JPH09100578A - パネル埋設アンカー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ＡＬＣパネル等を建築物の外壁として躯体に
取付ける工法におけるアンカーの取付精度および施工性
とアンカー脱落の問題を解決し、簡易迅速にかつ精度よ
く施工できるパネル埋設アンカーの提供。 【解決手段】 パネル本体１の表面に形成した有底ボル
ト穴に直交するように当該パネル本体の短辺小口面より
埋設し、前記ボルト穴から挿入した躯体取付金具締結ボ
ルトに螺着するようにしたパネル埋設アンカーであっ
て、本体が管状体で構成され、中央部に管軸と直交する
ナット孔１４ａ−１を有し、かつ先端には斜めに切断さ
れた形状の掘進刃１４ａ−２が形成され、頭部側には当
該管状体を回転させて掘進させる装置のアダプターと係
合させる一対のピン係合溝１４ａ−３を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばＡＬＣパネ
ル等を建築物の外壁として躯体に取付ける金具等を当該
パネルに螺着するために用いるパネル埋設アンカーに関
する。

【０００２】

【従来の技術】ＡＬＣパネル等を建築物の外壁として躯
体に取付ける工法としては、例えば図５に示すごとく、
パネル本体１の裏面に有底ボルト穴２を設け、さらにパ
ネル本体の長辺小口面に前記有底ボルト穴２と直交する
アンカー埋設用有底穴３を設け、図６に示すような断面
半月状あるい棒状で中央部にナット孔５を有するアンカ
ー４を前記アンカー埋設用有底穴３に挿入し、建築物の
躯体にパネルを取付ける金具（図示せず）を固定する締
結ボルト６を前記アンカーのナット孔５に挿入してアン
カー４を螺着する工法がある。

【０００３】この工法は、パネル自体に貫通孔がないの
で貫通孔から浸水したり、パネル表面に亀裂等が発生す
ることはないが、工場で予めアンカー埋設用有底穴３を
穿孔しておく場合は、穿孔位置の融通性が乏しく、ま
た、建築現場で穿孔する場合には所望位置に穿孔可能で
あるが精度よく位置決めして穿孔するのに多くの手間と
時間を要し非能率的である。また、この穴にアンカー４
を挿入してハンドリングする際にアンカーが脱落しやす
く、さらにアンカー４に締結ボルト６を螺着する際にア
ンカー４との位置合わせに熟練を必要とし、かつ時間も
かかるという問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したＡ
ＬＣパネル等を建築物の外壁として躯体に取付ける工法
におけるアンカーの取付精度および施工性とアンカー脱
落の問題を解決し、簡易迅速にかつ精度よく施工できる
パネル埋設アンカーを提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係るパネル埋設
アンカーは、パネル本体の表面に形成した有底ボルト穴
に直交するように当該パネル本体長辺小口面より埋設
し、前記ボルト穴から挿入した締結ボルトにて螺着する
ようにしたパネル埋設アンカーであって、本体が管状体
で構成され、該管状体の中央部には前記締結ボルトのナ
ット部を有し、かつ先端には掘進刃を有し、頭部には当
該管状体を回転させて掘進する装置のアダプター係合部
を有することを特徴とするものである。

【０００６】本発明において、アンカー本体を管状体で
構成したのは、当該アンカーを掘進させて埋設する方式
を採用したことにより、掘進の際に発生するパネル切り
粉が管内より容易に排出できるようにするためである。

【０００７】また、管状体の先端に形成する掘進刃は、
新たに専用の刃物を付設することも可能であるが、本発
明では管状体の先端を例えば斜めに切断して当該切断面
を掘進刃として使用することができる。

【０００８】管状体の頭部に形成するアダプター係合部
は、掘進装置に応じて設ければよい。例えば電動ドリル
等の回転装置を掘進装置として用いる場合は、電動ドリ
ルのチャックに係着するシャフトの先端部に突設した一
対の係合ピンが着脱可能に嵌合する係合溝を管状体の頭
部に設けてアダプター係合部を構成することができる。
また、このピン結合方式に替えて、管状体の頭部に雌ね
じを切り、この雌ねじに螺合する雄ねじを前記シャフト
側に刻設して螺合方式を採用することも可能である。

【０００９】本発明のアンカーをパネル本体に埋設する
場合は、管状体先端の掘進刃をパネルの短辺小口面の所
望位置に当接させた状態で、該管状体の頭部に電動ドリ
ル等の回転装置のアダプターを係合させた状態で回転さ
せながら掘進めることにより所望位置に埋設することが
できる。なお、管状体のアンカーをパネルの短辺小口面
の所望位置に当接させた状態を保持する手段として適当
な保持ガイドを用いるとより便利である。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は本発明に係るアンカーの一
例を示す側面図で、（Ａ）は管状体の先端を斜めに切断
して形成した掘進刃を有するピン結合方式のアンカー、
（Ｂ）は管状体の先端を山形に形成した掘進刃を有する
ピン結合方式のアンカー、（Ｃ）は管状体の先端を斜め
に切断して形成した掘進刃を有する螺合方式のアンカ
ー、（Ｄ）は管状体の先端を山形に形成した掘進刃を有
する螺合方式のアンカーをそれぞれ示す。図２はアンカ
ーに係合させるアダプターの種類を示す側面図で、
（Ａ）はピン結合方式のアダプター、（Ｂ）は螺合方式
のアダプターをそれぞれ示す。図３は図１（Ａ）に示す
ピン結合方式のアンカーをパネルに埋設する状態を示す
縦断側面図、図４は同上のアンカーに躯体取付金具をボ
ルト止めした状態を示す縦断面図である。図中、１４
ａ、１４ｂ、１４ｃ、１４ｄは管状体のアンカー、１４
ａ−１、１４ｂ−１、１４ｃ−１、１４ｄ−１はナット
孔、１４ａ−２、１４ｂ−２、１４ｃ−２、１４ｄ−２
は掘進刃、１４ａ−３、１４ｂ−３はピン係合溝、１４
ｃ−３、１４ｄ−３は雌ねじ、１７ａはピン結合方式の
アダプター、１７ｂは螺合方式のアダプター、１７ａ−
１、１７ｂ−１は軸部、１７ａ−２、１７ｂ−２は鍔
部、１７ａ−３は結合ピン、１７ｂ−３は雄ねじ、１８
は電動ドリル、１９はアンカー保持具である。

【００１１】図１（Ａ）に示すアンカー１４ａは、中央
部に管軸と直交するナット孔１４ａ−１を有し、先端に
は斜めに切断された形状の掘進刃１４ａ−２が形成さ
れ、頭部側には一対のピン係合溝１４ａ−３が形成され
ている。

【００１２】図１（Ｂ）にすアンカー１４ｂは、中央部
に管軸と直交するナット孔１４ｂ−１を有し、先端には
山形に切断された形状の掘進刃１４ｂ−２が形成され、
頭部側には一対のピン係合溝１４ｂ−３が形成されてい
る。

【００１３】図１（Ｃ）にすアンカー１４ｃは、中央部
に管軸と直交するナット孔１４ｃ−１を有し、先端には
斜めに切断された形状の掘進刃１４ｃ−２が形成され、
頭部側には雌ねじ１４ｃ−３が刻設されている。

【００１４】図１（Ｄ）に示すアンカー１４ｄは、中央
部に管軸と直交するナット孔１４ｄ−１を有し、先端に
は山形に切断された形状の掘進刃１４ｄ−２が形成さ
れ、頭部側には雌ねじ１４ｄ−３が刻設されている。

【００１５】図２（Ａ）に示すピン結合方式のアダプタ
ー１７ａは、後述するドリルのチャックに取着する丸棒
状の軸部１７ａ−１の先端部に前記アンカーの外径にほ
ぼ等しい外径の鍔部１７ａ−２と、ピン結合方式のアン
カー１４ａ、１４ｂのピン係合溝１４ａ−３、１４ｂ−
３に嵌合可能な一対の結合ピン１７ａ−３を有してい
る。

【００１６】また、図２（Ｂ）に示す螺合方式のアダプ
ター１７ｂも、上記と同じくドリルのチャックに取着す
る丸棒状の軸部１７ｂ−１の先端部に前記アンカーの外
径にほぼ等しい外径の鍔部１７ｂ−２を有するが、この
アダプターの場合は、軸部１７ｂ−１の先端部に螺合方
式のアンカー１４ｃ、１４ｄの雌ねじ１４ｃ−３、１４
ｄ−３に螺合する雄ねじ１７ｂ−３が刻設されている。

【００１７】電動ドリル１８は、図２（Ａ）に示すピン
結合方式のアダプター１７ａ、あるいは図２（Ｂ）に示
す螺合方式のアダプター１７ｂを取着するチャック１８
−１を備えている。

【００１８】次に、図１（Ａ）に示すピン結合方式のア
ンカー１４ａを図２（Ａ）に示すピン結合方式のアダプ
ター１７ａを用いてパネルに埋設する方法を図３に基づ
いて説明する。裏面に所望深さの有底ボルト穴２を設け
たパネル本体１に、Ｆ字形のアンカー保持具１９を取付
ける。このＦ字形のアンカー保持具は、該保持具をパネ
ル本体に取付けた状態において２つの垂直板１９−１、
１９−２にパネル本体１の短辺小口面の中心と一致する
ようにアンカーより大径の透孔１９−３、１９−４が設
けられており、内側の垂直板１９−１がパネル本体の短
辺小口面に当接するようにねじ釘１９−４にてパネル本
体に取付ける。このアンカー保持具はあくまで埋設作業
の補助手段として用いるもので、必ずしも必要とするも
のではない。一方、電動ドリル１８には、図２（Ａ）に
示すピン結合方式のアダプター１７ａをチャック１８−
１に取着する。

【００１９】続いて、ピン結合方式のアンカー１４ａを
前記アンカー保持具１９の透孔１９−２、１９−３に挿
通してその先端の掘進刃１４ａ−２を、パネル本体１の
裏面に形成した有底ボルト穴２と直交する方向に向かっ
てパネル本体の短辺小口面に当接させて保持し、その状
態で当該アンカーのピン係合溝１４ａ−３に前記アダプ
ター１７ａを嵌合させると、電動ドリル１８を始動して
アンカー１４ａを掘進させる。そして、アンカー１４ａ
の中央部に管軸と直交する方向に設けられているナット
孔１４ａ−１に一致した時点でドリルを停止し、該ドリ
ルを後退させてアダプター１７ａをアンカー１４ａのピ
ン係合溝１４ａ−３より離脱させて抜取るととともに、
アンカー保持具１９もパネル本体１より取外すことによ
り、アンカーのパネル埋設を終了する。

【００２０】このようにしてアンカー１４ａのパネル埋
設を終了すると、図４に示すごとく、躯体取付金具２０
に挿通された締結ボルト６をパネル本体に設けた有底ボ
ルト穴２に差込み、前記アンカー１４ａのナット孔５に
挿入して螺着する。

【００２１】また、電動ドリルとの結合手段に螺合方式
を採用した図１（Ｃ）、（Ｄ）に示すアンカー１４ｃま
たはアンカー１４ｄを、図２（Ｂ）に示すアダプター１
７ｂを用いてパネル本体１に埋設する場合も同様の手順
で施工すればよいが、この螺合方式の場合は、電動ドリ
ル１８のアダプター１７ｂをパネル本体１より抜取る際
には、電動ドリル１８を逆回転させてアンカー１４ｃま
たは１４ｄからアダプター１７ｂを取外せばよい。

【００２２】なお、本発明においては、アンカーの掘進
刃、電動ドリル等の回転装置のアダプターとアンカーと
の係合機構、アダプターの形状等は、ここに例示したも
のに限定するものではなく、必要に応じて適宜選定すれ
ばよい。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したごとく、本発明のパネル埋
設アンカーは、電動ドリル等の回転装置を使用してパネ
ル本体に掘進させて所定位置に埋設する方式であるか
ら、パネル本体に事前に埋設用の穴を掘削しておく必要
がなく、工数を削減でき、また、埋設されたアンカーは
遊動することなく定位置に固定できるので、パネルのハ
ンドリングの際に脱落することがなく、さらにパネルの
短辺小口面から簡易迅速に、しかも埋設位置精度を損な
うことなく埋設することができる等の優れた効果を有
し、ＡＬＣパネル等の躯体取付施工における工期短縮、
施工費の低減に大なる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るアンカーの一例を示す側面図で、
（Ａ）は管状体の先端を斜めに切断して形成した掘進刃
を有するピン結合方式のアンカー、（Ｂ）は管状体の先
端を山形に形成した掘進刃を有するピン結合方式のアン
カー、（Ｃ）は管状体の先端を斜めに切断して形成した
掘進刃を有する螺合方式のアンカー、（Ｄ）は管状体の
先端を山形に形成した掘進刃を有する螺合方式のアンカ
ーをそれぞれ示す。

【図２】アンカーに係合させるアダプターの種類を示す
側面図で、（Ａ）はピン結合方式のアダプター、（Ｂ）
は螺合方式のアダプターをそれぞれ示す。

【図３】図１（Ａ）に示すピン結合方式のアンカーをパ
ネルに埋設する状態を示す縦断側面図である。

【図４】同上のアンカーに躯体取付金具をボルト止めし
た状態を示す縦断面図である。

【図５】ＡＬＣパネル等を建築物の外壁として躯体に取
付ける工法の従来例を示す縦断側面図である。

【図６】従来のパネル埋設アンカーの種類を示す斜視図
で、（Ａ）は丸棒状のアンカー、（Ｂ）、（Ｃ）は断面
半月状のアンカー、（Ｄ）は板状のアンカーをそれぞれ
示す。

【符号の説明】

１ パネル本体 ２ 有底ボルト穴 ６ 締結ボルト １４ａ、１４ｂ、１４ｃ、１４ｄ 管状体のアンカー １４ａ−１、１４ｂ−１、１４ｃ−１、１４ｄ−１ ナ
ット孔 １４ａ−２、１４ｂ−２、１４ｃ−２、１４ｄ−２ 掘
進刃 １４ａ−３、１４ｂ−３ ピン係合溝 １４ｃ−３、１４ｄ−３ 雌ねじ １７ａ ピン結合方式のアダプター １７ｂ 螺合方式のアダプター １７ａ−１、１７ｂ−１ 軸部 １７ａ−２、１７ｂ−２ 鍔部 １７ａ−３ 結合ピン １７ｂ−３ 雄ねじ １８ 電動ドリル １９ アンカー保持具 ２０ 躯体取付金具２０

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネル本体の表面に形成した有底ボルト
   穴に直交するように当該パネル本体短辺小口面より埋設
   し、前記ボルト穴から挿入した締結ボルトに螺着するよ
   うにしたパネル埋設アンカーであって、本体が管状体で
   構成され、該管状体の中央部には前記締結ボルトのナッ
   ト部を有し、かつ先端には掘進刃を有し、頭部には当該
   管状体を回転させて掘進させる装置のアダプター係合部
   を有することを特徴とするパネル埋設アンカー。