JPH0881265A - 窒化アルミニウム焼結体、窒化アルミニウム焼結体の製造方法、回路基板および回路基板の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体、窒化アルミニウム焼結体の製造方法、回路基板および回路基板の製造方法

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JPH0881265A
JPH0881265A JP6221327A JP22132794A JPH0881265A JP H0881265 A JPH0881265 A JP H0881265A JP 6221327 A JP6221327 A JP 6221327A JP 22132794 A JP22132794 A JP 22132794A JP H0881265 A JPH0881265 A JP H0881265A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 緻密で良好な熱伝導性を有し、かつガラス封
止性が良好な窒化アルミニウム焼結体を提供しようとす
るものである。 【構成】 窒化アルミニウムを主成分とし、かつIIa族
元素およびIII a族元素から選ばれる少なくとも1種の
元素を酸化物換算で0.05〜15重量%含有し、さら
に硼素もしくは硼素化合物を酸化物換算で0.01〜4
重量%、マンガンもしくはマンガン化合物を酸化物換算
で0.005〜4重量%含有することを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化アルミニウム(A
lN)焼結体、AlN焼結体の製造方法、回路基板およ
びその製造方法に関し、さらに詳しくは、緻密で、熱伝
導性が良好なAlN焼結体、低温焼結が可能なAlN焼
結体の製造方法、ガラス封止性が良好な回路基板および
その製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】電子機器においては、IC、LSI等の
電子デバイスの実装、回路形成、および絶縁を目的とし
てアルミナを基材とする回路基板が使用されている。し
かしながら、前記アルミナ基材は熱伝導率が約20W/
m・Kと低いため、近年のLSIの高密度化、高集積化
に対応して高熱伝導性のAlN焼結体からなる基材を有
する回路基板が注目されている。
【0003】ところで、AlNは共有結合性が強く、難
焼結材料であるため緻密な焼結体を得るためには、最低
1800℃の焼結温度が必須であった。
【0004】このようなことから、特開昭61−117
160号公報にはAlN粉末に希土類元素化合物および
アルカリ土類酸化物を同時に添加した原料を用いること
により低温焼結化を図る方法が開示されている。しかし
ながら、前記焼結温度はせいぜい1700℃以上であ
り、1600℃程度もしくはそれ以下の焼結温度では緻
密化は達成されず、また焼結体中にシミ等が発生しやす
いという問題点があった。また、回路基板を半導体素子
のパッケージに応用する際、前記回路基板のAlN焼結
体からなる基材にキャップをガラス封止する工程におい
ても、前記AlN焼結体はガラス封止に有効な効果をも
たらす成分が含有されていないために、封止性が劣ると
いう問題があった。
【0005】また、特開昭62−153173号公報に
はAlN粉末にIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、
VII a族元素およびVIII族元素から選ばれる少なくとも
1種を添加した原料を用いることによりAlN焼結体の
高密度化、高熱伝導率化を図ることが開示されている。
しかしながら、この発明においても焼結温度の低温化は
不十分であり、ガラス封止が良好になる成分の添加が欠
如している。
【0006】一方、特開昭62−153173号公報や
特開平4−130064号公報には原料中にマンガンを
添加することが記載されているが、いずれも着色や透過
性を改善するためであり、焼結温度の低温化は期待でき
ないか、もしくは不十分である。さらに、ガラス封止に
関しての特性の向上は望めない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、緻密
で良好な熱伝導性を有し、かつガラス封止性が良好なA
lN焼結体を提供しようとするものである。
【0008】本発明の別の目的は、1400℃〜170
0℃前後の低温の焼結で緻密化して良好な熱伝導性を有
し、かつガラス封止性が良好なAlN焼結体の製造方法
を提供しようとするものである。
【0009】本発明のさらに別の目的は、緻密で良好な
熱伝導性を有し、かつガラス封止性が良好なAlN焼結
体からなる絶縁層と、前記絶縁層に対して良好に密着し
た導体層とを備えた回路基板およびその製造方法を提供
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によると、AlN
を主成分とし、かつIIa族元素およびIII a族元素から
選ばれる少なくとも1種の元素を酸化物換算で0.05
〜15重量%含有し、さらに硼素もしくは硼素化合物を
酸化物(B2 3 )換算で0.01〜4重量%、マンガ
ンもしくはマンガン化合物を酸化物(MnO2 )換算で
0.005〜4重量%含有することを特徴とするAlN
焼結体が提供される。
【0011】本発明によると、(a)AlN粉末と
(b)前記AlN粉末に対して酸化物換算で0.05〜
15重量%配合されるIIa族元素化合物およびIII a族
元素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と
(c)前記AlN粉末に対して酸化物(B2 3 )換算
で0.01〜5重量%配合される硼素もしくは硼素化合
物と(d)前記AlN粉末に対して酸化物(MnO2
換算で0.01〜5重量%配合されるマンガンもしくは
マンガン化合物とを含む原料を焼結することを特徴とす
るAlN焼結体の製造方法が提供される。
【0012】本発明によると、AlNを主成分とし、か
つIIa族元素およびIII a族元素から選ばれる少なくと
も1種の元素を酸化物換算で0.05〜15重量%含有
し、さらに硼素もしくは硼素化合物を酸化物(B
2 3 )換算で0.01〜4重量%、マンガンもしくは
マンガン化合物を酸化物(MnO2 )換算で0.005
〜4重量%含有する絶縁層と、少なくとも一部が金属単
体および/または導電性化合物、AlN、硼素もしくは
硼素化合物およびマンガンもしくはマンガン化合物を含
有し、かつIIa族元素−Al−O系化合物、III a族元
素−Al−O系化合物およびIIa族元素−IIIa族元素
−Al−O系化合物から選ばれる少なくとも一つの化合
物を含有する導体層とを具備したことを特徴とする回路
基板が提供される。
【0013】本発明によると、(a)AlN粉末と
(b)前記AlN粉末に対して酸化物換算で0.05〜
15重量%配合されるIIa族元素化合物およびIII a族
元素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と
(c)前記AlN粉末に対して酸化物(B2 3 )換算
で0.01〜5重量%配合される硼素もしくは硼素化合
物と(d)前記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物
(MnO2 )換算で0.01〜5重量%配合されるマン
ガンもしくはマンガン化合物とを含む原料を成形してグ
リーンシートを作製する工程と、(A)金属単体および
/または導電性化合物と(B)AlN粉末と(C)IIa
族元素化合物およびIII a族元素化合物から選ばれる少
なくとも1種と(D)硼素もしくは硼素化合物(E)お
よびマンガンもしくはマンガン化合物とを含む導体ペー
ストを調製する工程と、前記グリーンシートの少なくと
も表面に前記導体ペーストをパターン状に塗布した後、
積層、脱バインダ、焼結を行う工程とを具備したことを
特徴とする回路基板の製造方法が提供される。
【0014】本発明によると、(a)AlN粉末と
(b)前記AlN粉末に対して酸化物換算で0.05〜
15重量%配合されるIIa族元素化合物またはIIa族元
素化合物およびIII a族元素化合物の両者と(c)前記
AlN粉末に対して酸化物換算で0.01〜5重量%配
合される硼素もしくは硼素化合物および(d)前記Al
N粉末に対して酸化物換算で0.01〜5重量%配合さ
れるアルミナ粉末もしくは焼結時にアルミナを生じるア
ルミニウム化合物を含む原料を焼結することを特徴とす
るAlN焼結体の製造方法が提供される。
【0015】本発明によると、(a)AlN粉末と
(b)前記AlN粉末に対して酸化物換算で0.05〜
15重量%配合されるIIa族元素化合物またはIIa族元
素化合物およびIII a族元素化合物の両者と(c)前記
AlN粉末に対して酸化物換算で0.01〜5重量%配
合される硼素もしくは硼素化合物と(d)前記AlN粉
末に対して酸化物換算で0.01〜5重量%配合される
アルミナ粉末もしくは焼結時にアルミナを生じるアルミ
ニウム化合物とを含む原料を成形してグリーンシートを
作製する工程と、(A)金属単体および/または導電性
化合物と(B)AlN粉末と(C)IIa族元素化合物お
よびIII a族元素化合物から選ばれる少なくとも1種と
(D)硼素もしくは硼素化合物と(E)アルミナもしく
は焼結時にアルミナを生じるアルミニウム化合物とを含
む導体ペーストを調製する工程と、前記グリーンシート
の少なくとも表面に前記導体ペーストをパターン状に塗
布した後、積層、脱バインダ、焼結を行う工程とを具備
したことを特徴とする回路基板の製造方法が提供され
る。
【0016】以下、本発明に係わる(1)AlN焼結
体、(2)この焼結体の製造方法、(3)回路基板、
(4)この回路基板の製造方法、(5)AlN焼結体の
製造方法および(6)回路基板の製造方法を詳細に説明
する。
【0017】(1)AlN焼結体 このAlN焼結体は、AlNを主成分とし、かつIIa族
元素およびIII a族元素から選ばれる少なくとも1種の
元素を酸化物換算で0.05〜15重量%含有し、さら
に硼素もしくは硼素化合物を酸化物換算で0.01〜4
重量%、マンガンもしくはマンガン化合物を酸化物換算
で0.005〜4重量%含有することを特徴とするもの
である。
【0018】前記IIa族元素としては、Ca,Ba,S
r等を挙げることができる。前記III a族元素として、
Sc,Yを含む希土類元素を挙げることができる。
【0019】前記IIa族元素および前記III a族元素か
ら選ばれる少なくとも1種の元素の含有量を規定したの
は、次のような理由によるものである。前記元素の含有
量を酸化物換算で0.05重量%未満にすると、緻密で
熱伝導率の高いAlN焼結体が得られなくなる。一方、
前記元素の含有量が酸化物換算で15重量%を越えると
AlN焼結体の粒界相の成分が多くなり過ぎて、熱伝導
率が低下する。より好ましい前記元素の含有量は、酸化
物換算で0.1〜10重量%である。さらに好ましくい
前記元素の含有量は、酸化物換算で0.5〜8重量%で
ある。
【0020】前記硼素化合物としては、例えば酸化硼
素、硼酸、硼化チタン、硼化タングステン、硼化ジルコ
ニウムのような遷移金属硼化物、硼化ランタンのように
希土類硼化物、硼化カルシウムのようなアルカリ土類硼
化物等を挙げることができる。
【0021】前記硼素または硼素化合物の含有量を規定
したのは、次のような理由によるものである。前記硼素
または硼素化合物を酸化物換算で0.01重量%未満す
ると緻密でガラス封止性の優れたAlN焼結体を得るこ
とができなくなる。一方、前記硼素または硼素化合物が
酸化物換算で4重量%を越えるとAlN焼結体の粒界相
の成分が多くなり過ぎて、熱伝導率が低下するばかり
か、表面が荒れて平坦性が損なわれる。より好ましい前
記硼素または硼素化合物の含有量は、酸化物換算で0.
02〜3重量%である。
【0022】前記マンガン化合物としては、例えば酸化
マンガン(MnO、MnO2 )、過マンガン酸カリウム
等を挙げることができる。
【0023】前記マンガンまたはマンガン化合物の含有
量を規定したのは、次のような理由によるものである。
前記マンガンまたはマンガン化合物を酸化物換算で0.
005重量%未満すると緻密でガラス封止性の優れたA
lN焼結体を得ることができなくなる。一方、前記マン
ガンまたはマンガン化合物が酸化物換算で4重量%を越
えるとAlN焼結体の粒界相の成分が多くなり過ぎて、
熱伝導率が低下するばかりか、表面が荒れて平坦性が損
なわれる。より好ましい前記マンガンまたはマンガン化
合物の含有量は、酸化物換算で0.008〜2重量%で
ある。
【0024】なお、本発明に係わるAlN焼結体は、必
要に応じて着色化、高強度化のためにTi,W,Mo,
Ta,Nb,Mn等の遷移金属またはこれら金属の酸化
物、炭化物、窒化物、硼化物をAlNに対して遷移金属
換算で0.05〜1重量%の範囲で含有することを許容
する。また、機械的強度を向上させるために酸化珪素
(SiO2 )、窒化珪素(Si3 4 )等の珪素化合物
をAlNに対して1重量%以下の範囲で含有することを
許容する。
【0025】(2)AlN焼結体の製造方法 まず、(a)AlN粉末と(b)前記AlN粉末に対し
て酸化物換算で0.05〜15重量%配合されるIIa族
元素化合物およびIII a族元素化合物から選ばれる少な
くとも1種の化合物と(c)前記AlN粉末に対して酸
化物換算で0.01〜5重量%配合される硼素もしくは
硼素化合物と(d)前記AlN粉末に対して酸化物換算
で0.01〜5重量%配合されるマンガンもしくはマン
ガン化合物とをボールミル等を用いて混合して原料を調
製する。
【0026】前記(a)成分のAlN粉末は、平均一次
粒径が0.03〜1.2μmであることが好ましい。こ
れは、次のような理由によるものである。AlN粉末の
平均一次粒径を0.03μm未満にすると粉末の取り扱
いが困難になり、かつ粉末の成形も困難になる恐れがあ
る。一方、AlN粉末の平均一次粒径が1.2μmを越
えると1700℃以下、特に1600℃以下での低温焼
結が困難になる恐れがあり、また焼結後の粒径が2μm
を越えて機械的強度が低下する恐れがある。より好まし
いAlN粉末の平均一次粒径は、0.05〜1.0μm
である。
【0027】前記(a)成分のAlN粉末は、不純物酸
素量が0.2〜3.5重量%であることが好ましい。こ
こで、不純物酸素量とは焼結直前の実効的に焼結に関与
する量を意味するものである。前記不純物酸素量を前記
範囲に規定したのは、次のような理由によるものであ
る。不純物酸素量を0.2重量%未満にすると、170
0℃以下、特に1600℃以下での焼結が困難になった
り、焼結前の混合や成形の取扱い段階でAlN粉末が酸
化等により変質したりする恐れがある。一方、不純物酸
素量が3.5重量%を越えると熱伝導率の高いAlN焼
結体を得ることが困難になる。より好ましい不純物酸素
量は、0.5〜2重量%である。
【0028】前記(b)成分のIIa族元素化合物として
は、例えばCa,Ba,Sr等の酸化物、炭化物、シュ
ウ酸塩、硝酸塩、アルコキシド等を挙げることができ
る。前記III a族元素化合物としては、例えばSc,Y
を含む希土類元素の酸化物、炭化物、シュウ酸塩、硝酸
塩、アルコキシド、ハロゲン化物、窒化物等を挙げるこ
とができる。これらの化合物は、1種または2種以上の
混合物の形態で使用することができる。
【0029】前記(b)成分の配合量を規定したのは次
のような理由によるものである。前記(b)成分を酸化
物換算で0.05重量%未満にすると、低温(1700
℃以下)の焼結により緻密で熱伝導率の高いAlN焼結
体が得られなくなる。一方、前記(b)成分の配合量が
酸化物換算で15重量%を越えると得られたAlN焼結
体の粒界相の成分が多くなり過ぎて、熱伝導率が低下す
る。より好ましい前記(b)成分の配合量は、酸化物換
算で0.1〜10重量%である。
【0030】前記(c)成分の硼素化合物としては、例
えば酸化硼素、硼酸、硼化チタン、硼化タングステン、
硼化ジルコニウムのような遷移金属硼化物、硼化ランタ
ンのように希土類硼化物、硼化カルシウムのようなアル
カリ土類硼化物等を挙げることができる。
【0031】前記(c)成分の配合量を規定したのは、
次のような理由によるものである。前記(c)成分を酸
化物換算で0.01重量%未満すると、低温(1700
℃以下)の焼結により緻密で熱伝導率の高く、かつガラ
ス封止性の優れたAlN焼結体を得ることができなくな
る。一方、前記(c)成分が酸化物換算で4重量%を越
えると得られたAlN焼結体の粒界相の成分が多くなり
過ぎて、熱伝導率が低下するばかりか、表面が荒れて平
坦性が損なわれる。より好ましい前記(c)成分の配合
量は、酸化物換算で0.02〜3重量%である。
【0032】前記(d)成分のマンガン化合物として
は、例えば酸化マンガン(MnO、MnO2 )、過マン
ガン酸カリウム等を挙げることができる。
【0033】前記(d)成分の配合量を規定したのは、
次のような理由によるものである。前記(d)成分を酸
化物換算で0.005重量%未満すると低温(1700
℃以下)の焼結により緻密でガラス封止性の優れたAl
N焼結体を得ることができなくなる。一方、前記(d)
成分が酸化物換算で4重量%を越えるとAlN焼結体の
粒界相の成分が多くなり過ぎて、熱伝導率が低下するば
かりか、表面が荒れて平坦性が損なわれる。より好まし
い前記(d)成分の配合量は、酸化物換算で0.008
〜2重量%である。
【0034】前記(b)〜(d)の成分は、いずれも平
均粒径が5μm以下、より好ましくは4μm以下である
ことが望ましい。
【0035】前記原料中には、前記平均粒径(0.03
〜1.2μm)より大きい粒径を有するAlN粉末が含
有されることを許容する。また、前記原料中には必要に
応じて着色化、高強度化のためにTi,W,Mo,T
a,Nb,Mn等の遷移金属またはこれら金属の酸化
物、炭化物、フッ化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、
窒化物、硼化物を前記AlN粉末に対して遷移金属換算
で0.05〜1重量%の範囲で配合してもよい。さら
に、焼結温度の低減化に有効なAl2 3 、AlF3
のアルミニウム化合物、リンの化合物や機械的強度を向
上させるための酸化珪素(SiO2 )、窒化珪素(Si
3 4 )等の珪素化合物をAlN粉末に対して1重量%
以下の範囲で配合することを許容する。
【0036】次いで、前記原料にバインダーを加え、混
練、造粒、整粒を行った後、成形した成形体を作製す
る。この成形法としては、例えば金型プレス、冷間静水
圧プレスまたはシート成形などを採用することができ
る。つづいて、前記成形体を窒素ガス気流中などの非酸
化性雰囲気中や水蒸気を含む不活性雰囲気中、空気中で
加熱して前記バインダを除去した後、非酸化性雰囲気
中、1400〜1700℃、好ましくは1500〜16
50℃の温度で焼結することによりAlN焼結体を製造
する。
【0037】一方、前記常圧焼結に代えて前記原料をホ
ットプレス、熱間静水圧プレスすることによりAlN焼
結体が製造される。
【0038】(3)回路基板 この回路基板は、AlNを主成分とし、かつIIa族元素
およびIII a族元素から選ばれる少なくとも1種の元素
を酸化物換算で0.05〜15重量%含有し、さらに硼
素もしくは硼素化合物を酸化物換算で0.01〜4重量
%、マンガンもしくはマンガン化合物を酸化物換算で
0.005〜4重量%含有する絶縁層と、金属単体およ
び/または導電性化合物、AlN、硼素もしくは硼素化
合物およびマンガンもしくはマンガン化合物を含有し、
かつIIa族元素−Al−O系化合物、III a族元素−A
l−O系化合物およびIIa族元素−III a族元素−Al
−O系化合物から選ばれるすくなくとも1つの化合物を
含有する導体層とを具備したことを特徴とするものであ
る。
【0039】前記絶縁層において、IIa族元素およびII
I a族元素、硼素化合物およびマンガン化合物は前述し
たAlN焼結体(1)で説明したのと同様なものが用い
られ、かつこれら成分の含有量を規定したのも前述した
AlN焼結体(1)で説明したのと同様な理由によるも
のである。
【0040】前記導体層に含まれる金属単体、導電性化
合物としては、例えばタングステン、タングステン硼化
物、タングステン炭化物、ケイ化タングステン、モリブ
デン、モリブデン硼化物、モリブデン炭化物、ケイ化モ
リブデン等を挙げることができる。これらの金属単体、
導電性化合物は、導体層中に75〜99重量%含有する
ことが好ましい。より好ましい金属単体、導電性化合物
の含有量は80〜99重量%である。
【0041】前記導体層中に含まれるAlNの量は、前
記絶縁層との熱収縮性を整合させるために1〜20重量
%にすることが好ましい。
【0042】前記導体層中に含まれる硼素もしくは硼素
化合物の量は、0.001〜0.2重量%にすることが
好ましい。
【0043】前記導体層中に含まれるマンガンもしくは
マンガン化合物の量は、0.001〜0.2重量%にす
ることが好ましい。
【0044】(4)回路基板の製造方法 まず、(a)AlN粉末と(b)前記AlN粉末に対し
て酸化物換算で0.05〜15重量%配合されるIIa族
元素化合物およびIII a族元素化合物から選ばれる少な
くとも1種の化合物と(c)前記AlN粉末に対して酸
化物換算で0.01〜5重量%配合される硼素もしくは
硼素化合物と(d)前記AlN粉末に対して酸化物換算
で0.01〜5重量%配合されるマンガンもしくはマン
ガン化合物とを含む原料を有機バインダと共に有機溶剤
中に分散してスラリーを調製する。つづいて、このスラ
リーをドクターブレード法により成形してグリーンシー
トを作製する。
【0045】前記(a)成分のAlN粉末は、前述した
AlN焼結体の製造方法(3)で説明したのと同様なも
のが用いられる。
【0046】前記(b)〜(d)の成分に用いられる化
合物等は、前述したAlN焼結体の製造方法(2)で説
明したのと同様なものが用いられ、かつ(b)〜(d)
の成分の配合量を規定したのも前述したAlN焼結体の
製造方法(3)で説明したのと同様な理由によるもので
ある。
【0047】また、(A)金属単体および/または導電
性化合物と(B)AlN粉末と(C)IIa族元素化合物
およびIII a族元素化合物から選ばれる少なくとも1種
と(D)硼素もしくは硼素化合物と(E)マンガンもし
くはマンガン化合物とを有機バインダと共に有機溶剤中
に分散して導体ペーストを調製する。
【0048】前記(A)成分の金属単体、導電性化合物
としては、例えばタングステン、タングステン硼化物、
タングステン炭化物、ケイ化タングステン、モリブデ
ン、モリブデン硼化物、モリブデン炭化物、ケイ化モリ
ブデン等を挙げることができる。これらの金属単体、導
電性化合物は、後述する同時焼結工程で形成される導体
層中に75〜99重量%含有されるように配合すること
が好ましい。より好ましい金属単体、導電性化合物の配
合量は80〜99重量%である。
【0049】前記(B)成分のAlN粉末は、後述する
同時焼結工程で形成される導体層中に1〜20重量%含
有されるように配合することが好ましい。
【0050】前記(C)成分のIIa族元素化合物とIII
a族元素化合物は、後述する同時焼結工程で形成される
導体層中に酸化物換算で0.001〜3重量%含有され
るように配合することが好ましい。
【0051】前記(D)成分の硼素もしくは硼素化合物
は、後述する同時焼結工程で形成される導体層中に酸化
物換算で0.001〜0.2重量%含有されるように配
合することが好ましい。
【0052】次いで、前記グリーンシートの少なくとも
表面に前記導体ペーストをスクリーン印刷法等によりパ
ターン状に塗布した後、窒素等の非酸化性雰囲気中、1
400〜1700℃、好ましくは1500〜1650℃
の温度で焼結することにより回路基板を製造する。
【0053】なお、多層回路基板は次のような手順で製
造される。まず、前記グリーシートの所定位置に層間接
続用の複数のビアホールを開孔し、前記導体ペーストの
塗布時に前記ビアホールに前記ペーストを充填して複数
枚のグリーシートを作製する。この工程において、前記
ペーストを前記ビアホールに充填した後、圧入してもよ
い。つづいて、これらグリーシートを前記ビアホールが
合致するように重ね、加熱プレスして積層体とした後、
所定の寸法に端部等をカットする。ひきつづき、この積
層体を窒素ガスなどの非酸化性雰囲気中、水蒸気を含む
雰囲気中やアルゴンなどの不活性雰囲気中で加熱してバ
インダを除去した後、窒素等の非酸化性雰囲気中、14
00〜1700℃、好ましくは1500〜1650℃の
温度で焼結することにより多層回路基板を製造する。
【0054】(5)AlN焼結体の製造方法 まず、(a)AlN粉末と(b)前記AlN粉末に対し
て酸化物換算で0.05〜15重量%配合されるIIa族
元素化合物またはIIa族元素化合物およびIIIa族元素
化合物の両者と(c)前記AlN粉末に対して酸化物換
算で0.01〜5重量%配合される硼素もしくは硼素化
合物および(d)前記AlN粉末に対して酸化物換算で
0.01〜5重量%配合されるアルミナ粉末もしくは焼
結時にアルミナを生じるアルミニウム化合物をボールミ
ル等を用いて混合して原料を調製する。
【0055】前記(a)成分のAlN粉末は、前述した
AlN焼結体の製造方法(2)で説明したのと同様なも
のが用いられる。
【0056】前記(b)成分のIIa族元素化合物、IIa
族元素化合物は、前述したAlN焼結体の製造方法
(2)で説明したのと同様なものが用いられ、かつその
配合量を規定したのも前述したAlN焼結体の製造方法
(2)で説明したのと同様な理由によるものである。
【0057】前記(c)成分の硼素化合物は、前述した
AlN焼結体の製造方法(2)で説明したのと同様なも
のが用いられ、かつ前記(c)成分の配合量を規定した
のも前述したAlN焼結体の製造方法(2)で説明した
のと同様な理由によるものである。
【0058】前記(d)成分の焼結によりアルミナに変
換されるアルミニウム化合物としては、例えば水酸化ア
ルミニウム、フッ化アルミニウム、硝酸アルミニウム等
を挙げることができる。
【0059】前記(d)成分の配合量を規定したのは、
次のような理由によるものである。前記(d)成分を酸
化物換算で0.01重量%未満すると、低温(1700
℃以下)の焼結により緻密で熱伝導率の高く、かつガラ
ス封止性の優れたAlN焼結体を得ることができなくな
る。一方、前記(d)成分が酸化物換算で5重量%を越
えると、焼結時の酸素成分が多くなり過ぎて、熱伝導率
が低下する。より好ましい前記(d)成分の配合量は、
酸化物換算で0.1〜3重量%である。
【0060】前記(b)〜(d)の成分は、いずれも平
均粒径が5μm以下、より好ましくは4μm以下である
ことが望ましい。
【0061】前記原料中には、前述したAlN焼結体の
製造方法(2)で説明したの同様な各種の添加物が含有
されることを許容する。ただし、Al2 3 、AlF3
は前記添加物から除かれる。
【0062】次いで、前記原料にバインダーを加え、混
練、造粒、整粒を行った後、成形した成形体を作製す
る。この成形法としては、例えば金型プレス、冷間静水
圧プレスまたはシート成形などを採用することができ
る。つづいて、前記成形体を窒素ガス気流中などの非酸
化性雰囲気中や水蒸気を含む雰囲気中、アルゴンなどの
不活性雰囲気中、空気中で加熱して前記バインダを除去
した後、非酸化性雰囲気中、1400〜1700℃、好
ましくは1500〜1650℃の温度で焼結することに
よりAlN焼結体を製造する。
【0063】一方、前記常圧焼結に代えて前記原料をホ
ットプレスや熱間静水圧プレス(HIP)焼結すること
によりAlN焼結体が製造される。
【0064】(6)回路基板の製造方法 まず、(a)窒化アルミニウム粉末と(b)前記窒化ア
ルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.05〜15重
量%配合されるIIa族元素化合物またはIIa族元素化合
物およびIII a族元素化合物の両者と(c)前記窒化ア
ルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.01〜5重量
%配合される硼素もしくは硼素化合物と(d)前記窒化
アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.01〜5重
量%配合されるアルミナ粉末もしくは焼結時にアルミナ
を生じるアルミニウム化合物とを含む原料を有機バイン
ダと共に有機溶剤中に分散してスラリーを調製する。つ
づいて、このスラリーをドクターブレード法により成形
してグリーンシートを作製する。
【0065】前記(a)成分のAlN粉末は、前述した
AlN焼結体の製造方法(2)で説明したのと同様なも
のが用いられる。
【0066】前記(b)、(c)の成分に用いられる化
合物等は、前述したAlN焼結体の製造方法(2)で説
明したのと同様なものが用いられ、かつこれら(b)、
(c)成分の配合量を規定したのも前述したAlN焼結
体の製造方法(2)で説明したのと同様な理由によるも
のである。
【0067】前記(d)成分の焼結によりアルミナに変
換されるアルミニウム化合物としては、例えば水酸化ア
ルミニウム、フッ化アルミニウム、硝酸アルミニウム等
を挙げることができる。
【0068】前記(d)成分の配合量を規定したのは、
前述したAlN焼結体の製造方法(5)で説明したのと
同様な理由によるものである。
【0069】また、(A)金属単体および/または導電
性化合物と(B)窒化アルミニウム粉末と(C)IIa族
元素化合物およびIII a族元素化合物から選ばれる少な
くとも1種と(D)硼素もしくは硼素化合物と(E)ア
ルミナもしくは焼結時にアルミナを生じるアルミニウム
化合物とを有機バインダと共に有機溶剤中に分散して導
体ペーストを調製する。
【0070】前記(A)成分の金属単体、導電性化合物
としては、例えばタングステン、タングステン硼化物、
タングステン炭化物、ケイ化タングステン、モリブデ
ン、モリブデン硼化物、モリブデン炭化物、ケイ化モリ
ブデン等を挙げることができる。これらの金属単体、導
電性化合物は、後述する同時焼結工程で形成される導体
層中に75〜99重量%含有されるように配合すること
が好ましい。
【0071】前記(B)成分のAlN粉末は、後述する
同時焼結工程で形成される導体層中に1〜20重量%含
有されるように配合することが好ましい。
【0072】前記(C)成分のIIa族元素化合物または
IIa族元素化合物とIII a族元素化合物の両者は、後述
する同時焼結工程で形成される導体層中に0.001〜
3重量%含有されるように配合することが好ましい。
【0073】前記(D)成分の硼素もしくは硼素化合物
は、後述する同時焼結工程で形成される導体層中に酸化
物換算で0.001〜3重量%含有されるように配合す
ることが好ましい。
【0074】前記(E)成分のアルミナもしくは焼結時
にアルミナを生じるアルミニウム化合物は、後述する同
時焼結工程で形成される導体層中に酸化物換算で0.0
1〜2重量%含有されるように配合することが好まし
い。
【0075】次いで、前記グリーンシートの少なくとも
表面に前記導体ペーストをスクリーン印刷法等によりパ
ターン状に塗布し、窒素やアルゴンの非酸化性雰囲気
中、水蒸気を含む窒素やアルゴン等の非酸化性雰囲気中
で加熱してバインダを除去した後、窒素等の非酸化性雰
囲気中、1400〜1700℃、好ましくは1500〜
1650℃の温度で焼結することにより回路基板を製造
する。
【0076】なお、多層回路基板は前述した回路基板の
製造方法(4)で説明したのと同様手順で製造される。
【0077】
【作用】本発明に係わるAlN焼結体(1)は、AlN
を主成分とし、かつそれぞれ酸化物換算で所定量のIIa
族元素および IIIa族元素から選ばれる少なくとも1種
の元素と硼素もしくは硼素化合物とマンガンもしくはマ
ンガン化合物と含有するため、緻密で100W/m・K
以上の高い熱伝導率を有し、さらに優れたガラス封止性
を有する。
【0078】前記AlN焼結体(1)が優れたガラス封
止性を有する機構については、現在のところ明確ではな
いが、発明者らの研究によれば以下のような組織になっ
ていることに起因するものと考えられる。
【0079】すなわち、前記AlN焼結体に含有される
硼素もしくは硼素化合物とマンガンもしくはマンガン化
合物は、ランダムに分散して入る。主には、IIa族元素
−Al−O化合物または IIIa族元素−Al−O化合物
に均一に分散しており、微量はAlN中にも混入してい
ると思われる。表面部分には、IIa族元素−Al−O化
合物または IIIa族元素−Al−O化合物とAlNの粒
子が存在しており、その両方に硼素元素とマンガン元素
が存在している。このような硼素元素とマンガン元素が
共存すると、ガラスが軟化温度以上の温度でAlN焼結
体表面に存在した時、ガラスの濡れ角を下げ、その結果
ガラスが薄く均一に濡れる。また、硼素とマンガンがA
lN焼結体の表面に存在すると、ガラス封止に用いられ
るガラス成分とミクロな結合が生成し、それらの間に接
合性および整合性の良好な界面を形成すると考えられ
る。
【0080】本発明に係わるAlN焼結体の製造方法
(2)によれば、(a)AlN粉末と前記AlN粉末に
対してそれぞれ酸化物換算で所定量配合される(b)II
a族元素化合物およびIII a族元素化合物から選ばれる
少なくとも1種の化合物と(c)硼素もしくは硼素化合
物と(d)マンガンもしくはマンガン化合物とを含む原
料を焼結する。このような方法によれば、前記添加剤の
過剰な滲み出しを招くことなく、1700℃以下の低温
焼結により緻密化されて所望の熱伝導率を維持し、かつ
ガラス封止が容易なAlN焼結体を製造できる。
【0081】すなわち、前記原料の焼結工程において前
記(c)硼素もしくは硼素化合物および(d)マンガン
もしくはマンガン化合物の成分の相互作用により低温
(1700℃以下)で緻密化される。また、前記
(c)、(d)成分は前述したように焼結後のAlN焼
結体の表面において硼素とマンガンとしてガラス封止に
用いられるガラス成分とミクロな結合を生成し、それら
の間に接合性および整合性の良好な界面を形成すること
によりガラス封止性を向上できる。
【0082】本発明に係わる回路基板(3)は、AlN
を主成分とし、かつIIa族元素およびIII a族元素から
選ばれる少なくとも1種の元素、硼素もしくは硼素化合
物およびマンガンもしくはマンガン化合物を含有する絶
縁層と、金属単体および/または導電性化合物、窒化ア
ルミニウム、硼素もしくは硼素化合物およびマンガンも
しくはマンガン化合物を含有し、かつIIa族元素−Al
−O系化合物、III a族元素−Al−O系化合物および
IIa族元素−III a族元素−Al−O系化合物から選ば
れる少なくとも1つの化合物を含有する導体層とを備え
る。このような回路基板(3)によれば、前記導体層は
前記絶縁層と同材質の成分、特にマンガンが含有されて
いるため、前記絶縁層と前記導体層とはマンガンを含む
複合酸化物により良好に密着される。また、前記導体層
には前記絶縁層と同材質の成分が含有されているため、
それら絶縁層および導体層間の熱膨張係数を整合させる
ことができる。その結果、前記絶縁層と前記導体層間の
剥離等のない信頼性の高い回路基板を得ることができ
る。
【0083】さらに、前記絶縁層は前述したAlN焼結
体(1)と同様な成分組成からなり、硼素元素とマンガ
ン元素が共存してガラスが軟化温度以上の温度でその表
面に存在した時、ガラスの濡れ角を下げるため、良好な
ガラス封止性を有する。したがって、かかる回路基板は
キャップ等がガラス成分により接合されるパッケージ等
に有効に利用できる。
【0084】本発明に係わる回路基板の製造方法(4)
は、(a)AlN粉末と前記AlN粉末粉末に対してそ
れぞれ酸化物換算で所定量配合される(b)IIa族元素
化合物およびIII a族元素化合物から選ばれる少なくと
も1種の化合物と(c)硼素もしくは硼素化合物と
(d)マンガンもしくはマンガン化合物とを含む原料を
成形してグリーンシートを作製する工程と、(A)金属
単体および/または導電性化合物と(B)窒化アルミニ
ウム粉末と(C)IIa族元素化合物およびIII a族元素
化合物から選ばれる少なくとも1種と(D)硼素もしく
は硼素化合物(E)およびマンガンもしくはマンガン化
合物とを含む導体ペーストを調製する工程と、前記グリ
ーンシートの少なくとも表面に前記導体ペーストをパタ
ーン状に塗布した後、積層、脱バインダ、焼結を行う工
程とを備える。このような製造方法(4)によれば、1
700℃以下の低温同時焼結工程において前記絶縁層お
よび前記導体層にマンガンを含む複合酸化物を形成でき
るため、前記複合酸化物により前記絶縁層と前記導体層
とを良好に密着することができる。また、同時焼結工程
において絶縁層と導体層都の収縮率を整合させることが
できる。その結果、前記絶縁層と前記導体層間の剥離等
のない信頼性の高い回路基板を製造することができる。
【0085】さらに、前記低温同時焼結工程において前
述したAlN焼結体の製造方法(2)で説明したのと同
様な作用により緻密で高い熱伝導率を有すると共にガラ
ス封止性が良好な絶縁層を形成できる。したがって、製
造された回路基板はキャップ等がガラス成分により接合
されるパッケージ等に有効に利用できる。
【0086】本発明に係わるAlN焼結体の製造方法
(5)は、(a)AlN粉末とこのAlN粉末に対して
それぞれ酸化物換算で所定量配合される(b)IIa族元
素化合物またはIIa族元素化合物およびIII a族元素化
合物の両者と(c)硼素もしくは硼素化合物および
(d)アルミナ粉末もしくは焼結時にアルミナを生じる
アルミニウム化合物を含む原料を焼結する。このような
AlN焼結体の製造方法(5)によれば、アルミナの添
加により酸素が供給されるため、AlN中に僅かに酸素
が多く固溶し、Alサイトの格子欠陥を生成されてAl
Nが自己拡散しやすくなり、低温で焼結される。また、
硼素または硼素化合物を添加すると、一部粒界相がガラ
ス化することにより、硼素が添加されない場合に比べて
低温で流動化する粒界相成分が存在することになるた
め、微小なポアが残っても、その部分をガラス成分で埋
める効果(リキッド・ポケット効果)により低温で緻密
化することがてきる。その結果、100W/m・K以上
の高い熱伝導率を有するAlN焼結体を製造できる。さ
らに、優れたガラス封止性を有するAlN焼結体を製造
できる。
【0087】前記製造方法により得られたAlN焼結体
が優れたガラス封止性を有する機構については、現在の
ところ明確ではないが、発明者らの研究によれば以下の
ような組織が形成されることに起因するものと考えられ
る。
【0088】前記AlN焼結体の原料として配合される
硼素や硼素化合物とアルミナは、焼結後において焼結体
中にランダムに分散して入る。主には、IIa 族元素−A
l−O化合物、III a族元素−Al−O化合物およびII
a族素−III a族元素−Al−O化合物から選ばれる少
なくとも1つの化合物に均一に分散しており、微量はA
lN中にも混入していると思われる。表面部分には、II
a 族元素−Al−O化合物、III a族元素−Al−O化
合物およびIIa族素−III a族元素−Al−O化合物か
ら選ばれる少なくとも1つの化合物とAlNの粒子が存
在しており、その両方にB元素とAl元素とO元素が存
在している。これらの元素が存在すると、ガラスが軟化
温度以上の温度でAlN焼結体表面に存在した時、ガラ
スの濡れ角を下げ、その結果ガラスが薄く均一に濡れ
る。また、硼素とマンガンがAlN焼結体の表面に存在
すると、ガラス封止に用いられるガラス成分とミクロな
結合が生成し、それらの間に接合性および整合性の良好
な界面を形成すると考えられる。
【0089】本発明に係わる回路基板の製造方法(6)
は、(a)AlN粉末とこのAlN粉末に対してそれぞ
れ酸化物換算で所定量配合される(b)IIa族元素化合
物またはIIa族元素化合物およびIII a族元素化合物の
両者と(c)硼素もしくは硼素化合物と(d)アルミナ
粉末もしくは焼結時にアルミナを生じるアルミニウム化
合物とを含む原料を成形してグリーンシートを作製する
工程と、(A)金属単体および/または導電性化合物と
(B)窒化アルミニウム粉末と(C)IIa族元素化合物
およびIII a族元素化合物から選ばれる少なくとも1種
と(D)硼素もしくは硼素化合物と(E)アルミナもし
くは焼結時にアルミナを生じるアルミニウム化合物とを
含む導体ペーストを調製する工程と、前記グリーンシー
トの少なくとも表面に前記導体ペーストをパターン状に
塗布した後、焼結する工程とを備える。このような回路
基板の製造方法(6)によれば、1700℃以下の低温
同時焼結工程において導体層用原料は絶縁層用原料と同
様な成分(B)〜(E)を含むため、それらに共通な複
合酸化物が生成されることにより前記絶縁層と前記導体
層とを良好に密着することができる。また、同時焼結工
程において絶縁層と導体層都の収縮率を整合させること
ができる。その結果、前記絶縁層と前記導体層間の剥離
等のない信頼性の高い回路基板を製造することができ
る。
【0090】さらに、前記低温同時焼結工程において前
述したAlN焼結体の製造方法(5)で説明したのと同
様な作用により緻密で高い熱伝導率を有すると共にガラ
ス封止性が良好な絶縁層を形成できる。したがって、製
造された回路基板はキャップ等がガラス成分により接合
されるパッケージ等に有効に利用できる。
【0091】
【実施例】以下、本発明を実施例に沿って、さらに詳細
に説明する。なお、これら実施例は、本発明を容易にす
る目的で記載されるものであり、本発明を特に限定する
ものではない。
【0092】(実施例1)不純物酸素量0.98重量
%、平均一次粒子径0.6μmのAlN粉95.5重量
%、平均粒径0.1μm、純度99.9重量%のY2
3 3.0重量%、平均粒径3μmで純度99.9重量%
のMnO2 0.5重量%、平均粒径3μmのB2
3 0.5重量%および着色剤としてのWO3 0.5重量
%からなる混合物にn−ブタノールを加え、湿式ボール
ミルにより解砕、混合した後、n−ブタノールを除去し
て原料粉末を調製した。つづいて、この原料粉にアクリ
ル系バインダーを5重量%添加して造粒した後、この造
粒粉を50MPaの一軸加圧下で成形して凹型の形状を
した圧粉体とした。この圧粉体を窒素ガス雰囲気中、7
00℃で加熱してアクリル系バインダーを除去した。脱
バインダー体をAlN焼結体から成る焼結容器中にセッ
トし、グラファイト製ヒータ炉内にて1気圧の窒素ガス
雰囲気下、1700℃、6時間の焼結を行った。
【0093】得られたAlN焼結体は黒色で色ムラや焼
きムラがなく、また、清浄な表面であり、密度をアルキ
メデス法で測定したところ3.30g/cm3 と充分に
緻密化していた。前記AlN焼結体から直径10mm、
厚さ3mmの円板を切り出し、21±2℃の室温下でJ
IS−R1611に従ってレーザーフラッシュ法で熱伝
導率を測定したところ、160W/mKであった。
【0094】また、前述した方法にしたがって2個の凹
型AlN焼結体を製造した。得られた2個の凹型AlN
焼結体をそれらの開口面が互いに当接するように重ねた
後、窒素雰囲気中で下記組成のガラスを用いてガラス封
止を行った。
【0095】 <ガラスの組成> SiO2 …6.60重量%、TiO2 … 5.30重量% Al2 3 …1.80重量%、Fe2 3 … 0.08重量% Cr2 3 …0.08重量%、PbO …57.7 重量% CoO …0.02重量%、CaO … 1.00重量% MgO …0.03重量%、Na2 O … 0.01重量% B2 3 …6.40重量%、ZnO …19.00重量% SnO2 …0.01重量%、V2 3 … 0.30重量% Bi2 3 …1.50重量%。
【0096】封止した試料を、5気圧のヘリウムガスで
満たしたチャンバ中に40分放置した後、チャンバ内を
10-3torrオーダに真空に引いて、再び空気を1気
圧まで導入した。このヘリウム洗浄工程を3回行った
後、試料をチャンバから取り出し、空気中で30分放置
した。このように処理した後、ヘリウムリーク試験(フ
ァインリークの検知)にかけた。ヘリウムリーク量の検
出は、質量分析計で行った。その結果、1.0×10
-10 atm・cc・s-1以下であり、良好な値であっ
た。さらに、3M製フロリナート40番を120℃に暖
めた中に前記試料を入れて3分間放置するグロスリーク
試験を行った。その結果、気泡の発生はなく、グロスリ
ークも確認されなかった。
【0097】(比較例1)実施例1と同様なAlN粉A
lN粉96.5重量%、平均粒径0.1μm、純度9
9.9重量%のY2 3 3.0重量%および着色剤とし
てのWO3 0.5重量%からなる混合物にn−ブタノー
ルを加え、湿式ボールミルにより解砕、混合した後、n
−ブタノールを除去して原料粉末を調製した。つづい
て、この原料粉末を用いて実施例1と同様な処理を施す
ことによりAlN焼結体を製造した。
【0098】得られたAlN焼結体を実施例1と同様な
方法により密度および熱伝導率を測定した。その結果、
密度は3.30g/cm3 と充分に緻密化しており、熱
伝導率は150W/m・Kであった。また、表面状態も
良好であった。しかしながら、実施例1と同様な方法で
リーク試験を行ったところ、5.0×10-7atm・c
c・s-1とリーク量が大きかった。
【0099】(実施例2〜27)下記表1、表3、表5
および表7に示すAlN粉、添加物を種々に変えた組成
の混合粉末を用い、下記表2、表4、表6および表8に
示す焼結条件にそれぞれ設定した以外、実施例1と同様
な方法により26種のAlN焼結体を製造した。得られ
た各AlN焼結体の密度、熱伝導率、表面状態およびヘ
リウムリーク結果を同表2、表4、表6および表8に併
記した。なお、表面状態が良好とは色ムラや焼きムラが
なく、しかも目視で表面に何らの析出物が見られないこ
とを意味している。
【0100】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】 前記表2、表4、表6および表8から明らかなように実
施例2〜27のAlN焼結体は、高密度で高い熱伝導率
を有すると共に、表面状態が良好で、さらに優れたガラ
ス封止特性を有することがわかる。
【0101】(実施例28)不純物酸素量0.98重量
%、平均一次粒子径0.6μmのAlN粉95.5重量
%、平均粒径0.1μm、純度99.9重量%のY2
3 3.0重量%、平均粒径0.3μmのMnO2 0.5
重量%、平均粒径3μmのB2 3 0.5重量%および
着色剤としてのWO3 0.5重量%からなる混合物をボ
ールミルを用いn−ブタノール中において湿式混合し
た。この混合粉末を有機バインダーと共に有機溶剤中に
分散してスラリーを調製した。得られたスラリーをドク
ターブレード法に従ってシート化し、複数のグリーンシ
ートを形成した。つづいて、これらのグリーンシートの
所定位置に層間接続用の複数のビアホールを形成した。
【0102】一方、平均粒径0.4μmのW粉末85体
積%と平均粒径0.6のAlN粉末96重量%、Y2
3 3重量%、MnO2 0.5重量%およびB2 3 0.
5重量%からなる混合粉末15.0体積%とを有機バイ
ンダーと共に有機溶媒中に分散し、導体ペーストを調製
した。
【0103】次いで、前記導体ペーストを前記グリーン
シートのビアホール内に充填すると共に表面にスクリー
ン印刷し、導体ペースト層を形成した。つづいて、導体
ペースト層が形成された複数グリーンシートを、ビアホ
ールで位置合わせして積層した後、加熱プレスを施し
た。つづいて、得られた積層体を水蒸気を含む窒素雰囲
気中、800℃で加熱して有機バインダを除去した。こ
の脱バインダ体をN2 等の非酸化性雰囲気中、1680
℃、8時間同時焼結した。その結果、導体層間がビアホ
ールで導通させた多層配線構造のセラミック回路基板が
製造された。
【0104】得られたセラミック回路基板において、絶
縁層は十分に緻密化しており、ポアは見られなかった。
【0105】また、前記回路基板は反り、うねり、クラ
ックやフクレがなく、表面が平滑であった。前記回路基
板の形態をSEMで観察したところ、AlNを主成分と
する絶縁層とWを主成分とする導体層とが共に充分緻密
化していた。
【0106】さらに、前記絶縁層と同じ組成の2個の凹
形AlN焼結体を実施例1と同様に製造した。得られた
2個の凹型AlN焼結体をそれらの開口面が互いに当接
するように重ねた後、窒素雰囲気中で下記組成のガラス
を用いてガラス封止を行って試料を作製した。得られた
試料について実施例1と同様なリーク試験を行った。そ
の結果、1.0×10-10 atm・cc・s-1以下であ
り良好な値であった。また、3M製フロリナート40番
を120℃に暖めた中に前記試料を入れ3分間放置する
グロスリーク試験を行った。その結果、気泡を発生はな
く、グロスリークも確認されなかった。
【0107】(実施例29〜44)絶縁層用混合物とし
て下記表9および表12に示す組成のものを用い、導体
層用混合物として下記表10および表13に示す組成の
ものを用い、かつ同表10および表13に示す焼結条件
に設定した以外、実施例28と同様な方法により16種
の多層配線構造のセラミック回路基板を製造した。
【0108】得られた各セラミック回路基板の表面状態
を調べた。また、前記各絶縁層と同じ組成の2個の凹形
AlN焼結体を実施例1と同様に製造した。得られた2
個の凹型AlN焼結体をそれらの開口面が互いに当接す
るように重ねた後、窒素雰囲気中で下記組成のガラスを
用いてガラス封止を行って試料を作製した。得られた試
料について実施例1と同様なリーク試験を行った。さら
に、各回路基板の導体層の抵抗率を調べた。これらの結
果を下記表11および表14に示す。
【0109】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】 前記表11および表14から明らかなように実施例29
〜44の回路基板は、表面状態が良好で、かつガラス成
分を封止材料として用いた時の封止特性に優れ、さらに
低抵抗の導体層を有することがわかる。
【0110】(実施例45)不純物酸素量0.98重量
%、平均一次粒子径0.6μmのAlN粉94.5重量
%、平均粒径0.1μm、純度99.9重量%のY2
3 3.0重量%、平均粒径0.2μm、純度99.9重
量%のCaCO3 1.0重量%、平均粒径0.5μmで
純度99.9重量%のAl2 3 0.5重量%、平均粒
径3μmのB2 3 0.5重量%および着色剤としての
WO3 0.5重量%からなる混合物にn−ブタノールを
加え、湿式ボールミルにより解砕、混合した後、n−ブ
タノールを除去して原料粉末を調製した。つづいて、こ
の原料粉末にアクリル系バインダを5重量%添加して造
粒した後、この造粒粉を50MPaの一軸加圧下で成形
して凹型の形状をした圧粉体とした。この圧粉体を空気
雰囲気中、700℃で加熱してアクリル系バインダーを
除去した。脱バインダー体をAlN焼結体からなる焼結
容器中にセットし、グラファイト製ヒータ炉内にて1気
圧の窒素ガス雰囲気下、1550℃、6時間の焼結を行
ってAlN焼結体を製造した。
【0111】得られたAlN焼結体は、黒色で色ムラや
焼きムラがなく、また清浄な表面を有していた。また、
前記AlN焼結体の密度をアルキメデス法で測定したと
ころ3.30g/cm3 と充分に緻密化していた。前記
AlN焼結体から直径10mm、厚さ3mmの円板を切
り出し、21±2℃の室温下でJIS−R1611に従
ってレーザーフラッシュ法で熱伝導率を測定したとこ
ろ、160W/mKであった。
【0112】また、前述した方法にしたがって2個の凹
型AlN焼結体を製造した。得られた2個の凹型AlN
焼結体をそれらの開口面が互いに当接するように重ねた
後、窒素雰囲気中で実施例1と同様な組成のガラスを用
いてガラス封止を行った。封止した試料を、5気圧のヘ
リウムガスで満たしたチャンバ中に40分放置した後、
チャンバ内を10-3torrオーダに真空に引いて、再
び空気を1気圧まで導入した。このヘリウム洗浄工程を
3回行った後、試料をチャンバから取り出し、空気中で
30分放置した。このように処理した後、ヘリウムリー
ク試験(ファインリークの検知)にかけた。ヘリウムリ
ーク量の検出は、質量分析計で行った。その結果、1.
0×10-10 atm・cc・s-1以下であり、良好な値
であった。さらに、3M製フロリナート40番を120
℃に暖めた中に前記試料を入れて3分間放置するグロス
リーク試験を行った。その結果、気泡の発生はなく、グ
ロスリークも確認されなかった。
【0113】(比較例2)実施例45と同様なAlN粉
95.5重量%、平均粒径0.1μm、純度99.9重
量%のY2 3 3.0重量%、CaCO3 を1.0重量
%および着色剤としてのWO3 0.5重量%からなる混
合物にn−ブタノールを加え、湿式ボールミルにより解
砕、混合した後、n−ブタノールを除去して原料粉末を
調製した。つづいて、この原料粉末を用いて実施例45
と同様な処理を施すことによりAlN焼結体を製造し
た。
【0114】得られたAlN焼結体を実施例45と同様
な方法により密度および熱伝導率を測定した。その結
果、密度は3.28g/cm3 と充分に緻密化してお
り、熱伝導率は130W/m・Kであった。また、表面
状態も良好であった。しかしながら、実施例45と同様
な方法によりリーク試験を行ったところ、6.0×10
-7atm・cc・s-1とリーク量が大きかった。
【0115】(実施例46〜71)表15、表17、表
19および表21に示すAlN粉、添加物を種々に変え
た組成の混合粉末を用い、下記表16、表18、表20
および表22に示す焼結条件にそれぞれ設定した以外、
実施例45と同様な方法により26種のAlN焼結体を
製造した。得られた各AlN焼結体の密度、熱伝導率、
表面状態およびヘリウムリーク結果を同表16、表1
8、表20および表22に併記した。なお、表面状態が
良好とは色ムラや焼きムラがなく、しかも目視で表面に
何らの析出物が見られないことを意味している。
【0116】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】 前記表16、表18、表20および表22から明らかな
ように実施例46〜71のAlN焼結体は、高密度で高
い熱伝導率を有すると共に、表面状態が良好で、さらに
優れたガラス封止特性を有することがわかる。
【0117】(実施例72)不純物酸素量0.98重量
%、平均一次粒子径0.6μmのAlN粉94.5重量
%、平均粒径0.1μm、純度99.9重量%のY2
3 3.0重量%、平均粒径0.3μmのCaCO3 1.
0重量%、平均粒径3μmのB2 3 0.5重量%、平
均粒径0.4μmAl2 3 0.5重量%および着色剤
としてのWO3 0.5からなる混合物を、ボールミルを
用いn−ブタノール中において湿式混合した。この混合
粉末を有機バインダーと共に有機溶剤中に分散してスラ
リーを調製した。得られたスラリーをドクターブレード
法に従ってシート化し、複数のグリーンシートを形成し
た。つづいて、これらのグリーンシートの所定位置に層
間接続用の複数のビアホールを形成した。
【0118】一方、平均粒径0.4μmのW粉末85体
積%と平均粒径0.6μmのAlN粉末95重量%、Y
2 3 3重量%、CaCO3 1重量%、B2 3 0.5
重量%およびAl2 3 0.5重量%からなる混合粉末
15.0体積%とを、有機バインダーと共に有機溶媒中
に分散し、導体ペーストを調製した。
【0119】次いで、前記導体ペーストを前記グリーン
シートのビアホール内に充填すると共に表面にスクリー
ン印刷し、導体ペースト層を形成した。つづいて、導体
ペースト層が形成された複数グリーンシートを、ビアホ
ールで位置合わせして積層した後、加熱プレスを施し
た。つづいて、得られた積層体を窒素雰囲気中、700
℃で加熱して有機バインダを除去した。この脱バインダ
体をN2 等の非酸化性雰囲気中、1550℃、8時間同
時焼結した。その結果、導体層間がビアホールで導通さ
せた多層配線構造のセラミック回路基板が製造された。
【0120】得られたセラミック回路基板において、絶
縁層は十分に緻密化しており、ポアは見られなかった。
【0121】また、前記回路基板は反り、うねり、クラ
ックやフクレがなく、表面が平滑であった。前記回路基
板の形態をSEMで観察したところ、AlNを主成分と
する絶縁層とWを主成分とする導体層とが共に充分緻密
化していた。
【0122】さらに、前記絶縁層と同じ組成の2個の凹
形AlN焼結体を実施例45と同様に製造した。得られ
た2個の凹型AlN焼結体をそれらの開口面が互いに当
接するように重ねた後、窒素雰囲気中で下記組成のガラ
スを用いてガラス封止を行って試料を作製した。
【0123】 <ガラスの組成> SiO2 …6.60重量%、TiO2 … 5.30重量% Al2 3 …1.80重量%、Fe2 3 … 0.08重量% Cr2 3 …0.08重量%、PbO …57.7 重量% CoO …0.02重量%、CaO … 1.00重量% MgO …0.03重量%、Na2 O … 0.01重量% B2 3 …6.40重量%、ZnO …19.00重量% SnO2 …0.01重量%、V2 3 … 0.30重量% Bi2 3 …1.50重量%。
【0124】得られた試料について実施例45と同様な
リーク試験を行った。その結果、1.0×10-10 at
m・cc・s-1以下であり良好な値であった。また、3
M製フロリナート40番を120℃に暖めた中に前記試
料を入れ3分間放置するグロスリーク試験を行った。そ
の結果、気泡を発生はなく、グロスリークも確認されな
かった。
【0125】(実施例73〜88)絶縁層用混合物とし
て下記表23および表26に示す組成のものを用い、導
体層用混合物として下記表24および表27に示す組成
のものを用い、かつ同表240および表27に示す焼結
条件に設定した以外、実施例45と同様な方法により1
6種の多層配線構造のセラミック回路基板を製造した。
【0126】得られた各セラミック回路基板の表面状態
を調べた。また、前記各絶縁層と同じ組成の2個の凹形
AlN焼結体を実施例1と同様に製造した。得られた2
個の凹型AlN焼結体をそれらの開口面が互いに当接す
るように重ねた後、窒素雰囲気中で下記組成のガラスを
用いてガラス封止を行って試料を作製した。得られた試
料について実施例45と同様なリーク試験を行った。さ
らに、各回路基板の導体層の抵抗率を調べた。これらの
結果を下記表25および表28に示す。
【0127】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】 前記表25および表28から明らかなように実施例73
〜88の回路基板は、表面状態が良好で、かつガラス成
分を封止材料として用いた時の封止特性に優れ、さらに
低抵抗の導体層を有することがわかる。
【0128】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば緻
密で120W/mK以上の高い熱伝導率を有すると共に
ガラスを用いた封止特性の優れたAlN焼結体、および
1700℃以下の低温焼結により緻密で120W/mK
以上の高い熱伝導率を有し、かつ焼きムラ色や色ムラお
よび反りやうねりがなく、さらにガラスを用いた封止特
性の優れたAlN焼結体の製造方法を提供できる。
【0129】また、本発明によれば緻密で120W/m
K以上の高い熱伝導率を有し、かつ焼きムラ色や色ムラ
および反りやうねりがなく、さらにガラスを用いた封止
特性の優れたAlNを主成分とする絶縁層を有し、かつ
前記絶縁層と導電材料を主成分とする導体層とが良好に
密着した高信頼性の回路基板、およびかかる優れた特性
を有する回路基板を低温同時焼結により製造し得る方法
を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 41/89 Z H05K 1/03 610 E 7511−4E 1/09 Z 7726−4E 3/46 H 6921−4E (72)発明者 大石 克嘉 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 上野 文雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 加曽利 光男 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 角野 裕康 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウムを主成分とし、かつII
    a族元素およびIIIa族元素から選ばれる少なくとも1
    種の元素を酸化物換算で0.05〜15重量%含有し、
    さらに硼素もしくは硼素化合物を酸化物(B2 3 )換
    算で0.01〜4重量%、マンガンもしくはマンガン化
    合物を酸化物(MnO2 )換算で0.005〜4重量%
    含有することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】 (a)窒化アルミニウム粉末と(b)前
    記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.05
    〜15重量%配合されるIIa族元素化合物およびIII a
    族元素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    (c)前記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物(B2
    3 )換算で0.01〜5重量%配合される硼素もしく
    は硼素化合物と(d)前記窒化アルミニウム粉末に対し
    て酸化物(MnO2 )換算で0.01〜5重量%配合さ
    れるマンガンもしくはマンガン化合物とを含む原料を焼
    結することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 窒化アルミニウムを主成分とし、かつII
    a族元素およびIIIa族元素から選ばれる少なくとも1
    種の元素を酸化物換算で0.05〜15重量%含有し、
    さらに硼素もしくは硼素化合物を酸化物(B2 3 )換
    算で0.01〜4重量%、マンガンもしくはマンガン化
    合物を酸化物(MnO2 )換算で0.005〜4重量%
    含有する絶縁層と、 少なくとも一部が金属単体および/または導電性化合
    物、窒化アルミニウム、硼素もしくは硼素化合物および
    マンガンもしくはマンガン化合物を含有し、かつIIa族
    元素−Al−O系化合物、III a族元素−Al−O系化
    合物およびIIa族元素−III a族元素−Al−O系化合
    物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含有する導体
    層とを具備したことを特徴とする回路基板。
  4. 【請求項4】 (a)窒化アルミニウム粉末と(b)前
    記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.05
    〜15重量%配合されるIIa族元素化合物およびIII a
    族元素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    (c)前記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物(B2
    3 )換算で0.01〜5重量%配合される硼素もしく
    は硼素化合物と(d)前記窒化アルミニウム粉末に対し
    て酸化物(MnO2 )換算で0.01〜5重量%配合さ
    れるマンガンもしくはマンガン化合物とを含む原料を成
    形してグリーンシートを作製する工程と、 (A)金属単体および/または導電性化合物と(B)窒
    化アルミニウム粉末と(C)IIa族元素化合物およびII
    I a族元素化合物から選ばれる少なくとも1種と(D)
    硼素もしくは硼素化合物(E)およびマンガンもしくは
    マンガン化合物とを含む導体ペーストを調製する工程
    と、 前記グリーンシートの少なくとも表面に前記導体ペース
    トをパターン状に塗布した後、積層、脱バインダ、焼結
    を行う工程とを具備したことを特徴とする回路基板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 (a)窒化アルミニウム粉末と(b)前
    記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.05
    〜15重量%配合されるIIa族元素化合物またはIIa族
    元素化合物およびIII a族元素化合物の両者と(c)前
    記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.01
    〜5重量%配合される硼素もしくは硼素化合物および
    (d)前記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で
    0.01〜5重量%配合されるアルミナ粉末もしくは焼
    結時にアルミナを生じるアルミニウム化合物を含む原料
    を焼結することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 (a)窒化アルミニウム粉末と(b)前
    記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.05
    〜15重量%配合されるIIa族元素化合物またはIIa族
    元素化合物およびIII a族元素化合物の両者と(c)前
    記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.01
    〜5重量%配合される硼素もしくは硼素化合物と(d)
    前記窒化アルミニウム粉末に対して酸化物換算で0.0
    1〜5重量%配合されるアルミナ粉末もしくは焼結時に
    アルミナを生じるアルミニウム化合物とを含む原料を成
    形してグリーンシートを作製する工程と、 (A)金属単体および/または導電性化合物と(B)窒
    化アルミニウム粉末と(C)IIa族元素化合物およびII
    I a族元素化合物から選ばれる少なくとも1種と(D)
    硼素もしくは硼素化合物と(E)アルミナもしくは焼結
    時にアルミナを生じるアルミニウム化合物とを含む導体
    ペーストを調製する工程と、 前記グリーンシートの少なくとも表面に前記導体ペース
    トをパターン状に塗布した後、積層、脱バインダ、焼結
    を行う工程とを具備したことを特徴とする回路基板の製
    造方法。
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