JPH0912272A - タワークレーンの組立方法とこれに用いるけん引装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ クレーントラックの入れない山間へ部材を持
ちこみ、ウインチだけでタワークレーンを立設する。 ［構成］ 柱を下柱５、上柱６に２分しそれとジブ７と
を地上で横臥状態に組立てる。上柱は下柱中へ挿入し、
上柱先端にジブを枢着しておく。台板１上へ下柱の下端
を枢着する。支枠３に固定ブロック１１を装着し、これ
と対向して可動ブロック１２を位置させ、ウインチから
のけん引ワイヤＫを両ブロックと係合させ倍力装置を形
成する。可動ブロック１２と下柱５の上部とを立上がり
ワイヤＡで結び、下柱を立上がらせる。上柱と結んだせ
り上げワイヤＤをワイヤＡに代え、上柱をせり上げて下
柱に固定する。ジブと結んだジブワイヤＣをワイヤＤに
代え、ジブを起伏させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は鉄塔或いはコンクリー
ト柱を建設するときに用いる小型タワークレーンの組立
方法及び組立に利用する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】クレーンを積載した重トラックの進入困
難な山岳地に於いて工事を行う場合、搬入可能な小型ウ
インチ１箇で小型のタワークレーンを建設することが必
要となる。この場合持ちこんだ部材を横臥姿勢の柱に組
立てたとしても、これを直立させるのに適当な工法が開
発されていない。このため従来は台棒工法と呼ばれる工
法が実施されたが、作業者に危険な高所作業を強いるも
のとなっている。

【０００３】文献では特開平７−１０４７１に横臥させ
た鉄柱を直立させる工法が開示されているが、大型クレ
ーントラックの利用を不可避とするもので、本発明の目
的に添わない。

【０００４】

【課題解決の手段】鉄柱を上柱、下柱に２分し、上柱は
下柱へ収納可能としておく。固定ブロック可動ブロック
から成る倍力装置を用意し、ウインチから出るけん引ワ
イヤＫを両ブロックの対応滑車と係合させ、端末を何れ
かのブロックに係止しておく。可動ブロックと下柱上部
とを立上がりワイヤＡで結び、ウインチ駆動で下柱の立
上がりを可能にする。上柱にはせり上げ機構を附設し、
これと係合させたせり上げワイヤＤを可動ブロックに係
止し、同じくウインチでせり上げ可能とする。ジブは予
め上柱に枢着してあるが、それの先端と可動ブロックを
ジブワイヤＣで結んで、ジブの起伏制御を可能とする。

【０００５】

【実施例】図１は完成したタワークレーンの直立状態を
示す。地表へ固定された埋込体の上へ台板１が回動可能
に支持される。台板１には軸受２と、柱引起こし用支枠
３と、ウインチ４を備える。倍力機構は支枠３上には固
定ブロック１１が枢着され、可動ブロック１２との各滑
車間をけん引ワイヤで掛け回して形成する。下柱５はそ
の下端で軸受２へ枢着され、上端から上柱６が入子式に
挿入され、せり上げ装置Ｓで伸長したあと、夫々が一体
化されている。（図３）上柱６の頂部ではその一側にジ
ブ７が枢着され、反対側に補助レバ８が固着してあり、
ジブ７の起伏ワイヤ用ガイドローラ８ｂと吊上げワイヤ
用ガイドローラ８ａを備えてある。また頂部上にはスイ
ングガイド９が装着してある。ジブの先端にフック１０
が独立に昇降可能に吊下げてある。

【０００６】スイングガイド９は一体に固定された両脚
９ａ，９ｂから成り、基部を上柱６の上端へ枢着したも
ので、スイングレバ９ａの下部に吊上げワイヤ用のガイ
ドローラ９ｃを備える。可動ブロック１２は、他端部の
中央及び両端に引手１２ａ，１２ｂが固設され、中央引
手１２ａにはジブワイヤＣ１とせり上げワイヤＤの一端
を使用するごとに交換して接続する。両側引手１２ｂに
は立上りワイヤＡの一端を接続する。

【０００７】このクレーンは次の工程順に組立てる。 (1) 下柱５を横臥状態で組立て、その下端を軸受２へ枢
着する。（図２） (2) 同様に上柱６を組立て、下柱５内へ挿入しておく。
下柱５内にはせり上げ滑車５ａを設け、一端を上柱
に係止したせり上げワイヤＤを係合させ、このワイヤＤ
は下柱５に設けた滑車５ａに係合させておく。（図３） (3) 同様にジブ７を組立て、上柱の上端へ枢着してお
く。（図２） (4) 固定と可動の両ブロック１１，１２をけん引ワイヤ
Ｋで係合させて成る倍力機構の固定ブロック１１側けん
引ワイヤＫをウインチ４に、可動ブロック１２は立上が
りワイヤＡで下柱５の上端へ結び、ウインチ駆動で下柱
を直立させる。下柱５の上部には予めリング５ｂが回転
可能に被挿されていて、このリングから四方へ支え線５
ｃをとる。（図１）その後、立上がりワイヤＡを拘束か
ら解除する。吊上げワイヤＢの自由端は、可動ブロック
１２の中央引手１２ｂへ仮止めする。 (5) せり上げワイヤＤの一端を下柱へ固定し、他端をせ
り上げ装置Ｓのせり上げ滑車５ａ，５ｄを介してウイン
チ４のドラムへ連結し、ウインチ駆動で上柱６をせり上
げ、所定高さで下柱５に固定する。せり上げワイヤＤは
拘束を解除する。上柱６にも予めリング６ｂが設けてあ
るので、これから支え線６ｃをとって安定させる。 (6) ジブ７の先端と可動ブロック１２とを、スイングガ
イド９を介してジブワイヤＣ１，Ｃ２で結び、ウインチ
によりジブを引き上げる。このとき初めはジブワイヤＣ
１は滑車８ｂに案内されているが、徐々に滑車８ｂから
離れ、スイングガイド９と可動ブロック１２との間で直
接に張設される。（図４） (7) 吊上げワイヤＢの自由端を中央引手１２ａから外
し、図示しないが台板上に設けた別のウインチ等へ接続
する。このウインチを操作して資材をフックで吊り上げ
る。

【０００８】

【効果】倍力装置の可動ブロックへワイヤＡ，Ｄ，Ｃを
つぎつぎと接続替えすることによって、下柱の立上が
り、上柱のせり上げ、ジブの角度調節を可能にし、一つ
のウインチですむ。柱は高さが半減するので立上がりが
容易となる。各部材とも山間への搬入が可能であり、現
地組立も危険を伴わずに実施できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】タワークレーンの斜視図である。

【図２】下柱の立上がり作業を示す説明図である。

【図３】せり上げ装置による上下柱の係合説明図であ
る。

【図４】スイングガイドの作動説明図である。

【図５】スイングガイドの一部拡大説明図である。

【符号の説明】

１ 台板 ２ 軸受 ３ 支枠 ４ フック ５ 下柱 ６ 上柱 ５ａ，６ａ 滑車 ５ｂ，６ｂ リング ５ｃ，６ｃ 支え線 ７ ジブ ８ 補助レバ ９ スイングガイド １０ フック １１ 固定ブロック １２ 可動ブロック Ｋ けん引ワイヤ Ａ 立上りワイヤ Ｂ 吊上げワイヤ Ｃ１，Ｃ２ ジブワイヤ Ｄ せり上げワイヤ Ｓ せり上げ装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝 崎 純 一 東京都品川区南品川６丁目５番19号 三和 テッキ株式会社内 (72)発明者 佐 藤 光 亮 東京都品川区南品川６丁目５番19号 三和 テッキ株式会社内 (72)発明者 伊 深 清 伴 福岡県福岡市中央区渡辺通１丁目１番１号 三和テッキ株式会社福岡営業所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下柱と下柱へ収納可能な上柱と上柱へ枢
   着可能なジブとから成るタワークレーンに於いて、工程
   を次の順にしたタワークレーンの組立方法。 (1) ウインチを備える台板の側方で、下柱を横臥状態で
   組立てその下端を台板へ枢着する。 (2) 上柱も同様に組立て、せり上げ装置とせり上げワイ
   ヤＤを附設して下柱内へ挿入しておく。 (3) ジブも同様に組立て上柱の上端へ枢着しておく。 (4) 固定と可動の両ブロックをけん引ワイヤＫにより滑
   車を介し係合させて成る倍力機構のけん引ワイヤＫをウ
   インチに、可動ブロック側は、立上がりワイヤＡで下柱
   の上端へ結び下柱を直立させる。 (5) 上記可動ブロックへ立上がりワイヤＡに代えてせり
   上げワイヤＤを結び、上柱をせり上げて下柱に固定す
   る。 (6) 上記せり上げワイヤＤに代えてジブ先端と可動ブロ
   ックを結ぶジブワイヤＣを用い、ジブを起伏可能とす
   る。
2. 【請求項２】 倍力装置を構成する固定と可動の２つの
   ブロックに於いて、ウインチから出るけん引ワイヤは両
   ブロックの対応滑車と係合させて端末を何れかのブロッ
   クに係止し、可動ブロックには下柱の上端と結ばれる立
   上がりワイヤＡ、上柱底部と結ばれるせり上げワイヤ
   Ｄ、ジブの先端と結ばれるジブワイヤＣを選択的に接続
   するようにした請求項１タワークレーン組立法に用いる
   けん引装置。