搬送始端部の一部が防塵カバーで覆われることにな
って、人手により穀稈を手扱きするためにフィードチェ
ーンの搬送始端部上に載置しても穀稈はいちどきに搬送
してしまうものでなく、少量ずつの搬送となる。

【００１３】（効果） 本発明の請求項３にかかる構成
によれば、手扱き作業を行う際には、その後下がり姿勢
のままの防塵カバーを利用して、穀稈の供給を行えるの
でわざわざフィードチェーンの搬送始端部に載置するよ
り簡易な作業となる。また、防塵カバーによりフィード
チェーンの搬送始端部の一部を覆うことができること
で、実際にフィードチェーンの搬送始端部上に載置され
る穀稈量は少量に制限できることになって、フィードチ
ェーンと挟持レールとの間に穀稈詰まりが生じることも
回避できる。通常の刈取走行作業時でも防塵カバーを後
下がり姿勢のままにできるので、その防塵カバーの姿勢
を手扱きする際にわざわざ変更する必要がなくその煩わ
しさを回避できるに至った。

【００１４】（構成） 本発明の請求項４にかかるコン
バインは、刈取前処理部の縦搬送装置から受け渡された
穀稈を脱穀装置を通過させるように挟持搬送するフィー
ドチェーンを設けるとともに、前記刈取前処理部の縦搬
送装置の上方箇所を覆う防塵カバーを設けたコンバイン
であって、前記防塵カバーを、その後端部を前記フィー
ドチェーンの搬送始端部近くに位置させる後下がり傾斜
姿勢となる状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち上げ
揺動により該搬送穀稈の通過を許すように、その前部側
の横軸芯周りで自由揺動自在に支持するとともに、前記
防塵カバーの後端近くに、前記搬送穀稈の通過時の穂先
位置を検出する穂先位置検出手段を設けてあることを特
徴構成とする。

【００１５】（作用） 本発明の請求項４にかかる構成
によれば、防塵カバーを、その後端部をフィードチェー
ンの搬送始端部近くに位置させる後下がり傾斜姿勢とな
る状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち上げ揺動によ
り該搬送穀稈の通過を許すように、その前部側の横軸芯
周りで自由揺動自在に支持するとともに、防塵カバーの
後端近くに、前記搬送穀稈の通過時の穂先位置を検出す
る穂先位置検出手段を設けてあるから、上記請求項３の
構成による作用に加えて、搬送穀稈の穂先位置検出を行
うことにより、その検出結果に基づいて扱深さ制御を行
うことができる。また、その穀稈の穂先位置検出は、防
塵カバーで下方に幾分押圧した状態で搬送穀稈に対して
行われるものであるから、浮き藁等による誤検出を抑制
できる。

【００１６】（効果） 本発明の請求項４にかかる構成
によれば、上記請求項３の構成により奏される効果に加
えて、防塵カバーを搬送穀稈の穂先位置検出手段の設置
部材に兼用できるので、別途専用の設置部材を設けなく
ても良く、部品コストの低下を図ることができるととも
に、下方への押圧状態で搬送穀稈の穂先位置検出を行う
ことにより浮き藁の影響を抑制できた良好な検出が行え
精度の良い扱深さ制御が行える。

【００１７】（構成） 本発明の請求項５にかかるコン
バインは、刈取前処理部の縦搬送装置から受け渡された
穀稈を脱穀装置を通過させるように挟持搬送するフィー
ドチェーンを設けるとともに、前記刈取前処理部の縦搬
送装置の上方箇所を覆う防塵カバーを設けたコンバイン
であって、前記防塵カバーを、その後端部を前記フィー
ドチェーンの搬送始端部近くに位置させる後下がり傾斜
姿勢となる状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち上げ
揺動により該搬送穀稈の通過を許すように、その前部側
の横軸芯周りで自由揺動自在に支持するとともに、前記
防塵カバーを前記横軸芯に沿う方向で複数個の分割片に
分割し、隣合う各分割片間を伸縮自在な膜状体でつな
ぎ、かつ、搬送穀稈の通過時の該搬送穀稈による前記分
割片の持ち上げの有無を検出する検出手段を設けてある
ことを特徴構成とする。

【００１８】（作用） 本発明の請求項５にかかる構成
によれば、防塵カバーを、その後端部をフィードチェー
ンの搬送始端部近くに位置させる後下がり傾斜姿勢とな
る状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち上げ揺動によ
り該搬送穀稈の通過を許すように、その前部側の横軸芯
周りで自由揺動自在に支持するとともに、防塵カバーを
前記横軸芯に沿う方向で複数個の分割片に分割し、隣合
う各分割片間を伸縮自在な膜状体でつなぎ、かつ、搬送
穀稈の通過時の該搬送穀稈による分割片の持ち上げの有
無を検出する検出手段を設けてあるから、分割片の動き
を検出することで搬送穀稈の穂先位置の検出が可能とな
るため、その穂先位置検出を行うセンサを搬送穀稈と直
接接触させたりする位置に設けなくても良く、センサが
穀稈搬送の妨げとなりにくいものとなっている。

【００１９】（効果） 本発明の請求項５にかかる構成
によれば、防塵カバーの後端部に穀稈穂先位置検出用の
センサを設けなくても良い構成となっているので、搬送
穀稈の移動が円滑になり、後処理が良好になるという利
点がある。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１に、コンバインを示してい
る。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置
１，１に支持された機体２に、脱穀装置３、操縦部４、
穀粒回収部５等を搭載するとともに、機体２の前側部に
横軸芯周りで揺動昇降自在に刈取前処理部６を装着して
構成している。

【００２１】図１に示すように、刈取前処理部６は、左
右に並設された穀稈引起し装置７、この穀稈引起し装置
７で引起された穀稈の株元を刈り取る刈取装置８、刈取
穀稈を後方のフィードチェーン９に横倒し姿勢で受け渡
すように姿勢変更しながら搬送する縦搬送装置１０等を
備えて構成している。そして、フィードチェーン９は、
縦搬送装置１０から受け渡された搬送穀稈を挟持しなが
ら、脱穀処理すべく脱穀装置３に穀稈を通過させる状態
で搬送する。

【００２２】図１乃至図３に示すように、縦搬送装置１
０の上方には、防塵カバー１１を配設している。この防
塵カバー１１は、透明な樹脂製であって、前後に２分割
された構成となっている。すなわち、防塵カバー１１
は、その前端部を横軸芯Ｘ１周りで上下揺動自在に穀稈
引起し装置７の固定カバー１２に枢着した前側防塵カバ
ー１１Ｆと、後端部を横軸芯Ｘ２周りで上下揺動自在に
脱穀装置３に設けた支持ブラケット１３に枢着した後側
防塵カバー１１Ｒとで構成されているものであって、前
側防塵カバー１１Ｆの方が後側防塵カバー１１Ｒより前
後長の長いものに構成している。そして、前側防塵カバ
ー１１Ｆと後側防塵カバー１１Ｒとはリンク機構１４で
連動連結されているとともに、図２に示すように、該リ
ンク機構１４のリンクバー１４ａを押し引き操作するた
めの駆動機構として電動モータで作動される電動アクチ
ュエータ１５を備えている。該電動モータの駆動信号は
機体２に備えた制御装置１６が出力するようにしてい
る。従って、前側防塵カバー１１Ｆ及び後側防塵カバー
１１Ｒを共に上昇させた状態で前記固定カバー１２と支
持ブラケット１３とにわたって架設される姿勢にしたと
きには、前側防塵カバー１１Ｆの後端縁と後側防塵カバ
ー１１Ｒの前端縁とが重合する通常の防塵機能を発揮す
る水平状態となる通常使用姿勢に設定され、前側防塵カ
バー１１Ｆ及び後側防塵カバー１１Ｒを共に下降させた
状態では、前側防塵カバー１１Ｆを後下がりに傾斜さ
せ、後側防塵カバー１１Ｒを前下がりに傾斜させて、人
手により穀稈をフィードチェーン９の搬送始端部上に供
給しやすい手扱き作業姿勢にする。そして、図２に示す
ように、操縦部４には、車速変速用の副変速レバー１７
を設けているとともに、この副変速レバー１７の中立位
置を検出するための中立位置検出用リミットスイッチ１
８を設けている。このリミットスイッチ１８の検出信号
は前記制御装置１６に入力される。尚、この制御装置１
６は姿勢変更許否手段を構成するものである。又、前記
前側防塵カバー１１Ｆが上記水平姿勢となっていること
を検出するリミットスイッチ１９と、前側防塵カバー１
１Ｆがその後端部がフィードチェーン９の搬送始端部近
くに位置する手扱き姿勢となっていることを検出するリ
ミットスイッチ２０とを設け、各リミットスイッチ１
９，２０の検出信号は制御装置１６に入力される。さら
に、操縦部４には、防塵カバー１１を前記電動アクチュ
エータ１５をさせて、通常使用姿勢から手扱き作業姿勢
への切り換え、又は手扱き作業姿勢から通常使用姿勢へ
の切り換えを行うための切換スイッチ２１を配設してお
り、この切換スイッチ２１のスイッチング信号は制御装
置１６に入力される。そして、制御装置１６は、副変速
レバー１７が中立位置に無いとき、すなわち前進又は後
進側に変速操作されているとき、走行中であると判断し
て、切換スイッチ２１を操作しても防塵カバー１１を通
常使用姿勢から手扱き作業姿勢へ、又は手扱き作業姿勢
から通常使用姿勢へ切り換えできないよう禁止してい
る。一方、副変速レバー１７が中立位置にあるときは、
リミットスイッチ１８のその検出信号に基づいて、切換
スイッチ２１の操作により、防塵カバー１１の通常使用
姿勢から手扱き作業姿勢へ、又は手扱き作業姿勢から通
常使用姿勢への切り換えができるように制御装置１６を
設定している。

【００２３】従って、通常の刈取作業走行時において
は、防塵カバー１１を防塵機能を発揮する通常使用姿勢
にして作業を行い、枕地等において手扱き作業をする場
合には、機体を走行停止させるよう、副変速レバー１７
を中立位置にするので、その中立位置のリミットスイッ
チ１８による検出結果に基づいて、切換スイッチ２１の
切換操作で防塵カバー１１の前側防塵カバー１１Ｆ及び
後側防塵カバー１１Ｒを下降傾斜した手扱き作業姿勢に
切り換えることができるようになる。そして、その前側
防塵カバー１１Ｆにおいては、図２に示すように、その
後端部がフィードチェーン９の搬送始端部の前側部分の
一部を覆うことになるので、後下がり傾斜した前側防塵
カバー１１Ｆの上面に穀稈を載せつけるように供給でき
るとともに、穀稈の係止できるフィードチェーン９の搬
送始端部範囲が狭く限定されることで穀稈搬送量を少量
に制限できるようになっている。

【００２４】〔別の実施の形態〕以下に、本発明にかか
るコンバインの別の実施の形態について、４種のものを
図に基づいて説明する。尚、上記実施の形態と同様の構
造については説明を省略するとともに、同一の符号を付
す。 図４に示すように、刈取前処理部６の駆動の断続を
行うクラッチ２２を設けているとともに、このクラッチ
２２を入り切り操作するためのクラッチレバー２３を操
縦部４に配設している。このクラッチレバー２３がクラ
ッチ２２切り操作していることを検出するリミットスイ
ッチ２４を設けている。そして、防塵カバー１１を通常
使用姿勢と手扱き作業姿勢とに昇降させるための制御を
行う制御装置１６（姿勢変更許否手段を構成している）
にリミットスイッチ２４の検出信号が入力される。制御
装置１６は、クラッチ２２が切り操作されていることの
リミットスイッチ２４からの検出信号が入力されると、
その検出信号に基づいて、操縦部４の切換スイッチ２１
の操作により、防塵カバー１１の通常使用姿勢から手扱
き作業姿勢へ、又は手扱き作業姿勢から通常使用姿勢へ
の切り換えができるように制御装置１６を設定してい
る。従って、通常の刈取作業走行時においては、防塵カ
バー１１を防塵機能を発揮する通常使用姿勢にして作業
を行い、枕地等において手扱き作業をする場合には、刈
取前処理部６の駆動を停止させて、脱穀装置３及びフィ
ードチェーン９のみ駆動させるから、刈取前処理部６の
駆動の停止状態のリミットスイッチ２４による検出結果
に基づいて、切換スイッチ２１の切換操作で防塵カバー
１１の前側防塵カバー１１Ｆ及び後側防塵カバー１１Ｒ
を下降傾斜した手扱き作業姿勢に切り換えることができ
るようになる。そして、その前側防塵カバー１１Ｆにお
いては、図４に示すように、その後端部がフィードチェ
ーン９の搬送始端部の前側部分の一部を覆うことになる
ので、後下がり傾斜した前側防塵カバー１１Ｆの上面に
穀稈を載せつけるように供給できるとともに、穀稈の係
止できるフィードチェーン９の搬送始端部範囲が狭く限
定されることで穀稈搬送量を少量に制限できるようにな
っている。

【００２５】 図５及び図６に示すように、防塵カバ
ー１１は、その前端部を横軸芯Ｘ１周りで上下揺動自在
に穀稈引起し装置７の固定カバー１２に枢着した前側防
塵カバー１１Ｆと、後端部を横軸芯Ｘ２周りで上下揺動
自在に脱穀装置３に設けた支持ブラケット１３に枢着し
た後側防塵カバー１１Ｒとで構成されているものであっ
て、前側防塵カバー１１Ｆの方が後側防塵カバー１１Ｒ
より前後長の長いものに構成している。そして、前側防
塵カバー１１Ｆと後側防塵カバー１１Ｒとはリンク機構
１４で連動連結されている。前側防塵カバー１１Ｆ及び
後側防塵カバー１１Ｒを手動で両者が連動して姿勢切換
できるように把手２５を後側防塵カバー１１Ｒに設けて
いるとともに、両防塵カバー１１Ｆ，１１Ｒを通常の防
塵機能を発揮する水平姿勢に切り換えたときには両防塵
カバー１１Ｆ，１１Ｒはロック具（図示せず）で位置固
定されるようにしている。又、防塵カバー１１を手扱き
作業姿勢にしたまま、通常の刈取作業を行えるようにし
ている。すなわち、図５に示すように、ロック具による
位置固定を解除して、前側防塵カバー１１Ｆは、その後
端部がフィードチェーン９の搬送始端部近くに位置する
ように後下がり傾斜姿勢にしておけば、フィードチェー
ン９の搬送始端部の前側の一部上方を覆うことになる。
また、通常の刈取作業時において縦搬送装置１０で搬送
されてきた搬送穀稈がその搬送に伴って前側防塵カバー
１１Ｆの後端部に押し上げるように接当しても、前側防
塵カバー１１Ｆが軽く上方に搬送穀稈の押圧によって退
避できるように、スプリング２６で上方に弾性付勢し
て、前側防塵カバー１１Ｆの荷重モーメントを軽減して
いる。 上記の構成に加えて、図７及び図８に示すよう
に、前部防塵カバー１１Ｆの後端部の下面部には、搬送
穀稈の穂先位置を検出するための左右一対のセンサバー
２７，２７を横軸芯Ｘ３周りで上下揺動自在で下方に弾
性付勢された状態で互いに所定間隔隔てて所定位置に設
定配置されている。そして、各センサバー２７，２７の
搬送穀稈による押圧により上方への揺動状態をマイクロ
スイッチ等からなるセンサスイッチ２８，２８で検出す
るようにしている。これらセンサスイッチ２８，２８の
検出信号は制御装置１６に入力されている。ここで、セ
ンサバー２７及びセンサスイッチ２８は穂先位置検出手
段Ｓ１を構成している。そして、制御装置１６は、セン
サスイッチ２８，２８の検出結果に基づいて、搬送穀稈
の穂先先端が両センサバー２７，２７間に位置するよう
に、縦搬送装置１０の姿勢を変更調整をする扱深さ制御
用の電動モータ２９へ駆動信号を出力するよう構成して
いる。すなわち、フィードチェーン９で搬送されるとき
の脱穀装置３への入り込ませる穀稈長さが脱穀に適した
所定長さに維持されるよう、刈取穀稈を挟持する位置を
稈身方向で変更するために縦搬送装置１０の姿勢を変更
調整するのである。尚、このの構成において、前側防
塵カバー１１Ｆが所定以上上昇すると、浮きワラが発生
しその浮きワラで前側防塵カバー１１Ｆが持ち上げられ
たとして、図示しない警報装置を警報作動させるように
構成しても良い。

【００２６】 図９及び図１０に示すように、防塵カ
バー１１は、その前端部を横軸芯Ｘ１周りで上下揺動自
在に穀稈引起し装置７の固定カバー１２に枢着した前側
防塵カバー１１Ｆと、後端部を横軸芯Ｘ２周りで上下揺
動自在に脱穀装置３に設けた支持ブラケット１３に枢着
した後側防塵カバー１１Ｒとで構成されているものであ
って、前側防塵カバー１１Ｆの方が後側防塵カバー１１
Ｒより前後長の長いものに構成している。そして、前側
防塵カバー１１Ｆと後側防塵カバー１１Ｒとはリンク機
構１４で連動連結されている。前側防塵カバー１１Ｆ及
び後側防塵カバー１１Ｒを手動で両者が連動して姿勢切
換できるように把手２５を後側防塵カバー１１Ｒに設け
ているとともに、両防塵カバー１１Ｆ，１１Ｒを通常の
防塵機能を発揮する水平姿勢に切り換えたときには両防
塵カバー１１Ｆ，１１Ｒはロック具で位置固定されるよ
うにしている。又、防塵カバー１１を手扱き作業姿勢に
したまま、通常の刈取作業を行えるようにしている。そ
して、前側防塵カバー１１Ｆは、その横軸芯Ｘ１に沿う
左右方向において、複数個の分割片３０‥に分割してお
り、各分割片３０‥は、前記横軸芯Ｘ１に沿う支軸３１
に横軸芯Ｘ１周りで上下揺動可能に支持され、その隣合
うもの同士間を伸縮自在な軟質樹脂膜からなる膜状体３
１でつないでいる。尚、各分割片３０の隣合うもの同士
の左右間隔は、例えば分割片３０の左右幅程度が空いて
いるように設定され、その間隔箇所に膜状体３２が配設
されるようにしても良い。これにより、搬送穀稈が縦搬
送装置１０で搬送されて、前側防塵カバー１１Ｆの後端
部箇所を通過する際には、穀稈通過位置にある分割片３
０は穀稈の通過に伴う押圧で上方に退避揺動することに
なる。さらに、各分割片３０‥の上方への揺動の有無を
検出するための検出手段としてのセンサスイッチ３３‥
を各別に設置しているとともに、各センサスイッチ３３
‥の検出信号は制御装置１６に入力される。そして、こ
の各センサスイッチ３３‥の検出信号に基づいて、制御
装置１６は、搬送穀稈の穂先先端が所定の分割片３０，
３０間に位置するように、縦搬送装置１０の姿勢を変更
調整をする扱深さ制御用の電動モータ２９へ駆動信号を
出力するよう構成している。すなわち、フィードチェー
ン９で搬送されるときの脱穀装置３への入り込ませる穀
稈長さが脱穀に適した所定長さに維持されるよう、刈取
穀稈を挟持する位置を稈身方向で変更するために縦搬送
装置１０の姿勢を変更調整するのである。尚、膜状体と
しては帆布のようなものでも良い。

【００２７】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインを示す全体側面図

【図２】請求項１にかかる防塵カバー構造等を示す側面
視概略説明図

【図３】防塵カバー構造等を示す平面図

【図４】請求項２にかかる防塵カバー構造等を示す側面
視概略説明図

【図５】請求項３にかかる防塵カバー構造等を示す一部
破断側面図

【図６】請求項３にかかる防塵カバー構造等を示す平面
図

【図７】請求項４にかかる防塵カバー構造等を示す側面
視概略説明図

【図８】請求項４にかかる防塵カバー構造等を示す一部
破断平面図

【図９】請求項５にかかる防塵カバー構造等を示す側面
視概略説明図

【図１０】請求項５にかかる防塵カバー構造等を示す平
面図

【符号の説明】

３ 脱穀装置 ６ 刈取前処理部 ９ フィードチェーン １０ 縦搬送装置 １１ 防塵カバー １６ 姿勢変更許否手段 ３０ 分割片 ３２ 膜状体 ３３ 検出手段 Ｓ１ 穂先位置検出手段 Ｘ１ 横軸芯

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ０１Ｆ 29/16 Ａ０１Ｆ 29/16 Ｚ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）から受け渡された穀稈を脱穀装置（３）を通過させ
   るように挟持搬送するフィードチェーン（９）を設ける
   とともに、前記刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）の上方箇所を覆う防塵カバー（１１）を設けたコン
   バインであって、 前記防塵カバー（１１）を、その後端部が前記フィード
   チェーン（９）の搬送始端部近くに位置する後下がり傾
   斜姿勢と、前記フィードチェーン（９）より上方に離間
   して防塵機能を発揮する通常姿勢とに姿勢変更可能に前
   側の横軸芯（Ｘ１）周りで揺動自在に支持するととも
   に、前記刈取前処理部（６）及び脱穀装置（３）を装備
   した走行機体が走行停止状態であることの検出結果に基
   づいて、前記防塵カバー（１１）の前記後下がり傾斜姿
   勢への姿勢変更を許容し、走行状態であることの検出結
   果に基づいて、前記防塵カバー（１１）の前記後下がり
   傾斜姿勢への姿勢変更を禁止する姿勢変更許否手段（１
   ６）を設けてあるコンバイン。
2. 【請求項２】 刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）から受け渡された穀稈を脱穀装置（３）を通過させ
   るように挟持搬送するフィードチェーン（９）を設ける
   とともに、前記刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）の上方箇所を覆う防塵カバー（１１）を設けたコン
   バインであって、 前記防塵カバー（１１）を、その後端部が前記フィード
   チェーン（９）の搬送始端部近くに位置する後下がり傾
   斜姿勢と、前記フィードチェーン（９）より上方に離間
   して防塵機能を発揮する通常姿勢とに姿勢変更可能に前
   側の横軸芯（Ｘ１）周りで揺動自在に支持するととも
   に、前記刈取前処理部（６）が駆動停止状態であること
   の検出結果に基づいて、前記防塵カバー（１１）の前記
   後下がり傾斜姿勢への姿勢変更を許容し、前記刈取前処
   理部（６）が駆動状態であることの検出結果に基づい
   て、前記防塵カバー（１１）の前記後下がり傾斜姿勢へ
   の姿勢変更を禁止する姿勢変更許否手段（１６）を設け
   てあるコンバイン。
3. 【請求項３】 刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）から受け渡された穀稈を脱穀装置（３）を通過させ
   るように挟持搬送するフィードチェーン（９）を設ける
   とともに、前記刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）の上方箇所を覆う防塵カバー（１１）を設けたコン
   バインであって、 前記防塵カバー（１１）を、その後端部を前記フィード
   チェーン（９）の搬送始端部近くに位置させる後下がり
   傾斜姿勢となる状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち
   上げ揺動により該搬送穀稈の通過を許すように、その前
   部側の横軸芯周りで自由揺動自在に支持してあるコンバ
   イン。
4. 【請求項４】 刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）から受け渡された穀稈を脱穀装置（３）を通過させ
   るように挟持搬送するフィードチェーン（９）を設ける
   とともに、前記刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）の上方箇所を覆う防塵カバー（１１）を設けたコン
   バインであって、 前記防塵カバー（１１）を、その後端部を前記フィード
   チェーン（９）の搬送始端部近くに位置させる後下がり
   傾斜姿勢となる状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち
   上げ揺動により該搬送穀稈の通過を許すように、その前
   部側の横軸芯周りで自由揺動自在に支持するとともに、
   前記防塵カバー（１１）の後端近くに、前記搬送穀稈の
   通過時の穂先位置を検出する穂先位置検出手段（Ｓ１）
   を設けてあるコンバイン。
5. 【請求項５】 刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）から受け渡された穀稈を脱穀装置（３）を通過させ
   るように挟持搬送するフィードチェーン（９）を設ける
   とともに、前記刈取前処理部（６）の縦搬送装置（１
   ０）の上方箇所を覆う防塵カバー（１１）を設けたコン
   バインであって、 前記防塵カバー（１１）を、その後端部を前記フィード
   チェーン（９）の搬送始端部近くに位置させる後下がり
   傾斜姿勢となる状態で、かつ搬送穀稈の押圧による持ち
   上げ揺動により該搬送穀稈の通過を許すように、その前
   部側の横軸芯周りで自由揺動自在に支持するとともに、
   前記防塵カバー（１１）を前記横軸芯に沿う方向で複数
   個の分割片（３０）に分割し、隣合う各分割片（３０）
   間を伸縮自在な膜状体（３２）でつなぎ、かつ、搬送穀
   稈の通過時の該搬送穀稈による前記分割片（３０）の持
   ち上げの有無を検出する検出手段（３３）を設けてある
   コンバイン。