JPH0882884A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH0882884A
JPH0882884A JP21894994A JP21894994A JPH0882884A JP H0882884 A JPH0882884 A JP H0882884A JP 21894994 A JP21894994 A JP 21894994A JP 21894994 A JP21894994 A JP 21894994A JP H0882884 A JPH0882884 A JP H0882884A
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JP21894994A
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Yasuo Taima
恭雄 當間
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度、低カブリで残色汚染がなく、かつ経
時保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料の提供。 【構成】 (1)感光性ハロゲン化銀乳剤がハロゲン化
銀粒子の粒子形成後から塗布までの工程中に、下記一般
式〔I〕で表される沃化物イオン放出剤の少なくとも1
種が添加されることを特徴とするハロゲン化銀写真感光
材料。 一般式〔I〕 R−I (式中、Rは塩基及び/又は求核試薬との反応により沃
化物イオンを放出する1価の有機残基を表す。) (2)ハロゲン化銀乳剤がセレン増感されていることを
特徴とする(1)項記載のハロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高感度のハロゲン化銀写
真感光材料に関し、詳しくは高感度でカブリと残色汚染
が少なく、かつ経時安定性に優れたハロゲン化銀写真感
光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、感光材料特に医療用感光材料にお
いては高感度、高画質と併せて迅速処理性が強く要望さ
れている。
【0003】従来よりハロゲン化銀乳剤の高感度化に関
しては多くの提案がなされており、例えば特開昭63-305
343号では化学熟成中に増感色素を添加することによ
り、分光感度を上げ、かつ現像速度が速められることを
開示している。
【0004】しかし迅速処理では定着時間や水洗時間が
短縮されているために、多量の増感色素を含有した感光
材料では吸着色素の溶出が不十分となり、その結果処理
後のフィルムに残色汚染を発生する。そこで必要最小量
の増感色素をハロゲン化銀粒子表面に効率よく吸着させ
ることが好ましいと考えられている。
【0005】増感色素の吸着量を増す目的でハロゲン化
銀粒子表面に沃化銀を導入することが知られている。該
方法は沃化カリウム水溶液を乳剤に添加してコンバージ
ョンを起こす方法であるが色素の吸着量を増加する反
面、ハロゲン化銀粒子の固有感度の減少が著しいという
欠点がある。この固有感度減少を防止する目的で沃化銀
粒子を添加する方法が開示されているが、経時保存でカ
ブリの増加とガンマの低下を引き起こす欠点があり好ま
しくない。
【0006】なお、特開平2-68538号、同5-323487号に
はハロゲン化銀粒子の粒子形成時に沃化物イオン放出剤
を用いることにより高感度、低カブリの乳剤を得られこ
とを開示している。しかし該技術は全て粒子形成時に沃
化物イオン放出剤を用いた粒子内部のハロゲン化銀組成
に関するものであって、粒子形成後の使用に関しての記
載及びその示唆はなされていない。
【0007】一方、ハロゲン化銀乳剤の化学増感剤とし
て近年、硫黄化合物に替わってセレン化合物による化学
増感法が数多く研究開発されている。しかしながらセレ
ン増感法では高感度を得られる反面、カブリを発生し易
くなるという好ましくない欠点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は
高感度、低カブリ性で、処理後に残色汚染がなく、かつ
経時保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は下記によ
り達成された。
【0010】(1)支持体の両側に少なくとも1層の感
光性ハロゲン化銀乳剤層と非感光性親水性層を有するハ
ロゲン化銀写真感光材料において、該乳剤層を構成する
ハロゲン化銀粒子の粒子形成後から塗布までの工程中
に、下記一般式〔I〕で表される沃化物イオン放出剤の
少なくとも1種が添加されることを特徴とするハロゲン
化銀写真感光材料。
【0011】一般式〔I〕 R−I (式中、Rは塩基及び/又は求核試薬との反応により沃
化物イオンを放出する1価の有機残基を表す。) (2)ハロゲン化銀粒子がセレン化合物で増感されてい
ることを特徴とする(1)項記載のハロゲン化銀写真感
光材料。
【0012】以下、本発明を詳述する。
【0013】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支
持体の両面に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤
層と非感光性親水性層を有するハロゲン化銀写真感光材
料であって例えばX線用の医療用ハロゲン化銀写真感光
材料で代表される。
【0014】本発明で言う非感光性親水性層とは感光性
乳剤層以外の親水性コロイド層を指し例えば保護層、中
間層、実質的な感光性を有しないハロゲン化銀乳剤層或
いは帯電防止層などが挙げられる。
【0015】次に本発明に用いられる上記一般式〔I〕
の沃化物イオン放出剤について述べる。一般式〔I〕の
式中のRは塩基及び/又は求核試薬との反応により沃化
物イオンを放出する1価の有機残基を表し、ハロゲン原
子(例えばフッ素、塩素、臭素、沃素など)、アルキル
基(例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピ
ル、t-ブチル、n-オクチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシルなど)、アルケニル基(例えばアリル、2‐ブテ
ニル、3-ペンテニルなど)、アルキニル基(例えばプロ
パルギル、3-ペンチニルなど)、アラルキル基(例えば
ベンジル、フェネチルなど)、アリール基(例えばフェ
ニル、ナフチル、4-メチルフェニルなど)、複素環基
(例えばピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジ
ル、モルホリルなど)、アルコキシ基(例えばメトキ
シ、エトキシ、ブトキシなど)、アリールオキシ基(例
えばフェノキシ、ナフトキシなど)、アミノ基(例えば
無置換アミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、アニリ
ノなど)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベ
ンゾイルアミノなど)、ウレイド基(例えば無置換ウレ
イド、N-メチルウレイド、N-フェニルウレイドなど)、
ウレタン基(例えばメトキシカルボニルアミノ、フェノ
キシカルボニルアミノなど)、スルホニルアミノ基(例
えばメチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミ
ノなど)、スルファモイル基(例えばスルファモイル、
N-メチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイルな
ど)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、ジエチル
カルバモイル、フェニルカルバモイルなど)、スルホニ
ル基(例えばメチルスルホニル、ベンゼンスルホニルな
ど)、スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル、フ
ェニルスルフィニルなど)、アルキルオキシカルボニル
基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルな
ど)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシ
カルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイ
ル、ホルミル、ピバロイルなど)、アシルオキシ基(例
えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、リン酸アミ
ド基(例えばN,N-ジエチルリン酸アミド)、アルキルチ
オ基(例えばメチルチオ、エチルチオなど)、アリール
チオ基(例えばフェニルチオ)、シアノ基、スルホ基、
カルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基
などが挙げられる。
【0016】さらに好ましいRの置換基としてはハロゲ
ン原子、アルキル基、アリール基、酸素原子、硫黄原子
または窒素原子を少なくとも1つ含有した5または6員
の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル
アミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキ
ルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキ
シカルボニル基、アシル基、スルホ基、カルボキシル
基、ヒドロキシ基、ニトロ基などである。
【0017】Rの特に好ましい置換基としてはアルキレ
ン基に置換する場合はヒドロキシ基、カルバモイル基、
低級アルキルスルホニル基又はスルホ基(その塩も含
む)であって、フェニレン基に置換する場合はスルホ基
(その塩も含む)が挙げられる。
【0018】次に本発明に係る上記一般式〔I〕の沃化
物イオン放出剤の具体例を挙げるが本発明はこれらに限
定されない。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】上記の沃化物イオン放出剤は例えば下記に
記載の方法に準じて容易に合成することができる。
【0028】J.Am.Chem.Soc.76,3227-8(1954), J.Org.C
hem.16,798(1951), Chem.Ber.97.390(1946), Org.Synt
h.V,478(1973), J.Chem.Soc.1951,1851, J.Org.Chem.1
9,1571(1954), J.Chem.Soc.1955,1383, Chem.Commu,197
1,1112。
【0029】本発明の沃化物イオン放出剤は塩基及び/
又は求核試薬との反応により沃化物イオンを放出する
が、その際に用いられる求核試薬としては好ましくは以
下の化学種が挙げられる。例えば水酸化物イオン、亜硫
酸イオン、ヒドロキシルアミン、チオ硫酸イオン、メル
カプタン類、スルフィン酸類、カルボン酸類、アルコー
ル類、尿素類、チオ尿素類、フェノール類、ヒドラジン
類、ヒドラジド類、ホスフィン類、スルフィド類などが
挙げられる。
【0030】本発明においては塩基や求核試薬の濃度、
添加方法、反応液の温度をコントロールすることにより
沃化物イオンの放出速度、タイミングをコントロールす
ることができる。沃化物イオンの放出剤の好ましい濃度
範囲は1×10-5〜10M、より好ましくは1×10-4〜5M
である。好ましい温度範囲は30℃〜80℃であり、より好
ましくは35℃〜60℃である。温度が80℃を上回る高温で
は、一般に沃化物イオン放出速度が極めて速く、また30
℃を下回る低温では沃化物イオン放出速度が極めて遅い
ため好ましくない。
【0031】本発明において沃化物イオン放出の際に塩
基を用いる場合、液pHの変化を用いてもよい。このと
き沃化物イオンの放出速度、タイミングをコントロール
するのに好ましいpHの範囲は2〜12、より好ましくは
5〜10である。
【0032】また求核試薬と塩基を併用してもよく、こ
のときもpHを上記の範囲でコントロールし沃化物イオ
ンの放出速度、タイミングをコントロールしてもよい。
【0033】沃化物イオンの放出剤から沃化物イオンを
放出させる場合、全沃素原子を放出させてもよいし、一
部は分解せずに残っていてもよい。
【0034】本発明では沃化物イオン放出速度は前記の
ように温度、pH、沃化物イオン放出剤、塩基、求核試
薬の濃度をコントロールすることで決定でき、目的に応
じて好ましい沃化物イオン放出速度を選ぶことができ
る。
【0035】沃化物イオン放出剤の添加はハロゲン化銀
粒子の形成後、塗布乾燥にいたる工程のどの段階で添加
されてもよく、例えば脱塩、化学熟成、塗布液調製のい
ずれか一つの工程に添加されてもよいし、或いはいくつ
かの工程にまたがって添加されてもよい。
【0036】本発明において沃化物イオン放出剤の好ま
しい添加時期は化学熟成工程であり、熟成容器の反応液
中に、化学増感剤及び/又は分光増感色素と同時に存在
することが好ましい。ここでいう化学熟成工程とは乳剤
の脱塩操作が終了した時点から化学増感剤を添加し、そ
の後、化学熟成を停止するためにの操作をした時点まで
の間を指す。反応液中に沃化物イオン放出剤と同時に存
在する化学増感剤としてはチオ硫酸ナトリウムが好まし
く使用される。
【0037】本発明における沃化物イオン放出のコント
ロールは、次のような方法が好ましい。即ち、反応液中
に添加され、すでに均一に分布している沃化物イオン放
出剤からpH、求核性物質の濃度、温度などを変化させ
ることにより通常は低pHから高pHへの変化により、沃
化物イオンを反応液の全体で均一にコントロールしなが
ら放出させる方法である。
【0038】沃化物イオン放出反応速度をコントロール
するための塩基及び/又は求核性物質は、沃化物イオン
放出剤を添加する以前に反応液中に存在していてもよい
が沃化物イオン放出剤が均一に分布している状態で添加
することが好ましい。
【0039】本発明に係るハロゲン化銀乳剤層のハロゲ
ン化銀粒子は、正常晶粒子即ち、立方体、8面体、14面
体のようなすべて等方的に成長したもの、或は球形のよ
うな多面的な結晶型のもの、又は面欠陥を有した双晶か
らなるもの或はそれらの混合型又は複合型であってもよ
いが、平板状のハロゲン化銀粒子が好ましく用いられ
る。
【0040】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、公知の方法で製造できる。例えばリサー
チ・ディスクロージャー(RD)No.17643(1978年12月),22
〜23頁の“Emulsion Preparation and Types”に記載の
方法、或は同(RD)No.18716(1979年11月),648頁に記載
の方法で調製することができる。
【0041】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、例えばT.H.James著“The Theory of the
Photographic process”第4版、Macmillan社刊(1977
年)38〜104頁に記載の方法、G.F.Duffin著“Photograph
ic Emulsion Chemistry”、Focal Press社刊(1966年)、
P.Glafkides著“Chimie et Physique Photographique”
Paul Montel社刊(1967年)或はV.L.Zelikman他著“Makin
g And Coating Photographic Emulsion" Focal Press社
刊(1964)などに記載の方法により調製することができ
る。
【0042】即ち、酸性法、アンモニア法、中性法など
の溶液条件にて順混合法、逆混合法、ダブルジェット
法、コントロール・ダブルジェット法などの混合条件、
コンバージョン法、コア/シェル法などの粒子調製条件
およびこれらの組合わせ法を用いて製造することができ
る。
【0043】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤の好ましい実施態様としては、沃化銀を粒子
内部に局在させた単分散乳剤が挙げられる。
【0044】本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀
乳剤としては、例えば特開昭59-177535号、同61-802237
号、61-132943号、同63-49751号などに開示されている
内部高沃度型単分散粒子が挙げられる。結晶の晶癖は立
方体、8面体、14面体及びその中間の{111}面と{10
0}面が任意に混在していてもよい。
【0045】ここで言う単分散とは、常法により平均粒
子直径を測定したとき、粒子数又は重量で少なくとも95
%の粒子が平均粒子径の±40%以内、好ましくは±30%
以内にあるハロゲン化銀粒子である。ここで言う単分散
性とは、特開昭60-162244号で定義されたもので、粒径
に関する変動係数が0.20以下のものである。
【0046】ハロゲン化銀の結晶構造は、内部と外部が
異なったハロゲン化銀組成からなっていてもよい。即
ち、コアと、そのコアとはハロゲン組成の異なる少なく
とも1層以上のシェルからなるコア/シェル構造を有す
るものである。高沃度部の沃化銀含量は20〜40モル%で
特に好ましくは20〜30モル%である。
【0047】係る単分散乳剤の製法は公知であり、例え
ばJ.Phot.Sci,12.242〜251,(1963)、特開昭48-36890
号、同52-16364号、同55-142329号、同58-49938号、英
国特許1,413,748号、米国特許3,574,628号、同3,655,39
4号などに詳しく記載されている。
【0048】上記の単分散乳剤を得るための方法とし
て、例えば種晶を用い、この種晶を成長核として銀イオ
ン及びハライドイオンを供給し成長させた乳剤が特に好
ましい。
【0049】なお、コア/シェル型乳剤の製法は公知
で、例えば英国特許1,027,146号、米国特許3,505,068
号、同4,444,877号或は特開昭60-143331号などに記載の
方法を参考にすることができる。
【0050】本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、
アスペクト比(粒子径/粒子厚みの比)が3以上の平板状
粒子が好ましく用いられる。
【0051】平板状ハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.3
〜3.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜1.5μmであ
る。
【0052】本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤は、
粒子直径/厚さ(アスペクト比と呼ぶ)の平均値(平均
アスペクト比と呼ぶ)が3以上であり、好ましくは3〜
20で、特に好ましくは3〜10である。
【0053】本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤の平
均厚さは1.0μm以下が好ましく、特に好ましくは0.5μm
以下であり、更に好ましくは、0.3μm以下である。
【0054】かかる平板状ハロゲン化銀粒子の利点は、
分光増感効率の向上、画像の粒状性及び鮮鋭性の改良な
どが得られるとして例えば、英国特許2,112,157号、米
国特許4,439,520号、同4,433,048号、同4,414,310号、
同4,434,226号などに開示されている。
【0055】本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子
の直径は、ハロゲン化銀粒子の電子顕微鏡写真の観察か
ら粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径として
定義される。
【0056】本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子
の厚さは、平板状ハロゲン化銀粒子を構成する二つの平
行な面の距離のうち最小のものと定義される。
【0057】平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、ハロゲ
ン化銀粒子の影の付いた電子顕微鏡写真又はハロゲン化
銀乳剤を支持体に塗布し乾燥したサンプル断層の電子顕
微鏡写真から求めることができる。
【0058】平均アスペクト比を求めるためには、最低
100サンプルの測定を行う。
【0059】本発明のハロゲン化銀乳剤において、平板
状ハロゲン化銀粒子が全ハロゲン化銀粒子に占める割合
は50%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましく
は70%以上である。
【0060】本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤は単
分散であることが好ましく、ここで単分散であること
は、粒径の変動係数(粒径の標準偏差/平均粒径×10
0)が25%以下であり、好ましくは20%以下、特に好ま
しくは15%以下であることを言う。
【0061】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、塩化
銀、臭化銀、沃化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀
などハロゲン化銀組成は任意であるが、高感度という点
からは沃臭化銀が好ましく、平均沃化銀含有率は0.1〜
4.0モル%であって特に好ましくは0.5〜3.0モル%であ
る。さらに迅速処理性という点から塩沃臭化銀が好まし
い。
【0062】塩化銀は、粒子中いずれの部位に含有され
てもよいが、特に最外層のシェルに塩化銀を偏在させる
ことが好ましい。最外層のシェルの平均塩化銀含有率
は、0.3モル%以上、好ましくは1〜60モル%、特に好
ましくは5〜40モル%である。
【0063】又、本発明に係る平板状ハロゲン化銀乳剤
は、ハロゲン組成が粒子内で均一であってもよく、さら
に沃化銀が局在したものであってもよいが、中心部に局
在したものが好ましく用いられる。平板状ハロゲン化銀
乳剤の製造方法は、特開昭58-113926号、同58-113927
号、同58-113934号、同62-1855号、ヨーロッパ特許219,
849号、同219,850号等を参考にすることもできる。又、
単分散性の平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法として、
特開昭61-6643号を参考にすることができる。
【0064】高アスペクト比を持つ平板状の沃臭化銀乳
剤の製造方法としては、pBrが2以下に保たれたゼラチ
ン水溶液に硝酸銀水溶液を添加するか又は硝酸銀水溶液
とハロゲン化物水溶液を同時に添加して双晶種粒子を発
生させ、次にダブルジェット法により成長させることに
よって得ることができる。平板状ハロゲン化銀粒子の大
きさは、粒子形成時の温度、銀塩及びハロゲン化物水溶
液の添加速度によってコントロールできる。
【0065】本発明に係るハロゲン化銀乳剤の平均沃化
銀含有率及び平均塩化銀含有率は、添加するハロゲン化
物水溶液の組成すなわち臭化物と沃化物及び塩化物の比
を変えることによりコントロールすることができる。
又、親粒子の製造時に必要に応じてアンモニア、チオエ
ーテル、チオ尿素等のハロゲン化銀溶剤を用いることが
できる。
【0066】乳剤は可溶性塩類を除去するためにヌード
ル水洗法、フロキュレーション沈降法などの水洗方法が
なされてよい。好ましい水洗法としては、例えば特公昭
35-16086号記載のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アル
デヒド樹脂を用いる方法、又は特開昭63-158644号記載
の凝集高分子剤例示G3、G8などを用いる方法が特に
好ましい脱塩法として挙げられる。
【0067】本発明の乳剤は、セレン化合物によりセレ
ン増感される。
【0068】本発明に係る乳剤の化学熟成温度は、任意
に決められるが好ましくは20℃〜90℃の範囲で、好まし
くは30℃〜80℃で、より好ましくは35℃〜70℃である。
【0069】次にセレン化合物について述べる。
【0070】本発明で用いられるセレン増感剤は、従来
公知の特許に開示されているセレン化合物を用いること
ができる。セレン増感は通常、不安定型セレン化合物及
び/又は非不安定型セレン化合物をハロゲン化銀乳剤に
添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間
撹拌することにより行われる。不安定型セレン化合物と
しては例えば特公昭44-15748号、特公昭43-13489号など
に記載の化合物を用いることが好ましい。具体的な不安
定セレン化合物としては、イソセレノシアネート類(例
えばアリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソセレ
ノシアネート類)、セレノ尿素類、セレノケトン類、セ
レノアミド類、セレノカルボン酸類(例えば2-セレノプ
ロピオン酸、2-セレノ酪酸)、セレノエステル類、ジア
シルセレニド類(例えばビス(3-クロロ-2,6-ジメトキシ
ベンゾイル)セレニド)、セレノホスフェート類、ホス
フィンセレニド類、コロイド状金属セレンなどがあげら
れる。
【0071】本発明で用いられる非不安定型セレン化合
物としては例えば特公昭46-4553号、特公昭52-34492号
及び特公昭52-34491号に記載の化合物が用いられる。非
不安定型セレン化合物としては例えば亜セレン酸、セレ
ノシアン化カリウム、セレナゾール類、セレナゾール類
の四級塩、ジアリールセレニド、ジアリールジセレニ
ド、ジアルキルセレニド、ジアルキルジセレニド、2-セ
レナゾリジンジオン、2-セレノオキサゾリジンジオンお
よびこれらの誘導体等があげられる。
【0072】セレン化合物として好ましいものは以下の
一般式(1)および(2)で挙げることができる。
【0073】
【化9】
【0074】式中、Z1及びZ2はそれぞれ同じでも異な
っていてもよく、アルキル基(例えばメチル、エチル、
t-ブチル、アダマンチル、t-オクチル)、アルケニル基
(例えばビニル、プロペニル)、アラルキル基(例えば
ベンジル、フェネチル)、アリール基(例えばフェニ
ル、ペンタフルオロフェニル、4-クロロフェニル、3-ニ
トロフェニル、4-オクチルスルファモイルフェニル、ナ
フチル)、複素環基(例えばピリジル、チエニル、フリ
ル、イミダゾリル)、−NR1(R2)、−OR3または−SR4
表す。
【0075】R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同じでも
異なっていてもよく、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基または複素環基を表す。アルキル基、アラルキル
基、アリール基または複素環基としてはZ1と同様な例
が挙げられる。ただし、R1及びR2は水素原子またはア
シル基(例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、
ヘプタフルオロブタノイル、ジフルオロアセチル、4-ニ
トロベンゾイル、ナフトイル、4-トリフルオロメチルベ
ンゾイル)であってもよい。
【0076】一般式(1)中、好ましくはZ1はアルキ
ル基、アリール基または−NR1(R2)を表し、Z2は−NR
5(R6)を表す。R1、R2、R5及びR6はそれぞれ同じで
も異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリー
ル基、またはアシル基を表す。
【0077】一般式(1)中、より好ましくはN,N-ジア
ルキルセレノ尿素、N,N,N′-トリアルキル-N′-アシル
セレノ尿素、テトラアルキルセレノ尿素、N,N-ジアルキ
ル-アリールセレノアミド、N-アルキル-N-アリールセレ
ノアミドを表す。
【0078】これらのセレン増感剤は水またはメタノー
ル、エタノールなどの有機溶媒の単独または混合溶媒に
溶解し、化学増感時に添加される。好ましくは化学増感
開始前に添加される。使用されるセレン増感剤は1種に
限られず上記セレン増感剤の2種以上を併用して用いる
ことができる。不安定セレン化合物と非不安定セレン化
合物を併用してもよい。本発明に使用されるセレン増感
剤の添加量は、用いるセレン増感剤の活性度、ハロゲン
化銀の種類や大きさ、熟成の温度および時間などにより
異なるが、好ましくは、ハロゲン化銀1モル当たり1×
10-8以上である。より好ましくは1×10-7モル以上3×
10-5モル以下である。セレン増感剤を用いた場合の化学
熟成の温度は好ましくは45℃以上である。より好ましく
は50℃以上、80℃以下である。pAgおよびpHは任意であ
る。例えばpHは4から9までの広い範囲で本発明の効
果は得られる。セレン増感をハロゲン化銀溶剤の存在下
で行うことは、より効果的である。
【0079】本発明で用いることができるハロゲン化銀
溶剤としては、例えば米国特許3,271,157号、同3,531,2
89号、同3,574,628号、特開昭54-1019号、同54-158917
号等に記載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53
-82408号、同55-77737号、同55-2982号等に記載された
(b)チオ尿素誘導体、特開昭53-144319号に記載され
た(c)酸素または硫黄原子と窒素原子とにはさまれた
チオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54
-100717号に記載された(d)イミダゾール類、(e)
亜硫酸塩、(f)チオシアネート等が挙げられる。特に
好ましい溶剤としては、チオシアネートおよびテトラメ
チルチオ尿素がある。また用いられる溶剤の量は種類に
よっても異なるが、例えばチオシアネートの場合、好ま
しい量はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4以上1×10
-2モル以下である。本発明のハロゲン化銀乳剤は、化学
増感においてイオウ増感及び/又は金増感を併用するこ
とによりさらに高感度、低カブリを達成することができ
る。イオウ増感は、通常、イオウ増感剤を添加して、高
温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間撹拌すること
により行われる。また、金増感は、通常、金増感剤を添
加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間撹
拌することにより行われる。上記のイオウ増感には硫黄
増感剤として公知のものを用いることができる。例えば
チオ硫酸塩、チオ尿素類、アリルイソチアシアネート、
シスチン、p-トルエンチオスルホン酸塩、ローダニンな
どが挙げられる。
【0080】
【化10】
【0081】式中、Z3、Z4およびZ5はそれぞれ同じ
でも異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族基、複素環
基、−OR7、−NR8(R9)、−SR10、−SeR11、−Xまたは水
素原子を表す。
【0082】R7、R10およびR11は脂肪族基、芳香族
基、複素環基、水素原子またはカチオンを表し、R8
よびR9は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原
子を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0083】一般式(2)において、Z3、Z4、Z5
7、R8、R9、R10およびR11で表される脂肪族基は
直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アラルキル基(例えばメチル、エチル、n-
プロピル、イソプロピル、t-ブチル、n-ブチル、n-オク
チル、n-デシル、n-ヘキサデシル、シクロペンチル、シ
クロヘキシル、アリル、2-ブテニル、3-ペンテニル、プ
ロパルギル、3-ペンチニル、ベンジル、フェネチル)を
表す。
【0084】Z3、Z4、Z5、R7、R8、R9、R10およ
びR11で表される芳香族基は単環または縮環のアリール
基(例えばフェニル、ペンタフルオロフェニル、4-クロ
ロフェニル、3-スルホフェニル、ナフチル、4-メチルフ
ェニル)を表す。
【0085】Z3、Z4、Z5、R7、R8、R9、R10およ
びR11で表される複素環基は窒素原子、酸素原子または
硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3〜10員環の飽和
もしくは不飽和の複素環基(例えばピリジル、チエニ
ル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダ
ゾリル)を表す。
【0086】R7、R10およびR11で表されるカチオン
はアルカリ金属原子またはアンモニウムを表し、Xで表
されるハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、
臭素原子または沃素原子を表す。
【0087】好ましくはZ3、Z4またはZ5は脂肪族
基、芳香族基または−OR1を表し、R7は脂肪族基または
芳香族基を表す。一般式(2)中、より好ましくはトリ
アルキルホスフィンセレニド、トリアリールホスフィン
セレニド、トリアルキルセレノホスフェートまたはトリ
アリールセレノホスフェートなどが挙げられる。
【0088】以下に一般式(1)および(2)で表され
る化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0089】
【化11】
【0090】
【化12】
【0091】
【化13】
【0092】
【化14】
【0093】
【化15】
【0094】
【化16】
【0095】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、増感色
素で分光増感されることが好ましい。使用できる分光増
感色素としてはシアニン、メロシアニン又はコンプレッ
クスシアニン、コンプレックスメロシアニン、スチリ
ル、ヘミシアニンなどの通常用いられる分光増感色素の
いずれでもよい。
【0096】分光増感色素の添加量は色素の種類、分光
増感の目的或いは乳剤組成によって一様ではないが、ハ
ロゲン化銀1モル当たり1×10-4モル〜1×10-3モルの
範囲でよく、好ましくは2×10-4モル〜8×10-4モルで
ある。増感色素の添加時期は粒子の成長工程終了後から
化学増感(熟成)終了前までの任意の時期でよい。
【0097】増感色素は親水性溶媒例えばメタノール、
エタノールなどに溶解するか若しくは固体の状態で水に
分散してから添加してもよい。
【0098】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、物理熟成又は化学熟成前後の工程で、各
種の写真用添加剤を用いることができる。このような工
程で使用される化合物としては例えばリサーチ・ディス
クロージャー(RD)No.17643(1978年12月)、No.18716(197
9年11月)及びNo.308119(1989年12月)に記載されている
各種の化合物を用いることができる。これら3つの(RD)
に記載されている化合物種類と記載箇所を下記に掲載し
た。
【0099】 添加剤 RD-17643 RD-18716 RD-308119 頁 分類 頁 頁 分類 化学増感剤 23 III 648 右上 996 III 増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV A 減感色素 23 IV 998 IV B 染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII 現像促進剤 29 XXI 648右上 カブリ抑制剤・安定剤 24 IV 649右上 1006〜7 VI 増白剤 24 V 998 V 硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X 界面活性剤 26〜27 XI 650右 1005〜6 XI 可塑剤 27 XII 650右 1006 XII スベリ剤 27 XII マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI バインダー 26 XXII 1003〜4 IX 支持体 28 XVII 1009 XVII 本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体
としては、上記のRDに記載されているものが挙げられ、
適当な支持体としてはポリエチレンテレフタレートフィ
ルムなどで、支持体表面は塗布層の接着性をよくするた
めに下引き層を設けたりコロナ放電や紫外線照射などが
施されてもよい。
【0100】本発明の感光材料の写真処理は例えば、前
記のRD-17643のXX〜XXI、29〜30頁或は同308119のXX〜X
XI、1011〜1012頁に記載されているような、処理液によ
る処理がなされてよい。この処理は銀画像を形成する白
黒写真処理、或は色素像を形成するカラー写真処理のい
ずれであってもよい。処理温度は通常18℃から50℃の範
囲で処理される。
【0101】白黒写真処理での現像剤としては、ジヒド
ロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン)、3-ピラゾリ
ドン類(例えば1-フェニル-3-ピラゾリドン)、アミノフ
ェノール類(例えばN-メチル-P-アミノフエノール)など
を単独もしくは組合せて用いることができる。なお、現
像液には公知の例えば保恒剤、アルカリ剤、pH緩衡
剤、カブリ防止剤、硬膜剤、現像促進剤、界面活性剤、
消泡剤、色調剤、硬水軟化剤、溶解助剤、粘性付与剤な
どを必要に応じて用いてもよい。
【0102】定着液にはチオ硫酸塩、チオシアン酸塩な
どの定着剤が用いられ、さらに硬膜剤として水溶性のア
ルミニウム塩例えば硫酸アルミニウム或はカリ明ばんな
どを含んでいてもよい。その他保恒剤、pH調整剤、硬
水軟化剤などを含有していてもよい。
【0103】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0104】実施例 (種乳剤の調製)以下の方法により六角平板状種乳剤を
作成した。
【0105】 <溶液A> オセインゼラチン 60.2g 蒸留水 20.0l ポリイソプロピレンオキシ-ポリエチレンオキシ -ジコハク酸エステルナトリウム塩10%エタノール水溶液 5.6ml KBr 26.8g 10%H2SO4 144ml <溶液B> AgNO3 1487.5g 蒸留水で 3500mlとする <溶液C> KBr 1029g KI 29.3g 蒸留水で 3500mlとする <溶液D> 1.75N KBr水溶液 下記銀電位制御量 35℃において特公昭58-58288号、同58-58289号明細書に
記載の混合撹拌機を用いて、溶液Aに溶液B及び溶液C
の各々64.1mlを同時混合法により2分間で添加し核形成
を行った。
【0106】溶液B及び溶液Cの添加を停止した後、60
分間で溶液Aの温度を60℃に上昇させ、再び溶液Bと溶
液Cを同時混合法により、各々68.5ml/minの流量で50
分間添加した。この間の銀電位(飽和銀-塩化銀電極を
比較電極として銀イオン選択電極で測定)を溶液Dを用
いて+6mVになるように制御した。添加終了後3%KOH
にてpHを6に合わせ、直ちに脱塩、水洗を行い種乳剤
EM−0を得た。 得られた種乳剤EM−0は、ハロゲン化銀粒子の全投影
面積の90%以上は最大隣接辺比が1.0〜2.0の六角平板状
粒子よりなり、六角平板の厚さ0.07μm、平均直径(円直
径換算)は0.5μmであることが電子顕微鏡観察により判
明した。
【0107】(平板状乳剤の調製)以下の4種類の溶液
を用いて1.53モル%のAgIを含有する平板状沃臭化銀乳
剤EM−1を作成した。
【0108】 <溶液A> オセインゼラチン 29.4g ポリイソプロピレンオキシ-ポリエチレンオキシ -ジコハク酸エステルナトリウム塩10%エタノール水溶液 2.5ml 種乳剤EM−0 0.588モル相当 蒸留水で 1400mlとする <溶液B> AgNO3 1404.2g 蒸留水で 2360mlとする <溶液C> KBr 963g KI 27.4g 蒸留水で 2360mlとする <溶液D> 1.75N KBr水溶液 下記銀電位制御量 60℃において特公昭58-58288号、同58-58289号明細書に
記載の混合撹拌機を用いて、溶液Aに溶液B及び溶液C
の全量を同時混合法により21.26ml/minの流速で111分
間で添加して成長を行った。
【0109】この間の銀電位を溶液Dを用いて+25mVに
なるように制御した。
【0110】ついで過剰な塩類を除去するため、デモー
ルN(花王アトラス社製)水溶液及び硫酸マグネシウム水
溶液を用いて沈澱脱塩を行い、オセインゼラチン92.2g
を含むゼラチン水溶液を加え撹拌再分散してEM−1と
した。
【0111】EM−1の粒子約3000個を電子顕微鏡によ
り観察測定し、形状を分析した結果、平均粒子厚さが0.
25μm、平均粒子直径が1.05μmで分布の広さが18%の六
角平板状粒子であった。
【0112】得られたEM−1を55℃で撹拌保持しなが
ら下記増感色素(A)、(B)を銀1モル当たりそれぞ
れ200mg、14mg添加し、その10分後に化学増感剤として
銀1モル当たりチオシアン酸アンモニウム60mg、塩化金
酸1.45g及びチオ硫酸ナトリウム、N,N-ジメチルセレノ
ウレアを表1に示す量を添加し化学熟成を行った。なお
化学熟成開始後30分で沃化銀微粒子を添加し、さらに同
一温度で20分熟成してから4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,
3a,7-テトラザインデンを2×10-2モルを加えて安定化
し乳剤EM−A〜EM−Dを得た。
【0113】増感色素(A)5,5′-ジクロロ-9-エチル-
3,3′-ジ-(3-スルホプロピル)オキサカルボシアニンナ
トリウム塩の無水物 増感色素(B)5,5′-ジ-(ブトキシカルボニル)-1,1′-
ジ-エチル-3,3′-ジ-(4-スルホブチル)ベンゾイミダゾ
ロカルボシアニンナトリウム塩の無水物
【0114】
【表1】
【0115】次にEM−A〜EM−Dにおいて、化学熟
成開始後30分で加えた沃化銀微粒子に変えて、本発明の
沃化物イオン放出剤及び塩基、求核試薬を下記に示す添
加方法で添加した以外は、全てEM−A〜EM−Dと同
一の方法でEm−1の化学熟成を行い、EM−E〜EM
−Oを作製した。
【0116】添加方法 (A)増感色素の添加と同時に沃化物イオン放出剤(例
示化合物11)の水溶液を添加し、増感剤を添加後、30分
にKOHの水溶液を10分間かけて添加し、pHを9まで上
げ、化学熟成工程の終了時に酢酸を用いてpHを5.8の値
に戻した。
【0117】(B)増感剤の添加と同時に沃化物イオン
放出剤(例示化合物11)の水溶液を添加し、増感剤添加
後、30分にKOHの水溶液を10分間かけて添加し、pHを9
まで上げ、化学熟成工程の終了時に酢酸を用いてpHを
5.8の値に戻した。
【0118】(C)増感剤の添加後、30分に沃化物イオ
ン放出剤(例示化合物11)の水溶液を添加し、その直後
にKOHの水溶液を10分間かけて添加し、pHを9まで上
げ、化学熟成工程の終了時に酢酸を用いてpHを5.8の値
に戻した。
【0119】(D)増感剤の添加と同時に沃化物イオン
放出剤(例示化合物56)の水溶液を添加し、増感剤添加
後、30分に亜硫酸ナトリウム水溶液を10分間かけて添加
した。 (E)増感剤の添加後、30分に沃化物イオン放出剤(例
示化合物56)の水溶液を添加し、その直後に亜硫酸ナト
リウム水溶液を10分間かけて添加した。
【0120】(F)増感色素の添加と同時に沃化物イオ
ン放出剤(例示化合物56)の水溶液を添加し、増感剤添
加と同時に亜硫酸ナトリウム水溶液を10分間かけて添加
した。 (G)増感色素の添加と同時に沃化物イオン放出剤(例
示化合物56)の水溶液を添加した。
【0121】それぞれの乳剤には、下記の各種添加剤を
加えた。乳剤に用いた添加剤は次の通りで添加量はハロ
ゲン化銀1モル当たりの量で示す。
【0122】 1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール 10mg 1-トリメチロールプロパン 14g t-ブチル−カテコール 68mg ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 850mg スチレン-無水マレイン酸共重合体 2.0g ニトロフェニル-トリフェニルホスホニウムクロリド 50mg 1,3-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸アンモニウム 1.7g 1,1ジメチロール-1-ブロム-1-ニトロメタン 6.2mg nC4H9OCH2CH(OH)CH2N(CH2COOH)2 700mg
【0123】
【化17】
【0124】また保護層液に用いた添加剤は次のとおり
である。添加量はゼラチン1g当たりの量で示す。
【0125】 平均粒径5μmのポリメチルメタクリレートからなるマット剤 21mg 平均粒径3μmのポリメチルメタクリレートからなるマット剤 28mg グリオキザール 50mg
【0126】
【化18】
【0127】以上の塗布液を、厚さ180μmの下引き処理
済みのブルーに着色したポリエチレンテレフタレートフ
ィルムベース上に、両面に均一に塗布し、表2に示す試
料を作成した。
【0128】また塗布銀量は、片面当たり2.0g/m2
ゼラチンは片面当たり3.5g/m2になるように全試料に
ついて調整を行った。
【0129】経時保存性の評価 得られた試料を2組作成し、そのうちの1組を1日放置
し、もう1組は室温下で90日間放置してから現像して保
存性の代用試験とした。これらの試料をX線写真用増感
紙KO-250(コニカ〔株〕製)で挟み、ペネトロメータB型
を介してX線照射後、自動現像機を用いて下記の処理液
及び処理条件で現像処理した。
【0130】 現像液処方 Part-A(10.8l仕上げ用) 水酸化カリウム 340g 亜硫酸カリウム(50%溶液) 2150g ジエチレントリアミン5酢酸 32.3g 炭酸水素ナトリウム 108g 5-メチルベンゾトリアゾール 150mg 1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール 15mg ハイドロキノン 280g 水を加えて 3600mlにする。
【0131】 Part-B(10.8l仕上げ用) 氷酢酸 158g トリエチレングリコール 144g 1-フェニル-3-ピラゾリドン 19.5g 5-ニトロインダゾール 0.32g n-アセチル-D,L-ペニシラミン 0.11g 水を加えて 3600mlにする。
【0132】 スターター処方(1.0l仕上げ用) 氷酢酸 138g 臭化カリウム 325g 5-メチルベンゾトリアゾール 1.5g CH3N(C3H6NHCONHC2H4SC2H5)2 20mg 水を加えて 1.0lに仕上げる。
【0133】スターターは現像液1.0l当たり20ml添加
した。
【0134】定着液処方 Part-A(16.4l仕上げ用) チオ硫酸アンモニウム(70wt/vol%) 3460g 亜硫酸ナトリウム 150g 酢酸ナトリウム・3水塩 350g クエン酸ナトリウム 43g グルコン酸 33g ホウ酸 26g 氷酢酸 120g 水を加えて 5000mlにする。
【0135】 Part-B(16.4l仕上げ用) 硫酸アルミニウム 56g 硫酸(50wt%) 91g 水を加えて 1000mlにする。
【0136】現像液の調製は水約3lにPart-A、Part-
Bを同時添加し撹拌溶解しながら水を加えて10.8lに仕
上げ氷酢酸でpHを10.4に調整した。これを現像液とす
る。
【0137】定着液の調製は水約3lにPart-A、Part-
Bを同時添加し撹拌溶解しながら水を加えて16.4lに仕
上げNaOHを用いてpHを4.6に調整し定着液とする。
【0138】 処理工程 工程 処理温度(℃) 処理時間(秒) 補充量 挿入 −− 1.2 現像+渡り 35 14.6 270ml/m 定着+渡り 33 8.2 430ml/m2 水洗+渡り 18 7.2 7.0l/分 スクイズ 40 5.7 乾燥 50 8.1 合計 −− 45.0 得られた現像後の試料について感度とカブリを評価し
た。感度はカブリ+1.0の濃度を与えるのに要した曝射
エネルギー量の逆数から求めたもので試料No.1の塗布
後1日の試料の感度を100とした場合の相対感度で表し
た。
【0139】残色性の評価 残色汚染は塗布後の未露光試料をセンシトメトリーと同
様の処理方法で現像してから残色汚染を目視により以下
の5段階で評価した。
【0140】5:残色汚染なし 4:残色汚染僅かにあり 3:残色汚染やや有るが実用性可 2:残色汚染やや多いが実用範囲の限界 1:残色汚染が多く実用性不可 得られた結果を下記の表に示す。
【0141】
【表2】
【0142】表から明らかなように、本発明によればフ
ィルムの生保存で感度の低下とカブリの増加が抑えら
れ、かつ残色汚染の少ない試料を得られることが分か
る。
【0143】
【発明の効果】本発明によれば高感度、低カブリで処理
後の残色汚染がなく、かつ経時保存性に優れたハロゲン
化銀写真感光材料を得られた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の両側に少なくとも1層の感光性
    ハロゲン化銀乳剤層と非感光性親水性層を有するハロゲ
    ン化銀写真感光材料において、該乳剤層を構成するハロ
    ゲン化銀粒子の粒子形成後から塗布までの工程中に、下
    記一般式〔I〕で表される沃化物イオン放出剤の少なく
    とも1種が添加されることを特徴とするハロゲン化銀写
    真感光材料。 一般式〔I〕 R−I (式中、Rは塩基及び/又は求核試薬との反応により沃
    化物イオンを放出する1価の有機残基を表す。)
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀粒子がセレン化合物で増感
    されていることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化
    銀写真感光材料。
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