JPH06225556A

JPH06225556A - 静電吸着装置

Info

Publication number: JPH06225556A
Application number: JP5049611A
Authority: JP
Inventors: Keiji Kasahara; 敬次笠原
Original assignee: Abisare Co Ltd
Current assignee: Abisare Co Ltd
Priority date: 1992-12-03
Filing date: 1993-03-10
Publication date: 1994-08-12
Also published as: GB2273205B; FR2698991B1; GB2273205A; US5486974A; DE4326375A1; FR2698991A1; GB9324168D0

Abstract

(57)【要約】【目的】静電吸着装置において長時間の吸着を行って
も吸着層の劣化が生じないようにする。【構成】層状の誘電体から成る吸着層２の表面に被覆
層５を設け、また吸着層２の裏面に正負一対の櫛歯状電
極３を積層状に設けるとともに、この被覆層５の表面に
クーロン力により紙シート等の被吸着物を吸着保持する
構成とする。被覆層５は、二軸延伸ポリエステル等の酸
素透過率および水蒸気透過率がともに低いプラスチック
スにより形成し、体積抵抗率を１０¹⁰Ωｃｍ以上とし、
厚さを５〜５０μとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被吸着物をクローン力
により吸着保持する静電吸着装置に関し、より詳しくは
吸着層の劣化を防止するようにした静電吸着装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、シート等の被吸着物をクローン力
により吸着保持する静電吸着装置として、層状の誘電体
から成る吸着層と、この吸着層の裏面側に互いに電気的
に分離して積層状に設けられる一対の電極を備えた構成
のものが知られている。この従来の静電吸着装置におい
ては、一対の電極を直流電源に接続することでクローン
力を利用して吸着層の表面側に被吸着物を吸着保持する
ようにされている。

【０００３】ところで、前述のような静電吸着装置にお
いて、吸着層の表面に被吸着物を長時間（１年〜２年
間）吸着させたままの状態で使用すると、吸着層が酸化
することによってその吸着層の劣化が進行することが明
らかとなっている。この劣化のメカニズムについて説明
すると次の通りである。

【０００４】誘電体から成る吸着層の裏面側に積層状に
設けられる電極に例えば１〜２ｋＶの直流電圧が印加さ
れると、この印加される直流電圧により生じる電界によ
り吸着層に分極電荷が誘起されてその吸着層の電極側の
裏面に各電極に対応してその各電極とは逆極性の電荷が
誘起するとともに、この吸着層の表面に同様に各電極に
対応してその各電極と同極性の電荷が誘起する。この状
態で吸着層の表面側に紙，フィルム等の被吸着物を近づ
けると、この被吸着物の吸着層側の表面には吸着層の表
面に誘起される電荷に対応するようにしてその電荷とは
逆極性の電荷が誘起されるようになり、それによってク
ローン力により被吸着物が吸着層の表面に吸着保持され
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
吸着層の表面側に被吸着物を吸着保持した状態において
は、吸着層の表面の電荷と被吸着物の表面との電荷との
間における放電にもとづき吸着層の表面が酸素により酸
化されるとともに、この酸化が吸着層の表面の水分浸透
による導電性の増加に伴って促進されるようになる。し
たがって、長時間放置すると吸着層の酸化が進んで吸着
層が劣化して十分な吸着力が得られなくなってしまう。

【０００６】本発明は、従来装置における前述のような
問題点を解消するためになされたもので、クーロン力に
よって被吸着物を吸着保持する静電吸着装置において、
吸着層の酸化によるその吸着層の劣化を防止し、かつ十
分な吸着力を確保することができるようにすることを目
的とする。

【０００７】

【発明を解決するための手段】本発明による静電吸着装
置は、前述された目的を達成するために、（ａ）層状の
誘電体から成る吸着層、（ｂ）この吸着層の一面側にそ
の一面側を被覆するように設けられるとともに、水分浸
透性が小さくかつ酸素バリア特性を有する被覆層および
（ｃ）前記吸着層の他面側に互いに電気的に分離して積
層状に設けられるとともに、この吸着層において分極電
荷を誘起させる電界を生じさせる少なくとも一対の電極
を具えて、前記吸着層の一面側に前記被覆層を介して配
される被吸着物をクーロン力により吸着保持することを
特徴とするものである。

【０００８】前記吸着層は、１層または２層以上で構成
することができるとともに、ポリエステル，ポリ塩化ビ
ニル，アクリル，ポリカーボネート，ポリアセタール，
フェノール，エポキシのうちから選ばれる１種類のプラ
スチックスもしくは２種類以上のプラスチックスを混合
した混合プラスチックスで作るのが好ましい。特に、２
層以上で構成されるような場合には、各層が同一、層毎
に異なる、または層別に同一および異なる混合プラスチ
ックスを含むプラスチックスで作ることができる。な
お、混合プラスチックスを含むプラスチックスには、カ
ーボンブラック，金，銀，錫，酸化亜鉛，導電性酸化
物，導電性イオン樹脂のうちから選ばれる１種類または
２種類以上の導電性物質を微細化したものを分散させる
ようにすることができるとともに、吸着層は１０¹¹〜１
０¹⁴Ωｃｍの体積抵抗率を有するものとするのがよい。

【０００９】同様に、前記被覆層も、１層または２層以
上で構成することができ、この被覆層についても二軸延
伸ポリエステル，ナイロン６，アクリルニトリル共重合
体，塩化ビニリデン・アクリル酸メチル共重合体，ポリ
塩化ビニル，ポリブチレンテレフタレート，エチレンビ
ニルアルコール共重合体，ポリ塩化ビニリデンコート延
伸ポリプロピレン，ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイ
ロン，ポリ塩化ビニリデンコートポリエステルのうちか
ら選ばれる１種類のプラスチックスもしくは２種類以上
のプラスチックスを混合した混合プラスチックスで作る
のが好ましい。同様に、２層以上で構成されるような場
合には各層が同一、層毎に異なる、または層別に同一お
よび異なる混合プラスチックスを含むプラスチックスで
作ることができる。また、被覆層は、１０¹⁰Ωｃｍ以上
の体積抵抗率を有するものとし、５乃至５０μの厚みを
有するものとするのがよい。

【００１０】また、前記一対の電極の前記吸着層に対す
る背面側には絶縁層を設けるのが好適である。この場合
に、絶縁層としては、絶縁性の接着剤で構成するのがよ
く、またその被覆層は１０¹⁴Ωｃｍ以上の体積抵抗率を
有するものとするのがよい。

【００１１】

【作用】本発明の静電吸着装置においては、吸着層の一
面側に水分浸透性が小さくかつ酸素バリア特性を有する
被覆層が設けられていることによって、吸着層の一面側
に被覆層を介して被吸着物を吸着保持させたままの状態
で長時間使用しても、この吸着層の表面の酸素による酸
化および水分浸透が阻止されて、この吸着層の酸化によ
るその吸着層の劣化を防止することができる。

【００１２】この場合に、被覆層を１０¹⁰Ωｃｍ以上の
体積抵抗率を有するものとし、またその被覆層を５乃至
５０μの厚みを有するものとすることで、この被覆層を
吸着層の一面側に設けても、マクロ的には吸着層および
被覆層に亘って電界により分極電荷が誘起されるように
なるために被吸着物に対して十分な吸着保持力を発揮す
ることが可能となる。

【００１３】

【実施例】次に、本発明による静電吸着装置の具体的実
施例について、図面を参照しつつ説明する。

【００１４】本発明の一実施例に係る静電吸着装置の分
解斜視図が図１に示されており、この静電吸着装置の部
分平面図，部分断面図および使用状態の一例を示す斜視
図が各図２，図３および図４に示されている。

【００１５】本実施例の静電吸着装置１は、一層の吸着
層２と、この吸着層２の裏面側に積層状に設けられる正
負一対の櫛歯状電極３，３と、これら櫛歯状電極３，３
の吸着層２に対する背面側に設けられる絶縁性の接着剤
層４とを備えている。そして、吸着層２の表面には一層
の被覆層５が設けられ、この被覆層５を介して吸着層２
の表面側にクーロン力により紙シート等の被吸着物６が
吸着保持される。

【００１６】前記吸着層２は、ポリエステル，ポリ塩化
ビニル，アクリル，ポリカーボネート，ポリアセター
ル，フェノール，エポキシ等のプラスチックスにカーボ
ンブラック，金，銀，錫，酸化亜鉛，導電性酸化物，導
電性イオン樹脂のうちから選ばれる１種類または２種類
以上の導電性物質を微細化したものを分散させたもので
あり、体積抵抗率は１０¹¹〜１０¹⁴Ωｃｍ程度で、厚さ
は２００〜１０００μ程度とされる。

【００１７】また、一対の櫛歯状電極３は、銀インキま
たは導電性カーボンインキのスクリーン印刷により、あ
るいは銅箔のエッチング等により得られるもので、図１
および図２に示されているように対向する櫛歯部分を互
いに入り込ませて形成され、各端部が直流２ｋＶを供給
する直流電源７に切り替えスイッチ８を介して接続され
るよう構成されている。この切り替えスイッチ８が操作
されると一対の櫛歯状電極３の極性が切り替えられる。
この切り替えスイッチ８は、被吸着物６を長時間吸着保
持させる場合に操作され、この操作によってエレクトレ
ット現象による吸着力の低下が防がれている。なお、前
記接着剤層４は、体積抵抗率１０¹⁴Ωｃｍ以上の絶縁性
が高いもので構成されている。

【００１８】一方、前記被覆層５は、二軸延伸ポリエス
テル，ナイロン６，アクリルニトリル共重合体，塩化ビ
ニリデン・アクリル酸メチル共重合体，ポリ塩化ビニ
ル，ポリブチレンテレフタレート，エチレンビニルアル
コール共重合体（エバールＦ），ポリ塩化ビニリデン
（ＰＶＤＣ）コート延伸ポリプロピレン，ポリ塩化ビニ
リデンコート延伸ナイロン，ポリ塩化ビニリデンコート
ポリエステル等の酸素透過率および水蒸気透過率がとも
に低いプラスチックスを吸着層２の表面にラミネートす
ることにより、もしくはコーティングすることにより形
成されている。この場合に、被覆層５の体積抵抗率は１
０¹⁰Ωｃｍ以上、好ましくは１０¹⁰〜１０¹³Ωｃｍとさ
れ、厚さは５〜５０μとされる。なお、表１には、各種
ポリマーフィルムの酸素透過率および水蒸気透過率の値
が示されている。この表において、本実施例の被覆層５
を形成する材料として選ばれるものには＊印が付されて
いる。

【００１９】

【表１】

【００２０】このような構成からなる静電吸着装置１
は、接着剤層４側を内側にして図４に示されているよう
に矩形状の支持フレーム９に貼着され、この支持フレー
ム９ごと例えばスタンド１０にセットされて使用に供さ
れる。また、このようにスタンド１０を用いる代わりに
取付け用金具等により壁面に固定もしくは吊り下げて使
用することもできる。なお、図４中において符号１１で
示されているのは電源ボックスであり、この電源ボック
ス１１には電源投入スイッチ（図示せず）や前述の切り
替えスイッチ８が設けられている。

【００２１】本実施例においては、吸着層２の表面が酸
素透過率および水蒸気透過率がともに低いプラスチック
スよりなる被覆層５によって覆われているために、吸着
層２の表面に被吸着物６を長時間吸着させたままの状態
で使用しても、この吸着層２の酸化によるその吸着層２
の劣化を防ぐことができる。しかも、吸着層２は厚さが
５〜５０μの薄膜で形成されるとともに、この吸着層２
の体積抵抗率が１０¹¹〜１０¹⁴Ωｃｍとされているため
に、電極３，３への電圧の印加によって生じる電界によ
りマクロ的に吸着層２および被覆層５に亘って分極電荷
が十分に誘起されるようになり、被吸着物６に対して十
分な吸着力を発揮することが可能となる。なお、被覆層
５の体積抵抗率が１０¹⁰Ωｃｍより小さい場合には、被
覆層５の内部で通電してしまって分極電荷が誘起されな
くなる。一方、被覆層５の体積抵抗率が１０¹³Ωｃｍよ
り大きい場合には、被覆層５で大きなエレクトレット現
象を起こして吸着力が失われることとなる。

【００２２】本実施例においては、被覆層５の厚みを５
〜５０μの範囲に設定したものについて説明したが、こ
の厚みは必ずしも前記範囲に限定する必要はなく、吸着
層２の厚みに応じて適宜変更することが可能である。

【００２３】本実施例においては、被覆層５の体積抵抗
率を１０¹⁰〜１０¹³Ωｃｍとしたものについて説明した
が、厚さ５〜５０μ程度の薄膜で形成される被覆層を用
いる場合には、この被覆層の体積抵抗率を１０¹⁴〜１０
¹⁷Ωｃｍとしても十分に使用に耐え得るものである。

【００２４】また、本実施例においては、吸着層２を一
層で構成するとともに、１種類のプラスチックスで構成
したものを説明したが、この吸着層２は前述のポリエス
テル等のプラスチックスのうちから選ばれる２種類以上
のプラスチックスを混合した混合プラスチックスで作っ
てもよい。また、この吸着層２は、２層以上で構成して
もよい。さらに、記被覆層５についても同様に、前述の
二軸延伸ポリエステル等のプラスチックスのうちから選
ばれる２種類以上のプラスチックスを混合した混合プラ
スチックスで作ることができるととともに、２層以上で
構成してもよい。

【００２５】なお、吸着層２および被覆層５を２層以上
で構成する場合には、各層が同一、層毎に異なる、また
は層別に同一および異なる混合プラスチックスを含むプ
ラスチックスで作るのもよい。

【００２６】以上に説明したように、本発明は、種々に
変更可能なことは明らかである。このような変更は本発
明の精神および範囲に反することなく、また当業者にと
って明瞭な全てのそのような変形、変更は、特許請求の
範囲に含まれるものである。

【００２７】

【発明の効果】本発明の静電吸着装置によれば、吸着層
の表面に水分浸透性が小さくかつ酸素バリア特性を有す
る被覆層が設けられていることによって、この吸着層の
酸化による劣化を防ぐことができる。したがって、吸着
層表面に被吸着物を長時間吸着させたままの状態で使用
しても、その吸着層の劣化を防止することができる。

【００２８】この場合に、被覆層を１０¹⁰Ωｃｍ以上の
体積抵抗率を有するものとし、またその被覆層を５〜５
０μの厚みを有するものとすると、このような被覆層を
設けても十分な吸着力を確保することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による静電吸着装置の一実施例を説明す
るための分解斜視図である。

【図２】本発明による静電吸着装置の一実施例を説明す
るための部分平面図である。

【図３】本発明による静電吸着装置の一実施例を説明す
るための部分断面図である

【図４】本発明による静電吸着装置の一実施例を説明す
るための使用状態で示す斜視図である。

【符号の説明】

１静電吸着装置２吸着層３電極４接着剤層５被覆層６被吸着物

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（ａ）層状の誘電体から成る吸着層、（ｂ）この吸着層の一面側にその一面側を被覆するよう
に設けられるとともに、水分浸透性が小さくかつ酸素バ
リア特性を有する被覆層および（ｃ）前記吸着層の他面側に互いに電気的に分離して積
層状に設けられるとともに、この吸着層において分極電
荷を誘起させる電界を生じさせる少なくとも一対の電極を具えて、前記吸着層の一面側に前記被覆層を介して配
される被吸着物をクーロン力により吸着することを特徴
とする静電吸着装置。
【請求項２】前記吸着層は、１０¹¹〜１０¹⁴Ω・ｃｍ
の体積抵抗率を有するものであることを特徴とする請求
項１に記載の静電吸着装置。
【請求項３】前記吸着層は、１層または２層以上で構
成されることを特徴とする請求項１に記載の静電吸着装
置。
【請求項４】前記１層で構成される吸着層は、プラス
チックスで作られることを特徴とする請求項３に記載の
静電吸着装置。
【請求項５】前記２層以上で構成される吸着層は、各
層が同一、層毎に異なる、または層別に同一および異な
るプラスチックスで作られることを特徴とする請求項３
に記載の静電吸着装置。
【請求項６】前記プラスチックスは、ポリエステル，
ポリ塩化ビニル，アクリル，ポリカーボネート，ポリア
セタール，フェノール，エポキシのうちから選ばれる１
種類のプラスチックスもしくは２種類以上のプラスチッ
クスを混合した混合プラスチックスであることを特徴と
する請求項３または４に記載の静電吸着装置。
【請求項７】前記プラスチックスには、カーボンブラ
ック，金，銀，錫，酸化亜鉛，導電性酸化物，導電性イ
オン樹脂のうちから選ばれる１種類または２種類以上の
導電性物質を微細化したものが分散されることを特徴と
する請求項４または５に記載の静電吸着装置。
【請求項８】前記被覆層は、１層または２層以上で構
成されることを特徴とする請求項１に記載の静電吸着装
置。
【請求項９】前記１層で構成される被覆層は、プラス
チックスで作られることを特徴とする請求項８に記載の
静電吸着装置。
【請求項１０】前記２層以上で構成される被覆層は、
各層が同一、層毎に異なる、または層別に同一および異
なるプラスチックスで作られることを特徴とする請求項
８に記載の静電吸着装置。
【請求項１１】前記被覆層は、１０¹⁰Ωｃｍ以上の体
積抵抗率を有するものであることを特徴とする請求項１
または２に記載の静電吸着装置。
【請求項１２】前記被覆層は、５乃至５０μの厚みを
有するものであることを特徴とする請求項１１に記載の
静電吸着装置。
【請求項１３】前記プラスチックスは、二軸延伸ポリ
エステル，ナイロン６，アクリルニトリル共重合体，塩
化ビニリデン・アクリル酸メチル共重合体，ポリ塩化ビ
ニル，ポリブチレンテレフタレート，エチレンビニルア
ルコール共重合体，ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリ
プロピレン，ポリ塩化ビニリデンコート延伸ナイロン，
ポリ塩化ビニリデンコートポリエステルのうちから選ば
れる１種類のプラスチックスもしくは２種類以上のプラ
スチックスを混合した混合プラスチックスであることを
特徴とする請求項９または１０に記載の静電吸着装置。
【請求項１４】前記一対の電極の前記吸着層に対する
背面側に絶縁層が設けられることを特徴とする請求項１
に記載の静電吸着装置。
【請求項１５】前記絶縁層は、絶縁性の接着剤で構成
されることを特徴とする請求項１４に記載の静電吸着装
置。
【請求項１６】前記絶縁層は、１０¹⁴Ωｃｍ以上の体
積抵抗率を有するものであることを特徴とする請求項１
４または１５に記載の静電吸着装置。