JPH06256377A - 新規なアンスラサイクリン誘導体 - Google Patents

新規なアンスラサイクリン誘導体

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JPH06256377A
JPH06256377A JP5062877A JP6287793A JPH06256377A JP H06256377 A JPH06256377 A JP H06256377A JP 5062877 A JP5062877 A JP 5062877A JP 6287793 A JP6287793 A JP 6287793A JP H06256377 A JPH06256377 A JP H06256377A
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JP
Japan
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dideoxy
fluoro
talopyranosyl
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JP5062877A
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English (en)
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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Sumio Umezawa
純夫 梅沢
Osamu Tsuchiya
修 土屋
Yasushi Takagi
泰 高木
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Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗腫瘍活性をもち、腫瘍の治癒効果を示すが
低毒性である新規なアンスラサイクリン誘導体を収得す
る。 【構成】 次の一般式 〔式中、Rは水素原子又はヒドロキシル基であり、Xは
水素原子又はハロゲン原子であり、Yはアミノ基又はヒ
ドロキシル基であるが、但しYがアミノ基である時には
Xは水素原子である〕で示されるアンスラサイクリン誘
導体、あるいはその塩。一般式(I)の本発明化合物
は、マウス白血病ロイケミアL−1210細胞、ならびにマ
ウス白血病P388細胞およびアドリアマイシン耐性P
388細胞に対して細胞生育阻止活性を有するが低毒性
であり、抗腫瘍剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗腫瘍活性をもつが低毒
性である新規なアンスラサイクリン誘導体に関し、また
それを含む抗腫瘍剤に関する。さらに詳しくは、本発明
は、抗腫瘍活性をもち且つ毒性が低い新規なアンスラサ
イクリン誘導体として、7−O−(2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)ダウノマイ
シノン又は−アドリアマイシノンの4′−O−グリコシ
ル誘導体に関する。本発明は、またこれらの新規アンス
ラサイクリン誘導体を有効成分とする抗腫瘍剤にも関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】アンスラ
サイクリン系抗生物質としては、ダウノマイシン(米国
特許第3,616,242 号明細書にはダウノルビシンとして記
載される)及びアドリアマイシン(米国特許第3,590,02
8 号明細書にはドキソルビシンとして記載される)が知
られており、これらの化合物は、実験腫瘍に対して広い
抗癌スペクトルを有し、癌化学療法剤として臨床的にも
広く利用されている。
【0003】ダウノマイシン及びアドリアマイシンは次
式(A) 〔式中、Ra は水素原子又はヒドロキシル基を表わす〕
で示される化合物である。
【0004】しかし、ダウノマイシン(式(A)でRa
が水素原子である化合物)及びアドリアマイシン(式
(A)でRa がヒドロキシル基である化合物)は各種の
腫瘍にかなり強力な抗癌作用を示すが、必ずしも満足で
きない。すなわち、ダウノマイシンおよびアドリアマイ
シンは実験腫瘍に対して広い抗癌スペクトルを有するの
みならず、癌化学療法剤として担癌患者の臨床治療に広
く使用されているが、その反面、しばしば白血球減少、
脱毛、心筋障害等の重篤な副作用を伴うことが知られて
いる。
【0005】従って、従来も、より強力な抗癌作用と低
い毒性を有するダウノマイシン類縁化合物を見い出すた
めに、種々のダウノマイシン類縁化合物を創製する試み
が行われており、既にいくつか提案されている。例え
ば、F. Arcamone,“Topics inAntibiotic Chemistr
y”,2巻、第102 〜279 頁、ELIS HORWOOD LIMITED発
行又は米国特許第3,988,315 号明細書記載のアクラシノ
マイシンA及びB;ドイツ連邦共和国特許第2,831,579
号明細書、米国特許第4,303,785 明細書及び特公昭56−
47194 号公報に記載の4′−O−テトラヒドロピラニル
アドリアマイシン;米国特許第4,177,264 号明細書に記
載のN−モノ−ベンジル−又はN−ジ−ベンジル−アド
リアマイシンが知られている。
【0006】更に、米国特許第4,427,664 号明細書に
は、7−O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジ
デオキシ−2−ヨード−α−L−マンノ−ヘキソピラノ
シル)ダウノマイシノン(化合物NSC327,962)と、7−
O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ
−2−ヨード−α−L−タロ−ヘキソピラノシル)ダウ
ノマイシノン(化合物NSC327,472)が記載される。
【0007】本発明者らは、ダウノマイシン又はアドリ
アマイシンより秀れた抗腫瘍活性と低い毒性をもつダウ
ノマイシン誘導体又はアドリアマイシン誘導体を創製す
ることを目的として研究を進め、その研究の一環として
ダウノマイシン及びアドリアマイシンの糖部分を化学的
修飾したダウノマイシン誘導体及びアドリアマイシン誘
導体の若干をすでに合成した。例えば、本発明者らは、
4′−O−テトラヒドロピラニル−ダウノマイシン又は
−アドリアマイシン類(56−47194 号);及び3′−デ
アミノ−3′−モルホリノ−ダウノマイシン又は−アド
リアマイシン類(特開昭57−163393号)を発表してい
る。
【0008】また、他方、本発明者らは、抗腫瘍活性を
もつ次の一般式(B) 〔式中、Ra は水素原子又はヒドロキシル基を表わす〕
で示されるアンスラサイクリン誘導体、例えば、7−O
−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロ
ピラノシル)ダウノマイシノン及び7−O−(2,6−
ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)
アドリアマイシノンを合成することに成功した(特開昭
62−145097号及び欧州特許第0230013 号)。
【0009】また、本発明者らは、抗腫瘍活性をもつ次
の一般式(C) 〔式中、R′は基-(CH2 m -H(但しmは1〜6の整数
を表わす)又は基-(CH2 n -COOH (但しnは0又は1
〜10の整数を表わす)を表わす〕で示されるアンスラ
サイクリン誘導体を合成することにも成功した(特開昭
63−141992号及び欧州特許第0275431 号)。
【0010】本発明者らは、更に、上記の式(B)及び
(C)の化合物と同等である又はより高い抗腫瘍活性を
示し且つ毒性がより低い新しいアンスラサイクリン誘導
体を創製すべく種々研究を重ねてきた。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の一般(B)〜
(C)の化合物の抗腫瘍活性は、ダウノマイシンやアド
リアマイシンより格段に優れている。しかしながら、そ
れら化合物のうちには延命効果を示すものの治ゆ効果を
示さないものがあり、また毒性の発現が認められるもの
がある。そこで治ゆ効果を示しかつ毒性が低い新規なア
ンスラサイクリン誘導体を創製すべく種々検討した。そ
の結果、下記の一般式(I)で示される新規なアンスラ
サイクリン誘導体を合成することに成功し、また本発明
の新規アンスラサイクリン誘導体が所望の目的に適うこ
とを見出した。
【0012】すなわち、第1の本発明によると、次の一
般式 〔式中、Rは水素原子またはヒドロキシル基であり、X
は水素原子又はハロゲン原子であり、Yはアミノ基又は
ヒドロキシル基であるが、但しYがアミノ基である時に
はXは水素原子である〕で示されるアンスラサイクリン
誘導体あるいはその塩が提供される。
【0013】一般式(I)の本発明化合物は、下記の2
群(a)及び(b)の化合物に大別できる。
【0014】(a)一般式 〔式中、Xは水素原子またはハロゲン原子であり、Yは
アミノ基又はヒドロキシル基であるが、但しYがアミノ
基である時にはXは水素原子である〕で示される7−O
−[2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−4−O−グリ
コシル−α−L−タロピラノシル]ダウノマイシノン。
【0015】(b)一般式 〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Yはア
ミノ基又はヒドロキシル基であるが、但しYがアミノ基
である時にはXは水素原子である〕で示される7−O−
(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−4−O−グリコ
シル−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノン。
【0016】上記の一般式(I)、一般式(Ia)又は一
般式(Ib)のアンスラサイクリン誘導体は、7−O−
(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピ
ラノシル)−ダウノマイシノン(略号;FT−DM)又
は7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロラピラノシル)−アドリアマイシノン(略号;
FT−ADM)のタロピラノシル部分の4′位ヒドロキ
シル基がグリコシル基と縮合されている構造を有するも
のであり、該グリコシル基は、例えば、ダウノサミル基
(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソ
ヘキソピラノシル基とも言う)、すなわち次式 のダウノサミンの糖残基;2,6−ジデオキシ−L−リ
キソ−ヘキソピラノシル基、すなわち次式 の2,6−ジデオキシ−L−リキソ−ヘキソピラノース
の糖残基、または2,6−ジデオキシ−2−ハロ−L−
タロピラノシル基すなわち、次式 〔式中、Xはハロゲン原子、例えば沃素、フッ素、臭素
又は塩素である〕の2,6−ジデオキシ−2−ハロ−L
−タロピラノースの糖残基であり得る。
【0017】本発明による一般式(I)の化合物の具体
例には、下記の5種の化合物がある。
【0018】(1) 7−O−[4−O−(3−アミノ−
2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピ
ラノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物4と略
記する)(実施例1(b)参照) (2) 7−O−[4−O−(2,6−ジデオキシ−2−ヨ
ード−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]ダウノマイ
シノン(化合物7と略記する)(実施例2(b)参照) (3) 7−O−[4−O−(2,6−ジデオキシ−α−L
−リキソ−ヘキソピラノシル)−2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]ダウノマイシ
ノン(化合物9と略記する)(実施例3(b)参照) (4) 7−O−[4−O−(2,6−ジデオキシ−2−フ
ルオロ−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキ
シ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]ダウノマ
イシノン(化合物19と略記する)(実施例4(b)参
照) (5) 7−O−[4−O−(2,6−ジデオキシ−2−フ
ルオロ−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキ
シ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]アドリア
マイシノン(化合物20と略記する)(実施例5参照)
【0019】本発明による一般式(I)の化合物は、実
験動物腫瘍に対して顕著な抗腫瘍活性を有し、その抗腫
瘍活性がダウノマイシン、アドリアマイシンに比べて同
等である、若しくは顕著に高いこと、およびダウノマイ
シン、アドリアマイシンに比べ毒性が低いことが試験に
よって確かめられた。
【0020】以下に、一般式(I)の本発明化合物の抗
腫瘍活性の試験例を示す。
【0021】試験例1 マウス白血病ロイケミアL−1210細胞により誘起された
CDF1 マウスの白血病に対する抗腫瘍活性 実験動物腫瘍に対する抗腫瘍効果を評価するために、C
DF1 マウスの腹腔内へマウス白血病ロイケミアL−12
10の細胞の1×105 個/マウスを移植し、その24時
間後より連日9日間、毎日1回、本発明の化合物を腹腔
内へ投与し、60日間観察を行った。対照区(生理食塩
水投与)のマウスの生存日数と比較して算定したマウス
の延命率(T/C、%)を求めた。比較のため、ダウノ
マイシンも同様に試験した。その結果を表1に示す。な
お、表1中で符号「>」は腫瘍の移植を受けたが治癒さ
れて60日間又はそれ以上生存したマウスがあることを
示す。
【0022】
【0023】前記の表1に示したように、一般式(I)
の本発明の化合物は、いずれも5mg/kgの投与量におて
抗腫瘍活性を示し、そのうちの化合物19は1.25〜
5mg/kgの低い投与量の範囲でも抗腫瘍活性を示した。
また比較化合物のダウノマイシンは、2.5mg/kg以上
の投与量において毒性を示すのに対し、本発明の化合物
はいずれも5mg/kgに達するまでの投与量において毒性
を示さなかった。本発明の化合物の抗腫瘍活性は4′位
にグリコシド結合した糖の種類により異なるが、本発明
の化合物のうちで、2,6−ジデオキシ−L−リキソ−
ヘキソピラノースがグリコシド結合した化合物9は特に
秀れており、5mg/kgの投与量でT/C、452%以上
であり、供試マウス4匹のうち2匹が60日間生存する
という顕著な抗腫瘍活性(治ゆ効果)を示し、抗腫瘍活
性においても毒性においてもダウノマイシンに比較し、
著しい改善が認められた。
【0024】試験例2 試験管中でマウス白血病P388細胞およびアドリアマ
イシン耐性P388細胞(P388/ADR)を培養
し、さらに本発明化合物の具体例5種(化合物4,7,
9,19及び20)を加えた。その後、72時間培養を
続けて、白血病細胞生育50%阻止濃度(IC50,μg/
ml)を測定した。比較化合物としてアドリアマイシン
(塩酸塩として)を用いて同様に試験した。試験結果を
表2に要約する。
【0025】本発明の化合物のうち、化合物7は耐性P
388細胞(P388/ADR)に対しアドリアマイシ
ンと同程度に有効であり、さらに化合物19及び20は
アドリアマイシンより低濃度においてP388/ADR
の生育を阻止することが認められ、抗腫瘍剤として有用
であると期待される。
【0026】
【0027】上記の試験例で比較薬剤として用いたダウ
ノマイシン又はアドリアマイシンは、臨床上で実用され
ている抗癌剤であって、治療すべき癌の種類に応じて
0.4mg/kg〜2mg/kgの範囲の投与量で人間に投与さ
れている。この実用されているダウノマイシン又はアド
リアマイシンは、L−1210細胞を接種されたマウスにつ
いて投与量2.5mg/kg/日〜5mg/kg/日で投与した
場合に、夫々に、延命率(T/C、%)が138〜17
1%又は200%程度である抗腫瘍効果を示し且つ毒性
の発現を伴う。しかし、これに対比して、2.5〜5mg
/kg/日の範囲内の適当な低い投与量で投与された本発
明化合物は毒性の発現を示すことがなく、しかもより顕
著に高い延命率(T/C、%)を示し得ること、特に本
発明の実施例3(b)の化合物が5mg/kg/日という投
与量で延命率(T/C、%)が完全治癒を含む約450
%以上であるという極めて優れた抗腫瘍効果を示すこと
は注目すべきことである。従って、本発明化合物は臨床
治療上で担癌患者に多量に投与をしないでも抗腫瘍効果
を期待できる利点がある。
【0028】このことから、一般式(I)の新規アンス
ラサイクリン化合物は抗腫瘍活性が優れ且つ毒性が低い
と考えられ、臨床で実用できる抗腫瘍剤として極めて有
用であり且つダウノマイシン又はアドリアマイシンと同
様に各種の腫瘍の治療に有用であると期待される。
【0029】以上に述べた試験例の実験結果から明らか
なように、本発明により提供される前記の一般式(I)
の化合物は、L−1210白血病細胞の如き実験腫瘍に対し
て優れた抗腫瘍活性を示す。
【0030】従って、一般式(I)の化合物は腫瘍の治
療剤として固形癌及び腹水癌等の医療的処理のために使
用することができる。
【0031】従って、第2の本発明の要旨とするところ
は、一般式(I)で示されるアンスラサイクリン誘導体
を有効成分として含有する抗腫瘍剤にある。
【0032】一般式(I)の本発明化合物を実際に投与
する場合には、一般に非経口的に投与することもできる
が、本発明の化合物を、医薬製剤の分野で用いられる通
常の製薬学的に許容できる固体又は液体状の担体と混ぜ
て散剤、夥粒剤、錠剤またはシロップあるいは注射剤等
の剤型に製剤して、経口的に投与することもできる。
【0033】一般的の投与方法としては、動物の場合、
腹腔内注射、皮下注射、静脈又は動脈への血管内注射及
び局所投与等の注射剤として、ヒトの場合は静脈又は動
脈への血管内注射又は局所投与等の注射剤として投与さ
れ、その投薬量は動物試験の結果及び種々の情況を勘案
して総投与量が一定量を越えない範囲で、連続的又は間
けつ的に投与することができる。
【0034】しかし、その投与量は投与方法、患者、又
は被処理動物の状況例えば年令、体重、性別、感受性、
食餌、投与時間、投与方法、併用する薬剤、患者又はそ
の病気の程度に応じて適宜に変えて投与することはもち
ろんである。本発明化合物の通常の投与量は、抗腫瘍剤
として用いる場合に、ダウノマイシン又はアドリアマイ
シンと同程度の投与量とすることができる。一定の条件
の下における適量と投与回数は、上記の指針を基として
専門医の適量決定試験によって決定されなければならな
い。これらの投与条件は、経口投与においても同様に考
慮される。
【0035】次に、本発明による一般式(I)の化合物
の製造について説明する。
【0036】本発明による一般式(I)の化合物のう
ち、一般式(Ia)の化合物、即ち7−O−(2,6−ジ
デオキシ−2−フルオロ−4−O−グリコシル−α−L
−タロピラノシル)ダウノマイシノンの製造法には、大
別すると次の2つの方法(a)及び(b)がある。
【0037】その第1の方法(a)は、既知の化合物で
ある7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノシル)ダウノマイシノン(略号:FT
−DM)から、それの3′−O−ベンゾイル保護誘導体
を作り、該保護誘導体の4′位ヒドロキシル基に対し
て、官能基を保護されている糖又はそれに対応のグリカ
ールをグリコシド結合により縮合させ、得られた縮合生
成物から、それの保護基を脱離することから成る。ここ
でグリカールを用いる場合に、N−ハロサクシンイミド
を同時に作用させながら縮合反応を行うと、縮合された
糖部分の2位がハロゲン化される。
【0038】縮合生成物から保護基を脱離させるに先立
ち、結合された4′−O−グリコシル基上の官能基を別
の基に変換させる反応を行うこともできる。
【0039】その第2の方法(b)は、官能基を適切に
保護された2糖の1−ブロミドを予め合成し、これをダ
ウノマイシノンの7位ヒドロキシル基に対してグリコシ
ド結合により縮合させ、その縮合生成物から、それの保
護基を脱離することから成る。
【0040】更に、本発明による一般式(Ib)の7−O
−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−4−O−グリ
コシル−α−L−タロピラノシル)アドリアマイシノン
の製造法には、上記のように合成された一般式(Ia)の
ダウノマイシノン誘導体の14位メチル基を既知の手法
でブロムメチル基に転化し、次にこれを加水分解により
ヒドロキシメチル基に転換し、これによって一般式(I
b)のアドリアマイシノン誘導体を生成することから成
る方法がある。
【0041】一般式(Ia)のダウノマイシノン誘導体の
製造のための前記の第1の方法(a)は、それの好まし
い下記の実施法Aによって行い得る。すなわち、実施法
Aでは、FT−DMの3′−O−ベンゾイル保護体(化
合物1)を作り、また、これの4′位ヒドロキシル基に
縮合すべき糖に対応するグリカールの保護誘導体を作
り、それら両者をジクロロメタン中でモレキュラーシー
ブ4A及びトリエチルアミンの存在下、並びに活性剤と
してのトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネー
トの存在下に反応させ(「Carbohydrate Research 」 2
08, 111 〜116 頁(1990)に記載の方法に準ずる)、こ
れにより、残留する保護基をもつ縮合生成物として、7
−O−[2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−4−O−
(保護されたグリコシル)−α−L−タロピラノシル]
ダウノマイシノンを生成させる。
【0042】次いで、この縮合生成物を適当な手法で脱
保護すると、例えば残留する保護基がアルカリ加水分解
に脱離できる種類である場合には、アルカリ加水分解す
ると、目的とする一般式(Ia)の化合物を生成する。こ
の実施法Aは、例えばFT−DMの4′位ヒドロキシル
基に導入すべきグリコシル基が3−アミノ−2,3,6
−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソピラノシル基で
あり且つFT−DMの3′−O−ベンゾイル体(化合物
1)に反応させるべきグリカールとして、3−アセタミ
ド−1,5−アンヒドロ−2,3,6−トリデオキシ−
4−O−p−ニトロベンゾイル−L−リキソ−ヘキス−
1−エニトール(化合物2)を用いる場合には、下記の
合成過程図1で例示される反応工程に従って行い得る。
【0043】
【0044】上記の合成過程図1の反応工程では、化合
物1と化合物2とを先ず縮合させ、次いで、得られた縮
合生成物(化合物3)から、保護基であるトリフルオロ
アセチル基(−COCF3 )、ベンゾイル基及びp−ニトロ
ベンゾイル基を除去(脱保護)させ、これにより、目的
とする化合物4を得ている。
【0045】また、前記の第1の方法(a)は、それの
実施法Bにおいては、FT−DMの3′−O−ベンゾイ
ル誘導体(化合物1)と保護されたグリカールとの縮合
反応をN−ヨードサクシンイミド(一般的には、N−ハ
ロサクシンイミド)の存在下に行い(「Carbohydrate R
esearch 」136, 391〜396 頁(1985)に記載の方法に準
ずる)、縮合と同時に、結合した糖の2″位のヨード化
も起こさせ、その後、縮合生成物を脱保護するように実
施できる。例えば、この実施法Bでは、FT−DMの4
位ヒドロキシル基に導入すべきグリコシル基が2,6−
ジデオキシ−2−ヨード−α−L−タロピラノシル基で
あるものとして、かつFT−DMの3′−O−ベンゾイ
ル誘導体(化合物1)に反応させるべきグリカールとし
て3,4−ジ−O−アセチル−L−フカール(化合物
5)を用いる場合には、化合物1と化合物5とをN−ヨ
ードサクシンイミドの存在下に縮合させ且つそれと並行
的に縮合生成物が2″位でヨード化を受けるように反応
を進め、次いで縮合生成物から保護基を除去するように
して下記の合成過程図2で例示される反応工程に従って
行い得る。
【0046】
【0047】上記の合成過程図2の反応工程では、化合
物1に対して、グリカールとしての化合物5をアセトニ
トリル中でN−ヨードサクシンイミドの存在下に反応さ
せ、これにより2″−ヨード基を導入された4−O−
(α−L−グリコシル)基をもつ縮合生成物(化合物
6)を得る。この化合物6から、アルカリ加水分解によ
りアセチル基及びベンゾイル基を除去(脱保護)する
と、目的の化合物7を得るのである。
【0048】更に、前記の第1の方法(a)は、下記の
実施法Cによって行うこともできる。すなわち、実施法
Cでは、先ず、前記の実施法Bと同様に、FT−DMの
3′−O−ベンゾイル誘導体(化合物1)と保護された
グリカールとをN−ヨードサクシンイミドの存在下に縮
合させ、しかもこれを並行的に縮合生成物が2″位でヨ
ード化を受けるように反応を進める。このようにする
と、縮合生成物として7−O−[4−O−(2−ヨード
−グリコシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
α−L−タロピラノシル]ダウノマイシノンが得られ、
次いで、これの2″位のヨウ素を、水素化トリブチルス
ズで還元することにより、2″位がメチレン基となった
化合物を得る。後者の化合物から保護基を除去すると、
一般式(Ia)の化合物でXが水素であるダウノマイシノ
ン誘導体が生成される。
【0049】合成過程図2で示される2″−ヨード化さ
れた化合物6を、上記の実施法Cに記載の還元工程にか
け、得られた還元生成物を次いで脱保護工程にかけるこ
とから成る方法を下記の合成過程図3に例示する。
【0050】
【0051】本発明による一般式(Ia)のダウノマイシ
ノン誘導体の製造のための第2の方法(b)は、前述し
たように、官能基を適切に保護された2糖の1−ブロミ
ドを予め合成し、これをダウノマイシノンの7位ヒドロ
キシル基に対してグリコシド結合により縮合させる工程
を含む。
【0052】官能基を適切に保護された2糖の1−ブロ
ミドは、次の一般式(III)
【0053】〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子で
あり、Y′は保護されたアミノ基又は保護されたヒドロ
キシル基であり、Aはヒドロキシル基の保護基である〕
で示される4−O−(保護されたグリコシル)−3−O
−保護−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−
タロピラノシル・ブロミドである。前記の第2の方法
(b)の好ましい実施法では、この一般式(III)のジグ
リコシル・ブロミドをダウノマイシノンの7位ヒドロキ
シル基にジクロロメタン中でモレキュラーシーブ3A、
黄色酸化第2水銀及び臭化第2水銀の存在下に縮合反応
させる。
【0054】この縮合反応により、次の一般式(IV) 〔式中、X,Y′及びAは前記と同じ意味をもつ〕で示
される7−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
4−O−グリコシル−α−L−タロピラノシル)ダウノ
マイシノン保護誘導体を生成する。次いで、この一般式
(IV)のダウノマイシノン誘導体から、残留の保護基
(A、その他)を脱離すると、本発明による一般式(I
a)のダウノマイシノン誘導体を生成する。
【0055】既知化合物である3,4−ジ−O−アセチ
ル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロ
ピラノシル・ブロミド(化合物10)から出発して4−
O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)−3−O−
アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシル・ブロミド(化合物17)を、前記の
官能基を適切に保護された2糖の1−ブロミドの一例と
して合成する過程を例示する合成過程図4aを下記に示
す。また、下記の合成過程図4bには、合成過程図4a
で得られた化合物17をダウノマイシンの7位ヒドロキ
シル基に縮合させ、得られた縮合生成物(化合物18)
から保護基を脱離させ、これにより7−O−[4−O−
(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピ
ラノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物19)
〔本発明による一般式(Ia)の化合物の一例である〕を
生成する過程を示す。
【0056】
【0057】
【0058】上記の合成過程図4aの反応工程では、既
知のグリコシル・ブロミド(化合物10)を無水ベンゼ
ン中でモレキュラーシーブス、炭酸銀、およびヨウ素の
存在下にベンジルアルコールと縮合させ、β−L−グリ
コシド(化合物11)を得る。化合物11の3位、4位
のアセチル基をエステル交換により脱離することによ
り、化合物12を生成する。その後、化合物12を無水
ベンゼン中で酸化ジブチルスズと反応させることによ
り、3位、4位の間に環状スズ化合物(単離はしていな
い)を生成させ、次いでヨウ化テトラブチルアンモニウ
ムの存在下に臭化ベンジルと反応させることにより、化
合物12のエクアトリアル配置の3位ヒドロキシル基の
みを選択的にベンジル化する。このようにして化合物1
3を生成する。
【0059】この化合物13の遊離した4位ヒドロキシ
ル基に、化合物10を無水ジクロロメタン中でモレキュ
ラーシーブ3A、黄色酸化第2水銀、臭化第2水銀の存
在下に縮合させると、α−L−グリコシド結合により結
合された2糖(化合物14)が生成される。化合物14
の1位と3位のベンジル基を接触還元で脱離し、還元糖
(化合物15)を生成させ、その後アセチル化して1,
3,3′,4′−テトラ−O−アセチル誘導体(化合物
16)を得る。次いで、これを臭化水素−酢酸で臭素化
してブロミド化合物17を得る。
【0060】合成過程図4bの反応工程では、化合物1
7とダウノマイシノンとの縮合はジクロロメタン中、モ
レキュラーシーブ3A、黄色酸化第2水銀、臭化第2水
銀の存在下に行ない、α−L−縮合体である化合物18
を50%の収率で得た。化合物18をアルカリ加水分解
により脱保護し、目的とする化合物19を得る。
【0061】本発明による一般式(Ib)のアドリアマイ
シノン誘導体の製造は、下記の実施法により行い得る。
すなわち、先ず一般式(Ia)のダウノマイシノン誘導体
に対して、メタノール、又はジオキサン、あるいはこれ
らの混合溶媒中で0℃〜50℃の温度でオルト蟻酸メチ
ルを反応させて式(Ia)の化合物の13位カルボニル基
をジメチルケタール化する。このジメチルケタール化に
よって次式(V) 〔式中、X及びYは前記と同じ意味である〕の化合物を
生成する。
【0062】次に、式(V)の化合物を0℃〜50℃の
温度でハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、低
級アルカノール、例えばメタノール、あるいはジオキサ
ン、テトラヒドロフラン中で臭素と反応させると、次式
(VI) 〔式中、X及びYは前記と同じ意味をもつ〕の化合物を
得る。
【0063】この式(VI)の化合物を臭化水素酸で加水
分解するか、あるいはアセトン使用でケタール変換を行
うことによりジメチルケタール基を脱離すると、次式(V
II) の化合物が生成される。
【0064】式(VII)の化合物を、それの14位のブロ
モメチル基(-CH2 -Br)の加水分解のため、ギ酸ナトリウ
ム又はギ酸リチウムと反応させる。次いで、副反応とし
てホルミルオキシ基が導入された場合には、アンモニア
水又は重曹水で処理すると、加水分解が達成される(特
公昭57−36919 号、特開平1−299296号、又は米国特許
第4125607 号の実施例1に示されるアルカモネ法の改変
法)ので、一般式(Ib)のアドリアマイシノン誘導体が
生成される。式(VII)の化合物とギ酸ナトリウム又はギ
酸リチウムとの反応には、溶媒として、水、あるいはジ
メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテ
ル類、酢酸アルキルさらにはアセトン等のケトン類が用
いられる。反応温度は0〜50℃、反応時間は1〜48
時間が望ましい。
【0065】次に、本発明を、本発明化合物の合成例を
示す実施例、並びに2糖の合成例を示す参考例について
具体的に説明する。
【0066】実施例1 (a)7−O−[3−O−ベンゾイル−2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−4−O−(2,3,6−トリデオ
キシ−4−O−p−ニトロベンゾイル−3−トリフルオ
ロアセタミド−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)−
α−L−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物
3)の製造
【0067】7−O−(3−O−ベンゾイル−2−フル
オロ−2,6−ジデオキシ−α−L−タロピラノシル)
ダウノマイシノン(Y.Takagi, H.Sohtome, T.Tsuchiya,
S.Umezawa, T.Takeuchi, The Journal of Antibiotic
s, 45巻, 355-362 頁, 1992年)(化合物1)31mgお
よび3−アセタミド−1,5−アンヒドロ−2,3,6
−トリデオキシ−4−O−p−ニトロベンゾイル−L−
リキソ−ヘキス−1−エニトール(H.Umezawa, Y.Takah
ashi, M.Kinoshita, H.Naganawa, K.Tatsuta, T.Takeuc
hi, The Journal of Antibiotics, 33巻, 1581-1584
頁, 1980年)(化合物2)21mgを0.1%のトリエチル
アミンを含む無水ジクロロメタン溶液1.6mlに溶解さ
せ、これに粉末状モレキュラーシーブ4Aの155mgを
加えた。この懸濁液に、アルゴン雰囲気下に−60℃に
てトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート
(CF3 SO3 SiMe3 )6.2μlを加え、同温度で4.5
時間攪拌した。
【0068】生成された表題の化合物3を含む反応液に
トリエチルアミン0.02mlを加えた後ジクロロメタン
で希釈した。セライトを用いてろ過した後、ろ液を1%
硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減
圧濃縮した。残渣をプレパラティブシリカゲル薄層クロ
マトグラフィー(展開系、ヘキサン−酢酸エチル−アセ
トン、2:2:1、2度展開)にて分離精製し、表題の
化合物3の33mg(68%)を赤色固体として得た。再
沈澱はクロロホルム−イソプロピルエーテルより行なっ
た。
【0069】 [α]D 24 +2.5°(c 0.4,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 5.70(1H, broad d, H-1′) 5.05(1H, broad, H-1″) 4.06(3H, s, OCH3 ) 2.44(3H, s, Ac )19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−200.1(ddd, F-2′) −76.4 (s, CF3 ) 元素分析 C49444 2 18として 理論値:C, 57.43 ; H, 4.33 ; F, 7.41 ; N, 2.73% 分析値:C, 57.20 ; H, 4.62 ; F, 7.18 ; N, 2.92%
【0070】(b)7−O−[4−O−(3−アミノ−
2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピ
ラノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−
L−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物4)の
製造
【0071】実施例1(a)で得られた7−O−[3−
O−ベンゾイル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
4−O−(2,3,6−トリデオキシ−4−O−p−ニ
トロベンゾイル−3−トリフルオロアセタミド−α−L
−リキソ−ヘキソピラノシル)−α−L−タロピラノシ
ル]ダウノマイシノン(化合物3)73mgにメタノール
3.7mlおよび0.2規定水酸化ナトリウム水溶液3.
7mlを加え、その混合物を0℃で7時間攪拌した。反応
液に0.1規定塩酸を加え、pHを約3とした後に水で
希釈し、クロロホルムで洗浄した。水層部に飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液を加え、pHを約8としたのち、ク
ロロホルムで抽出した。抽出液を水洗後、減圧濃縮し
た。得られた残渣をメタノール−クロロホルム混液
(1:1)に溶解し、0.1規定塩化水素メタノール溶
液を加えpHを約3としたのち、イソプロピルエーテル
を加えて再沈澱を行ない、表題の化合物4の塩酸塩38
mg(75%)を赤色固体として得た。
【0072】 [α]D 23 +79°(c 0.16,メタノール)1 H−NMRスペクトル(重メタノール) δ 5.38(1H, d, H-1′) 5.00(1H, broad, H-1″) 3.91(3H, s, OCH3 ) 2.36(3H, s, Ac )19 F−NMRスペクトル(重メタノール,CFCl3 内部標
準) δ−202.1(ddd ) 元素分析 C3339ClFNO13・2H2 Oとして 理論値:C, 52.98 ; H, 5.79 ; Cl, 4.74 ; F, 2.54 ;
N, 1.87 % 分析値:C, 53.11 ; H, 6.09 ; Cl, 4.62 ; F, 2.48 ;
N, 2.18 %
【0073】実施例2 (a)7−O−[3−O−ベンゾイル−4−O−(3,
4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−ヨー
ド−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]ダウノマイシ
ノン(化合物6)の製造
【0074】7−O−(3−O−ベンゾイル−2−フル
オロ−2,6−ジデオキシ−α−L−タロピラノシル)
ダウノマイシノン(化合物1)150mgおよび3,4−
ジ−O−アセチル−L−フカール(化合物5)85mgを
無水アセトニトリル3mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下
0℃にてN−ヨードクサクシンイミド107mgを加え、
室温にて2時間攪拌した。さらにフカール40mg、N−
ヨードサクシンイミド52mgを反応液に加え、室温にて
1時間攪拌した。
【0075】反応液を減圧濃縮したのち残渣をクロロホ
ルムに溶解し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液および
水で順次洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮し
た。残渣を、展開系クロロホルム−酢酸エチル、8:1
のシリカゲルクロマトグラフィー、次いで展開系ベンゼ
ン−アセトン、10:1のシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーを用いて分離精製することにより表題化合物6
の188mg(85%)を赤色固体として得た。再沈澱は
クロロホルム−ヘキサンより行なった。
【0076】 [α]D 25 +46°(c 0.1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.06(3H, s, OCH3 ) 2.43(3H, s, Ac ) 2.13(3H, s, OAc) 2.07(3H, s, OAc) 1.38(1H, d, CH3 -5′) 0.58(1H, d, CH3 -5″)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−200.4(ddd )
【0077】(b)7−O−[4−O−(2,6−ジデ
オキシ−2−ヨード−α−L−タロピラノシル)−2,
6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシ
ル]ダウノマイシノン(化合物7)の製造
【0078】実施例2(a)で得られた7−O−[3−
O−ベンゾイル−4−O−(3,4−ジ−O−アセチル
−2,6−ジデオキシ−2−ヨード−α−L−タロピラ
ノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物6)97
7mgをテトラヒドロフランとメタノールの1:1の混液
98mlに溶解し、0℃にて0.4規定水酸化ナトリウム
のメタノール溶液を49ml加え、同温度にて1.5時間
攪拌した。反応液にドライアイスを加えて中和したの
ち、クロロホルムで希釈し、5%硫酸水素ナトリウム水
溶液および20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄後、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をフ
ラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開系、
クロロホルム−アセトン、2:1)にて精製し、表題の
化合物7の505mg(64%)を赤色固体として得た。
再沈澱はクロロホルム−ヘキサンより行なった。
【0079】 [α]D 25 +69°(c 0.1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 5.60(1H, dd, H-1′) 5.41(1H, d, H-1″) 4.09(3H, s, OCH3 ) 2.40(3H, s, Ac )19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−203.9(ddd ) 元素分析 C33361 1 14・0.5H2 Oとして 理論値:C, 48.84 ; H, 4.60 ; F, 2.34 ; I, 15.64 % 分析値:C, 48.97 ; H, 4.71 ; F, 2.46 ; I, 15.43 %
【0080】実施例3 (a)7−O−[3−O−ベンゾイル−4−O−(3,
4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−α−L−
リキソ−ヘキソピラノシル)−2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−α−L−タロピラノシル]ダウノマイシノ
ン(化合物8)の製造
【0081】実施例2(a)で得られた7−O−[3−
O−ベンゾイル−4−O−(3,4−ジ−O−アセチル
−2,6−ジデオキシ−2−ヨード−α−L−タロピラ
ノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物6)10
0mgを無水ベンゼン2mlに溶解させ、これに2,2′−
アゾビスイソブチロニトリル3.4mgと水素化トリブチ
ルスズ0.17mlを加え、80℃にて4時間反応させ
た。反応液をアセトニトリルで希釈したのち、ヘキサン
で洗浄し、アセトニトリル溶液を減圧濃縮した。得られ
た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
系、トルエン−酢酸エチル,3:1)にて分離精製し、
表題化合物8の45mg(52%)を赤色固体として得
た。再沈澱はクロロホルム−ヘキサンより行なった。
【0082】 [α]D 23 +30°(c 0.1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 5.69(1H, dd, H-1′) 4.97(1H, broad s, H-1″) 4.07(3H, s, OCH3 ) 2.43(3H, s, Ac ) 2.07(3H, s, OAc) 1.98(3H, s, OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−200.1(ddd )
【0083】(b)7−O−[4−O−(2,6−ジデ
オキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)−2,6
−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシ
ル]ダウノマイシノン(化合物9)の製造
【0084】実施例3(a)で得られた7−O−[3−
O−ベンゾイル−4−O−(3,4−ジ−O−アセチル
−2,6−ジデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノ
シル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−
タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物8)62mg
をテトラヒドロフランとメタノールの1:1混液6mlに
溶解し、0℃にて0.4規定水酸化ナトリウムのメタノ
ール溶液3mlを加え、同温度にて3時間攪拌した。反応
液にドライアイスを加えて中和したのち、クロロホムで
希釈し、20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をフラッシ
ュ−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系、ク
ロロホルム−アセトン、1:1)にて精製し、表題化合
物9の26mg(55%)を赤色固体として得た。再沈澱
はクロロホルム−ヘキサンより行なった。
【0085】 [α]D +31°(c 0.1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 5.61(1H, d, H-1′) 4.93(1H, broad d, H-1″) 4.09(3H, s, OCH3 ) 2.40(3H, s, Ac ) 1.99(1H, broad dd, H-2″eq) 1.93(1H, dt, H-2″ax)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−203.6(ddd )
【0086】参考例1 (a)ベンジル 3,4−ジ−O−アセチル−2,6−
ジデオキシ−2−フルオロ−β−L−タロピラノシド
(化合物11)の製造
【0087】3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル ブロ
ミド(T.Tsuchiya, Y.Takagi, K.Ok, S.Umezawa, T.Tak
euchi, N.Wako, H.Umezawa, The Journal of Antibioti
cs, 39巻, 731-733 頁, 1986年)1.09gを無水ベン
ゼン17.5mlに溶解した溶液に、粉末状モレキュラー
シーブス3Aの2.2g、ベンジルアルコール1.8m
l、炭酸銀2.9g、およびヨウ素1.74gを加え、
室温暗所にて16時間攪拌した。
【0088】反応液をセライトを用いてろ過し、ろ液を
20%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサン1:
10の混液より再結晶を行ない、表題化合物11の64
2mg(55%)を無色針状晶として得た。
【0089】融点 122.5−124.5℃ [α]D 22 +95°(c 0.1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 7.36(5H, C6 5 ) 4.46(1H, d, J1,F =18.5Hz, H-1) 2.17(3H, s, OAc) 2.08(3H, s, OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−219.3(ddd )
【0090】(b)ベンジル 2,6−ジデオキシ−2
−フルオロ−β−L−タロピラノシド(化合物12)の
製造
【0091】参考例1(a)で得られたベンジル 3,
4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−β−L−タロピラノシド(化合物11)635mg
を無水メタノール19mlに溶解した溶液に5.4規定の
ナトリウムメトキシドのメタノール溶液38μlを加
え、室温にて2時間放置した。
【0092】反応液に強酸性イオン交換樹脂Dowex 50W
×2(H+ 型)を加えて中和したのち、樹脂をろ別し
た。ろ液を−10℃に静置して得られる針状晶を採取
し、表題化合物12の462mg(89%)を得た。
【0093】融点 124−126℃ [α]D 25 +11°(c 0.1 ,クロロホルム)
【0094】(c)ベンジル 3−O−ベンジル−2,
6−ジデオキシ−2−フルオロ−β−L−タロピラノシ
ド(化合物13)の製造
【0095】参考例1(b)で得られたベンジル 2,
6−ジデオキシ−2−フルオロ−β−L−タロピラノシ
ド(化合物12)422mgを無水ベンゼン42mlに溶解
し、酸化ジブチルスズ490mgを加え6時間還流を行な
った。この際、反応容器と還流コンデンサーの間にモレ
キュラーシーブス4Aを充填した側管付ガラス筒を挿入
し、反応により生成する水を除去することにより中間体
である環状スズ化合物の生成を容易ならしめた。次に反
応液より約1/3容のベンゼンを蒸留により溜去したの
ち、臭化ベンジル0.3mlおよびヨウ化テトラブチルア
ンモニウム304mgを加え、再び上記に述べた反応装置
により10時間還流した(O−ベンジル化)。
【0096】さらに臭化ベンジル0.2mlを加えて3時
間還流を行なったのち、反応液を減圧濃縮した。残渣を
クロロホルムで希釈し、20%塩化ナトリウム水溶液で
洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃
縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開系、クロロホルム−酢酸エチル,15:
1)により精製し、表題化合物13の504mg(88
%)を結晶として得た。
【0097】 [α]D 20 +65°(c 0.97,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 7.34(10H,C6 5 ×2) 4.31(1H, d, H-1) 2.38(1H, t, OH-4 )19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−217.5(dddd, J1,F =19.5, J2,F =51 ,J
3,F =30.5, JOH-4,F=8.5Hz)
【0098】(d)ベンジル 4−O−(3,4−ジ−
O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α
−L−タロピラノシル)−3−O−ベンジル−2,6−
ジデオキシ−2−フルオロ−β−L−タロピラノシド
(化合物14)の製造
【0099】3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル ブロ
ミド(化合物10)403mgおよび参考例1(c)で得
られたベンジル 3−O−ベンジル−2,6−ジデオキ
シ−2−フルオロ−β−L−タロピラノシド(化合物1
3)296mgを無水ジクロロメタン3.5mlに溶解し、
これに粉末状モレキュラーシーブス3Aの1.48g、
黄色酸化第2水銀870mgおよび臭化第2水銀246mg
を加え、室温、暗所にて20時間攪拌した。
【0100】反応液をセライトを用いてろ過し、ろ液を
クロロホルムで希釈し、30%ヨウ化カリウム水溶液、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次に洗浄後、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(展開系、クロロホル
ム−アセトン,50:1)にて精製し、表題化合物14
の373mg(76%)を無色固体として得た。
【0101】 [α]D 20 −38°(c 1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 5.03(1H, broad d, J1',F-2' =9Hz, H-1 ′) 4.28(1H, d, J1,F-2 =18.5Hz, H-1) 2.12(3H, s, OAc) 2.04(3H, s, OAc) 1.38(1H, d, CH3 -5) 0.89(1H, d, CH3 -5′)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,内部標準CF
Cl3 ) δ−200.6(1F, ddd, F-2′) −219.9(1F, broad ddd, F-2)
【0102】(e)4−O−(3,4−ジ−O−アセチ
ル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロ
ピラノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−L
−タロピラノース(化合物15)の製造
【0103】参考例1(d)で得られたベンジル 4−
O−(3,4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)−3−O−
ベンジル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−β−L
−タロピラノシド(化合物14)170mgをジオキサン
−酢酸−水(10:1:1)の混液7.5mlに溶解し、
パラジウム黒の存在下に水素ガスを吹き込んで接触還元
を行なった。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮すること
により表題化合物15の無色固体87mg(74%)をα
体、β体の混合物として得た。
【0104】[α]D 20 −63°(c 1 ,クロロホル
ム,溶解してから20時間後に測定)
【0105】(f)4−O−(3,4−ジ−O−アセチ
ル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロ
ピラノシル)−1,3−ジ−O−アセチル−2,6−ジ
デオキシ−2−フルオロ−L−タロピラノース(化合物
16)の製造
【0106】参考例1(e)で得られた4−O−(3,
4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−L−タロピラノース(化合物15)7
6mgを無水ピリジン0.8mlに溶解し、無水酢酸0.1
3mlを加え室温にて22時間放置したのち、60℃で2
時間加温した。反応液に少量の水を加えたのち減圧濃縮
し残渣をクロロホルムで希釈した。20%硫酸水素カリ
ウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次
に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮する
ことにより表題化合物16の無色固体85mg(92%)
をα体、β体の混合物として得た。これらのうちα体が
主生成物である。
【0107】1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 2.21,2.16,2.13,2.08(それぞ
れs,α体のOAc )
【0108】(g)4−O−(3,4−ジ−O−アセチ
ル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロ
ピラノシル)−3−O−アセチル−2,6−ジデオキシ
−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル ブロミド
(化合物17)の製造
【0109】参考例1(f)で得られた4−O−(3,
4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)−1,3−ジ−O−ア
セチル−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−L−タロ
ピラノース(化合物16)77mgを30%臭化水素−酢
酸溶液0.8mlに溶解し、室温にて3時間放置した。反
応液をクロロホルムで希釈し冷水、冷飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液、冷水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開系、トルエン−酢酸
エチル,8:1)で分離精製し、表題化合物17を不安
定な淡黄色固体として41mg(50%)得た。
【0110】1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 6.51(1H, d, H-1) 4.99(1H, dd, H-1 ′) 2.21,2.17,2.08(それぞれ3H, s, OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) −180.2(1F, ddd, F-2) −200.4(1F, ddd, F-2′)
【0111】実施例4 (a)7−O−[3−O−アセチル−4−O−(3,4
−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フルオ
ロ−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]ダウノマイシ
ノン(化合物18)の製造
【0112】参考例1(g)で得られた4−O−(3,
4−ジ−O−アセチル−2,6−ジデオキシ−2−フル
オロ−α−L−タロピラノシル)−3−O−アセチル−
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラ
ノシル ブロミド(化合物17)41mgの無水ジクロロ
メタン溶液3mlに粉末状モレキュラーシーブス3Aの1
60mgを加え30分間攪拌した。これにダウノマイシノ
ン33mgを無水ジクロロメタン1.9mlに懸濁させた液
を加え、さらに黄色酸化第2水銀83mg、臭化第2水銀
21mgを加え暗所にて室温で22時間攪拌した。反応液
にさらに黄色酸化第2水銀42mg、臭化第2水銀10mg
を加え、暗所にて19時間還流した。
【0113】反応液をセライトを用いてろ過し、ろ液を
クロロホルムで希釈したのち、30%ヨウ化カリウム水
溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順序洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮した。残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系、クロ
ロホルム−酢酸エチル,1:1)で分離精製し、表題化
合物18の34mg(50%)を赤色固体として得た。
【0114】1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 4.09(3H, s, OMe) 2.40(3H, s, Ac ) 2.17,2.14,2.09(それぞれ3H, s, OAc)19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,内部標準CF
Cl3 ) δ−200.4,−201.0(それぞれ1F, ddd )
【0115】(b)7−O−[4−O−(2,6−ジデ
オキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラノシル)−
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラ
ノシル]ダウノマイシノン(化合物19)の製造
【0116】実施例4(a)で得られた7−O−[3−
O−アセチル−4−O−(3,4−ジ−O−アセチル−
2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タロピラ
ノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L
−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物18)1
2mgを0.2規定水酸化ナトリウム水溶液中に懸濁さ
せ、0℃にて1時間攪拌した。反応液に1規定塩酸を加
えて中和したのち、クロロホルムで抽出した。クロロホ
ルム溶液を20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して表題化合物19
の9mg(89%)を赤色固体として得た。
【0117】 [α]D 20 +38°(c 0.1 ,クロロホルム)1 H−NMRスペクトル(重クロロホルム) δ 5.58(1H, broad d, H-1′) 5.04(1H, dd, H-1 ″) 4.08(3H, s, OMe) 2.40(3H, s, Ac )19 F−NMRスペクトル(重クロロホルム,CFCl3 内部
標準) δ−199.6(1F,くずれた形のddt 、重水を添加す
ることにより鋭いddd となる。F-2 ″) −204.0(1F, ddd, F-2′)
【0118】実施例5 7−O−[4−O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオ
ロ−α−L−タロピラノシル)−2,6−ジデオキシ−
2−フルオロ−α−L−タロピラノシル]アドリアマイ
シノン(化合物20)の製造
【0119】実施例4(b)で得られた7−O−[4−
O−(2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−α−L−タ
ロピラノシル)−2,6−ジデオキシ−2−フルオロ−
α−L−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物1
9)32mgを無水メタノール0.6ml、無水ジオキサン
1mlの混液に溶解させ、オルトギ酸メチル0.04mlを
加えて反応させた(13位カルボニル基のケタールによ
る保護)。その後、反応液を0℃に冷却し、臭素11mg
を無水ジクロロメタン0.1mlに溶解した溶液を加え、
同温度で1時間攪拌したのち、室温で2時間攪拌した。
これによって14位のメチル基の臭素化を行なった。
【0120】反応液にイソプロピルエーテルとヘキサン
を加え、析出した赤色沈澱を遠心分離により採取し、ヘ
キサンで2回洗浄した。この沈澱にアセトン2mlを加
え、室温で1時間攪拌した(脱ケタール化反応)。この
アセトン処理により、3″,4″−O−イソプロピリデ
ン基が部分的に導入された。反応液を少量まで減圧濃縮
し、ヘキサンを加え析出した沈澱を遠心分離により採取
した。この固体にアセトン2.2ml、水0.5mlを加
え、さらにギ酸ナトリウム46mgを加え室温で18時間
激しく攪拌した。これによって14位のブロモメチル基
はヒドロキシメチル基に転化したが、14−O−ホルミ
ル体も一部副成した。
【0121】反応液を減圧濃縮し残渣を水洗、乾燥して
得られる赤色固体をクロロホルム−メタノール 1:1
の混液2mlに溶解し、1規定アンモニア水溶液0.26
mlを加え0℃にて1時間放置した。この処理により部分
的に導入された14−O−ホルミル基が除去された。反
応液を減圧濃縮し、得られた残渣を80%酢酸水1mlに
溶解し、80℃で1.5時間加熱することにより部分的
に導入された3″,4″−O−イソプロピリデン基を除
去した。反応液を減圧濃縮し、残渣を水洗、乾燥するこ
とにより赤色固体を得た。この固体をクロロホルム−メ
タノール−ヘキサンより再沈澱し、表題化合物20を赤
色固体として17mg(52%)得た。
【0122】 [α]D 20 +39°(c 0.1 ,クロロホルム)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】また、前記の第1の方法(a)は、それの
実施法Bにおいては、FT−DMの3′−O−ベンゾイ
ル誘導体(化合物1)と保護されたグリカールとの縮合
反応をN−ヨードサクシンイミド(一般的には、N−ハ
ロサクシンイミド)の存在下に行い(「Carbohydrate R
esearch 」136, 391〜396 頁(1985)に記載の方法に準
ずる)、縮合と同時に、結合した糖の2″位のヨード化
も起こさせ、その後、縮合生成物を脱保護するように実
施できる。例えば、この実施法Bでは、FT−DMの4'
位ヒドロキシル基に導入すべきグリコシル基が2,6−
ジデオキシ−2−ヨード−α−L−タロピラノシル基で
あるものとして、かつFT−DMの3′−O−ベンゾイ
ル誘導体(化合物1)に反応させるべきグリカールとし
て3,4−ジ−O−アセチル−L−フカール(化合物
5)を用いる場合には、化合物1と化合物5とをN−ヨ
ードサクシンイミドの存在下に縮合させ且つそれと並行
的に縮合生成物が2″位でヨード化を受けるように反応
を進め、次いで縮合生成物から保護基を除去するように
して下記の合成過程図2で例示される反応工程に従って
行い得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】上記の合成過程図2の反応工程では、化合
物1に対して、グリカールとしての化合物5をアセトニ
トリル中でN−ヨードサクシンイミドの存在下に反応さ
せ、これにより2″−ヨード基を導入された4´−O−
(α−L−グリコシル)基をもつ縮合生成物(化合物
6)を得る。この化合物6から、アルカリ加水分解によ
りアセチル基及びベンゾイル基を除去(脱保護)する
と、目的の化合物7を得るのである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】実施例1 (a)7−O−[3−O−ベンゾイル−2,6−ジデオ
キシ−2−フルオロ−4−O−(2,3,6−トリデオ
キシ−4−O−p−ニトロベンゾイル−3−トリフルオ
ロアセタミド−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)−
α−L−タロピラノシル]ダウノマイシノン(化合物
3)の製造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 泰 神奈川県横浜市戸塚区川上町412番1−326 号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式 〔式中、Rは水素原子又はヒドロキシル基であり、Xは
    水素原子又はハロゲン原子であり、Yはアミノ基又はヒ
    ドロキシル基であるが、但しYがアミノ基である時には
    Xは水素原子である〕で示されるアンスラサイクリン誘
    導体、あるいはその塩。
  2. 【請求項2】 一般式 〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Yはア
    ミノ基又はヒドロキシル基であるが、但しYがアミノ基
    である時にはXは水素原子である〕で示されるアンスラ
    サイクリン誘導体である請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式 〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子であり、Yはア
    ミノ基又はヒドロキシル基であるが、但しYがアミノ基
    である時にはXは水素原子である〕で示されるアンスラ
    サイクリン誘導体である請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 次の一般式 〔式中、Rは水素原子又はヒドロキシル基であり、Xは
    水素原子又はハロゲン原子であり、Yはアミノ基又はヒ
    ドロキシル基であるが、但しYがアミノ基である時には
    Xは水素原子である〕で示されるアンスラサイクリン誘
    導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴と
    する抗腫瘍剤。
JP5062877A 1993-02-26 1993-02-26 新規なアンスラサイクリン誘導体 Pending JPH06256377A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997000880A1 (fr) * 1995-06-23 1997-01-09 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai Nouveaux derives anthracycline ayant un groupe 4-amino-2,4,6-tridesoxy-2-fluoro-mannopyranosyle
EP0848010A1 (en) * 1996-12-16 1998-06-17 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai Novel anthracycline derivatives having 4-amino-2,4,6-trideoxy-2-fluoro-alpha-L-talopyranosyl group

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997000880A1 (fr) * 1995-06-23 1997-01-09 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai Nouveaux derives anthracycline ayant un groupe 4-amino-2,4,6-tridesoxy-2-fluoro-mannopyranosyle
EP0848010A1 (en) * 1996-12-16 1998-06-17 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai Novel anthracycline derivatives having 4-amino-2,4,6-trideoxy-2-fluoro-alpha-L-talopyranosyl group

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