JPH09117163A - 静電アクチュエータ - Google Patents

静電アクチュエータ

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JPH09117163A
JPH09117163A JP29468695A JP29468695A JPH09117163A JP H09117163 A JPH09117163 A JP H09117163A JP 29468695 A JP29468695 A JP 29468695A JP 29468695 A JP29468695 A JP 29468695A JP H09117163 A JPH09117163 A JP H09117163A
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JP
Japan
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electrostatic actuator
case
moisture
stator
transparent
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Withdrawn
Application number
JP29468695A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Kimura
恒夫 木村
Rei Sakai
玲 酒井
Shinji Konno
信次 今野
Hisashi Fukuyama
尚志 福山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高湿度環境下においても円滑に駆動し得る様に
改良された静電アクチュエータを提供する。 【解決手段】絶縁性支持体上に相互に絶縁されて所定方
向に且つ所定の間隔で配置された複数の駆動電極を備え
た第1の部材(3)と絶縁性薄葉体に正負の電荷を付与
した第2の部材(6)とが接する様に配置されており、
上記の駆動電極への印加電圧の切り替えにより生じる第
1の部材と第2の部材との間の静電気の作用による吸引
・反発力によって上記の両者を相対移動させるための駆
動手段を具備して成る静電アクチュエータにおいて、少
なくとも、第1の部材と第2の部材との相対移動面を透
明防湿ケース(水蒸気バリア性の透明樹脂ケース又は透
明ガラスケース)(10)に内装して成る静電アクチュ
エータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電アクチュエー
タに関するものであり、詳しくは、高湿度環境下におい
ても円滑に駆動し得る様に改良された静電アクチュエー
タに関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電アクチュエータは、絶縁性支持体上
に相互に絶縁されて所定方向に且つ所定の間隔で配置さ
れた複数の駆動電極を備えた第1の部材と絶縁性薄葉体
に正負の電荷を付与した第2の部材とが接する様に配置
されており、上記の駆動電極への印加電圧の切り替えに
より生じる第1の部材と第2の部材との間の静電気の作
用による吸引・反発力によって上記の両者を相対移動さ
せるための駆動手段を具備して構成される(特開平2−
285978号公報など参照)。
【0003】上記の静電アクチュエータは、電極やギャ
ップの寸法を小さくすることにより、力密度を大きく出
来、また、小型化し易いという特徴を有する。そのた
め、静電アクチュエータは、ワードプロセッサーやファ
クシミリ等における用紙搬送機構の様な小型駆動装置、
その他の微小な機械システムの駆動装置として応用され
ることが期待されている。
【0004】図2(a)〜(d)は、本発明の理解を容
易にするために添付された静電アクチュエータの駆動原
理の説明図であり、具体的には、絶縁性フイルムにて第
1の部材(移動子)を構成した静電アクチュエータ(静
電フイルムアクチュエータ)の駆動原理の説明図であ
る。図中、符号(1)は絶縁性支持体、(2)は帯状電
極、(3)は第2の部材(固定子)、(4)は絶縁性フ
イルム、(5)は抵抗体層、(6)は移動子、(7)〜
(9)は電線を示す。
【0005】先ず、図2(a)に示す様に、電線(7)
に正、電線(8)に負の電圧を印加する。これにより、
電線(7)に接続した電極に存する電荷と電線(8)
に接続した電極に存する電荷の電位差により、抵抗体
層(5)に電流が流れ、移動子(6)の絶縁性フイルム
(4)と抵抗体層(5)の境界に電荷が誘導されて平衡
状態となる。この電荷は、説明の便宜上、図2(b)の
点線で示した鏡像電荷で置き換えることが出来る。そし
て、この電荷、の極性は、それぞれ電荷、の極
性と異なるため、図2(b)の状態では移動子(6)は
固定子(3)に吸引されている。
【0006】次に、図2(c)に示す様に、電線(7)
に負、電線(8)に正、電線(9)に負の電圧を印加す
る。これにより、電極内の電荷は、瞬時に移動できる
が、移動子(6)の誘導電荷は、抵抗体層(5)の抵抗
値が高いために直ぐには移動できない。その結果、移動
子(6)と固定子(3)の間には反発力が発生する。反
発力が発生することにより、固定子(3)と移動子
(6)の間の摩擦が減少し、電線(9)に電圧を印加し
た結果生じる負の電荷と正の誘導電荷(鏡像電荷で言
えば)により、右方向の駆動力が発生する。
【0007】図2(d)は、上記の駆動力により、移動
子(6)が電極1ピッチ分右方向に移動した結果を示し
ている。移動子(6)を左方向に移動させる場合には、
電線(9)に正の電圧を印加すればよい。そして、上記
の電極1ピッチ毎の移動操作における印加電圧パターン
(図2(c)に示すパターン)は、図2(a)に示す状
態とは逆符号の電圧を電線(7)、(8)に印加するも
のであるから、図2(c)における誘導電荷(鏡像電荷
で言えば、及び)は減衰することになる。
【0008】従って、移動子(6)を右方向に電極1ピ
ッチ毎に連続移動させるには、電荷充電操作と移動操作
とを繰り返す次の様なパターンの電圧を繰り返し印加す
ることが必要である。なお、以下の表1に例示した電圧
パターンは、1サイクルの電圧パターンであり、(G)
は電圧を印加してない状態を示し、(C)及び(A)
は、それぞれ、電荷充電操作、移動操作を示し、最初の
(C)は図2(a)に示す状態、最初の(A)は図2
(c)に示す状態である。
【0009】
【表1】
【0010】そして、静電アクチュエータを電極1ピッ
チ毎に安定に連続駆動させるには、移動子(6)(抵抗
体層(5))の表面固有抵抗率は、1012〜1015Ω/
□の範囲でなければならないとされている。その理由は
次の通りである。すなわち、移動子(6)の表面固有抵
抗が大きい場合には電荷充電に比較的長い時間を要し、
小さい場合には誘導された電荷が瞬時に減衰する。とこ
ろが、図2に示した静電アクチュエータの場合には、移
動子を構成する絶縁性フイルムの抵抗値が大き過ぎるた
め、上記の様な抵抗体層を当該絶縁性フイルムに設けて
僅かな導電性を付与する必要がある。なお、図2に示し
た公知の静電アクチュエータにおいて、絶縁性フイルム
(4)の代わりに、これと同程度の抵抗値を有する他の
絶縁性薄葉体を使用してもよい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、静電ア
クチュエータは、未だ研究段階にあり、実用化のために
は、各要素の詳細を検討しなければならない状況にあ
る。そして、本発明者等の知見によれば、高湿環境下の
使用においては移動子が円滑に駆動しなくなると言う問
題が見出された。斯かる問題の解決は、静電アクチュエ
ータの使用環境や用途を拡大する上において重要であ
る。本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、
その目的は、高湿度環境下においても円滑に駆動し得る
様に改良された静電アクチュエータを提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、絶縁性支持体上に相互に絶縁されて所定方向に且つ
所定の間隔で配置された複数の駆動電極を備えた第1の
部材と絶縁性薄葉体に正負の電荷を付与した第2の部材
とが接する様に配置されており、上記の駆動電極への印
加電圧の切り替えにより生じる第1の部材と第2の部材
との間の静電気の作用による吸引・反発力によって上記
の両者を相対移動させるための駆動手段を具備して成る
静電アクチュエータにおいて、少なくとも、第1の部材
と第2の部材との相対移動面を水蒸気バリア性の透明樹
脂ケースまたは透明ガラスケースに内装して成ることを
特徴とする静電アクチュエータに存する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明を
詳細に説明する。図1は、本発明の防湿ケース収納型静
電アクチュエータの一例の模式的説明図であり、第1の
部材(固定子)(3)と第2の部材(移動子)(6)と
を透明防湿ケース(10)に内装した状態を示す説明図
である。
【0014】本発明の静電アクチュエータの基本的構成
は、図2において、移動子(6)の構成材料が絶縁性フ
イルムに限定されず、また、移動子の構成がこれに抵抗
体層を設けたものに限定されない点を除き、同図に示し
た公知の静電アクチュエータと同じである。従って、以
下の説明においては、便宜上、図2中の(4)を絶縁性
薄葉体として図2を参照する。本発明静電アクチュエー
タは、絶縁性支持体(1)に帯状電極(2)を所定間隔
で並べた第1の部材(固定子)(3)と絶縁性薄葉体
(4)に正負の電荷を付与した第2の部材(移動子)
(6)から成る。
【0015】先ず、固定子(3)について説明する。固
定子(3)を構成する絶縁性支持体(1)は、絶縁性材
料より成るフイルムやシート等より構成される。絶縁性
材料としては、特に制限はなく、絶縁性の良好な各種の
合成樹脂、セラミックス、ガラス等を使用することが出
来る。絶縁性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、
ポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。好まし
い絶縁性樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂で
ある。
【0016】絶縁性支持体(1)に設けられる帯状電極
(2)は、絶縁性支持体(1)の表面に並べて設けて
も、または、絶縁性支持体(1)の中に埋設して設けて
もよい。そして、帯状電極(2)を設けた絶縁性支持体
(1)の上には、絶縁性を向上させるため、絶縁性カバ
ーフイルムを積層するのが好ましい。また、帯状電極
(2)の間隔は、特に限定されるものではないが、通常
0.1〜2mmであり、静電アクチュエータの発生力、
駆動電圧などの駆動性能を向上させるためには帯状電極
間隔の微細化が望ましい。
【0017】次に、移動子(6)について説明する。移
動子(6)を構成する絶縁性薄葉体(4)は、好適に
は、固定子(3)を構成する前記の絶縁性樹脂と同様の
合成樹脂より構成されるが、斯かる合成樹脂と同程度の
抵抗値を有するガラス又はセラミックスにて構成するこ
とも出来る。そして、絶縁性薄葉体(4)を絶縁性フイ
ルムで構成する場合、特に好ましいフイルムは、密度、
曲げ弾性率、耐皺性などの点からポリエチレンテレフタ
レートフイルム、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
フイルムの様なポリエステルフイルムである。
【0018】絶縁性薄葉体(4)に正負の電荷を付与す
る方法は、図2に示した公知の静電フイルムアクチュエ
ータと同様に、絶縁性薄葉体(4)に抵抗体層(5)を
設ける方法が挙げられる。具体的には、例えば、絶縁性
薄葉体(4)の表面に帯電防止効果の弱い帯電防止剤を
塗布する方法などを使用し得る。この場合、抵抗体層
(5)の表面固有抵抗率は、通常1012〜1015Ω/□
の範囲、好ましくは1014Ω/□前後にすることが必要
である。そして、抵抗体層(5)設ける方向は、移動子
(6)の固定子(3)と接する面または他方の面の何れ
であってもよいが、後者の面上が好ましい。
【0019】また、絶縁性薄葉体(4)に正負の電荷を
付与する方法は、上記の方法に限られず、当業者にとっ
て自明の各種の他の方法を採用し得る。例えば、絶縁性
薄葉体(4)を絶縁性フイルムで構成する場合には、カ
ーボンブラック等の導電性物質を練り込んで絶縁性薄葉
体(4)自体を上記と同様の抵抗率を有する抵抗体とす
る方法、絶縁性薄葉体(4)に帯状電極を設ける方法、
イオン発生装置を利用する方法、絶縁性薄葉体(4)に
エレクトレット材料を利用する方法などが挙げられる。
【0020】絶縁性薄葉体(4)に帯状電極を設ける方
法は、特に図示しないが、図2において、電線(7)及
び(8)に対応する2相構造の帯状電極を固定子の帯状
電極(2)と対応させて設け、これらの電線に常時正負
の電圧を印加する方法であって、各帯状電極に存する正
負の電荷を鏡像電荷及びの代わりに利用する方法で
ある。また、イオン発生装置を利用する方法は、固定子
(3)に接して絶縁性薄葉体(4)を配置し、電線
(7)、電線(8)に正負の電圧を印加して電荷を誘導
した後、除電器として知られているイオン発生装置(針
電極に交流電圧を印加してコロナ放電を起こさせ生じた
正負のイオン風を送風機にて帯電物体に当てる様になさ
れた装置)からのイオン風を絶縁性薄葉体(4)の表面
に当てる方法であって、絶縁性薄葉体(4)の表面に形
成されたイオン化空気層を鏡像電荷及びの代わりに
利用する方法である。そして、イオン発生装置として
は、「静電気ハンドブック」(静電気学会偏、オーム社
出版、第1版819頁以降)に記載の各種の除電器を使
用することが出来る。
【0021】絶縁性薄葉体(4)の厚さは、当該絶縁性
薄葉体に電荷を付与する方法によって静電アクチュエー
タの発生力が異なるために一概には決定できないが、通
常は10μm以上とされる。そして、電荷を付与する方
法として絶縁性薄葉体(4)に抵抗体層(5)を設ける
方法を採用した場合には、10〜200μmの範囲とす
るのが好ましい。また、電荷の付与が何れの方法で行わ
れる場合においても、絶縁性薄葉体(4)の厚さは、絶
縁性支持体(1)に並べた帯状電極(2)の間隔をPと
し、帯状電極(2)の表面と絶縁性薄葉体(4)と抵抗
体層(5)(絶縁性薄葉体(4)に帯状電極を設けた場
合は当該帯状電極、イオン化空気層を形成した場合はそ
れ自体)との境界面との距離をGとした場合、0.15
<G/P<0.4の関係を満足する範囲とするのが好ま
しい。
【0022】ところで、上記の様な静電アクチュエータ
は、室内の様な常温、常湿度のほぼ一定の環境条件下で
使用する場合は、その駆動性能の障害は殆ど発生しない
が、相対湿度70%異常の高湿条件下では、特に、図2
に示した誘導電極タイプの静電アクチュエータの場合、
駆動困難になることが見出された。また、両面電極タイ
プの静電アクチュエータの場合は、高湿度条件に比較的
強いが、それでも、相対湿度が90%以上になると駆動
が不安定となることが見出された。また、急激に温度を
下げて結露させた場合には、時として、固定子(3)と
移動子(6)との間に水膜が出来て駆動不能になること
が観察された。
【0023】本発明の静電アクチュエータは、上記の様
な高湿度環境下においても円滑に駆動し得る様に改良さ
れた静電アクチュエータであって、その特徴は、少なく
とも、第1の部材(固定子)(3)と第2の部材(移動
子)(6)との相対移動面を水蒸気バリア性の透明樹脂
ケースまたは透明ガラスケース(以下、両者を「防湿ケ
ース」と言う)に内装した点にある。図1に示した例に
おいては、固定子(3)と移動子(6)とを防湿ケース
(10)に内装しているが、斯かる実施態様に限定され
ず、例えば、後述する様に、防湿ケース(10)の構成
壁面に固定子(3)を利用することも出来る。
【0024】水蒸気バリア性の透明樹脂ケースの材質と
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体などを好適
に利用出来るが、その他、水蒸気バリア性の低い樹脂、
例えば、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、
ポリスチレン、ポリビニルアルコール等の樹脂シートに
防湿コーティング剤を塗布し又は防湿フイルムをラミネ
ートすることにより、上記ケースの材質として十分に使
用することが出来る。
【0025】水蒸気バリア性の透明樹脂ケースは、例え
ば、枠体と面体とのケース構成要素を組み立てることに
より製作することが出来る。そして、各構成要素の接合
には、塩化メチレン等の溶剤を使用して接着する方法ま
たは各構成要素同志をヒートシールする方法や溶接方法
を利用するのが好ましいが、市販の接着剤を利用する場
合は、瞬間接着剤(例えば、東亜合成化学工業製「アロ
ンアルファシリーズ」)が防湿の観点から奨励される。
【0026】一方、透明ガラスケースのガラス材質とし
ては、耐水性の低い特殊なガラスを除き、市販の各種の
無機系ガラスが好適に利用出来る。
【0027】本発明においては、通常、上記の様に構成
された防湿ケース(10)内に固定子(3)と移動子
(6)とを内装するが、例えば、固定子(3)の絶縁性
支持体(1)として、水蒸気バリア性の透明樹脂やガラ
ス等を使用した場合、防湿ケース(10)の構成壁面
(面体)に固定子(3)を利用することが出来る。すな
わち、絶縁性支持体(1)上の帯状電極(2)の外周囲
に水蒸気バリア性の透明樹脂またはガラス製の枠体を接
合し、当該枠体の上面に水蒸気バリア性の透明樹脂また
はガラス製の面体を接合する。
【0028】防湿ケース(10)の全体厚さは、実用的
観点から、通常3〜30mm、好ましくは5〜20mm
の範囲とされる。従って、防湿ケース(10)内に固定
子(3)と移動子(6)とを内装した際に移動子(6)
の上部に形成され空間は、通常5〜10mm程度であ
る。
【0029】ところで、静電アクチュエータは、屋内で
使用する場合、前述の防湿対策で殆ど問題なく良好に駆
動するが、極めて高湿度環境下で長時間使用する場合、
または、寒冷地の屋外の様に気温変化が大きくて夜間の
気温が露点以下に下がる環境下で使用する場合には、防
湿ケース(10)内の結露により、駆動不良を生じるこ
とがある。
【0030】上記の対策として、本発明においては、防
湿ケース(10)内に除湿剤(乾燥剤)を配置するのが
好ましい。除湿剤としては、取り扱い上の便宜の観点か
ら、吸水後においても固体状態を呈し得る除湿剤が好ま
しい。斯かる除湿剤としては、例えば、シリカゲル、モ
レキュラシーブ、塩化カルシウム、シラスバルーン等が
挙げられる。勿論、五酸化リンの様に吸水によって液状
のリン酸となる除湿剤や、濃硫酸の様に初めから液状の
除湿剤であっても、収納容器の工夫により使用可能であ
る。
【0031】また、防湿ケース(10)は絶縁材料で構
成されているため、移動子(6)に残留した電荷によ
り、または、防湿ケース(10)の外表面を掃除のため
に拭き取り処理した場合に防湿ケース(10)に帯電し
た電荷により、移動子(6)が防湿ケース(10)に引
き寄せられる場合がある。
【0032】上記の対策として、本発明においては、防
湿ケース(10)の内面または外面、特に、移動子
(6)に近接する側の内面または外面に適当な抵抗値を
有する導電性材料塗布するのが好ましい。導電性材料の
抵抗値は、移動子(6)と防湿ケース(10)の間の空
間距離などを勘案して適宜選択されるが、例えば、空間
距離が5mm前後の場合は1014Ω/□前後が好適であ
る。なお、移動子(6)と防湿ケース(10)の間の空
間距離によっては帯電防止剤を使用することも可能であ
る。帯電防止剤を使用する場合は、防湿ケース(10)
の内面に塗布するのがよい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。
【0034】実施例1 先ず、ポリエチレンテレフタレートフイルム(ダイアホ
イル社製「Sタイプ」厚さ25μm)の片方の面に帯電
防止効果の弱い帯電防止剤をスプレー塗布することによ
り抵抗体層を形成してA4サイズの移動子を製作した
(抵抗体層の表面抵抗率1×1014Ω/□)。
【0035】次に、厚さ125μmのポリエチレンテレ
フタレートフイルムの表面に、幅0.1mm、ピッチ
0.2mmの帯状電極を形成し、当該帯状電極の表面
に、厚さ10μmのポリエステル樹脂絶縁層を設けた
後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフイル
ムから成るカバーフイルムを絶縁性の接着剤によって積
層してA4サイズの固定子を製作した。
【0036】厚さ2mmの透明ポリエステル樹脂シート
から成る2枚の面体と枠体とを使用して溶剤接着により
防湿ケース(サイズ:400mm×300mm×6m
m)を製作した。そして、枠体の一方側には3本の給電
線の挿入孔を形成した。上記の固定子と移動子とを接す
る様に配置して上記の防湿ケース内に内装した。固定子
と移動子の配置は、移動子の抵抗体層を形成していない
側と固定子のカバーフイルム側とが接する様に行いっ
た。
【0037】そして、固定子と移動子との間にはガラス
ビーズ(粒径18μm、東芝バロティーニ社製「GB7
31M)を散布した。また、給電線の挿入孔に固定子の
各電線を挿入した後、瞬間接着剤(東亜合成化学工業製
「アロンアルファシリーズ」)で挿入孔を完全にシール
した。
【0038】上記の様にして製作された本発明の防湿ケ
ース収納型静電アクチュエータを、温度50℃、相対湿
度70%の条件にセットされた恒温高湿槽内に置いて直
ちに駆動させた。駆動は、図2(a)〜図2(d)に示
す要領に従って以下の表2に示す駆動条件で行った。駆
動開始から5時間経過後においても静電アクチュエータ
の駆動には何らの異常も認められず、円滑な駆動が観察
された。
【0039】
【表2】 <駆動条件> 初期充電時間:1s 充電時間 :9ms 移動時間 :1ms 駆動周波数 :1000Hz 駆動電圧 :±500v 移動距離 :20mm
【0040】比較例1 実施例1において、防湿ケースを使用しない以外は、実
施例1と同様に製作した固定子と移動子とによって静電
アクチュエータを構成した。そして、実施例1と同一条
件を採用して恒温高湿槽内(温度50℃、相対湿度68
%)において駆動試験を行った結果、駆動開始から60
分経過した時点で静電アクチュエータの駆動が停止し
た。
【0041】実施例2 実施例1において、ケースの構成材料として透明アクリ
ル樹脂(水蒸気バリア性不十分)を使用した以外は、実
施例1と同様にしてケースを製作した。そして、上記の
ケースの表面に旭化成製の商品である業務用「サランラ
ップ」(塩化ビニリデンフイルム)を2重に積層する簡
易的方法によって防湿ケースを製作した。「サランラッ
プ」の積層はそのタック性を利用して行った。
【0042】次いで、上記の防湿ケースに実施例1と同
様にして製作した固定子および移動子を内装し、防湿ケ
ースの内側周辺に除湿剤(シリカゲル)10gをセロテ
ープで固定し、給電線の挿入孔に固定子の各電線を挿入
して瞬間接着剤で完全にシールし、本発明の防湿ケース
収納型静電アクチュエータを製作した。この静電アクチ
ュエータを25℃の水槽中に固定し、実施例1と同一条
件を採用して駆動試験を行った結果、駆動開始から24
時間経過後においても、静電アクチュエータの駆動には
何らの異常も認められず、円滑な駆動が観察された。
【0043】比較例2 実施例2において、透明アクリル樹脂ケースの表面に
「サランラップ」(塩化ビニリデンフイルム)積層しな
い以外は、実施例2と同様にしてケース収納型静電アク
チュエータを製作し、実施例2と同様に駆動試験を行っ
た。その結果、駆動開始から60分経過した時点で静電
アクチュエータの駆動が停止した。
【0044】実施例3 実施例2において、除湿剤の使用を省略した以外は、実
施例2と同様にして本発明の防湿ケース収納型静電アク
チュエータを製作し、実施例2と同様に駆動試験を行っ
た。その結果、駆動開始から6時間までは駆動には何ら
の異常も認められなかったが、6時間経過後から駆動が
不規則となり、7時間経過した時点で静電アクチュエー
タの駆動が停止した。
【0045】実施例4 実施例1において、ケースの構成材料として透明ガラス
を使用した以外は、実施例1と同様にして防湿ケースを
製作した。そして、上記の防湿ケースに実施例1と同様
にして製作した固定子および移動子を内装し給電線の挿
入孔に固定子の各電線を挿入して瞬間接着剤で完全にシ
ールし、本発明の防湿ケース収納型静電アクチュエータ
を製作した。この静電アクチュエータを25℃の水槽中
に固定して実施例1と同一条件を採用して駆動試験を行
った結果、駆動開始から24時間経過後においても静電
アクチュエータの駆動には何らの異常も認められず、円
滑な駆動が観察された。
【0046】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、高湿度環
境下においても円滑に駆動し得る様に改良された静電ア
クチュエータが提供され、本発明は、静電アクチュエー
タの実用化に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防湿ケース収納型静電アクチュエータ
の一例の模式的説明図
【図2】静電アクチュエータの駆動原理の説明図
【符号の説明】
(1):絶縁性支持体 (2):帯状電極 (3):第1の部材(固定子) (4):絶縁性フイルム又は絶縁性薄葉体 (5):抵抗体層 (6):第2の部材(移動子) (7)〜(9):電線 (10):透明防湿ケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今野 信次 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 福山 尚志 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性支持体上に相互に絶縁されて所定
    方向に且つ所定の間隔で配置された複数の駆動電極を備
    えた第1の部材と絶縁性薄葉体に正負の電荷を付与した
    第2の部材とが接する様に配置されており、上記の駆動
    電極への印加電圧の切り替えにより生じる第1の部材と
    第2の部材との間の静電気の作用による吸引・反発力に
    よって上記の両者を相対移動させるための駆動手段を具
    備して成る静電アクチュエータにおいて、少なくとも、
    第1の部材と第2の部材との相対移動面を水蒸気バリア
    性の透明樹脂ケース又は透明ガラスケースに内装して成
    ることを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 第1の部材と第2の部材とを水蒸気バリ
    ア性の透明樹脂ケースまたは透明ガラスケースに内装し
    て成る請求項1に記載の静電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 ケース内に除湿剤を配置して成る請求項
    1又は2に記載の静電アクチュエータ。
JP29468695A 1995-10-18 1995-10-18 静電アクチュエータ Withdrawn JPH09117163A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005333720A (ja) * 2004-05-19 2005-12-02 Olympus Corp 静電アクチュエータ
JP2018019500A (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 株式会社デンソー アクチュエータ及びセンサ装置

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