JP2777344B2 - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体の製造方法

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JP2777344B2
JP2777344B2 JP7235241A JP23524195A JP2777344B2 JP 2777344 B2 JP2777344 B2 JP 2777344B2 JP 7235241 A JP7235241 A JP 7235241A JP 23524195 A JP23524195 A JP 23524195A JP 2777344 B2 JP2777344 B2 JP 2777344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
(AlN)焼結体の製造方法に係り、特に熱伝導率が 1
00〜 180W/m K のAlN焼結体を安価に製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】AlN焼結体は、アルミナセラミックス
等に比べて熱伝導性に優れ、かつ熱膨張係数がシリコン
のそれとほぼ等しいため、半導体実装用の基板材料とし
て注目されている。また、高温下での高強度性、溶融金
属との無反応性等の特性を合せ持つため、回路基板やそ
の他の分野への応用が進められている。
【0003】しかしながら、AlN焼結体の応用は、当
初予想されたよりも非常に遅れて展開している。AlN
焼結体は、従来のアルミナセラミックス等に比べて回路
基板等としての特性が大幅に上回っているにも拘らず、
実際の使用実績が伸び悩んでいる最大の要因はコスト高
に他ならない。AlN焼結体のコスト高の要因は、原料
粉末の価格等よりも、アルミナセラミック等に見られる
ような大量生産技術が十分に整っていないことに起因す
ると考えられる。
【0004】すなわち、AlN焼結体は難焼結性の材料
であり、かつ高熱伝導性を得るためにはAlN結晶粒の
酸素をトラップする焼結助剤、例えばアルカリ土類金属
化合物や希土類化合物を添加して、 2073K前後の高温で
焼結する必要がある。このように、焼結温度が 2073K前
後と高いために、焼結に費やすエネルギー量が大きいこ
とに加えて、高価な高温用炉材を用いた焼結炉を使用し
なければならない。このようなことから、AlN焼結体
はアルミナセラミックス等に比べて大幅に製造コストが
高いのが現状である。
【0005】一方、例えば特開昭 61-209959号公報、特
公平 5-17190号公報、特開昭 62-153173号公報等に記載
されているように、近年になってAlN焼結体の低温焼
結化が可能になりつつあるが、相変わらず焼結炉には従
来の高温用炉材を用いたバッチ式炉が使用されており、
実際の製造コストは従来の高温焼結AlN焼結体と何等
変わっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の高温焼結AlN焼結体は、焼結に費やすエネルギー量
が大きいことに加えて、高価な高温用炉材を用いた焼結
炉を使用しなければならず、製造コストがアルミナセラ
ミックス等に比べて格段に高いという難点を有してい
る。一方、AlN焼結体の低温焼結技術も開発されてい
るが、従来のAlN焼結体の低温焼結技術では、実際の
製造コストについては高温焼結AlN焼結体と何等変わ
っておらず、焼結温度の低下に見合った製造コストの低
減は実現されてないのが現状である。
【0007】このようなことから、AlN焼結体の低温
焼結に見合った低コストの製造プロセスの開発が、アル
ミナセラミックス等に比べて高熱伝導性を有するAlN
焼結体の応用範囲を拡大する上で最大の課題とされてい
る。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、窒化アルミニウム焼結体の焼結温度
の低下に応じて、製造コストの低減を図ることを可能に
した窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供すること
を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化アルミニウ
ム焼結体の製造方法は、メタルヒータを有すると共に、
酸化物炉材を用いた電気抵抗炉中において、低温焼結組
成の窒化アルミニウム焼結体原料を、酸素の存在量が 1
00ppm 以下の窒素またはアルゴン雰囲気中で、かつ 187
3K以下の温度で焼成することを特徴とする、熱伝導率が
100〜 180W/mK の窒化アルミニウム焼結体を製造する
方法である。
【0010】本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方
法においては、メタルヒータを有すると共に、酸化物炉
材を用いた電気抵抗炉を使用する。このような酸化物炉
材を用いた電気抵抗炉は、炉自体が安価であると共に、
製造コストの低減が図れる連続焼成炉とすることができ
る。ただし、このような電気抵抗炉では、窒素やアルゴ
ン等の不活性雰囲気としても、酸素の存在量を低減化す
ることが困難で、従来の 2073K前後の高温焼結では窒化
アルミニウム中への酸素の固溶が起こりやすく、実用的
な窒化アルミニウム焼結体を得ることができない。これ
に対して、本発明では低温焼結組成の窒化アルミニウム
焼結体原料を 1873K以下の温度で焼成しているため、気
相を介しての窒化アルミニウム中への酸素の固溶や焼結
体の酸化等はほとんど無視できる。従って、熱伝導率が
100〜 180W/m K の窒化アルミニウム焼結体、すなわち
アルミナ焼結体等に対して十分に高熱伝導性を維持した
窒化アルミニウム焼結体を安価に作製することが可能と
なる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0012】まず、本発明で用いるAlN粉末として
は、実質上入手可能なあらゆる粉末を用いることができ
るが、焼結性や熱伝導率の向上を図る上で、不純物酸素
量が0.2〜 3.0重量% の範囲で、かつ平均一次粒子径が
0.3〜 2.5μm の範囲のAlN粉末を用いることが好ま
しい。AlN粉末の平均粒子径が 0.3μm 未満である
と、混合粉体の成形が困難になるおそれがあり、一方
2.5μm を超えると低温焼結性が低下する。より好まし
いAlN粉末の平均粒子径は 0.4〜 2.0μm の範囲であ
る。また、AlN粉末中の不純物酸素量が 0.2重量% 未
満では、焼結前の混合や成形等の取扱い段階でAlNが
変質したり、また十分に焼結が進まないおそれがあり、
一方 3.0重量% を超えると最終的なAlN焼結体の熱電
導率が低下するおそれがある。不純物酸素量のより好ま
しい範囲は 0.4〜 2.5重量% である。上述したようなA
lN粉末に、焼結助剤や酸素ゲッタ等として機能する各
種添加物を配合し、低温焼結組成のAlN焼結体原料を
調整する。低温焼結組成を実現する添加物としては、ま
ずアルカリ土類金属元素および希土類元素の単体および
/または化合物が挙げられる。これらは粉体または液体
として添加される。粉体として添加する場合には、平均
粒子径が0.04〜 1.5μm の粉末を用いることが好まし
い。具体的には、酸化物、炭化物、フッ化物、酸フッ化
物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、アルコキシド等とし
て、アルカリ土類金属元素や希土類元素を添加すること
ができる。また、アルカリ土類化合物粉末を添加した
後、希土類元素の硝酸塩をアルコールに溶解して添加す
る等、種々の組合せが可能である。そして、酸化物や焼
成途中で酸化物となる化合物の場合には、アルカリ土類
金属化合物と希土類化合物を同時添加することで、 187
3K以下の低温焼結が実現可能となる。また、フッ化物等
として添加する場合には、単独添加でも 1873K以下の低
温焼結が可能となる。
【0013】上述したアルカリ土類金属元素としては、
Mg、Ca、Ba、Sr等を用いることができ、また希
土類元素としては、Sc、Yおよびランタン系列の元素
を用いることができる。これらアルカリ土類金属元素お
よび希土類元素の化合物は、それぞれ 0.1〜10重量% の
範囲で添加することが望ましい。これらの添加量が0.1
重量% 未満では焼結が不十分となったり、また十分に焼
結したとしても 100W/m K 以上の熱伝導率の実現が困難
となるおそれがある。−方、10重量% を超えると、焼結
体表面に多くの析出物が現れたり、焼結時間が短い場合
には熱伝導率が低下するおそれがある。
【0014】低温焼結組成のAlN焼結体原料には、以
下に示すようなアルカリ金属化合物を、酸化物換算で 2
重量% 以下添加することができる。特に好ましいアルカ
リ金属化合物はNaやΚの化合物であり、具体的にはN
aおよび/またはΚの炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フ
ッ化物、塩化物、Na2 4 7 等のホウ酸塩、もしく
は焼成途中でこれらの化合物に変化する化合物等が挙げ
られる。これらのアルカリ金属化合物は、 2重量% を超
えて添加すると色ムラや焼きムラができやすくなった
り、かえって焼結性が低下するおそれがあることから、
添加量は 2重量%以下とすることが好ましい。
【0015】さらに、SiO2 、Si3 4 、SiC等
のSi化合物、およびB2 3 もしくは焼成途中でB2
3 に変化する化合物(例えばΗ3 BO3 )等を、酸化
物換算で 2重量% 以下の範囲で添加してもよい。これら
も低温焼結性を高める化合物であるが、 2重量% を超え
て添加する色ムラや焼きムラができやすくなったり、熱
伝導率が低下するおそれがある。
【0016】本発明で用いる低温焼結組成のAlN焼結
体原料には、上述した各種添加物のほかに、GeO2
どの4B族元素の酸化物、窒化物、炭化物や、Al2
3 、AlF3 、GaF3 等の3B族元素の酸化物、ハロ
ゲン化物等を、それぞれ酸化物換算で 1重量% 以下添加
することができる。さらに、主にAlN焼結体の着色化
もしくは黒色化のために、遷移金属の単体もしくは化合
物を添加すことができる。遷移金属化合物としては、例
えばTi、Nb、Zr、Ta、W、Mo、Cr、Fe、
Co、Niの酸化物、窒化物、炭化物、酸炭化物、酸窒
化物等が例示される。これらは、焼結体中では導電性を
有することが望ましいことから、例えばWやΜo等の単
体金属、Ζr、Ti、NbおよびTaから選ばれる元素
の窒化物や炭化物が好ましく用いられる。これらの添加
量は 1.5重量% 以下とすることが望ましい。
【0017】本発明においては、上述したような低温焼
結組成のAlN焼結体原料を用いて、概略以下のように
してAlN焼結体を製造する。まず、上述したような低
温焼結組成のAlN焼結体原料に有機バインダおよび有
機溶媒を加えて、例えばボールミルで混合、解砕する。
このような混合物をドクターブレード法等でシート状に
成形したり、あるいはプレス成形する等して、所望の形
状に整える。有機バインダとしては、例えばアクリル
系、メタクリル系、PVB系等が使用される。これら有
機バインダを分散させる溶媒としては、例えばn-ブタノ
ール等のアルコール系、メチルイソブチルケトン、トル
エン、キシレン等が使用される。有機バインダの添加量
は、使用するAIN粉末の粒度によっても異なるが、 2
〜20重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましく
は 4〜16重量% の範囲である。
【0018】次に、通常は窒素やアルゴンのような非酸
化性雰囲気中で加熱して、有機バインダを除去する。脱
バインダに要する最高温度は、上記したような非酸化性
雰囲気中では 1073K程度、酸素を含む雰囲気中では823K
程度が適当である。通常、昇温速度は10〜200K/hで行わ
れ、より好ましくは30〜100K/hである。
【0019】上述した脱バインダを行った後、メタルヒ
ータを有すると共に、酸化物炉材を用いた電気抵抗炉中
において、酸素の存在量が 100ppm 以下の窒素またはア
ルゴン雰囲気中で、 1873K以下の温度で焼成する。メタ
ルヒータとしては、WまたはMoからなるヒータが用い
られ、通常メタルヒータは棒状もしくはメッシュ状で使
用される。また、酸化物炉材としては、例えば主成分が
Al2 3 であり、副成分としてCaO、ΜgO等のア
ルカリ土類酸化物やZrO2 、ΤiO2 等の遷移金属酸
化物を 0.1〜 5重量% 含有し、かつSiO2 含有量が
0.1〜 5.0重量%の範囲のものが用いられる。SiO2
蒸気圧が高く、かつAlN焼結体中に固溶する可能性が
高いため、酸化物炉材中の含有量は 5.0重量% 以下とす
ることが好ましい。このようなメタルヒータおよび酸化
物炉材を用いた電気抵抗炉は、炉自体が安価であると共
に、製造コストの低減が図れる連続焼成炉として使用す
ることができる。
【0020】AlNの脱バインダ体は、例えばAlN、
h-BN、W、Mo、Al2 3 等からなる焼成容器中に
入れて、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の非酸化性雰囲
気中で 1873K以下の温度で、具体的には1673〜 1873Kの
温度で焼成する。上記非酸化性雰囲気とは、窒素やアル
ゴンの単独雰囲気に限らず、これらに一部水素や炭酸ガ
ス等を添加した混合ガス雰囲気であってもよい。酸化物
炉材を用いた電気抵抗炉では、焼成雰囲気中に酸素が含
まれるが、雰囲気中の酸素量は100ppm以下であれば許容
される。言い換えると、 1873K以下の温度でAlNを焼
結させる場合には、焼成雰囲気中の酸素量が100ppm以下
であれば気相を介してのAlN中への酸素の固溶や焼結
体の酸化による焼結不良等のトラブルをほとんど無視す
ることができ、熱伝導率が 100〜180W/m KのAlN焼結
体を得ることが可能となる。1873K 以下の焼成温度であ
れば、上述したような組成を有する酸化物炉材を用いた
際に、雰囲気中の酸素量を100ppm以下とすることができ
る。
【0021】焼結は、通常、焼結容器に収容した状態
で、0.01〜10気圧の雰囲気下で行われる。通常、焼結容
器はフタ付きであるが、メタルヒータからの揮散物が直
接焼結体にかからないように遮蔽すれば、フタなしのオ
ープン容器中でも焼結可能である。焼結温度は、上述し
たように1673〜 1873Kの範囲とすることが好ましい。焼
結温度が 1673K未満では、上述したような低温焼結組成
のAlN焼結体原料を用いても、十分に緻密化焼結する
ことが難しく、一方 1873Kを超えると低温焼結による製
造コストの低減が実現できなくなる。言い換えると、酸
化物炉材の耐用温度、焼成雰囲気中の酸素量およびAl
N焼結体の酸化等から、酸化物炉材の使用が困難となる
と共に、焼結に費やすエネルギー量の増大を招き、いず
れにおいてもAlN焼結体の製造コストの低減が実現で
きなくなる。
【0022】焼結時間は、通常、最高温度での保持時間
が 0.5〜16時間であり、より好ましくは 2〜 8時間であ
る。焼結スケジュールは最高温度まで単調に昇温するこ
ともできるが、必要に応じて最高温度まで段階的に昇温
することもできる。昇温速度は毎時50〜 2000K、より好
ましくは毎時 200〜 1000Kで行う。降温速度も、同様な
速度で行うことが可能であるが、焼結体中の粒界相を結
晶化させて、熱伝導率の上昇を図るためには毎時100K以
下で行うことが望ましい。
【0023】上述したような製造方法によれば、熱伝導
率が 100〜 180W/m K のAlN焼結体、すなわちアルミ
ナ焼結体等に対して十分に高熱伝導性を維持したAlN
焼結体を製造することができる。そして、 1873K以下と
いうAlN焼結体の低温焼結に見合った製造コストの低
減が図れる。すなわち、安価なメタルヒータおよび酸化
物炉材を用いた電気抵抗炉の使用および焼結に要するエ
ネルギーの低減が可能となり、また焼成雰囲気に関して
も100ppm以下の酸素量を許容することが可能となるため
である。
【0024】本発明の製造方法を適用して製造したAl
N焼結体は、高温高強度材やヒートシンク等として使用
することも可能であるが、メタライズや同時焼成等で導
体層を形成することによって、各種回路基板やパッケー
ジ基体等として好適に使用される。具体的には、DBC
法、薄膜法、厚膜法等で導体回路を形成することによっ
て、各種回路基板として使用される。また、同時焼成で
導体層を形成することによって、QFP、PGA、BG
A、DIP等のパッケージ基体としても使用することが
できる。導体材料としては、W、Mo、Pt、Pd、N
i等を用いることができる。
【0025】上述したような回路基板の製造方法の一例
を以下に示す。まず、例えば第1の工程として、前述し
たようなAlNグリーンシートを作製し、第2の工程と
してAlNグリーンシートの少なくとも一表面に導電ペ
ーストを、例えばスクリーン印刷で所定の回路パターン
形状に塗布する。この際、多層回路を形成するためには
予めグリーンシートに穴を開け、この穴に例えば圧入法
で導電ペーストを充填し、層間の電気的接続を得る。必
要に応じて、さらに表面に回路パターンを形成し、また
熱間加圧してグリーンシートの積層を行う。第3の工程
として、グリーンシート中のバインダを加熱除去した
後、本発明の製造方法に従って焼結する。焼結後に必要
に応じてトリミング、薄膜や厚膜による回路形成、外部
電極の形成等が行われる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0027】実施例1 不純物酸素量が 1.1重量% で、平均一次粒子径が 1.5μ
m のAlN粉末 95.45重量% に、Y2 3 を3 重量% 、
CaCO3 をCaO換算で 1.0重量% 、LaB6 を0.25
重量% 、WO3 をW換算で 0.3重量%添加した。この混
合粉体を、n-ブタノールを分散媒として、ボールミルを
用いて十分に混合した。n-ブタノールを除去してから、
キシレン中に分散されたアクリル系バインダを、バイン
ダ量が 5重量% となるように添加し、これを十分に混合
して一旦ペースト化した後、キシレンを除去した。得ら
れた粉体を目開き 0.3mmのメッシュを通過させて造粒粉
とした。
【0028】この造粒粉を50MPa の圧力下でブロック状
に成形した後、窒素ガス中にて最高温度973Kで加熱して
バインダを除去した。この脱バインダ体をAlNセラミ
ックス板とアルミナ製リングとからなる焼成容器中にセ
ットし、棒状のタングステンヒータを有すると共に、A
2 3 を主成分とし、MgOを 0.6重量%含み、かつ
SiO2 量が 0.5重量% の酸化物炉材を用いた電気抵抗
炉中で、昇温速度500K/hで 1853Kまで昇温し、この温度
で 3時間保持して焼結した。なお、焼成時の雰囲気中の
酸素量は100ppm以下であった。
【0029】このようにして得たAlN焼結体の密度を
アルキメデス法で測定したところ、3.29g/cm3 と十分に
緻密化していた。この焼結体の一部を切り出して鏡面研
磨した後、SEM観察してAlNの平均粒子径を測定し
たところ 1.7μm であった。また、この焼結体から直径
10mm、厚さ 3mmの円板を切り出し、293K±2Kの室温下で
レーザーフラッシュ法で熱伝導率を測定したところ、 1
45W/m K であった。さらに、焼結体の一部を粉砕した
後、X線回折により構成相を評価したところ、AlN以
外の構成相は、Y4 Al2 9 、YAlO3 および微量
の未同定相であった。
【0030】実施例2 平均一次粒子径が 0.9μm で、不純物酸素量が 1.3重量
% のAlN粉末95重量% に対して、平均粒子径 0.3μm
、純度 99.9%のYF3 粉末を 4重量% 、平均粒子径 0.
4μm 、純度 99.9%のCaCO3 粉末をCaO換算で 1
重量% 加え、ボールミルを用いて解砕、混合して原料粉
末を調製した。
【0031】続いて、上記原料粉末にアクリル系バイン
ダを 7重量% 添加して造粒した後、この造粒粉を50MPa
の一軸加圧下で成形して圧粉体とした。この圧粉体を窒
素ガス雰囲気中で973Kまで加熱してアクリル系バインダ
を除去した。この脱バインダ体をAlNセラミックス板
とAlN製リングとからなる焼成容器中にセットし、棒
状のモリブデンヒータとAl2 3 が 99.8%の酸化物炉
材を用いた電気抵抗炉中にて、昇温速度 1000K/hで 182
3Kまで昇温し、この温度で 6時間保持して焼結した。な
お、焼成時の雰囲気中の酸素量は100ppm以下であった。
【0032】得られたAlN焼結体の密度をアルキメデ
ス法で測定したところ、3.29g/cm3と十分に緻密化して
いた。この焼結体の一部を切り出して鏡面研磨した後、
SEM観察してAlNの平均粒子径を測定したところ、
1.6μm であった。また、この焼結体の熱伝導率を実施
例1と同様に測定したところ、136W/m Kであった。さら
に、焼結体の一部を粉砕した後、X線回折により構成相
を評価したところ、AlN以外の構成相は、Y4 Al2
9 、YAlO3 および微量の未同定相であった。
【0033】実施例3 平均一次粒子径が 0.6μm で、不純物酸素量が 1.3重量
% のAlN粉末95重量% に対して、平均粒子径 0.3μm
、純度99.9重量% のY2 3 粉末を 3重量% 、CaF
2 を 1重量% 、MnO2 を0.25重量% 、TiO2 を 0.5
重量% 、AlPO4 を0.25重量% 加え、さらにアクリル
系樹脂等の非酸化性雰囲気中で分解し易い有機バインダ
と共に、アルコール系等の溶媒を加えて十分に混合し、
粘度が約5000cps のスリップを作製した。このスリップ
をドクターブレード法により、約0.3mmの均一な厚みを
持つシートに成形した。
【0034】上記シートを所望のサイズに裁断し、各層
間の電気的接続を得るためのビアホールを形成した。ビ
アホールに平均一次粒子径が 0.8μm のW粉末を用いた
Wペーストを圧入法で充填した。さらに、ビアホールが
形成されたシート上に、スクリーン印刷法によりWペー
ストで所望の導体回路を形成した。このようにして得た
各シートを所望の枚数積層し、熱間プレスで一体化し
た。その後、必要な形状となるように裁断し、窒素等の
非酸化性雰囲気中で973Kまで加熱して、バインダを除去
した。脱バインダ処理を行った後、AlNセラミックス
板とAl2 3 製リングとからなる焼結容器中にセット
し、メッシュ状のタングステンヒータと酸化物炉材を用
いた電気抵抗炉を用いて、窒素雰囲気中で 1723K× 5時
間条件で同時焼成を行った。なお、焼成時の雰囲気中の
酸素量は100ppm以下であった。
【0035】SEM観察によれば、得られたAlNパッ
ケージはAlN層およびW層共に十分に緻密化してお
り、また得られたAlNパッケージのAlN結晶粒の平
均粒子径は 0.9μm 、W結晶粒の平均粒子径は 1.2μm
であった。さらに、AlN層とW層との界面の混ざり合
い領域をSEMで調べたところ 1.4μm であった。
【0036】比較例1 平均一次粒子径が 1.3μm で、不純物酸素量が 0.9重量
% のAlN粉末97重量% に対して、平均粒子径 0.2μm
、純度 99.9%のY2 3 を 3重量% 添加した原料粉末
を用いて、実施例1と同様に脱バインダ処理まで行い、
この脱バインダ体をAlN製焼結容器に入れて、グラフ
ァイト製ヒータとグラファイト炉材を用いた焼結炉で、
窒素雰囲気中にて 2073K× 3時間の条件で焼結した。
【0037】得られたAlN焼結体の密度、平均粒子
径、熱伝導率、構成相を実施例1と同様に測定、評価し
たところ、密度3.31g/cm3 、平均粒子径 6.4μm 、熱伝
導率190W/m K 、AlN以外の構成相はY4 Al2 9
およびYAlO3 であったが、AlN焼結体の製造コス
トは実施例1を大幅に上回るものであった。
【0038】比較例2 比較例1において、焼結条件を 1823K× 3時間に変更す
る以外は、同組成のAlN焼結体原料を比較例1と同様
にして焼結した。得られたAlN焼結体の密度、平均粒
子径、熱伝導率、構成相を実施例1と同様に測定、評価
したところ、密度は 2.1g/cm3 と十分緻密化しておら
ず、また平均粒子径は 0.6μm 、熱伝導率は15W/m K で
あり、さらにAlN以外の構成相はY4 Al2 9 およ
びY2 3であった。
【0039】比較例3 焼結容器としてSiO2 を 6重量% 含むAl2 3 製リ
ングを用いる以外は、実施例1と同様にしてAlN焼結
体を作製した。得られたAlN焼結体の熱伝導率を実施
例1と同様にして測定したところ、95W/m K と低いもの
であった。
【0040】実施例4 不純物酸素量が 1.3重量% で、平均一次粒子径が 0.8μ
m のAlN粉末 95.45重量% に対して、Y2 3 を 5重
量% 、CaCO3 をCaO換算で 1.0重量% 、LaB6
を0.25重量% 、WO3 をW換算で 0.3重量% 添加した。
この混合粉体を、n-ブタノールを分散媒としてボールミ
ルで混合した。n-ブタノールを除去してから、キシレン
中に分散されたアクリル系バインダを、バインダ量が 5
重量% となるように添加し、一旦ペースト化した後にキ
シレンを除去した。得られた粉体を、目開き 0.5mmのメ
ッシュを通過させて造粒粉とした。
【0041】この造粒粉を50MPa の圧力下でブロック状
に成形した後、空気組成の乾燥ガス中で最高温度773Kに
加熱してバインダを除去した。この脱バインダ体をAl
Nセラミックス板とアルミナ製リングとからなる焼成容
器中にフタなしでセットした。そして、棒状のタングス
テンヒータ部分と焼結容器とは、Al2 3 を主成分と
し、かつMgOを 0.6重量% 含み、SiO2 量が 0.5重
量% の炉材で遮られ、ヒータからの揮散物が直接焼結体
にかからないようにした電気抵抗炉を用いて、昇温速度
500K/hで 1873Kまで昇温し、この温度で 4時間保持して
焼結した。
【0042】得られたAlN焼結体の密度、平均粒子
径、熱伝導率、構成相を実施例1と同様に測定、評価し
たところ、密度は3.29g/cm3 と十分に緻密化しており、
また平均粒子径は 1.7μm 、熱伝導率は155W/m Kであ
り、AlN以外の構成相はY4 Al2 9 、YAlO3
および微量の未同定相であった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化アル
ミニウム焼結体の製造方法によれば、アルミナセラミッ
クス等と比べて十分に放熱性に優れる、 100〜 180W/m
K の熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体を、安価
にかつ大量生産に適した方法で安定して製造することが
可能となる。従って、窒化アルミニウム焼結体および窒
化アルミニウム焼結体を用いた回路基板やパッケージ基
体の製造コストを大幅に低減することが可能となる。
【0044】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 文雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/581

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタルヒータを有すると共に、酸化物炉
    材を用いた電気抵抗炉中において、低温焼結組成の窒化
    アルミニウム焼結体原料を、酸素の存在量が100ppm 以
    下の窒素またはアルゴン雰囲気中で、かつ 1873K以下の
    温度で焼成することを特徴とする、熱伝導率が 100〜 1
    80W/m K の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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