JP2000244121A - 窒化珪素質配線基板およびその製造方法 - Google Patents

窒化珪素質配線基板およびその製造方法

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JP2000244121A
JP2000244121A JP11045366A JP4536699A JP2000244121A JP 2000244121 A JP2000244121 A JP 2000244121A JP 11045366 A JP11045366 A JP 11045366A JP 4536699 A JP4536699 A JP 4536699A JP 2000244121 A JP2000244121 A JP 2000244121A
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insulating substrate
tungsten
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Akihisa Makino
晃久 牧野
Tomohide Hasegawa
智英 長谷川
Masanobu Ishida
政信 石田
Hiroshi Okayama
浩 岡山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低抵抗の内部メタライズ配線層を具備するとと
もに、絶縁基板の表面平滑性に優れた窒化珪素質配線基
板を提供する。 【解決手段】窒化珪素を主成分とするセラミックグリー
ンシートの表面に、平均粒径が0.8〜12μmのWC
粉末を導体成分とする導体ペーストを印刷塗布した後、
1650〜1800℃の常圧下で、窒素含有雰囲気中で
焼成して、相対密度が90%以上の窒化珪素質セラミッ
クスからなる絶縁基板1と、タングステンシリサイド
(Wx Siy )のX線回折主ピーク強度をI1 、前記タ
ングステンの(110)面のX線回折ピーク強度をI2
とした時、I2 /I1 で表されるピーク強度比が0.1
以下の内部メタライズ配線層2aを具備し、絶縁基板1
表面が表面粗さ(Rmax)が10μm以下の焼き肌面
によって形成された配線基板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化珪素を主体と
するセラミックスを絶縁基板とし、その表面あるいは内
部にメタライズ配線層を具備する配線基板に関し、主に
パワー系デバイスを用いた配線基板として適用される表
面平滑性に優れた窒化珪素質配線基板とその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、産業機器の分野ではMOSFETや
IGBTなどのパワー系デバイスを用いたパワーモジュ
ールが電車、電気自動車などの電動車両における制御基
板に適用されつつある。これらのパワー系デバイスに使
用される電流は数十〜数百Aを超え、また電圧も数百V
と非常に高電力となるため、パワー系デバイスから発生
する熱も大きくなる。これによるデバイスの誤動作ある
いは破壊を防止するために、発生熱をいかに系外に放出
するかが大きな問題になっており、このような熱を装置
外に放出可能な配線基板が必要とされている。
【0003】従来より、デバイスから発生した熱を放熱
するための好適な絶縁材料としては、炭化珪素、ベリリ
ウム、窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられて
きたが、量産性、安全性などの点から窒化アルミニウム
質セラミックスが最も多く用いられてきた。また、配線
基板として窒化アルミニウム質セラミックスの表面ある
いは内部にタングステンなどの高融点金属からなる配線
層を被着形成したセラミック配線基板が多用されてい
る。
【0004】しかし、電動車両におけるパワーモジュー
ル基板として適用するためには、高熱伝導性のみなら
ず、高い耐久性を有することが必要であるが、窒化アル
ミニウム質セラミックスは、強度が低いため、過酷な条
件下で使用される電動車両などの絶縁基板材料では、充
分な特性を有するものではなかった。
【0005】そこで、高熱伝導性とともに高強度、高信
頼性の要求に応える絶縁基板材料として、最近、窒化珪
素質焼結体が注目されてきている。従来より、窒化珪素
質焼結体は、エンジンなどの高温構造材料として盛んに
研究、開発されており、通常、焼結助剤としてY2 3
などの希土類元素酸化物を添加し1800〜2000℃
という非常に高い温度で、また窒化珪素の高温での分解
反応を抑えるため数〜100気圧の加圧窒素雰囲気中で
焼成され、作製されている。
【0006】一方、耐熱特性がさほど要求されない場合
は、焼結助剤としてさらにアルミナやアルカリ土類金属
酸化物を添加することにより1700〜1800℃の比
較的低温で焼成することにより作製されている。
【0007】窒化珪素はその構成元素や結晶構造から高
熱伝導性を有すると予測されながら、構造用材料の研究
に比べ配線基板としての研究はあまりなされていなかっ
た。最近になって、高温構造材料としての窒化珪素の熱
伝導率がかなり高いことが注目されており、放熱性を要
する配線基板への検討が始まっている。
【0008】このような窒化珪素質焼結体を絶縁基板と
した配線基板を作製する場合、絶縁基板内部にメタライ
ズ配線層を具備する配線基板を絶縁基板との同時焼成に
よって形成することが行われれている。
【0009】絶縁基板内部にメタライズ配線層を具備す
る配線基板を得る場合、絶縁基板の焼成温度が高いこと
からタングステンなどの高融点金属によってメタライズ
配線層を形成する必要があった。
【0010】例えば、特開平7−149588号におい
ては、窒化珪素グリーンシートの表面に平均粒径が2μ
m以下のタングステンやモリブデンの粉末を含有する導
体ペーストを印刷塗布し、窒化珪素の分解を抑制するた
めに1800〜2000℃の高圧窒素雰囲気中で焼成す
ることが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タング
ステンなどの高融点金属を主体とする導電性ペーストを
窒化珪素質セラミックスのグリーンシートの表面に印刷
塗布した後、これを積層し同時焼成すると、タングステ
ンなどの高融点金属は、窒化珪素と反応して高抵抗のシ
リサイド化合物を形成してしまうために、低抵抗の内部
配線層を形成することが難しかった。
【0012】また、タングステンと、タングステンシリ
サイド(Wx Siy )との比重が著しく高いため、シリ
サイドが形成された場合に、内部配線層が体積膨張し、
配線基板全体に反りなどの変形が生じるという問題があ
り、窒化珪素質配線基板の実用化を大きく阻害してい
た。
【0013】このようなシリサイド化合物の形成は、特
開平7−149588号にて提案されるように、窒素ガ
スによる高圧雰囲気中で焼成することにより比較的抑制
することが可能である。しかしながら、このような高圧
の窒素雰囲気中で焼成した場合においても窒化珪素表面
の分解を完全に抑制することができないために、窒化珪
素質絶縁基板の表面に荒れが生じるために、配線基板と
して例えば、表面に銅板などを張りつけ、密着性を高め
るためには、絶縁基板表面を研磨することが必要があっ
た。
【0014】従って、本発明は、低抵抗の内部メタライ
ズ配線層を具備するとともに、絶縁基板の表面平滑性に
優れた窒化珪素質配線基板を提供することを目的とする
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うに絶縁基板内部のメタライズ配線層を窒化珪素質焼結
体からなる絶縁基板と同時焼成して形成する場合、シリ
サイドの形成を抑制し、内部メタライズ配線層の低抵抗
化を図る方法について検討を重ねた結果、グリーンシー
トに印刷するペースト中の導電性粉末として、従来から
用いられてきたタングステン粉末に代えて、所定の粒径
を有するタングステンカーバイド粉末を用い、これを非
酸化性雰囲気中の常圧雰囲気中で焼成することにより、
タングステンに変換し、なおかつ高抵抗化の要因となる
x Siy を低減させることができ、低抵抗の内部メタ
ライズ配線層が形成できるとともに、絶縁基板の表面の
平滑性を向上できることを見出した。
【0016】即ち、本発明の窒化珪素質配線基板は、窒
化珪素を主成分とする相対密度が90%以上のセラミッ
クスからなる絶縁基板と、該絶縁基板の少なくとも内部
に設けられたメタライズ配線層とを具備する配線基板で
あって、前記内部メタライズ配線層が、タングステン
(W)と、タングステンカーバイド(WC)及び/また
はα−タングステンカーバイド(W2 C)とを含み、タ
ングステンシリサイド(Wx Siy )のX線回折主ピー
ク強度をI1 、前記タングステンの(110)面のX線
回折ピーク強度をI2 とした時、I2 /I1 で表される
ピーク強度比が0.1以下であり、且つ前記絶縁基板表
面が表面粗さ(Rmax)が10μm以下の焼き肌面に
よって形成されてなることを特徴とするものである。
【0017】なお、前記絶縁基板は、熱伝導率が40W
/m・K以上であり、且つ室温における3点曲げ強度が
700MPa以上であること、さらには、組成上、窒化
珪素を主成分とし、希土類元素(RE)及びMgを酸化
物換算による合量で4〜30モル%と、前記希土類金属
およびMgの酸化物換算によるモル比(RE2 3 /M
gO)が0.1〜15であり、且つAlを酸化物換算で
1.0モル%以下の割合で含有することが望ましい。
【0018】また、本発明の窒化珪素質配線基板の製造
方法は、窒化珪素を主成分とするセラミックグリーンシ
ートの表面に、平均粒径が0.8〜12μmのタングス
テンカーバイド粉末を主たる導体成分とする導体ペース
トを回路パターン状に印刷塗布した後、該グリーンシー
トを積層し、1650〜1800℃の常圧下で、少なく
とも窒素を含有する非酸化性雰囲気中で焼成することを
特徴とするものであり、前記グリーンシート中のセラミ
ック成分が、窒化珪素を主成分とし、希土類元素及びM
gを酸化物換算による合量で4〜30モル%と、前記希
土類金属およびMgの酸化物換算によるモル比(RE2
3 /MgO)が0.1〜15であり、且つAlを酸化
物換算で1.0モル%以下の割合で含むことが望まし
い。
【0019】
【作用】本発明の窒化珪素質配線基板によれば、内部メ
タライズ配線層を窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板と
同時焼成して形成する場合、窒化珪素質セラミックスグ
リーンシートに印刷するペースト中の導電性粉末とし
て、従来から用いられてきたタングステン(W)粉末に
代えて、平均粒径が0.8〜12μmのタングステンカ
ーバイド粉末を用い、かつこれを常圧の非酸化性雰囲気
中で焼成することにより、タングステンカーバイドをタ
ングステンに変換するとともに、タングステンシリサイ
ドの形成を抑制できる。
【0020】特に、前記メタライズ配線層をタングステ
ン(W)と、タングステンカーバイド(WC)及び/ま
たはα−タングステンカーバイド(W2 C)とを含み、
タングステンシリサイド(Wx Siy )のX線回折主ピ
ーク強度をI1 、前記タングステンの(110)面のX
線回折ピーク強度をI2 とした時、I2 /I1 で表され
るピーク強度比が0.1以下とすることにより、内部メ
タライズ配線層の低抵抗化を図ることができる。
【0021】また、同時に、常圧による焼成によって絶
縁基板の表面の平滑性を高めることができ、基板表面の
研磨を必要がなく、銅板などを焼き肌面に対して直接接
合することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の窒化珪素質配線基
板について、詳細に述べる。本発明の窒化珪素質配線基
板Aによれば、図1の概略断面図に示すように、絶縁基
板1は、窒化珪素を主体とするセラミックスから構成さ
れるものであり、この絶縁基板1の少なくとも内部にメ
タライズ配線層2aが配設されており、また、所望によ
り絶縁基板1の表面にもメタライズ配線層2bが被着形
成され、また、異なる層間のメタライズ配線層を接続す
るためのビアホール導体3が設けられえている。
【0023】本発明によれば、少なくとも内部メタライ
ズ配線層2aを具備し、その内部メタライズ配線層2a
が、タングステン(W)と、タングステンカーバイド
(WC)及び/またはα−タングステンカーバイド(W
2 C)とを含み、タングステンシリサイド(Wx
y )のX線回折主ピーク強度をI1 、前記タングステ
ンの(110)面のX線回折ピーク強度をI2 とした
時、I2 /I1 で表されるピーク強度比が0.1以下、
特に0.05以下であることが重要である。
【0024】これは、内部メタライズ配線層2aの低抵
抗化を図る上で不可欠であり、上記I2 /I1 で表され
るピーク強度比が0.1よりも大きいと低抵抗化を図る
ことが難しく回路形成用として適さなくなるためであ
る。なお、タングステンシリサイド(Wx Siy )とし
ては、WSi2 、W5 Si3 などが挙げられる。また、
本発明における内部メタライズ配線層中には、炭化珪素
(SiC)相が存在する場合もある。
【0025】一方、絶縁基板1を構成する窒化珪素質セ
ラミックスは、焼結体の断面における電子顕微鏡写真よ
り求めた平均アスペクト比が1.5〜5、短軸径が0.
1〜1μmの窒化珪素結晶を主体としてなる。本発明に
よれば、この絶縁基板1の表面は、表面粗さ(Rma
x)が10μm以下、特に6μm以下の焼き肌面からな
ることが大きな特徴である。この表面粗さが10μmよ
りも大きいと、銅板などの回路やヒートシンクと接合す
る場合に高い接合強度が得られないために、表面を研磨
することが必要となるためである。
【0026】このように絶縁基板の平滑性を高める上で
は、低温で且つ常圧下で焼成することが必要である。従
って、低温、常圧下での焼成による緻密化を実現する上
で、この窒化珪素質セラミックス中には、焼結助剤とし
て希土類元素及びMgを含有することが望ましい。この
希土類元素(RE)及びMgは酸化物換算による合量で
4〜30モル%、特に5〜25モル%の範囲で配合さ
れ、前記希土類元素(RE)とMgとの酸化物換算によ
るモル比(RE2 3 /MgO)が0.1〜15、特に
0.5〜13の範囲となることが望ましい。
【0027】これは上記合量が4モル%より少ない場合
では常圧下で密度化を図る上では不十分であって、高温
での焼成を必要とし、その結果、高圧窒素雰囲気中での
焼成が必要となり、絶縁基板表面に荒れが生じてしま
う。また、上記合量が30モル%を越えると、セラミッ
クス中での粒界相の占める割合が増加するためにセラミ
ックスの熱伝導率が低下する。またRE2 3 /MgO
の比率が15を越えたり、0.1より小さくなっても緻
密化は不十分となり熱伝導率は低下する。
【0028】また、上記希土類元素およびMgに加え、
Al2 3 などのAl化合物の配合は、焼結性の向上に
大きく寄与するが、Si3 4 結晶中に固溶してフォノ
ンの伝播を阻害する結果、焼結体の熱伝導率を著しく低
下させるため、高熱伝導化のためには存在しないことが
望ましく、具体的には、Alは酸化物換算で1.0モル
%以下、望ましくは0.5モル%以下、より望ましくは
0.1モル%以下、更には0.01モル%以下にするの
が良い。
【0029】上記希土類元素(RE)としてはY、L
a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの何れの元素
でも好適に用いることができるが、これらの中でもY、
Ce、Sm、Dy、Er、Yb、Gd、Luとりわけ
Y、Erが特性、コストの点で望ましい。
【0030】なお、このセラミックス中には着色成分と
してTi、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
Wなど周期律表第4a、5a、6a属金属のうち少なく
とも1種を酸化物換算で0.05〜1重量%の割合で含
んでいてもよい。
【0031】また、本発明における絶縁基板を構成する
窒化珪素質セラミックスは、上記の各成分組成からなる
ものであるが、その相対密度が90%以上、特に95%
以上であることが高熱伝導化を図る上で重要であり、相
対密度が90%よりも低いと熱伝導率40W/m・Kの
達成は困難である。また、絶縁基板のヤング率が300
GPaよりも高いと、応力存在下でのたわみ量が小さく
なり、チップ実装時に破壊するために、ヤング率は30
0GPa以下が望ましい。また、相対密度が98.5%
よりも高いと、焼結体は十分に緻密化されているため、
焼結体中の気孔は減少し、ヤング率は300GPaより
も高くなるために、この相対密度は98.5%を上限と
することが望ましい。
【0032】本発明の窒化珪素質配線基板を製造するに
は、まず、窒化珪素粉末に対して、焼結助剤として、希
土類元素化合物、Mg化合物、場合によってはAl化合
物を前述の比率に配合する。なお、焼結助剤となる化合
物は、酸化物、炭酸塩、酢酸塩など焼成によって酸化物
を形成しうる化合物であることが望ましい。
【0033】用いる窒化珪素粉末としては不純物酸素量
が0.5〜3.0重量%のものが望ましい。これは不純
物酸素量が3.0重量%よりも多いと、焼結体表面が荒
れ、強度劣化を招く虞があり、0.5重量%よりも少な
いと焼結性が悪くなるためである。また、平均粒径は、
0.1〜1.5μmであり、α率が80%以上であるこ
とが望ましい。
【0034】次に、該混合粉末に有機バインダーと溶媒
とを添加して調製しドクターブレード法、圧延法、押し
出し成形法等の周知の成形方法で窒化珪素質セラミック
スグリーンシートを作製する。
【0035】その後、このグリーンシートに対して、メ
タライズ配線層を形成するための導体ペーストをスクリ
ーン印刷法などによって配線パターン状に印刷塗布す
る。この時に用いる導体ペーストとしては、導体成分と
して、タングステンカーバイド粉末を主たる導体成分と
することが重要である。この導体成分として、従来から
用いられているW粉末を用いると、常圧焼結中にタング
ステンシリサイドが多量に生成され、配線層の抵抗を高
めてしまうためである。
【0036】上記タングステンカーバイド粉末として
は、平均粒径が0.8〜12μm、特に2〜8μmであ
ることが重要である。これは、平均粒径が0.8μmよ
りも小さいと、窒化珪素との反応性が促進され、タング
ステンシリサイドの生成が多くなりやすく、12μmよ
りも大きいと、メタライズ配線層の焼結性が低下し低抵
抗のメタライズ配線層が形成できないためである。
【0037】また、上記の導体ペーストには、前記導体
成分以外に有機バインダおよび溶剤を配合し、混練する
ことにより所定の粘度に調整される。有機バインダとし
ては、アクリル樹脂等が、また溶剤としては酢酸エテ
ル、IPA、アセトン等が使用できる。
【0038】その後、導体ペーストを配線パターン状に
印刷塗布した後、該グリーンシートを積層圧着した後、
グリーンシートを弱酸化性雰囲気中、所定温度で脱バイ
ンダー処理した後、焼成して相対密度90%以上に緻密
化する。
【0039】焼成にあたっては、焼成温度を1650〜
1800℃に設定することが重要である。これは、焼成
温度が1650℃よりも低いと、相対密度は90%まで
到達しなくなり、1800℃よりも高いと窒化珪素は分
解し、表面粗さ(Rmax)が10μm以上となるため
である。
【0040】また、この時の焼成雰囲気としては、少な
くとも窒素を含有する非酸化性雰囲気中で行う。また、
この時の雰囲気中には、SiOガスを含有することが望
ましい。このSiOガスを含有させることにより、窒化
珪素の分解による遊離Siの発生を抑制できるために、
タングステンのシリサイド化をさらに抑制することがで
きる。このSiOガスは、焼成炉内に成形体とともに、
SiO2 粉末、あるいはSi/SiO2 混合粉末を配置
しておくことにより、焼成時にこれらの粉末の分解反応
によって発生させることができる。このようにして少な
くとも内部にメタライズ配線層が形成された窒化珪素質
配線基板を作製することができる。
【0041】また、作製した窒化珪素質配線基板におけ
る表面のメタライズ配線層を形成する方法としては、絶
縁基板との同時焼成以外に、焼成された絶縁基板の表面
に銅厚膜ペーストを配線パターン状に印刷塗布し、80
0〜900℃で焼き付け処理を行う方法、焼成後の絶縁
基板の表面にCu−Ag−Ti等のロウ材ペーストを塗
布し、Cu板やCu箔を800℃〜900℃の温度にて
焼き付けして接合する方法、さらには接合されたCu板
やCu箔を露光、現像、エッチングによって配線パター
ン状に形成する等の方法が挙げられる。
【0042】
【実施例】以上、本発明を一実施例に基づき詳細に述べ
る。平均粒径が1.2μm、酸素量が1.3重量%、α
率93%の直接窒化法により製造された窒化珪素原料粉
末に、各種希土類元素酸化物、MgCO3 、場合によっ
てはAl2 3 粉末を混合したものに対して成形用バイ
ンダーとしてアクリル樹脂バインダーを、溶媒としてト
ルエンを添加し、混練スラリー化し、ドクターブレード
法によりグリーンシートを得た。
【0043】一方、導体材料として表1の平均粒径のW
C粉末、W2 C粉末(平均粒径1.5μm)、W粉末
(平均粒径2μm)に有機バインダとしてアクリル樹脂
を、溶媒としてアセトンを添加混合して導体ペーストを
調製した。
【0044】そして、この導体ペーストを内部メタライ
ズ配線層用として所定のグリーンシートの表面に印刷塗
布した後、それらを積層し、弱酸化性雰囲気中、所定温
度でN2 +H2 +H2 Oの雰囲気中、700℃の温度で
脱バインダーした後、表1に示す焼成温度および窒素ガ
ス圧力下で焼成し、配線基板評価用の試料を作製した。
なお、雰囲気中としては窒素ガスに加え、成形体の周囲
にSi/SiO2 混合粉末を配置してSiOガスを発生
させた。
【0045】また、絶縁基板の評価用として表1に示す
各組成物を、直径12mm、厚さ5mmの円板状及び強
度測定用に60×6×4mmの角柱に成形し、同様に表
1に示す条件で焼成した。
【0046】得られた絶縁基板の評価用試料を用いて、
まずアルキメデス法により窒化珪素質セラミックスの密
度を測定し、理論密度に対する比率である相対密度
(%)を算出した。ついでレーザーフラッシュ法により
熱伝導率を、JISR1601に基づく3点曲げ試験に
より3点曲げ強度をそれぞれ室温中で測定した。
【0047】また、配線基板評価用試料について、その
基板の内部メタライズ配線層の導通抵抗を4端子法によ
って測定した。また、内部メタライズ配線層が露出する
ように絶縁基板を研削除去した後、そのメタライズ配線
層に対して、X線回折測定を行い、メタライズ配線層の
構成相と、2θ=54.7°付近のタングステンシリサ
イド(W5 Si3 )の(411)面X線回折主ピーク強
度をI1 、2θ=51.3°付近のタングステンの(1
10)面のX線回折ピーク強度をI2 とした時のI2
1 で表されるピーク強度比を算出した。結果は、表2
に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1、2の結果から明らかなように、希土
類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合量で4〜
30モル%と、前記希土類金属およびMgの酸化物換算
によるモル比(RE2 3 /MgO)が0.1〜15で
あり、且つAlを酸化物換算で1.0モル%以下の割合
から逸脱する試料No.1、19、24は、いずれも相対
密度が90%よりも小さく、その結果、強度、熱伝導性
が低く、しかも表面粗さが10μmを超えるものであっ
た。
【0051】また、焼成温度が1800℃よりも高く高
圧窒素中で焼成した試料No.7では、タングステンシリ
サイドの形成を比較的抑制できるものの、表面粗さが1
0μmを超えるものであった。また、メタライズ原料粉
末としてタングステン粉末を用いた試料No.8〜10
は、常圧あるいは高圧窒素中で焼成してもタングステン
シリサイドの形成を抑制することがむずかしかった。
【0052】さらに、タングステンカーバイド粉末の粒
径が0.8μmよりも小さい試料No.13では、シリサ
イドが多量に形成され、12μmよりも大きい試料No.
18では、メタライズ配線層の焼結が進まず、導通抵抗
が高くなった。
【0053】これらの比較例に対して、本発明の配線基
板は、内部メタライズ配線層はピーク強度比が0.1以
下であり、いずれも50mΩ/□以下の低抵抗を有し、
しかも表面粗さも10μm以下の平滑性に優れたもので
あった。特に、絶縁基板の組成を、窒化珪素を主成分と
し、希土類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合
量を4〜30モル%、前記希土類金属およびMgの酸化
物換算によるモル比(RE2 3 /MgO)を0.1〜
15、Al量を酸化物換算で1.0モル%以下とするこ
とにより、相対密度90%以上、熱伝導率40W/m・
K以上、室温における3点曲げ強度が700MPa以上
の優れた特性が得られた。なお、本発明による絶縁基板
のヤング率を超音波パルス法により測定した結果、いず
れも300GPa以下であった。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の窒化珪素
質配線基板によれば、絶縁基板と同時焼成される内部メ
タライズ配線層の低抵抗化を図ることができるととも
に、絶縁基板表面の平滑性を高めることができる。その
結果、多層配線化することが可能であるとともに、基板
表面の研磨処理を施すことなく、銅板などとの接合が可
能であり、各種パワーモジュールの配線基板として幅広
い分野に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化珪素質配線基板の概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2a 内部メタライズ配線層 2b 表面メタライズ配線層 3 ビアホール導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡山 浩 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G001 BA03 BA08 BA09 BA11 BA32 BA81 BB03 BB06 BB08 BB09 BB11 BB32 BC12 BC13 BC31 BC54 BD03 BD14 BD23 BE33 BE35 5E346 CC16 CC36 DD13 GG19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素を主成分とする相対密度が90%
    以上のセラミックスからなる絶縁基板と、内部メタライ
    ズ配線層とを具備する配線基板であって、前記内部メタ
    ライズ配線層が、タングステン(W)と、タングステン
    カーバイド(WC)及び/またはα−タングステンカー
    バイド(W2 C)とを含み、タングステンシリサイド
    (Wx Siy )のX線回折主ピーク強度をI1 、前記タ
    ングステンの(110)面のX線回折ピーク強度をI2
    とした時、I2 /I1 で表されるピーク強度比が0.1
    以下であり、且つ前記絶縁基板表面が表面粗さ(Rma
    x)が10μm以下の焼き肌面によって形成されてなる
    ことを特徴とする窒化珪素質配線基板。
  2. 【請求項2】前記絶縁基板の熱伝導率が40W/m・K
    以上、室温における3点曲げ強度が700MPa以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の窒化珪素質配線基
    板。
  3. 【請求項3】前記絶縁基板が、窒化珪素を主成分とし、
    希土類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合量で
    4〜30モル%と、前記希土類金属およびMgの酸化物
    換算によるモル比(RE2 3 /MgO)が0.1〜1
    5であり、且つAlを酸化物換算で1.0モル%以下の
    割合で含有することを特徴とする請求項1記載の窒化珪
    素質配線基板。
  4. 【請求項4】窒化珪素を主成分とするセラミックグリー
    ンシートの表面に、平均粒径が0.8〜12μmのタン
    グステンカーバイド粉末を主たる導体成分とする導体ペ
    ーストを回路パターン状に印刷塗布した後、該グリーン
    シートを積層し、1650〜1800℃の常圧下で、少
    なくとも窒素を含有する非酸化性雰囲気中で焼成するこ
    とを特徴とする窒化珪素質配線基板の製造方法。
  5. 【請求項5】前記グリーンシート中のセラミック成分
    が、窒化珪素を主成分とし、希土類元素及びMgを酸化
    物換算による合量で4〜30モル%と、前記希土類金属
    およびMgの酸化物換算によるモル比(RE2 3 /M
    gO)が0.1〜15であり、且つAlを酸化物換算で
    1.0モル%以下の割合で含むことを特徴とする請求項
    4記載の窒化珪素質配線基板の製造方法。
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