JPH0660189B2 - 2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−l−タロピラノ−ス又はその誘導体とその製造法 - Google Patents

2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−l−タロピラノ−ス又はその誘導体とその製造法

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JPH0660189B2 JP61009893A JP989386A JPH0660189B2 JP H0660189 B2 JPH0660189 B2 JP H0660189B2 JP 61009893 A JP61009893 A JP 61009893A JP 989386 A JP989386 A JP 989386A JP H0660189 B2 JPH0660189 B2 JP H0660189B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は抗腫瘍活性をもつ新規化合物である7−O−
(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピ
ラノシル)ダウノマイシノン又は7−O−(2,6−ジ
デオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ア
ドリアマイシノンの合成用に中間体として有用であり且
つそれ自体も抗菌活性を有する新規化合物としての2,
6−ジデオキシ−2−フルオロ−L−タロピラノース又
はその誘導体に関し、またそれら新規化合物の製造法に
関する。
(従来の技術と発明が解決しようとする問題点) アンスラサイクリン系抗生物質としては、従来から、放
線菌の培養液から得られるダウノマイシン(米国特許第
3,616,242号明細書参照)及びアドリアマイシン(米国
特許第3,590,028号明細書参照)が知られており、これ
らの化合物は、実験腫瘍に対して拾い抗癌スペクトルと
有し、癌化学療法剤として臨床的にも広く利用されてい
る。ダウノマイシン及びアドリアマイシンは次の一般式 〔式中、Rは水素原子又は水素基を表わす〕の化合物で
ある。
しかし、ダウノマイシン(一般式(イ)でRが水素原子で
ある場合の化合物)及びアドリアマイシン(一般式(イ)
でRが水酸基である場合の化合物)は各種の腫瘍にかな
り強力な抗癌作用を示すが、必ずしも満足できるもので
はない。すなわち、ダウノマイシンおよびアドリアマイ
シンは実験腫瘍に対して広い抗癌スペクトルを有するの
みならず、癌化学療法剤として臨床的に広く使用されて
いる。しかし、その反面、しばしば白血球減少、脱毛、
心筋障害等の重篤な副作用を伴うことが知られている。
しかも、ダウノマイシン及びアドリアマイノシンの7位
水酸基とダウノサミニル基 との間のグリコシド結合は生体内で加水分解により切断
され易く、この加水分解で生じたアグリコンの部分、す
なわちダウノマイシン,又はアドリアマイシノンは心毒
性がダウノマイシン,アドリアマイシンそれ自体よりも
強いと言われている。
従つて、従来も、より強力な抗癌作用と低い毒性を有す
る新規なダウノマイシン類縁化合物を見い出すべく、発
酵法,半合成法,全合成法,酵素変換法等の各種の手段
により種々の類縁化合物を創製する試みが行われてお
り、既にいくつか提案されている〔例えば、F.Arcamon
e,Topics in Antibiotic Chemistry,Vol.2,第102〜
279頁ELIS HORWOOD LIMITED発行;米国特許第3,988,
315号明細書(アクラシノマイシンA及びB);ドイツ
連邦共和国特許第2,831,579号明細書及び特公昭56−
47194号公報(4′−O−テトラヒドロピラニルア
ドリアマイシン);米国特許第4,177,264号明細書(N
−モノ−ベンジル−又はN−ジ−ベンジル−アドリアマ
イシン等)等、参照〕。
また、米国特許第4,427,664号明細書には、ホートン(H
orton)らによつて、次の一般式 〔式中、R1が水素でR2がメトキシ基であるか、又はR
1が水酸基でR2がメトキシ基であるか、又はR1及びR2
が共に水素であるか、又はR1が水素でR2が水酸基であ
り;Xはヨウ素,塩素,臭素又は弗素であり、Yは水酸
基又はアセトキシ基である〕で示される化合物であつ
て、ダウノマイシノン,デスメトキシダウノマイシノ
ン,アドリアマイシノン及びカルミノマイシノンよりな
る群から選ばれたアグリコンを、その7位の酸素の位置
で、α−L−マンノ型及びα−L−タロ型から選ばれた
2′−ハロ−α−L−ヘキソピラノースの糖の1′位に
結合してなる化合物の化学構造式が記載されてある。こ
の米国特許明細書に記載された式(ロ)の化合物の製造法
は、ダウノマイシノンの如きアグリコンと結合すべき糖
に対応するグリカール(glycal)、例えば3,4−ジ−
O−アセチル−L−ラムナール又は3,4−ジ−O−ア
セチル−L−フカールとをほゞ等モル比で無水アセトニ
トリル及びテトラヒドロフランの非プロトン性混液中に
溶解し、その溶液に低温でN−ヨードサクシンイミドの
如き沃化剤をジクロロメタンの如き溶媒和剤と共に加え
て反応させることから成る方法である。この場合、使用
されたグリカールはアルコキシハロゲン化を伴ついてア
グリコンの7位の水酸基に結合される。この方法では、
反応生成物として得られた式(ロ)の化合物の糖部分の
2′位には、用いたハロゲン化剤のもつハロゲン原子が
導入されること、例えばN−ヨードサクシンイミドを用
いると、これの沃素原子が導入されることが前記の米国
特許明細書に記載される。この米国特許第4,427,664号
明細書には、次式 〔式中、Acはアセチル基を示す。以下同様〕で示される
3,4−ジ−O−アセチル−L−ラムナールをダウノマ
イシノン及びN−ヨードサクシンイミドと、該ラムナー
ルのアルコキシハロゲン化を伴つて、反応させることに
よつて7−O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−
ジデオキシ−2−ヨード−α−L−マンノ−ヘキソピラ
ノシル)ダウノマイシノンを製造する実験例と、次式 で示される3,4−ジ−O−アセチル−L−フカールを
ダウノマイシノン及びN−ヨードサクシンイミドと、該
フカールのアルコキシハロゲン化を伴つて反応させるこ
とによつて7−O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,
6−ジデオキシ−2−ヨード−α−L−タロ−ヘキソピ
ラノシル)ダウノマイシノンを製造する実験例とが記載
されるが、その他の実験例は示されてない。
更に、上記の米国特許第4,427,664号明細書に示される
上記の式(ロ)において、Xはヨウ素,臭素,塩素又は弗
素であると広く記載されるが、Xが臭素,塩素又は弗素
である場合の式(ロ)の化合物を合成した実験例は示され
ていない。Xが臭素,塩素又は弗素である場合の式(ロ)
の化合物を合成しようと試みる者は、この米国特許第4,
427,664号明細書に教示された製造方法に従えば、ハロ
ゲン化剤としてN−ブロモサクシンイミド,N−クロロ
サクシンイミド又はN−フルオロサクシンイミドをN−
ヨードサクシンイミドの代りに使用して上記米国特許の
実験例の操作を反復しようとするであろうけれども、こ
れらハロゲン化剤化合物のうち、次式 で示されてN−フルオロサクシンイミドというべき物質
は、本発明者の調査した限りでは、現在まで文献に製造
例及び物性を記載されたことのない未知の化合物であ
り、従つて、従来調製されたことが全くない物質である
と考えられる。しかも、普通は弗素はハロゲン族に含め
て取扱われるけれども、弗素は他のハロゲン元素、すな
わち沃素、臭素,塩素に比べて格段に高い電気的陰性度
をもつこと及び弗素の化学的挙動は他のハロゲン元素と
非常に相違することが良く知られている処である。従つ
て、たとえN−フルオロサクシンイミドが調製できたと
しても、この化合物の中でのフルオロ基とサクシンイミ
ド基との化学的結合の性質は他のハロゲンの場合と非常
に異なると推定される。このことから、N−フルオロサ
クシンイミドが弗化剤として作用してそのフルオロ基を
他の化合物へ移す化合反応が起るとは考え難い。それ
故、N−フルオロサクシンイミドが上記の米国特許第4,
427,664号明細書に記載される式(ロ)の化合物の製造法に
おいて、所要のハロゲン化剤、特に弗化剤として使用で
きると推定し難い。
結局、米国特許第4,427,664号明細書において、式(ロ)で
Xが塩素,臭素,沃素又は弗素である場合の化合物の構
造式を掲載する。しかし、このうち、式(ロ)でXが塩素
又は臭素である場合の化合物は、当該米国特許明細書に
それの構造式を示されるだけであつて、具体的には合成
されてないけれども、これら化合物(X=Cl又はBr)の
製造方法でハロゲン化剤として必要とされるN−クロロ
サクシンイミド,N−ブロモサクシンイミドは公知のハ
ロゲン化剤であるから、式(ロ)でXがCl又はBrである化
合物は、理論的には、開示された方法でそれを製造する
ことも、それを収得することも可能であろうと米国特許
第4,427,664号明細書の記載から推論はできる。然しな
がら、他方、式(ロ)でXが弗素原子である場合の化合物
については、このフルオロ基含有化合物を実際に合成で
きる製造方法は、そこに開示された製造方法で用いるべ
き弗化剤として必要とみなされるN−フルオロサクシン
イミドが未だ未知の物質であつて且つ所要の弗化剤とし
て機能し得ると推定し難い以上、米国特許第4,427,664
号明細書に、実施可能な程度に開示されたとは言えな
い。それ故、この米国特許明細書で示された式(ロ)でX
が弗素原子である場合の化合物は、この明細書の紙上で
それの構造式を空想されたのみの架空の物質である。
従つて、式(ロ)の化合物のうち、特にXが弗素原子であ
る場合の化合物は当該米国特許明細書の開示内容から、
化学者にとつて自明であるとは言えない。
更に、上記の米国特許第4,427,664号明細書には、発明
者ホートンらにより、式(ロ)の化合物はマウスの白血病
癌ロイケミア(Leukemia)P388について抗腫瘍活性を
もつことが記載されてある。具体的には、7−O−
(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2
−ヨード−α−L−マンノ−ヘキソピラノシル)ダウノ
マイシノン(化合物NSC331,962という)について測定し
たロイケミアP388に対する抗腫瘍活性が記載されて
いるが、7−O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6
−ジデオキシ−2−ヨード−α−L−タロ−ヘキソピラ
ノシル)ダウノマイシノン(化合物NSC327,472という)
については抗腫瘍活性の測定データが記載されてない。
他方、「Car-bohydrate Research」136巻391−3
96頁(1985)に掲載されたホートンらの論文によ
れば、次の事実が報告されている。
すなわち、前記の化合物NSC331,962は、ロイケミアP3
88腫瘍細胞を接種したマウスに投与した時のマウスの
延命率(T/C,%)で測定して、投与量50mg/kgの
場合に延命率247%の抗腫瘍活性を示し、またロイケ
ミアL−1210腫瘍細胞を接種したマウスに投与した
時の延命率(T/C,%)で測定して投与量25mg/kg
の場合(毎日一回、9回腹腔内投与)で延命率196%
の抗腫瘍活性を示した。他方、前記の化合物NSC327,
472は、ロイケミアP388接種マウスに対して投与量1
2.5mg/kg〜25mg/kgの場合に延命率172%の実験
結果を得、また相当に増大された投与量150mg/kgの
場合に延命率162%の実験結果を得た。
本発明者らは、前記のホートンらの研究とは別に、ダウ
ノマイシン,アドリアマイシンより秀れた抗腫瘍活性と
低い毒性をもつダウノマイシン誘導体又はアドリアマイ
シン誘導体を創製することを目的として研究を進め、そ
の研究の一環としてダウノマイシン及びアドリアマイシ
ンの糖部分を化学的修飾した抗腫瘍活性のダウノマイシ
ン誘導体及びアドリアマイシン誘導体の若干をすでに合
成した。そして、本発明者らは、例えば、4′−O−テ
トラヒドロピラニル−ダウノマイシン又は−アドリアマ
イシン類(特公昭56−47194号);及び3′−デ
アミノ−3′−モルホリノ−ダウノマイシン又は−アド
リアマイシン類(特開昭57−163393号)を発表
している。
また、他方、本発明者らは、アミノ配糖体抗生物質であ
るカナマイシンA,カナマイシンBの3′位又は2′位
をフルオロ基で修飾することによつて誘導された新規化
合物の開発について研究を行つており、3′−デオキシ
−3′−フルオロカナマイシンAの合成(特願昭59−
161615号);3′−デオキシ−3′−フルオロカ
ナマイシンBの合成(特願昭59−262700号);
2′,3′−ジデオキシ−2′−フルオロカナマイシン
Aの合成(特願昭59−263759号)に成功した。
(問題点を解決するための手段) このように本発明者らは、配糖体抗生物質のカナマイシ
ン類にフルオロ基を導入する研究を行うことで糖の弗素
化学について種々な知見及び経験を得ていた。これらの
知見及び経験を基礎にして、本発明者らは、次式 で示されるL−フコースから出発して、多段階の反応の
組合せよりなる方法によつて新規化合物として、次式 で示されるメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
α−L−イドピラノシドの4−O−ベンジル保護体を合
成することに成功し、更にこの式(ト)の糖化合物から新
規化合物として次式 で示されるメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
α−L−タロピラノシドを合成することに成功し、さら
にこの式(チ)の化合物から新規化合物として、次式 で示される2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α,β
−L−タロピラノースを製造することに成功し、また式
(チ)の化合物から新規化合物として、次式 〔式中、A′はヒドロキシ保護基、特にアシル基、例え
ばアセチル基の如き低級アルカノイル基又はベンゾイル
基の如きアロイル基であり、Yは塩素,臭素又は沃素原
子である〕で示される3,4−ジ−O−保護2,6−ジ
デオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・ハ
ライド、例えば3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジ
デオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・ブ
ロマイドを合成することに成功した。
本発明者は、上記の式(ヌ)の3,4−ジ−O−保護−
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラ
ノシル・ハライドをダウノマイシノンの7位水酸基と反
応させ、その反応生成物から更に残留のヒドロキシル保
護基を脱離させることによつて、新規化合物として次式 で示される7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオ
ロ−α−L−タロピラノシル)ダウノマイシノンを初め
て合成した。更に、上記の式(ル)の化合物の14位のメ
チル基をヒドロキシメチル基(-CH2OH)に転化すること
によつて、新規化合物として次式 で示される7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオ
ロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノンを初
めて合成した。しかも、本発明者は、上記の式(ル)の化
合物及び式(ヲ)の化合物が優れた抗腫瘍活性を有するこ
と及び低い毒性を示すことを知見し、またこれら化合物
の7位水酸基におけるグリコシド結合が酸による加水分
解に対して極めて高い安定性を示すことを知見した。従
つて、式(ル)の化合物及び式(ヲ)の化合物は低い毒性と後
述する如き優れた抗腫瘍活性とを有しており、抗腫瘍剤
としての用途が考えられる。また、抗菌性も高いので抗
菌剤としても有用である。
従つて、本発明者は次の一般式 〔式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす〕で示される
新規なアンスラサイクリン誘導体を合成することに成功
した(特願昭60−282798号参照)。
上記の式(ワ)の化合物に属する7−O−(2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダウ
ノマイシノンは、比旋光度▲〔α〕25 D▼+197°
(c0.02,クロロホルム−メタノール(1:1)中)を
示す赤色固体であり、また7−O−(2,6−ジデオキ
シ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アドリア
マイシノンは比旋光度▲〔α〕25 D▼+194°(c0.0
1,クロロホルム−メタノール(1:1)中)を示す赤
色固体である。
式(ワ)の化合物は、実験動物腫瘍に対して顕著な抗腫瘍
活性を有し、その抗腫瘍活性がダウノマイシン,アドリ
アマイシンに比べて顕著に高いこと及びその毒性が弱い
ことが試験によつて確められた。以下に、その抗腫瘍試
験例を示す。
試験例1 マウス白血病ロイケミアL−1210細胞により誘起さ
れたCDF2マウスの白血病に対する抗腫瘍活性。
実験動物腫瘍に対する抗腫瘍効果を評価するために、C
DF1マウスの腹腔内へマウス白血病ロイケミアL−1
210の細胞の1×105個/マウスを移植し、その2
4時間後より連日9日間、式(ワ)の化合物を腹腔内へ投
与し、60日間観察を行つた。対照区(生理食塩水投
与)のマウスの生存日数と比較して算定したマウスの延
命率(T/C,%)を求めた。比較のため、ダウノマイ
シンおよびアドリアマイシンも同様に試験した。その結
果を第1表に示す。
第1表において*は供試動物が毒性死又は体重減少等の
毒性の発現を見たことを示す。
上記の試験例1で比較薬剤として用いたアドリアマイシ
ンは、臨床上で実用されている抗癌剤であつて、治療す
べき癌の種類に応じて0.4mg/kg〜2mg/kgの範囲の投
与量で人間に投与されている。この実用されているアド
リアマイシンは、L−1210細胞を接種されたマウス
について投与量2.5mg/kg/日〜5mg/kg/日で投与し
た場合に、延命率(T/C,%)が228%〜191%
である程度の抗腫瘍効果を示し且つ毒性の発現を伴う
(前記の第1表の結果参照)。しかし、これに対比し
て、同じ範囲の投与量(2.5〜5mg/kg/日)で、7−
O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タ
ロピラノシル)ダウノマイシノンは217%〜184%
の延命率(T/C,%)を示すが毒性の発現が認められ
たこと、また7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノンは
350%以上〜750%以上の格別に高い延命率(T/
C,%)を示すが毒性の発現が認められないことは注目
すべきことである。このことから、上記の式(ワ)の2つ
の新規アンスラサイクリン化合物は抗腫瘍活性がアドリ
アマイシンより優れていると考えられるものであつて、
臨床で実用できる抗腫瘍剤として極めて有用であり且つ
アドリアマイシンと同様に各種の腫瘍の治療に有用であ
ると期待される。他方、前述の通り、ホートンらによつ
て合成された前記の化合物NSC331,962は同様にL−
1210細胞を接種されたマウスについて相当に大きい
投与量25mg/kgで投与した場合でも、延命率(T/
C,%)が196%である程度の抗腫瘍活性を示すのみ
であるから、アドリアマイシンよりは抗腫瘍活性が低
い。
更に、上記の式(ワ)のアンスラサイクリン化合物は、こ
れのグリコシド結合が酸による加水分解で切断される感
受性が極めて低い利点がある。このことは式(ワ)の化合
物の毒性が低いことの一つの原因であると思われる。加
水分解に対する式(ワ)の化合物のグリコシド結合の安定
性が高いことを次の試験例により示す。
試験例2 (i)ダウノマイシンの酸加水分解試験 ダウノマイシン(DMと略す)の1mgを0.2NHCl−80
%CH3CN−水(全体としてのHCl濃度が0.2N)の0.1m
に溶解し、61−62℃の油浴中で30分間加熱して加
水分解した。シリカゲルTLCで反応液を分析すると、
DMの残存は認められず、ダウノマイシノンのスポツト
および糖部分と思われるスポツト(展開溶媒ベンゼン−
アセトン(1:1)で展開してRf0,硫酸スプレー後、
加熱することにより黒色呈色)が認められた。反応液を
室温に放置するとダウノマイシノンの赤色結晶が析出し
た。
(ii)7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノシル)ダウノマイシノン(FTDMと略
す)の酸加水分解試験 FTDMの0.7mgを0.2NHCl−80%CH3CN−水の0.1mにけ
ん濁させ、61−62℃の油浴中で30分間攪拌した。
TLCで反応液を分析すると、FTDMのスポツトのみが認
められた。
さらに0.2NHCl−80%CH3CN−水の0.3mを加える
と、ほとんど溶解し、少量の不溶部が残存した。61−
62℃に加温、攪拌すると、均一溶液となつた。3時間
加温してもTLCではFTDMのスポツトのみが認められ
た。
さらに2.4NHCl−80%CH3CN−水の0.2mを加え(反
応液中のHCl濃度は全体として1N−HClになつた)、さ
らに61−62℃の油浴中で加温した。8時間の加温後
に痕跡のダウノマイシノンのスポツトが生成したがFTDM
が大部分残存することが認められた。
式(ワ)のアンスラサイクリン化合物のグリコシド結合が
加水分解に対して高い安定性をもつことの理由は、本発
明者の考えによれば、式(ワ)の化合物の糖部分の2′位
にフルオロ基が結合していることに由る。ハロゲン元素
の中でも、弗素は他のハロゲン元素に比べて特異な元素
であつて化学的挙動で同列に取扱えないことは良く知ら
れている。物理化学の上で、弗素の電気的陰性度(χ)
は4.0,塩素のそれは3.0,臭素のそれは2.8,沃素のそ
れは2.5であり、C−F結合の結合エネルギーは116
Kcal/モル,C−Cl結合の結合エネルギーは77Kcal
/モル,C−Brの結合エネルギーは64Kcal/モル,
C−I結合の結合エネルギーは51Kcal/モルである
ことが知られている。式(ワ)の化合物の糖部分の2′位
のフルオロ基は、その著るしく高い電気陰性度の上にC
−F結合を通して電子をその弗素原子内に強力に引き込
むのであり、その結果、糖の1′位炭素に結合している
2つの酸素原子の電子密度が減り、外部からのプロトン
+を受けつけなくなり、1′位炭素に隣るグリコシド
結合は加水分解による切断を受け難くなる。換言すれ
ば、加水分解に対する安定性が増強する。しかも、2′
−フルオロ基は、1′位炭素に結合したグルコシド結合
の酸素原子と次式 で示されるようにアンチペリプラナー(antiperi-plana
r)の関係に在るために、該酸素原子から電子を引き込
む力が最も強いのである。従つて、式(ワ)のアンスラサ
イクリン化合物の糖部分の2′−フルオロ基は、1′位
炭素に隣るグリコシド結合の酸による加水分解に対する
安定性を著るしく増強させる効果をもつのであり、この
点での2′−フルオロ基の有するグリコシド結合安定化
作用は、ホートンらによつて合成された前記の化合物N
SC331,962及び化合物NSC327,472における2′−ヨ
ード基の同様な作用に比べて顕著に強いのである。
更に、本発明者らの推定によれば、糖部分に2′−フル
オロ基を有する式(ワ)の新規アンスラサイクリン化合物
がホートンらによつて合成された化合物NSC331,962
及び化合物NSC327,472に比べて顕著に高い抗腫瘍活
性をもつことの理由は、次の通りである。すなわち、式
(ワ)の化合物の2′位に結合した弗素原子のフアンデル
ワールス半径(Van der Waals′radius)(原子の立体
的拡がり(bulkiness)を示す指標になる数値)が1.35
であり、この値は水素原子のそれが1.20であることに次
いで小さく、塩素原子のそれが1.81,臭素原子のそれが
1.95,沃素原子のそれが2.15であることに比べて著るし
く小さい。「Medicinal Chemistry」Ser.17(Academi
c Press,ニユーヨーク,1981年刊行)におけるF.A
rcamoneの論文「Doxorubicin」のアルカモーネの説によ
れば、ダウノマイシン類の糖部分の2′位に置換基があ
ると抗腫瘍活性を失うことが示唆されている。式(ワ)の
化合物における2′−フルオロ基の原子の立体的拡がり
はフアンデルワールス半径の値で1.35と小さく水素原子
の1.20に近いから、2′位にフルオロ置換基が存在して
も化合物の分子の空間形態又は立体的配置に殆んど影響
しない、即ち立体障害を生じないのであり、この点で抗
腫瘍活性の失活を惹起しないと考えられる。この観点か
らみて、式(ワ)の化合物における2′−フルオロ基の代
りに、フアンデルワールス半径のより大きい2′−クロ
ロ基又は2′−ブロモ基又は2′−ヨード基を導入して
得られるような化合物は、式(ワ)の化合物よりも弱化さ
れた抗腫瘍活性を有することが推定される。
以上に述べた試験例の実験結果から明らかなように、前
記の式(ワ)の化合物は、L−1210白血病細胞および
実験動物腫瘍に対して優れた抗腫瘍活性を示す。従つ
て、式(ワ)のアンスラサイクリン化合物は悪性腫瘍治療
剤として固形癌及び腹水癌等の措置のために使用するこ
とができる。
式(ワ)の化合物の製造法について説明する。
式(ワ)の化合物のうち、Rが水素原子である場合の化合
物即ち前記の式(ル)の7−O−(2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダウノマイシ
ノンは、後記の式(カ)のダウノマイシノンの7位水酸基
と前記の式(ヌ)の3,4−ジ−O−保護−2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・ハラ
イド又は後記の式(ヨ)で示される化合物と反応させて、
その反応生成物に残留するヒドロキシル保護基がある場
合には、この保護基を脱離することによつて合成でき
る。
従つて、次式 のダウノマイシノンを次式 〔式中、Yは臭素,沃素又は塩素原子を表わし、Aはヒ
ドロキシル保護基又は水素原子を表わす〕の化合物と反
応させて次式 〔式中、Aは前記の意味を有する〕のアンスラサイクリ
ン誘導体を生成させ、次いで式(タ)の化合物中にヒドロ
キシル保護基(A)が残留する場合には、このヒドロキシ
ル保護基を常法で脱離することから成る方法によつて、
次式 で示されるアンスラサイクリン誘導体が製造される。
上記の方法において、式(カ)のダウノマイシノンと式(ヨ)
で示される2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシル・ハライド又はその3,4−ジ−O−
保護誘導体との反応は、アグリコンに糖をグリコシド結
合で縮合させる公知の技術で行いうる。
上記の方法において、式(カ)のダウノマイシノンと式(ヨ)
の化合物との反応は、通常、非プロトン性の有機溶媒中
で行うことができ、使用し得る溶媒としては、N,N−
ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記す
る。)、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホル
トリアミド、グライム、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、及び各種のハロゲン化炭化水素たとえばジクロロメ
タン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタ
ン、テトラクロロエタン等の非プロトン性溶媒中で行う
のが適している。これらの溶媒は予め乾燥しておくこと
が望ましい。
該縮合反応は、通常、脱ハロゲン化水素剤、例えばトリ
エチルアミンの如き第3級アルキルアミン及びジメチル
アニリン等の第三級アミン、トリメチルシリルトリフレ
ート、酸化銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、炭酸
銀、酸化水銀、臭化水銀、シアン化水銀等の存在下で行
うことが望ましい。かかる脱ハロゲン化水素剤の使用量
は一般に式(ヨ)の化合物1モルに対して、少なくとも1
モル、好ましくは2.5〜4.0モルの量で使用することがで
きる。
反応温度もまた特に制限されないが、一般的には、使用
溶媒の凝固点乃至80℃の範囲内であり、室温付近の温
度で反応を実施できる。式(カ)の化合物と式(ヨ)の化合物
との反応は、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタ
ン、クロロホルム,ジクロロエタン,トリクロロエタ
ン,テトラクロロエタンの如き非プロトン性有機溶媒中
で無水条件下で縮合触媒、例えば酸化第2水銀及び臭化
第2水銀を使用し、さらに脱水剤としてのモレキラーシ
ーブの存在下に行うことが好ましい。この実施法による
と、式(カ)のダウノマイシノンと式(ヨ)の化合物とは夫々
に等モル比又はやや式(ヨ)の化合物を過剰に使用して反
応させるのがよい。反応は0℃〜50℃の範囲で行いう
る。反応液から式(タ)の反応生成物は常法で回収でき
る。式(タ)の反応生成物はシリカゲルカラムクロマトグ
ラフイで展開溶媒としてベンゼン−アセトン混合物を用
いて精製できる。
式(タ)の化合物がこの中に残留するヒドロキシル保護基
(A)を含む場合には、この保護基を公知の脱保護法で脱
離する。ヒドロキシル保護基(A)は通常、アシル基であ
り、水酸化ナトリウムの如きアルカリ金属水酸化物及び
水の存在下に加水分解によつて脱離できる。
得られる式(ル)の7−O−(2,6−ジデオキシ−2−
フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダウノマイシノン
は赤色固体であり、クロロホルム−ヘキサンの如き有機
溶媒混合物から再沈澱又は再結晶することによつて精製
できる。
更に、式(ワ)の化合物のうち、Rが水酸基である場合の
化合物、即ち前記の式(ヲ)の7−O−(2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)アド
リアマイシノンは、上記の方法で最終体として得られた
式(ル)の化合物の14位のメチル基をヒドロキシメチル
基(-CH2OH)に転化することによつて合成できる。この
場合、生成した式(ル)の化合物の14位のメチル基をヒ
ドロキシメチル基に転化する反応は、まず14位メチル
基に臭素を作用させ臭素化を行う。上記の臭素化に当つ
ての反応に用いる有機溶媒はハロゲン化炭化水素、例え
ばジクロロメタン;低級アルカノール、例えばメタノー
ル、エタノール;エーテル型溶媒、例えばジオキサン、
テトラヒドロフランである。この臭素化の反応は0℃〜
50℃の範囲の温度で行い得る。その際アルカモーネに
よる方法、すなわち、オルソギ酸アルキルエステルの存
在下に行う(このさい13位のカルボニル基はメチルケ
タールの形になつて保護されると思われる)ことが望ま
しい(特公昭57−36919号参照)。次にこのケタ
ールを酸又はアセトンで分解し、ケトン基に復元する。
アセトンを使用した場合には一部で3′,4′−O−イ
ソプロピリデン体が形成されるので、その際は酸性処理
で、このイソプロピリデン基を除去する。次いでギ酸ナ
トリウムにより、14位メチル基上の臭素原子を水酸基
に変換する。そのさい14−O−ホルミル基が副生した
場合には弱酸又は弱アルカリの処理によりこのO−ホル
ミル基を水酸基に変換する(特公昭57−36919号
参照)。
前記のように式(ワ)の新規アンスラサイクリン化合物の
合成方法で用いられる式(ヨ)で示される2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・ハライ
ド又はこれの3,4−ジ−O−保護誘導体、並びにその
前駆体である式(チ)のメチル2,6−ジデオキシ−2−
フルオロ−α−L−タロピラノシド及び式(リ)の2,6
−ジデオキシ−2−フルオロ−L−タロピラノースは夫
々に新規な化合物であつて、式(ワ)の抗腫瘍性化合物の
合成に有用な中間体化合物である。
しかも、上記の式(チ)の化合物及び式(リ)の化合物はそれ
自体がある種の細菌に対してフエノールより高い抗菌活
性を示し、殺菌剤乃至消毒剤としても有用であることを
本発明者は見出した。
従つて、第1の本発明によると、式(チ)の化合物及び式
(リ)の化合物並びに式(ヨ)の化合物を包括する新規化合物
として、次の一般式(I) 〔式中、Aは水素原子又はアセチル基であり、Xは水酸
基又はメトキシ基、あるいは塩素,臭素又は沃素原子で
ある〕で示される2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
L−タロピラノース又はその誘導体が提供される。
式(I)の本発明化合物に包含される次式(チ)のメチル2,
6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシ
ドは、融点112〜114℃の結晶性物質であり、その
比旋光度は▲〔α〕23 D▼−124°(c1,メタノー
ル)である。
また、式(I)の本発明化合物に包含される式(リ)の2,6
−ジデオキシ−2−フルオロ−α,β−L−タロピラノ
ースは無色固体であり、その比旋光度は▲〔α〕25 D
−21°(c1,ジオキサン−水,4:1)である。
また、式(I)の本発明化合物に包含される次式 で示される3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・ブロマ
イドはシロツプ状物質であり、その比旋光度は▲〔α〕
25 D▼−154°(c1,クロロホルム)である。
次に上記の式(チ)の化合物及び式(リ)の化合物の細菌に対
する最低生長阻止濃度(MIC.,mcg/m)を測定したの
で、その結果を第2表に示す。
第1の本発明による式(I)の化合物のうち、Aが水素原
子でXがメトキシ基である場合の化合物、すなわち前記
の式(チ)の化合物(以下では、式(Ia)の化合物として参
照される)の製造方法として、第2の本発明によると、
次式 〔式中、Bはヒドロキシル保護基で示されるメチル2,
3−アンヒドロ−4−O−保護−6−デオキシ−α−L
−グロピラノシドを弗化水素カリウム又は弗化水素ナト
リウムと反応させて次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−イドピラノシドを生成し、次いでこの式(III)の
化合物に酸化剤としてジメチルスルホキシドをジシクロ
ヘキシルカルボジイミド、ピリジン及びピリジニウム・
トリフルオロアセテートの存在下に反応させるか又は酸
化剤としてピリジニウム・クロロクロメートを反応させ
て次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−リキソ−ヘキソピラノシド−3−ウロースを生成
させ、さらに式(IV)の化合物に還元剤として金属水素化
物を反応させて次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノシドを生成させ、式(V)の化合物から
ヒドロキシル保護基(B)を常法で脱離することから成る
次式 のメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−
タロピラノシドの製造法が提供される。
第2の本発明による方法で出発化合物として用いられる
式(II)のメチル2,3−アンヒドロ−4−O−保護−6
−デオキシ−α−L−グロピラノシドは、後記の参考例
1、(1)〜(6)の方法で得られたメチル2,3−アンヒド
ロ−4−O−ベンジル−6−デオキシ−α−L−グロピ
ラノシドであることができる。
この化合物中のヒドロキシル保護基(B)として存在する
ベンジル基は、このベンジル基を接触的加水素分解によ
る公知の脱保護法で脱離し、次いで別種のヒドロキシル
保護基を公知のヒドロキシル基保護方法によつて導入す
ることによつて、ベンジル基以外のヒドロキシル保護
基、例えばアシル型のヒドロキシル保護基と入れ代える
ことができる。
第2の本発明による方法において、式(II)の化合物と弗
化水素カリウム又は弗化水素ナトリウムとの反応は、適
当な有機溶媒、例えばグリコール類、特に低級アルキレ
ングリコール、特にエチレングリコール、プロピレング
リコール、2,3−ジヒドロオキシブタン中で100〜
250℃の温度で行うことができる。弗化水素カリウム
又はナトリウムは式(II)の化合物の1モル当りに5〜3
0モルの範囲の量で用いるのがよい。反応終了後、反応
液をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液
と水とで洗浄し、さらに溶媒を留去して反応液を濃縮、
乾固し、残渣をシリカゲルクロマトグラフイーにかける
ことによつて、式(III)の化合物が精製品として収得で
きる。
次いで、式(III)の化合物の3位水酸基を酸化する反応
を行うが、この反応に用いる酸化剤としてはジメチルス
ルホキシド又はピリジニウム クロオクロメートがあ
る。この反応はジメチルスルホキシド、又はベンゼンと
ジメチルスルホキシドの過剰量との混液中で室温で行い
うる。酸化剤としてジメチルスルホキシドを用いる場合
は反応促進剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド、
触媒としてピリジン及びピリジニウム・トリフルオロア
セテートの存在下に酸化反応を行う。反応終了後は、過
剰のジシクロヘキシルカルボジイミドを分解するため
に、シユウ酸のメタノール溶液に加え、ベンゼンを加え
て希釈し、不溶物が生じた時はこれを去し、更に溶媒
を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフイーにかけ
ることによつて、式(IV)の化合物が精製品として収得で
きる。
次いで式(IV)の化合物の3位炭素に結合したオキソ基を
還元剤として金属水素化物で処理して水酸基に転化する
反応を行う。この還元反応によつて、式(III)の化合物
の3位水酸基と逆に配位する3位水酸基を有する式(V)
の化合物が生成される。
上記の目的に用いる還元剤である金属水素化物として
は、水素化チリウムアルミニウムが適するが、他の金属
水素化物、例えばリヂウムボロハイドライド、ソジウム
シアノボロハイドライド等も使用できる。この還元反応
は−30℃〜+30℃温度でテトラヒドロフラン、ある
いはエーテル、ジグライム等の中で行いうる。反応終了
後は、反応液に塩化アンモニウム水溶液を加えて未反応
の還元剤、水素化金属を分解し、更に反応液をクロロホ
ルムで抽出すると、式(V)の化合物を含むクロロホルム
抽出液が得られる。この抽出液を水洗した後にクロロホ
ルムを留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラ
フイーにかけると、式(V)の化合物が精製品として収得
される。
式(V)の化合物がそれに残留するヒドロキシル保護基(B)
を含む場合には、次いで、その保護基(B)の種類に応じ
て適当な公知の脱保護法により常法で脱保護すると、所
期の式(Ia)のメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ
−α−L−タロピラノシドが得られる。
第2の本発明による方法において、中間体として得られ
た式(IV)のメチル4−O−保護−2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド−3
−ウロースは新規な化合物であり、これは式(II)の化合
物から式(III)の化合物を経て製造する方法以外のルー
トで調製できる可能性がある。
従つて、式(IV)の化合物の製造が特定の方法に限定され
ることのない、式(Ia)の化合物の一つの独立した製造方
法として、第3の本発明によると、次式 〔式中、Bはヒドロキシル保護基である〕で示されるメ
チル4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ
−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド−3−ウロースを
還元剤として金属水素化物と反応させて次式 〔式中、Bは前記の意味をもつ〕で示されるメチル4−
O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシドを生成させ、次いで式(V)の化合物か
らヒドロキシル保護基(B)を常法で脱離することから成
る次式 で示されるメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
α−L−タロピラノシドの製造法が提供される。
この第3の発明による方法において、式(IV)の化合物を
還元剤と反応させる工程、並びに得られた式(V)の化合
物を脱保護する工程は第2の本発明の方法における夫々
の対応の工程と同じ要領で実施できる。
第1の本発明による式(I)の化合物のうち、Aが水素原
子でXが水酸基である場合の化合物、すなわち式(リ)の
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラ
ノースは、式(チ)のメチル2,6−ジデオキシ−2−フ
ルオロ−α−L−タロピラノシドを塩酸を含むトリフル
オロ酢酸で加水分解することによつて1位メトキシ基を
水酸基に転化することによつて製造できる。この加水分
解反応は、溶剤としてトリフルオロ酢酸を用い、酸性条
件下で水の存在下に40℃〜80℃の温度で行うことが
できる。上記の加水分解に際して、1位水酸基の立体配
位が一部、逆転するので、得られた式(リ)の化合物は
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラ
ノースと2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−β−L−
タロピラノースとの混成体であり、このうちのα体とβ
体とをクロマトグラフイで単離することはできない。
第1の本発明による式(I)の化合物のうち、Aが水素原
子でXがハロゲン原子である場合の化合物、すなわち前
記の式(ヨ)の2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロピラノシル・ハライドは新規化合物であり、こ
の化合物の調製は、後記の実施例1、(4)で生成された
新規化合物である式(チ)のメチル2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシドを用い、これに
硫酸の存在下に無水酢酸を反応させ、こうして次式 〔式中、Acはアセチル基を示す〕の1,3,4−トリ−
O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノースを生成し、次に式(ソ)のタロピラ
ノース化合物に対して四ハロゲン化チタン、例えば四臭
化チタン、四塩化チタン又は四沃化チタンを室温又は加
熱下に無水条件下で不反応性の有機溶媒、例えばジクロ
ロメタン,酢酸エチル,又は望ましくはこれらの混合物
の中で反応させ、又は酢酸中に溶解した臭化水素又は塩
化水素により反応させ、こうして次式 〔式中、Acはアセチル基であり、Yは塩素、臭素又は沃
素原子である〕の3,4−ジ−O−アセチル−2,6−
ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・
ハライドを生成させ、さらに式(ツ)の化合物を不反応性
溶媒中でアセチル基を脱除することから成る方法で行う
ことができる。式(ツ)の化合物からアセチル基を脱除す
る方法としては、例えば臭化水素酸水溶液と反応する方
法がある。式(ヨ)で示される2,6−ジデオキシ−2−
フルオロ−α−L−タロピラノシル・ハライドの3,4
−ジ−O−保護誘導体は、上記の式(ツ)の化合物、すな
わち式(ヨ)におけるAがヒドロキシル保護基としてのア
セチル基である場合の化合物でありうる。上記の式(ツ)
の化合物を生成する過程において、式(チ)の化合物に対
して無水酢酸の代りに、他の低級アルカン酸の無水物又
は塩化物、あるいは芳香族カルボン酸例えば安息香酸の
無水物又は塩化物を反応させ、こうして得られた1,
3,4−トリ−O−アシル−2,6−ジデオキシ−2−
フルオロ−α−L−タロピラノースに四ハロゲン化チタ
ンを反応させることから成る方法によると、一般的に、
式(ヨ)におけるAがヒドロキシル保護基としてのアシル
基である場合の化合物が調製できる。
新規化合物としての式(II)のメチル2,3−アンヒドロ
−4−O−保護−6−デオキシ−2−フルオロ−α−L
−グロピラノシドの一例をL−フコースから出発して調
製する方法は、後記の参考例1,(1)〜(6)に詳細に記載
してある。
次に本発明を参考例及び実施例について説明する。
参考例1 (1)メチル6−デオキシ−3,4−O−イソプロピリデ
ン−α−L−ガラクトピラノシドの製造 L−フコース2,90gを1%塩化水素−メタノール40m
にけん濁させ、8時間加熱還流した。得られた均一溶
液を室温まで冷却後、塩基性炭酸鉛を加えて中和し、ろ
過し、ろ液を濃縮すると、メチルフコシド混合物よりな
る無色固体3.04gを得た。この固体を無水ジメチルホル
ムアミド40mに溶解し、2,2−ジメトキシプロパン
7.81gおよびp−トルエンスルホン酸無水和物(870m
g)を加え室温で2時間反応させた。反応液に炭酸水素
ナトリウムを加えて中和し、不溶物をろ過して除き、ろ
液を減圧濃縮し、残留物をクロロホルム100mに溶
解し、得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液お
よび10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し濃縮した。得
られた残渣を400mのシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(展開系ヘキサン−アセトン(3:1))により
分離精製し、表題化合物をシロツプとして2.28g(59
%)得た。
▲〔α〕26 D▼−147°(c4.9,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ4.72(1H,d,H-1)J1,23.5Hz (2)メチル2−O−アセチル−6−デオキシ−3,4−
O−イソプロピリデン−α−L−ガラクトピラノシドの
製造 メチル6−デオキシ−3,4−O−イソプロピリデン−
α−L−ガラクトピラノシド12.56gを無水ピリジン3
5mに溶解し無水酢酸17mを加えて室温で8時間
反応させた。反応液に水20mを加えたのち減圧濃縮
し、残留物をクロロホルム500mに溶解し得られた
溶液を10%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、水で順次洗浄後、濃縮し表題化合物を
無色結晶として13.81g(92%)得た。再結晶はエー
テル−ヘキサンより行ない、針状晶を得た。
mp.101−102℃ ▲〔α〕26 D▼−176°(c1,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ4.92(1H,dd,H−2) 4.79(1H,d,H−1) 元素分析 C12H20O6として 理論値:C,55.37;H,7.74% 分析値:C,55.27;H,7.80% (3)メチル2−O−アセチル−6−デオキシ−α−L−
ガラクトピラノシドの製造 メチル2−O−アセチル−6−デオキシ−3,4−O−
イソプロピリデン−α−L−ガラクトピラノシド13.81
gを80%酢酸水140mに溶解させ80℃で1時間
反応させた。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣を60
0mのシリカゲルカラムクロマトグラフイー(展開系
ヘキサン−アセトン1:2)で精製し表題化合物を無色
結晶として11.17g(96%)得た。再結晶はエーテル
−ヘキサンより行なつた。
mp.77−78℃ ▲〔α〕26 D▼−182°(c2,クロロホルム) (4)メチル2−O−アセチル−6−デオキシ−3−O−
トシル−α−L−ガラクトピラノシドの製造 メチル2−O−アセチル−6−デオキシ−α−L−ガラ
クトピラノシド11gを無水ピリジン200mに溶解
し、−20℃に冷却して塩化p−トルエンスルホニル1
3.33gを加え、同温度で26時間、さらに室温で19時
間反応させた。反応液に水を加えた後減圧濃縮し、得ら
れた残渣を700mのシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(展開系ヘキサン−アセトン1:1)で分離精製
し、表題化合物を無色結晶として16.25g(87%)得
た。再結晶はエーテル−ヘキサンより行なつた。
mp.118−120℃ ▲〔α〕26 D▼−136°(c1,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ5.16(1H,dd,H−2) 4.94(1H,dd,H−3) 4.87(1H,d,H−1) 2.45(3H,s,TsのCH3) 1.79(3H,s,Ac) 元素分析 C16H22O8S1として 理論値:C,51.33;H,5.92;S,8.56% 分析値:C,51.41;H,6.06;S,8.65% (5)メチル2−O−アセチル−4−O−ベンジル−6−
デオキシ−3−O−トシル−α−L−ガラクトピラノシ
ドの製造 メチル2−O−アセチル−6−デオキシ−3−O−トシ
ル−α−L−ガラクトピラノシド160mgをシクロヘキサ
ン−ジクロロメタン(2:1)の混液3.2mに溶解
し、ベンジル2,2,2−トリクロロアセチミデート
〔Cl3CC(=NH)OCH2Ph〕214mgおよびトリフルオロメ
タンスルホン酸0.015mを加え室温で2時間反応し
た。反応液にクロロホルムを加えて希釈し、得られた溶
液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した
のち濃縮して得られた残渣を30mのシリカゲルカラ
ムクロマトグラフイー(展開系トルエン−酢酸エチル
6:1)で分離精製し、表題化合物をシロツプとして1
64mg(83%)得た。
▲〔α〕26 D▼−92°(c1.5,クロロホルム) (6)メチル2,3−アンヒドロ−4−O−ベンジル−6
−デオキシ−α−L−グロピラノシドの製造 メチル2−O−アセチル−4−O−ベンジル−6−デオ
キシ−3−O−トシル−α−L−ガラクトピラノシド1
9.72gを無水メタノール400mに溶解し28%ナト
リウムメトキシド−メタノール溶液123mを加え、
室温で4.5時間反応させた。反応液に一酸化炭素を導入
したのちに濃縮し残渣をクロロホルム300mに溶解
した。得られた溶液を水洗し濃縮して残渣を800m
のシリカゲルカラムクロマトグラフイー(展開系ヘキサ
ン−アセトン3:1)により精製し、表題化合物を無色
シロツプとして6.62g(62%)得た。
▲〔α〕26 D▼−25°(c3,クロロホルム) 実施例1 (1)メチル4−O−ベンジル−2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−イドピラノシドの製造 参考例1(6)で得られたメチル−2,3−アンヒドロ−
4−O−ベンジル−6−デオキシ−α−L−グロピラノ
シド140mgを無水エチレングリコール2.8mに溶解
し、フツ化水素カリウム(KHF2)880mgを加え、18
0℃で3時間攪拌した。クロロホルムを加えて反応液を
希釈し、得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
および水で洗浄したのち、濃縮して得られた残渣を30
mのシリカゲルカラムクロマトグラフイー(展開系ヘ
キサン−アセトン3:1)により精製し、表題化合物を
シロツプとして67mg(44%)得た。
▲〔α〕26 D▼−62°(c2,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ4.80(1H,dd,H−1) 4.32(1H,dddd,H−2)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部標準): φ−196.0(ddd)JF,H-248,JF,H-3 11,JF,H-19Hz 元素分析 C14H19O4F1として 理論値:C,62.21;H,7.08;F,7.03% 分析値:C,61.98;H,7.17;F,7.01% (2)メチル4−O−ベンジル−2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド−3−
ウロースの製造 メチル4−O−ベンジル−2,6−ジデオキシ−2−フ
ルオロ−α−L−イドピラノシド139mgを無水ベンゼ
ン1mと無水ジメチルスルホキシド(溶媒として、ま
た酸化剤として作用する)0.14mの混液に溶解し、ジ
シクロヘキシルカルボジイミド155mg、無水ピリジン
0.01mおよびピリジニウムトリフルオロアセテート2
3mgを加え室温で3時間攪拌した。反応液にシユウ酸1
42mgのメタノール溶液を加えて過剰のジシクロヘキシ
ルカルボジイミドを分解した。その後、反応液をベンゼ
ン30mで希釈し不溶物を過して除き、ろ液を飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄後、濃縮し得
られた残渣を25mのシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(展開系ヘキサン−アセトン3:1)で精製し、
表題化合物を針状晶として110mg(79%)得た。
融点63−64℃ ▲〔α〕26 D▼−7°(c1,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ4.80(1H,dd,H−1) 4.66(1H,ddd,H−2) (3)メチル4−O−ベンジル−2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−タロピラノシドの製造 メチル4−O−ベンジル−2,6−ジデオキシ−2−フ
ルオロ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド−3−ウロ
ース698mgを無水テトラヒドロフラン14mに溶解
し、−30℃に冷却し、この溶液に水素化リチウムアル
ミニウム198mgを無水テトラヒドロフラン2mに懸
濁させた液を加え、−30℃で45分間、−10℃で2
時間、0℃で30分間攪拌した。反応液を0℃に冷却し
飽和塩化アンモニウム水溶液を加えたのち、クロロホル
ム50mを加えて過した。クロロホルム溶液を水洗
したのち、濃縮し得られた残渣を100mのシリカゲ
ルカラムクロマトグラフイー(展開系ヘキサン−アセト
ン3:1)で分離精製し、表題化合物を、一部分が結晶
化したシロツプとして576mg(82%)得た。
▲〔α〕26 D▼−98°(c3.7,クロロホルム)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム、CFCl3 内部標準): φ−206.0(ddd)JF,H-249.5,JF,H-3 31.5,JF,H-18.5Hz (4)メチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシドの製造 メチル4−O−ベンジル−2,6−ジデオキシ−2−フ
ルオロ−α−L−タロピラノシド345mgをジオキサン
−酢酸−水(10:1:1)の混液8mに溶解し、パ
ラジウム黒存在下に常圧にて接触還元を行ないベンジル
基を除去した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮して無
色固体230mgを得た。
この無色固体を精製するためにクロロホルム−ヘキサン
より再結晶を行ない、表題化合物を無色結晶として18
6mg(81%)得た。
融点112−114℃ 比旋光度▲〔α〕23 D▼−124°(c1,メタノー
ル)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ4.87(1H,dd,H−1) δ4.58(1H,ddt,H−2)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部標準): φ−203.1(dddd)JF,H-249,JF,H-3 32,JF,H-19,JF,OH-47.5Hz 実施例2 2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−L−タロピラノー
スの製造 実施例1(4)で得られたメチル2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−タロピラノシドの21mgを、3NH
Cl−75%トリフルオロ酢酸−水(全体としてのHCl濃
度が3規定)の1mに溶解し60℃で1.5時間加熱し
て加水分解した。反応液を減圧濃縮し、さらに水を加え
て共沸させた後に、減圧乾燥すると、表題化合物を無色
固体として18mg(93%)得た。比旋光度▲〔α〕25
D▼−21°(c1,ジオキサン−水,4:1)。
このように得られた表題化合物は、重ジオキサン−重水
(4:1)中のNMRスペクトルから判断すれば2,6−
ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノースと
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−β−L−タロピラ
ノースとの2.3:1の比の混成体であつた。1 H−NMRスペクトル(重ジオキサン−重水4:1): α−体 δ5.21(dd,H−1) 4.44(broad d,H−2) β−体 δ4.60(d,H−1) 4.52(broad d,H−2)19 F−NMRスペクトル(重ジオキサン−重水4:1, CFCl3内部標準): α−体 φ−201.1(ddd)JF.H-250,JF,H-334, JF,H-19.5Hz β−体 φ−221.4(ddd)JF.H-251,5,JF,H-3 33,JF,H-121Hz 上記の混成体におけるα体とβ体との比率は時間が経つ
につれて変動した。また、上記の得られた表題化合物を
シリカゲル薄層クロマトグラフイーにかけたが、α体と
β体とを相互に分けることができなかつた。
実施例3 (1)1,3,4−トリ−O−アセチル−2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノースの製造 但しAc=アセル基 実施例1(4)で得られたメチル2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−タロピラノシド230mgを、無水
ニトロメタン7.6mに溶解し、無水酢酸1.3mおよび
硫酸0.036mを加え、室温で4時間反応させた。反応
液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した
後、クロロホルム50mを加えて希釈し、得られた溶
液を水洗した後、濃縮し、得られた残渣を60mのシ
リカゲルカラムクロマトグラフイー(展開系ヘキサン−
アセトン3:1)により分離生成し、表題化合物を無色
結晶として313mg(84%)得た。再結晶はエーテル
−ヘキサンより行なつた。
融点102−103℃ ▲〔α〕26 D▼−111°(c1,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ6.33(1H,dd,H−1) 4.55(1H,dddd,H−2) 元素分析 C12H17O7Fとして 理論値:C,49.32;H,5.86;F,6.50% 分析値:C,49.19;H,6.00;F,6.39% (2)3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル ブロマイドの
製造 1,3,4−トリ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノース327mgを無
水ジクロロメタン−無水酢酸エチル10:1の混液7m
に溶解させ四臭化チタン534mgを加え室温で22時
間反応させた。反応液に無水アセトニトリル10mを
加えたのち無水酢酸ナトリウム1.67gを加え、さらに無
水トルエン20mを加えた。沈殿をろ過して除いた
後、ろ液を減圧濃縮し、残渣に無水トルエン20mを
加え不溶物を過して除き、液を減圧濃縮して表題化
合物をシロツプとして330mg(94%)得た。
比旋光度▲〔α〕25 D▼−154°(c1,クロロホル
ム)。1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム): δ6.55(1H,broad d,H−1) 4.81(1H,ddt,H−2) 参考例2 (1)7−O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジ
デオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダ
ウノマイシノンの製造 ダウノマイシノン290mg、酸化第2水銀(黄色)94
3mg、臭化第2水銀273mg、粉末状モレキユラーシー
ブ3Aの4.5gを無水ジクロロメタン36mにけん濁
させた液に、実施例3で得た3,4−ジ−O−アセチル
−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピ
ラノシル ブロマイド330mgを無水ジクロロメタン9
mに溶解した溶液を加えた。得られた混合物を室温、
暗所で20時間攪拌した。反応液を過し、液をクロ
ロホルムで希釈し、得られた溶液を30%ヨウ化カリウ
ム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗
浄したのち濃縮した。得られた残渣を60mのシリカ
ゲルカラムクロマトグラフイー(展開系ベンゼン−アセ
トン4:1)で分離精製し表題化合物を赤色固体として
378mg(82%)得た。再沈殿はクロロホルム−ヘキ
サンより行つた。
融点144−146℃ ▲〔α〕26 D▼+211°(c0.036,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ5.64(1H,dd,H−1′) 4.08(3H,s,OCH3) 2.41(3H,s,Ac) 2.18,2.03(それぞれ3H,s,OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム、CFCl3 内部標準): φ−201.0(ddd)JF,H-2′49.5,JF,H-3′ 32.5,JF,H-1′9.5Hz 元素分析 C31H31O13F・H2Oとして 理論値:C,57.41;H,5.13;F,2.93% 分析値:C,57.77;H,5.28;F,3.21% (2)7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノシル)ダウノマイシノンの製造 7−O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダウノ
マイシノンの100mgを0.2規定水酸化ナトリウム水溶
液8mに溶解させ、0℃で0.5時間反応させ加水分解
によりアセチル基を脱離させた。同温度で反応液に1規
定塩酸1.6mを加えて中和したのち、塩化ナトリウム
1.5gを加えクロロホルムで抽出した。抽出液を飽和塩
化ナトリウム水溶液で洗浄後濃縮した。得られた赤色固
体をクロロホルム−ヘキサンより再沈でんすると、表題
化合物を赤色固体として得た。収量62mg(72%)。
▲〔α〕25 D▼+197°(c0.02,クロロホルム−メ
タノール1:1)1 H−NMRスペクトル(重ピリジン): δ6.02(1H,broad d,H−1′) 3.96(3H,s,OCH3) 2.57(3H,s,OAc) 参考例3 7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシル)アドリアマイシノンの製造 参考例2で得られた7−O−(2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダウノマイシノ
ンの37.8mgを無水メタノール0.9m、無水ジオキサン
1.4mの混液にけん濁させオルトギ酸メチル0.052m
を加えて反応させた(13位カルボニル基のケタール化
による保護)。その後、反応液を0℃に冷却し、このけ
ん濁液に、臭素15mgを無水ジクロロメタン0.15mに
溶解した溶液を加え、同温度で1時間攪拌したのち、室
温で1.5時間攪拌した。これによつて、14位のメチル
基の臭素化を行つた。
得られた均一溶液をイソプロピルエーテル12mに滴
下し、析出した赤色沈殿を遠心分離により採取し、イソ
プロピルエーテルで2回洗浄した。この沈殿をアセトン
3mにけん濁させ、室温で40分間攪拌した(脱ケタ
ール化反応)。得られた均一溶液にイソプロピルエーテ
ル5m、ヘキサン20mを加え析出した沈殿を遠心
分離により採取し、赤色固体35mgを得た。この固体を
アセトン3.2m、水0.8mの混液に溶解させ、ギ酸ナ
トリウム65mgを加え、室温で17時間激しく攪拌し
た。これによつて、14位のブロモメチル基はヒドロキ
シメチル基に転化した。この反応液を少量まで濃縮し析
出した固体を水洗し、乾燥し、赤色固体29mgを得た。
この固体を40%酢酸水3mに溶解し、80℃で4時
間加熱した(この加熱によつて、先のアセトン処理で部
分的に導入された3′,4′−O−イソプロピリデン基
と、先のギ酸ナトリウム処理で部分的に導入された14
−O−ホルミル基とが除去される)。反応液を減圧濃縮
し、残渣に水を加え、遠心分離により固体を採取し水洗
した。得られた固体をクロロホルム−メタノール−イソ
プロピルエーテルより再沈殿し、表題化合物を赤色固体
として16.7mg(43%)得た。さらに上記水洗液を、ダ
イヤイオンHP−50レジン3mをつめたカラムにチヤ
ージし水洗後、80%MeOH水で溶出し、表題化合物を含
むフラクシヨンを濃縮することにより、さらに赤色固体
として表題化合物の5mgを得た。総収量は21.7mg(56
%)。
▲〔α〕25 D▼+194°(c0.01,クロロホルム−メ
タノール1:1)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム−重メタノール
1:1): δ5.56(1H,broad d,H−1′) 4.75(2H,s,CH 2OH) 4.09(3H,s,OCH3

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次に一般式 〔式中、Aは水素原子又はアセチル基であり、Xは水酸
    基又はメトキシ基、あるいは塩素、臭素又は沃素原子で
    ある〕で示される2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
    L−タロピラノース又はその誘導体。
  2. 【請求項2】次式 で示されるメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
    α−L−タロピラノシドである特許請求の範囲第1項記
    載の化合物。
  3. 【請求項3】次式 で示される2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−L−タ
    ロピラノースである特許請求の範囲第1項記載の化合
    物。
  4. 【請求項4】次式 で示される3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオ
    キシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル・ブロマ
    イドである特許請求の範囲第1項記載の化合物。
  5. 【請求項5】次式 〔式中、Bはヒドロキシル保護基である〕で示されるメ
    チル2,3−アンヒドロ−4−O−保護−6−デオキシ
    −α−L−グロピラノシドを弗化水素カリウム又は弗化
    水素ナトリウムと反応させて次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
    4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
    −L−イドピラノシドを生成し、次いでこの式(III)
    の化合物に酸化剤としてジメチルスルホキシドをジシク
    ロヘキシルカルボジイミド、ピリジン及びピリジニウム
    ・トリフルオロアセテートの存在下に反応させるか又は
    酸化剤としてピリジニウム・クロロクロメートを反応さ
    せて次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
    4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
    −L−リキソヘキソピラノシド−3−ウロースを生成さ
    せ、さらに式(IV)の化合物に還元剤として金属水素化
    物を反応させて次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
    4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
    −L−タロピラノシドを生成させ、式(V)の化合物か
    らヒドロキシル保護基(B)を常法で脱離することから成
    る次式 のメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−
    タロピラノシドの製造法。
  6. 【請求項6】次式 〔式中、Bはヒドロキシル保護基である〕で示されるメ
    チル4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ
    −α−L−リキソ−ヘキソピラノシド−3−ウロースを
    還元剤として金属水素化物を反応させて次式 〔式中、Bは前記と同じ意味をもつ〕で示されるメチル
    4−O−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
    −L−タロピラノシドを生成させ、次いで式(V)の化
    合物からヒドロキシル保護基(B)を常法で脱離すること
    から成る次式 で示されるメチル2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
    α−L−タロピラノシドの製造法。
JP61009893A 1985-12-18 1986-01-22 2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−l−タロピラノ−ス又はその誘導体とその製造法 Expired - Fee Related JPH0660189B2 (ja)

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