JPH09124854A - 樹脂組成物およびその成形物 - Google Patents

樹脂組成物およびその成形物

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JPH09124854A
JPH09124854A JP23469896A JP23469896A JPH09124854A JP H09124854 A JPH09124854 A JP H09124854A JP 23469896 A JP23469896 A JP 23469896A JP 23469896 A JP23469896 A JP 23469896A JP H09124854 A JPH09124854 A JP H09124854A
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賢治 社地
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一成 石浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非晶性ポリオレフィン樹脂本来の透明性等の
プラスチックとしての優れた性質を損なわないで、耐衝
撃性が高度に改善された樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 本発明は、非晶性ポリオレフィン樹脂
(A)および特定のブロック共重合体(B)を含有する
樹脂組成物である。このブロック共重合体(B)は、芳
香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系重
合体ブロックとからなるものである。また、(A)/
(B)の重量比は、95/5〜50/50の範囲内であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶性ポリオレフ
ィン樹脂と特定のブロック共重合体とを含有する樹脂組
成物および該樹脂組成物からなる成形物に関する。本発
明の樹脂組成物は、耐衝撃性および透明性に優れ、か
つ、ガスバリアー性にも優れることから、フィルム、シ
ート、容器(びん等)、トレイ等の成形物を与えるプラ
スチックとして有用であり、該樹脂組成物からなる成形
物はこれらの優れた性能を有効に発揮することができ
る。
【0002】
【従来の技術】最近、エチレンと環状オレフィンとの共
重合体(例えば、ノルボルネン系モノマーとエチレンと
の付加共重合体)やノルボルネン系モノマーの開環重合
体の水素添加物のごとき非晶性ポリオレフィン樹脂が、
透明性等に優れたプラスチックとして注目されている。
例えば、特開平3−220211号公報、特開平3−2
23328号公報、特開平3−252446号公報等に
は、これらの樹脂に関し、ポリオレフィンの一種である
ことに由来して耐水性、耐薬品性および耐溶剤性が良好
であるのみならず、優れた透明性を有すること、および
高いガラス転移温度を示すことから耐熱性にも優れるこ
とが記載されている。しかしながら、これらの樹脂は、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート樹脂
等に比べると脆く、シート状、フィルム状等の成形物に
した場合、非常に割れやすいという欠点がある。このよ
うな欠点を解決するための方法として、特開平3−12
448号公報には、エチレンと環状オレフィンとの共重
合体に炭化水素樹脂等の軟化剤を添加することによっ
て、該共重合体を可塑化する方法が提案されている。ま
た、特開平3−72558号公報には、ノルボルネン類
の開環重合体の水素添加物とゴム質重合体とからなる熱
可塑性樹脂組成物に関し、該ゴム質重合体として、芳香
族ビニル化合物重合体ブロック、1,2−ビニル結合含
有量が30〜70重量%であるポリブタジエンブロック
および1,2−ビニル結合含有量が30重量%未満であ
るポリブタジエンブロックを特定の割合で含有するブロ
ック共重合体の水素添加物、または、芳香族ビニル化合
物重合体ブロック、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化
合物とのランダム共重合体ブロックおよび芳香族ビニル
化合物と共役ジエン化合物とのテーパー共重合体ブロッ
クを特定の割合で含有するブロック共重合体の水素添加
物を使用した場合には、耐衝撃性と透明性の両方に優れ
た樹脂組成物が得られることが記載されている。
【0003】なお、国際公開WO 92/14790号
明細書には、ポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン
樹脂100重量部に、芳香族ビニル化合物系重合体ブロ
ックとイソブチレン系重合体ブロックとからなるブロッ
ク共重合体0.5〜35重量部を配合することによっ
て、結晶性ポリオレフィン樹脂の耐衝撃性を向上させ得
ることが記載されているが、該ブロック共重合体を非晶
性ポリオレフィン樹脂に配合することに関する記載も、
その場合における透明性の程度を示す記載もない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平3−12
448号公報に記載されているような非晶性ポリオレフ
ィン樹脂に炭化水素樹脂等の軟化剤を添加した場合に
は、得られた成形物から軟化剤がブリードアウトして汚
れの付着等を引き起こすことがあるので、耐衝撃性の改
善方法としては実用上十分であるとは言いがたい。ま
た、上記の特開平3−72558号公報には、ある種の
ゴム質重合体を非晶性ポリオレフィン樹脂に配合するこ
とによって、耐衝撃性と透明性との両方に優れた樹脂組
成物が得られることが記載されてはいるが、耐衝撃性と
透明性との両立を可能にし得るゴム質重合体として記載
されているものは、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化
合物系の極めて特殊な構造のブロック共重合体に限られ
ており、この点からも、耐衝撃性と透明性との両立は極
めて達成困難な課題であることが窺われる。本発明の目
的は、炭化水素樹脂のようなブリードアウト性の大きい
添加物を必要とすることなく、かつ透明性等の非晶性ポ
リオレフィン樹脂が本来有するプラスチックとしての優
れた性質を損なわないで、非晶性ポリオレフィン樹脂の
耐衝撃性が高度に改善された、非晶性ポリオレフィン樹
脂系の新規な樹脂組成物および成形物を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく検討を進めた結果、非晶性ポリオレフィン樹
脂に特定の重合体を配合した場合に透明性と耐衝撃性の
両立が可能となることを見いだし、本発明を完成するに
至った。
【0006】すなわち、本発明は、第一に、非晶性ポリ
オレフィン樹脂(A)および芳香族ビニル化合物系重合
体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックとからなる
ブロック共重合体(B)を含有し、かつ、(A)/
(B)の重量比が95/5〜50/50の範囲内である
ことを特徴とする樹脂組成物である。また本発明は、第
二に、該樹脂組成物からなる成形物である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、非晶性ポリオレフィン樹脂(A)とし
ては、非晶性(すなわち、DSC測定により融点が実質
的に観測されない性質)を有していれば、各種のポリオ
レフィン樹脂が使用可能である。これらの中でも、ブロ
ック共重合体(B)の配合に由来する耐衝撃性改良効果
が特に顕著に現れる点で、エチレンと環状オレフィンと
の両モノマーからなるか、もしくはそれらの両方とさら
にα−オレフィンとからなる付加型共重合体(A−
1)、または環状オレフィンの開環重合体の水素添加物
(A−2)が好ましい。非晶性ポリオレフィン樹脂
(A)の数平均分子量または極限粘度数は、特に限定さ
れることなく目的等に応じて適宜好適なものを採用する
ことができるが、一般的には、数平均分子量が1000
0〜500000の範囲内であるか、またはデカリン中
135℃で測定した極限粘度数が0.01〜20デシリ
ットル/グラムの範囲内であることが好ましい。
【0008】上記の付加型共重合体(A−1)の製造方
法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法を
採用することができる。付加型共重合体(A−1)は、
例えば、エチレンおよび環状オレフィン、またはそれら
とα−オレフィンを、液相で共重合させることによって
製造することができる。該液相での共重合は、例えば、
可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とか
らなる触媒の存在下、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒
中で、−50℃〜100℃の範囲内の温度、0〜50kg
/cm2Gの範囲内の圧力で行うことができる。なお、環状
オレフィンとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテン、5−メチルビシクロ[2.2.1]−
2−ヘプテン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.
1]−2−ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン等のノルボルネン類が挙げられ
る。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1
−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラ
デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エ
イコセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィン等が挙
げられる。
【0009】また、上記の水素添加物(A−2)の製造
方法も特に限定されることなく、公知の種々の製造方法
が採用可能である。水素添加物(A−2)は、例えば、
環状オレフィンを開環重合した後、生成重合体が有する
オレフィン性不飽和結合部分に水素添加することによっ
て製造することができる。該開環重合は、例えば、環状
オレフィンを、遷移金属化合物または白金族金属化合物
と有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物を含む触
媒系において、必要に応じて脂肪族または芳香族の第三
級アミン等の添加剤の存在下に、−20℃〜100℃の
範囲内の温度、0〜50kg/cm2Gの範囲内の圧力で行う
ことができる。また該水素添加は、通常の水素化触媒の
存在下で行うことができる。なお、環状オレフィンとし
ては、例えば、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテ
ン、5−メチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテ
ン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘ
プテン、5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテン、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒ
ドロジシクロペンタジエン、テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテト
ラシクロ[4.4.0.12 ,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−カルボキシメチルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等のノルボル
ネン類などが挙げられる。
【0010】本発明において使用されるブロック共重合
体(B)は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイ
ソブチレン系重合体ブロックとを含有するブロック共重
合体である。該芳香族ビニル化合物系重合体ブロック
は、主として芳香族ビニル化合物から構成される重合体
ブロックである。該芳香族ビニル化合物としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−ト
リメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロ
スチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メ
トキシスチレン、インデン、アセナフチレン等が挙げら
れる。また、該イソブチレン系重合体ブロックは、主と
してイソブチレンから構成される重合体ブロックであ
る。ブロック共重合体(B)を構成する芳香族ビニル化
合物とイソブチレンの重量比は、通常、芳香族ビニル化
合物/イソブチレンの比において5/95〜80/20
の範囲内で目的に応じて適宜選ぶことができるが、耐衝
撃性向上効果が大きい点から、10/90〜70/30
の範囲内であることが好ましい。該ブロック共重合体
(B)には、芳香族ビニル化合物およびイソブチレンの
外に、本発明の効果を損なわない範囲において他のモノ
マーが共重合されていてもよい。該他のモノマーとして
は、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イ
ソプレン、メチルビニルエーテル等のカチオン重合性モ
ノマーを例示することができる。ブロック共重合体
(B)としては、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック
−イソブチレン系重合体ブロック−芳香族ビニル化合物
系重合体ブロックのブロック構成を有するトリブロック
共重合体が好ましい。
【0011】ブロック共重合体(B)の数平均分子量
は、5000〜400000の範囲内であることが好ま
しい。なお、共重合体の数平均分子量が5000以上で
ある場合には、非晶性ポリオレフィン樹脂と混合して得
られる樹脂組成物からのブリードアウトの抑制効果が特
に大きい。また、ブロック共重合体(B)は、分子鎖途
中または分子鎖末端に塩素原子等のハロゲン原子、カル
ボキシル基、水酸基、酸無水物残基等の官能基を含有し
ていてもよい。
【0012】ブロック共重合体(B)の製造法として
は、特に限定されることなく、公知の方法を採用するこ
とができる。例えば、ルイス酸およびこれと組み合わせ
てカチオン重合活性種を形成する有機化合物から構成さ
れる開始剤系の存在下、必要に応じてピリジン誘導体、
アミド類等の添加剤の共存下において、ヘキサン、塩化
メチレン等の不活性溶媒中で、主として芳香族ビニル化
合物からなるモノマーの重合と主としてイソブチレンか
らなるモノマーの重合とを任意の順序・回数で段階的に
行うことによって、ブロック共重合体(B)を製造する
ことができる。ここで、ルイス酸としては、四塩化チタ
ン、三塩化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ等が
挙げられる。カチオン重合活性種を形成する有機化合物
とは、アルコキシ基、アシロキシ基、ハロゲン原子等の
官能基を有する有機化合物であって、例えば、ビス(2
−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−アセ
トキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−
2−プロピル)ベンゼン等が挙げられる。また、上記の
アミド類としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド等が例示される。例えば、芳香族ビニル化合
物系重合体ブロック−イソブチレン系重合体ブロック−
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの構成を有するト
リブロック共重合体は、1個の官能基を有する有機化合
物とルイス酸とを開始剤系として用いて、まず、主とし
て芳香族ビニル化合物からなるモノマーを重合系内に添
加して重合させ、重合反応が実質的に終了した後、主と
してイソブチレンからなるモノマーを重合系内に添加し
て重合させ、その重合反応が実質的に終了した後、再
度、主として芳香族ビニル化合物からなるモノマーを重
合系内に添加して重合させる方法によって製造すること
ができる。また、該トリブロック共重合体は、2個の官
能基を有する有機化合物とルイス酸とを使用して、主と
してイソブチレンからなるモノマーを重合させ、その重
合反応が実質的に終了した後、主として芳香族ビニル化
合物からなるモノマーを重合系内に添加して重合させる
方法によって製造することもできる。
【0013】本発明の樹脂組成物は、非晶性ポリオレフ
ィン樹脂(A)およびブロック共重合体(B)を、
(A)/(B)の重量比において95/5〜50/50
の範囲内となる割合で含有する。(A)/(B)の重量
比が95/5より大きい場合、樹脂組成物の耐衝撃性が
不十分となり、得られる成形物が脆いものとなる。ま
た、(A)/(B)の重量比が50/50よりも小さい
場合、樹脂組成物の弾性率が低下し、プラスチックとし
ての性質が失われる。耐衝撃性および弾性率の両方が特
に良好となる点からは、(A)/(B)の重量比は90
/10〜60/40の範囲内であることが好ましい。
【0014】本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を
実質的に損なわない範囲内において、非晶性ポリオレフ
ィン樹脂(A)およびブロック共重合体(B)の外の成
分が含有されていてもよい。他の成分としては、例え
ば、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンのブロ
ック構造のブロック共重合体、スチレン−エチレン・プ
ロピレンのブロック構造のブロック共重合体、スチレン
−エチレン・ブチレン−スチレンのブロック構造のブロ
ック共重合体、エチレン・プロピレンゴム(EPR、E
PDM)、ポリブテン、ポリイソブチレン、メタクリレ
ート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)等のポ
リマー成分;パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等
の鉱物油系軟化剤;無機充填剤;無機繊維状物質;有機
繊維状物質;熱安定剤;酸化防止剤;光安定剤;難燃
剤;粘着付与剤;帯電防止剤;発泡剤等を挙げることが
できる。ここで、鉱物油系軟化剤の添加は、成形加工性
の向上や成形物への柔軟性の付与に有効な場合がある。
また、無機充填剤、無機繊維状物質または有機繊維状物
質の配合は、樹脂組成物の耐熱性または耐候性の向上や
増量に有効な場合がある。
【0015】本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定
されるものではなく、公知の樹脂組成物の製造方法に準
じた方法を採用することができる。例えば、一軸押出
機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキ
サー、ニーダー等の混練機または混合機を用いて、非晶
性ポリオレフィン樹脂(A)、ブロック共重合体(B)
等の所定量を、加熱溶融条件下で混練することによっ
て、本発明の樹脂組成物を得ることができる。
【0016】本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成
形、真空成形、圧空成形、ブロー成形等の成形法によっ
て、適宜、所望の形状の成形物に成形することができ
る。本発明の樹脂組成物からなる成形物としては、シー
トまたはフィルム、容器(びん等)、トレイなどが挙げ
られる。
【0017】本発明の樹脂組成物は、透明性に優れてお
り、熱プレス法により作製した長辺長さ75mm、短辺
長さ45mm、厚さ1mmの長方形のシートについてJ
ISK7105に基づき測定した場合、ヘーズ(Haz
e)値において通常20以下である。また本発明の樹脂
組成物は、耐衝撃性およびガスバリヤー性にも優れる。
【0018】
【実施例】本発明をより具体的に説明するために、以下
に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」
を意味する。
【0019】樹脂組成物の性能評価は、以下に示す方法
によった。
【0020】(a)耐衝撃性 23℃でアイゾット衝撃強度(ASTM D256によ
る。1/4ノッチ付き。)を測定した。
【0021】(b)透明性 熱プレス法により長辺長さ75mm、短辺長さ45m
m、厚さ1mmの長方形のシートを作製し、直読ヘーズ
コンピュータ(スガ試験機(株)社製HGM−2DP)
を用いて、JIS K7105に基づきヘーズを測定し
た。また、該シートの目視による透明性を、透明
(○)、やや曇りあり(△)、不透明(×)の三段階で
判定した。
【0022】(c)酸素透過係数(Po2) 熱プレス法により20μm厚のフィルムを作製し、該フ
ィルムについて、ガス透過率測定装置(柳本製 GTR
−10)を用いて酸素透過係数(ASTM D3985
による)を測定した。
【0023】(合成例1)攪拌式重合反応器中におい
て、VO(OC25)Cl2(重合触媒)およびエチルア
ルミニウムセスキクロリド(助触媒)をAl/Vのモル
比において8.0になる割合で添加したシクロヘキサン
溶媒に、エチレンおよび環状オレフィンとしてのテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
を連続的に供給することによって、付加型の共重合反応
を行った。なお、この間、重合温度は11℃、重合圧力
は1.8kg/cm2Gに維持した。このようにして、エチレ
ン含量51モル%、135℃デカリン中での極限粘度数
[η]が0.95デシリットル/グラムであるエチレン
−環状オレフィンランダム共重合体(a−1)を得た。
得られたエチレン−環状オレフィンランダム共重合体
(a−1)を、示差走査熱量計(DSC)(メトラー製
TA4000)により、室温から200℃まで10℃
/分の速度で昇温し、200℃で10分間保持し、室温
まで急冷した後、再度10℃/分の昇温条件下に300
℃までの温度範囲で融点の有無を観察したが、融点は実
質的に観察されなかった。
【0024】(合成例2)合成例1において、環状オレ
フィンとして8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセンを用いた以外は合
成例1と同様な方法で、エチレン含量82モル%、13
5℃デカリン中での極限粘度数[η]が0.35デシリ
ットル/グラムであるエチレン−環状オレフィンランダ
ム共重合体(a−2)を得た。得られたエチレン−環状
オレフィンランダム共重合体(a−2)について、合成
例1と同様な方法で融点の有無を観察したが、融点は実
質的に観察されなかった。
【0025】(合成例3)合成例1において、環状オレ
フィンとして8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセンを用いた以外は合成例1
と同様な方法で、エチレン含量36モル%、135℃デ
カリン中での極限粘度数[η]が1.28デシリットル
/グラムであるエチレン−環状オレフィンランダム共重
合体(a−3)を得た。得られたエチレン−環状オレフ
ィンランダム共重合体(a−3)について、合成例1と
同様な方法で融点の有無を観察したが、融点は実質的に
観察されなかった。
【0026】(合成例4)攪拌式重合反応器に、トルエ
ン90部、トリエチルアルミニウム0.5部、トリエチ
ルアミン1.4部および1−ヘキセン0.08部を入れ
た。温度を20℃に保ちながら、8−エチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン30
部および四塩化チタン0.17部を1時間にわたって連
続的に反応系に添加しながら開環重合反応を開始させ、
さらに添加終了後も1時間重合反応を継続させた。得ら
れた開環重合体をシクロヘキサン200部に溶解し、パ
ラジウム/カーボン触媒(パラジウム担持量:5重量
%)0.6部とともにオートクレーブ中に仕込み、水素
圧70kg/cm2、温度140℃で4時間、水素添加反応を
行った。このようにして、水素添加率99%以上、GP
Cによる数平均分子量(Mn)が72000、重量平均
分子量(Mw)が185000、分子量分布(Mw/M
n)が2.5である重合体(a−4)を得た。得られた
重合体(a−4)について、合成例1と同様な方法で融
点の有無を観察したが、融点は実質的に観察されなかっ
た。
【0027】(合成例5)攪拌式重合反応器に、8−カ
ルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12, 5.1
7,10]−3−ドデセン500部、1,2−ジクロロエタ
ン2500部、分子量調節剤である1−ヘキセン3.8
部、触媒としての六塩化タングステンの濃度0.05モ
ル/リットルのクロロベンゼン溶液101部、パラアル
デヒドの濃度0.1モル/リットルの1,2−ジクロロ
エタン溶液86部、およびトリイソブチルアルミニウム
の濃度0.5モル/リットルのトルエン溶液32部を仕
込み、60℃で10時間反応させた。このようにして、
クロロホルム中30℃での極限粘度数[η]が0.75
デシリットル/グラムである開環重合体を得た。この重
合体をテトラヒドロフラン8000部に溶解し、パラジ
ウム濃度が5重量%のパラジウム−アルミナ触媒45部
を加えた後、水素圧100kg/cm2の条件において、15
0℃で5時間水素添加反応を行った。上記のようにし
て、水素添加率が99%以上である重合体(a−5)を
得た。得られた重合体(a−5)について、合成例1と
同様な方法で融点の有無を観察したが、融点は実質的に
観察されなかった。
【0028】(合成例6)攪拌式重合反応器中に、イソ
プロピリデン(シクロペンタジエニル)(1−インデニ
ル)ジルコニウム二塩化物20mg、濃度10重量%の
メチルアルミノキサンのトルエン溶液500ml、濃度
20重量%のトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶
液300mlおよびノルボルネン20kgを仕込み、エ
チレン圧力18kg/cm2、温度70℃の条件下で、ノルボ
ルネンとエチレンとの付加型の共重合反応を行った。こ
のようにして、135℃デカリン中での極限粘度数
[η]が0.51デシリットル/グラムであるエチレン
−環状オレフィンランダム共重合体(a−6)を得た。
得られた共重合体(a−6)について、合成例1と同様
な方法で融点の有無を観察したが、融点は実質的に観察
されなかった。
【0029】(合成例7)攪拌機付き反応器中に、モレ
キュラーシーブス4Aで脱水精製した塩化メチレン10
60部およびメチルシクロヘキサン924部を仕込み、
1,4−ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン
2.0部、2,6−ジメチルピリジン0.98部、ピリ
ジン1.38部およびイソブチレン210部をそれぞれ
加えた。この混合液に、−78℃で四塩化チタン12.
3部を加えて重合を開始させ、同温度で3時間重合した
後、2,6−ジメチルピリジン0.5部およびスチレン
90部を添加し、さらに2時間重合を行うことにより、
ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブ
ロック共重合体(b−1)を得た。得られたブロック共
重合体の数平均分子量(Mn)は34000、分子量分
布(Mw/Mn)は1.23、ポリスチレン含有量は3
0重量%であった。
【0030】(合成例8)攪拌機付き反応器中に、モレ
キュラーシーブス4Aで脱水精製した塩化メチレン10
60部およびメチルシクロヘキサン924部を仕込み、
1,4−ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン
1.0部、2,6−ジ−t−ブチルピリジン1.74
部、ピリジン0.68部およびイソブチレン210部を
それぞれ加えた。この混合液に、−78℃で四塩化チタ
ン12.3部を加えて重合を開始させ、4時間重合した
後、2,6−ジ−t−ブチルピリジン0.90部および
スチレン52.5部を添加し、さらに4時間重合を行う
ことにより、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリス
チレントリブロック共重合体(b−2)を得た。得られ
たブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は7500
0、分子量分布(Mw/Mn)は1.20、ポリスチレ
ン含有量は30重量%であった。
【0031】(合成例9)攪拌機付き反応器中に、モレ
キュラーシーブス4Aで脱水精製した塩化メチレン10
60部およびメチルシクロヘキサン924部を仕込み、
1,4−ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン
0.5部、2,6−ジメチルピリジン0.98部、ピリ
ジン0.34部およびイソブチレン210部をそれぞれ
加えた。この混合液に、−78℃で四塩化チタン12.
3部を加えて重合を開始させ、同温度で4時間重合した
後、2,6−ジメチルピリジン0.5部およびスチレン
140部を添加し、さらに4時間重合を行うことによ
り、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレント
リブロック共重合体(b−3)を得た。得られたブロッ
ク共重合体の数平均分子量(Mn)は170000、分
子量分布(Mw/Mn)は1.20、ポリスチレン含有
量は40重量%であった。
【0032】(実施例1)合成例1で得られたエチレン
−環状オレフィンランダム共重合体(a−1)と合成例
7で得られたブロック共重合体(b−1)とを90/1
0の重量比で用い、これらをプラストグラフ(ブラベン
ダー社製PL−3000)により230℃、100rp
mの条件下で3分間溶融混練することによって、樹脂組
成物を得た。得られた樹脂組成物を230℃でプレス成
形することによって、厚さ1mmのプレスシートおよび
厚さ20μmのフィルムをそれぞれ作製した。また、樹
脂組成物を230℃で射出成形することにより厚さ4m
mのアイゾット(Izod)衝撃強度測定用の試験片を
作製した。樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0033】(実施例2〜13)構成成分の種類および
配合割合を下記の表1〜4に示すように変更した以外
は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、該樹脂組成
物からシート、試験片およびフィルムを作製した。な
お、一部の実施例においては、非晶性ポリオレフィン樹
脂として、三井石油化学製APEL6015(VO(O
25)Cl2の存在下にテトラシクロドデセンとエチレ
ンとを付加型共重合させて得られた共重合体)を使用し
た(以下、この共重合体を「(a−7)」で示す)。樹
脂組成物の評価結果を表1〜4に示す。
【0034】(比較例1〜7)表1〜4に示すように、
非晶性ポリオレフィン樹脂(a−1)〜(a−7)のみ
を使用してシート、試験片およびフィルムを作製した。
非晶性ポリオレフィン樹脂単独の評価結果を表1〜4に
示す。
【0035】(比較例8、9)ポリスチレン−ポリイソ
ブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体の代わり
に、ポリスチレン−ポリエチレン・プロピレン−ポリス
チレントリブロック共重合体(c−1)(数平均分子量
(Mn):45000;Mw/Mn:1.13;ポリス
チレン含有量:30重量%)を使用する以外は実施例と
同様な方法により、下記の表5に示すような割合で非晶
性ポリオレフィン樹脂(a−1)または(a−2)と混
練した。また、得られた樹脂組成物からシート、試験片
およびフィルムを作製した。樹脂組成物の評価結果を表
5に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】上記表1〜5に示された結果から、本発明
の樹脂組成物(実施例1〜13)は、高い耐衝撃性を有
し、透明性が良好であり、しかも酸素バリヤー性にも優
れることが判る。一方、非晶性ポリオレフィン樹脂単独
(比較例1〜7)の場合、耐衝撃性がかなり低いことが
判る。また、非晶性ポリオレフィン樹脂に配合したブロ
ック共重合体がブロック共重合体(B)ではない点で本
発明とは相違する樹脂組成物(比較例8、9)では、耐
衝撃性の改善が不十分であり、非晶性ポリオレフィン樹
脂本来の優れた透明性および酸素バリヤー性が大きく損
なわれることが判る。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、非晶性ポリオレフィン
樹脂(A)に特定のブロック共重合体(B)を配合する
ことにより、該非晶性ポリオレフィン樹脂(A)本来の
透明性、ガスバリアー性等のプラスチックとしての優れ
た性質をほとんど損なうことなく、該非晶性ポリオレフ
ィン樹脂(A)の耐衝撃性が大幅に改善されるので、高
い耐衝撃性と良好な透明性が両立され、しかも酸素バリ
ヤー性にも優れた樹脂組成物および成形物が提供され
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶性ポリオレフィン樹脂(A)および
    芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとイソブチレン系
    重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B)を含
    有し、かつ、(A)/(B)の重量比が95/5〜50
    /50の範囲内であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 非晶性ポリオレフィン樹脂(A)が、エ
    チレンと環状オレフィンとの両モノマーからなるか、も
    しくはそれらの両方とさらにα−オレフィンとからなる
    付加型共重合体(A−1)であるか、または環状オレフ
    ィンの開環重合体の水素添加物(A−2)である請求項
    1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱プレス法によりシートにした場合にヘ
    ーズ値が20以下となる請求項1または2に記載の樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の樹脂組成
    物からなる成形物。
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