JPH0936521A - セラミック回路基板の製造方法 - Google Patents

セラミック回路基板の製造方法

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JPH0936521A
JPH0936521A JP20273295A JP20273295A JPH0936521A JP H0936521 A JPH0936521 A JP H0936521A JP 20273295 A JP20273295 A JP 20273295A JP 20273295 A JP20273295 A JP 20273295A JP H0936521 A JPH0936521 A JP H0936521A
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JP
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powder
conductor
aln
circuit board
particle size
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JP20273295A
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Inventor
Hiroyasu Sumino
裕康 角野
Akihiro Horiguchi
昭宏 堀口
Katsuyoshi Oishi
克嘉 大石
Mitsuo Kasori
光男 加曽利
Fumio Ueno
文雄 上野
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同時焼成により高い熱伝導率を有するAlN
絶縁層および断線、剥離等のない緻密で低抵抗の導体層
を形成できると共に、前記絶縁層と導体層とを反り、う
ねりを生じることなく強固に密着することが可能で、さ
らにヘリウムリーク特性も改善されたセラミック回路基
板の製造方法を提供する。 【解決手段】 AlN粉末および焼結助剤を含む混合粉
体から成形体を作製する工程と、前記成形体の少なくと
も表面にW粉末および/またはMo粉末とフィラーとし
ての平均粒径0.1μm未満のAlN粉末を含む導体ペ
ーストをパターン状に塗布して導体ペースト層を形成す
る工程と、前記導体ペーストを有する成形体を1700
℃以下の温度で焼成する工程とを具備したことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック回路基
板の製造方法に関し、特に高熱伝導性を有するセラミッ
ク回路基板の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年、IC、LSIのような半導体素子
の高速化、高集積化等に伴いセラミック回路基板や半導
体パッケージに対して要求される性能も厳しくなりつつ
ある。
【0003】例えば、半導体素子から発生する熱を効率
良く放熱するために高い熱伝導性が要求され、また半導
体素子の熱的応力による破壊などの危険性をできるだけ
小さくするために熱膨張係数が半導体素子のそれと近い
ことが要求される。さらに近年の半導体素子の高速駆動
の傾向を反映して配線長を短くすること、配線材料とし
て可能な限り電気抵抗の低いものを用いること、配線部
分周辺の絶縁材料として可能な限り誘導率の低いものを
用いることなどが求められている。
【0004】ところで、回路基板またはパッケージの絶
縁材料として用いられるセラミック材料のうちで、アル
ミナ(Al2 3 )セラミックスはこれまで最も一般的
に用いられている。しかしながら、前記アルミナセラミ
ックスは従来のプラスチック材料やガラス材料に比べて
熱伝導率がやや高いものの、熱伝導率が20W/m・K
程度と低く、また熱膨張係数が7×10-6/℃で、シリ
コンの熱膨張係数4.5×10-6/℃の約2倍であるた
め、今後の半導体素子の高集積化、高速化に対応するに
十分な特性を有しているとはいえない。
【0005】このようなことから、前記アルミナセラミ
ックスに代わって窒化アルミニウム(AlN)焼結体が
注目され、回路基板の絶縁材料としての応用について多
方面から研究されている。AlN焼結体は、熱膨張係数
が4.0×10-6/℃で、シリコンの熱膨張係数にほぼ
等しく、その上、半導体素子の熱的応力を十分小さくで
きるという特徴を有する。さらに、熱伝導率が100W
/m・Kを越えるものも得られているため、半導体素子
の高集積化、高速化にともなう発熱量の増大にも十分対
応できるものである。
【0006】しかしながら、従来、緻密なAlN焼結体
を製造するには通常のアルミナよりも高い焼結温度(1
800℃前後)で長時間焼成する必要がある。その結
果、製造コストが高くなる問題がある。
【0007】そこで、特開昭61−209959号公報
にはAlN粉末に焼結助剤としてYF3 等のフッ化物を
添加して低温焼結を実現する方法が開示されている。ま
た、特開平6−206772号公報には低温焼結技術を
用いて回路基板を製造する方法が開示されている。
【0008】以上のようにAlN焼結体を回路基板に応
用することは非常に有用であることが予想される。しか
しながら、アルミナセラミックスを用いて回路基板を実
現する従来のセラミックスと導体との同時焼成方法をそ
のままAlN焼結体を有する回路基板に応用すること
は、アルミナとAlN焼結体との基本的な物性や焼成温
度の違い等から非常に困難であった。例えば、AlN焼
結体からなる絶縁層とその絶縁層の表面または内部に形
成された導体層を何も改良を加えることなく同時焼成を
行うと、絶縁層と導体層の収縮率のミスマッチに起因す
るAlN焼結体のクラック発生や反り、うねり、導体層
の断線、剥離等を生じる恐れがある。
【0009】また、コストダウンを図るために同時焼成
を低温で行なう際、導体金属粉末として通常の粒径
(1.0μm前後)のものを用いると導体層を十分に緻
密化できないという問題が生じる。導体層の緻密化の低
下は、抵抗の増大やヘリウムリーク特性の劣化を招く。
したがって、低温同時焼成により緻密な導体層を形成す
るには、これまでは粒径の小さい導体金属粉末を用いる
ことが一般的であった。しかしながら、粒径の非常に細
かい導体金属粉末を用いると、ペースト化が困難であっ
た。その上、導体ペーストの成形密度が低下し、結果的
には収縮率が非常に大きくなるため、絶縁層であるAl
N焼結体との収縮率のミスマッチが大きくなってしま
う。
【0010】前記導体金属粉末の粒径を調節して収縮率
を制御することは、以下の図2で説明するように非常に
困難である。一般に、緻密な導体層を形成する場合には
活性で焼結性の優れた粒径の細かい導体金属粉末を用い
ることが有効である。粒径の細かい導体金属粉末を用い
ると、図2に示すように緻密な導体層を形成することが
可能である。しかしながら、この導体金属粉末を含むペ
ーストは成形密度が低下する傾向にあり、結果として焼
成時の導体層の収縮率が非常に大きくなる。一方、成形
密度を上げるためには粒径が比較的粗い導体金属粉末を
用いることが効果的である。しかしながら、粒径が比較
的粗い導体金属粉末は焼結性が劣るために結果的には緻
密な導体層を形成することが困難になる。
【0011】したがって、所望の収縮率を有し、かつ緻
密な導体層を形成するためには最適な収縮率を有する狭
い粒径範囲の導体金属粉末を選ぶことが必要である。
【0012】さらに、低温焼結のためにYF3 のような
焼結助剤を用いた場合には窒素やアルゴンのような非酸
化性雰囲気で脱脂を行う必要がある。このような工程
は、バインダの分解に伴う残留カーボン量が増加するた
め、同時焼成を行うとAlN焼結体からなる基材の表面
等に形成された導体層は抵抗が高くなり(特開平6−2
06772号公報の実施例に17μΩ・cmが最低であ
ることが記載)、良好な回路基板を得ることが困難にな
る。残留カーボン量を減少させるためには、酸化雰囲気
中で脱脂を行う必要があるが、この工程中にフッ化水素
のような有害物質が発生すると共に、導体金属であるタ
ングステンやモリブデンが酸化して所定の回路基板を製
造することが困難になる。このように従来の方法ではA
lN焼結体からなる絶縁層間の密着性、低温同時焼結
性、導体層の緻密性、低抵抗性、ヘリウムリーク特性の
全てを満たす回路基板を製造することができないのが実
情である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、同時焼成に
より高い熱伝導率を有するAlN絶縁層および断線、剥
離等のない緻密で低抵抗の導体層(回路パターン)を形
成できると共に、前記絶縁層と導体層とを反り、うねり
を生じることなく強固に密着することが可能で、さらに
ヘリウムリーク特性も改善されたセラミック回路基板の
製造方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるセラミッ
ク回路基板の製造方法は、窒化アルミニウム粉末および
焼結助剤を含む混合粉体から成形体を作製する工程と、
前記成形体の少なくとも表面にタングステン粉末および
/またはモリブデン粉末とフィラーとしての平均粒径
0.1μm未満の窒化アルミニウム粉末を含む導体ペー
ストをパターン状に塗布して導体ペースト層を形成する
工程と、前記導体ペーストを有する成形体を1700℃
以下の温度で焼成することにより窒化アルミニウムを主
成分とする絶縁層にタングステンおよび/またはモリブ
デンを主成分とし、窒化アルミウム粉末をフィラーとし
て含むパターン状の導体層を形成する工程とを具備した
ことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるセラミック
回路基板の製造方法を詳細に説明する。
【0016】第1工程;AlN粉末および焼結助剤を十
分に混合し、この混合粉体から成形体を作製する。
【0017】前記AlN粉末は、実質上入手可能なあら
ゆる粉末を用いることができるが、焼結性および熱伝導
率のために平均一次粒径が0.03〜3.5μm、より
好ましくは平均一次粒径が0.1〜1.5μm、不純物
酸素量が0.2〜3.5重量%、より好ましくは不純物
酸素量が0.3〜3重量%の粉末を用いることが望まし
い。前記AlN粉末の平均一次粒径を0.03μm未満
にすると、シート化が非常に困難になり、また最終的に
得られるAlNを主成分とする絶縁層において不純物酸
素量が多くなり、高い熱伝導率を得ることができなくな
る恐れがある。また、成形時のシート密度が低下するた
めに焼結時の収縮率が大きくなり、シート表面における
導体層の位置制御が困難になる傾向にある。さらに、導
体層との収縮率をマッチングさせることが困難となり、
導体層とAlNを主成分とする絶縁層との間に空隙がで
きるなどの問題が発生する。一方、前記AlN粉末の平
均粒径が3.5μmを越えると焼結性が著しく低下し、
十分に緻密な焼結体からなる絶縁層を形成することが困
難になる。また不純物酸素量を0.2重量%未満にする
と、焼結性が低下し、十分に緻密なAlNを主成分とす
る絶縁層を形成できなくなる恐れがある。
【0018】前記焼結助剤としては、一般にAlNの焼
結に有効とされている希土類化合物(酸化物やハロゲン
化物等)、アルカリ土類化合物(酸化物やハロゲン化物
等)あるいは焼結工程で希土類化合物、アルカリ土類化
合物となる物質のうちから少なくとも1種を用いること
ができる。焼結工程で酸化物となる化合物としては、例
えば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、アルコキサイド等が
ある。また、前記焼結助剤の添加量はAlN粉末に対し
て全焼結助剤の合計量で0.05〜15重量%にするこ
とが好ましい。前記焼結助剤の添加量を0.05重量%
未満にすると、AlNの焼結に有効に作用しない恐れが
あり、また高い熱伝導率を有するAlNを主成分とする
絶縁層の形成が困難になる。一方、前記焼結助剤の添加
量が15重量%を越えても同様に高い熱伝導率を有する
AlNを主成分とする絶縁層の形成が困難になる。より
好ましい前記焼結助剤の添加量は、0.2〜10重量%
である。
【0019】なお、焼結性を向上させる目的で、前記焼
結助剤の一部をアルミナ(Al2 3 )、AlF3 など
のアルミニウム化合物、酸化ホウ素(B2 3 )、希土
類ホウ化物等のホウ素化合物、表面清浄性を改善するた
めのリンの化合物、機械的強度を増すために有効な酸化
珪素(SiO2 )、窒化珪素(Si3 4 )、酸化マン
ガン(MnO2 )などのマンガン化合物で置換すること
を許容する。さらに、着色化、高強度化のために、T
i、W、Mo、Ta、Nb、Mn等の遷移金属の単体も
しくはそれらの化合物(酸化物、炭化物、フッ化物、炭
酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩等)を前記混合粉体中に遷移
金属換算で0.05〜1重量%の範囲で含有させてもよ
い。
【0020】第2工程;前記成形体の少なくとも表面に
タングステン粉末および/またはモリブデン粉末とフィ
ラーとしての平均粒径0.1μm未満のAlN粉末を含
む導体ペーストをパターン状に塗布して導体ペースト層
を形成する。
【0021】前記タングステン粉末は、平均粒径が0.
2〜2.0μm、前記モリブデン粉末は平均粒径が0.
2〜5.0μmであることが好ましい。このような導体
金属粉末において、平均粒径が前記範囲の下限値未満に
すると取扱いが容易でなく、ペースト化が困難になって
得られた導体ペーストを前記グリーシートに印刷するこ
とができなくなる恐れがある。さらに、前記導体金属粉
末を含む導体ペーストを前記成形体と共に同時焼結する
と、その収縮率が極端に大きくなるため、形成された導
体層はAlN絶縁層との収縮率のマッチングが取れず、
導体層が剥離したり、導体層と絶縁層の間に空隙が発生
する。一方、前記導電金属粉末において平均粒径が前記
範囲の上限値を越えると形成された導体層の緻密化が不
十分になり抵抗が高くなる恐れがある。また、この導体
金属粉末を含む導体ペーストを前記成形体と共に同時焼
結すると、その収縮率が過度に小さくなるため、AlN
絶縁層との間で収縮率のマッチングが取れず、最終的に
得られたセラミック回路基板にクラック、膨れ等が生じ
る恐れがある。
【0022】前記フィラーとしてのAlN粉末は、平均
粒径が0.1μm未満であるが、0.05〜0.09μ
mであることがより好ましい。
【0023】前記フィラーとしてのAlN粉末は、前記
導体金属粉末に対して0.l〜60体積%配合すること
が好ましい。前記AlN粉末の配合量を0.1体積%未
満にすると、その配合効果が十分に達成されず、導体層
の断線等を防止することが困難になる。一方、前記Al
N粉末の配合量が60体積%を越えると導体層の抵抗率
が高くなって信号遅延を招く恐れがある。より好ましい
前記AlN粉末の配合量は、1.0〜40体積%であ
る。このような量のAlN粉末の配合は、AlN絶縁層
の収縮率と導体層の収縮率をよりマッチングさせること
が可能になる。
【0024】前記フィラーとしての配合されるAlN粉
末中は、平均粒径が0.1μm以上のAlN粉末が20
体積%以下の範囲で含まれることを許容する。平均粒径
が0.1μm以上のAlN粉末が20体積%を越える
と、微細なAlNフィラーによる効果が減少し、緻密で
低抵抗の導体層の形成が困難になる。
【0025】前記導体ペースト中には、フィラーとして
のAlN粉末の焼結性を向上する目的で焼結助剤が配合
されることを許容する。この焼結助剤としては、一般に
AlNの焼結に有効とされている希土類化合物(酸化物
やハロゲン化物等)、アルカリ土類化合物(酸化物やハ
ロゲン化物等)あるいは焼結工程で希土類化合物、アル
カリ土類化合物となる物質のうちから少なくとも1種を
用いることができる。焼結工程で酸化物となる化合物と
しては、例えば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、アルコキ
サイド等がある。また、前記焼結助剤の添加量はフィラ
ーとしてのAlN粉末に対して全焼結助剤の合計量で
0.05〜15重量%にすることが好ましい。さらに、
焼結性を向上させる目的で、前記焼結助剤の一部をアル
ミナ(Al2 3 )、AlF3 などのアルミニウム化合
物、酸化ホウ素(B2 3 )、希土類ホウ化物等のホウ
素化合物、表面清浄性を改善するためのリンの化合物、
機械的強度を増すために有効な酸化珪素(SiO2 )、
窒化珪素(Si3 4 )、酸化マンガン(MnO2 )な
どのマンガン化合物等で置換することを許容する。
【0026】前記導体ペースト中には、銅、金、銀等の
低融点金属が前記導体金属粉末に対して最大20体積%
まで配合されることを許容する。このような低融点金属
の添加は、焼成温度の制御やTi、Ni、Zr、Hfの
ような活性金属の金属により可能になる。
【0027】第3工程;前記導体ペーストを有する成形
体を1700℃以下の温度で焼成することにより窒化ア
ルミニウムを主成分とする絶縁層にタングステンおよび
/またはモリブデンを主成分とし、窒化アルミウム粉末
をフィラーとして含むパターン状の導体層を形成してセ
ラミック回路基板を製造する。
【0028】前記成形体の焼成は、前記成形体を例えば
AlN製セッター内にセットし、酸素量が100ppm
以下の非酸化性雰囲気中、より好ましくは0.7気圧以
上の窒素等の非酸化性雰囲気中、1700℃以下、好ま
しくは1650℃以下、より好ましくは1600℃以下
の温度で行うことが望ましい。
【0029】本発明に係わる方法により製造されるセラ
ミック回路基板(多層セラミック回路基板)は、例えば
図1に示す構造を有する。多層セラミック回路基板1
は、AlNを主成分とする絶縁層2が複数積層されてな
る。これら絶縁層2の表面には、タングステンおよび/
またはモリブデンを主成分とし、フィラーとしてAlN
粉末を含む所定パターンの導体層3が形成されている。
また、前記絶縁層2の所定位置にはビアホール4が形成
されており、前記ビアホール4の内部に充填されたタン
グステンおよび/またはモリブデンを主成分とする導体
部によって前記絶縁層2の各表面に形成された導体層3
が電気的に接続されている。
【0030】このようなセラミック回路基板、例えば多
層セラミック回路基板は、次のような第1工程〜第3工
程により製造される。
【0031】(第1工程)AlN粉末に焼結助剤を添加
して十分に混合した後、この混合粉体にバインダを添加
して所定の溶媒中で混練して分散させ、所定の粘度に調
製して造粒、整粒を行う。つづいて、得られた懸濁液を
例えばドクターブレード法によりシート化し、例えば温
度200℃前後で乾燥してグリーンシートを形成する。
ひきつづき、前記グリーンシートの所定位置に複数の層
間接続用のビアホールを形成する。
【0032】前記混合粉体に添加するバインダとして
は、例えばアクリル系バインダやPVB系バインダ等を
使用することができる。
【0033】前記混合粉体およびバインダを分散させる
溶媒としては、例えばn−ブタノールなどのアルコール
系、メチルイソブチル、トルエン、キシレン等を使用す
ることができる。
【0034】前記ビアホールの形成方法としては、例え
ばポンチ、ダイ、パンチングマシーンなどを用いる機械
的方法、レーザ加工法などを採用することができる。
【0035】(第2工程)タングステン粉末および/ま
たはモリブデン粉末(導体金属粉末)にフィラーとして
の平均粒径0.1μm未満のAlN粉末を添加し、さら
にバインダおよび溶媒を加え混練することによって導体
ペーストを調製する。つづいて、この導体ペーストを前
記第1工程で作製したAlNグリーンシートの表面にス
クリーン印刷法などによってパターン状に印刷すると共
に前記ビアホール内に前記導体ペーストを充填する。ひ
きつづき、これらグリーンシートを前記ビアホールで位
置合わせして重ね、熱圧着することにより積層体を作製
する。
【0036】前記導体ペースト中に配合されるバインダ
および溶媒としては、例えば前述したAlN成形体の作
製に用いたのと同様なものが使用される。
【0037】(第3工程)前記導体ペースト層が形成さ
れたグリーンシートを、窒素などの非酸化性雰囲気で脱
脂した後、例えばAlN製セッター内にセットし、酸素
量が100ppm以下の非酸化性雰囲気中、より好まし
くは0.7気圧以上の窒素等の非酸化性雰囲気中、17
00℃以下、好ましくは1650℃以下、より好ましく
は1600℃以下の温度で焼結する。つづいて、必要に
応じて表面の研削、研磨、薄膜回路形成、メッキ、ピン
形成などを行なうことによって、AlNを主成分とする
絶縁層と、タングステンおよび/またはモリブデンを主
成分とし、フィラーとして0.1μm未満のAlN粉末
を含む導体層とを備えた多層セラミック回路基板を製造
する。
【0038】以上説明した本発明のセラミック回路基板
の製造方法によれば、AlNを主成分とする成形体の少
なくとも表面にタングステン粉末および/またはモリブ
デン粉末とフィラーとしての平均粒径0.1μm未満と
微細なAlN粉末を含む導体ペーストをパターン状に塗
布して導体ペースト層を形成し、1700℃以下の温度
で同時焼成することによって、高い熱伝導率を有するA
lN絶縁層および断線、剥離等のない緻密で低抵抗の導
体層(回路パターン)を形成できると共に、前記絶縁層
と導体層とを反り、うねりを生じることなく強固に密着
することが可能で、さらにヘリウムリーク特性も改善す
ることかできる。このような有益な回路基板の製造方法
は、以下に詳細するようにタングステン粉末および/ま
たはモリブデン粉末のような特定の導体金属粉末とフィ
ラーとしての平均粒径0.1μm未満と微細なAlN粉
末を含む導体ペーストを用いることにより達成される。
【0039】(1) 前述した図2に示すように、従来用い
られている平均粒径が0.1μm以上のAlN粉末をフ
ィラーとして導電ペーストに配合した場合、平均粒径の
粗い導体金属粉末(W粉末またはMo粉末)では焼結に
より緻密な導体層を形成することが困難である。
【0040】これに対し、本発明のように導体金属粉末
としてW粉末および/またはMo粉末を含む導体ペース
トに平均粒径が0.1μm未満のAlN粉末をフィラー
として配合すると、前記導体ペーストの成形密度は前記
導体金属粉末の粒径に大きく依存するために大幅に変化
することはないが、成形体との同時焼成において前記フ
ィラーが0.1μm未満と微細で活性なために前記導体
金属粉末の焼結を助長し、結果として緻密な導体層をA
lN絶縁層に形成することができる。この作用を、前述
した図2の点線で示した。このような微細なAlN粉末
をフィラーとして用いることによって、比較的粒径の粗
い導体金属粉末(例えばW粉末;平均粒径0.2〜2.
0μm、Mo粉末;平均粒径0.2〜5.0μm)を用
いた場合でも十分に緻密化された導体層を形成すること
ができ、また十分に緻密化された導体層を形成するため
の選択できる導体金属粉末の粒径範囲を拡大することが
できる。その結果、AlN絶縁層と導体層との収縮率を
近似させることができるため、導体層の剥離、断線、絶
縁層のクラック、反り等の欠陥発生を効果的に防止する
ことができる。
【0041】(2) 導体層の緻密化が不十分であると、導
体層の空隙部分にガスが吸着するためにヘリウムリーク
特性が低下する。ここで、ヘリウムリーク特性とは通
常、半導体素子を搭載したセラミック多層配線基板を作
製し、ガラス封止した際にその封止性の完全性を評価す
る一つの手法である。多層配線基板側にリーク特性を低
下させる原因があると、本来評価すべき封止性を評価で
きず、結果として回路基板の信頼性を低下させる要因に
なるため、前記ヘリウムリーク特性は重要な評価項目で
ある。
【0042】一般にヘリウムリーク特性の低下要因一つ
としては、ガス吸着の要因になるオープンポアが挙げら
れる。このため、AlN絶縁層と導体層の表面にガス吸
着の要因になるオープンポアが存在しないことが重要で
ある。オープンポアが存在しない焼結密度とは、一般に
理論密度に対して90%以上の相対密度が達成されるこ
とが必要がある。相対密度が90%以上の導体層は、ポ
アの殆どが表面に開口面を持たないクローズポアにな
り、ヘリウムリーク特性に影響を及ぼさなくなる。本発
明者らの研究によると、特に平均粒径0.2〜2.0μ
mのW粉末、平均粒径0.2〜5.0μmのMo粉末を
用いて導体層の相対密度を90%以上にするためには
0.1μm未満の平均粒径を有するAlN粉末をフィラ
ーとして配合することが必要であることを究明した。
【0043】ヘリウムリーク特性を低下させる原因の2
つめは、表面から内部に向かって形成される比較的細長
いチャネル(粒界の空隙)が挙げられる。チャネルが存
在すると、ヘリウムリーク試験において前記チャネルに
吸着したガスが微量ずつ長時間に亘って漏れ出し、結果
としてヘリウムリーク特性を低下させる。本発明におい
て、導体ペーストに配合されるフィラーとしてのAlN
粉末は平均粒径が0.1μm未満であるため、表面に多
くの酸素を吸着するか、もしくはAl2 3 の形態で保
持している。その結果、前記AlN粉末の酸素源が導体
ペーストの焼結過程で導体金属であるタングステンおよ
び/またはモリブデンと反応して、タングステンおよび
/またはモリブデンの酸化物が生成される。このような
酸化物は、1700℃以下の焼結工程において比較的蒸
気圧が高いために蒸発、凝縮のプロセスを通じて導体層
の緻密化を助長する。また、蒸発、凝縮のプロセスは粒
界近傍で起こるため、前述した微細なチャネルを効果的
に消滅させ、結果的にはヘリウムリークの原因になる微
細なチャネルが殆ど存在しない導体層を形成することが
できる。
【0044】上述した2つの相乗作用によりヘリウムリ
ーク特性の優れたセラミック回路基板を製造することが
できる。
【0045】(3) 一般に、AlNを主成分とする絶縁層
を有するセラミック回路基板はAlNの酸化を防止する
目的で成形、回路パターンの形成後の脱脂は不活性ガ
ス、例えば窒素ガス雰囲気中で行われる。しかしなが
ら、前記脱脂工程を不活性雰囲気中で行うと、成形時に
添加するバインダを完全に除去することができず、導体
層や絶縁体層に炭素として残留する傾向がある。この残
留炭素は、導体金属粉末と焼成過程において反応して抵
抗率の高い導体金属の炭化物が生成され、結果的には導
体層の抵抗が上昇して信号遅延を招く恐れがあった。本
発明は、導体ペースト中に0.1μm未満の微細なAl
N粉末をフィラーとして配合することによって、導体層
に炭化物が生成するのを抑制し、導体層の抵抗上昇を防
止することができる。これは、前記微細なAlN粉末は
通常の粒径のAlN粉末に比べて含有酸素量が多いため
に、脱脂後に残留する炭素と焼成過程中に有効に反応し
て導体の炭化物の生成を防止することができる。その結
果、AlNを主成分とする絶縁層に低抵抗の導体層を形
成することが可能になる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に
説明する。なお、これら実施例は本発明の理解を容易に
する目的で記載されるものであり、本発明を限定するも
のではない。
【0047】(実施例1)平均粒径0.8μm、不純物
酸素量0.8重量%のAlN粉末に焼結助剤としてYF
3 を3重量%と着色化のためのWO3 をW換算で0.3
重量%それぞれ添加し、ボールミルを用いてn−ブタノ
ール中において湿式混合した。この混合粉末を有機バイ
ンダとともに有機溶媒中に分散し、得られたスラリーを
ドクターブレード法によってシート化し、複数のグリー
ンシートを作製した。つづいて、得られたグリーンシー
トの所定の位置に層間接続用の複数のビアホールをパン
チングマシーンを用いて形成した。
【0048】一方、平均粒径0.8μmのモリブデン末
80体積%と、平均粒径0.09μm、不純物酸素量
2.5重量%のAlN粉末97重量%およびYF3 粉末
3重量%からなるフィラー用混合粉末20体積%とを有
機バインダとともに有機溶剤中に分散して、導体ペース
トを調製した。
【0049】次いで、前記導体ペーストを前記グリーン
シートにスクリーン印刷法により印刷して前記シート表
面に導体ペースト層を形成するとともに前記ビアホール
内に前記導電ペーストを充填した。つづいて、導体ペー
スト層が形成された複数のグリーンシートをビアホール
で位置合わせして所望の枚数重ね、加熱プレスすること
により積層体を作製した。ひきつづき、前記積層体を窒
素雰囲気中、700℃で脱脂後、1気圧の窒素雰囲気
中、1550℃で8時間焼結することにより前述した図
1に示す構造を有する多層セラミック回路基板を製造し
た。
【0050】得られた回路基板を厚さ方向に切断して内
部の微細構造を観察した。その結果、AlNを主成分と
する絶縁層は十分緻密化しておりポアは見られず、かつ
導体層においても空隙などの欠陥は認められなかった。
また、前記回路基板は外観的に特に反りや変形は認めら
れなかった。
【0051】また、前記多層セラミック回路基板を構成
するAlNを主成分とする絶縁層は抵抗率が1011Ω・
cm以上、比誘電率が8.7、誘電損失が10-3以下
(ともに1MHzの条件下)であり、さらに熱伝導率が
170W・m-1・K-1であった。同回路基板を構成する
導体層は、抵抗率が10.2×10-6Ω・cmと極めて
低い値であった。
【0052】さらに、前記多層セラミック回路基板を5
気圧のヘリウムガスで満たしたチャンバ中に40分間放
置した後、チャンバ内を10-3torrオーダに真空に引い
て再び空気を1気圧まで導入した。このヘリウム洗浄工
程を3回行った後、試料をチャンバから取り出し、空気
中で30分間放置した。このような処理を施した後、ヘ
リウムリーク試験(ファインリークの検知)にかけた。
ヘリウムリーク量の検出は、質量分析計で行った。その
結果、ヘリウムリーク量は1.0×10-10 atm・c
c・s-1以下であり、良好なヘリウムリーク特性を有し
ていた。
【0053】(実施例2)平均粒径0.6μm、不純物
酸素量0.9重量%のAlN粉末に焼結助剤としてY2
3 粉末を3.0重量%、CaO粉末を1重量%、Al
2 3 粉末を0.5重量%、TiB2 粉末を0.5重量
%それぞれ添加し、さらに着色化のためのWO3 をW換
算で0.3重量%添加し、ボールミルを用いてn−ブタ
ノール中において湿式混合した。この混合粉末を有機バ
インダとともに有機溶媒中に分散し、得られたスラリー
をドクターブレード法によってシート化し、複数のグリ
ーンシートを作製した。つづいて、前記グリーンシート
の所定位置に層間接続用の複数のビアホールをパンチン
グマシーンを用いて形成した。
【0054】一方、平均粒径1.0μmのタングステン
粉末77体積%と平均粒径0.07μm、不純物酸素量
2.5重量%のAlN粉末95.5重量%、Y2 3
末3重量%、CaO粉末を1重量%、Al2 3 粉末を
0.5重量%からなるフィラー用混合粉末23体積%と
を有機バインダとともに有機溶剤中に分散して、導体ペ
ーストを調製した。
【0055】次いで、前記導体ペーストを前記グリーン
シートにスクリーン印刷法により印刷して前記シート表
面に導体ペースト層を形成するとともに前記ビアホール
内に前記導電ペーストを充填した。つづいて、前記導体
ペースト層が形成された複数のグリーンシートを前記ビ
アホールで位置合わせして所望枚数重ね、加熱プレスす
ることにより積層体を作製した。ひきつづき、前記積層
体を窒素雰囲気中、700℃で脱脂後、1気圧の窒素雰
囲気中、1600℃で6時間焼結することにより前述し
た図1に示す構造を有する多層セラミック回路基板を製
造した。
【0056】得られた回路基板を厚さ方向に切断して内
部の微構造をSEMにより観察した。その結果、図3に
示すSEM写真が得られた。この図3から明らかなよう
にAlNを主成分とする絶縁層は十分緻密化しておりポ
アは見られず、かつ導体層においても空隙などの欠陥は
認められなかった。また、絶縁層と導体層の収縮率が十
分にマッチングしているため、絶縁層と導体層の間に空
隙などは観察されず、さらに前記回路基板は外観的に特
に反りや変形は認められなかった。
【0057】また、前記多層セラミック回路基板を構成
するAlNを主成分とする絶縁層は抵抗率が1011Ω・
cm以上、比誘電率が8.3、誘電損失が10-3以下
(ともに1MHzの条件下)であり、さらに熱伝導率が
142W・m-1・K-1であった。同回路基板を構成する
導体層は、抵抗率が10.4×10-6Ω・cmと極めて
低い値であった。しかも、実施例1と同様な方法でヘリ
ウムリーク試験を行った結果、リーク量は1.0×10
-10 atm・cc・s-1以下であり、良好なヘリウムリ
ーク特性を有していた。
【0058】(比較例1)平均粒径1.0μmのタング
ステン粉末77体積%と平均粒径0.2μm、不純物酸
素量1.5重量%のAlN粉末95.5重量%、Y2
3 粉末3重量%、CaO粉末を1重量%、Al2 3
末を0.5重量%からなるフィラー用混合粉末23体積
%とを有機バインダとともに有機溶剤中に分散して、導
体ペーストを調製した。
【0059】次いで、前記導体ペーストを実施例2と同
様なグリーンシートにスクリーン印刷法により印刷して
前記シート表面に導体ペースト層を形成するとともに前
記ビアホール内に前記導電ペーストを充填した。つづい
て、前記導体ペースト層が形成された複数のグリーンシ
ートを前記ビアホールで位置合わせして所望枚数重ね、
加熱プレスすることにより積層体を作製した。ひきつづ
き、前記積層体を窒素雰囲気中、700℃で脱脂後、1
気圧の窒素雰囲気中、1600℃で6時間焼結すること
により前述した図1に示す構造を有する多層セラミック
回路基板を製造した。
【0060】得られた回路基板を厚さ方向に切断して内
部の微細構造を観察した。その結果、AlNを主成分と
する絶縁層は十分緻密化しておりポアは見られなかっ
た。表面に露出しているビアホールの内部をSEMによ
り観察した。その結果、図4に示すSEM写真が得られ
た。図4から明らかなように表面に露出しているビアホ
ールの内部の所々にポアが観測され、完全に緻密な導体
層は形成できなかった。また、導体層を含む部分を粉砕
し、粉末X線回折法により構成相を解析した。その結
果、Wのカーバイト(炭化物)のピークが観測された。
さらに、導体層の抵抗率を測定した。その結果、抵抗率
が52×10-6Ω・cmと実施例1に比べてかなり高い
値であった。しかも、実施例1と同様な方法でヘリウム
リーク試験を行った結果、リーク量は5.0×10-7
tm・cc・s-1とリーク量が大きかった。
【0061】(比較例2)平均粒径0.1μmのタング
ステン粉末77体積%と平均粒径0.8μm、不純物酸
素量0.9重量%のAlN粉末95.5重量%、Y2
3 粉末3重量%、CaO粉末を1重量%、Al2 3
末を0.5重量%からなるフィラー用混合粉末23体積
%とを有機バインダとともに有機溶剤中に分散して、導
体ペーストを調製した。
【0062】次いで、前記導体ペーストを実施例2と同
様なグリーンシートにスクリーン印刷法により印刷して
前記シート表面に導体ペースト層を形成するとともに前
記ビアホール内に前記導電ペーストを充填した。つづい
て、前記導体ペースト層が形成された複数のグリーンシ
ートを前記ビアホールで位置合わせして所望枚数重ね、
加熱プレスすることにより積層体を作製した。ひきつづ
き、前記積層体を窒素雰囲気中、700℃で脱脂後、1
気圧の窒素雰囲気中、1600℃で6時間焼結すること
により前述した図1に示す構造を有する多層セラミック
回路基板を製造した。
【0063】得られた回路基板を厚さ方向に切断して内
部の微細構造を観察した。その結果、AlNを主成分と
する絶縁層は十分緻密化しておりポアは見られなかっ
た。また、表面に露出しているビアホールの内部をSE
Mにより観察した。その結果、図5に示すSEM写真が
得られた。この図5から明らかなように絶縁層と導体層
との間に空隙が生じていることが認められた。
【0064】(実施例3〜10)下記表1および表2に
示す組成を有する絶縁層用混合粉体および導電ペースト
を用い、同表1、表2に示す条件で焼結を行った以外、
実施例1と同様の方法により8種の多層セラミック回路
基板を製造した。
【0065】得られた各回路基板における絶縁層の密度
および熱伝導率、導体層の抵抗率、ヘリウムリーク特
性、並びに外観性を調べた。その結果を下記表3に示
す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】 前記表3から明らかなように実施例3〜10の多層セラ
ミック回路基板は、いずれも優れた特性と良好な外観性
を有することがわかる。
【0069】(実施例11)平均粒径0.07μm、不
純物酸素量2.2重量%のAlN粉末95.0重量%
と、焼結助剤としてYF3 粉末4.0重量%およびCa
2 1.0重量%とからなる混合粉体にn−ブタノール
を添加し、湿式ボールミルにより解砕、混合を行った。
この混合粉体を用いて実施例1と同様な方法により厚さ
0.3mmのグリーンシートを作製した。つづいて、こ
のグリーンシートを3枚重ねて熱間プレスを行った後、
所望の大きさに切断して40mm×40mm×0.8m
mの板状積層体とした。ひきつづき、この積層体上面に
実施例1と同様な組成の導体ペーストをスクリーン印刷
し、さらに窒素雰囲気中で最高温度650℃で加熱して
バインダを除去した。脱脂後の積層体をグラファイト容
器に入れ、前記積層体と容器の間にh−BN(六方晶窒
化ホウ素)を介在させた後、カーボン型ヒータを有する
焼結炉で窒素雰囲気中、1350℃で8時間、50MP
aの圧力下でホットプレス焼結を行って表面メタライズ
の回路基板を製造した。
【0070】得られた回路基板は、外観上、剥がれがな
く、AlNを主成分とする絶縁層と導体層は十分に緻密
化されていた。また、導体層の抵抗率は10.4×10
-6Ω・cmと極めて低い値であった。さらに、実施例1
と同様な方法でヘリウムリーク試験を行った結果、リー
ク量は1.0×10-10 atm・cc・s-1以下であ
り、良好なヘリウムリーク特性を有していた。しかも、
絶縁層と導体層との間の界面を観察した結果、強固な結
合形態になっていることが確認された。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば1
00W/m・Kを越える高熱伝導性のAlNを主成分と
する緻密な絶縁層を有し、半導体素子の高集積化、高速
化に伴う多大な発熱を十分放熱することが可能で、かつ
導体層として断線、剥離などの欠陥がなく、前記絶縁層
に良好に密着された抵抗率の低い導体層を備え、半導体
素子等の搭載において信号伝達を高速に行うことが可能
なセラミック回路基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる多層セラミック回路基板を示す
部分切欠斜視図。
【図2】導体金属粉末の粒径変化に伴う導体層の焼結密
度、成形密度および収縮率変化を示す特性図。
【図3】実施例2により製造された多層セラミック回路
基板の導体層の微構造を示すSEM写真。
【図4】比較例1により製造された多層セラミック回路
基板の導体層の微構造を示すSEM写真。
【図5】比較例2により製造された多層セラミック回路
基板の導体層の微構造を示すSEM写真。
【符号の説明】
1…多層セラミック回路基板、2…絶縁層、3…導体
層、4…ビアホール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加曽利 光男 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 上野 文雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム粉末および焼結助剤を
    含む混合粉体から成形体を作製する工程と、 前記成形体の少なくとも表面にタングステン粉末および
    /またはモリブデン粉末とフィラーとしての平均粒径
    0.1μm未満の窒化アルミニウム粉末を含む導体ペー
    ストをパターン状に塗布して導体ペースト層を形成する
    工程と、 前記導体ペーストを有する成形体を1700℃以下の温
    度で焼成することにより窒化アルミニウムを主成分とす
    る絶縁層にタングステンおよび/またはモリブデンを主
    成分とするパターン状の導体層を形成する工程とを具備
    したことを特徴とするセラミック回路基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記タングステン粉末は、平均粒径が
    0.2〜2.0μm、前記モリブデン粉末は平均粒径が
    0.2〜5.0μm、であることを特徴とする請求項1
    記載のセラミック回路基板の製造方法。
JP20273295A 1995-07-18 1995-07-18 セラミック回路基板の製造方法 Pending JPH0936521A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000151045A (ja) * 1998-08-31 2000-05-30 Kyocera Corp 配線基板およびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000151045A (ja) * 1998-08-31 2000-05-30 Kyocera Corp 配線基板およびその製造方法

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