JPH088371B2 - 薄膜太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池及びその製造方法

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JPH088371B2
JPH088371B2 JP5048952A JP4895293A JPH088371B2 JP H088371 B2 JPH088371 B2 JP H088371B2 JP 5048952 A JP5048952 A JP 5048952A JP 4895293 A JP4895293 A JP 4895293A JP H088371 B2 JPH088371 B2 JP H088371B2
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信一 村松
猛志 渡辺
謙 筒井
克 田村
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    • Y02E10/548Amorphous silicon PV cells

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SiとGeを主な構成
元素とするi形層を有する非単結晶薄膜太陽電池及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、非単結晶薄膜太陽電池として、非
晶質シリコン(a−Si:H)をi形層として用いるも
のが一般的であった。しかし、非晶質シリコンはバンド
ギャップが1.8eVと太陽光を有効に利用するには広
過ぎるため発電効率は限られていた。このため、よりバ
ンドギャップの狭い非晶質シリコンゲルマニウム(a−
SiGe:H)を用いた太陽電池が開発されている。し
かし、単にゲルマニウムを膜中に導入しただけでは膜の
ギャップ内準位密度がa−Si:Hの2×1016個/c
3から1017個/cm3或いは1018個/cm3にも増
加するため、i形層内で生成したキャリヤがすぐに再結
合し、電流として取り出せないため効率のよい太陽電池
ができないという問題があった。近年、第20回アイ・
イー・イー・イー・光起電力専門家会議講演集、第79
頁(1988)(Proc. 20th IEEEPHOTOVOLTAIC SPECIA
LISTS CONFERENCE,p.79(1988)Las Vegas)において発
表されたように、発電効率向上のため、i形層内におけ
るSiとGeの組成を膜厚方向に変化させ、濃度分布を
持たせることが行われ、効率向上に効果をあげている。
【0003】一方、i形層であるa−SiGe:H中に
微量の硼素原子を添加することにより発電効率の向上が
図られることが特開昭61−232685に示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記講演集記載の従来
技術は、ギャップ内準位密度の増加による発電特性の劣
化をなお十分に防ぐことができないという問題があっ
た。また、上記特開昭61−232685記載の従来技
術は、硼素原子添加の効果がa−Si:Hのi形層と異
なり、あまり大きくないという問題があった。
【0005】本発明の目的は、i形層を構成するa−S
iGe:Hを高品質化した高効率の薄膜太陽電池及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の薄膜太陽電池は、p形層、n形層及びこの
2つの層の間に配置されたSiとGeを主成分とするi
形層からなる薄膜半導体接合が基板上に設けられ、i形
層は、一部分結晶化した非晶質層であり、SiとGeが
深さ方向に濃度分布を持ち、さらにi形層中には、Ge
の最高濃度位置で最高濃度となるように濃度分布を持っ
硼素(B)がドーピングされている。
【0007】p形層、i形層、n形層のそれぞれの厚み
は50Åから200Åの範囲、1000Åから8000
Åの範囲、100Åから500Åの範囲であることが好
ましい。i形層中のGeの最高濃度は、30at%から
60at%の範囲であることが好ましく、またその位置
は、p形層に近い位置にあること、すなわち、i形層の
厚みの1/2よりもp形層に近いいちにあることが好ま
しい。さらにその位置は、p形層の側から50Å以上離
れた位置にあることが好ましい。の最高濃度は、1×
1016個/cm3から1×1018個/cm3の範囲の濃度
であることが好ましい。
【0008】さらに本発明の薄膜太陽電池の製造方法
は、基板上に、p形層又はn形層の内の一方の層を形成
し、この層の上にSiとGeを主成分とする一部分結晶
化した非晶質のi形層を形成するときに、SiとGeの
原料の比率を変化させて、SiとGeが深さ方向に濃度
分布を持つように形成し、さらにをGeの最高濃度位
置で最高濃度となる濃度分布を持つようにドーピング
し、ついでこのi形層の上にp形層又はn形層の内の上
記一方の層と異なる他方の層を形成するものである。
【0009】
【作用】本発明の方法においては、i形層中のGeの濃
度変化に従うギャップ内準位密度の増減に合わせて、添
加するの量を変化させることで、a−SiGe:H膜
の微量ドーパント添加による膜質改善効果を飛躍的に向
上させるものである。これにより、i形層中のn形のギ
ャップ内準位をp形のドーパントにより不活性化するこ
とで実質的にギャップ内準位密度の低減がなされると考
えられる。この時、ギャップ内準位を埋める以上にドー
パントが存在するとキャリヤ輸送特性の劣化を生じる。
このためギャップ内準位密度の変化に従ってドーパント
濃度を増減させることが重要である。従って、一定濃度
の微量ドーパント添加では効果がないかまたは逆に効率
の低下をもたらす場合もあった。
【0010】
【実施例】〈比較例1〜3〉 本発明の比較例1〜3の薄膜太陽電池の形成手順を図1
及び図2を用いて説明する。表面に7000Åの厚みの
透明導電性酸化物(SnO2(Sbドープ))2を有す
るガラス基板1上に、13.56MHのRF(マイクロ
波)プラズマCVD(化学気相成長)法で100%Si
4、100%CH4、1%B26(H2ベース)から、
バンドギャップ2.05eVのp形a−SiC:H膜3
を100Åの厚みに形成した。
【0011】続いて、100%SiH4、100%Ge
4、20ppmB26(H2ベース)から、RF(1
3.56MH)プラズマCVD法でi形a−SiGe:
H膜4を3000Åの厚みに形成した。i形a−SiG
e:H膜4形成時の各ガス組成を制御して、形成された
膜の膜厚方向のSi/Ge組成比を図2(a)に示すよ
うにした。図1のAの部分の長さが図2の縦軸のAの部
分に相当する。Ge組成の最大値は40at%であり、
その位置はp形a−SiC:H膜3側から300Åのと
ころにある。20ppmB26(H2ベース)について
もその量を制御し、形成された膜の膜厚方向のドーピン
グ濃度を(1)図2(b)に示すような濃度分布とした
もの(比較例1とする)、(2)図2(c)に示すよう
に一定濃度としたもの、(比較例とする)(3)図2
(d)に示すようにドーピングしないもの(比較例
する)の3種類とした。
【0012】次に、RF(13.56MH)プラズマC
VD法で100%SiH4、0.1%PH3(H2ベー
ス)から、微結晶n膜5を300Åの厚みに形成した。
続いて、裏面電極6としてAlをマスク蒸着し、さら
に、裏面電極6下部以外の積層膜をCF4プラズマエッ
チング法により図1(b)に示すように除去した。除去
部分上にAlをマスク蒸着し、透明導電性酸化物2から
の引き出し電極7を形成し薄膜太陽電池とした。この薄
膜太陽電池を650nm以下の短波長成分を除いた太陽
光照射下で変換効率を測定した。比較例1〜3の値は各
々3.01,2.74,2.46であった。
【0013】
【0014】これから明らかなように、比較例1の硼素
の濃度分布を持たせた場合が最もよい変換効率が得られ
た。なお、上記製造方法ではBのドーピングにB 2 6
用いたがBF 3 等他のB化合物を用いても同様の薄膜太
陽電池が得られた。
【0015】〈比較例4,5〉 本発明の比較例4の薄膜太陽電池の形成手順を図3を用
いて説明する。図3(a)に示すように、SUS基板8
上に、金属電極層9としてTi(200Å)/Ag(5
00Å)を蒸着法で形成し、さらにバリヤー層10とし
て800Åの厚みの透明導電性酸化物(ZnO(Alド
ープ))をスパッタ法で形成した。次に、RF(13.
56MH)プラズマCVD法で100%SiH4、0.
1%PH3(H2ベース)から、n形a−Si:H膜11
を300Åの厚みに形成した。
【0016】引き続き、100%SiH4、100%G
eH4、20ppmBF3(H2ベース)から、マイクロ
波プラズマCVD法でi形a−SiGe:H膜12を3
000Åの厚みに形成した。このとき、Si及びGe原
料ガス及びドーピングガスについてはガス流量を制御
し、Si/Ge組成比及びドーピング濃度を図3
(b)、(c)に示したように膜厚方向に変化させた。
【0017】つぎに100%CH4、1%B26(H2
ース)から、p形微結晶膜13を100Åの厚みに形成
した。続いて、透明電極14としてITOをマスク蒸着
し、さらに、透明電極14の周辺部に周辺電極15とし
てAlをマスク蒸着し、透明電極14からの電極引き出
しを行い薄膜太陽電池とした。640nm以下の短波長
成分を除いた太陽光照射下で、この薄膜太陽電池の特性
測定を行ったところ、短絡電流、曲線因子のいずれも向
上し、3.2%の変換効率が得られた。これは比較例
の結果よりさらに良いものである。
【0018】一方、比較例4と比較のため、比較例5の
ようにBF3(H2ベース)を8ppm一定でドーピング
した場合には短絡電流、曲線因子が非常に低下し、1.
9%の変換効率しか得られなかった。すなわち比較例4
ではドーパントの影響、効果が顕著であった。
【0019】〈実施例〉 本発明の第の実施例の薄膜太陽電池の形成を説明す
る。比較例4と同一のプロセスでn形a−Si:H膜1
1まで形成し、その後i形a−SiGe:H膜形成にお
いては20Å形成ごとに20秒間のプラズマ水素処理を
行い、これを繰り返して3000Åの厚みにした。この
ときi形膜の一部分に結晶化が見られた。その後、比較
例4と同一のプロセスで薄膜太陽電池を作成し、上記と
同じ評価を行った。その結果、膜内のギャップ内準位密
度が低減し、比較例4に比べてさらに曲線因子が向上
し、変換効率として3.3%が得られた。
【0020】なお、上記実施例においては単接合太陽電
池のみについて示した。しかし、本発明は、a−SiG
e太陽電池を狭バンドギャップ接合層とする多接合太陽
電池に適用できることが明らかである。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、a−SiGe太陽電池
のi層内に、がGeの最高濃度位置で最高濃度となる
濃度分布を持ってドーピングされているので電界強度分
布の最適設計が可能で、太陽電池の高効率化が図れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の比較例1〜3の薄膜太陽電池の概略断
面図。
【図2】本発明の比較例1〜3の薄膜太陽電池のi形層
のSi/Ge組成比及びドーピング濃度を示す図。
【図3】本発明の第の実施例および比較例4,5の薄
膜太陽電池の概略断面図及びi形層のSi/Ge組成比
及びドーピング濃度を示す図。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…透明導電性酸化物、3…p形a−
SiC:H膜、4…i形a−SiGe:H膜、5…微結
晶n膜、6…裏面電極、7…引き出し電極、8…SUS
基板、9…金属電極層、10…バリヤー層、11…n形
a−Si:H膜、12…i形a−SiGe:H膜、13
…p形微結晶膜、14…透明電極、15…周辺電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 克 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 平4−214679(JP,A) 特開 平4−214681(JP,A) 特開 平4−233282(JP,A) 特開 昭61−232685(JP,A) 特開 昭57−13185(JP,A) 特開 昭60−41267(JP,A) 特開 昭60−218841(JP,A) 特開 昭57−194521(JP,A) 特開 昭59−16328(JP,A) 特開 昭57−115823(JP,A) 特開 昭57−160124(JP,A) 特開 昭64−25518(JP,A) 特開 平2−65121(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p形層、n形層及び該p形層とn形層の間
    に配置されたSiとGeを主成分とするi形層からなる
    薄膜半導体接合を基板上に有する薄膜太陽電池におい
    て、上記i形層は、一部分結晶化した非晶質層であり
    SiとGeが深さ方向に濃度分布を持ち、上記i形層中
    のGeの最高濃度位置は、上記p形層の側から50Å以
    上離れた位置で、かつ、上記i形層の厚みの1/2より
    もp形層に近い位置にあり、さらに上記i形層中には、
    硼素がGeの最高濃度位置で最高濃度となる濃度分布を
    持ってドーピングされており、上記硼素の最高濃度は、
    1×10 16 個/cm 3 から1×10 18 個/cm 3 の範囲の
    濃度であることを特徴とする薄膜太陽電池。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜太陽電池において、
    上記基板上には非透光性の金属電極が設けられ、該金属
    電極上に、上記n形層、i形層及びp形層がこの順に配
    置されたことを特徴とする薄膜太陽電池。
  3. 【請求項3】 基板上に、p形層又はn形層の内の一方の
    層を形成し、該層の上にSiとGeを主成分とするi形
    層を形成し、該i形層の上にp形層又はn形層の内の上
    記一方の層と異なる他方の層を形成して薄膜半導体接合
    を構成する薄膜太陽電池の製造方法において、上記i形
    を、マイクロ波プラズマ化学気相成長法による材料膜
    の被着形成と該材料膜の水素プラズマ処理を交互に複数
    回行ない、かつ、SiとGeの原料の比率を変化させ
    て、一部分結晶化した非晶質で、SiとGeが深さ方向
    に濃度分布を持ち、上記i形層中のGeの最高濃度位置
    が、上記p形層の側から50Å以上離れた位置で、か
    つ、上記i形層の厚みの1/2よりもp形層に近い位置
    にあるように、さらに上記i形層中に、硼素がGeの最
    高濃度位置で最高濃度となる濃度分布を持ってドーピン
    グして、上記硼素の最高濃度が1×10 16 個/cm 3
    ら1×10 18 個/cm 3 の範囲となるように形成するこ
    とを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項記載の薄膜太陽電池の製造方法に
    おいて、上記硼素のドーピングは、硼素のフッ化物をガ
    スソースとして行うことを特徴とする薄膜太陽電池の製
    造方法。
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