JPH09132589A - 糖部分の水酸基をモノ−または−ジ−o−アミノアルカノイル化された含フッ素アンスラサイクリン誘導体 - Google Patents

糖部分の水酸基をモノ−または−ジ−o−アミノアルカノイル化された含フッ素アンスラサイクリン誘導体

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JPH09132589A
JPH09132589A JP25535496A JP25535496A JPH09132589A JP H09132589 A JPH09132589 A JP H09132589A JP 25535496 A JP25535496 A JP 25535496A JP 25535496 A JP25535496 A JP 25535496A JP H09132589 A JPH09132589 A JP H09132589A
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talopyranosyl
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JP25535496A
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English (en)
Inventor
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Sumio Umezawa
純夫 梅澤
Osamu Tsuchiya
修 土屋
Yasushi Takagi
泰 高木
Hiromi Saotome
洋美 五月女
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Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い抗腫瘍活性を示し且つ水溶性を有する新
規な含フッ素アンスラサイクリン誘導体を創製すること
が要望される。 【解決手段】 下記の一般式(I)で示される7-O-
〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-又は-4-O-又
は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノ
シル〕ダウノマイシノン又はアドリアマイシノンが合成
された。また下記の一般式(II)で示される7-O-〔3
-O-又は-4-O-又は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル
-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L
-タロピラノシル-あるいは-2,6-ジデオキシ-6,6,6
-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル〕アド
リアマイシノンが合成された。 一般式(I): 一般式(II): 〔式中、A1とA2の何れか一方又は両者がα-アミノ酸
残基又はω-アミノ酸残基を示し、Tはフッ素または水
素原子を示す〕。一般式(I)又は(II)の含フッ素ア
ンスラサイクリン誘導体は高い抗腫瘍活性をもち且つ水
溶性であって、注射剤として投与できる抗腫瘍剤として
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗腫瘍活性をもつ
が低毒性であり且つアンスラサイクリンの糖部分の3′
位および(または)4′位の水酸基がモノ-またはジ-O
-アミノアルカノイル化された新規な含フッ素アンスラ
サイクリン誘導体に関する。さらに詳しくは、本発明
は、抗腫瘍活性をもち、毒性が低く且つ水溶性である新
規なアンスラサイクリン誘導体として、7-O-〔2,6-
ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル〕ダウ
ノマイシノンまたは-アドリアマイシノン、あるいは7-
O-〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-
α-L-タロピラノシル〕アドリア マイシノン、または
7-O-〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-
L- リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノンの
3′位水酸基および(または)4′位水酸基をアミノ酸
でエステル化して形成される新規な含フッ素アンスラサ
イクリン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】アンスラサイクリン系抗生物質として
は、ダウノマイシン(ダウノルビシンとも言う)及びア
ドリアマイシン(ドキソルビシンとも言う)が知られて
おり、これらは、実験腫瘍に対して広い抗癌スペクトル
を有し、癌化学療法剤として臨床的にも広く利用されて
いる。
【0003】しかし、ダウノマイシン及びアドリアマイ
シンは各種の腫瘍にかなり強力な抗癌作用を示すが、必
ずしも満足できない。すなわち、ダウノマイシンおよび
アドリアマイシンは癌化学療法剤として担癌患者の臨床
治療に広く使用されているが、しばしば白血球減少、脱
毛、心筋障害等の重篤な副作用を伴うことが知られてい
る。
【0004】従って、従来も、ダウノマイシン又はアド
リアマイシンより秀れた抗腫瘍活性と低い毒性をもつダ
ウノマイシン誘導体又はアドリアマイシン誘導体を創製
することを目的として研究が進められてきた。例えば、
本発明者らは、抗腫瘍活性をもつ次の一般式(A) 〔式中、Qは水素原子又は水酸基を表わす〕で示される
アンスラサイクリン誘導体、例えば、7-O-(2,6-ジ
デオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)ダウノ
マイシノン及び7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-
α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノンを合成する
ことに成功した〔日本特許第1905434号(特公平
6-31298)及び欧州特許第0230013号〕。
【0005】また、本発明者らは、抗腫瘍活性をもつ次
の一般式(B) 〔式中、Gは基−(CH2)m−H(但し、mは1〜6の整
数を表わす)又は基−(CH2)n−COOH(但し、nは
0又は1〜10の整数を表わす)を表わす〕で示される
アンスラサイクリン誘導体を合成することにも成功した
(特公平7-42304号及び欧州特許第027543
1号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、更に、
ダウノマイシン、アドリアマイシン及び上記の式(A)
及び(B)のアンスラサイクリン誘導体より高い抗癌又
は抗腫瘍活性を示し且つ毒性がより低い新しいアンスラ
サイクリン誘導体を創製する目的で種々研究を行ってき
た。
【0007】前記の一般式(A)及び(B)のアンスラ
サイクリン誘導体の抗癌又は抗腫瘍活性は、ダウノマイ
シンやアドリアマイシンより格段に優れているが、未だ
十分に満足できるものではない。さらに強い抗癌又は抗
腫瘍活性を有する新規アンスラサイクリン誘導体が望ま
れている。
【0008】上記の課題を達成するために、本発明者ら
はトリフルオロメチル化糖を有する新規なアンスラサイ
クリン誘導体を合成することを目的として研究を続け
た。
【0009】その研究の結果として、メチル α-D-リ
キソピラノシドから出発して多段階工程を経て2,6-ジ
デオキシ-2,6,6,6-テトラフロオロ-α-L-タロピラ
ノースの1-O-アセチル誘導体又は2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル・
ハライド又はこれらの3,4-ジ-O-保護誘導体を新規化
合物として合成することに成功した。
【0010】そして、これら新らたに合成された2,6-
ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピ
ラノース誘導体を利用して且つダウノマイシノン又はア
ドリアマイシノンの7位水酸基に2,6-ジデオキシ-2,
6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル基を縮
合することから成る方法によって、トリフルオロメチル
化糖を有する新規なアンスラサイクリン誘導体として、
次の一般式(C) 〔式中、Rは水素原子又は水酸基である〕で表わされる
新規ダウノマイシノン又はアドリアマイシノン誘導体を
合成することに成功した。更に、一般式(C)のアンス
ラサイクリン誘導体は低投与量で投与しても高い抗癌又
は抗腫瘍活性を有することが知見された〔特願平6-6
7714号及びPCT/JP95/00407号(国際
公表第WO95/24412号)明細書参照〕。
【0011】上記の一般式(C)のダウノマイシノン又
はアドリアマシシノン誘導体の例には、下記の新規な化
合物(C−a)と化合物(C-b)がある。
【0012】(1)化合物(C−a):次式 で表わされる7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-
テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)ダウノマイシ
ノン。
【0013】(2)化合物(C−b):次式 で表わされる7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-
テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイ
シノン。
【0014】他方、上記の一般式(C)のアンスラサイ
クリン誘導体に化学構造の点で類似しているが前記の式
(C−b)のアドリアマイシノン誘導体の糖部分の2位
フルオロ基が水素原子と置き換わったような新規アンス
ラサイクリン誘導体を合成することを試みた。この試み
のために、研究を続行した。その研究の結果として、既
知のメチル 4-デオキシ-β-L-エリスロ-ペントピラ
ノシドから出発して多段階工程を経て2,6-ジデオキシ
-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノー
スの1-O-アセチル誘導体又は2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル・
ブロマイド又はこれらの3,4-ジ-O-保護誘導体を新規
な糖化合物として合成することに成功した。
【0015】そして、これら2,6-ジデオキシ-6,6,
6-トリフロオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノース誘導
体を利用して、アドリアマイシノンの7位水酸基に2,
6-ジデオキシ-6,6,6-トリフロオロ-α-L-リキソ-
ヘキソピラノシル基を縮合することから成る方法によっ
て、トリフルオロメチル化糖を有する別の新規なアンス
ラサイクリン誘導体として、次の式 で表わされる7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリ
フルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)アドリアマ
イシノン誘導体を合成することに成功した。更に、式
(D)の新規アンスラサイクリン誘導体は低投与量で投
与しても高い抗癌又は抗腫瘍活性を有し且つ低投与量で
は被験動物で急性毒性の発現が認められないことが知見
された(PCT/JP95/00407号明細書参
照)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】前記の式(A)、式
(B)、式(C)及び式(D)で示されるアンスラサイ
クリン誘導体はいずれも強い抗腫瘍活性を示すけれど
も、式(B)の化合物以外はすべて水に極めて難溶であ
り、注射薬として投与するうえで水溶液型の注射剤とし
て製剤し難い問題が生じた。本発明者らは既に式(B)
の化合物のように、アドリアマイシン型化合物の14位
をジカルボン酸でヘミエステル化することにより水溶性
化合物を得ることに成功している。しかし、他方では上
記の式(A)、式(C)又は式(D)のアンスラサイク
リン類から水溶性の満足に高い新規な誘導体を創製する
ことが要望される。この要望に適合する新規なアンスラ
サイクリン誘導体を合成する目的で本発明者らは今回、
研究を続けた。その結果、今回は、別のアプローチとし
て、式(A)、式(C)又は式(D)で示される含フッ
素アンスラサイクリン誘導体の糖部分の3位および4位
の水酸基のいずれか一方または両方に、アミノ酸をエス
テル結合によって導入し、かつそのように導入されたア
ミノ酸側鎖のアミノ基を無機酸または有機酸と造塩させ
ると、水溶性の新規化合物を得ることができることを知
見した。またこれら水溶性化合物はいずれも強い抗腫瘍
活性を維持することも知見した。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち、第1の本発明
によると、一般式 〔式中、Qは水素原子又は水酸基であり、A1及びA2
何れか一方または両方が(i)次式(a): (但し、Rは水素原子あるいは炭素数1〜8のアルキル
基、あるいはアリール基、特にフェニル基又は置換され
たフェニル基、もしくはアラルキル基、特にフェニル-
(C1〜C6)アルキル基である)で示されるグリシル基
又は置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)次
式(b): −CO−B−NH2 (b) (式中、Bは(C1〜C6)アルキル基で置換されてもよ
い炭素数2〜6の直鎖状アルキレン基である)で示され
るω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6
-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-又は-4-O-又は-3,
4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕
アンスラサイクリン誘導体またはその製薬学的に許容で
きる酸付加塩が提供される。
【0018】第1の本発明による一般式(I)のアンス
ラサイクリン誘導体は、下記の6群(i)〜(vi)の新
規化合物を包含する。
【0019】(i)一般式 〔式中、A1が(i)前記の式(a)のグリシル基又は
置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の
式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O
-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-アミノアルカ
ノイル-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン誘導
体である化合物。
【0020】(ii)一般式 〔式中、A2が(i)前記の式(a)のグリシル基又は
置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の
式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O
-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-アミノアルカ
ノイル-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン誘導
体である化合物。
【0021】(iii)一般式 〔式中、A1及びA2の両方がそれぞれ(i)前記の式
(a)のグリシル基又は置換されたグリシル基である
か、もしくは(ii)前記の式(b)のω-アミノ酸残基
である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピ
ラノシル〕ダウノマイシノン誘導体である化合物。
【0022】(iv)一般式 〔式中、A1が(i)前記の式(a)のグリシル基又は
置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の
式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O
-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-アミノアルカ
ノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン誘
導体である化合物。
【0023】(v)一般式 〔式中、A2が(i)前記の式(a)のグリシル基又は
置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の
式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O
-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-アミノアルカ
ノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン誘
導体である化合物。
【0024】(vi)一般式 〔式中、A1及びA2の両方が(i)前記の式(a)のグ
リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
(ii)前記の式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わ
される7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-
ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕ア
ドリアマイシノン誘導体である化合物。
【0025】また、第2の本発明においては、一般式 〔式中、Tはフッ素原子又は水素原子であり、A1及び
2の何れか一方または両方が(i)次式(a): 〔但し、Rは水素原子、あるい炭素数1〜7のアルキル
基、あるいはアリール基、特にフェニル基又は置換され
たフェニル基、もしくはアラルキル基、特にフェニル-
(C1〜C6)アルキル基である〕で示されるグリシル基又
は置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)次式
(b): −CO−B−NH2 (b) (式中、Bは(C1〜C6)アルキル基で置換されてもよい
炭素数2〜6の直鎖状アルキレン基である)で示される
ω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6-
ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-3-O-又は-
4-O-又は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タ
ロピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体または7-O-
〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-3-O-又
は-4-O-又は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L
-リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン誘導
体、あるいはその製薬学的に許容できる酸付加塩が提供
される。
【0026】第2の本発明による一般式(II)のアンス
ラサイクリン誘導体は下記の6群(i)〜(vi)の新規
化合物を包含する。
【0027】(i)一般式 〔式中、A1が(i)前記の式(a)のグリシル基又は
置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の
式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O
-〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-3-
O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリ
アマイシノン誘導体である化合物。
【0028】(ii)一般式 〔式中、A2が(i)前記の式(a)のグリシル基又は
置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の
式(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O
-〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-4-
O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリ
アマイシノン誘導体である化合物。
【0029】(iii)一般式 〔式中、A1及びA2の両方がそれぞれ(i)前記の式
(a)のグリシル基又は置換されたグリシル基である
か、もしくは(ii)前記の式(b)のω-アミノ酸残基
である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,
6,6,6-テトラフルオロ-3,4-ジ-O-アミノアルカノ
イル-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン誘導
体である化合物。
【0030】(iv)一般式 〔式中、A1が(i)前記の式(a)のグリシル基又は置
換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の式
(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-
〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-3-O-ア
ミノアルカノイル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル〕ア
ドリアマイシノン誘導体である化合物。
【0031】(v)一般式 〔式中、A2が(i)前記の式(a)のグリシル基又は置
換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)前記の式
(b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-
〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-4-O-ア
ミノアルカノイル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル〕ア
ドリアマイシノン誘導体である化合物。
【0032】(vi)一般式 〔式中、A1及びA2の両方がそれぞれ(i)前記の式
(a)のグリシル基又は置換されたグリシル基である
か、もしくは(ii)前記の式(b)のω-アミノ酸残基
である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-
α-L-リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン
誘導体である化合物。
【0033】第1の本発明による一般式(I)の化合
物、あるいは第2の本発明による一般式(II)の化合物
におけるA1又はA2は、例えばグリシル基、あるいは置
換されたグリシル基としてL-アラニル基、L-バリル
基、L-ロイシル基、L-イソロイシル基又はL-フェニ
ルアラニル基であることができる。
【0034】また、上記の一般式(I)又は(II)の化
合物におけるA1又はA2が式−CO−B−NH2(Bは
前記の意味をもつ)のω-アミノ酸残基である場合に、
それらは例えば3-アミノプロピオニル基、4-アミノブ
チリル基又は4-アミノ-2,2-ジメチルブチリル基であ
ることができる。
【0035】第1又は第2の本発明による一般式(I)
又は(II)のアンスラサイクリン誘導体のアミノ基にお
ける製薬学的に許容できる酸付加塩の例には、製薬学的
に許容できる無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸又はリン
酸、あるいは製薬学的に許容できる有機酸、例えば酢
酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、マロン酸、乳
酸、酒石酸又はメタンスルホン酸との付加塩がある。
【0036】また、第1の本発明の一般式(I)のアン
スラサイクリン誘導体は、それの好ましい具体的化合物
例として、下記の化合物を包含する。
【0037】(1)7-O-〔3-O-(3-アミノプロピオ
ニル)-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラ
ノシル〕ダウノマイシノン (2)7-O-〔4-O-(3-アミノプロピオニル)-2,6
-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル〕ダウ
ノマイシノン (3)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-グ
リシル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン (4)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-グ
リシル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン (5)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-ジ
-O-グリシル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシ
ノン (6)7-O-(3-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-2
-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン (7)7-O-(4-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-2
-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン (8)7-O-(3,4-ジ-O-L-アラニル-2,6-ジデオ
キシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマ
イシノン (9)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-
L-フェニルアラニル-α-L-タロピラノシル)アドリア
マイシノン (10)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-L
-フェニルアラニル-α-L-タロピラノシル)アドリアマ
イシノン (11)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-ジ
-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロピラノシル)アド
リアマイシノン (12)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-L
-バリル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン (13)7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-L
-バリル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン (14)7-O-〔3,4-ジ-O-(3-アミノプロピオニ
ル)-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノ
シル〕アドリアマイシノン。
【0038】また、第2の本発明による一般式(II)の
アドリアマイシノン誘導体は、その好ましい具体的化合
物例として、下記の化合物を包含する。
【0039】(1)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-3-O-グリシル-α-L-タロピラ
ノシル)アドリアマイシノン (2)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-4-O-グリシル-α-L-タロピラノシル)アドリ
アマイシノン (3)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-3,4-ジ-O-グリシル-α-L-タロピラノシル)
アドリアマイシノン (4)7-O-〔3,4-ジ-O-(3-アミノプロピオニル)
-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L
-タロピラノシル〕アドリアマイシノン (5)7-O-(3-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)
アドリアマイシノン (6)7-O-(4-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)
アドリアマイシノン (7)7-O-(3,4-ジ-O-L-アラニル-2,6-ジデオ
キシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシ
ル)アドリアマイシノン (8)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-3-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロピラノ
シル)アドリアマイシノン (9)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-4-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロピラノ
シル)アドリアマイシノン (10)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-3,4-ジ-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロ
ピラノシル)アドリアマイシノン (11)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオ
ロ-3-O-グリシル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)
アドリアマイシノン (12)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオ
ロ-4-O-グリシル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)
アドリアマイシノン (13)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオ
ロ-3,4-ジ-O-グリシル-α-L-リキソ-ヘキソピラノ
シル)アドリアマイシノン (14)7-O-〔3,4-ジ-O-(3-アミノプロピオニル)-
2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキ
ソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン (15)7-O-(3-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-
6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシ
ル)アドリアマイシノン (16)7-O-(4-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-
6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシ
ル)アドリアマイシノン (17)7-O-(3,4-ジ-O-L−アラニル-2,6-ジデオ
キシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラ
ノシル)アドリアマイシノン (18)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオ
ロ-3-O-L-フェニルアラニル-α-L-リキソ-ヘキソピ
ラノシル)アドリアマイシノン (19)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオ
ロ-4-O-L-フェニルアラニル-α-L-リキソ-ヘキソピ
ラノシル)アドリアマイシノン (20)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオ
ロ-3,4-ジ-O-L-フェニルアラニル-α-L-リキソ-ヘ
キソピラノシル)アドリアマイシノン。
【0040】第1の本発明による一般式(I)の化合物
は、実験的な動物腫瘍に対して顕著な抗腫瘍活性を有
し、その抗腫瘍活性がダウノマイシン及びアドリアマイ
シンに比べて同等であるかもしくは顕著に高いことが試
験によって確かめられた。
【0041】以下に、第1の本発明による一般式(I)
の化合物に包含される数種の化合物について、それらの
抗腫瘍活性の試験を試験例1に示す。
【0042】試験例1 本例では、マウス白血病ロイケミアL-1210細胞により
誘起されたCDF1マウスの白血病に対する第1の本発
明によるアンスラサイクリン誘導体の抗腫瘍活性を試験
した。
【0043】実験的な動物腫瘍に対する抗腫瘍効果を評
価するために、CDF1マウス(1群4匹)の腹腔内へマ
ウス白血病ロイケミアL-1210の細胞の1×105個/マウ
スを移植した。その移植から24時間後より連日9日
間、毎日1回、本発明による供試化合物を腹腔内へ投与
した。その投与後から60日間、処理されたマウスの観
察を行った。対照区(未処理区)のマウスにはL-1210
細胞の移植後に生理食塩水のみを投与した。処理区と対
照区のマウスの生存日数を計測し平均生存日数を算定し
た。対照区マウスの平均生存日数(C)と処理区マウス
の平均生存日数(T)とからマウスの延命率(T/C、
%)を求めた。
【0044】また、比較のため、7-O-(2,6-ジデオ
キシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)ダウノマイシ
ノン(略号:FT−DM)、7-O-(2,6-ジデオキシ-
2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノ
ン(略号:FT−ADM)、およびアドリアマイシンも
同様に試験した。その結果を下記の表1に示す。対照区
(未処理区)マウスの平均生存日数は8〜9日であり、ア
ドリアマイシン投与の比較区でのマウスの平均生存日数
はアドリアマイシン投与量に応じて変動する。
【0045】なお、表1中で符号「>」は、腫瘍の移植
を受けたが供試化合物の投与により治癒されて60日間
又はそれ以上生存したマウスが供試マウス4匹中に少な
くとも1匹が観察されたことを示す。また、表1に示さ
れた化合物番号は後記の実施例に示される化合物No.
である。
【0046】表1
【0047】表1の結果から明らかなように、第1の本
発明による一般式(I)の化合物は、その親化合物であ
るFT−DMやFT−ADMとほぼ同等か、あるいは顕
著に増強された抗腫瘍活性を示す。特に供試化合物8b
と化合物9bの混合物は、5mg/kg〜0.3mg/kgの投
与量の範囲において投与した場合にマウス20匹のうち
14匹が60日以上生存し、治癒したことが認められる
ことは注目に値し、親化合物のFT−ADMに比べ顕著
に増強された抗腫瘍活性を有することが示される。特に
化合物8bと化合物9bの混合物を1.25〜0.3mg/
kgという低投与量で投与した場合において60日間生存
マウスがいたことは注目に値する。化合物11bも上記
の混合物よりやや劣るものの強い抗腫瘍活性を示した。
【0048】試験例2 試験管中で培養されたマウス白血病P388細胞および
アドリアマイシン耐性P388細胞(P388/AD
R)に対して、第1および第2の本発明の化合物のうち
の数例を供試化合物として加えた。その後72時間培養
を続けて、白血病細胞の生育を50%阻止できる化合物
濃度(IC50,ng/ml)を測定した。比較化合物とし
て、アドリアマイシン(塩酸塩として)を用いて同様に
試験した。試験結果を表2に要約する。なお、表2に示
される化合物番号は後記の実施例に示す化合物No.であ
る。
【0049】表2
【0050】表2の結果から明らかなように、本発明の
化合物は、化合物3および化合物4の混合物以外は、P
388細胞の生育をアドリアマイシンよりも低いIC50
値で阻止し、抗腫瘍活性が大きいことが明らかになっ
た。また供試したすべての化合物がP388/ADR細
胞に対してもアドリアマイシンより強い抗腫瘍活性を示
した。
【0051】上記の試験例1〜2で比較薬剤として用い
たダウノマイシン又はアドリアマイシンは、臨床上で実
用されている抗癌剤であって、治療すべき癌の種類に応
じて0.4mg/kg〜2mg/kgの範囲の投与量で人間に投
与されている。この実用されているダウノマイシン又は
アドリアマイシンは、L-1210癌細胞を接種されたマウ
スについて投与量2.5mg/kg/日〜5mg/kg/日で投
与した場合に、夫々に、得られた延命率(T/C、%)
が138〜171%又は最大でも約330%である程度
の抗癌又は抗腫瘍効果示し且つ毒性の発現を伴う。
【0052】しかし、これに対比して、0.3〜5mg/k
g/日の範囲内の適当な低い投与量で投与された本発明
の供試化合物の多くは、表1に示されるとおり毒性の発
現を示すことがなく、しかもより顕著に高い延命率(T
/C、%)を示し得ること、特に完全治癒を含む約30
0%又はそれ以上の延命率を示すという極めて優れた抗
腫瘍効果を有することは注目すべきことである。従っ
て、本発明化合物の多くは臨床治療上で担癌患者に多量
に投与しないでも抗腫瘍効果を期待できる利点がある。
【0053】このことから、一般式(I)又は一般式
(II)でそれぞれに表わされる第1又は第2の本発明に
よる新規アンスラサイクリン誘導体は抗腫瘍活性が優れ
且つ毒性も低いと考えられ、そして臨床で実用できる抗
腫瘍剤として極めて有用であり且つダウノマイシン又は
アドリアマイシンと同様に各種の腫瘍の治療に有用であ
ると期待される。従って、第1の本発明による一般式
(I)の化合物ならびに第2の本発明による一般式(I
I)の化合物は腫瘍又は癌の治療剤として固形癌及び腹
水癌等の医療的処理に有用に使用できる。
【0054】従って、第3の本発明の要旨において、上
記の一般式(I)で示されるアンスラサイクリン誘導
体、あるいは一般式(II)で示されるアドリアマイシノ
ン誘導体を有効成分として含有して且つ製薬学的に許容
できる担体を有効成分と組合わせて含有することを特徴
とする抗腫瘍剤組成物が提供される。
【0055】一般式(I)又は一般式(II)の本発明化
合物を実際に投与する場合には、一般に非経口的に投与
することもできる。本発明の化合物を、医薬製剤の分野
で用いられる通常の製薬学的に許容できる固体又は液体
状の担体と混ぜて散剤、顆粒剤、錠剤またはシロップあ
るいは注射剤等の剤型に製剤して、経口的に投与するこ
ともできる。
【0056】一般的の投与方法としては、動物の場合、
腹腔内注射、皮下注射、静脈又は動脈への血管内注射及
び局所投与等の注射剤として、ヒトの場合は静脈又は動
脈への血管内注射又は局所投与等の注射剤として投与さ
れ、その投薬量は動物試験の結果及び種々の情況を勘案
して総投与量が一定量を越えない範囲で、連続的又は間
けつ的に投与することができる。
【0057】しかし、本発明化合物の投与量は投与方
法、患者、又は被処理動物の状況例えば年令、体重、性
別、感受性、食餌、投与時間、投与方法、併用する薬
剤、患者又はその病気の程度に応じて適宜に変えて投与
することはもちろんである。本発明化合物の通常の投与
量は、抗腫瘍剤又は抗癌剤として用いる場合に、ダウノ
マイシン又はアドリアマイシンと同程度の投与量とする
ことができる。一定の条件の下における本発明化合物の
適当な投与量と投与回数は、上記の指針を基として専門
医の適量決定試験によって決定されなければならない。
これらの投与条件は、経口投与においても同様に考慮さ
れる。
【0058】次に、本発明による新規なアンスラサイク
リン誘導体の製造法を説明する。
【0059】(A)第1の本発明による一般式(I-1
a)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-ア
ミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイ
シノンの製造は、次の方法により行い得る。
【0060】すなわち、特公平6-31298号明細書
に記載の7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L
-タロピラノシル〕ダウノマイシノン(化合物A′)
〔前出の式(A)の化合物の一つ〕をピリジンに溶解
し、得られたピリジン溶液に対して(i)一般式 〔式中、Rは前記の意味をもち、Bocはアミノ保護基と
してターシャリーブトキシカルボニル基を示す〕で表わ
されるN-保護されたグリシン又はその他のα-アミノ
酸、あるいは(ii)一般式 HOOC−B−NH−Boc (IV) 〔式中、B及びBocは前記の意味をもつ〕で表わされる
N-保護されたω-アミノ酸であり得るN-保護アミノ酸
の活性エステル、例えばN-スクシンイミドエステルを
等モル量比又はそれよりやや過剰の量で加え、得られた
混合物を加熱下に、例えば50〜60℃の高められた温
度で攪拌し、前記化合物A′の3′位水酸基を選択的に
前記のN-保護アミノ酸でエステル化し、さらに得られ
たエステル化生成物からアミノ保護基(Boc)を常法で
脱離することから成る方法により行い得る。
【0061】上記のエステル化反応では、原料化合物
A′の3位水酸基が選択的に式(III)又は式(IV)のN
-保護アミノ酸でエステル化されることにより、一般式 〔式中、A1aは次式(a′): (但し、R及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-グリシル基又はその他のN-Boc-α-アミノ酸残基で
あるか、もしくは次式(b′): −CO−B−NH−Boc (b′) (但し、B及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-ω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6
-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-(N-Boc-アミノアル
カノイル)-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン
を生成する。
【0062】エステル化反応の反応液から適当な手段で
上記の式(I-1a′)の3′-モノ-O-(N-Boc-アミノ
アルカノイル)化合物(すなわちN-Boc-3′-エステ
ル)を回収し、次いでこれを含水トリフルオロ酢酸に溶
解して脱保護処理すると、加水分解によりアミノ保護基
のBocが脱離されて目的の式(I-1a)の化合物(3′-
エステル)がトリフルオロ酢酸塩の形で生成される。
【0063】なお、上記のエステル化反応に際して、そ
の反応時間を長くする場合には、一部の又は大部分の式
(I-1a′)の化合物は、それの3′位からN-Boc-ア
ミノ酸残基(A1a)が4′位水酸基に移る転位反応を受
けることになり、これによって一般式 〔式中、A2aは上記の一般式(I-1a′)におけるA1a
と同じ意味をもつ〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオ
キシ-2-フルオロ-4-O-(N-Boc-アミノアルカノイ
ル)-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノンがN-B
oc-4′-エステルとして生成される。
【0064】後者の式(I-1b′)の4′-モノ-O-(N-
Boc-アミノアルカノイル)化合物(すなわちN-Boc-
4′-エステル)が生成された場合には、式(I-1a′)
のN-Boc-3′-エステルと式(I-1b′)のN-Boc-
4′-エステルとを含むエステル化反応溶液をクロロホ
ルムで希釈し、さらに適当に抽出により不要な副生物を
除去した後にクロロホルム溶液を減圧下に濃縮乾固する
と、式(I-1a′)の化合物と式(I-1b′)の化合物と
の混合物が回収できる。
【0065】このように回収された混合物を、含水のト
リフルオロ酢酸に溶解して加水分解することにより、B
oc基の脱離を行なうと、一般式(I-1a)の化合物と一
般式(I-1b)の化合物の混合物が夫々のトリフルオロ
酢酸塩の形で得られる。このトリフルオロ酢酸による脱
保護反応の際にも、3′-O-アミノアルカノイル基が
4′位水酸基に移る転位が生じて式(I-1a)の3′-エ
ステルと式(I-1b)の4′-エステルとの比率が変化す
る。
【0066】上記3′-エステル、すなわち3′-O-ア
ミノアルカノイル基を有する式(I-1a)の化合物と上
記4′-エステル、すなわち4′-O-アミノアルカノイ
ル基を有する式(I-1b)の化合物との混合物は、これ
を適当な条件でクロマトグラフィーにかけると、前者と
後者とを別々に回収することが可能である。
【0067】(B)第1の本発明による一般式(I-1b)
の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-アミ
ノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシ
ノンは、前項(A)に記載の方法により一般式(I-1a)の
化合物と共に製造できる。
【0068】あるいは、別法では、前項(A)に記載の
方法で先づ式(III)又は式(IV)のN-保護アミノ酸の
活性エステルで原料化合物A′の3′位水酸基を選択的
にエステル化して前記の一般式(I-1a′)のN-Boc-
3′-エステルを生成してから、これを単離し、次いで
アセトニトリルに溶解し、シリカゲルを加え、得られた
混合物を還流させることから成る方法にかける。この時
にも式(I-1a′)の化合物の3′位のN-保護アミノ酸
残基が4′位に移る転位反応が前項(A)で説明したと
同様に起る。その結果、一般式(I-1a′)のN-Boc-
3′-エステルの大部分が前記の一般式(I-1b′)のN
-Boc-4′-エステルに転化される。
【0069】ここで生成された上記2つのエステルを含
む反応液から両者エステルの混合物を回収し、回収した
エステル混合物をトリフルオロ酢酸で処理してアミノ保
護基(Boc)を脱離させると、式(I-1a)の3′-エス
テルと式(I-1b)の4′-エステルとの混合物がトリフ
ルオロ酢酸塩の形で得られる。このエステル混合物を適
当な条件でクロマトグラフィーにかけると、式(I-1a)
の3′-エステルの式(I-1b)の4′-エステルとを別々
に回収できる。
【0070】(C)第1の本発明による一般式(I-1
c)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-ジ
-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕ダウ
ノマイシノンの製造は、次の方法で得る。
【0071】すなわち前項(A)で説明した方法で用い
た原料化合A′、すなわち7-O-〔2,6-ジデオキシ-
2-フルオロ-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン
をピリジン中で2モル量比又はそれよりやや過剰の量の
式(III)又は式(IV)のN-保護アミノ酸の活性エステ
ルと反応させて原料化合物A′の3′位及び4′位の水
酸基を共にエステル化し、これにより一般式 〔式中、A1a及びA2aの両者が次式(a′): (但し、R及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-グリシル基又はその他のN-Boc-α-アミノ酸残基で
あるか、もしくは次式(b′): −CO−B−NH−Boc (b′) (但し、B及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-ω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6
-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-ジ-O-(N-Boc-アミ
ノアルカノイル)-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシ
ノンを生成し、次いで、この式(I-1c′)のN-Boc-
3′,4′-ジエステル化合物をトリフルオロ酢酸で処理
してアミノ保護基(Boc)を脱離して式(I-1c)の3′,
4′-ジエステル化合物を生成することから成る方法で
式(I-1c)の化合物が製造できる。
【0072】この方法における原料化合物A′のエステ
ル化反応、ならびに式(I-1c′)のN-Boc-3′,4′
-ジエステル化合物からのBoc基の脱離反応は、前項
(A)で説明したと同じ要領で実施できる。
【0073】あるいは、別法として、前項(A)で説明
した方法において、式(I-1a′)のN-Boc-3′-エス
テル化合物と式(I-1b′)のN-Boc-4′-エステル化
合物とを混合物の形で先づ生成して、これを回収し、次
いでその混合物をピリジンにとかし、等モル量比の式
(III)又は式(IV)のN-保護アミノ酸の活性エステル
を加えて更にエステル化反応させ、これによって、前記
の一般式(I-1c′)のN-Boc-3′,4′-ジエステル
化合物を生成し、さらに該化合物からトリフルオロ酢酸
処理でBoc基を脱離することから成る方法を用いても、
一般式(I-1c)の3′,4′-ジエステル化合物を製造
することが可能である。
【0074】(D)第1の本発明による一般式(I-2
a)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-ア
ミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリアマ
イシノンの製造は、次の方法により行い得る。
【0075】すなわち、先づ、7-O-〔2,6-ジデオキ
シ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイ
シノン(化合物A″)〔前出の一般式(A)の化合物の一
つ〕を原料として用い、この化合物A″をN,N-ジメチ
ルホルムアミド(DMF)中でイミダゾールの存在下に
ターシャリーブチルクロロジメチルシランと反応させて
該化合物の14位の第1級水酸基を保護のためターチャ
リーブチルジメチルシリル化し、これによって式 〔式中、TBSはターシャリーブチルジメチルシリル基
であるヒドロキシル保護基を示す〕で表わされる14-
O-ターシャリーブチルジメチルシリル-7-O-〔2,6-
ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル〕アド
リアマイシノンを生成し、次いで、この式(V)のアド
リアマイシノン誘導体を、前項(A)で説明したエステ
ル化反応と同様にピリジン中で一般式(III)又は(I
V)のN-保護アミノ酸の活性エステルの等モル量又はや
や過剰量と反応させて式(V)の化合物の3′位水酸基
を選択的にエステル化し、これにより一般式 〔式中、TBSは前記と同じ意味であり、A1aは次式
(a′): (但し、R及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-グリシル基又はその他のN-Boc-α-アミノ酸残基で
あるか、もしくは次式(b′): −CO−B−NH−Boc (b′) (但し、B及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-ω-アミノ酸残基である〕で表わされる14-O-TB
S-7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-(N-
Boc-アミノアルカノイル)-α-L-タロピラノシル〕ア
ドリアマイシノンを生成し、次いで、この式(I-2
a′)のN,O-保護-3′-エステル化合物を単離し、更
にトリフルオロ酢酸で処理してアミノ保護基(Boc)及
びヒドロキシル保護基(TBS)を同時に脱離させ、これ
により、目的とする式(I-2a)の化合物を生成するこ
とから成る方法によって式(I-2a)の化合物が製造でき
る。
【0076】なお、上記のように式(V)のアドリアマ
イシノン誘導体を式(III)又は(IV)のN-保護アミノ酸
の活性エステルでエステル化する反応を行うに際して、
その反応時間を長くする場合には、一部の又は大部分の
式(I-2a′)のN,O-保護-3′-エステル化合物は、
それの3′位からN-Boc-アミノ酸残基(A1a)が4′位
水酸基に移る転位反応を受けることになり、これによっ
て一般式 〔式中、TBSは前記と同じ意味をもち、A2aは上記の
一般式(I-2a′)におけるA1aと同じ意味をもつ〕で
表わされる14-O-TBS-7-O-〔2,6-ジデオキシ-
2-フルオロ-4-O-(N-Boc-アミノアルカノイル)-α
-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノンが生成され
る。
【0077】次いで、得られた式(I-2a′)の化合物
と式(I-2b′)の化合物との両者を含むエステル反応
溶液をクロロホルムで希釈し、さらに不要な副生物を抽
出により除去した後に、得られたクロロホルム溶液を減
圧下に濃縮乾固すると、式(I-2a′)の化合物と式
(I-2b′)の化合物とが混合物の形で回収できる。こ
の混合物をトリフルオロ酢酸で処理し、これによって前
記2つの化合物からTBS基の脱離とBoc基の脱離を同
時に行うと、一般式(I-2a)の化合物と(I-2b)の化
合物との混合物が夫々のトリフルオロ酢酸塩の形で得ら
れる。このトリフルオロ酢酸での処理に際しても、3′
-O-アミノアルカノイル基が4′位水酸基に移る転移反
応が起り、式(I-2a)の化合物と式(I-2b)の化合物
との比率が変化する。
【0078】上記の得られた混合物を適当な条件でクロ
マトグラフィーにかけると、式(I-2a)の化合物と式
(I-2b)の化合物とを夫々にトリフルオロ酢酸塩の形
で別々に回収できる。
【0079】(E)第1の本発明による一般式(I-2
b)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-ア
ミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリアマ
イシノンは前項(D)で説明された方法で製造できる。
【0080】この化合物(I-2b)を製造する第2の方
法は、前記(D)で説明したように、式(V)の化合物
のエステル化反応を行って式(I-2a′)の化合物を生
成し、次いで該化合物を反応液から適当な手段で先づ分
離し、回収された式(I-2a′)の化合物をアセトニトリ
ルにとかし、シリカゲルの存在下にそのアセトニトリル
溶液を還流させ、これによって、式(I-2a′)の化合
物の3′位のN-保護アミノ酸残基が4′位に移る転位
反応を受けるようにさせ、これにより式(I-2b′)の化
合物を生成させ、更にその転移反応の反応液から式(I
-2b′)の化合物と未転化の式(I-2a′)の化合物との
混合物を回収し、該混合物をトリフルオロ酢酸で処理し
て前記2つの化合物の各々からTBS基及びBoc基を同
時に脱離させ、これにより式(I-2b)の化合物と式
(I-2a)の化合物を生成させ、これら両者化合物の混
合物を回収し、次いで適当なクロマトグラフィー手段で
式(I-2b)の化合物と式(I-2a)の化合物を夫々にト
リフルオロ酢酸塩の形で別々に単離することから成る方
法である。
【0081】(F)第1の本発明による一般式(I-2
c)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-ジ
-O-(アミノアルカノイル)-α-L-タロピラノシル〕ア
ドリアマイシノンの製造は次の方法で行い得る。
【0082】すなわち、前項(E)で説明した方法によ
り、一般式(I-2a′)のN,O-保護-3′-エステル生
成物と一般式(I-2b′)のN,O-保護-4′-エステル
生成物とを混合物の形で生成し、この混合物を反応液か
ら採取し、次いでこの混合物をピリジンにとかして等モ
ル量比の式(III)又は式(IV)のN-保護アミノ酸の活
性エステルを加え、更にエステル化反応させて、これに
より一般式 〔式中、TBSは前記の意味をもち、A1aおよびA2a
両者は次式(a′): (但し、R及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-グリシル基又はその他のN-Boc-α-アミノ酸残基で
あるか、もしくは次式(b′): −CO−B−NH−Boc (b′) (但し、B及びBocは前記と同じ意味をもつ)のN-Bo
c-ω-アミノ酸残基である〕で表わされる14-O-TB
S-7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3, 4-ジ
-O-(N-Boc-アミノアルカノイル)-α-L-タロピラ
ノシル〕アドリアマイシノンを生成し、次いで、この式
(I-2c′)の化合物をトリフルオロ酢酸で処理して、
これからTBS基とBoc基を同時に脱離させて式(I-2
c)の化合物を生成することから成る方法で式(I-2c)
の化合物が製造できる。
【0083】あるいは別法として、前記の式(V)の1
4-O-保護-アドリアマイシノン誘導体をピリジン中で
直接に2モル量比又はそれよりやや過剰の量の式(II
I)又は式(IV)のN-保護アミノ酸の活性エステルと反
応させ、これによって、一挙に前記の一般式(I-2c′)
のN,O-保護-3′,4′-ジエステル化合物を生成し、
次いでこの一般式(I-2c′)の化合物からトリフルオ
ロ酢酸処理によりTBS基とBoc基を同時に脱離させて
一般式(I-2c)の化合物をトリフルオロ酢酸塩の形で
生成することも可能である。
【0084】(G)第2の本発明による一般式(II−1
a)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-3-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシ
ル〕アドリアマイシノン及び一般式(II−1b)の7-O-
〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-4-
O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕アドリ
アマイシノンの製造は次の方法で行い得る。
【0085】すなわち、前出の式(C-b)の7-O-
(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L
-タロピラノシル〕アドリアマイシノン(特願平6−67
714号及びPCT/JP95/00407号明細書、
ならびに後記の参考例、参照)を原料化合物として用
い、この化合物を前項(D)で説明したと同様に、DM
F中でイミダゾールの存在下にターシャリーブチルクロ
ロジメチルシランと反応させて該化合物の14位水酸基
を保護のためターシャリーブチルジメチルシリル化し、
これによって一般式 〔式中、TBSは保護基としてのターシャリーブチルジ
メチルシリル基を示す〕で表わされる14-O-ターシャ
リーブチルジメチルシリル-7-O-〔2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル〕
アドリアマイシノンを生成し、次いで、この式(VI)の
アドリアマイシノン誘導体を、前項(A)で説明したエ
ステル化反応と同様に、ピリジン中で前出の式(III)
又は(IV)のN-保護アミノ酸の活性エステルの等モル
量又はやや過剰量と反応させて式(VI)の化合物の3′
位水酸基を選択的にエステル化し、これにより一般式 〔式中、TBSは前記と同じ意味であり、A1aは前記一
般式(I-2a′)におけるA1aと同じ意味をもつ〕で表わ
される14-O-TBS-7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,
6,6,6-テトラフルオロ-3-O-(N-Boc-アミノアル
カノイル)-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノンを
生成し、また、エステル化反応時間を長くすることによ
り式(II-1a′)の化合物の3′位のN-Boc-アミノ酸
残基(A1a)の4′位への転移反応を起させ、これによ
り一般式 〔式中、TBSは前記と同じ意味であり、A2aは上記の
一般式(II-1a′)におけるA1aと同じ意味をもつ〕で
表わされる14-O-TBS-7-O-〔2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-4-O-(N-Boc-アミノア
ルカノイル)-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシ
ノンを生成させ、そのエステル化反応液から式(II-1
a′)の化合物と式(II-1b′)の化合物の混合物を回収
し、その混合物をトリフルオロ酢酸で処理して前記2つ
の化合物からTBS基とBoc基とを同時に脱離させ、こ
れにより式(II-1a)の化合物と式(II-1b)の化合物を
生成させ、その反応液から式(II-1a)の化合物と式(I
I-1b)の化合物の混合物を夫々のトリフルオロ酢酸塩の
形で回収することから成る方法によって、式(II-1a)
の化合物及び式(II-1b)の化合物が製造できる。前者
化合物と後者化合物との分離は適当なクロマトグラフィ
ー法で行い得る。
【0086】(H)第2の本発明による一般式(II−1
c)の7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピ
ラノシル〕アドリアマイシノンの製造は次の方法で行い
得る。
【0087】すなわち、前項(G)で説明したように式
(VI)の化合物エステル化と転移反応により(II-1
a′)の化合物と式(II-1b′)の化合物を生成し、これ
ら2つの化合物の混合物を反応液から回収し、この混合
物をピリジン中で式(III)又は(IV)のN-保護アミノ
酸の活性エステルと再反応させ、これにより14-O-T
BS-7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフ
ルオロ-3,4-ジ-O-(N-Boc-アミノアルカノイル)-
α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノンを生成し、
次いで、該化合物をトリフルオロ酢酸で処理して脱保護
することから成る方法により式(II-1c)の化合物が製
造できる。
【0088】(I)第2の本発明による一般式(II−2
a)、一般式(II−2b)又は一般式(II−2c)の7-O-
〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-3-O-又
は-4-O-又は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L
-リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノンの製造
は下記の如くして行い得る。
【0089】すなわち、前出の式(D)の7-O-〔2,
6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-
ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン(PCT/JP
95/00407号明細書、ならびに後記の参考例、参
照)を原料として用い、この化合物を14位水酸基を前
項(D)で説明したと同様に、保護のためにターシャリ
ーブチルジメチルシリル化し、これによって一般式 〔式中、TBSは前記と同じ意味をもつ〕で表わされる
14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-7-O-
〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リ
キソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノンを調製す
る。
【0090】この式(VII)のアドリアマイシノン誘導
体の3′位水酸基を、前項(G)及び(H)で説明した
と同じ要領で、式(III)又は式(IV)のN-保護アミノ
酸の活性エステルでエステル化して14-O-TBS-7-
O-〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-3-O-
(N-Boc-アミノアルカノイル)-α-L-リキソ-ヘキソ
ピラノシル〕アドリアマイシノンを生成する。
【0091】更に、上記の化合物から、前記(G)及び
(H)におけると同様にして、アミノアルカノイル基の
転位反応により4-O-(N-Boc-アミノアルカノイル)
誘導体を生成し、またこれら誘導体から第2回のエステ
ル化反応により3,4-ジ-O-(N-Boc-アミノアルカノ
イル)誘導体を生成することができる。
【0092】このようにして得られた夫々の中間体生成
物は、前項(G)及び(H)に説明したと同様に、トリ
フルオロ酢酸処理にかけると、保護基(TBS基及びBo
c基)が脱離され、それによって式(II-2a)、式(II−2
b)又は式(II−2c)の化合物をそれのトリフルオロ酢
酸塩として生成できる。
【0093】
【発明の実施の形態】次に、本発明による一般式(I)
の新規化合物及び一般式(II)の新規化合物の具体例の
製造を、実施例について説明する。但し、本発明は以下
の実施例に限定されるものでない。
【0094】実施例1 (1) 7-O-〔3-O-(3-ターシャリーブトキシカル
ボニルアミノプロピオニル)-2,6-ジデオキシ-2-フル
オロ-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン(化合
物1)および7-O-〔4-O-(3-ターシャリーブトキシ
カルボニルアミノプロピオニル)-2,6-ジデオキシ-2-
フルオロ-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン
(化合物2)の製造 上記の式中でBocはターシャリーブトキシカルボニル基
を示す(以下、同様)。
【0095】7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α
-L-タロピラノシル)ダウノマイシノン(The Journal
of Antibiotics, 39巻, 731-733頁, 1986年)110mg
を無水ピリジン1.5mlに溶解させ、その溶液へN-(3
-ターシャリーブトキシカルボニルアミノプロピオニル
オキシ)スクシンイミド155mgを加え、得られた混合
物を60℃にて3時間攪拌してエステル化反応を行っ
た。
【0096】その反応液をクロロホルムで希釈し、希釈
された溶液を20%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホ
ルム-アセトン,5:1)により分離精製すると、3′位
水酸基が3-ターシャリーブトキシカルボニルアミノプ
ロピオニル基でエステル化された表題化合物1を89mg
(収率62%)得た。
【0097】 〔α〕D 25+171°(c 0.1、クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.87(1H,dt,H−3′) 4.08(3H,s,OCH3) 2.41(3H,s,Ac) 1.40(9H,s,C(CH3)3)。
【0098】次いで化合物1の38mgを無水アセトニト
リル4mlに溶解させ、その溶液にシリカゲル(ワコーゲ
ルC−200)426mgを加え、得られた混合物を還流
させながら15時間攪拌し、化合物1のN−保護3−ア
ミノプロピオニル基の転位反応を行った。反応液をろ過
し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をクロロホルム−
ヘキサンより再沈殿し、表題化合物1と2の混合物を3
7mg得た。1 H-NMRスペクトル 2.42,2.41(合わせて3H,それぞれs,Ac) 1.43,1.40(合わせて9H,それぞれs,C(C
3)3)。
【0099】(2) 7-O-〔3-O-(3-アミノプロピ
オニル)-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピ
ラノシル〕ダウノマイシノン(化合物3)および7-O-
〔4-O-(3-アミノプロピオニル)-2,6-ジデオキシ-
2-フルオロ-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノン
(化合物4)の製造 前項(1)で得られた化合物1と2の混合物40mgに氷
冷下で含水のトリフルオロ酢酸0.5mlを加えてとかし
た後、その溶液を室温で30分間攪拌し、Boc基を脱
離させる脱保護を行った。
【0100】その反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に
トルエンを加え、得られる混合物を減圧濃縮することを
くり返す処理にかけてトリフルオロ酢酸を除去した。得
られた残渣をメタノール−エーテルより再沈殿させ、ト
リフルオロ酢酸塩の形の表題化合物3と4との混合物を
赤色固体として33mg(81%)得た。この混合物での
化合物3と4の比率は19F-NMRスペクトルによると
約1:5であった。19 F-NMRスペクトル(重水,CFCl3外部標準) δ −76.5(3F,s,CF3COOH) −201.0(0.17F,ddd,3のF−2′) −203.4(0.83F,ddd,4のF−2′)。
【0101】実施例2 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピ
ラノシル)アドリアマイシノン(化合物5)の製造 上記の式中でTBSはターシャリーブチルジメチルシリ
ル基Si(CH3)2C−(CH3)3を示す(以下、同様)。
【0102】7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α
-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン(The Journa
l of Antibiotics, 39巻, 731-733頁, 1986年)128m
gを無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.8
mlに溶解させ、その溶液にイミダゾール43mg、ターシ
ャリーブチルクロロジメチルシラン35mgを加え、得ら
れる混合物を室温にて2時間攪拌した。
【0103】生成された表題化合物5を含む反応液をク
ロロホルムで希釈し、20%硫酸水素カリウム水溶液、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られた残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:クロロ
ホルム−アセトン,3:1)にて精製することにより表
題化合物5を赤色固体として126mg(収率82%)得
た。
【0104】 〔α〕D 25+115(c 0.1、クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.84(2H,s,H-14a,b) 4.10(3H,s,OCH3) 0.96(9H,s,SiC(CH3)3) 0.15(6H,s,Si(CH3)219 F-NMRスペクトル(重クロロホルム−重水,CF
Cl3内部標準) δ −201.1(ddd)。
【0105】(2) 14-O-ターシャリーブチルジメ
チルシリル-7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオ
ロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン(化合
物6a)および14-O-ターシャリーブチルジメチルシ
リル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボ
ニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-
L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物7
a)の製造 前項(1)で得られた化合物5の260mgを無水ピリジ
ン4mlに溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリー
ブトキシカルボニル)グリシルオキシ〕スクシンイミド
230mgを加え、得られた混合物を室温で2時間、さら
に60℃で3時間攪拌してエステル化を行った。
【0106】その反応液に水を0.05ml加え室温にて
5時間攪拌した後、クロロホルムで希釈し、20%硫酸
水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、
水で順次洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開系:クロロホルム−アセトン,5:1)により
精製すると、表題化合物6aと7aの混合物を赤色固体
として211mg(収率66%)得た。化合物6aと7a
の比率は19F-NMRスペクトルによると約2.5:1で
あり6aが主生成物であった。
【0107】1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.08(3H,s,OCH3) 1.46,1.41(合わせて9H,それぞれs,Boc基
のC(CH3)319 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −198.3(0.7F,ddt,6aのF−2′) −203.0(0.3,ddd,7aのF−2′)。
【0108】次いで、この混合物の58mgを無水アセト
ニトリル30mlに溶解させ、その溶液にシリカゲル(ワ
コーゲルC−200)600mgを加え還流させながら1
5時間攪拌しN−保護グリシル基の転位反応を行った。
【0109】反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮して得ら
れた残渣をクロロホルム−ヘキサンより再沈殿し表題化
合物6aと7aとの混合物を56mg得た。化合物6aと
7aの比率は19F-NMRスペクトルによると約1:2
であり、化合物7aが化合物6aより多い主生成物とな
った。
【0110】(3) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3-O-グリシル-α-L-タロピラノシル)アドリ
アマイシノン(化合物8a)および7-O-(2,6-ジデ
オキシ-2-フルオロ-4-O-グリシル-α-L-タロピラノ
シル)アドリアマイシノン(化合物9a)の製造 前項(2)で得られた化合物6aと7aの約1:2の混
合物15mgに氷冷下で95%トリフルオロ酢酸水0.2
mlを加えてとかした後、その溶液を室温で30分間攪拌
しターシャリーブチルジメチルシリル基(TBS)とタ
ーシャリーブトキシカルボニル基(Boc)の脱離を行っ
た。
【0111】反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にトル
エンを加え得られる混合物を減圧濃縮することをくり返
す処理にかけてトリフルオロ酢酸を除去した。得られた
残渣をメタノール−エーテルより再沈殿させると、トリ
フルオロ酢酸塩として表題化合物8aと9aの混合物を
赤色固体として13mg(定量的に)得た。この混合物は
水によく溶けた。この脱保護反応中でも転位反応がおこ
り、化合物8aと9aの比率は19F-NMRスペクトル
によると約1:4であった。
【0112】19 F-NMRスペクトル(重水中,CFCl3外部標準) δ −76.5(3F,s,CF3COOH)) −201.3(0.2F,m,8aのF) −203.6(0.8F,m,9aのF) 元素分析(C2930FNO13・CF3COOH・1.6H
2Oとして) 理論値 C,48.84;H,4.52;F, 9.9
7;N,1.84% 分析値 C,48.66;H,4.49;F,10.2
3;N,1.86%
【0113】実施例3 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α
-L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物10
a)の製造 実施例2(2)で得られた化合物6aと7aの約1:2
の混合物12mgを無水ピリジン0.2mlに溶解させ、そ
の溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
グリシルオキシ〕スクシンイミド12mgを加え、その混
合物を60℃で15時間攪拌しエステル化を行った。
【0114】その反応液をクロロホルムで希釈し、20
%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
減圧濃縮した。得られた残渣を2回のシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(1回目の展開系:クロロホルム−
アセトン,15:1;2回目の展開系:ジクロロメタン
−アセトン,10:1)により分離精製すると、表題化
合物10aを赤色固体として10mg(71%)得た。
【0115】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.84(2H,s,H-14a,b) 4.09(3H,s,OCH3) 1.46,1.42(それぞれ9H,s,Boc基のC(C
3)319 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −200.9(ddd)。
【0116】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3,4-ジ-O-グリシル-α-L-タロピラノシル)
アドリアマイシノン(化合物11a)の製造 前項(1)で得られた化合物10aの24mgに氷冷下で
含水のトリフルオロ酢酸0.36mlを加えた後に、得ら
れた溶液を室温で30分間攪拌しTBS基とBoc基を除
去した。
【0117】その反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に
トルエンを加え、得られる混合物を減圧濃縮することを
くり返す処理にかけてトリフルオロ酢酸を除去した。得
られた残渣をメタノール−エーテルより再沈殿させ、表
題化合物を赤色固体のトリフルオロ酢酸塩として20.
8mg(95%)得た。
【0118】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 5.56(1H,d,H−1′) 5.36(1H,dt,H−3′) 5.35(1H,m,H−4′) 4.04(3H,s,OCH319 F-NMR(重メタノール,CFCl3内部標準) δ −75.3(6F,s,CF3COOH×2) −200.7(1F,ddd,F−2′)。
【0119】実施例4 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L
-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物6b)お
よび14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-7-O
-{4-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-
アラニル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タ
ロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物7b)の製
上記の式中でA′はN-Boc-L-アラニル基を示す。
【0120】実施例2(1)で得られた化合物5の22m
gを無水ピリジン0.3mlに溶解させ、その溶液にN-
〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-アラニル
オキシ〕スクシンイミド30mgを加えて、得られた混合
物を60℃で3時間攪拌した。反応液を実施例2(2)
と同様に後処理し、得られた残渣を2回のシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(1回目の展開系:クロロホル
ム−アセトン,3:1;2回目の展開系:トルエン−酢
酸エチル,2:1)により精製すると、表題化合物6b
と7bの混合物を赤色固体として23mg(81%)得
た。化合物6bと7bの比率は19F-NMRスペクトル
によると約1:0.6であり、化合物6bが主生成物で
あった。19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −198.2(0.63F,ddt,6bのF−
2′) −203.6(0.37F,br,7bのF−2′)。
【0121】次いでこの混合物の8.5mgを無水アセト
ニトリル1.7mlに溶解させ、その溶液にシリカゲル8
5mgを加え、還流させながら17時間攪拌した。反応液
を実施例2(2)の場合と同様に後処理し、表題化合物
6bと7bの混合物を8mg得た。化合物6bと7bの比
率は19F-NMRスペクトルによると約1:4であり、
化合物7bが主生成物となった。
【0122】(2) 7-O-(3-O-L-アラニル-2,6
-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシル)アド
リアマイシノン(化合物8b)および7-O-(4-O-L-
アラニル-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピ
ラノシル)アドリアマイシノン(化合物9b)の製造 上記の式中でAはL-アラニル基を示す。
【0123】前項(1)で得られた化合物6bと7bの
約1:4の混合物20mgに氷冷下でトリフルオロ酢酸を
加えた後、室温で30分間攪拌した。その反応液を実施
例2(3)と同様に後処理すると、表題化合物8bと9
b(トリフルオロ酢酸塩として)の混合物を赤色固体と
して17mg(96%)得た。この混合物での化合物8b
と9bの比率は約1:5であった。
【0124】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 1.64(2.5H,d,化合物9bのL-アラニル
基のCH3) 1.57(0.5H,d,化合物8bのL-アラニル基の
CH319 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.3(3F,s,CF3COOH) −199.5(0.17F,ddd,化合物8bのF−
2′) −202.5(0.83F,ddd,化合物9bのF−
2′)
【0125】実施例5 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ
-α-L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物
10b)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-アラニル基を示す。
【0126】実施例4(1)で得られた化合物6bと7
bの約1:4の混合物56mgを無水ピリジン0.8mlに
溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)-L-アラニルオキシ〕スクシンイミド61m
gを加え、得られた混合物を60℃で16時間攪拌し
た。その反応液に水0.1mlを加え室温にて3時間攪拌
した後、実施例3(1)と同様に後処理し、得られた残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:ベ
ンゼン−アセトン,6:1)により精製すると、表題化
合物10bを赤色固体として20mg(29%)得た。出
発物質の化合物6bと7bの混合物は34%が回収され
た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 1.45,1.40(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −200.5(br)。
【0127】(2) 7-O-(3,4-ジ-O-L-アラニル
-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-L-タロピラノシ
ル)アドリアマイシノン(化合物11b)の製造 上記の式中でAはL-アラニル基を示す。
【0128】前項(1)で得られた化合物10bの13
mgに氷冷下で含水のトリフルオロ酢酸0.2mlを加えた
後その溶液を30分間攪拌した。反応液を実施例3
(2)と同様に後処理することにより、表題化合物11
b(トリフルオロ酢酸塩として)を赤色固体として11
mg(93%)得た。1 H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 1.66,1.49(それぞれ3H,それぞれd,L-
アラニル基のCH3)19 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.3(6F,s,CF3COOH×2) −200.9(1F,ddd,F−2′)。
【0129】実施例6 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオ
ロ-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン(化合
物6c)および14-O-ターシャリーブチルジメチルシ
リル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボ
ニル)-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-2-
フルオロ-α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン
(化合物7c)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-フェニルアラニル基を
示す。
【0130】実施例2(1)で得られた化合物5の25
mgを無水ピリジン0.4mlに溶解させ、その溶液にN-
〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-フェニル
アラニルオキシ〕スクシンイミド49mgを加え、その混
合物を60℃で3時間攪拌した。
【0131】その反応液を実施例2(2)の場合と同様
に後処理し、得られた固体を2回のシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(1回目の展開系:クロロホルム−ア
セトン,3:1および2回目の展開系:トルエン−酢酸
エチル,2:1)により精製すると、表題化合物6cを
赤色固体として31mg(88%)得た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(OCH3) 1.41,1.37(合わせて9H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −198.0(ddt)。
【0132】次いで、この化合物6cの28mgを無水ア
セトニトリル10mlに溶解させ、その溶液にシリカゲル
(和光ゲルC−200)290mgを加え、還流させなが
ら40時間反応させた。反応液を実施例2(2)と同様
に後処理すると、表題化合物6cと7cの混合物を赤色
固体として24mg得た。この混合物での化合物6cと7
cの比率は約1:2.5であった。19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −198.0(0.3F,ddd,化合物6cのF−
2′) −203.4(0.7F,ddd,化合物7cのF−
2′)。
【0133】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロピラノ
シル)アドリアマイシノン(化合物8c)および7-O-
(2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-L-フェニルア
ラニル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン
(化合物9c)の製造 上記の式中でAはL-フェニルアラニル基を示す。
【0134】前項(1)で得られた化合物6cと7cの約
1:2.5の混合物19mgに氷冷下で含水トリフルオロ
酢酸を加えてとかしその溶液を、室温で30分間攪拌し
た。反応液を実施例2(3)と同様に後処理すると、表
題化合物8cと9cの混合物(トリフルオロ酢酸塩とし
て)を赤色固体として16mg(86%)得た。この混合
物での化合物8cと9cの比率は約1:4.5であっ
た。19 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.3(3F,s,CF3COOH) −199.3(0.18F,ddd,化合物8cのF-
2′) −202.2(0.82F,ddd,化合物9cのF-
2′)。
【0135】実施例7 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-
2-フルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリアマイシノ
ン(化合物10c)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-フェニルアラニル基を
示す。
【0136】実施例6(1)で得られた化合物6cと7
cの約1:2.5の混合物30mgを無水ピリジン0.5ml
に溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキ
シカルボニル)-L-フェニルアラニルオキシ〕スクシン
イミド33mgを加えて、得られた混合物を60℃にて1
5時間攪拌した。反応液に水を0.05ml加え室温で1
6時間攪拌した後、実施例3(1)と同様の後処理を行
い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開系:クロロホルム−アセトン,15:1)によ
り分離精製すると、表題化合物10cを赤色固体として
32mg(収率85%)得た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 1.35,1.33(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −201.1(ddd)。
【0137】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3,4-ジ-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロ
ピラノシル)アドリアマイシノン(化合物11c)の製
上記の式中でAはL-フェニルアラニル基を示す。
【0138】前項(1)で得られた化合物10cの10
mgに氷冷下で含水のトリフルオロ酢酸0.15mlを加え
た後、その溶液を室温で30分間攪拌した。その反応液
を実施例3(2)と同様に後処理し、得られた残渣をメ
タノール−イソプロピルエーテルより再沈殿させ、表題
化合物11c(トリフルオロ酢酸塩)を赤色固体として
6mg(収率67%)得た。1 H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 〜7.3(10H,m,Ph×2) 4.03(3H,br s,OCH319 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.2(6F,s,CF3COOH×2) −200.4(1F,br dd,F-2′)。
【0139】実施例8 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニ
ル)-L-バリル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-
L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物6
d)および14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル
-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニ
ル)-L-バリル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-
L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物7
d)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-バリル基を示す。
【0140】実施例2(1)で得られた化合物5の37
mgを無水ピリジン0.6mlに溶解させ、その溶液にN-
〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-バリルオ
キシ〕スクシンイミド50mgを加え、その混合物を60
℃で3時間攪拌した。反応液を実施例3(2)と同様の
後処理し、得られた残渣を2回のシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(1回目の展開系:クロロホルム−アセ
トン,10:1;および2回目の展開系:トルエン−酢
酸エチル,2:1)により精製すると、表題化合物のう
ち化合物6dを赤色固体として46mg(収率96%)得
た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 1.40(9H,s,Boc基のC(CH3)319 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中,CFCl3
内部標準) δ −197.9(ddt)。
【0141】次いで、この化合物6dの19mgを無水ア
セトニトリル5mlに溶解させシリカゲル190mgを加え
還流させながら16時間攪拌した。反応液を実施例3
(2)と同様に後処理すると表題化合物6dと7dの混
合物18mgを得た。この混合物での化合物6dと7dの
比率は19F-NMRスペクトルによると約2:1であっ
た。
【0142】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3-O-L-バリル-α-L-タロピラノシル)アド
リアマイシノン(化合物8d)および7-O-(2,6-ジ
デオキシ-2-フルオロ-4-O-L-バリル-α-L-タロピ
ラノシル)アドリアマイシノン(化合物9d)の製造 上記の式中でAはL-バリル基を示す。
【0143】前項(1)で得られた化合物6dと7dの約
2:1の混合物26mgに氷冷下で含水トリフルオロ酢酸
0.4mlを加えた後、その溶液を室温で30分間攪拌し
た。反応液を実施例2(3)と同様に後処理し、得られ
た残渣を水に溶解し、クロロホルムで洗浄した後、水溶
液を減圧濃縮し得られた残渣をメタノール−エーテルよ
り再沈殿させると、表題化合物8dと9dの混合物(ト
リフルオロ酢酸塩)を赤色固体として11.5mg(収率
50%)得た。化合物8dと9dの比率は1:1であっ
た。19 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.3(3F,s,CF3COOH) −199.1(0.5F,ddd,8dのF-2′) −202.3(0.5F,ddd,9dのF-2′)。
【0144】実施例9 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-バリル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ
-α-L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物
10d)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-バリル基を示す。
【0145】実施例8(1)で得られた化合物6dと7
dの約2:1の混合物26mgを無水ピリジン0.4mlに
溶解させ、その溶液に活性エステルであるN-〔N-(タ
ーシャリーブトキシカルボニル)-L-バリルオキシ〕ス
クシンイミド36mgを加えて60℃で15時間攪拌した
後に、更に活性エステル27mgを加えて16時間攪拌し
た。反応液を実施例7(1)と同様の後処理を行い、得
られた残渣を2回のシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(1回目の展開系:トルエン−酢酸エチル,20:
1;および2回目の展開系:クロロホルム−アセトン,
15:1)で精製すると、表題化合物を赤橙色固体とし
て5.7mg(収率18%)得た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 1.47,1.42(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −201.5(br ddd)。
【0146】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3,4-ジ-O-L-バリル-α-L-タロピラノシ
ル)アドリアマイシノン(化合物11d)の製造 上記の式中でAはL-バリル基を示す。
【0147】前項(1)で得られた化合物10dの4.
5mgに氷冷下で含水のトリフルオロ酢酸0.02mlを加
え、その溶液を室温で30分間攪拌した。反応液を実施
例3(2)と同様に後処理し、得られた残渣を水に溶解
し、クロロホルムで洗浄した後、水溶液を減圧濃縮す
る。得られた残渣をメタノール−エーテルより再沈殿す
ると表題化合物11d(トリフルオロ酢酸塩)を赤色固
体として2.2mg(収率54%)得た。1 H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 4.05(3H,s,OCH3) 1.29,1.17,1.13,1.05,1.00(それ
ぞれ3H,それぞれd,L-バリル基のCH3およびCH
3-5′)19 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −76.9(6F,s,CF3COOH×2) −202.4(1F,ddd,F-2′)。
【0148】実施例10 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニ
ル)-L-ロイシル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α
-L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物6
e)および14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル
-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニ
ル)-L-ロイシル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α-
L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物7
e)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-ロイシル基を示す。
【0149】実施例2(1)で得られた化合物5の31
mgを無水ピリジン0.5mlに溶解させ、この溶液にN-
〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-ロイシル
オキシ〕スクシンイミド38mgを加え、室温にて15時
間、60℃にて3時間攪拌した。その反応液を実施例2
(2)と同様の後処理し、得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−アセ
トン,15:1)にて精製すると、表題化合物6eと7
eの混合物を赤色固体として19mg(収率46%)得
た。また、出発物質を43%回収した。この混合物での
化合物6eと7eの比率は19F-NMRによると約3.
5:1であった。19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −198.2(0.78F,ddt,6eのF−
2′) −203.8(0.22F,ddd,7eのF−2′)。
【0150】次いで上記の混合物の18mgを無水アセト
ニトリル3.5mlに溶解させシリカゲル180mgを加え
還流させながら45時間攪拌した。反応液を実施例2
(2)と同様に後処理し表題化合物6eと7eの混合物
を17.5mg得た。化合物6eと7eの比率は約1:2.
2となった。
【0151】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3-O-L-ロイシル-α-L-タロピラノシル)ア
ドリアマイシノン(化合物8e)および7-O-(2,6-
ジデオキシ-2-フルオロ-4-O-L-ロイシル-α-L-タ
ロピラノシル)アドリアマイシノン(化合物9e)の製
上記の式中でAはL-ロイシル基を示す。
【0152】前項(1)で得られた化合物6eと7eの
混合物17mgに氷冷下でトリフルオロ酢酸0.25mlを
加えた後、その溶液を室温にて30分間攪拌した。その
反応液を実施例8(2)と同様に後処理すると表題化合
物8eと9eの混合物(トリフルオロ酢酸塩)を赤色固
体として8.5mg(収率56%)得た。化合物8eと9
eの比率は約1:6.5であった。19 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.3(3H,s,CF3COOH) −199.5(0.13F,br,8eのF-2′) −202.4(0.87F,ddd,9eのF-2′)。
【0153】実施例11 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-7-O-
{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニ
ル)-L-ロイシル〕-2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-α
-L-タロピラノシル}アドリアマイシノン(化合物10
e)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-ロイシル基を示す。
【0154】実施例10(1)で得られた化合物6eと
7eの約1:2.2の混合物17.5mgを無水ピリジン
0.25mlに溶解し、この溶液に活性エステルであるN-
〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-ロイシル
オキシ〕スクシンイミド17.5mgを加え、その混合物
を60℃で3時間攪拌した後に活性エステルをさらに1
5mg加え、60℃にて15時間攪拌した。その反応液に
水を0.05ml加え室温で11時間攪拌した後、実施例
3(1)と同様の後処理を行い、得られた残渣を2回のシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(1回目の展開系:
クロロホルム−アセトン,20:1;2回目の展開系:
トルエン−酢酸エチル,20:1)により精製すると、
表題化合物10eを赤橙色固体として8.5mg(39
%)得た。19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −202.0(br)。
【0155】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2-フ
ルオロ-3,4-ジ-O-L-ロイシル-α-L-タロピラノシ
ル)アドリアマイシノン(化合物11e)の製造 上記の式中でAはL-ロイシル基を示す。
【0156】前項(1)で得られた化合物10eの8.
5mgに含水トリフルオロ酢酸0.12mlを氷冷下で加え
た後、得られた溶液を室温にて30分間攪拌した。反応
液を実施例3(2)と同様に後処理すると、表題化合物
11e(トリフルオロ酢酸塩)を赤色固体として6.4m
g(83%)得た。1 H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 5.38(1H,br,H−4′) 5.36(1H,dt,H−3′) 4.03(3H,s,OCH319 F-NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3内部
標準) δ −75.2(6F,s,CF3COOH×2) −200.8(1F,ddd,F-2′)。
【0157】実施例12 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ
-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン(化合物
12)の製造
【0158】7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テ
トラフルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシ
ノン〔前記の式(C−b)の化合物〕129mgを無水
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.8mlに溶
解させ、その溶液にイミダゾール39mg、ターシャリー
ブチルクロロジメチルシラン32mgを加え、得られた混
合物を室温にて2時間攪拌し、化合物(C−b)の14
位水酸基のターシャリーブチルジメチルシリル化を行っ
た。その反応液をクロロホルムで希釈し、20%硫酸水
素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水
で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮
して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開系:クロロホルム−アセトン,4:1)にて精
製することにより14位水酸基がTBS基で保護された
表題化合物12の125mg(収率82%)を赤色固体と
して得た。
【0159】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 0.95(9H,s,SiC(CH3)3) 0.16(6H,s,Si(CH3)219 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −71.8(3F,d,CF3) −200.5(1F,ddd,F−2′)。
【0160】(2) 14-O-ターシャリーブチルジメ
チルシリル-7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-2,6,6,
6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリアマ
イシノン(化合物13)および14-O-ターシャリーブ
チルジメチルシリル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリー
ブトキシカルボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル}
アドリアマイシノン(化合物14)の製造
【0161】前項(1)で得られた化合物12の125
mgを無水ピリジン1.8mlに溶解させ、その溶液にN-Bo
c-グリシンの活性エステルであるN-〔N-(ターシャリ
ーブトキシカルボニル)グリシルオキシ〕スクシンイミ
ド106mgを加え、得られた混合物を60℃にて2時間
攪拌してエステル化反応を行った。
【0162】その反応液に少量の水を加え1時間攪拌し
た後、クロロホルムで希釈し、20%硫酸水素カリウム
水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄
し無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィー(展開系:クロロホルム−
アセトン,6:1)で精製すると、3′位水酸基がター
シャリーブトキシカルボニルグリシル基でエステル化さ
れた表題化合物13の80mg(53%)を赤色固体とし
て得た。
【0163】次いで、化合物13の3′位のN-(ターシ
ャリーブトキシカルボニル)グリシル基を4′位へ転位
させる反応を行なった。すなわち上述の化合物13の赤
色固体を無水アセトニトリル4mlに溶解し、その溶液に
シリカゲル(和光ゲルC−200)800mgを加え18
時間還流を行った。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮し
た。得られた残渣をクロロホルム−ヘキサンより再沈殿
させると赤色固体76mgを得た。この固体は表題化合物
14と化合物13、すなわち3′-O-保護グリシルエス
テルとの(2:1)混合物である。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 1.45,1.41(合わせて9H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)
【0164】(3) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-4-O-グリシル-α-L-タロピラ
ノシル)アドリアマイシノン(化合物16)および7-
O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-3
-O-グリシル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシ
ノン(化合物15)の製造
【0165】前項(2)で得た化合物13と14からな
る混合物76mgを含水のトリフルオロ酢酸1mlに溶解し
てその溶液を室温で30分間放置して反応させた。(B
oc基とTBS基の脱離)。反応液を減圧濃縮し、得られ
た残渣をメタノール−エーテルより再沈殿した。表題化
合物15と16のトリフルオロ酢酸塩を両者の混合物と
して58mg(87%)得た。
【0166】1H-NMRスペクトル(重水) δ 5.36(0.8H,br s,4′-O-グリシル体
のH-4′) 5.19(0.2H,br d,3′-O-グリシル体のH
-3′)。
【0167】実施例13 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テ
トラフルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリアマイシ
ノン(化合物17)の製造
【0168】実施例12(2)で得られた化合物14と
化合物13の混合物、すなわち14-O-ターシャリーブ
チルジメチルシリル-7-O-{4-O-、および14-O-タ
ーシャリーブチルジメチルシリル-7-O-{3-O-〔N-
(ターシャリーブトキシカルボニル)グリシル〕-2,6-
ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピ
ラノシル}アドリアマイシノンの(2:1)の混合物6
0mgを無水ピリジン0.9mlに溶解させた。その溶液に
N-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)グリシル
オキシ〕スクシンイミド55mgを加え、得られた混合物
を60℃にて15時間攪拌してエステル化反応を行っ
た。
【0169】その反応液をクロロホルムで希釈し、20
%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減
圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーを2度(1回目の展開系:クロロホルム−アセトン,
15:1,および2回目の展開系:ジクロロメタン−ア
セトン,10:1)にかけることにより精製した。3′
位および4′位水酸基の両方がN−保護グリシル基でエ
ステル化された表題化合物17の50mg(71%)を赤
色固体として得た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.08(3H,s,OCH3) 1.44,1.41(それぞれ9H,s,Boc基のC(C
3)3)。
【0170】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-3,4-ジ-O-グリシル-α-L-タ
ロピラノシル)アドリアマイシノン(化合物18)の製
【0171】前項(1)の化合物17の固体50mgをト
リフルオロ酢酸0.8mlに溶解し、その溶液を室温にて
30分間放置した。反応液を減圧濃縮し、残渣をメタノ
ール−エーテルより再沈殿した。表題化合物18のトリ
フルオロ酢酸塩を赤色固体として42mg(91%)得
た。
【0172】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 4.02(3H,s,OMe) 3.82および3.98(それぞれ2H,ABq,グリシル
基のCH2)。
【0173】実施例14 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-
L-リキソ-ヘキソピラノシル)アドリアマイシノン(化
合物19)の製造
【0174】7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリ
フルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)アドリアマ
イシノン〔前記の式(D)の化合物〕155mgを無水D
MF1mlに溶解させ、その溶液にイミダゾール47mg、
ターシャリーブチルクロロジメチルシラン40mgを加
え、得られた混合物を室温にて2時間攪拌して化合物
(D)の14位水酸基のシリル化を行った。
【0175】その反応液を実施例12(1)と同様に後
処理することにより、表題化合物19の146mg(79
%)を赤色固体として得た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.01(3H,s,OCH3) 0.96(9H,s,SiC(CH3)3) 0.16(6H,s,Si(CH3)2)。
【0176】(2) 14-O-ターシャリーブチルジメ
チルシリル-7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-6,6,6-
トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル}アドリ
アマイシノン(化合物20)および14-O-ターシャリ
ーブチルジメチルシリル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャ
リーブトキシカルボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキ
シ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノ
シル}アドリアマイシノン(化合物21)の製造
【0177】前項(1)で得られた化合物19の100
mgを無水ピリジン1.5mlに溶解させ、その溶液にN-
〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)グリシルオキ
シ〕スクシンイミド105mgを加え、得られた混合物を
60℃にて2時間攪拌した(エステル化反応)。その反
応液を実施例12(2)の場合と同様に後処理すると、
表題化合物20の71mg(58%)を赤色固体として得
た。
【0178】次いで化合物20の71mgを無水アセトニ
トリル3.5mlに溶解し、その溶液にシリカゲル(和光
ゲルC−200)700mgを加え還流しながら16時間
攪拌し、N−保護グリシル基の4′位への転位反応を行
った。その反応液を実施例12(2)と同様に後処理し
表題化合物20と21の混合物を赤色固体として68mg
得た。化合物20と21の比率は1:3であった。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 1.46,1.42(合わせて9H,それぞれs,Bo
c基のC(CH3)3)。 (3) 7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフル
オロ-3-O-グリシル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシ
ル)アドリアマイシノン(化合物22)および7-O-
(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-4-O-グリ
シル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)アドリアマイシ
ノン(化合物23)の製造
【0179】前項(2)で得た化合物20と21からな
る混合物65mgを含水トリフルオロ酢酸0.8mlに溶解
しその溶液を室温で30分間放置した。反応液を実施例
12(3)と同様に後処理することにより表題化合物2
2及び23のトリフルオロ酢酸塩を両者の1:4の混合
物として44mg(76%)得た。1 H-NMRスペクトル(重水) δ 5.34(0.8H,br s,化合物23のH−
4′) 5.15(0.2H,br d,化合物22のH−
3′)。
【0180】実施例15 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)グリシル〕-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリ
フルオロ-α-L-リキソ−ヘキソピラノシル}アドリア
マイシノン(化合物24)の製造
【0181】実施例14(2)で得られた化合物20と
21の1:3の混合物54mgを無水ピリジン0.7mlに
溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)グリシルオキシ〕スクシンイミド46mgを
加え、得られた混合物を60℃にて17時間攪拌してエ
ステル化反応をさせた。その反応液を実施例13(1)
と同様に後処理することにより表題化合物24の48mg
(76%)を赤色固体として得た。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.03(3H,s,OCH3) 1.45,1.41(合わせて18H,それぞれs,Boc基
のC(CH3)3)
【0182】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,
6-トリフルオロ-3,4-ジ-Oグリシル-α-L-リキソ-
ヘキソピラノシル)アドリアマイシノン(化合物25)
の製造
【0183】前項(1)で得た化合物24の固体40mg
を含水トリフルオロ酢酸0.6mlに溶解し、その溶液を
室温にて30分間放置した。その反応液を実施例13
(2)と同様に後処理することにより、表題化合物25
のトリフルオロ酢酸塩を赤色固体として32mg(87
%)得た。1 H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 4.03(3H,s,OCH3) 3.81および4.01(それぞれ2H,ABq,グリシル
基のCH2)。
【0184】実施例16 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラ
フルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリアマイシノン
(化合物26)および14-O-ターシャリーブチルジメ
チルシリル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリーブトキシ
カルボニル)-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリ
アマイシノン(化合物27)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-アラニル基を示す。
【0185】実施例12(1)で得られた化合物12の
109mgを無水ピリジン1.6mlに溶解させその溶液に
N-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-アラ
ニルオキシ〕スクシンイミド129mgを加えて、得られ
た混合物を60℃で3時間攪拌した。反応液を実施例1
2(2)と同様に後処理し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開系クロロホルム−アセトン4:1)に
より精製すると、表題化合物26と27の混合物を赤色
固体として102mg(76%)得た。化合物26と27
の比率は19F-NMRスペクトルによると約2:1であ
った。
【0186】19F-NMRスペクトル(重クロロホル
ム,CFCl3内部標準) δ −197.5(0.65F,ddt,化合物26のF
−2′) −202.1(0.35F,ddd,化合物27のF−
2′)。
【0187】次いでこの混合物の91mgを無水アセトニ
トリル10mlに溶解させその溶液にシリカゲルを900
mg加え、還流させながら15時間攪拌した。反応液を実
施例12(2)の場合と同様に後処理し、表題化合物の
26と27の混合物を89mg得た。化合物26と27の
比率は19F-NMRスペクトルによると約1:3であ
り、化合物27が主生成物となった。
【0188】(2) 7-O-(3-O-L-アラニル-2,6
-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロ
ピラノシル)アドリアマイシノン(化合物28)および
7-O-(4-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリ
アマイシノン(化合物29)の製造 上記の式中でAはL-アラニル基を示す。
【0189】前項(1)で得られた化合物26と27の
約1:3の混合物80mgに氷冷下でトリフルオロ酢酸1
mlを加えた後室温で30分間攪拌した。その反応液を実
施例12(3)と同様に後処理すると表題化合物28と
29(トリフルオロ酢酸塩として)の混合物を赤色固体
として65mg(91%)得た。この混合物での化合物2
8と29の比率は約1:4であった。
【0190】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 1.55(0.6H,d,化合物28のL-アラニル
基のCH3) 1.60(2.4H,d,化合物29のL-アラニル基の
CH3)。
【0191】実施例17 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6
-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリアマイ
シノン(化合物30)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-アラニル基を示す。
【0192】実施例16(1)で得られた化合物26と
27の約1:3の混合物48mgを無水ピリジン0.7ml
に溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキ
シカルボニル)-L-アラニルオキシ〕スクシンイミド4
6mgを加え、得られた混合物を60℃で17時間攪拌し
た。その反応液に水0.1mlを加え室温にて3時間攪拌
した後、実施例13(1)と同様に後処理し、得られた
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系ベ
ンゼン−アセトン8:1)により精製すると表題化合物
30を赤色固体として18mg(32%)得た。
【0193】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.08(3H,s,OCH3) 1.44,1.41(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)
【0194】(2) 7-O-(3,4-ジ-O-L-アラニル
-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L
-タロピラノシル)アドリアマイシノン(化合物31)
の製造 上記の式中でAはL-アラニル基を示す。
【0195】前項(1)で得られた化合物30の15mg
に氷冷下でトリフルオロ酢酸0.2mlを加えた後、その
溶液を30分間放置した。反応液を実施例13(2)と
同様に後処理することにより、表題化合物31(トリフ
ルオロ酢酸塩として)を赤色固体として11.5mg(8
9%)得た。
【0196】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 4.01(3H,s,OCH3) 1.65,1.50(それぞれ3H,それぞれd,L-アラ
ニル基のCH3)
【0197】実施例18 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-2,6,6,
6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル}アドリアマ
イシノン(化合物32)および14-O-ターシャリーブ
チルジメチルシリル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリー
ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジ
デオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラ
ノシル}アドリアマイシノン(化合物33)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-フェニルアラニル基を
示す。
【0198】実施例12(1)で得られた化合物12の
48mgを無水ピリジン0.8mlに溶解させ、その溶液に
N-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-フェ
ニルアラニルオキシ〕スクシンイミド71mgを加え、そ
の混合物を60℃で3時間攪拌した。
【0199】その反応液を実施例12(2)の場合と同
様に後処理し、得られた固体を2回のシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(1回目の展開系:クロロホルム−
アセトン,4:1および2回目の展開系:トルエン−酢
酸エチル,3:1)により精製すると、表題化合物32
を赤色固体として53mg(82%)得た。
【0200】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.08(3H,s,OCH3) 1.39(9H,s,Boc基のC(CH3)319 F-NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3
部標準) δ −198.4(ddt)。
【0201】次いで、この化合物32の45mgを無水ア
セトニトリル8mlに溶解させ、その溶液にシリカゲル4
50mgを加え還流させながら45時間反応させた。反応
液を実施例12(2)と同様に後処理すると表題化合物
32と33の混合物を赤色固体として42mg得た。この
混合物での化合物32と33の比率は約1:3であっ
た。
【0202】19F-NMRスペクトル(重クロロホル
ム,CFCl3内部標準) δ −198.4(0.24F,ddd,化合物32のF
−2′) −203.5(0.76F,ddd,化合物33のF−
2′)。
【0203】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-3-O-L-フェニルアラニル-α-
L-タロピラノシル)アドリアマイシノン(化合物3
4)および7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テト
ラフルオロ-4-O-L-フェニルアラニル-α-L-タロピ
ラノシル)アドリアマイシノン(化合物35)の製造 上記の式中でAはL-フェニルアラニル基を示す。
【0204】前項(1)で得られた化合物32と33の
約1:3の混合物34mgに氷冷下でトリフルオロ酢酸を
加えてとかし、その溶液を室温で30分間攪拌した。反
応液を実施例12(3)と同様に後処理すると表題化合
物34と35の混合物(トリフルオロ酢酸塩として)を
赤色固体として24mg(79%)得た。この混合物での
化合物34と35の比率は約1:3.5であった。
【0205】19F-NMRスペクトル(重メタノール,
CFCl3内部標準) δ −199.1(0.22F,ddd,化合物34のF
−2′) −202.0(0.78F,ddd,化合物35のF-
2′)。
【0206】実施例19 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル}
アドリアマイシノン(化合物36)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-フェニルアラニル基を
示す。
【0207】実施例18(1)で得られた化合物32と
33の約1:3の混合物35mgを無水ピリジン0.6ml
に溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキ
シカルボニル)-L-フェニルアラニルオキシ〕スクシン
イミド39mgを加え、得られた混合物を60℃にて17
時間攪拌した。反応液に水を0.05ml加え室温で15
時間攪拌した後、実施例13(1)と同様の後処理を
行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開系:クロロホルム−アセトン,15:1)に
より分離精製すると、表題化合物36を赤色固体として
31mg(収率72%)得た。
【0208】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.08(3H,s,OCH3) 1.35,1.34(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)
【0209】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-3,4-ジ-O-L-フェニルアラニ
ル-α-L-タロピラノシル)アドリアマイシノン(化合物
37)の製造 上記の式中でAはL-フェニルアラニル基を示す。
【0210】前項(1)で得られた化合物36の25mg
に氷冷下でトリフルオロ酢酸0.4mlを加えた後、その
溶液を室温で30分間攪拌した。その反応液を減圧濃縮
し、得られた残渣をメタノール−イソプロピルエーテル
より再沈殿させ、表題化合物37(トリフルオロ酢酸
塩)を赤色固体として17mg(収率73%)得た。
【0211】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 〜7.3(10H,m,Ph×2) 4.01(3H,s,OCH3)。
【0212】実施例20 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフル
オロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル}アドリアマイシ
ノン(化合物38)および14-O-ターシャリーブチル
ジメチルシリル-7-O-{4-O-〔N-(ターシャリーブト
キシカルボニル)-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル}
アドリアマイシノン(化合物39)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-アラニル基を示す。
【0213】実施例14(1)で得られた化合物19の
86mgを無水ピリジン1.4mlに溶解させ、その溶液に
N-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-アラニ
ルオキシ〕スクシンイミド104mgを加え、その混合物
を60℃で3時間攪拌した。その反応液を実施例12
(2)の場合と同様に後処理し、得られた固体を2回の
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1回目の展開
系:クロロホルム−アセトン,4:1および2回目の展
開系:トルエン−酢酸エチル3:1)により精製し、表
題化合物38と39の混合物を赤色固体として83mg
(78%)得た。
【0214】次いでこの混合物の76mgを無水アセトニ
トリルに溶解し、その溶液にシリカゲル700mg加え還
流させながら15時間攪拌し、N−保護L-アラニル基
の4′位への転移反応を行った。その反応液を実施例1
2(2)と同様に後処理し表題化合物38と39の混合
物を赤色固体として73mg得た。化合物38と39の比
率は約1:4であった。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 1.43,1.40(合わせて9H,それぞれs,Bo
c基のC(CH3)3)。
【0215】(2) 7-O-(3-O-L-アラニル-2,6
-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘ
キソピラノシル)アドリアマイシノン(化合物40)お
よび7-O-(4-O-L-アラニル-2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)
アドリアマイシノン(化合物41)の製造 上記の式中でAはL-アラニル基を示す。
【0216】前項(1)で得られた化合物38と39の
約1:4の混合物62mgに氷冷下でトリフルオロ酢酸
0.9mlを加えた後、室温で30分間放置した。その反
応液を実施例12(3)と同様に後処理すると表題化合
物40と41(トリフルオロ酢酸塩として)の混合物を
赤色固体として50mg(91%)得た。この混合物での
化合物40と41の比率は約1:5.5であった。
【0217】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 5.25(0.85H,br s,化合物41のH−
4′) 5.08(0.15H,m,化合物40のH−3′)。
【0218】実施例21 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-アラニル〕-2,6-ジデオキシ-6,6,6-ト
リフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル}アドリア
マイシノン(化合物42)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-アラニル基を示す。
【0219】実施例20(1)で得られた化合物38と
39の約1:4の混合物25mgを無水ピリジン3.5ml
に溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキ
シカルボニル)-L-アラニルオキシ〕スクシンイミド2
4mgを加え、得られた混合物を60℃で18時間攪拌し
た。その反応液に水0.1mlを加え室温にて3時間攪拌
した後、実施例13(1)と同様に後処理し、得られた
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:
ベンゼン−アセトン,7:1)により精製すると、表題
化合物42を赤色固体として10mg(34%)得た。出
発物質の化合物38と39の混合物は32%が回収され
た。
【0220】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 1.43,1.39(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)
【0221】(2) 7-O-(3,4-ジ-O-L-アラニル
-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキ
ソ-ヘキソピラノシル)アドリアマイシノン(化合物4
3)の製造 上記の式中でAはL-アラニル基を示す。
【0222】前項(1)で得られた化合物42の9mgに
氷冷下でトリフルオロ酢酸0.15mlを加えた後その溶
液を30分間放置した。反応液を実施例13(2)と同
様に後処理することにより、表題化合物43(トリフル
オロ酢酸塩として)を赤色固体として7.8mg(95
%)得た。1 H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 1.65,1.49(それぞれ3H、それぞれd、L-
アラニル基のCH3)
【0223】実施例22 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3-O-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)
-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-6,6,6-
トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル}アドリ
アマイシノン(化合物44)および14-O-ターシャリ
ーブチルジメチルシリル-7-O-{4-O-〔N-(ターシ
ャリーブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニル〕-
2,6-ジデオキシ-6,6, 6-トリフルオロ-α-L-リ
キソ-ヘキソピラノシル}アドリアマイシノン(化合物
45)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-フェニルアラニル基を
示す。
【0224】実施例14(1)で得られた化合物19の
58mgを無水ピリジン0.9mlに溶解させ、その溶液に
N-〔N-(ターシャリーブトキシカルボニル)-L-フェ
ニルアラニルオキシ〕スクシンイミド88mgを加え、そ
の混合物を60℃で3時間攪拌した。その反応液を実施
例12(2)の場合と同様に後処理し、得られた固体を
2回のシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1回目の
展開系:クロロホルム−アセトン,4:1および2回目
の展開系:トルエン−酢酸エチル,3:1)により精製
し、表題化合物の44を赤色固体として65mg(83
%)得た。
【0225】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H,s,OCH3) 1.41(9H,s,Boc基のC(CH3)3)。
【0226】次いでこの化合物44の60mgを無水アセ
トニトリル20mlに溶解させ、その溶液にシリカゲル6
00mgを加え還流させながら35時間反応させた。反応
液を実施例12(2)と同様に後処理すると表題化合物
44と45の混合物を赤色固体として58mg得た。化合
物44と45の比率は約1:2であった。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 1.41,1.44(合わせて9H,それぞれs,Bo
c基のC(CH3)3)
【0227】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,
6-トリフルオロ-3-O-L-フェニルアラニル-α-L-リ
キソ-ヘキソピラノシル)アドリアマイシノン(化合物
46)および7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリ
フルオロ-4-O-L-フェニルアラニル-α-L-リキソ-ヘ
キソピラノシル)アドリアマイシノン(化合物47)の
製造 上記の式中でAはL-フェニルアラニル基を示す。
【0228】前項(1)で得られた化合物44と45の
約1:2の混合物41mgに氷冷下でトリフルオロ酢酸
0.6mlを加えてとかし、その溶液を室温で30分間放置
した。反応液を実施例12(3)と同様に後処理する
と、表題化合物の46と47の混合物(トリフルオロ酢
酸塩として)を赤色固体として33mg(91%)得た。
この混合物での化合物46と47の比率は1:4であっ
た。
【0229】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 5.25(0.8H、br s、化合物47のH-
4′) 5.10(0.2H、m、化合物46のH-3′)。
【0230】実施例23 (1) 14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-
7-O-{3,4-ジ-O-〔N-(ターシャリーブトキシカル
ボニル)-L-フェニルアラニル〕-2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル}
アドリアマイシノン(化合物48)の製造 上記の式中でA′はN-Boc-L-フェニルアラニル基を
示す。
【0231】実施例22(1)で得られた化合物44と
45の約1:2の混合物28mgを無水ピリジン0.5ml
に溶解させ、その溶液にN-〔N-(ターシャリーブトキ
シカルボニル)-L-フェニルアラニルオキシ〕スクシン
イミド32mgを加え、得られた混合物を60℃にて16
時間攪拌した。反応液に水0.05mlを加え室温で15
時間攪拌した後、実施例13(1)と同様の後処理を行
い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開系:クロロホルム−アセトン,20:1)により
分離精製すると、表題化合物48を赤色固体として26
mg(74%)得た。
【0232】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.08(3H,s,OCH3) 1.37,1.35(合わせて18H,それぞれs,Boc
基のC(CH3)3)
【0233】(2) 7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,
6-トリフルオロ-3,4-ジ-O-L-フェニルアラニル-α
-L-リキソ-ヘキソピラノシル)アドリアマイシノン
(化合物49)の製造 上記の式中でAはL-フェニルアラニル基を示す。
【0234】前項(1)で得られた化合物48の23mg
に氷冷下でトリフルオロ酢酸0.3mlを加えた後、その
溶液を室温で30分間放置した。その反応液を実施例1
3(2)と同様に後処理することにより、表題化合物4
9(トリフルオロ酢酸塩として)を赤色固体として17
mg(80%)得た。
【0235】1H-NMRスペクトル(重メタノール) δ 7.1〜7.45(10H、m、Ph×2) 4.03(3H、s、OCH3)。
【0236】(J) 第2の本発明による一般式(II-1
a)、一般式(II-1b)又は一般式(II-1c)のアドリアマ
イシノン誘導体の製造に原料化合物として用いられる前
記の式(C-b)の7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,6,
6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリアマ
イシノンは新規な化合物である。式(C-b)のアドリ
アマイシノン誘導体の製造について次に説明する。
【0237】式(C-b)のアドリアマイシノン誘導体
の製造のためには、新規な糖化合物として、2,6-ジデ
オキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノ
ースの1-O-アセチル体又はこれの3,4-ジ-O-保護誘
導体、あるいは3,4-ジ-O-保護-2,6-ジデオキシ-
2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル・
ヨーダイド又はブロマイドが必要である。これら新規な
糖化合物の合成の各工程(1)〜(13)を先づ簡略に説
明するが、その合成法の各工程の反応の詳細は後記の参
考例1に記載される。
【0238】下記の説明中で、後記の式中に示されるB
nはベンジル基を、Acはアセチル基を意味する。
【0239】工程(1): 既知の化合物である次式 のメチル α-D-リキソピラノシド〔化合物50〕をジ
エチルアミノサルファートリフルオライド〔(C25)2
NSF3〕と反応させることにより、化合物50の4位
水酸基のみを選択的にフッ素化すると、立体配置の反転
を伴なって、4-デオキシ-4-フルオロ誘導体として、
次式 のメチル 4-デオキシ-4-フルオロ-β-L-リボピラノ
シド〔化合物51〕を得る。
【0240】工程(2): 化合物51の2位及び3位
の水酸基を臭化ベンジルとの反応によりベンジル化して
次式 のメチル 2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-4-フル
オロ-β-L-リボピラノシド〔化合物52〕を生成す
る。
【0241】工程(3): 化合物52を酸加水分解す
ることにより1位のグリコシド結合を開裂すると、次式 の2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-4-フルオロ-L-
リボピラノース〔化合物53〕を得る。
【0242】工程(4): 化合物53を三フッ化ホウ
素-ジエチルエーテル存在下に、1,3-プロパンジチオ
ールと反応させると、糖環が開裂してジチオアセタール
型の鎖式化合物として次式 の2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-4-フルオロ-L-
リボース トリメチレンジチオアセタール〔化合物5
4〕を生成する。
【0243】工程(5): 化合物54の1級水酸基を
無水酢酸でアセチル化して次式 の5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-
4-フルオロ-L-リボース トリメチレン ジチオアセ
タール〔化合物55〕を得る。
【0244】工程(6): 化合物55を含水テトラヒ
ドロフラン中で炭酸カルシウム存在下に過塩素酸水銀と
反応させ、ジチオアセタール環を開裂すると、アルデヒ
ド型の化合物として次式 の5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-
4-フルオロ-アルデヒド-L-リボース〔化合物56〕を
生成する。
【0245】工程(7): 次いで化合物56を無水テ
トラヒドロフラン中でフッ化テトラブチルアンモニウム
の存在下にトリフルオロメチルトリメチルシランと反応
させる。これによりトリフルオロメチル基が導入された
L-アルトリトール誘導体として次式 の6-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデオ
キシ-1,1,1,5-テトラフルオロ-L-アルトリトール
〔化合物57〕と次式 の2-エピマー体〔化合物58〕とを生成させる。
【0246】工程(8): 化合物57をナトリウムメ
トキシドのメタノール溶液で処理することにより化合物
57のアセチル基を脱離する。ジオールとして次式 の3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1,
5-テトラフルオロ-L-アルトリトール〔化合物59〕
を得る。
【0247】工程(9): 化合物59の1級水酸基を
選択的に酸化すると共にピラノース環を形成する反応を
行なう。このためには、化合物59の2位および6位水
酸基をトリメチルシリル化したのち、コリンズ酸化を行
なう。すなわち、得られたトリメチルシリル化生成物の
1級トリメチルシリルオキシ基を選択的酸化にかけてア
ルデヒド生成物を得る。次いでそのアルデヒドを酸加水
分解することにより、残存するトリメチルシリル基を除
去すると、同時に環化反応がおこり、2,6-ジデオキシ
-2,6,6,6-テトラフルオロタロピラノース誘導体と
して、次式 の3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,
6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノース〔化合物6
0〕を生成する。
【0248】工程(10): 化合物60の1位水酸基を
無水酢酸でアセチル化すると、次式 の1-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジデオ
キシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノー
ス〔化合物61〕を得る。
【0249】工程(11): 化合物61の3位及び4位
のベンジル基を接触還元で脱離して次式 の1-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テト
ラフルオロ-α-L-タロピラノース〔化合物62〕を生
成する。
【0250】工程(12): 化合物62の3位及び4位
水酸基を無水酢酸でアセチル化することにより、トリ-
O-アセチル化生成物として次式 の1,3,4-トリ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-2,
6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノース〔化合
物63〕を得る。
【0251】工程(13): 化合物63を無水トルエン
中でヨードトリメチルシラン〔(CH3)3SiI〕と反応
させることにより、1-ヨード糖として次式 の3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,
6-テトラフルオロ-L-タロピラノシル ヨーダイド
〔化合物64〕を得る。
【0252】また別途に、アドリアマイシノンを用意
し、これの14位水酸基を適当なヒドロキシル保護基とし
てターシャリ-ブチルジメチルシリル基(略号:TB
S)で保護された14-O-ターシャリーブチルジメチル
シリル-アドリアマイシノンを調製し、この化合物の7
位の水酸基に対して、前記の化合物64、すなわち3,
4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テ
トラフルオロ-L-タロピラノシル・ヨーダイドを縮合さ
せ、得られた縮合生成物から残留のヒドロキシル保護基
(TBSおよびAc)を慣用の脱保護法により脱離する
ことから成る方法によって式(C-b)の7-O-(2,6
-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロ
ピラノシル〕アドリアマイシノンを製造できる。
【0253】上記の方法では前記の14-O-TBS-ア
ドリアマイシノンと化合物64(糖ヨーダイド)との縮
合は、これら両者化合物を有機溶媒、例えばジクロロエ
タンにとかして、その溶液に沃化又は臭化第2水銀、黄
色酸化第2水銀及びモレキュラーシーブス3Aを加え、
これらの触媒の存在下に反応させることにより行うこと
ができ、生成されたα-L-縮合生成物を反応液から回収
し、次いでこれをエステル交換によりヒドロキシル保護
基のアセチル基を脱離し、また酸加水分解によりシリル
基を脱離し、これによって目的の式(C-b)の化合物
を生成するのが便利である(後記の参考例3参照)。
【0254】(K) また、第2の本発明による一般式
(II-2a)、一般式(II-2b)又は一般式(II-2c)のア
ドリアマイシノン誘導体の製造に原料化合物として用い
られる前記の式(D)の7-O-(2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)
アドリアマイシノンは新規な化合物である。
【0255】この式(D)のアドリアマイシノン誘導体の
製造には、新規な糖化合物として、2,6-ジデオキシ-
6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノー
スの1-O-アセチル体又はこれの3,4-ジ-O-保護誘導
体、あるいは3,4-ジ-O-保護-2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル・
ヨーダイド又はブロマイドが必要である。これら新規な
糖化合物の合成の各工程(1′)〜(12′)を先づ簡略
に説明するが、その合成法の各工程の反応の詳細は後記
の参考例2に記載される。
【0256】工程(1′): 既知の化合物である次式 のメチル 4-デオキシ-β-L-エリスロ-ペントピラノ
シド〔化合物65〕を用いて化合物65の2位及び3位
の水酸基を臭化ベンジルとの反応によりベンジル化して
次式 のメチル 2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-β-L-
エリスロ-ペントピラノシド〔化合物66〕を生成す
る。
【0257】工程(2′): 化合物66を酸加水分解
することにより1位のグリコシド結合を開裂すると、次
の2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-L-エリスロ-ペ
ントピラノース〔化合物67〕を得る。
【0258】工程(3′): 化合物67を三フッ化ホ
ウ素-ジエチルエーテルの存在下に1,3-プロパンジチ
オールと反応させると、糖環が開裂してジチオアセター
ル型の鎖式化合物として次式 の2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-L-エリスロ-ペ
ントース トリメチレンジチオアセタール〔化合物6
8〕を生成する。
【0259】工程(4′): 化合物68の1級水酸基
を無水酢酸でアセチル化して次式 の5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-
L-エリスロペントーストリメチレン ジチオアセター
ル〔化合物69〕を得る。
【0260】工程(5′): 化合物69を含水テトラ
ヒドロフラン中で炭酸カルシウムの存在下に過塩素酸水
銀と反応させ、ジチオアセタール環を開裂すると、アル
デヒド型の化合物として次式 の5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-
アルデヒド-L-エリスロ-ペントース〔化合物70〕を
生成する。
【0261】工程(6′): 次いで化合物70を無水
テトラヒドロフラン中でフッ化テトラブチルアンモニウ
ム存在下にトリフルオロメチルトリメチルシランと反応
させる。これによりトリフルオロメチル基が導入された
L-アラビノ-ヘキシトール誘導体として次式 の6-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデオ
キシ-1,1,1-トリフルオロ-L-アラビノ-ヘキシトー
ル〔化合物71〕と次式 の2-エピマー体〔化合物72〕とを生成させる。
【0262】工程(7′): 化合物71をナトリウム
メトキシドのメタノール溶液で処理することにより化合
物71のアセチル基を脱離する。ジオールとして次式 の3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1-
トリフルオロ-L-アラビノ-ヘキシトール〔化合物7
3〕を得る。
【0263】工程(8′): 化合物73の1級水酸基
を選択的に酸化すると共にピラノース環を形成する反応
を行なう。このためには、化合物73の2位および6位
水酸基をトリメチルシリル化したのち、コリンズ酸化を
行なう。すなわち、得られたトリメチルシリル化生成物
の1級トリメチルシリルオキシ基を選択的酸化にかけて
アルデヒド生成物を得る。次いでそのアルデヒドを酸加
水分解させることにより、残存するトリメチルシリル基
を除去すると、同時に環化反応がおこり、2,6-ジデオ
キシ-6,6,6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノ
ース誘導体として、次式 の3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-
トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノース〔化合物7
4〕を生成する。
【0264】工程(9′): 化合物74の1位水酸基
を無水酢酸でアセチル化すると、次式 の1-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジデオ
キシ-6,6,6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノ
ース〔化合物75〕を得る。
【0265】工程(10′): 化合物75の3位及び4
位のベンジル基を接触還元で脱離して次式 の1-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフ
ルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノース〔化合物76〕を
生成する。
【0266】工程(11′): 化合物76の3位及び4
位水酸基を無水酢酸でアセチル化することにより、トリ
-O-アセチル化生成物として次式 の1,3,4-トリ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,
6,6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノース〔化
合物77〕を得る。この化合物77をジクロロメタンで
展開されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ
ると、α-アノマー〔化合物77-a〕とβ-アノマー〔化
合物77-b〕とを別々に単離できる。
【0267】工程(12′): 化合物77(上記のアノ
マー混合物)を臭化水素-酢酸溶液中で常法で臭素化さ
せることにより、1-ブロム糖として次式 の3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-
トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル ブロマ
イド〔化合物78〕を得る。なお、化合物77を無水ト
ルエン中でヨードトリメチルシランと反応させると、対
応の1-ヨード糖が得られる。
【0268】前記の式(D)のアドリアマイシノン誘導
体は、前記の化合物78、すなわち3,4-ジ-O-アセチ
ル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リ
キソピラノシル・ブロマイドを、前項(J)で説明した
ように、前記の14-O-TBS-アドリアマイシノンの
7位水酸基と縮合させ、次いで縮合生成物から保護基T
BSおよびAcを脱離することから成る方法によって製
造できる。
【0269】次に、前記の2,6-ジデオキシ-2,6,6,
6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノース誘導体の合成
及び前記の2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-
L-リキソ-ヘキソピラノース誘導体の合成を例示する参
考例1及び2、ならびに前記の式(C-b)又は式
(D)の新規アドリアマイシノン誘導体の合成を例示す
る参考例3及び4を記載する。これらの参考例において
示された式では、Bnはベンジル基、Acはアセチル基
を示す。
【0270】参考例1 (1) メチル 4-デオキシ-4-フルオロ-β-L-リボ
ピラノシド(化合物51)の製造 メチル α-D-リキソピラノシド(F. P. Phelpsら「Jo
urnal of AmericanChemical Society」48巻、503-507
頁、1926年)(化合物50)8.27gを無水ジクロロメ
タン167mlに懸濁させ−40℃に冷却した。その懸濁
液にジエチルアミノサルファートリフルオライド26.
8mlを加えた後、室温にて反応混合物を1時間攪拌して
フッ素化反応させた。
【0271】得られた反応液を−20℃に冷却し、メタ
ノール170mlを加えた後、その混合物を室温にて15
時間攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム105gを
加えて中和した後、不溶物をろ過して除いた。ろ液を減
圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(展開系:クロロホルム-アセトン,7:1)に
より精製し、表題化合物51の7.54g(収率90
%)をシロップとして得た。
【0272】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 4.79(1H,d,H−1) 4.74(1H,br d,H−4) 3.42(3H,s,OCH319 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3を内部標準とした): δ −203.0(ddddd,J3,F=30,J4,F
49,J5ax,F=38,J5eq,F=15.5,JF,OH-2
8Hz)。
【0273】(2) メチル 2,3-ジ-O-ベンジル-
4-デオキシ-4-フルオロ-β-L-リボピラノシド(化合
物52)の製造 前項(1)で得られた化合物51の7.44gを無水N,
N-ジメチルホルムアミド(DMF)72mlに溶解し
た。60%油性水素化ナトリウム9.4gを加え室温で
1時間攪拌した。その反応混合物に氷冷下に臭化ベンジ
ル16mlを加えた後、室温にて2時間攪拌してO-ベン
ジル化を行った。
【0274】反応液を3%酢酸水溶液500ml中に注い
だ後、得られた混合物をクロロホルムで抽出した。クロ
ロホルム溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩
化ナトリウム水溶液で順次洗浄した。その後に無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:トルエン
-酢酸エチル,30:1)により精製し、表題化合物5
2の12.61g(収率81%)をシロップとして得
た。
【0275】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 7.2−7.4(10H,m,芳香族プロトン) 4.74(1H,d,H−1) 4.66(1H,ddt,H−4) 3.40(3H,s,OCH319 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3を内部標準とした): δ −202.3(dddd,J3,F=23.5,J4,F
48.5,J5ax,F=24,J5eq,F=10Hz)。
【0276】(3) 2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキ
シ-4-フルオロ-L-リボピラノース(化合物53)の製
前項(2)で得られた化合物52の3.06gを0.4規
定塩化水素−80%酢酸水溶液31mlに溶解し、その溶
液を80℃にて3.5時間放置して反応した(加水分解
によるグリコシド結合の開裂)。
【0277】得られた反応液を、炭酸水素ナトリウム3
8gを含む水200ml中に注ぎ、得られた混合物をクロ
ロホルムで抽出した。その後、クロロホルム溶液を飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液
で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥して乾燥さ
れた溶液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開系:ヘキサン-酢酸エチ
ル,5:2)にかけて精製した。α-アノマーおよびβ-ア
ノマーの混合物である表題化合物53の2.58g(8
8%)をシロップとして得た。
【0278】19F−NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ −202.6(dddd,β−アノマーのF−4) −199.2(br d,α−アノマーのF−4)。
【0279】(4) 2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキ
シ-4-フルオロ-L-リボース トリメチレン ジチオア
セタール(化合物54)の製造 前項(3)で得られた化合物53の4.12gを無水ジ
クロロメタン76mlに溶解した。その溶液に1,3-プロ
パンジチオール2.1mlおよび三フッ化ホウ素-ジエチル
エーテル0.53mlを加えた。得られた反応混合物を室
温にて2時間攪拌して反応させた。
【0280】反応液をクロロホルムで希釈し、5%水酸
化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した。乾燥された溶液を減圧濃縮した。得
られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展
開系;トルエン-酢酸エチル,12:1→4:1,勾配
法)により精製し、表題化合物54の3.92g(75
%)をシロップとして得た。
【0281】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 4.42(1H,d,H−1) 2.5−2.9(4H,m,チオアセタール) 2.0−2.15(1H,m,チオアセタール) 1.8−2.0(1H,m,チオアセタール)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3を内部標準とした): δ −195.6(ddt,J3,F=14,J4,F=4
6,J5a,F= ,J5b,F=24 Hz)。
【0282】(5) 5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベ
ンジル-4-デオキシ-4-フルオロ-L-リボース トリメ
チレン ジチオアセタール(化合物55)の製造 前項(4)で得られた化合物54の2.40gおよび無
水酢酸2.7mlを無水ピリジン24mlに溶解し、その溶
液を室温にて3時間放置してO-アセチル化を行った。
【0283】反応液を水250mlに注ぎ、1.5時間攪拌し
た後、クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム
溶液を20%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液、水で順次洗浄した。その後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、減圧濃縮することにより表題化合物
55の2.64gをシロップとして定量的に得た。
【0284】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 4.2−4.4(2H,m,H−5a,5b) 2.05(3H,s,OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3内部標準): δ −193.0(dddd)。
【0285】(6) 5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベ
ンジル-4-デオキシ-4-フルオロ-アルデヒド-L-リボ
ース(化合物56)の製造 前項(5)で得られた化合物55の2.58gをテトラ
ヒドロフラン(THF)-水(10:3)の混液34mlに
溶解した。その溶液へ炭酸カルシウム10.24gおよ
び過塩素酸水銀3水和物6.01gのTHF溶液20ml
を加えた。その混合物を室温にて2時間攪拌した。その
反応液にさらに過塩素酸水銀3水和物0.57gのTH
F溶液6mlを加えて混合物を30分間攪拌して酸化反応
を行った。
【0286】反応液から、不溶物をろ過して除き、ろ液
をジクロロメタンで希釈した。得られたジクロロメタン
溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて激しく振
とうし、析出した不溶物をろ過して除いた。その後、得
られたろ液を10%ヨウ化カリウム水溶液、水で順次洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。表
題化合物56の1.92g(92%)をシロップとして
得た。
【0287】〔α〕D 23−62°(c 1,クロロホル
ム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 9.65(1H,br d,H−1) 2.01(3H,s,OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3内部標準): δ −194.7(ddddd,J1,F=4,J3,F
6,J4,F=46,J5a,F=29,J5b,F=26H
z)。
【0288】(7) 6-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベ
ンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1,5-テトラフルオロ
-L-アルトリトール(化合物57)の製造 前項(6)で得られた化合物56の1.87gおよびト
リフルオロメチルトリメチルシラン1.2mlを無水TH
F15mlに溶解し、その溶液に氷冷下にフッ化 テトラ
ブチルアンモニウム3水和物160mgのTHF溶液3.
6mlを加えた。得 られた混合物を室温にて1時間放置
して反応した(トリフルオロメチル基の導入反応)。
【0289】反応液を濃縮した後、クロロホルムで希釈
し、その溶液を水洗後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
減圧濃縮した。得られたシロップを80%酢酸水20ml
に溶解し、その溶液を50℃にて3時間放置することに
より上述の反応の際に生成するトリメチルシリルオキシ
基を水酸基に変換とした。反応液を減圧濃縮して得られ
る残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
系:トルエン-酢酸エチル,30:1)にかけ分離及び精
製を行って、表題化合物57の0.65g(収率29
%)およびその2-エピマー(化合物58)0.87g
(収率39%)をそれぞれシロップとして得た。
【0290】〔α〕D 19−21°(c 1.4,クロロホ
ルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 4.92(1H,ddt,H−5) 4.17(1H,dq,H−2) 2.08(3H,s,OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3内部標準): δ −193.3(1F,m,F−5) −77.0(3F,d,CF3)。
【0291】(8a) 3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジ
デオキシ-1,1,1,5-テトラフルオロ-L-アルトリト
ール(化合物59)の製造 前項(7)で得られた化合物57、すなわち6-O-アセチ
ル-3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1,
5-テトラフルオロ-L-アルトリトール0.62gを0.02
規定のナトリウムメトキシドのメタノール溶液17mlに
溶解した。その溶液を室温にて20分間放置してO−ア
セチル基の脱離反応を行った。
【0292】反応液に強酸性イオン交換樹脂Dowex 50W
(H+型)を加えて中和したのち、樹脂をろ別し、ろ液を
減圧濃縮した。得られた残渣をクロロホルム-ヘキサン
から再結晶を行ない表題化合物59の0.52g(93
%)を針状晶として得た。 融点 64−65℃ 〔α〕D 23−29°(c 1,クロロホルム)。
【0293】(8b)1,5-ジデオキシ-1,1,1,5-テ
トラフルオロ-L-アルトリトール(化合物59′)の製
前項(8a)で得られた化合物59、すなわち3,4-ジ-
O-ベンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1,5-テトラフ
ルオロ-L-アルトリトール0.11gをジオキサン-酢酸
-水(10:1:1)の混液3mlに溶解し、その溶液に
パラジウム黒を加え、これの存在下に水素ガスを吹き込
んで接触還元を3時間行った。
【0294】反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮すること
により表題化合物59′の固体0.06gを定量的に得
た。
【0295】19F-NMRスペクトル(重メタノール
中、CFCl3内部標準): δ −195(1F,F−5) −77(3F,CF3)。
【0296】(9) 3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジ
デオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラ
ノース(化合物60)の製造 前項(8a)で得られた化合物59の0.73gおよび
クロロトリメチルシラン1.4ml、4-ジメチルアミノピ
リジン0.12gを無水ピリジン7mlに溶解した。その
溶液を室温にて15時間放置することにより2位および
6位水酸基のトリメチルシリル化を行った。その反応液
を酢酸エチルで希釈し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥し減圧濃縮して2,6-ジ-O-トリメチルシリル化生
成物のシロップ994mgを得た。
【0297】次いで上述の生成物の6位のトリメチルシ
リルオキシ基の選択的酸化反応を行った。すなわち無水
クロム酸1.29gを無水ジクロロメタン36mlと無水
ピリジン2.2mlの混液に懸濁させその懸濁液を室温に
て30分間攪拌した。得られる赤黄色の液を氷冷した。
氷冷された液に上述のシロップのジクロロメタン溶液5
mlを加え、氷冷下にて2時間攪拌した。ここに得られた
反応液をシリカゲルをつめた短かいカラムを通してろ過
し、カラムを酢酸エチルで洗浄し、カラムからの溶出液
を減圧濃縮してシロップ0.68gを得た。
【0298】次いで残存しているトリメチルシリル基を
除去すると共に環化反応を行うために、上述のシロップ
(0.68g)を0.1規定の塩化水素を含むジオキサン
-水(9:1)の混液8mlに溶解した。その溶液を室温
にて1.5時間放置して反応させた。その反応液に飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたのち、得られた混合
物をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を
水洗後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して表
題化合物60の0.48g(64%)をシロップとして
得た。
【0299】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 5.55(1H,br d,H−1) 4.72(1H,br d,H−2)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム−重水中、 CFCl3内部標準): δ −203.5(1F,ddd,F−2,J1,F=9,
2,F=49,J3,F=32Hz),−73.5(3F,
d,CF3)。
【0300】(10) 1-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベ
ンジル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ
-α-L-タロピラノース(化合物61)の製造 前項(9)で得られた化合物60の0.48gおよび無
水酢酸0.56mlを無水ピリジン10mlに溶解し、その
溶液を室温にて40分間放置してアセチル化を行った。
【0301】反応液に水0.6mlを加えた後、その混合
物を半量まで減圧濃縮し、クロロホルムで希釈した。希
釈された溶液を20%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。その後無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して表題化合物6
1の0.47g(87%)をシロップとして得た。
【0302】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 6.46(1H,dd,H−1) 4.69(1H,ddt,H−2) 2.08(3H,s,OAc)。
【0303】(11) 1-O-アセチル-2,6-ジデオキ
シ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノース
(化合物62)の製造 前項(10)で得られた化合物61の0.47gをジオキ
サン-酢酸-水(10:1:1)の混液15mlに溶解し
た。その溶液にパラジウム黒を加えて、これの存在下に
水素ガスを吹き込んで化合物61の接触還元を4.5時
間行なった。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮すること
により表題化合物62の固体0.28gを定量的に得た。
【0304】1H-NMRスペクトル(重メタノール
中): δ 6.21(1H,dd,H−1) 4.50(1H,dddd,H−2) 2.03(3H,s,OAc)。
【0305】(12) 1,3,4-トリ-O-アセチル-2,
6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タ
ロピラノース(化合物63)の製造 前項(11)で得られた化合物62の0.27gおよび無
水酢酸1mlを無水ピリジン5mlに溶解し、その溶液を室
温にて20時間放置してO-アセチル化反応を行った。
【0306】参考例1(10)と同様に、反応液の後処理
を行なうと、表題化合物63の0.32g(89%)を
シロップとして得た。
【0307】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 6.48(1H,br d,H−1) 5.67(1H,br d,H−4) 5.19(1H,dt,H−3) 2.18,2.15,2.12(それぞれ3H,s,OA
c)。
【0308】(13)3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデ
オキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-L-タロピラノシ
ル ヨーダイド(化合物64)の製造 前項(12)で得られた化合物63、すなわち1,3,4-
トリ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テト
ラフルオロ-α-L-タロピラノース195mgを無水トル
エン4mlに溶解した。その溶液にヨードトリメチルシラ
ン0.5mlを加え、その混合物を暗所にて80℃にて1
5時間放置して沃素化反応を行った。
【0309】反応液をトルエンで希釈し、10%チオ硫
酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、
水で順次洗浄した。さらに洗浄された反応液を無水硫酸
ナトリウムで乾燥して減圧濃縮した。得られた残渣をフ
ラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
系:ヘキサン-酢酸エチル,6:1)で精製し、表題化合
物64の132mg(58%)をシロップとして得た。
【0310】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 7.01(1H,br d,H−1) 2.14,2.11(それぞれ3H,s,OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl
3内部標準): δ −173.6(1F,ddd,F−2) −73.8(3F,d,CF3)。
【0311】参考例2 (1)メチル 2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-β-
L-エリスロ-ペントピラノシド(化合物66)の製造 60%油性水素化ナトリウム7.7gを無水N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)13mlに懸濁させた。その
懸濁液にメチル 4-デオキシ-β-L-エリスロ-ペント
ピラノシド(P. W. Kent and P. F. V. Ward, 「Journa
l of the Chemical Society」416〜418頁、1953年)(化
合物65)5.63gの無水DMF溶液20mlを加えた。
得られた混合物を室温にて50分間攪拌した後、氷冷下
にて臭化ベンジル13.6mlを加え、室温にてさらに4
0分間攪拌下に反応をさせた(O-ベンジル化)。
【0312】得られた反応液に酢酸13.6mlを加えた
後、水300mlを加えて希釈し、クロロホルムで抽出し
た。そのクロロホルム溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、および水で順次洗浄した後に、その洗浄された溶
液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに減圧濃縮し
た。得られた残渣にキシレンを加え、その溶液を減圧濃
縮することをくり返しDMFを除去した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:トルエン-ア
セトン,30:1)で精製し、表題化合物66の10.1
g(収率81%)をシロップとして得た。
【0313】〔α〕D 23 +35°(c 1.9,クロロ
ホルム) 元素分析(C20244として): 理論値 C,73.15;H,7.37% 分析値 C,73.08;H,7.24%
【0314】(2)2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ
-L-エリスロ-ペントピラノース(化合物67)の製造 前項(1)で得られた化合物66、すなわちメチル
2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-β-L-エリスロ-ペ
ントピラノシド4.81gを2規定塩酸-酢酸混液(1:
4)48mlに溶解し、その溶液を80℃にて40分間放
置して加水分解させた(グリコシド結合の開裂)。
【0315】得られた反応液を、炭酸水素ナトリウム7
4gを含む水400ml中に注ぎその混合物をクロロホル
ムで抽出した。得られたクロロホルム溶液を飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、さらに無水硫酸
ナトリウムで乾燥した。乾燥された溶液を減圧濃縮し
た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開系:トルエン-アセトン,12:1)により精製
した。α-アノマーおよびβ-アノマーの混合物である表
題化合物67の3.78g(収率82%)をシロップと
して得た。
【0316】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 5.07(0.5H,br s,H−1) 5.20(0.5H,t,他のアノマーのH−1)。
【0317】(3)2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ
-L-エリスロ-ペントース トリメチレン ジチオアセ
タール(化合物68)の製造 前項(2)で得られた化合物67、すなわち2,3-ジ-
O-ベンジル-4-デオキシ-L-エリスロ-ペントピラノー
ス10.28gを無水ジクロロエタン60mlに溶解し
た。その溶液に1,3-プロパンジチオール5.9mlおよ
び三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル1.2mlを加えた。
得られた反応混合物を60℃にて3.5時間攪拌して反
応させた。得られた反応液をクロロホルムで希釈し、5
%水酸化ナトリウム水溶液、および水で順次洗浄し、さ
らに無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥させた溶液を
減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開系:トルエン-アセトン,12:1)
により精製し、表題化合物68の8.50g(64%)
をシロップとして得た。
【0318】〔α〕D 25 −39°(c 1,クロロホ
ルム) 元素分析(C222832として): 理論値 C,65.41;H,6.98;S,15.85
% 分析値 C,65.41;H,6.95;S,15.78
【0319】(4)5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベン
ジル-4-デオキシ-L-エリスロ-ペントース トリメチ
レン ジチオアセタール(化合物69)の製造 前項(3)で得られた化合物68、すなわち2,3-ジ-
O-ベンジル-4-デオキシ-L-エリスロ-ペントース ト
リメチレン ジチオアセタール1.03gおよび無水酢
酸0.4mlを無水ピリジン8mlに溶解し、その溶液を室
温にて23時間放置してO-アセチル化を行った。その
反応液に水0.4mlを加えて2時間放置後に反応液を減
圧濃縮した。
【0320】得られた残渣に20%硫酸水素カリウム水
溶液を加えた後、クロロホルムで抽出した。得られたク
ロロホルム溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で
順次洗浄した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減
圧濃縮することにより表題化合物69の1.09g(9
7%)をシロップとして得た。
【0321】〔α〕D 21 −38°(c 0.7,クロロ
ホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 1.98(3H,s,OAc)。
【0322】(5)5-O-アセチル-2,3-ジ-O-ベン
ジル-4-デオキシ-アルデヒド-L-エリスロ-ペントース
(化合物70)の製造 前項(4)で得られた化合物69、すなわち5-O-アセ
チル-2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-L-エリスロ-
ペントース トリメチレン ジチオアセタール1.09
gをテトラヒドロフラン(THF)−水(10:3)の
混液15mlに溶解した。その溶液へ、炭酸カルシウム
4.7g、および過塩素酸水銀3水和物の2.9gのTH
F溶液9mlを加えた。その混合物を室温にて1時間攪拌
した。
【0323】その反応液にジクロロメタン50mlと飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液20mlを加えて希釈した後、
その混合液から不溶物をセライトを用いてろ別してろ液
を得た。さらにろ残物をジクロロメタン30mlで3回洗
浄し、その洗液を前記ろ液と洗液を合わせた。その合併
液へ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mlを加え洗浄し
た。得られたジクロロメタン溶液を10%ヨウ化カリウ
ム水溶液、水で順次洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。その後、ジクロロメタン溶液を減圧濃縮す
ることにより表題化合物70の0.87gを定量的に得
た。
【0324】〔α〕D 20 −71°(c 1,クロロホ
ルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 9.71(1H,d,CHO)。
【0325】(6)6-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベン
ジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1-トリフルオロ-L-ア
ラビノ-ヘキシトール(化合物71)の製造 前項(5)で得られた化合物70、すなわち5-O-アセ
チル-2,3-ジ-O-ベンジル-4-デオキシ-アルデヒド-
L-エリスロ-ペントース0.81gおよびトリフルオロ
メチルトリメチルシラン0.5mlをTHF8mlに溶解
し、その溶液に氷冷下にフッ化テトラブチルアンモニウ
ム3水和物71mgのTHF溶液2mlを加えた。得られた
混合物を室温にて1.5時間放置して反応した(トリフル
オロメチル基の導入反応)。
【0326】反応液を減圧濃縮した後、クロロホルムで
希釈し、その溶液を水洗後に無水硫酸ナトリウムで乾燥
し減圧濃縮した。得られたシロップを80%酢酸水4ml
に溶解し50℃にて1.5時間放置することにより、上
述の反応の際生成する2位のトリメチルシリルオキシ基
を水酸基に変換した。ここに得られた反応液を減圧濃縮
して、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開系:トルエン-酢酸エチル,25:1)にか
け、分離及び精製を行って表題化合物71の0.36g
(37%)およびその2-エピマー(化合物72)0.3
6g(37%)をそれぞれシロップとして得た。
【0327】〔α〕D 24 −24°(c 1,クロロホ
ルム)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム中,CFCl
3内部標準): δ −77.6(d,CF3)。
【0328】(7)3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデ
オキシ-1,1,1-トリフルオロ-L-アラビノ-ヘキシト
ール(化合物73)の製造 前項(6)で得られた化合物71、すなわち6-O-アセ
チル-3,4-ジ-O-ベンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,
1-トリフルオロ-L-アラビノ-ヘキシトール296mgを
0.025規定のナトリウムメトキシドのメタノール溶
液5mlに溶解した。その溶液を室温にて1時間放置して
O-アセチル基を脱離させた。その反応液に強酸性イオ
ン交換樹脂Dowex 50W(H+型)を加えて中和した後、
樹脂をろ別した。得られたろ液を減圧濃縮することによ
り表題化合物73の266mg(99%)をシロップとし
て得た。
【0329】〔α〕D 21 −17°(c 0.7,クロロ
ホルム)19 F−NMR(重クロロホルム中,CFCl3内部標
準): δ −75.7(d,CF3)。
【0330】(8)3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジデ
オキシ-6,6,6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラ
ノース(化合物74)の製造 前項(7)で得られた化合物73、すなわち3,4-ジ-
O-ベンジル-1,5-ジデオキシ-1,1,1-トリフルオロ
-L-アラビノ-ヘキシトール1.46g、クロロトリメチ
ルシラン1.7mlおよび4-ジメチルアミノピリジン0.
18gを無水ピリジン15mlに溶解した。その溶液を室
温にて15時間放置することにより、2位および6位水
酸基のトリメチルシリル化を行った。得られた反応液を
減圧濃縮後、濃縮液を酢酸エチルで希釈し、水洗した。
水洗された溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃
縮することにより、2,6-ジ-O-トリメチルシリル化生
成物のシロップ2.07gを得た。
【0331】次いで、上述のトリメチルシリル化生成物
の6位のトリメチルシリルオキシ基の選択的酸化反応を
行った。すなわち、無水クロム酸1.82gを無水ジク
ロロメタン25mlと無水ピリジン3mlの混液に懸濁させ
室温にて30分間攪拌した。得られる赤色の液を氷冷し
た。氷冷された液に上述のシロップ状のトリメチルシリ
ル化生成物のジクロロメタン溶液3.5mlを加え氷冷下
で40分間攪拌した。ここに得られた反応液を酢酸エチ
ルで希釈し、その希釈された溶液を、シリカゲルをつめ
たガラスフィルターを用いてろ過しろ液を得た。フィル
ターを酢酸エチルで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて減圧
濃縮した。残査に酢酸エチルを加え、不溶物を上記と同
様の方法でろ別、洗浄した。得られたろ液と洗液を合わ
せて減圧濃縮してアルデヒド体であるシロップ1.83
gを得た。
【0332】次いで残存しているトリメチルシリル基を
除去すると共に環化反応を行うために、上述のシロップ
(1.83g)を0.1規定の塩化水素を含むジオキサン
-水(10:1)の混液18mlに溶解した。その溶液を
室温にて50分間放置して反応させた。その反応液に飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液60mlを加えた後、ジクロ
ロメタンで抽出した。得られたジクロロメタン溶液を水
洗し無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して表題化
合物74の1.42g(98%)をシロップとして得
た。
【0333】〔α〕D 21 −72°(c 0.23,クロ
ロホルム)(クロロホルムに溶解後24時間の値)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 5.54(br,d,α-アノマーのH-1)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中,CFCl3
内部標準): δ −74.0(〜2.7F,α-アノマーのCF3) −73.6(〜0.3F,β-アノマーのCF3)。
【0334】(9)1-O-アセチル-3,4-ジ-O-ベン
ジル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-L-リ
キソ-ヘキソピラノース(化合物75)の製造 前項(8)で得られた化合物74、すなわち3,4-ジ-
O-ベンジル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ
-L-リキソ-ヘキソピラノース1.34gおよび無水酢酸
0.5mlを無水ピリジン10mlに溶解し、その溶液を2.
5時間室温にて放置してアセチル化を行った。
【0335】反応液に水0.5mlを加えた後、その混合
物を減圧濃縮して、残渣をクロロホルムで希釈し、得ら
れた溶液を20%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。さらにその水
洗された溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮
した。これによりα-アノマーおよびβ-アノマーの混合
物である表題化合物75の1.31g(88%)をシロ
ップとして得た。
【0336】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 2.07,2.11(合わせて3H,それぞれs,O
Ac) 5.71(〜0.3H,dd,β-アノマーのH-1) 6.38(〜0.7H,br d,α-アノマーのH-1)19 F-NMR スペクトル(重クロロホルム中,CFC
3内部標準): δ −74.1(d,α-アノマーのCF3) −73.5(d,β-アノマーのCF3)。
【0337】(10)1-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-
6,6,6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノース
(化合物76)の製造 前項(9)で得られた化合物75、すなわち1-O-アセ
チル-3,4-ジ-O-ベンジル-2,6-ジデオキシ-6,6,
6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソピラノース1.31
gをジオキサン-酢酸-水(10:1:1)の混液30ml
に溶解した。その溶液にパラジウム黒を加えて、これの
存在下に水素ガスを吹き込んで接触還元を5時間行った
(脱ベンジル化)。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮する
ことにより、表題化合物76の736mg(98%)を一
部固化したシロップとして得た。
【0338】1H-NMRスペクトル(重メタノール
中): δ 5.66(〜0.3H,dd,β-アノマーのH-1) 6.15(〜0.7H,br d,α-アノマーのH-1)19 F-NMR スペクトル(重クロロホルム中,CFC
3内部標準): δ −73.9(d,α-アノマーのCF3) −73.4(d,β-アノマーのCF3)。
【0339】(11)1,3,4-トリ-O-アセチル-2,6-
ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-L-リキソ-ヘキソ
ピラノース(化合物77)の製造 前項(10)で得られた化合物76、すなわち1-O-アセ
チル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-L-リ
キソ-ヘキソピラノース0.74gおよび無水酢酸0.7m
lを無水ピリジン6mlに溶解し、その溶液を室温にて2
0時間放置してO-アセチル化反応を行った。前項
(9)と同様に反応液の後処理を行うと、α-アノマー
およびβ-アノマーの混合物である表題化合物77の1.
02gを定量的にシロップとして得た。本化合物77は
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:ジクロ
ロメタン)にかけると、下記のごときα-アノマー(化
合物77-a)とβ-アノマー(化合物77-b)とに分離
することができた。
【0340】(i)α-アノマー,即ち1,3,4-トリ-O
-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-
α-L-リキソ-ヘキソピラノース(化合物77-a): 融点 91.5〜92.5℃の針状結晶 〔α〕D 19 −100°(c 0.6,クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 2.02,2.14,2.15(それぞれ3H,s,
OAc) 6.44(1H,br d,H-1)19 F-NMR(重クロロホルム中,内部標準CFC
l3): δ −75.0(d) 元素分析(C121537として): 理論値 C,43.91;H,4.61;F,17.36
% 分析値 C,43.78;H,4.67;F,17.41
【0341】(ii)β-アノマー,即ち1,3,4-トリ-O
-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-
β-L-リキソ-ヘキソピラノース(化合物77-b): 〔α〕D 21 −26°(c 0.8,クロロホルム)のシ
ロップ1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 2.03(3H,s,OAc) 2.16(6H,s,OAc×2) 5.85(1H,dd,H−1)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中,内部標準C
FCl3): δ −74.4(d)
【0342】(12)3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデ
オキシ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピ
ラノシル ブロマイド(化合物78)の製造 前項(11)で得られた化合物77(アノマー混合物)、
すなわち1,3,4-トリ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ
-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキ ソピラノ
ース89mgを30%臭化水素-酢酸溶液0.9mlに溶解
し、その溶液を室温にて5時間放置して臭素化反応を行
った。反応液をクロロホルムで希釈し、次いで水、飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。洗浄さ
れた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに減圧
濃縮することにより表題化合物78の85mg(90%)
をシロップとして得た。
【0343】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 2.02,2.14(それぞれ3H,s,OAc) 6.72(1H,br d,H−1)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中,CFCl3
内部標準): δ −74.3(d)
【0344】次に、前記の式(C-b)のアドリアマイ
シノン誘導体の合成、ならびに前記の式(D)のアドリ
アマイシノン誘導体の合成を夫々に参考例3及び4につ
いて説明する。
【0345】参考例3 (1)7-O-(3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキ
シ-2,6,6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシ
ル)-14-O-ターシャリーブチルジメチルシリルアド
リアマイシノン(化合物79)の製造 参考例1(13)で得られた化合物64、すなわち3,4-
ジ-O-アセチル-2,6- ジデオキシ-2,6,6,6-テト
ラフルオロ-L-タロピラノシル ヨーダイド105mg、
14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-アドリア
マイシノン〔後記 の参考例4(1)参照〕148mg、
臭化第2水銀183mg、黄色酸化第2水銀494mg、粉
末状モレキュラーシーブス3Aの720mgを無水1,2-
ジクロロエタン5mlに懸濁させ、得られた混合物を室温
にて20時間攪拌して縮合反応を行った。
【0346】得られた反応液をクロロホルムで希釈し、
セライトを用いてろ過し、ろ液を得た。ろ残物をクロロ
ホルムで洗浄した。ろ液と洗液を合わせ、その混合物を
30%ヨウ化カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液、水で順次洗浄した。水洗された溶液を無水硫酸
ナトリウムで乾燥して減圧濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:トルエン
-アセトン,12:1)にかけて目的化合物の分離と精製
をした。表題化合物79の107mg(52%)を赤色固
体として得た。
【0347】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム
中): δ 5.74(1H,d,H−1′) 4.10(3H,s,OCH3) 2.14,1.98(それぞれ3H,s,OAc)。
【0348】(2)7-O-(2,6-ジデオキシ-2,6,
6,6-テトラフルオロ-α-L-タロピラノシル)アドリ
アマイシノン〔前記の式(C-b)の化合物〕の製造 前項(1)で得られた化合物79、すなわち7-O-(3,
4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テ
トラフルオロ-α-L-タロピラノシル)-14-O-ターシ
ャリーブチルジメチルシリルアドリアマイシノン98mg
を無水メタノール10mlに懸濁させ、得られた懸濁液に
0.25規定のナトリウムメトキシドのメタノール溶液
0.3mlを加えた。その混合物を室温にて3時間攪拌す
ることにより化合物79のアセチル基の脱離を行った。
得られた反応液にドライアイスの小片を加えた後、減圧
濃縮した。残渣をクロロホルムで希釈し、水洗後に無水
硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られた残渣を
クロロホルム-メタノール混液に溶解し、ヘキサンを加
えて再沈澱を行うことにより脱アセチル生成物67mgを
赤色固体として得た。
【0349】次いでこの固体を80%酢酸水溶液3mlに
溶解し80℃で30分間放置した(TBSの脱離)。その
反応液を減圧濃縮し、残渣を水洗し減圧乾燥後トルエン
で洗浄し減圧乾燥した。表題化合物の48mg(64%)
を赤色固体として得た。本化合物は〔α〕D 24+114
°(c0.2,テトラヒドロフラン)を示した。
【0350】参考例4 (1)7-O-(3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキ
シ-6,6,6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノ
シル)-14-O-ターシャリーブチルジメチルシリルア
ドリアマイシノン(化合物80)の製造 参考例2(12)で得られた化合物78、すなわち3,4-
ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフル
オロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル ブロマイド85
mg、14-O-ターシャリーブチルジメチルシリル-アド
リアマイシノン 「The Journal of Antibiotics」37
巻,853〜858頁(1984)〕142mg、臭化第 2水銀1
74mg、黄色酸化第2水銀498mg、及び粉末状モレキ
ュラーシーブス3Aの696mgを無水1,2-ジクロロエ
タン4mlに懸濁させ、得られた混合物を室温にて18時
間攪拌して縮合反応を行った。
【0351】得られた反応液をクロロホルムで希釈しセ
ライトを用いてろ過し、ろ液を得た。ろ残物をクロロホ
ルムで洗浄した。ろ液と洗液を合わせ、その混合物を3
0%ヨウ化カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、水で順次洗浄した。水洗された溶液を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥して減圧濃縮した。得られた残渣を2回
のシリカゲルカラムクロマトグラフィー(最初の展開系
はトルエン-アセトン10:1、2回目はクロロホルム-
アセトン30:1)にかけ、目的化合物の分離と精製を
した。表題化合物80の50mg(26%)、およびその
β-アノマーの49mg(25%)をそれぞれ赤色固体と
して得た。
【0352】〔α〕D 19 +195°(c 0.1,クロ
ロホルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中): δ 5.73(1H,br d,H−1′) 4.09(3H,s,OCH3) 2.16,1.95(それぞれ3H,s,OAc)19 F-NMRスペクトル(重クロロホルム中、CFCl3
内部標準): δ −74.6(d)。
【0353】(2)7-O-(2,6-ジデオキシ-6,6,
6-トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)ア
ドリアマイシノン〔前記の式(D)の化合物〕の製造 前項(1)で得られた化合物80、すなわち7-O-
(3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジデオキシ-6,6,6-
トリフルオロ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)-14-
O-ターシャリーブチルジメチルシリルアドリアマイシ
ノン40mgを無水メタノール4mlに懸濁させ、得られた
懸濁液に0.25規定のナトリウムメトキシドのメタノ
ール溶液0.13mlを加えた。その混合物を室温にて2.
5時間攪拌することにより化合物80のアセチル基の脱
離を行った。
【0354】その反応液にドライアイスの小片を加えた
後、減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで希釈し、水洗
後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られ
た残渣をクロロホルム-メタノール混液に溶解し、ヘキ
サンを加えて再沈澱を行なうことにより脱アセチル生成
物27mgを赤色固体として得た。
【0355】次いでこの固体を80%酢酸水溶液1mlに
溶解し80℃で30分間放置した(TBSの脱離)。そ
の反応液を減圧濃縮し、残渣を水洗し、減圧乾燥後トル
エンで洗浄し減圧乾燥することにより表題化合物の21
mg(69%)を暗赤色固体として得た。
【0356】〔α〕D 21 +188°(c 0.02,ピ
リジン)1 H−NMRスペクトル(重ピリジン中): δ 5.95(1H,br d,H−1′) 3.98(3H,s,OCH319 F−NMRスペクトル(重ピリジン中、CFCl3
部標準): δ −72.3(d)。
【0357】
【発明の効果】本発明によって得られた一般式(I)の
アンスラサイクリン誘導体、ならびに一般式(II)のア
ドリアマイシノン誘導体は顕著にすぐれた抗癌又は抗腫
瘍活性を有し、しかも水溶性である。本発明による新規
化合物は注射剤として投与できる抗癌剤又は抗腫瘍剤と
して有用であると期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 泰 神奈川県横浜市戸塚区川上町412番1−326 号 (72)発明者 五月女 洋美 神奈川県川崎市高津区子母口802 山弘ハ イム203

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 〔式中、Qは水素原子又は水酸基であり、A1及びA2
    何れか一方または両方が(i)次式(a): (但し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜8のアルキ
    ル基、あるいはアリール基、特にフェニル基又は置換さ
    れたフェニル基、もしくはアラルキル基、特にフェニル
    -(C1〜C6)アルキル基である)で示されるグリシル基
    又は置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)次
    式(b): −CO−B−NH2 (b) (式中、Bは(C1〜C6)アルキル基で置換されてもよ
    い炭素数2〜6の直鎖状アルキレン基である)で示され
    るω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6
    -ジデオキシ-2-フルオロ-3-O-又は-4-O-又は-3,
    4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕
    アンスラサイクリン誘導体またはその製薬学的に許容で
    きる酸付加塩。
  2. 【請求項2】 一般式 〔式中、A1が(i)請求項1に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項1に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フ
    ルオロ-3-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシ
    ル〕ダウノマイシノン誘導体である請求項1に記載の化
    合物。
  3. 【請求項3】 一般式 〔式中、A2が(i)請求項1に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項1に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フ
    ルオロ-4-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシ
    ル〕ダウノマイシノン誘導体である請求項1に記載の化
    合物。
  4. 【請求項4】 一般式 〔式中、A1及びA2の両方がそれぞれ(i)請求項1に
    示される式(a)のグリシル基又は置換されたグリシル
    基であるか、もしくは(ii)請求項1に示される式
    (b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-
    〔2,6-ジデオキシ-2-フルオロ-3,4-ジ-O-アミノ
    アルカノイル-α-L-タロピラノシル〕ダウノマイシノ
    ン誘導体である請求項1に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 一般式 〔式中、A1が(i)請求項1に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項1に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フ
    ルオロ-3-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシ
    ル〕アドリアマイシノン誘導体である請求項1に記載の
    化合物。
  6. 【請求項6】 一般式 〔式中、A2が(i)請求項1に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項1に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2-フ
    ルオロ-4-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシ
    ル〕アドリアマイシノン誘導体である請求項1に記載の
    化合物。
  7. 【請求項7】 一般式 〔式中、A1及びA2の両方が(i)請求項1に示される
    式(a)のグリシル基又は置換されたグリシル基である
    か、もしくは(ii)請求項1に示される式(b)のω-
    アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデ
    オキシ-2-フルオロ-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-
    α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体であ
    る請求項1に記載の化合物。
  8. 【請求項8】 一般式 〔式中、Tはフッ素原子又は水素原子であり、A1及び
    2の何れか一方または両方が(i)次式(a): 〔但し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜7のアルキ
    ル基、あるいはアリール基、特にフェニル基又は置換さ
    れたフェニル基、もしくはアラルキル基、特にフェニル
    -(C1〜C6)アルキル基である〕で示されるグリシル
    基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは(ii)
    次式(b): −CO−B−NH2 (b) (式中、Bは(C1〜C6)アルキル基で置換されてもよ
    い炭素数2〜6の直鎖状アルキレン基である)で示され
    るω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-〔2,6
    -ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-3-O-又は-
    4-O-又は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タ
    ロピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体または7-O-
    〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-3-O-又
    は-4-O-又は-3,4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L
    -リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン誘導
    体、あるいはその製薬学的に許容できる酸付加塩。
  9. 【請求項9】 一般式 〔式中、A1が(i)請求項8に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項8に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,
    6,6,6-テトラフルオロ-3-O-アミノアルカノイル-
    α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体であ
    る請求項8に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 一般式 〔式中、A2が(i)請求項8に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項8に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-2,
    6,6,6-テトラフルオロ-4-O-アミノアルカノイル-
    α-L-タロピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体であ
    る請求項8に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 一般式 〔式中、A1及びA2の両方がそれぞれ(i)請求項8に
    示される式(a)のグリシル基又は置換されたグリシル
    基であるか、もしくは(ii)請求項8に示される式
    (b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-
    〔2,6-ジデオキシ-2,6,6,6-テトラフルオロ-3,
    4-ジ-O-アミノアルカノイル-α-L-タロピラノシル〕
    アドリアマイシノン誘導体である請求項8に記載の化合
    物。
  12. 【請求項12】 一般式 〔式中、A1が(i)請求項8に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項8に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-6,
    6,6-トリフルオロ-3-O-アミノアルカノイル-α-L-
    リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体
    である請求項8に記載の化合物。
  13. 【請求項13】 一般式 〔式中、A2が(i)請求項8に示される式(a)のグ
    リシル基又は置換されたグリシル基であるか、もしくは
    (ii)請求項8に示される式(b)のω-アミノ酸残基
    である〕で表わされる7-O-〔2,6-ジデオキシ-6,
    6,6-トリフルオロ-4-O-アミノアルカノイル-α-L-
    リキソ-ヘキソピラノシル〕アドリアマイシノン誘導体
    である請求項8に記載の化合物。
  14. 【請求項14】 一般式 〔式中、A1及びA2の両方がそれぞれ(i)請求項8に
    示される式(a)のグリシル基又は置換されたグリシル
    基であるか、もしくは(ii)請求項8に示される式
    (b)のω-アミノ酸残基である〕で表わされる7-O-
    〔2,6-ジデオキシ-6,6,6-トリフルオロ-3,4-ジ-
    O-アミノアルカノイル-α-L-リキソ-ヘキソピラノシ
    ル〕アドリアマイシノン誘導体である請求項8に記載の
    化合物。
  15. 【請求項15】 請求項1又は請求項8に夫々に示され
    る一般式(I)又は一般式(II)の化合物中のA1又は
    2がグリシル基、あるいは置換されたグリシル基とし
    てL-アラニル基、L-バリル基、L-ロイシル基、L-イ
    ソロイシル基又はL-フェニルアラニル基である請求項
    1又は8の記載の化合物。
  16. 【請求項16】 請求項1又は請求項8に夫々に示され
    る一般式(I)又は一般式(II)の化合物中のA1又は
    2が式−CO−B−NH2(Bは前記の意味をもつ)の
    ω-アミノ酸残基として3-アミノプロピオニル基、4-
    アミノブチリル基又は4-アミノ-2,2-ジメチルブチリ
    ル基である請求項1又は8に記載の化合物。
  17. 【請求項17】 請求項1に示される一般式(I)を有
    するダウノマイシノン又はアドリアマイシノン誘導体、
    あるいは請求項8に示される一般式(II)を有するアド
    リアマイシノン誘導体あるいはそれらの製薬学的に許容
    できる酸付加塩を有効成分として含有することを特徴と
    する抗腫瘍剤組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003055368A (ja) * 2001-07-30 2003-02-26 Chinoin Gyogyszer Es Vegyeszeti Termekek Gyara Rt ケミカルプロセス
JP2013515750A (ja) * 2009-12-30 2013-05-09 蘇州天人合生物技術有限公司 ハロゲン化ジデオキシ糖誘導体ならびにその調製方法および応用
JP2013531654A (ja) * 2010-06-15 2013-08-08 ディフアルマ フランチス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ プテリジン誘導体の調製方法

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