JPH09122582A - 打抜き性と焼鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
打抜き性と焼鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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- JPH09122582A JPH09122582A JP7289778A JP28977895A JPH09122582A JP H09122582 A JPH09122582 A JP H09122582A JP 7289778 A JP7289778 A JP 7289778A JP 28977895 A JP28977895 A JP 28977895A JP H09122582 A JPH09122582 A JP H09122582A
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Abstract
絶縁被膜を有する無方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】コロイダルシリカの存在下で、重合性モノ
マーを乳化重合して得られる有機無機結合水性分散組成
物を主成分とする、有機−無機複合系の絶縁被膜を鋼板
表面に被成させてなることを特徴とする、打抜き性と焼
鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板および、こ
の鋼板を歪取り焼鈍して得られるシリカを主成分とする
無機系組成物よりなる絶縁被膜を有する無方向性電磁鋼
板。
Description
焼鈍時の耐焼付き性に優れた絶縁被膜を有する無方向性
電磁鋼板、主に低級材の電磁鋼板およびその製造方法に
関するものである。
料として用いられる無方向性電磁鋼板は、連続的に打抜
きを行った後、積層して歪取り焼鈍し、打抜き加工時に
生じた加工歪みの除去と焼鈍による結晶粒の成長によ
り、磁気特性の向上が図れる。その際、鋼板どうしが焼
付くと鋼板間に導電が生じ、磁気特性が劣化するので、
鋼板表面には絶縁被膜が施され、従来からリン酸塩を主
剤とする無機系コート、クロム酸塩に水溶性エマルジョ
ン樹脂を混合した半有機系コート、さらにはワニスなど
の樹脂を主剤とした有機系コートなどが利用されてい
る。
に多様で、Si:3%以上を含有する高級珪素鋼板から
純鉄系低炭素鋼の如き低級材まで数多く存在し、一般に
高級珪素鋼板は表面に上記組成のコーティングがミクロ
ン単位の厚みで施してあり、打抜性をはじめ、歪取り焼
鈍時の耐焼付き性は、コーティング処理をせずに利用さ
れることの多い低級材に比べ格段に良好である。しか
し、低級材の場合、その価格体系から見て高級珪素鋼板
に用いられるようなコーティングを施すことは経済的に
も不可能である。さらには、上述したリン酸塩やクロム
酸塩の水溶性処理液を塗布し加熱炉で焼付けして数ミク
ロンの膜厚の絶縁被膜を施すには、焼付硬化に長時間を
要するため、高速ラインで製造される低級材の場合、乾
燥設備も長大ラインとなり製造が困難である。したがっ
て、設備的にも低い温度で短時間焼付が可能な、安価で
かつ打抜き性や耐焼付き性に優れた絶縁被膜を有する電
磁鋼板の開発が望まれていた。
き、特開昭52−152833号公報および特開昭54
−99730号公報には連続焼鈍前の冷延鋼板表面にリ
ン酸(塩)、クロム酸(塩)および無機コロイド物質な
どの無機系水溶液を塗布した後、引き続き連続焼鈍する
方法が開示されている。この方法は冷延鋼板を連続焼鈍
過程の中で、コーティング焼付も同時に行うとする方法
であるが、連続焼鈍が急熱急冷のため、リン酸塩、クロ
ム酸塩被膜は鋼板との熱膨張差により造膜後の炉出口で
剥離しやすい。一方、無機コロイド物質は造膜作用が弱
く、鋼板との密着性が劣るため、その後のスリット加工
や打抜き加工の際、容易に剥落するといった欠点があ
り、打抜き性も悪かった。そこで特開昭61−6997
7号公報にはシランカップリング剤、あるいは無機コロ
イド物質を混合したシランカップリング剤を主剤として
用いる方法が開示されている。この方法は鋼板との付着
性は良好で、スリット加工や打抜き作業において被膜が
剥落するといった問題は解消された。しかし、シランカ
ップリング剤は高価な薬剤であることから、低級材のコ
ーティング剤としてこれを主剤に用いることは経済的に
問題であった。
は特定の無機コロイド物質に水溶性樹脂またはエマルジ
ョン樹脂を混合した処理液を塗布乾燥し、その後に調質
圧延を行う方法が開示されている。この混合方式の最大
の欠点は無機コロイド物質と有機樹脂の結び付きが弱
く、そのため耐焼付き性の向上を目的に無機コロイド物
質の添加量を一定量以上に増加すると塗膜の密着性が劣
化し、打抜き加工時応力が集中する剪断部分は塗膜が剥
離しやすく、堆積した剥離粉によってポンチ、ダイスが
破損することがある。さらには処理液の安定性に問題が
あり、比重の異なる組成の混合液は分離しやすく長期的
な保存貯蔵に耐えない。そのため、均一組成の塗膜が得
難く、歪取り焼鈍によって有機樹脂が熱分解した後の鋼
板表面は時として無機コロイド物質が不均一に分布し、
安定した耐焼付き性は得られない。また、コーティング
後に調質圧延を施すため、絶縁被膜の一部は破壊され、
疵が生じる。そのため、耐食性が劣るといった問題もあ
った。
術は、耐焼付き性についてはそれなりの効果がみられる
ものの、塗膜の密着性や打抜き性をも改善しうる有効な
方法はなかった。
終仕上焼鈍と必要に応じて調質圧延を行う無方向性電磁
鋼板、特に低級材を対象とした珪素鋼板の表面に、熱風
程度の低い温度で短時間に被成する打抜き性と耐焼付き
性に優れた絶縁被膜を有する安価な無方向性珪素鋼板お
よびその製造方法を提供しようとするものである。
技術にみられるように、鋼板の焼付防止に極めて有効な
物質で、耐熱性は優れているが鋼板との付着性が弱いこ
と、潤滑性が劣り打ち抜き性が悪いといった欠点があ
る。一方、有機樹脂被膜は打抜き性、付着性は優れるが
耐熱性が劣るといった無機コロイド物質と全く逆の特性
を有する。そこで、両方の長所を生かした有機−無機混
合方式の処理が開発されたわけであるが、この方法も上
述したような処理液の安定性に欠点があった。
意研究を重ねた結果、コロイダルシリカの存在下で乳化
重合して得られる有機−無機結合タイプの水性分散樹脂
を主剤として用いることにより、有機−無機の均一な組
成の被膜が形成し、歪取り焼鈍後は熱分解によって有機
樹脂は熱分解消失するが、鋼板表面に均一なシリカ膜が
形成し、耐焼付き性は安定して改善され、耐食性も従来
技術の混合方式の組成物に比べ格段に優れていることを
見出した。
ることにより、有機樹脂とコロイダルシリカの結合力が
強く、耐焼付き性の向上効果を狙ってコロイダルシリカ
の含有量を増加しても、打抜き作業によって塗膜が剥離
するといった従来技術にみられる欠陥を解消できること
を知見し、本発明の完成に至った。
在下で、重合性モノマーを乳化重合して得られる有機無
機結合水性分散組成物を主成分とする、有機−無機複合
系の絶縁被膜を鋼板表面に被成させてなることを特徴と
する打抜き性と焼鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電
磁鋼板を提供する。また、上記の無方向性電磁鋼板を歪
取り焼鈍して得られるシリカを主成分とする無機系組成
物よりなる絶縁被膜を有する打抜き性と焼鈍後の耐焼付
き性に優れた無方向性電磁鋼板を提供する。また、前記
有機無機結合水性分散組成物が、コロイダルシリカの無
機質成分と、ビニル系ポリマーの有機質成分から構成さ
れる水性分散樹脂組成物であって、コロイダルシリカの
固形分30〜400重量部と、有機樹脂の固形分100
重量部の割合で得られる組成物である打抜き性と焼鈍後
の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板が好ましい。ま
た、前記有機−無機複合系の絶縁被膜の付着量が、乾燥
後の重量で基地鉄板の単位面積1m2 当り0.1〜1.
0g/m2 である打抜き性と焼鈍後の耐焼付き性に優れ
た無方向性電磁鋼板が好ましい。さらに、冷間圧延板を
連続焼鈍し、必要に応じて調質圧延を施す無方向性電磁
鋼板の最終仕上焼鈍工程において、連続焼鈍もしくは調
質圧延後の鋼板表面に、コロイダルシリカの存在下で重
合性モノマーを乳化重合して得られる有機無機結合水性
分散組成物を、乾燥後の重量で単位面積1m2 当り0.
1〜1.0g/m 2 塗布することを特徴とする打抜き性
と焼鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板の製造
方法を提供する。
分とする処理液を電磁鋼板の表面に塗布することが第1
の特徴である。この有機無機結合水性分散組成物は、コ
ロイダルシリカの存在下で重合性モノマーを乳化重合し
て得られるもので、好ましくは、重合性モノマーとして
ビニル系ポリマーを用いる水性分散樹脂組成物であり、
より好ましくはコロイダルシリカとビニル系ポリマーを
界面活性剤の存在下で水系中で乳化重合して得られるも
ので、コロイダルシリカという特定の無機質成分とビニ
ル系ポリマーという特定の有機質成分から構成される、
いわゆる水性分散樹脂組成物を指称するものである。
2 を基本単位とする水中分散体であって、粒子径が5〜
100、好ましくは10〜30nmの範囲のものであ
る。水分の量は特に限定されるものではないが、通常コ
ロイダルシリカ中に固型分量として20〜30重量%の
SiO2 を含有する。次に、上記ビニル系ポリマーの有
機質成分としては、α,β−モノエチレン性不飽和カル
ボン酸アルキルエステルおよび/またはアルケニルベン
ゼンから選ばれる少なくとも1種の単量体(以下、アク
リル系モノマーと呼ぶ)よりなる。
マーすなわちα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸
アルキルエステルとしてはアクリル酸と1〜18個の炭
素数を有するアルカノールとのエステル、メタクリル酸
と炭素数が1〜18からなるアルカノールとのエステル
などが挙げられるが、そのうちでも代表的なものには
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ド
デシルまたは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル
などがある。また、前記のアルケニルベンゼンとして代
表的なものにはスチレン、α−メチルスチレンまたはビ
ニルトルエンなどがある。
および/またはアルケニルベンゼンと共重合可能な単量
体である(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイ
ン酸、フマル酸、クロトン酸またはイタコン酸などの如
きα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸類の使用も
可能である。そして、前記したアクリル系モノマーのガ
ラス転移温度は−45℃から+60℃のものが使用可能
であるが、本発明の無方向性電磁鋼板は高速熱処理ライ
ンで最終仕上焼鈍を行う低級材を対象とするもので、高
速ラインでコーティング焼付を行うには熱風程度の低い
温度(約100〜250℃)で短時間焼付けで被成する
ことが重要な要件である。そのため、ガラス転移温度は
低温造膜の観点から40℃以下の範囲が好ましい。ま
た、必要に応じて造膜助剤を使用することも可能であ
る。
少なくとも1種の単量体とコロイダルシリカを非イオン
性界面活性剤および(または)アニオン性界面活性剤の
存在下、水系中で乳化重合する。非イオン性界面活性剤
としてはポリオキシエチレンノニルフェノールエーテ
ル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル:アニオン性
界面活性剤としてはラウリル硫酸塩、ドデシルベンゼン
スルフォン酸塩等が代表的なものである。必要な界面活
性剤の量は有機樹脂100重量部に対し0.1〜5重量
部が適当である。乳化重合は常法通りでよく、得られた
有機無機結合水性分散組成物は固形分としてコロイダル
シリカ30〜400重量部に対し、有機樹脂100重量
部の割合からなり、好ましくはコロイダルシリカ100
〜200重量部となる割合で用いることが適切である。
コロイダルシリカが30重量部未満では歪取り焼鈍後の
耐焼付き性が十分とはいえず、コロイダルシリカ400
重量部を超えるとどうしても造膜性が劣り、塗膜の密着
性は劣化傾向にあり、本発明の特徴である優れた打抜き
性は発揮されない。
対象とした電磁鋼板であって、冷間圧延板を連続焼鈍
し、必要に応じて調質圧延を施した鋼板表面に前記有機
無機結合水性分散組成物を乾燥後の重量で単位面積1m
2 当り0.1〜1.0、好ましくは0.3〜0.7g/
m2 塗布することが本発明の第2の特徴である。塗布量
が0.1g/m2 未満では十分な打抜き性と焼鈍後の耐
焼付き性の改善効果が得られない。また、1.0g/m
2 以上より多く塗布しても塗布量の増加に見合った打抜
き性の改善効果は少なく、また耐焼付き性は実用上問題
ないレベルに飽和するので、経済的にもこれ以上の塗布
量は必要ない。更には溶接性が悪くなる。なお、低級材
とは、実質的に珪素を含有しない純鉄系低炭素鋼であ
り、具体的にはSi:1.0wt%以下を含有する組成
の鋼である。本発明は特に低級材を対象とするが、S
i:1.0wt%超の高級材に用いてももちろん同様の
効果を有する。
物を鋼板表面に塗布するにはロールコーター方式やスプ
レー塗布方式、電着塗装方式など通常の塗装方法が利用
できる。上記方法によって塗布された塗膜はその組成お
よび膜厚により100〜250℃の乾燥温度で3秒〜2
0秒程度の乾燥時間で乾燥硬化する。この乾燥条件は、
従来絶縁被膜に利用されるリン酸塩、クロム酸塩系被膜
の300〜400℃の乾燥温度に比べはるかに低く、し
たがって高速ラインで製造する場合は設備的に簡単で有
利である。
た有機無機結合水性分散組成物を乾燥硬化後または乾燥
硬化と同時に歪取り焼鈍(約700〜800℃、60〜
180分)によって新たにシリカを主成分とした無機質
被膜が出現し、歪取り焼鈍後の耐焼付き性が向上するこ
とにある。これは本発明の有機無機結合タイプの組成物
を用いた絶縁被膜を歪取り焼鈍することにより、新規に
見い出された現象で、焼鈍後の鋼板表面は均一なシリカ
層の薄い被膜が形成される。また、歪取り焼鈍過程で熱
分解した有機樹脂成分は炭化してその一部は鋼中にも侵
入するが、対象素材が低級材であり磁気特性が悪くなる
といった現象はみられず有利に適合する。
組成物による塗膜性能を高めるために、必要に応じて通
常の塗料に添加される防錆剤、顔料、成膜助剤などのほ
か、重合過程でシランモノマーを添加することは可能で
ある。さらには電磁鋼板の打抜き性を高めることを目的
とした無機潤滑剤あるいは有機潤滑剤の添加、溶接性の
観点からの表面粗度調整用粉末、さらには歪取り焼鈍後
のシリカ膜の密着性、耐食性、耐焼付き性の向上剤とし
ての硼酸あるいは硼酸塩を添加することもできる。さら
にはエポキシ樹脂等を添加することにより、密着性や耐
薬品性などの向上も可能である。
施例を説明する。本実施例に用いた有機無機結合水性分
散組成物は、コロイダルシリカの存在下で乳化重合して
得られた第1表および第2表に示した樹脂とSiO2 の
種々の比を持つ大日本インキ(株)製のアクリル複合エ
マルジョン樹脂(商品名 ボンコートDVシリーズ)を
用いた。なお、実施例中の%および部はことわりのない
限り重量規準に基づく。
厚0.5mmの最終仕上焼鈍後の電磁鋼板の表面に表1
に示すコロイダルシリカ量の異なる有機無機結合水性分
散処理液を溝付ゴムロールで塗布し、200℃熱風炉で
10秒間の焼付けを行った。被膜目付量は0.3g/m
2 を目標にゴムロールの圧下調整を行った。第1表に品
質試験結果を示す。
層した状態で750℃×2Hr乾燥N2 雰囲気の条件下
で焼鈍した。 2)密着性:コーティング後の鋼板表面に、粘着セロテ
ープを張り付け、それを一気に剥がした後、鋼板を硫酸
銅水溶液に浸漬しCuの付着量から被膜の密着性を評価
した。 評価ランク ◎(密着性優)→○→△→×(密着性
劣) 耐食性:温度48℃、相対湿度85%の条件で14日間
暴露試験後の発錆面積率(%)を測定した。 引張試験による焼付強度:コーティング後の鋼板同士を
15cm2 重ね合わせ、25kg/cm2 の荷重を加え
750℃×2時間乾燥N2 焼鈍後、引張試験で被膜の融
着強度を評価(kg/cm2 )した。その強度が1kg
/cm2 以下であれば実用上問題ない。
部未満であるNo1,No2の条件は、被膜同士の融着
強度が高く、歪取焼鈍後の耐焼付き性が十分でない。ま
た、焼鈍後は樹脂の熱分解のため、シリカ含有量が少な
いと、焼鈍後の耐食性が劣化する傾向がみられた。しか
し、シリカ量が本発明の範囲を超える600重量部では
被膜の密着性が悪くなる。
鈍と調質圧延を施した板厚0.5mmのSPCC材に実
施例1で用いた有機樹脂100重量部に対しコロイダル
シリカ100重量部のNo5の処理を用い、乾燥付着量
を0.1g/m2 から3g/m2 の範囲になるように溝
付ゴムロールで塗布した後、到達板温が100℃になる
ように熱風炉で焼付けを行った。第2表に品質試験結果
を示す。
例はすべて良好な耐焼付き性を示し、密着性、耐食性を
示している。過量の目付量で塗布したNo5,No6は
耐食性、耐焼付き性は良好であったが、焼鈍後は塗膜の
表面に樹脂の分解によるカーボンが多く付着し、セロテ
ープにそれが付着した。Cu付着量の差は認められなか
った。
表3に示す処理液をリバースロールで塗布した乾燥目付
量は、0.6〜0.8g/m2 の範囲であった。焼付は
高速連続炉の熱風乾燥炉で、到達板温は120〜150
℃の範囲内に制御された。コイルをスリットし打抜き性
試験を含めて品質試験を行った。結果を第3表に示す。 打抜き性試験条件:15mmφのスチールダイス(SK
D−1)、クリアランス5%、打抜き速度600SP
M、打抜油使用
使用したNo4およびNo7と同じもので、比較例のN
o3,No4は同様に実施例1のNo1の処理液〔シリ
カを含有しない大日本インキ(株)製のアクリルエマル
ジョン樹脂(商品名 EC−817)〕に日産化学製の
コロイダルシリカST−30を所定量添加した。
ールダイスでいずれも100万回以上の良好な打抜き性
である。しかし、コロイダルシリカを樹脂に添加した混
合タイプのNo3,No4はコロイダルシリカの添加量
が多くなるとコーティングの密着性が劣化し、打抜き性
は大きく低下する。一方、コロイダルシリカの添加量が
少ない場合では、打抜き性の低下はみられないが、焼鈍
後の耐焼付き性が悪く、融着強度は2kg/cm2 以上
になる。
mmの脱炭焼鈍後の無方向性電磁鋼板に第4表に示す処
理液を塗布、焼付した後、エプスタイン寸法の試料を切
出し、積層、加圧状態のもとで750℃×2時間乾燥N
2 中で焼鈍した。焼鈍後はスティッキングした状態で、
1片が4枚のつき合わせの状態で磁気特性を測定した
後、次にスティッキングを解離して再度同じ方法で磁気
特性を調査し、解離前後の磁気特性の変化を調べた。同
時に融着強度も測定した。第4表に結果を示す。
である。 コーティング種類 主剤組成 樹脂 シリカ (重量部) (重量部) 有機無機結合系 1) アクリル−シリカ 100 30 2) アクリル−シリカ 100 100 3) アクリル−シリカ 100 300 無機系 リン酸マグネシウム ── ── 半有機系 重クロム酸マグネシウム 13 ── −エマルジョン樹脂
板は、焼鈍による焼付強度は低く、スティッキングによ
る鉄損劣化は極めて軽微である。
のコロイダルシリカと有機樹脂が結合した有機無機結合
水性分散処理液を塗布した被膜を持つ電磁鋼板は、従来
の被膜特性を損なうことなく、従来からの欠点であった
打抜き性と歪取り焼鈍における鉄板同士の密着や被膜同
士の融着に起因する磁気特性の劣化を同時に改善するこ
とができる。
Claims (5)
- 【請求項1】コロイダルシリカの存在下で、重合性モノ
マーを乳化重合して得られる有機無機結合水性分散組成
物を主成分とする、有機−無機複合系の絶縁被膜を鋼板
表面に被成させてなることを特徴とする打抜き性と焼鈍
後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】請求項1記載の無方向性電磁鋼板を歪取り
焼鈍して得られるシリカを主成分とする無機系組成物よ
りなる絶縁被膜を有することを特徴とする打抜き性と焼
鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板。 - 【請求項3】前記有機無機結合水性分散組成物が、コロ
イダルシリカの無機質成分と、ビニル系ポリマーの有機
質成分から構成される水性分散樹脂組成物であって、コ
ロイダルシリカの固形分30〜400重量部と、有機樹
脂の固形分100重量部の割合で得られる組成物である
請求項1記載の打抜き性と焼鈍後の耐焼付き性に優れた
無方向性電磁鋼板。 - 【請求項4】前記有機−無機複合系の絶縁被膜の付着量
が、乾燥後の重量で基地鉄板の単位面積1m2 当り0.
1〜1.0g/m2 である請求項1記載の打抜き性と焼
鈍後の耐焼付き性に優れた無方向性電磁鋼板。 - 【請求項5】冷間圧延板を連続焼鈍し、必要に応じて調
質圧延を施す無方向性電磁鋼板の最終仕上焼鈍工程にお
いて、連続焼鈍もしくは調質圧延後の鋼板表面に、コロ
イダルシリカの存在下で重合性モノマーを乳化重合して
得られる有機無機結合水性分散組成物を、乾燥後の重量
で単位面積1m2 当り0.1〜1.0g/m2 塗布する
ことを特徴とする打抜き性と焼鈍後の耐焼付き性に優れ
た無方向性電磁鋼板の製造方法。
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