JPH0912590A - 4−アミノ−2,4,6−トリデオキシ−2−フルオロ−マンノピラノシル基を有する新規アンスラサイクリン誘導体 - Google Patents

4−アミノ−2,4,6−トリデオキシ−2−フルオロ−マンノピラノシル基を有する新規アンスラサイクリン誘導体

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JPH0912590A
JPH0912590A JP7179621A JP17962195A JPH0912590A JP H0912590 A JPH0912590 A JP H0912590A JP 7179621 A JP7179621 A JP 7179621A JP 17962195 A JP17962195 A JP 17962195A JP H0912590 A JPH0912590 A JP H0912590A
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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Sumio Umezawa
純夫 梅澤
Osamu Tsuchiya
修 土屋
Yasushi Takagi
泰 高木
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Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 すぐれた抗腫瘍活性を有し水溶性がよい新規
アンスラサイクリン誘導体を創製する。 【構成】 次の一般式 〔式中、Rは水素原子またはヒドロキシル基である〕で
表されるダウノマイシノンまたはアドリアマイシノン誘
導体として7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ
-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)-ダウノマイシ
ノン又は-アドリアマイシノンが合成された。これら化
合物はすぐれた抗腫瘍活性を示し水溶性が高いので、抗
腫瘍剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低投与量ですぐれた抗癌
又は抗腫瘍活性をもち且つ糖部分として4-アミノ-2,
4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノ
シル基を有する新規なアンスラサイクリン誘導体とその
製造法に関し、またそれを有効成分として含む医薬組成
物に関する。さらに詳しくは、本発明は、抗癌又は抗腫
瘍活性をもち且つ毒性が低い新規なアンスラサイクリン
誘導体として、7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデ
オキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)ダウノ
マイシノンおよび7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリ
デオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アド
リアマイシノンまたはこれらの酸付加塩に関する。ま
た、本発明は、これらの新規アンスラサイクリン誘導体
またはその酸付加塩を含む医薬組成物に関する。さらに
本発明はこれら新規なアンスラサイクリン誘導体の製造
法に関する。さらに本発明はこれら新規なアンスラサイ
クリン誘導体の合成に有用である新規な中間体化合物に
も関する。
【0002】
【従来の技術】アンスラサイクリン系抗生物質として
は、ダウノマイシン(米国特許第3,616,242号
明細書にはダウノルビシンとして記載される)及びアド
リアマイシン(米国特許第3,590,028号明細書にはドキ
ソルビシンとして記載される)が知られており、これら
の化合物は、実験腫瘍に対して広い抗癌スペクトルを有
し、癌化学療法剤として臨床的にも広く利用されてい
る。
【0003】しかし、ダウノマイシン及びアドリアマイ
シンは担癌患者に生じる各種の癌又は腫瘍にかなり強力
な抗癌又は抗腫瘍作用を示すが、必ずしも抗癌剤又は抗
腫瘍剤として満足できない。すなわち、ダウノマイシン
およびアドリアマイシンは癌化学療法剤として担癌患者
の臨床治療に広く使用されているが、しばしば白血球減
少、脱毛、心筋障害等の重篤な副作用を伴うことが知ら
れている。
【0004】従って、従来も、より強力な抗癌又は抗腫
瘍作用と低い毒性を有するダウノマイシン類縁化合物を
見い出すために、種々のダウノマイシン類縁化合物を創
製する試みが行われており、既にいくつか提案されてい
る。例えば、アクラシノマイシンA及びB;4′-O-テ
トラヒドロピラニルアドリアマイシン;N-モノ-ベンジ
ル-又はN-ジ-ベンジル-アドリアマイシンが知られてい
る。
【0005】更に、米国特許第4,427,664号明
細書には、7-O-(3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジ
デオキシ-2-ヨード-α-L-マンノヘキソピラノシル)
ダウノマイシノンと、7-O-(3,4-ジ-O-アセチル-
2,6-ジデオキシ-2-ヨード-α-L-タロ-ヘキソピラ
ノシル)ダウノマイシノンが記載される。
【0006】本発明者らは、ダウノマイシン又はアドリ
アマイシンより秀れた抗癌又は抗腫瘍活性を示すが、低
い毒性をもつダウノマイシン誘導体又はアドリアマイシ
ン誘導体を創製することを目的として研究を進めた。そ
の研究の一環としてダウノマイシン及びアドリアマイシ
ンの糖部分を化学的修飾したダウノマイシン誘導体及び
アドリアマイシン誘導体の若干をすでに合成した。例え
ば、本発明者らは、4′-O-テトラヒドロピラニル-ダ
ウノマイシン又は-アドリアマイシン類及び3′-デアミ
ノ-3′-モルホリノ-ダウノマイシン又は-アドリアマイ
シン類を発表している。
【0007】また、本発明者らは、抗癌又は抗腫瘍活性
をもつ次の一般式(A) 〔式中、Raは水素原子又は水酸基を表わす〕で表され
るアンスラサイクリン誘導体、例えば7-O-(2,6-
ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)ダウ
ノマイシノン及び7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フル
オロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノンを合
成することに成功した(特公平6-31298号及び欧州特許
第0230013号)。
【0008】また、本発明者らは、抗腫瘍活性をもつ次
の一般式(B) 〔式中、R′は基−(CH2)m−H(但しmは1〜6の整数
を表わす)又は基−(CH2)n−COOH(但しnは0又は1〜
10の整数を表わす)を表わす〕で示されるアンスラサイ
クリン誘導体を合成することにも成功した(特公平7-42
304号及び欧州特許第0275431号)。
【0009】さらに、本発明者らは、抗腫瘍活性をもつ
次の一般式(C) 〔式中、R1は水素原子又は水酸基であり、R2はメトキ
シ基又は水素原子であり、A及びBは共に水素原子であ
るか、あるいはA及びBが一緒になって式-CH2-CH2-O-C
H2-CH2-の連鎖を形成する〕で示されるアンスラサイク
リン誘導体を合成することに成功した(特開昭64-20339
7号)。この一般式(C)のアンスラサイクリン誘導体
の例には、7-O-(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ
-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)ダウノマイシノ
ン;7-O-(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-2-
フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノ
ン;7-O-(2,3,6-トリデオキシ-2-フルオロ-3
-モルホリノ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノ
ンおよびその他がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記の一般式(A)の
アンスラサイクリン誘導体の一例である7-O-(2,6-
ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリ
アマイシノンは顕著な抗腫瘍活性を示したが、水に難溶
性のため、注射薬として製剤するのが難しい問題があっ
た。水溶性をより増したアンスラサイクリン誘導体を得
るために、前記の一般式(B)及び一般式(C)のアン
スラサイクリン誘導体が合成された。一般式(C)の誘
導体のうち、7-O-(3-アミノ-2,3,6-トリデオキ
シ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシ
ノンは水溶性の化合物であるが、その抗腫瘍活性はアド
リアマイシンに比較して高いものの著るしく増強された
とは認められなかった。
【0011】本発明者らは、更に、ダウノマイシン、ア
ドリアマイシン及び上記の一般式(A)、(B)又は
(C)の抗腫瘍性アンスサイクリン誘導体より高い抗癌
又は抗腫瘍活性を低い投与量でも示し且つ満足な水溶性
を示し、また低毒性である新しいアンスラサイクリン誘
導体を創製する目的で種々研究を行ってきた。
【0012】前記の一般式(A)及び(B)のアンスラ
サイクリン誘導体の抗癌又は抗腫瘍活性は、ダウノマイ
シンやアドリアマイシンより格段に優れているが、未だ
十分に満足できるものではない。前記の一般式(C)の
アンスラサイクリン誘導体のすべては水溶性であるけれ
ども、アドリアマイシンに比べてはほぼ同等の又は低い
抗癌又は抗腫瘍活性しか示さないものが多い。
【0013】従って、依然として、従来既知のアンスラ
サイクリン誘導体に比べてさらに強い抗癌又は抗腫瘍活
性を有する新規アンスラサイクリン誘導体が望まれてい
る。また、一般に、抗癌又は抗腫瘍性化合物は投与する
場合、それを注射剤の形に製剤して投与するのが臨床上
便利である。従って強い抗癌又は抗腫瘍活性を示すが低
毒性であり、しかも高い水溶性を有するような性質をも
つ新規な抗癌又は抗腫瘍剤を関発することは、各種の癌
又は腫瘍を治療する目的から常に要望されている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに、本発明者らは新規なフッ素化されたアミノ糖を有
する新規アンスラサイクリン誘導体を合成することを目
的として研究を続けた。
【0015】その研究の結果として、前記の一般式
(A)のアンスラサイクリン誘導体の合成の際に得られ
たメチル 4-O-ヘンジル-2,6-ジデオキシ-2-フル
オロ-α-L-タロピラノシドから出発して多段階工程を
経て4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-
α-L-マンノピラノースの1-O-アセチル誘導体又は4
-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-
マンノピラノシル・ブロマイド又はこれらの3,4-ジ-
O,N-保護誘導体を新規化合物として合成することに
成功した。
【0016】そして、これら新らたに合成された4-ア
ミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マ
ンノピラノース誘導体を利用して且つダウノマイシノン
又はアドリアマイシノンの7位水酸基に4-アミノ-2,
4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マノンピラノ
シル基を縮合することから成る方法によって、糖部分と
して4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-
α-L-マンノピラノシル基を有する新規なアンスラサイ
クリン誘導体として、後記の一般式(I)で表される新
規ダウノマイシノン誘導体又はアドリアマイシノン誘導
体またはそれらの酸付加塩を合成することに成功した。
更に、一般式(I)の新規アンスラサイクリン誘導体は
水溶性であること、また低投与量で投与して高い抗癌又
は抗腫瘍活性を示し且つ高い抗癌又は抗腫瘍効果を与え
る低投与量ではそれの投与を受けた被験動物で急性毒性
の発現を起さないことが知見された。
【0017】従って、第1の本発明によると、次の一般
〔式中、Rは水素原子又はヒドロキシル基である〕で表
されるダウノマイシノン又はアドリアマイシノン誘導体
またはそれの製薬学的に許容できる酸付加塩が提供され
る。
【0018】一般式(I)のダウノマイシノン又はアド
リアマイシノン誘導体の製薬学的に許容できる酸付加塩
の例には、該誘導体の4′位アミノ基を製薬学的に許容
できる無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、あるいは製
薬学的許容できる有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、
くえん酸、乳酸、メタンスルホン酸と常法で反応させて
形成される酸付加塩がある。
【0019】一般式(I)のダウノマイシノン又はアド
リアマイシノン誘導体の例には、本発明による下記の化
合物(a)と化合物(b)がある。 (1) 化合物(a):次式 で表される7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ
-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)ダウノマイシ
ノン(後記の実施例1参照)。
【0020】(2) 化合物(b):次式 で表される7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキ
シ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリアマ
イシノン(後記の実施例2参照)。
【0021】本発明による一般式(I)の新規アンスラ
サイクリン誘導体は、実験的な動物腫瘍に対して顕著な
抗腫瘍活性を有し、その抗腫瘍活性が低投与量で投与さ
れる場合にダウノマイシン及びアドリアマイシンに比べ
てほぼ同等であるか、若しくは顕著に増強されているこ
とがin vivo試験によって確かめられた。
【0022】以下に、第1の本発明による一般式(I)
のアンスラサイクリン誘導体に包含される前記の式(I
a)の化合物及び式(Ib)の化合物について、それらの
抗腫瘍活性の試験例を示す。
【0023】試験例1 本例では、マウス白血病ロイケミアL-1210細胞により
誘起されたCDF1マウスの白血病に対する本発明化合
物の抗腫瘍活性を試験した。実験的な動物腫瘍に対する
抗腫瘍効果を評価するために、CDF1マウス(1群4
匹)の腹腔内へマウス白血病ロイケミアL-1210の細胞
の1×105個/マウスを移植した。その移植から24時間
後より連日9日間、毎日1回、生理食塩水に溶解した本
発明の供試化合物(塩酸塩として)の溶液を腹腔内注射
により投与した。その投与後から60日間、処理されたマ
ウスの観察を行った。対照区(未処理区)のマウスには
L-1210細胞の移植後に生理食塩水のみを投与した。処
理区と対照区のマウスの生存日数を計測し平均生存日数
を算定した。対照区マウスの平均生存日数(C)と処理
区マウスの平均生存日数(T)とからマウスの延命率
(T/C、%)を求めた。比較のため、7-O-(3-ア
ミノ-2,3,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-タ
ロピラノシル)アドリアマイシノン(略号:3-A-FT-
ADM)(塩酸塩として)、ダウノマイシン(塩酸塩とし
て)およびアドリアマイシン(塩酸塩として)も同様に
試験した。その結果を下記の表1に示す。対照区(未処
理区)マウスの平均生存日数は8〜9日であり、ダウノ
マイシンまたはアドリアマイシン(比較)の投与の比較
区のマウスの平均生存日数はダウノマイシンまたはアド
リアマイシン投与量に応じて変動する。
【0024】なお、表1中で符号「>」は腫瘍の移植を
受けたが供試化合物の投与により治癒されて60日間又は
それ以上生存したマウスが供試マウス4匹中に少なくと
も1匹いたことを示す。なお、延命率(%)の数値の下
に括弧で示された分数について、分数の分母は供試マウ
スの1群中の匹数を表わし、分子は60日間以上生存し
たマウスの匹数を表わす。
【0025】
【0026】上記の in vivo試験において、第1の本発
明による一般式(I)の本発明の化合物はいずれも水溶
性であり、また高い抗腫瘍活性を示す。ダウノマイシン
誘導体である本発明化合物(a)は投与量が0.6〜1.
25mg/kgの範囲においてダウノマイシンとほぼ同程度
の抗腫瘍活性を示したが、比較の3-A-FT-ADMに
比べると弱い抗腫瘍効果を示す。他方、アドリアマイシ
ン誘導体である本発明化合物(b)は、これを1.25
〜0.3mg/kgという低投与量で投与した場合に得られ
た延命率のT/C(%)が、544%以上乃至787%
以上の値であり、60日間生存マウス(治癒例のマウ
ス)が供試動物の12匹中の8匹に達するという顕著な
抗腫瘍活性を示し、1.25〜0.3mg/kgの量で投与さ
れたアドリアマイシンに比して抗癌又は抗腫瘍活性が著
るしく増強されたことが認められる。また3-A-FT-
ADMと比較すると、本発明化合物(b)は1.25〜
0.3mg/kgという低投与量では、延命率(T/C,%)
を指標とする抗癌又は抗腫瘍活性が顕著に増強したのが
認められる。
【0027】上記の試験例1で比較薬剤として用いたダ
ウノマイシン又はアドリアマイシンは、臨床上で実用さ
れている抗癌剤であって、治療すべき癌の種類に応じて
0.4mg/kg〜2mg/kgの範囲の投与量で人間に投与さ
れている。この実用されているダウノマイシン又はアド
リアマイシンは、L-1210癌細胞を接種されたマウスに
ついて投与量2.5mg/kg/日〜5mg/kg/日で投与した
場合に、夫々に、得られた延命率(T/C、%)が13
8〜171%又は最大でも330%程度である抗癌又は
抗腫瘍効果を示し且つ毒性の発現を伴う。
【0028】しかし、これに対比して、L-1210癌細胞
を接種されたマウスに対して0.3〜1.25mg/kg/日
の範囲内の適当な低い投与量で投与された本発明による
式(Ib)のアドリアマイシノン誘導体(b)は毒性の発
現を示すことがなく、しかもより顕著に高い延命率(T
/C、%)を示し得ること、特に完全治癒を含む延命率
が約550%又はそれ以上であるという極めて優れた抗
腫瘍効果を示すことは注目すべきことである。従って、
本発明化合物(a)及び(b)は、特に本発明化合物
(b)は臨床治療上で担癌患者に多量に投与をしないで
も抗腫瘍効果を期待できる利点がある。
【0029】このことから、一般式(I)で表される第
1の本発明による新規アンスラサイクリン誘導体は抗腫
瘍活性が優れ且つ水溶性も高いので、臨床で実用できる
抗腫瘍剤として極めて有用であり且つダウノマイシン又
はアドリアマイシンと同様に各種の腫瘍の治療に有用で
あると期待される。従って、第1の本発明による一般式
(I)の化合物は腫瘍又は癌の治療剤として固形癌及び
腹水癌等の医療的処理に有用に使用することができる。
【0030】従って、第2の本発明の要旨において、上
記の一般式(I)で示されるダウノマイシノン又はアド
リアマイシノン誘導体、またはその製薬学的に許容でき
る酸付加塩を有効成分として含有して且つ製薬学的に許
容できる担体を有効成分と組合わせて含有することを特
徴とする医薬組成物、特に抗腫瘍剤組成物が提供され
る。
【0031】一般式(I)の本発明化合物を実際に投与
する場合には、一般に非経口的に投与することもでき
る。本発明の化合物を、医薬製剤の分野で用いられる通
常の製薬学的に許容できる固体又は液体状の担体と配合
して散剤、顆粒剤、錠剤またはシロップあるいは注射剤
等の剤型に製剤して、経口的に投与することもできる。
【0032】一般的の投与方法としては、動物の場合、
腹腔内注射、皮下注射、静脈又は動脈への血管内注射及
び局所投与等の注射剤として、ヒトの場合は静脈又は動
脈への血管内注射又は局所投与等の注射剤として投与さ
れ、その投薬量は動物試験の結果及び種々の情況を勘案
して総投与量が一定量を越えない範囲で、連続的又は間
けつ的に投与することができる。
【0033】しかし、本発明化合物の投与量は投与方
法、患者、又は被処理動物の状況例えば年令、体重、性
別、感受性、食餌、投与時間、投与方法、併用する薬
剤、患者又はその病気の程度に応じて適宜に変えて投与
することはもちろんである。本発明化合物の通常の投与
量は、抗腫瘍剤又は抗癌剤として用いる場合に、ダウノ
マイシン又はアドリアマイシンと同程度の又はそれ以下
の投与量とすることができる。一定の条件の下における
本発明化合物の適当な投与量と投与回数は、上記の指針
を基として専門医の適量決定試験によって決定されなけ
ればならない。これらの投与条件は、経口投与において
も同様に考慮される。
【0034】次に、第1の本発明による一般式(I)の
ダウノマイシノン誘導体又はアドリアマイシノン誘導体
の製造法を説明する。
【0035】一般式(I)で表される7-O-(4-アミ
ノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マン
ノピラノシル)-ダウノマイシノン又は-アドリアマイシ
ノンの製造には、新規な糖化合物として、3-O-保護-
4-N-保護-4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フ
ルオロ-α-L-マンノピラノースの1-O-アセチル体あ
るいは3-O-保護-4-N-保護-4-アミノ-2,4,6-
トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル・
ブロマイド又はヨーダイドが必要である。これら新規な
糖化合物の合成のための各工程(1)〜(8)を先づ簡
略に説明するが、その合成法の各工程の反応の詳細は後
記の参考例1に記載される。下記の説明中で、後記の式
中に示されるBnはベンジル基を、Acはアセチル基を、
またTBSはターシャリーブチルジメチルシリル基〔-S
i(CH3)2-C(CH3)3〕を意味する。
【0036】工程(1): 既知の化合物である次式 のメチル 4-O-ベンジル-2,6-ジデオキシ-2-フル
オロ-α-L-タロピラノシド〔化合物(1)〕をターシャ
リーブチルクロロジメチルシラン〔(CH3)3CSi(CH3)2C
l〕と反応させることにより、化合物(1)の3位水酸基
をシリル化すると、3-O-シリル化誘導体として、次式 のメチル 4-O-ベンジル-3-O-ターシャリーブチル
ジメチルシリル-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L
-タロピラノシド〔化合物(2)〕を得る。
【0037】工程(2): 化合物(2)の4位のベン
ジル基をパラジウム触媒の存在下に水素で接触還元によ
り脱離して次式 のメチル 3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシド
〔化合物(3)〕を生成する。
【0038】工程(3): 化合物(3)の4位水酸基
を無水トリフルオロメタンスルホン酸でスルホニル化す
ることにより、4-O-スルホニル化生成物として次式 のメチル 3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-トリフルオロメ
チルスルホニル-α-L-タロピラノシド〔化合物
(4)〕を得る。
【0039】工程(4): 化合物(4)を無水N,N
-ジメチルホルムアミド(DMF)中でアジ化リチウム
と反応させることにより、4位の立体配置の反転と共に
4-アジド化生成物として次式 のメチル 4-アジド-3-O-ターシャリーブチルジメチ
ルシリル-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L
-マンノピラノシド〔化合物(5)〕を得る。
【0040】工程(5):化合物(5)の4位のアジド
基をラネ-ニッケル触媒の存在下に水素で接触還元によ
りアミノ基に転化して次式 のメチル 4-アミノ-3-O-ターシャリーブチルジメチ
ルシリル-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L
-マンノピラノシド〔化合物(6)〕を生成する。
【0041】工程(6):化合物(6)の4位のアミノ
基をピリジン中で無水トリフルオロ酢酸でアシル化する
ことにより、4-N-保護化生成物として次式 のメチル 3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-4-(トリフル
オロアセチルアミノ)-α-L-マンノピラノシド〔化合
物(7)〕を得る。
【0042】工程(7):化合物(7)を無水酢酸、酢
酸及び硫酸の混合物で室温で処理すると、3-O-ターシ
ャリーブチルジメチルシリル基の脱離と脱メチル化とジ
-O-アセチル化が同時に進み、それによって次式 の1,3-ジ-O-アセチル-2,4,6-トリデオキシ-2
-フルオロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-L-マン
ノピラノース〔化合物(8)〕が生成する。この化合物
(8)はα-アノマー〔化合物(8-a)〕とβ-アノマー
〔化合物(8-b)〕との混合物である。この化合物
(8)をジクロロメタンで展開されるシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにかけると、α-アノマー〔化合物
(8-a)〕とβ-アノマー〔化合物(8-b)〕とを別々
に単離できる。
【0043】工程(8): 化合物(8)(上記のα-及
びβ-アノマー混合物)を臭化水素の酢酸溶液中で常法
で臭素化させることにより、1-ブロム糖として次式 の3-O-アセチル-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオ
ロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-α-L-マンノ
ピラノシル ブロマイド〔化合物(9)〕を得る。な
お、化合物(8)を無水トルエン中でヨードトリメチル
シランと反応させると、対応の1-ヨード糖が得られ
る。
【0044】前記の化合物(7)、化合物(8)及び化
合物(9)は新規化合物である。上述のように、化合物
(8)から臭素化によって化合物(9)を生成すると同
様に、化合物(8)から適当な沃化剤により対応の1-
ヨード糖を生成できる。また、化合物(9)における3
位水酸基を保護するアセチル基に代えて、別の適当なヒ
ドロキシル保護基としてベンゾイル基を導入しておくこ
ともできる。
【0045】すなわち、前記の化合物(7)を無水安息
香酸、安息香酸及び硫酸の混合物で処理すると、1,3
-ジ-O-ベンゾイル-2,4,6-トリデオキシ-2-フル
オロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-L-マンノピ
ラノースを収得できる。後者化合物を上記の工程(8)
と同様に臭化水素の酢酸溶液で処理して臭素化すると、
3-O-ベンゾイル-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオ
ロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-α-L-マンノ
ピラノシル ブロマイドを生成できる。
【0046】第1の本発明による式(Ia)の7-O-(4
-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-
マンノピラノシル)ダウノマイシノン、即ち本発明化合
物(a)の製造をするには、ダウノマイシノンの7位水
酸基に前記のブロマイド化合物(9)、あるいは一般的
には3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-2,4,6-ト
リデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル・ハ
ライドを縮合反応させ、次いで、得られた縮合生成物か
らヒドロキシル保護基及び(又)アミノ保護基が残留す
る場合に、これら残留の保護基を常法で脱離することか
らなる方法が行われる。この方法では、前記の化合物
(9)とダウノマイシノンを無水ジクロロエタンにとか
して臭化又は沃化第2水銀、黄色酸化第2水銀及びモレ
キュラーシーブス3Aの存在下に縮合させ、生成された
α-L-縮合生成物を反応液から回収し、次いでこれをア
ルカリ加水分解により残留の保護基のアセチル基および
トリフルオロアセチル基を脱離し、これによって目的の
本発明化合物(a)(後記の実施例2参照)を生成する
のが便利である。
【0047】しかし、一般的には、本発明の第3の要旨
においては、次式 で表わされるダウノマイシノンを有機溶媒中で縮合触媒
の存在下に次式 〔式中、Y′がヒドロキシル保護基としてアセチル基ま
たはベンゾイル基でY″がアミノ保護基としてトリフル
オロアセチル基であり、Xは臭素または沃素原子であ
る〕で示される3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-2,
4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-L-マンノピラノシ
ル・ハライドと縮合反応させて次式 〔式中、Y′およびY″は前記と同じ意味である〕で表
わされる7-O-(3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-
2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピ
ラノシル)ダウノマイシノンを生成し、次いで得られた
上記の式(Ia′)の縮合生成物から、この中に残留する
ヒドロキシル保護基(Y′)とアミノ保護基(Y″)を
脱離することから成る、次式 で表わされる7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオ
キシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)ダウノマ
イシノンの製造法が提供される。
【0048】さらに、第1の本発明による式(Ib)の7
-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオ
ロ-α-L-マンノピラノシル)アドリアマイシノン、即
ち本発明の化合物(b)の製造は、前記の式(Ia)のダ
ウノマイシノン誘導体の14位メチル基をヒドロキシメチ
ル基に転化する既知の方法(特開平1-299296号又は米国
特許第4,125,607号参照)の応用により行うことができ
る。
【0049】従って、第1の本発明による式(Ib)のア
ドリアマイシノン誘導体、即ち前記の本発明化合物
(b)の製造法として、本発明の第4の要旨において
は、前記の式(Ia)の7-O-(4-アミノ-2,4,6-
トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)
ダウノマイシノンの13位カルボニル基を、オルト蟻酸メ
チルと反応させることからなるジメチルケタール化にか
け、これによって次式 で示される化合物を生成し、次に、式(IV)の化合物を
臭素と反応させて次式 で示される化合物を生成し、さらに式(V)の化合物を
臭化水素酸で加水分解するか、あるいはアセトンによる
ケタール変換にかけることにより該化合物からジメチル
ケタール基を脱離して次式 の化合物を生成し、次いで式(VI)の化合物を加水分解
して基-CH2-Brを基-CH2OHに転化することを特徴とす
る、式(Ib)の7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデ
オキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリ
アマイシノンの製造法が提供される。
【0050】式(Ib)の本発明化合物を製造する第4の
本発明による上記の方法において、原料として用いられ
る式(Ia)のダウノマイシノン誘導体の13位カルボニル
基のジメチルケタール化の工程は、式(Ia)のダウノマ
イシノン誘導体に対して、メタノール、ジオキサン又は
これらの混合溶媒中で0〜50℃の温度でオルトギ酸メ
チルを反応させて行われる。次いで、得られた式(IV)
の化合物を0〜50℃の温度でハロゲン化炭化水素、例
えばジクロロメタン、低級アルカノール、例えばメタノ
ール、あるいはジオキサン又はテトラヒドロフラン中で
臭素と反応させて、式(V)の化合物を生成する。さら
に、式(V)の化合物からジメチルケタール基を脱離す
るために臭化水素酸又はアセトンで処理すると、式(V
I)の化合物を生成する。
【0051】式(VI)の化合物を、それの14位のブロモ
メチル基(-CH2-Br)から加水分解によるヒドロキシメチ
ル基の形成のため、ギ酸ナトリウム又はギ酸リチウムと
反応させる。ギ酸ナトリウム又はギ酸リチウムとの反応
は、水、あるいはジメチルスルホキシド、ジメチルホル
ムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテ
ル類、アセトン等のケトン類よりなる溶媒の中で0〜5
0℃で、反応時間を1〜48時間として行われる。次い
で、副反応としてホルミルオキシ基が生成したアドリア
マイシノン誘導体の14位に導入された場合には、アンモ
ニア水又は重曹水で処理する加水分解にかけるとホルミ
ルオキシ基の分解が達成される(特開平1-299296号又は
米国特許第4125607号の実施例1に示されるアルカモネ
法の改変法による)。こうして、第1の本発明による式
(Ib)のアドリアマイシノン誘導体が生成される(後記
の実施例3参照)。
【0052】さらにまた、第1の本発明による式(Ib)
のアドリアマイシノン誘導体の製造は、アドリアマイシ
ノンの14位水酸基を適当なヒドロキシル保護基、好まし
くはトリフェニルメチル基(略号:Tr)で保護された
アドリアマイシノン保護体、例えば14-O-トリフェニ
ルメチルアドリアマイシノンを調製し、このアドリアマ
イシノンの14-O-保護体の7位のヒドロキシル基に対
して、前記の化合物(9)、一般的には前出の式(II
I)の3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-2,4,6-ト
リデオキシ-2-フルオロ-L-マンノピラノシル・ハライ
ドを縮合させ、さらに、得られた縮合生成物中に残留の
ヒドロキシル保護基及びアミノ保護基がある場合にはこ
れらの保護基を慣用の脱保護法により脱離することから
成る方法によっても行い得る。
【0053】従って、本発明の第5の要旨においては、
次式 〔式中、Tはヒドロキシル保護基を示す〕で表わされる
14-O-保護-アドリアマイシノンを有機溶媒中で縮合
触媒の存在下に次式 〔式中、Y′がヒドロキシル保護基としてアセチル基ま
たはベンゾイル基でY″がアミノ保護基としてトリフル
オロアセチル基であり、Xは臭素または沃素原子であ
る〕で示される3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-2,
4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-L-マンノピラノシ
ル・ハライドと縮合反応させて次式 〔式中、Y′およびY″ならびにTは前記と同じ意味で
ある〕で表わされる14-O-保護-7-O-(4-アミノ-
3,4-ジ-O,N-保護-2,4,6-トリデオキシ-2-
フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリアマイシノ
ンを生成し、次いで得られた上記の式(Ib′)の縮合生
成物から、この中に残留するヒドロキシル保護基(Y′
およびT)とアミノ保護基(Y″)がある場合に、これ
らの残留する保護基を脱離することから成る、次式 で表わされる7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオ
キシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリア
マイシノンの製造法が提供される。
【0054】上記の式(VII)の14-O-保護-アドリア
マイシノンにおけるヒドロキシル保護基Tは弱酸性の条
件下でも加水分解により脱離し易い基であるのが好まし
く、前記のトリフェニルメチル基であるのが便利である
が、p-メトキシフェニルジフェニルメチル基であって
もよい。この保護基Tはアドリアマイシノンの14位水
酸基に常法で導入できて式(VII)のアドリアマイシノ
ンの14-O-保護誘導体を調製できる。
【0055】上記の第5の本発明による方法では、式
(VII)の14-O-保護-アドリアマイシノン誘導体と式
(III)のマンノピラノシル・ハライドとを有機溶媒、例
えばジクロロエタンにとかして、その溶液に臭化又は沃
化第2水銀、黄色酸化第2水銀及びモレキュラーシーブ
ス3Aを加え、これらの触媒の存在下に縮合させ、生成
された式(Ib′)のα-L-縮合生成物を反応液から回収
し、次いでこれをアルカリ加水分解により残留のヒドロ
キシル保護基Y′のアセチル基(又はベンゾイル基)を
脱離し、アミノ保護基Y″としてトリフルオロアセチル
基も脱離し、また弱酸性下に酸加水分解により残留の1
4-O-保護基T、例えばトリフェニルメチル基を脱離
し、これによって目的の化合物(Ib)(後記の実施例4
参照)を生成するのが便利である。
【0056】なお、前記の一般式(III)の糖ハライド
は新規化合成物であり、しかも前記の一般式(I)のア
ンスラサイクリン誘導体の合成に利用される中間体とし
て有用である。従って、本発明の第6の要旨は、次の一
般式 〔式中、Y′がアセチル基またはベンゾイル基であり、
Y″はトリフルオロアセチル基であり、Xは臭素または
沃素原子である〕で示される3,4-ジ-O,N-保護-4
-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-L-マ
ンノピラノシル・ハライドを包含する。
【0057】次に本発明を、種々の4-アミノ-2,4,
6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノース
誘導体の合成を例示する実施例1、ならびに本発明によ
る式(Ia)及び式(Ib)の新規アンスラサイクリン誘導
体の合成を例示する実施例2、3及び4について具体的
に説明する。これらの実施例1〜4において示された式
では、Bnはベンジル基、Acはアセチル基、TBSはタ
ーシャリーブチルジメチルシリル基、Trはトリフェニ
ルメチル基を示す。
【0058】実施例1 (1) メチル 4-O-ベンジル-3-O-ターシャリー
ブチルジメチルシリル-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ
-α-L-タロピラノシド(化合物2)の製造 メチル 4-O-ベンジル-2,6-ジデオキシ-2-フルオ
ロ-α-L-タロピラノシド(化合物1)〔K. OK, Y. Taka
gi, T. Tsuchiya, S. Umezawa及びH. Umezawa,「Carboh
ydrate Research」、169巻, 69-81頁(1987年)〕1.8
gを無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)3.5
mlに溶解した。その溶液にイミダゾール1.24g、およ
びターシャリーブチルクロロジメチルシラン1.23gの
無水DMF溶液6mlを加え、得られた混合物を室温で一
夜放置した。
【0059】得られた反応液にメタノール0.8mlを加
え、室温にて1時間放置した。こうして得られた反応液
を水に滴下して、次いで、得られた含水混合物をクロロ
ホルムで抽出した。得られたクロロホルム溶液(抽出
液)を10%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液、水で順次に洗浄し、さらに、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、その後に減圧濃縮した。得られた残
渣を、キシレンを加え得られた溶液の減圧濃縮をくり返
す処理にかけてDMFを除去した。最終に得られる残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ト
ルエン−酢酸エチル,25:1)により精製すると、表題
の化合物(2)の2.08g(収率86%)をシロップとし
て得た。
【0060】 〔α〕D 26 −32°(c1,クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 3.37 (3H, s, OCH3) 0.95 (9H, s, C(CH3)3) 0.15, 0.14(それぞれ3H, s, Si(CH3)2)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl3を内
部標準とした):δ -204.3 (ddd)。
【0061】(2) メチル 3-O-ターシャリーブチ
ルジメチルシリル-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-
L-タロピラノシド(化合物3)の製造 前項(1)で得られた化合物(2)、すなわちメチル
4-O-ベンジル-3-O-ターシャリーブチルジメチルシ
リル-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラ
ノシド1.32gをジオキサン40ml、酢酸2.6ml、水
4mlの混液に溶解した。その溶液にパラジウム黒の存在
下に水素ガスを4.5時間吹き込み接触還元を行った
(ベンジル基の脱離)。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃
縮し、得られる残渣をクロロホルムに溶解した。そのク
ロロホルム溶液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し次いで減圧濃縮した。表題の
化合物(3)の0.92g(95%)をシロップとして得
た。
【0062】 〔α〕D 24 −84°(c1,クロロホルム) 元素分析(C13H27FO4Siとして): 理論値 C, 53.03; H, 9.24; F, 6.45% 分析値 C, 53.31; H, 9.57; F, 6.19%
【0063】(3) メチル 3-O-ターシャリーブチ
ルジメチルシリル-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-
O-トリフルオロメチルスルホニル-α-L-タロピラノシ
ド(化合物4)の製造 前項(2)で得られた化合物(2)、すなわちメチル
3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-2,6-ジデ
オキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシド0.92gを
無水ジクロロメタン9mlと無水ピリジン1.5mlの混液
に溶解した。得られた溶液に氷冷下で無水トリフルオロ
メタンスルホン酸0.98mlを加え、得られた混合物を
氷浴中にて1.5時間放置して反応させた(4-O-トリフ
ルオロメチルスルホニル化)。
【0064】その反応液にメタノール3.8mlを加え3
0分間放置した後、反応液をクロロホルムで希釈した。
得られたクロロホルム溶液を10%硫酸水素カリウム水溶
液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次に洗浄
し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後乾燥
された溶液を減圧濃縮をして表題化合物(4)の1.2
9g(97%)を固体として得た。
【0065】 〔α〕D 23 −60°(c1,クロロホルム)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl3を内
部標準とした): δ -74.8 (3F, s, CF3) -205.3 (1F, ddd, F-2)
【0066】(4) メチル 4-アジド-3-O-ターシ
ャリーブチルジメチルシリル-2,4,6-トリデオキシ
-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシド(化合物5)の
製造 前項(3)で得られた化合物(4)、すなわちメチル
3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-2,6-ジデ
オキシ-2-フルオロ-4-O-トリフルオロメチルスルホ
ニル-α-L-タロピラノシド1.68gをDMF17mlに溶
解した。その溶液にアジ化リチウム0.98gを加え、9
0℃にて1時間反応させた(4-アジド化)。
【0067】その反応液をクロロホルムで希釈し、水洗
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られ
た残渣を、キシレンを加え、得られる溶液を減圧濃縮す
ることをくり返す処理にかけて、DMFを除去した。最
終に得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開溶媒:トルエン)で精製し、表題化合物(5)
の0.75g(61%)をシロップとして得た。
【0068】 〔α〕D 23 −148°(c1,クロロホルム) IRスペクトル(KBrディスク):2110 cm-1(N31 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 3.34 (1H, t, H-4, J3,4=J4,5=10 Hz)
【0069】(5) メチル 4-アミノ-3-O-ターシ
ャリーブチルジメチルシリル-2,4,6-トリデオキシ
-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシド(化合物6)の
製造 前項(4)で得られた化合物(5)、すなわちメチル
4-アジド-3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピ
ラノシド645mgをジオキサン28mlに溶解した。その
溶液へラネーニッケルを加え、室温にて1時間攪拌して
還元反応を行った(4-アジド基の還元)。
【0070】反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮すること
により表題化合物(6)の576mg(収率97%)をシロ
ップとして得た。
【0071】 〔α〕D 23 −45°(c1,クロロホルム) 元素分析(C13H28FNO3Siとして): 理論値 C, 53.21; H, 9.62; F, 6.47; N, 4.77% 分析値 C, 53.36; H, 9.64; F, 6.65; N, 4.96%
【0072】(6) メチル 3-O-ターシャリーブチ
ルジメチルシリル-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオ
ロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-α-L-マンノ
ピラノシド(化合物7)の製造 前項(5)で得られた化合物(6)、すなわちメチル
4-アミノ-3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピ
ラノシド500mgを無水ジクロロメタン10mlおよび無
水ピリジン1mlの混液に溶解した。その溶液に氷冷下に
無水トリフルオロ酢酸0.5mlを加えた後、室温で2時
間放置して反応を行った(4-アミノ基のトリフルオロ
アセチル化)。
【0073】その反応液に氷冷下にメタノール0.4ml
を加え30分放置して過剰の試薬を分解した後、クロロ
ホルムで希釈した。そのクロロホルム溶液を10%硫酸水
素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水
で順次に洗浄し、その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、減圧濃縮した。これにより表題化合物(7)の61
8mg(93%)を固体として得た。
【0074】 〔α〕D 22 −50°(c1,クロロホルム)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl3を内
部標準とした): δ -76.2 (3F, s, CF3) -207.1 (1F, ddd, F-2)
【0075】(7) 1,3-ジ-O-アセチル-2,4,
6-トリデオキシ-2-フルオロ-4-(トリフルオロアセチ
ルアミノ)-L-マンノピラノース(化合物8)の製造 前項(6)で得られた化合物(7)、すなわちメチル
3-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-2,4,6-
トリデオキシ-2-フルオロ-4-(トリフルオロアセチル
アミノ)-α-L-マンノピラノシド469mgを無水酢酸
5ml、酢酸5ml、硫酸0.1mlの混液に溶解し、室温に
て8時間反応させた(1,3-ジ-O-アセチル化)。反
応液を氷冷下に20%酢酸ナトリウム水溶液110mlに
注ぎ得られた混合物を1時間攪拌したのちクロロホルム
で抽出した。
【0076】得られたクロロホルム溶液を飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液および水で順次洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した。次いで減圧濃縮した。これにより表
題化合物(8)の固体を、α-アノマー(化合物8-a)
およびβ-アノマー(化合物8-b)の混合物として41
0mg(収率99%)得た。
【0077】1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 2.14, 2.16, 2.20 (合わせて6H、それぞれs, OAc) 元素分析(C12H15F4NO6として): 理論値 C, 41.75; H, 4.38; F, 22.01; N, 4.06% 分析値 C, 41.95; H, 4.44; F, 22.08; N, 4.11%
【0078】(8) 3-O-アセチル-2,4,6-トリ
デオキシ-2-フルオロ-4-(トリフルオロアセチルアミ
ノ)-α-L-マンノピラノシル ブロマイド(化合物
9)の製造 前項(7)で得られた化合物(8)、すなわち1,3-
ジ-O-アセチル-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ
-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-L-マンノピラノ
ース590mgを30%臭化水素-酢酸溶液6mlに溶解
し、その溶液を室温にて2.5時間放置して反応を行っ
た(1-臭素化)。反応液をクロロホルムで希釈し、得
られたクロロホルム溶液を冷水、冷飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、冷水で順次洗浄した後に無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。次いで洗浄された溶液を減圧濃縮する
ことにより表題化合物(9)の549mg(88%)をシロ
ップとして得た。
【0079】1H-NMRスペクトル: δ 6.45 (1H, dd, H-1) 2.14 (3H, s, OAc)
【0080】実施例2 (1) 7-O-[3-O-アセチル-2,4,6-トリデオ
キシ-2-フルオロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-
α-L-マンノピラノシル]ダウノマイシノン(化合物1
0)の製造 ダウノマイシノン131mg、黄色酸化第2水銀361m
g、臭化第2水銀123mg、粉末状モレキュラーシーブ
ス3Aの1.45gを無水ジクロロメタン15mlに懸濁さ
せ、得られた懸濁液を30分間攪拌した。その後、この
懸濁液に実施例1(8)で得られた化合物(9)、すな
わち3-O-アセチル-2,4,6-トリデオキシ-2-フル
オロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-α-L-マン
ノピラノシル ブロマイド135mgの無水ジクロロメタ
ン溶液5mlを加えた。得られた混合物を暗所にて4時間
還流した。
【0081】得られた反応液に対してさらに黄色酸化第
2水銀170mg、臭化第2水銀53mgを追加し、暗所に
て24時間還流して縮合反応を完了させた。
【0082】得られた反応液をクロロホルムで希釈し、
セライトを通してろ過した後、ろ液を30%沃化カリウ
ム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次に
洗浄した。洗浄された溶液(ろ液)を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン−アセト
ン,6:1)により分離、精製して、表題化合物(10)
の111mg(60%)を赤色固体として得た。
【0083】 〔α〕D 23 +170°(c0.06,クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 5.56 (1H, dd, H-1′, J1,F=7, J1,2′=2 Hz) 4.06 (3H, s, OCH3) 2.41 (3H, s, Ac) 2.03 (3H, s, OAc)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl3内部
標準): δ -76.5 (3F, s, CF3) -202.8 (1F, ddd, F-2′)
【0084】(2) 7-O-(4-アミノ-2,4,6-
トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)
ダウノマイシノン(化合物11)の製造 実施例2(1)で得られた化合物(10)、すなわち7-
O-[3-O-アセチル-2,4,6-トリデオキシ-2-フ
ルオロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-α-L-マ
ンノピラノシル]ダウノマイシノン31mgに0.2規定
水酸化ナトリウム水溶液3.1mlを加え、得られた溶液を
アルゴン雰囲気下0℃にて3.5時間攪拌して反応した
(3-O-アセチル基およびトリフルオロアセチル基の脱
離)。その反応液に1規定塩酸を0.7ml加えて酸性条
件下で不純物除去のためクロロホルムで洗浄した。
【0085】生成された目的化合物(11)を含む水溶液
に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えpH8とした後
に、クロロホルムで目的を化合物(11)を抽出し、得ら
れたクロロホルム溶液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥後減圧濃縮した。得られた残渣をメタノール−クロ
ロホルム(1:1)の混合溶液に溶解し、0.2規定塩
化水素−メタノール溶液を加え酸性とした後にイソプロ
ピルエーテルを加えて化合物(11)の再沈澱をした。表
題化合物(11)すなわち本発明化合物(a)の塩酸塩2
3mg(収率87%)を赤色固体として得た。
【0086】 〔α〕D 24 +174°(c0.05,メタノール)1 H-NMRスペクトル(重メタノール中): δ 5.46 (1H, br d, H-1′) 4.01 (3H, s, OCH3) 2.38 (3H, s, Ac) 元素分析(C27H28FNO10・HCl・0.5H2Oとして): 理論値 C, 54.87; H, 5.12; F, 3.21; N, 2.37; C
l, 6.00% 分析値 C, 54.72; H, 5.38; F, 3.05; N, 2.45; C
l, 5.81%
【0087】実施例3 7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フル
オロ-α-L-マンノピラノシル)アドリアマイシノン
(化合物12)の製造 実施例2(2)で得られた化合物(11)、すなわち7-
O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ
-α-L-マンノピラノシル)ダウノマイシノン70mgを
無水メタノール1.2ml、無水ジオキサン2mlの混液に
溶解させた。得られた溶液にオルトギ酸メチル0.07m
lを加えて室温で30分間反応させた(13位カルボニル
基のジメチルケタノール化による保護)。その後生成さ
れた前記の式(IV)の化合物を含む反応液を0℃に冷却
し、臭素27mgを無水ジクロロメタン0.2mlに溶解し
た溶液を加え同温度で30分間攪拌した後に室温で1時
間攪拌した。これによって14位の臭素化を行った。
【0088】生成された前記の式(V)の化合物を含む
反応液にイソプロピルエーテル5mlおよびヘキサン10
mlを加え、析出した赤色沈澱を遠心分離により採取し、
ヘキサンで2回洗浄した。この沈澱をアセトン4mlに懸
濁させ室温で1時間攪拌して脱ケタール化を行った。生
成された前記の式(VI)の化合物を含む得られた反応液
に、水3.3mlおよびギ酸ナトリウム70mgを加え室温
で17時間攪拌して、生成した化合物(12)と副生成物
を含む反応液を得た。化合物(12)の採取のため、該反
応液を減圧濃縮してアセトンを留去した後、残った水溶
液をクロロホルムで洗浄し、そのクロロホルム溶液を2
回水洗し、この水洗液を前述の水溶液と合わせた。
【0089】得られた合併溶液をダイヤイオンHP-2
0樹脂26mlを充填したカラムにチャージし、水500
mlで洗浄した後、展開溶媒を50%メタノール水溶液か
らメタノール単独まで徐々に変化させ目的化合物(12)
を含むフラクションを減圧濃縮した。得られた残渣をメ
タノール0.5ml、クロロホルム0.5mlの混液に溶解
し、0.5規定の塩化水素-メタノール溶液0.5mlを加
えて化合物(12)のアミノ基に塩酸を付加する反応を行
った。その後、イソプロピルエーテルを加えて沈澱を析
出せしめ遠心分離により採取し、表題化合物(12)すな
わち本発明化合物(b)の塩酸塩を赤色固体として14
mg(20%)得た。
【0090】 〔α〕D 21 +249°(c0.06,メタノール)1 H-NMRスペクトル(重水中、45℃): δ 5.45 (1H, br d, H-1′) 4.82 (2H, AB q, H-14a, 14b) 3.81 (3H, s, OCH3)19 F-NMRスペクトル(重水中、CFCl3を外部標準): δ -206.4 (br dd, F-2′)
【0091】実施例4 (1) 7-O-[3-O-アセチル-2,4,6-トリデオ
キシ-2-フルオロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-
α-L-マンノピラノシル]-14-O-トリフェニルメチ
ルアドリアマイシノン(化合物13)の製造 14-O-トリフェニルメチルアドリアマイシノン215
mg、黄色酸化第2水銀568mg、臭化第2水銀236m
g、粉末状モレキュラーシーブス3Aの600mgを無水
ジクロロメタン6mlに懸濁させ、得られた懸濁液を30
分間攪拌した。その後、この懸濁液に実施例1(8)で
得られた化合物(9)、すなわち3-O-アセチル-2,
4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-4-(トリフルオロ
アセチルアミノ)-α-L-マンノピラノシル・ブロマイ
ド120mgの無水ジクロロメタン溶液2mlを加えた。得
られた混合物を暗所で19時間還流して縮合反応を行っ
た。
【0092】反応液をクロロホルムで希釈し、セライト
を通してろ過した後、ろ液を30%沃化カリウム水溶
液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次に洗浄し
た。洗浄されたクロロホルム溶液を無水硫酸ナトリウム
で乾燥し減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン-アセト
ン,12:1)により分離精製して表題化合物(13)の1
57mg(51%)を赤色固体として得た。
【0093】 〔α〕D 24 +137°(c0.2,クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 5.48 (1H, dd, H-1′) 4.06 (3H, s, OCH3) 2.02 (3H, s, OAc)
【0094】(2) 7-O-(4-アミノ-2,4,6-
トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)
アドリアマイシノン(化合物12)の製造 実施例4(1)で得られた化合物(13)、すなわち7-
O-[3-O-アセチル-2,4,6-トリデオキシ-2-フ
ルオロ-4-(トリフルオロアセチルアミノ)-α-L-マ
ンノピラノシル]-14-O-トリフェニルメチルアドリ
アマイシノン52mgを0.2規定水酸化ナトリウムのク
ロロホルム−メタノール(2:1)溶液5mlに溶解し、
アルゴン雰囲気下で0℃にて1時間攪拌した後さらに室
温で3時間攪拌して反応した(3-O-アセチル基および
トリフルオロアセチル基の脱離)。反応液にドライアイ
スの小片を加えて中和した後、水とクロロホルムを加え
て希釈し、目的とする化合物をクロロホルムで抽出し
た。クロロホルム溶液を減圧濃縮した後、残渣を80%
酢酸水溶液3mlに溶解し弱酸性の条件下で80℃で2時
間加熱した(トリフェニルメチル基の脱離)。
【0095】その反応液を濃縮し、得られた残渣をキシ
レンに加え、得られた混合物の減圧濃縮をくり返す処理
にかけて酢酸を除去した。残渣をエーテルで洗浄して得
られた固体を水溶液とした後にダイヤイオンHP-20
樹脂30mlを充填したカラムにチャージし展開溶媒を水
からメタノールまで徐々に変化させて展開した。溶出液
のうちで化合物(12)を含むフラクションを減圧濃縮し
た。得られた残渣を実施例3の場合と同様にして再沈澱
を行ない表題化合物(12)すなわち本発明化合物(b)
の塩酸塩を赤色固体として20mg(61%)得た。本化合
物は実施例3で得られた化合物(12)と物性値およびス
ペクトルデーターが一致した。
フロントページの続き (72)発明者 高木 泰 神奈川県横浜市戸塚区川上町412番1−326 号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式 〔式中、Rは水素原子またはヒドロキシル基である〕で
    表されるダウノマイシノンまたはアドリアマイシノン誘
    導体またはその製薬学的に許容できる酸付加塩。
  2. 【請求項2】 次式 で表される7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキ
    シ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)ダウノマイ
    シノンである請求項1に記載の誘導体またはその製薬学
    的に許容できる酸付加塩。
  3. 【請求項3】 次式 で表される7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオキ
    シ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリアマ
    イシノンである請求項1に記載の誘導体またはその製薬
    学的に許容できる酸付加塩。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載される一般式(I)で示
    されるダウノマイシノンまたはアドリアマイシノン誘導
    体またはその製薬学的に許容できる酸付加塩を有効成分
    として含有して且つ製薬学的に許容できる担体を有効成
    分と組合わせて含有することを特徴とする抗腫瘍剤組成
    物。
  5. 【請求項5】 次式 で表されるダウノマイシノンを有機溶媒中で縮合触媒の
    存在下に次式 〔式中、Y′がヒドロキシル保護基としてアセチル基ま
    たはベンゾイル基でY″がアミノ保護基としてトリフル
    オロアセチル基であり、Xは臭素または沃素原子であ
    る〕で示される3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-2,
    4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-L-マンノピラノシ
    ル・ハライドと縮合反応させて次式 〔式中、Y′およびY″は前記と同じ意味である〕で表
    わされる7-O-(3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-
    2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピ
    ラノシル)ダウノマイシノンを生成し、次いで得られた
    上記の式(Ia′)の縮合生成物から、この中に残留する
    ヒドロキシル保護基(Y′)とアミノ保護基(Y″)を
    脱離することから成る、次式 で表わされる7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオ
    キシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)ダウノマ
    イシノンの製造法。
  6. 【請求項6】 請求項2に示される式(Ia)の7-O-
    (4-アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α
    -L-マンノピラノシル)ダウノマイシノンの13位カルボ
    ニル基を、オルト蟻酸メチルと反応させることからなる
    ジメチルケタール化にかけ、これによって次式 で示される化合物を生成し、次に、式(IV)の化合物を
    臭素と反応させて次式 で示される化合物を生成し、さらに式(V)の化合物を
    臭化水素酸で加水分解するか、あるいはアセトンによる
    ケタール変換にかけることによりジメチルケタール基を
    脱離して次式 の化合物を生成し、次いで式(VI)の化合物を加水分解
    して基−CH2−Brを基−CH2OHに転化することを特徴とす
    る、請求項3に示される式(Ib)の7-O-(4-アミノ-
    2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-α-L-マンノピ
    ラノシル)アドリアマイシノンの製造法。
  7. 【請求項7】 次式 〔式中、Tはヒドロキシル保護基を示す〕で表される1
    4-O-保護-アドリアマイシノンを有機溶媒中で縮合触
    媒の存在下に次式 〔式中、Y′がヒドロキシル保護基としてアセチル基ま
    たはベンゾイル基でY″がアミノ保護基としてトリフル
    オロアセチル基であり、Xは臭素または沃素原子であ
    る〕で示される3,4-ジ-O,N-保護-4-アミノ-2,
    4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-L-マンノピラノシ
    ル・ハライドと縮合反応させて次式 〔式中、Y′およびY″ならびにTは前記と同じ意味で
    ある〕で表わされる14-O-保護-7-O-(4-アミノ-
    3,4-ジ-O,N-保護-2,4,6-トリデオキシ-2-
    フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリアマイシノ
    ンを生成し、次いで得られた上記の式(Ib′)の縮合生
    成物から、この中に残留するヒドロキシル保護基(Y′
    およびT)とアミノ保護基(Y″)を脱離することから
    成る、次式 で表わされる7-O-(4-アミノ-2,4,6-トリデオ
    キシ-2-フルオロ-α-L-マンノピラノシル)アドリア
    マイシノンの製造法。
  8. 【請求項8】 次の一般式 〔式中、Y′がアセチル基またはベンゾイル基であり、
    Y″はトリフルオロアセチル基であり、Xは臭素または
    沃素原子である〕で示される3,4-ジ-O,N-保護-4
    -アミノ-2,4,6-トリデオキシ-2-フルオロ-L-マ
    ンノピラノシル・ハライド。
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