JP3895211B2 - 窒化けい素配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化けい素配線基板およびその製造方法に係り、特に窒化けい素焼結体本来の高強度特性に加えて熱伝導率が高く放熱性に優れ、導体層の接合強度および導電性が高い窒化けい素配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体チップの高集積化や高速化に伴い発生する熱量が増大し、これらのチップを搭載する回路基板として、放熱性が優れた熱伝導率の良好な材料を使用したセラミックス配線基板が要求されている。
【0003】
例えば、このような用途には従来からアルミナ(Al2O3)を構成材料としたセラミックス配線基板が広く普及している。しかしながら、アルミナ基板は熱伝導率が低く放熱性や実用的な強度の点で不充分であった。放熱性を改善するため、最近では熱伝導率が優れた窒化アルミニウムが広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記窒化アルミニウムは機械的強度の点で充分に満足できるものは得られていない。そこで、高強度を有するとともに高い熱伝導率をも併せ持ったセラミックス配線基板の開発が要請されている。そこで、窒化けい素に着目したが従来方法によって製造された窒化けい素焼結体では靭性値などの機械的強度は優れているものの、熱伝導特性の点では、窒化アルミニウム焼結体などと比較して不充分であったため、放熱性を要求される半導体用基板などの電子用材料としては実用化されておらず、用途範囲が狭い難点があった。
【0005】
本発明者らは、これらの要請に対し窒化けい素の原料種類、組成、焼結方法を種々検討し熱伝導率を大きく向上させた高熱伝導性窒化けい素焼結体およびその製造方法を提案した。
【0006】
しかし、半導体用基板として使用するには表面導体層を形成し配線しなければならない。この表面導体層を形成する方法には焼結後の基板に活性金属を用い銅板などを導体層として一体に接合する活性金属法やタングステンなどの高融点導電材料を含有する印刷用ペーストを使用して導体パターンを形成し、基板材料と同時焼成して基板と導体層とを一体に形成するするメタライズ法などがある。
【0007】
窒化けい素基板では前者の活性金属法が一部実用化され特殊な用途に使用されている。一方、同時焼成するメタライズ方法については用途拡大を図るため検討されているが接合強度や電気抵抗値(導電性)の点で問題があり改良を必要としている。
【0008】
本発明は上記のような課題要請に対処するためになされたものであり、特に窒化けい素焼結体本来の高強度特性に加えて熱伝導率が高く放熱性に優れ、導体層の接合強度および導電性が高い窒化けい素配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するため、窒化けい素配線基板を製造する際に、窒化けい素粉末の種類、組成、表面導体層を形成するペーストの種類、焼成条件を種々変えて、それらの要素・製造条件が配線基板の特性に及ぼす影響を実験により比較検討した。
【0010】
その結果、高純度で微細な窒化けい素粉末に焼結助剤として希土類元素の酸化物等を所定量添加した原料混合体を成形して成形体を調整し、得られた成形体の表面に少なくとも希土類酸化物などの焼結助材と酸化ジルコニウム(ZrO2)とを含有する窒化けい素ペーストで導体配線パターンを印刷して脱脂後、所定の条件で同時焼成することにより窒化ジルコニウム(ZrN)から成る導体層が一体に形成され、高い機械的強度や熱伝導率に加えて表面導体層の接合強度および電気抵抗値などについて優れた特性を有する窒化けい素配線基板が得られるという知見を得た。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係る窒化けい素配線基板は、窒化けい素基板の表面に窒化ジルコニウムから成る導体層が一体に形成されており、上記窒化ジルコニウム導体層の電気抵抗値が10 2 Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0012】
また、上記窒化けい素配線基板において、前記窒化ジルコニウム導体層の厚さが3〜25μmであることが好ましい。また前記窒化けい素基板と窒化ジルコニウム導体層との接合強度が1.5Kg/mm以上であることが好ましい。
【0013】
さらに、上記窒化けい素配線基板において、前記窒化けい素基板は少なくとも希土類元素を酸化物に換算して2〜17.5質量%含有し、熱伝導率が70W/m・K以上、3点曲げ強度が550MPa以上であることが好ましい。また前記窒化けい素基板の熱伝導率が90W/m・K以上、3点曲げ強度が550MPa以上であることが好ましい。
【0014】
さらに前記窒化けい素基板は、Hf,Mgの少なくとも一方を酸化物に換算して0.3〜3.0質量%、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.5質量%以下含有することが好ましい。また前記窒化けい素基板はTi,Zr,W,Mo,Ta,Nb,V,Crからなる群より選択される少なくとも1種を酸化物に換算して2質量%以下含有することが好ましい。
【0015】
また本発明に係る窒化けい素配線基板の製造方法は、酸素を1.5質量%以下、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.5質量%以下、α相型窒化けい素を90質量%以上含有し、平均粒径1.0μm以下の窒化けい素粉末に、希土類元素を酸化物に換算して2〜17.5質量%添加した原料混合体を成形して成形体を調整し、得られた成形体の表面に少なくとも希土類酸化物を含む焼結助剤と酸化ジルコニウムとを含有する窒化けい素ペーストで導体配線パターンを印刷して脱脂後、加圧した窒素ガス雰囲気中で温度1750℃〜1900℃で焼結し、上記焼結温度から、上記希土類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして徐冷することを特徴とする。
【0016】
さらに上記窒化けい素配線基板の製造方法において、前記窒化けい素粉末に、HfおよびMgの少なくとも一方を酸化物に換算して0.3〜3.0重量%添加することが好ましい。また、前記窒化けい素粉末に、Ti,Zr,W,Mo,Ta,Nb,V,Crからなる群より選択される少なくとも1種の元素を酸化物に換算して2質量%以下添加することも好ましい。さらに、前記焼結時の雰囲気ガスが0.3MPa以上に加圧された窒素ガス雰囲気であることが好ましい。
【0017】
本発明方法において使用され、窒化けい素配線基板を構成する窒化けい素焼結体の主成分となる窒化けい素粉末としては、焼結性、強度および熱伝導率を考慮して、酸素含有量が1.5質量%以下、好ましくは0.5〜1.2質量%、Al,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bなどの不純物陽イオン元素含有量が合計で0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下に抑制されたα相型窒化けい素を75〜97質量%、好ましくは80〜95質量%含有し、平均粒径が1.0μm以下、好ましくは0.4〜0.8μm程度の微細な窒化けい素粉末を使用することが好ましい。
【0018】
なお、窒化けい素原料粉末としてはα相型のものとβ相型のものとが知られているが、α相型の窒化けい素原料粉末では焼結体とした場合に強度が不足し易い傾向がある一方、β相型の窒化けい素原料粉末では高温度焼成が必要であるが、アスペクト比が高く繊維状の窒化けい素が複雑に入り組んだ高強度の焼結体が得られる。したがって、本発明においてはα相型原料粉末を高温度で焼成して窒化けい素焼結体としては、β相型の焼結体とすることが好適である。
【0019】
本発明において、α相型窒化けい素粉末の配合量を75〜97質量%の範囲に限定した理由は、75質量%以上の範囲で焼結体の曲げ強度、熱伝導率および絶縁性が格段に向上し、窒化けい素の優れた特性が顕著となるためである。一方、焼結性を考慮すると、97質量%までの範囲とする。好ましくは80〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
【0020】
窒化けい素の出発原料粉末としては、焼結性、曲げ強度、熱伝導率、絶縁性を考慮して、酸素含有率が1.5質量%以下,好ましくは0.5〜1.2質量%であり、α相型窒化けい素を90質量%以上含有し,平均粒径が1.0μm以下、好ましくは0.4〜0.8μm程度の微細な窒化けい素粉末を使用することが好ましい。
【0021】
平均粒径が1.0μm以下の微細な原料粉末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気孔率が2.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれも減少する。
【0022】
またAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bの不純物陽イオン元素は熱伝導性を阻害する物質となるため、70W/m・K以上の熱伝導率を確保するためには、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.5質量%以下とすることにより達成可能である。特に同様の理由により、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.3質量%以下とすることが、さらに好ましい。ここで通常の窒化けい素焼結体を得るために使用される窒化けい素粉末には、特にFe,Alが比較的に多く含有されているため、Fe,Alの合計量が上記不純物陽イオン元素の合計含有量の目安となる。
【0023】
さらに、β相型と比較して焼結性に優れたα相型窒化けい素を90質量%以上含有する窒化けい素原料粉末を使用することにより、高密度の焼結体を製造することができる。
【0024】
また窒化けい素原料粉末に焼結助剤として添加する希土類元素としては、Y,Ho,Er,Yb,La,Sc,Pr,Ce,Nd,Dy,Sm,Gdなどの酸化物もしくは焼結操作により、これらの酸化物となる物質が単独で、または2種以上の酸化物を組み合せたものを含んでもよい。これらの焼結助剤は、窒化けい素原料粉末と反応して液相を生成し、焼結促進剤として機能する。
【0025】
上記焼結助剤の添加量は、酸化物換算で原料粉末に対して2.0〜17.5質量%の範囲とする。この添加量が2.0質量%未満の場合は、焼結体の緻密化あるいは高熱伝導化が不十分であり、特に希土類元素がランタノイド系元素のように原子量が大きい元素の場合には、比較的低強度で比較的に低熱伝導率の焼結体が形成される。一方、添加量が17.5質量%を超える過量となると、過量の粒界相が生成し、熱伝導率の低下や強度が低下し始めるので上記範囲とする。特に同様の理由により3〜15質量%とすることが望ましい。
【0026】
また本発明において選択的な添加成分として使用するマグネシウム(Mg)の酸化物(MgO)は、上記希土類元素の焼結促進剤の機能を促進し低温での緻密化を可能にすると共に、結晶組織において粒成長を制御する機能を果し、Si3N4焼結体の機械的強度を向上させるものである。このMgOの添加量が酸化物換算で0.3質量%未満の場合においては添加効果が不十分である一方、3.0質量%を超える過量となる場合には熱伝導率の低下が起こるため、添加量は0.3〜3.0質量%の範囲とする。特に0.5〜2質量%とすることが望ましい。
【0027】
また、上記MgOと同様の効果を示す成分として、Hf化合物もある。Hf化合物としては、酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硼化物として添加され、MgOと併せて複合添加することにより、さらに焼結を促進し、かつガラス相をより効果的に低減できる。添加量については0.3〜3質量%、好ましくは1.0〜2.5質量%である。MgOとHf化合物は同様の効果を示すものであるから、MgOとHf化合物を両方添加することにより相乗的な効果を得ることも可能である。両方添加する場合の添加量合計も0.3〜3質量%の範囲とする。
【0028】
また本発明において他の選択的な添加成分として、Ti,Zr,W,Mo,Ta,V,Nb,Crを、酸化物,炭化物、窒化物、珪化物、硼化物として添加してもよい。これらの化合物は、上記希土類元素の焼結促進剤としての機能を促進すると共に、結晶組織において分散強化の機能を果しSi3N4焼結体の機械的強度を向上させるものであり、特に、Ti,Moの化合物が好ましい。これらの化合物の添加量が酸化物換算で0.1質量%未満の場合においては添加効果が不十分である一方、2質量%を超える過量となる場合には熱伝導率および機械的強度や電気絶縁破壊強度の低下が起こるため、添加量は0.1〜2質量%の範囲とする。特に0.2〜1.0質量%とすることが望ましい。
【0029】
また上記Ti,Mo等の化合物は窒化けい素セラミックス基板を黒色系に着色し不透明性を付与する遮光剤としても機能する。そのため、特に光によって誤動作を生じ易い集積回路等に用いる窒化けい素配線基板を上記焼結体から製造する場合には、上記Ti等の化合物を適正に添加し、遮光性に優れた窒化けい素基板とすることが望ましい。
【0030】
また焼結体の気孔率は熱伝導率および強度に大きく影響するため、2.5vol%以下となるように製造する。気孔率が2.5%を超えると、配線基板としてのリーク電流が急増するとともに熱伝導の妨げとなり、焼結体の絶縁性および熱伝導率が低下し、さらに焼結体の強度低下が起こる。
【0031】
また、窒化けい素セラミックス基板は組織的に窒化けい素結晶と粒界相とから構成されるが、粒界相中の結晶化合物相の割合は焼結体の熱伝導率に大きく影響し、本発明に係る配線基板を構成する窒化けい素焼結体においては粒界相の20%以上とすることが好ましく、より好ましくは50%以上が結晶相で占めることが望ましい。結晶相が20%未満では熱伝導率が70W/m・K以上となるような放熱特性に優れ、かつ機械的強度に優れた焼結体が得難いからである。
【0032】
本発明に係る窒化けい素配線基板は、窒化けい素基板の表面に窒化ジルコニウム(ZrN)から成る導体層が一体に形成されていることを特徴とし、この窒化けい素配線基板は、窒化けい素基板成形体(グリーンシート)の表面に窒化けい素と希土類酸化物などの焼結助剤と酸化ジルコニウム(ZrO2)とを含有する導体層形成用ペーストで導体配線パターンを印刷して脱脂後、パターン化した成形体を加圧した窒素ガス雰囲気中で同時焼成することにより製造される。
【0033】
上記導体層形成用ペーストは、前記した窒化けい素基板の組成に近似した組成物に酸化ジルコニウム(ZrO2)を所定量添加し、さらにアクリル系バインダーとテルピネオール系溶剤とを添加した後に十分混練して調製される。
【0034】
上記導体層形成用ペースト中の固形成分量である窒化けい素や希土類酸化物などの焼結助剤に対する酸化ジルコニウム(ZrO2)の添加量は、1〜12質量%の範囲とされる。上記酸化ジルコニウム(ZrO2)の添加量が1質量%未満の場合は、導体層の厚さが不十分と成り、電気抵抗値が低い導体層が形成されにくい。一方、添加量が12質量%を超える場合には、窒化けい素基板と導体層との接合強度が低下しやすくなる。
【0035】
上記導体層形成用ペースト中に、選択的添加成分としてさらにアルミナ(Al2O3)粉末を固形成分量に対して2質量%以下の範囲で添加してもよい。アルミナは導体層を緻密化するとともに、導体層の接合強度を高めるために有効である。但し、添加量が2質量%を超える場合には、導体層の電気抵抗値が上昇し易くなる。
【0036】
なお導体層を形成するための酸化ジルコニウムのみを含有させたペーストを使用しても、接合強度が高い導体層は得られない。そのため窒化けい素基板成形体の組成に近似した調合粉末に酸化ジルコニウム粉末と、必要に応じてアルミナ粉末とを添加した組成とすることが重要である。
【0037】
そして上記のように調製した導体層形成用ペーストを窒化けい素基板成形体(グリーンシート)の表面にスクリーン印刷法等により印刷して所定形状の導体配線パターンを形成する。次に得られたグリーンシートを400℃〜500℃の空気気流中で3〜5時間脱脂した後に加圧した窒素ガス雰囲気中で温度1750〜1900℃で2〜10時間雰囲気加圧焼結する。
【0038】
この焼結処理によって、窒化けい素基板成形体が緻密な窒化けい素基板になると共に、導体層形成用ペースト中の酸化ジルコニウム粉末が窒素ガス雰囲気によって窒化されて窒化ジルコニウム(ZrN)から成る導体層が窒化けい素基板表面に析出するように一体に形成される。この窒化ジルコニウム(ZrN)から成る導体層は金色を呈し、回路導体として視認が容易である。
【0039】
なお上記焼結処理において、雰囲気ガスが0.3MPa以上に加圧された窒素ガス雰囲気であることが望ましい。この雰囲気窒素ガスの圧力が0.3MPa未満の場合には、酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末が窒素ガスによって窒化されて窒化ジルコニウム(ZrN)になる割合が少なくなり、効率的ではない。そのため、雰囲気ガスが0.5〜1.2MPaの範囲、さらに好ましくは0.7〜1.0MPaの範囲に加圧された窒素ガス雰囲気であることがより好ましい。
【0040】
また、窒素ガスとしては、純度が99%以上の窒素ガスが最も好ましいが、代替雰囲気として、酸素を5vol%以下、窒素を50vol%以上、残部がAr等の不活性ガスから成る窒素−不活性ガスの混合雰囲気を用いてもよい。つまり、窒素を主成分とする雰囲気を用い、かつ酸素含有量を5vol%以下と可及的に少なくすることが重要である。
【0041】
上記導体層形成用ペーストでは窒化けい素基板成形体と近似した組成を有するため、ペースト中の基板成分は窒化けい素基板とのなじみが良好であり、窒化けい素基板と一体化して焼結体となると同時に、析出形成された導体層を高い接合強度で窒化けい素基板に接合する機能も有する。
【0042】
その結果、窒化けい素基板の表面に窒化ジルコニウム(ZrN)から成る強固な導体層が一体に形成され、窒化けい素基板の高い機械的強度や熱伝導率に加え、表面導体層の接合強度および電気抵抗値などについて優れた特性を有する窒化けい素配線基板が得られる。
【0043】
窒化けい素基板表面に形成される表面導体層の厚さは、3〜25μmの範囲とすることが好ましい。導体層の厚さが3μm未満の範囲では、均一な膜圧を有する導体層を形成することが困難であり、電気抵抗値のばらつきが大きくなる。一方、導体層の厚さが25μmを超える場合には、熱抵抗が上昇しやすくなり、また窒化けい素基板との接合強度が低下してしまう。
【0044】
上記表面導体層と窒化けい素基板との接合界面には、窒化ジルコニウム(ZrN)と窒化けい素(Si3N4)とから成る薄い中間層が形成される場合があるが、導体層の大部分(98〜100質量%)は窒化ジルコニウム(ZrN)から成る。この導体層の厚さは、X線マイクロアナライザー(EPMA)を使用して窒化けい素配線基板の断面組織について元素分析することにより測定できる。
【0045】
また表面導体層の電気抵抗値は、導体層の厚さによって変化するが、102Ω・cm以下の範囲とすることが好ましい。導体層の電気抵抗値が102Ω・cmを超えるように過大となる場合では、従来のタングステンから成る導体層と比較して優れた導電性を得ることが困難であり、回路導体を伝播する電気信号の伝達速度の向上は図れない。そのため、導体層の電気抵抗値は、50Ω・cm以下の範囲とすることがより好ましい。なお、上記導体層の電気抵抗値は、例えば絶縁抵抗計を使用して容易に測定することができる。
【0046】
さらに窒化けい素基板と窒化ジルコニウム導体層との接合強度は1.5Kg/mm以上であることが好ましい。導体層の接合強度が1.5Kg/mm未満である場合では、窒化けい素配線基板が熱サイクルを受けたときに導体層の剥離が生じ易く、動作信頼性および耐久性に優れた窒化けい素配線基板は得られない。なお上記導体層の接合強度は通常のピール強度測定法に準じて測定される。
【0047】
なお、従来のようにタングステンペーストを使用して回路導体パターンを印刷した後に、印刷パターンと窒化けい素基板成形体とを同時焼成して形成した窒化けい素配線基板では、焼成時にタングステン(W)がシリサイド化合物(WSi2)に変化し易く電気抵抗値が不均一に上昇して均一な抵抗値に調整することが困難になる上に、特にシリサイド化合物が必要以上に形成されると基板に対するW導体層の接合強度が低くなる致命的な欠陥があったが、本発明では基板成分と化合しない窒化ジルコニウムで導体層を形成しているため、電気抵抗値が上昇することが少なく、また導体層の接合強度が低下するおそれも少ない。
【0048】
さらに前記のように窒化けい素配線基板を構成する窒化けい素焼結体の気孔率を2.5%以下にし、熱伝導率が70W/m・K以上であるような窒化けい素焼結体を得るためには、前記原料で調製した窒化けい素基板成形体に導体配線パターンを印刷した後に脱脂し、しかる後、加圧した窒素ガス雰囲気中で温度1750〜1900℃で2〜10時間程度、同時焼成し、かつ焼結操作完了直後における焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして徐冷することが重要である。
【0049】
焼結後に液相が凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして徐冷した場合に、液相中の酸素濃度の低減化および窒化けい素焼結体の粒界相の結晶化がさらに促進されるので、絶縁性および熱伝導性を改善した窒化けい素基板焼結体が得られる。
【0050】
前記焼結温度を1750℃未満とした場合には、焼結体の緻密化が不十分で気孔率が2.5vol%以上になり絶縁性、機械的強度および熱伝導性が共に低下してしまう。一方焼結温度が1900℃を超えると窒化けい素成分自体が蒸発分解し易くなる。
【0051】
上記焼結操作完了直後における焼結体の冷却速度は窒化けい素基板の粒界相を結晶化させるためにも重要な制御因子であり、冷却速度が毎時100℃を超えるような急速冷却を実施した場合には、焼結体組織の粒界相が非結晶質(ガラス相)となり、焼結体に生成した液相が結晶相として粒界相に占める割合が20%未満となり、特に熱伝導率のさらなる向上が見られない。
【0052】
上記冷却速度を厳密に調整すべき温度範囲は、所定の焼結温度(1750〜1900℃)から、前記の焼結助剤の反応によって生成する液相が凝固するまでの温度範囲で十分である。ちなみに前記のような焼結助剤を使用した場合の液相凝固点は概略1600〜1500℃程度である。そして少なくとも焼結温度から上記液相凝固温度に至るまでの焼結体の冷却速度を毎時100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは25℃以下に制御することにより、焼結体の気孔率も2.5%以下となり、また粒界相の20%以上、特に好ましくは50%以上が結晶相になり、熱伝導率および機械的強度が共に優れた窒化けい素基板焼結体が得られる。
【0053】
なお、上記焼結体の冷却速度は遅い方が粒界相の結晶化に効果があるが、あまり遅すぎると製造時間が長くなるため製造性の観点から冷却速度の下限は毎時10℃以上が好ましい。
【0054】
本発明に係る窒化けい素配線基板は、例えば以下のようなプロセスを経て製造される。すなわち前記所定の微細粒径を有し、また不純物含有量が少ない微細な窒化けい素粉末に対して所定量の焼結助剤、有機バインダ等の必要な添加剤および必要に応じてTi等の化合物を加えて原料混合体を調整し、次に得られた原料混合体を成形して所定形状の成形体(グリーンシート)を得る。原料混合体の成形法としては、汎用の金型プレス法、ドクターブレード法のようなシート成形法などが適用できる。
【0055】
上記成形操作に引き続いて、成形体表面に前記導体形成用ペーストをスクリーン印刷して所定形状の導体配線パターン層を形成し、しかる後に空気気流中で温度400〜500℃で1〜2時間加熱して、予め添加していた有機バインダ成分を十分に除去し、脱脂する。
【0056】
次に脱脂処理されたパターン化成形体を、加圧した窒素ガス雰囲気中で1750〜1900℃の温度で所定時間、雰囲気加圧同時焼結を行う。
【0057】
上記製法によって製造された窒化けい素配線基板は全酸素量が3.5質量%以下で気孔率が2.5%以下、最大気孔径が0.3μm以下、70W/m・K(25℃)以上の熱伝導率を有し、また三点曲げ強度が常温で600MPa以上と機械的特性にも優れている。また、原料組成を調整することにより、熱伝導率が90W/m・K以上であり、三点曲げ強度が若干下がって常温で550MPa以上の高熱伝導性窒化けい素配線基板を得ることもできる。
【0058】
本発明に係る窒化けい素配線基板およびその製造方法によれば、窒化けい素基板表面に電気抵抗値が小さい窒化ジルコニウムから成る導体層が高い接合強度で一体に形成されているため、回路信号の高速化が実現し、熱サイクルが長期間にわたって作用した場合においても導体層の剥離が少なく、動作信頼性および耐久性に優れた窒化けい素配線基板が得られる。
【0059】
特に、窒化けい素焼結体本来の高強度特性に加えて熱伝導率が高く放熱性に優れているため、高集積度を有し高出力化を図った半導体素子を搭載する窒化けい素配線基板として有効である。そのため、この窒化けい素配線基板を使用してパワーモジュールを調製した場合には、高出力化および高容量化しても耐久性および動作信頼性が高いパワーモジュールを形成することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
実施例1
実施例1として酸素含有量が1.1質量%であり、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K、Fe、Ba,Mn,Bを合計で0.10質量%含有し、α相型窒化けい素97%を含む平均粒径0.55μmのSi3N4(窒化けい素)粉末91質量%に対して、焼結助剤として平均粒径が0.9μmのY2O3(酸化イットリウム)粉末を7質量%、平均粒径1.0μmのHfO2(酸化ハフニウム)粉末を2質量%を添加し、さらに分散剤を加えて基板原料混合体を調製した。次に、得られた基板原料混合体について、粉砕媒体としての窒化けい素ボールを用いてアルコールおよびトルエン系の溶剤中で解砕混合した後に、アクリル系バインダーと可塑材とを加えて基板原料スラリーを調製した。さらに、この基板原料スラリーをドクターブレード法によりシート成形することにより、厚さが0.5mmの窒化けい素基板成形体(グリーンシート)を作製した。
【0061】
一方、上記した窒化けい素粉末89質量%に対して焼結助剤の酸化イットリウム粉末7質量%と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末2質量%と焼結後に窒化ジルコニウム表面導体層を形成する酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末2質量%とを添加した調合粉末に、さらにアクリル系バインダーおよびテルピネオール系の溶剤を加えて充分に混練することにより、表面導体層形成用ペーストを調製した。このペーストを用いてスクリーン印刷することにより、グリーンシート表面上に導体配線パターン層を印刷した。
【0062】
こうして配線パターン化したグリーンシートを温度450℃の空気気流中において4時間脱脂した後に、0.7MPaに加圧した窒素ガス雰囲気中にて温度1850℃で6時間焼結した後に、その焼結温度から1500℃まで降下するまでの冷却速度を100℃/hrに調整して徐冷することにより、窒化ジルコニウム(ZrN)から成る表面導体層と一体化した窒化けい素焼結体を調製した。その後、表面導体層にニッケルめっきを施すことにより、実施例1に係る窒化けい素配線基板を作製した。
【0063】
比較例1〜3
一方、比較例1として、酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末のみをアクリル系バインダーおよびテルピネオール系溶剤に添加混練して調製した表面導体層形成用ペーストをグリーンシート表面上に印刷して導体配線パターン層を形成した点以外は実施例1と同一条件で処理することにより比較例1に係る窒化けい素配線基板を作製した。
【0064】
また比較例2として、窒化ジルコニウム(ZrN)粉末のみをアクリル系バインダーおよびテルピネオール系溶剤に添加混練して調製した表面導体層形成用ペーストをグリーンシート表面上に印刷して導体配線パターン層を形成した点以外は実施例1と同一条件で処理することにより比較例2に係る窒化けい素配線基板を作製した。
【0065】
さらに比較例3として、タングテン(W)粉末のみをアクリル系バインダーおよびテルピネオール系溶剤に添加混練して調製した表面導体層形成用ペーストをグリーンシート表面上に印刷して導体配線パターン層を形成した点以外は実施例1と同一条件で処理することにより比較例3に係る窒化けい素配線基板を作製した。
【0066】
こうして得られた実施例1および比較例1〜3に係る窒化けい素配線基板について、窒化けい素基板表面に形成された表面導体層の構成相の種類をEPMAにて同定するとともに、導体層の厚さ,電気抵抗値,窒化けい素基板に対する導体層の接合強度(ピール強度),熱伝導率および3点曲げ強度をそれぞれ測定した。なお導体層の電気抵抗値は、ニッケルめっき施工前の状態で、絶縁抵抗計を用い試料の同一平面上における2か所間の抵抗を室温にて測定した。また3点曲げ強度はニッケルめっき施工後に測定した。各測定結果を下記表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
上記表1に示す結果から明らかなように実施例1に係る窒化けい素配線基板においては、導体層を形成するための酸化ジルコニウム粉末と共に窒化けい素粉末と希土類酸化物と酸化アルミニウム粉末とを含有する導体層形成用ペーストを使用して窒化けい素基板表面に導体配線パターン層を形成した後に、脱脂,焼結,徐冷して形成されているため、電気抵抗値が小さいZrNから成る導体層が得られており、導体層の接合強度もきわめて大きく、さらに配線基板全体の3点曲げ強度も高く、高熱伝導率を有する高強度の窒化けい素配線基板が得られた。
【0069】
一方、酸化ジルコニウム粉末のみを固形成分として含有し、基板の共材としての窒化けい素粉末や焼結助剤を含有しない導体層形成用ペーストを使用した比較例1においては、ZrNから成る導体層は得られるものの、導体層の接合強度がきわめて小さく、配線基板全体としての耐久性および信頼性が大幅に低下することが判明した。
【0070】
また、比較例2のように窒化ジルコニウム粉末のみを固形成分として含有し、基板の共材としての窒化けい素粉末や焼結助剤を含有しない導体層形成用ペーストを使用した場合においても、ZrNから成る導体層は得られるものの、導体層の接合強度がきわめて小さく、配線基板全体としての耐久性および信頼性が大幅に低下することが判明した。
【0071】
また、従来のWペーストを導体層形成用ペーストとして使用した比較例3においては、焼結途中でW成分がシリサイド化合物(WSi2)に変化したため、導体層の電気抵抗値が相対的に上昇するとともに、導体層の接合強度が低下し、配線基板全体としての耐久性および信頼性が大幅に低下することが判明した。
【0072】
実施例2〜26
実施例2〜26として実施例1において使用した窒化けい素(Si3N4)原料粉末と、Y2O3粉末と、MgO粉末と、HfO2粉末と、表2に示すように平均粒径0.9〜1.0μmの各種希土類酸化物粉末の他に、平均粒径0.4〜0.5μmの各種化合物(Al2O3)粉末を表2に示す組成比となるように調合して原料混合体をそれぞれ調製した。次に得られた各原料混合体を実施例1と同一条件で成形して各実施例用の窒化けい素基板成形体(グリーンシート)を調製した。
【0073】
一方、各実施例用の導体層形成用ペーストとして表2に示すように調製した。すなわち、実施例1で使用した窒化けい素(Si3N4)粉末と希土類酸化物と酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末とを、アクリル系バインダーおよびテルピネオール系の溶剤に添加して充分に混練することにより、各実施例用の表面導体層形成用ペーストを調製した。
【0074】
次に上記各表面導体層形成用ペーストをスクリーン印刷することにより、グリーンシート表面上に導体配線パターン層をそれぞれ印刷した。なおペーストの印刷量は、最終的な導体層の厚さが表2に示す値になるように調整した。
【0075】
そして導体配線パターン層を形成した各成形体(グリーンシート)を、表2に示す焼結条件で焼成することにより、それぞれ実施例2〜26に係る窒化けい素配線基板を製造した。
【0076】
比較例4〜11
一方比較例4〜11として表3に示すように、ZrO2を、本発明で規定する好ましい範囲よりも過少量に添加した表面導体層形成用ペーストを使用したもの(比較例4)、ZrO2を、本発明で規定する好ましい範囲よりも過剰量に添加した表面導体層形成用ペーストを使用したもの(比較例5)、基板の焼結助剤成分としてのY2O3を過少量に添加したもの(比較例6)、基板の焼結助剤成分としてのYb2O3を過量に添加したもの(比較例7)、焼結直後における焼結体の冷却速度を過大である400℃/hrとしたもの(比較例8)、基板材料組成としてのHfO2を過量に添加したもの(比較例9)、基板材料組成としてのMgOを過量に添加したもの(比較例10)、基板材料組成としてのTiO2を過量に添加したもの(比較例11)の以外は実施例2と同一条件で成形,パターン形成,脱脂処理した後、表3に示す焼結条件で焼成処理を実施することにより、それぞれ比較例4〜11に係る窒化けい素配線基板を製造した。
【0077】
こうして得られた実施例2〜26および比較例4〜11に係る窒化けい素配線基板について、窒化けい素基板表面に形成された表面導体層の構成相の種類をEPMAにて同定するとともに、導体層の厚さ,電気抵抗値,窒化けい素基板に対する導体層の接合強度(ピール強度),熱伝導率および3点曲げ強度をそれぞれ測定した。測定結果を下記表2〜3に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
上記表2および表3に示す結果から明らかなように、所定の基板材料組成を有する窒化けい素成形体表面に、上記基板材料組成に近似した成分と酸化ジルコニウムとを含有する表面導体層形成用ペーストを印刷した後に、加圧した窒素ガス雰囲気中で焼結し、焼結後に徐冷して製造された各実施例に係る窒化けい素配線基板においては、電気抵抗値が小さいZrNから成る導体層が得られており、導体層の接合強度もきわめて大きく、さらに配線基板全体の3点曲げ強度も高く、高熱伝導率を有する高強度の窒化けい素配線基板が得られた。
【0081】
一方、比較例4〜11で示すように、基板材料組成や導体層形成用のペースト組成や焼結後の冷却速度条件が本発明で好ましいと規定された範囲外とした窒化けい素配線基板では、表面導体層の電気抵抗値,接合強度,熱伝導率,三点曲げ強度等のいずれかの特性において不十分と成ることが確認できる。
【0082】
すなわち、ZrO2を過少量に添加した表面導体層形成用ペーストを使用した比較例4に係る配線基板では、十分な厚さの導体層が形成されず、その電気抵抗値も大きく通電特性が劣る。これに対してZrO2を過剰量に添加した表面導体層形成用ペーストを使用した比較例5に係る配線基板では、表面導体層の厚さが大きく電気抵抗値も低いが、接合強度がきわめて小さく耐久性が低いことが判明した。
【0083】
また、基板の焼結助剤成分としてのY2O3を過少量に添加した比較例6に係る配線基板では、窒化けい素基板の緻密化が十分に進行せず、強度及び熱伝導率が不十分であった。さらに、基板の焼結助剤成分としてのYb2O3を過量に添加した比較例7に係る配線基板では、3点曲げ強度に代表される機械的強度が不十分となった。
【0084】
さらに、焼結直後における焼結体の冷却速度を過大である400℃/hrとした比較例8に係る配線基板では、窒化けい素基板の粒界相の結晶化が十分に進行せず、放熱性が不十分となった。また、基板材料組成としてのHfO2を過量に添加した比較例9に係る配線基板,基板材料組成としてのMgOを過量に添加した比較例10に係る配線基板および基板材料組成としてのTiO2を過量に添加した比較例11に係る配線基板では、窒化けい素基板の熱抵抗が大きくなり熱伝導率が低下し、放熱性が不十分となった。
【0085】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る窒化けい素配線基板およびその製造方法によれば、窒化けい素基板表面に電気抵抗値が小さい窒化ジルコニウムから成る導体層が高い接合強度で一体に形成されているため、回路信号の高速化が実現し、熱サイクルが長期間にわたって作用した場合においても導体層の剥離が少なく、動作信頼性および耐久性に優れた窒化けい素配線基板が得られる。
【0086】
特に、窒化けい素焼結体本来の高強度特性に加えて熱伝導率が高く放熱性に優れているため、高集積度を有し高出力化を図った半導体素子を搭載する窒化けい素配線基板として有効である。そのため、この窒化けい素配線基板を使用してパワーモジュールを調製した場合には、高出力化および高容量化しても耐久性および動作信頼性が高いパワーモジュールを形成することができる。
Claims (4)
- 酸素を1.5質量%以下、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.5質量%以下、α相型窒化けい素を90質量%以上含有し、平均粒径1.0μm以下の窒化けい素粉末に、希土類元素を酸化物に換算して2〜17.5質量%添加した原料混合体を成形して成形体を調整し、得られた成形体の表面に少なくとも希土類酸化物を含む焼結助材と酸化ジルコニウムとを含有する窒化けい素ペーストで導体配線パターンを印刷して脱脂後、加圧した窒素ガス雰囲気中で温度1750℃〜1900℃で焼結し、上記焼結温度から、上記希土類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして徐冷することを特徴とする窒化けい素配線基板の製造方法。
- 前記窒化けい素粉末に、HfおよびMgの少なくとも一方を酸化物に換算して0.3〜3.0重量%添加することを特徴とする請求項1記載の窒化けい素配線基板の製造方法。
- 前記窒化けい素粉末に、Ti,Zr,W,Mo,Ta,Nb,V,Crからなる群より選択される少なくとも1種の元素を酸化物に換算して2質量%以下添加することを特徴とする請求項1記載の窒化けい素配線基板の製造方法。
- 前記焼結時の雰囲気ガスが0.3MPa以上に加圧された窒素ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1記載の窒化けい素配線基板の製造方法。
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