JPH087652A - 自動車電線用樹脂組成物及び自動車用薄肉低圧電線 - Google Patents

自動車電線用樹脂組成物及び自動車用薄肉低圧電線

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JPH087652A
JPH087652A JP14370694A JP14370694A JPH087652A JP H087652 A JPH087652 A JP H087652A JP 14370694 A JP14370694 A JP 14370694A JP 14370694 A JP14370694 A JP 14370694A JP H087652 A JPH087652 A JP H087652A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 導体の上に薄肉に押し出しても従来の諸特性
を損なうことなく、安価に絶縁体を形成できるようにす
る。 【構成】 アクリル系ゴムをグラフト重合したグラフト
PVCコポリマー単独で、又は該グラフトPVCコポリ
マーにPVCとを合わせて100重量部となし、これに
可塑剤、安定剤、充填剤、アクリル系加工助剤を配合し
て構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電線ケーブルの絶縁
体、シース等に使用されるPVC系樹脂組成物に係り、
特に自動車用低圧電線の絶縁体として薄肉に被覆するに
適した自動車電線用樹脂組成物及びこの自動車電線用樹
脂組成物を自動車用電線の絶縁体として薄肉に被覆して
なる自動車用薄肉低圧電線に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成樹脂を用いて被覆する絶縁電
線が多くなってきている。このような絶縁材の使用目的
は、構造材としての目的を兼ねている場合も多いが、導
体から電気的に絶縁する点に主眼が置かれている。しか
し、電気的絶縁性が優れていても耐熱性が悪かったり、
加工がしにくかったり、価格が高くなってしまったり、
施工の作業性が悪くなってしまっては絶縁材としての使
用に耐えなくなってしまう。このため、絶縁材料として
は、電気的特性が良好であることはもちろんのこと、こ
の電気的特性が良好であることに加えて耐熱性、加工の
し易さ、価格、施工のし易さなどが選択の重要な基準と
なっている。自動車用電線の絶縁体には、このような電
線、ケーブル等の絶縁に使用される合成樹脂には、主と
して塩化ビニル系樹脂が用いられている。そして、絶縁
体を構成する塩化ビニル樹脂組成物は、従来、ポリ塩化
ビニルに、可塑剤、安定剤、充填剤を混合して構成され
ている。このような塩化ビニル系樹脂を用いた自動車用
電線は、導体の上に塩化ビニル系樹脂の絶縁体を被覆し
て構成されている。そして、このような塩化ビニル系樹
脂を導体の上に被覆する場合は、可塑剤、安定剤、充填
剤を配合してゲル化したポリ塩化ビニルを押出機を用い
て押し出して行っている。
【0003】ところで、近年、自動車の制御機器は、A
T(オート・トランスミッション)車の普及に伴ってキ
ャブレタから電子燃料噴射装置への転換が図られ、各種
計器類等車載装置の電子化が図られている。このような
車載装置の電子化等に伴い、自動車内における電気、電
子配線回路の数が著しく増加し、自動車内における占積
空間が増加し、自動車用電線による自動車総重量の増加
を招いている。このような絶縁電線重量の増加は、自動
車の燃費の低下を招来するという結果を招いている。燃
費の向上の点から軽量であることが望ましく、絶縁電線
の使用量の増加は、絶縁電線重量の軽量化という点に逆
行することとなる。ところが、マイクロコンピュータを
搭載して自動車を安全に快適に走行させるためには、自
動車用電線の使用量が増加することを避けることができ
ない。そこで、近年、自動車用電線の軽量化が研究され
ている。
【0004】絶縁電線の使用重量を小さくすることは、
絶縁電線の導体径を小さくすることによって実現が可能
であるが、導体外径を小さくすると機械的強度が低下し
てしまい、導体の接合部がはずれたり、断線を生じたり
するという問題がある。そこで、絶縁電線の導体に被覆
される絶縁体の重量を軽減して自動車に使用される電線
の総重量を小さくすることが試みられている。絶縁体の
重量を軽減するには、絶縁体の厚さを薄くすることによ
って可能であり、従来、2つの方法が試みられている。
第1に、従来の絶縁体に用いられていたポリ塩化ビニル
を主体とする樹脂組成物に代えて別な樹脂組成物を用い
る方法である。例えば、特開平2−284306号公報
に示される如く、従来のポリ塩化ビニルを主体とする樹
脂組成物に代えてポリエーテルイミドを主体とする樹脂
組成物を用いるもの、あるいは特開平2−273411
号公報に示される如く、従来のポリ塩化ビニルを主体と
する樹脂組成物に代えてポリサルホンを主体とする樹脂
組成物を用いるものがある。第2に、従来の絶縁体に用
いられていたポリ塩化ビニルを導体の上に薄く被覆し、
薄く被覆することによって機械的強度が低下した分をカ
バーするため、絶縁体を機械的強度を高くした樹脂をポ
リ塩化ビニル樹脂絶縁体の上に被覆して二重にする方法
である。例えば、実開平4−31210号公報に示され
る如く、絶縁体を内層と外層の2層構造とし、外層の絶
縁体にシリコンカプラー入りポリ塩化ビニルを用いるも
のである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
第1のポリ塩化ビニルを主体とする樹脂組成物に代えて
別な樹脂組成物を用いる方法にあっては、価格が高く生
産コストのアップを招来し、例えば、ポリエーテルイミ
ドを主体とする樹脂組成物、ポリサルホンを主体とする
樹脂組成物の場合、いずれも溶融特性が悪く、従来のポ
リ塩化ビニルを主体とする樹脂組成物よりもかなり高温
で押し出し被覆しなければならず、押し出し加工が難し
く実用性に乏しいという問題点を有している。また、従
来の第2の絶縁体を内層と外層の2層構造とし、外層の
絶縁体にシリコンカプラー入りポリ塩化ビニルを用いる
方法にあっては、内層と外層の2層同時押し出しを行わ
なければならず、従来の押出し機を変更しなければなら
ないという問題点を有している。さらに従来の第2の方
法にあっては、シリコンカプラーをポリ塩化ビニルに混
入しているため、外層の表面が平滑に形成することがで
きず、また、シリコンカプラーをポリ塩化ビニルに混入
しているため、かなり高温で押し出し被覆しなければな
らないといった、押し出し加工が難しく実用性に問題が
あるという問題点を有している。
【0006】本願請求項1、2記載の発明の目的は、導
体の上に薄肉に押し出しても従来の諸特性を損なうこと
なく、安価に絶縁体を形成できるようにすることにあ
る。本願請求項3、4記載の発明の目的は、絶縁体を導
体の上に薄肉に押出して絶縁体表面を平滑に容易に形成
でき、適度な硬度、耐摩耗性、耐低温性、耐候性を備え
られるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
アクリル系ゴムをグラフト重合したグラフトPVCコポ
リマー単独で、又は該グラフトPVCコポリマーにPV
Cとを合わせて100重量部となし、これに可塑剤、安
定剤、充填剤、アクリル系加工助剤を配合して構成した
ものである。請求項2記載の発明は、アクリル系ゴムを
グラフト重合したグラフトPVCコポリマー100〜2
0重量部、PVC0〜80重量部の範囲で、グラフトP
VCコポリマーとPVCを合わせて100重量部に対
し、可塑剤を5〜25重量部、安定剤を4〜8重量部、
充填剤を0〜10重量部、アクリル系加工助剤を1〜5
重量部配合して構成したものである。
【0008】請求項3記載の発明は、導体上にアクリル
系ゴムをグラフト重合したグラフトPVCコポリマーを
添加したポリ塩化ビニル又はアクリル系ゴムをグラフト
重合したグラフトPVCコポリマーに、可塑剤、安定
剤、充填剤、アクリル系加工助剤を配合して構成した塩
化ビニル樹脂組成物を0.16mm〜0.10mmの厚さに
押出し被覆して構成したものである。請求項4記載の発
明は、アクリル系ゴムをグラフト重合したグラフトPV
Cコポリマー100〜20重量部、PVC0〜80重量
部の範囲で、グラフトPVCコポリマーとPVCを合わ
せて100重量部に対し、可塑剤を5〜25重量部、安
定剤を4〜8重量部、充填剤を0〜10重量部、アクリ
ル系加工助剤を1〜5重量部配合して構成した塩化ビニ
ル樹脂組成物を0.16mm〜0.10mmの厚さに押出し
被覆して構成したものである。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明によると、アクリル系ゴム
をグラフト重合したグラフトPVCコポリマー単独で、
又は該グラフトPVCコポリマーにPVCとを合わせて
100重量部となし、これに可塑剤、安定剤、充填剤、
アクリル系加工助剤を配合して構成する塩化ビニル樹脂
組成物によって構成してあるため、導体の上に薄肉に押
し出し被覆しても絶縁体として有する従来の諸特性を損
なうことなく、安価に形成することができる。請求項2
記載の発明によると、アクリル系ゴムをグラフト重合し
たグラフトPVCコポリマー100〜20重量部、PV
C0〜80重量部の範囲で、グラフトPVCコポリマー
とPVCを合わせて100重量部に対し、可塑剤を5〜
25重量部、安定剤を4〜8重量部、充填剤を0〜10
重量部、アクリル系加工助剤を1〜5重量部配合して構
成してあるため、導体の上に薄肉に押し出し被覆しても
絶縁体として有する従来の諸特性を損なうことなく、安
価に形成することができる。ここで、ポリ塩化ビニル
(PVC)は、平均重合度が1300のものを用いるが
適している。グラフトPVCコポリマーは、塩化ビニル
樹脂コポリマーを精製する際にアクリル系ゴムを同時に
グラフト重合したものである。アクリル系ゴムをグラフ
ト重合したグラフトPVCコポリマー100〜20重量
部、PVC0〜80重量部の範囲で、グラフトPVCコ
ポリマーとPVCを合わせて100重量部としたのは、
PVC樹脂100重量部が基本となっているからであ
る。また、グラフトPVCコポリマー100〜20重量
部としたのは、グラフトPVCコポリマーが20重量部
を下回ると、耐摩耗性が悪くなるからである。
【0010】可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑
剤、トリメリット酸エステル系可塑剤を用い、必要な耐
熱性から任意に選択する。可塑剤が5〜25重量部とし
たのは、可塑剤が5重量部を下回ると、加工性特に加工
温度を必要以上に高くしなければならず、また耐低温性
が悪くなり、可塑剤を25重量部を超えて配合すると耐
摩耗性が低下してしまうからである。
【0011】安定剤としては、従来より用いられている
安定剤のSn系安定剤、Ba系安定剤、Zn系安定剤、
Ca系安定剤、Pb系安定剤がある。安定剤が4〜8重
量部というのは、ポリ塩化ビニル系発泡体における安定
剤の一般的な配合量である。充填剤としては、CaCO
3 、SiO2 があり、充填剤が0〜10重量部というの
は、一般的な配合量で、充填剤を多くすると硬度が高く
なる。
【0012】PVC樹脂は、耐摩耗性を向上するために
可塑剤の配合量を少なくすると加工性が低下してしま
う。そこで、この可塑剤の配合量を減少させたことによ
る加工性の低下を補充するためにアクリル系加工助剤
は、配合される。このようにアクリル系加工助剤は、加
工性を良くするために配合するもので、MMA(メタク
リル酸メチル)がある。アクリル系加工助剤を1〜5重
量部としたのは、アクリル系加工助剤が1重量部を下回
っては、加工性を向上する作用がなく、アクリル系加工
助剤を5重量部配合すれば加工性を向上するに十分であ
るからである。
【0013】請求項3記載の発明によると、導体上にア
クリル系ゴムをグラフト重合したグラフトPVCコポリ
マーを添加したポリ塩化ビニル又はアクリル系ゴムをグ
ラフト重合したグラフトPVCコポリマーに、可塑剤、
安定剤、充填剤、アクリル系加工助剤を配合して構成し
た塩化ビニル樹脂組成物を0.16mm〜0.10mmの厚
さに押出し被覆して構成してあるため、絶縁体を導体の
上に薄肉に押出して絶縁体表面を平滑に容易に形成で
き、適度な硬度、耐摩耗性、耐低温性、耐候性を備える
ことができる。
【0014】請求項4記載の発明によると、アクリル系
ゴムをグラフト重合したグラフトPVCコポリマー10
0〜20重量部、PVC0〜80重量部の範囲で、グラ
フトPVCコポリマーとPVCを合わせて100重量部
に対し、可塑剤を5〜25重量部、安定剤を4〜8重量
部、充填剤を0〜10重量部、アクリル系加工助剤を1
〜5重量部配合して構成した塩化ビニル樹脂組成物を
0.16mm〜0.10mmの厚さに押出し被覆して構成し
てあるため、絶縁体を導体の上に薄肉に押出して絶縁体
表面を平滑に容易に形成でき、適度な硬度、耐摩耗性、
耐低温性、耐候性を備えることができる。
【0015】ここで、ポリ塩化ビニル(PVC)は、平
均重合度が1300のものを用い、グラフトPVCコポ
リマーは、塩化ビニル樹脂コポリマーを精製する際にア
クリル系ゴムを同時にグラフト重合したものである。グ
ラフトPVCコポリマーが100〜20重量部としてあ
るのは前述と同一の理由による。また、可塑剤、安定
剤、充填剤、アクリル系加工助剤も前述したものと同一
である。
【0016】
【実施例】以下、請求項1記載の発明及び請求項2記載
の発明の実施例について表1、表2、表3、表4を用い
て従来例と比較して説明する。
【0017】実施例1 本実施例は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
1300)80重量部、グラフト塩化ビニルコポリマー
(具体的には、三井東圧化学株式会社製 グラフトH
R)20重量部に対して、可塑剤(具体的には、TOT
M)25重量部、安定剤(具体的には、Pb系安定剤)
4重量部、アクリル系加工助剤(具体的には、メタクリ
ル酸メチル)1重量部配合したものである。 実施例2 本実施例は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部配合し、アクリル系加工助剤の配合量を3重量部にし
たもので、他は実施例1と同一である。
【0018】実施例3 本実施例は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
1300)60重量部、グラフト塩化ビニルコポリマー
(具体的には、三井東圧化学株式会社製 グラフトH
R)40重量部に対して、可塑剤(具体的には、TOT
M)20重量部、安定剤(具体的には、Pb系安定剤)
4重量部、アクリル系加工助剤(具体的には、メタクリ
ル酸メチル)1重量部配合したものである。 実施例4 本実施例は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部配合し、アクリル系加工助剤の配合量を3重量部にし
たもので、他は実施例3と同一である。
【0019】実施例5 本実施例は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
1300)40重量部、グラフト塩化ビニルコポリマー
(具体的には、三井東圧化学株式会社製 グラフトH
R)60重量部に対して、可塑剤(具体的には、TOT
M)15重量部、安定剤(具体的には、Pb系安定剤)
4重量部、アクリル系加工助剤(具体的には、メタクリ
ル酸メチル)1重量部配合したものである。 実施例6 本実施例は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部配合し、アクリル系加工助剤の配合量を3重量部にし
たもので、他は実施例5と同一である。
【0020】実施例7 本実施例は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
1300)20重量部、グラフト塩化ビニルコポリマー
(具体的には、三井東圧化学株式会社製 グラフトH
R)80重量部に対して、可塑剤(具体的には、TOT
M)10重量部、安定剤(具体的には、Pb系安定剤)
4重量部、アクリル系加工助剤(具体的には、メタクリ
ル酸メチル)1重量部配合したものである。 実施例8 本実施例は、充填剤(具体的には、シリカ)を5重量部
配合し、アクリル系加工助剤の配合量を5重量部にした
もので、他は実施例7と同一である。
【0021】実施例9 本実施例は、グラフト塩化ビニルコポリマー(具体的に
は、三井東圧化学株式会社製 グラフトHR)100重
量部に対して、可塑剤(具体的には、TOTM)5重量
部、安定剤(具体的には、Pb系安定剤)4重量部、ア
クリル系加工助剤(具体的には、メタクリル酸メチル)
1重量部配合したものである。 実施例10 本実施例は、充填剤(具体的には、シリカ)を5重量部
配合し、アクリル系加工助剤の配合量を5重量部にした
もので、他は実施例9と同一である。
【0022】これら実施例1〜実施例5が表1に、実施
例6〜実施例10が表2に示されている。 表 1 表 2 この表1、2は、各実施例の組成成分と特性を示す表で
ある。
【0023】なお、この表1、2における組成成分にお
いて、安定剤の配合量は、4重量部のものを示してある
が、本願発明者は、表にして示さないが、安定剤の配合
量を8重量部にして他の条件を実施例1〜10と同様に
して実験を行ったところ表1、2に示される特性と変化
ない特性が得られた。これは安定剤の配合量が4〜8重
量部の範囲内において同様の特性を示すことを意味して
いる。本願請求項2及び請求項4において安定剤の配合
量を4〜8重量部とした所以である。
【0024】従来例1 従来例1は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
1300)100重量部に対して、可塑剤(具体的に
は、TOTM)30重量部、安定剤(具体的には、Pb
系安定剤)4重量部、アクリル系加工助剤(具体的に
は、メタクリル酸メチル)1重量部配合したものであ
る。 従来例2 従来例2は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部配合し、アクリル系加工助剤の配合量を3重量部にし
たもので、他は従来例1と同一である。
【0025】従来例3 従来例3は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
2500)100重量部に対して、可塑剤(具体的に
は、TOTM)25重量部、安定剤(具体的には、Pb
系安定剤)4重量部、アクリル系加工助剤(具体的に
は、メタクリル酸メチル)1重量部配合したものであ
る。 従来例4 従来例4は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部配合し、アクリル系加工助剤の配合量を3重量部にし
たもので、他は従来例3と同一である。
【0026】従来例5 従来例5は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
2500)100重量部に対して、可塑剤(具体的に
は、TOTM)25重量部、安定剤(具体的には、Pb
系安定剤)4重量部、アクリル系強化剤(具体的には、
MBS)10重量部、アクリル系加工助剤(具体的に
は、メタクリル酸メチル)1重量部配合したものであ
る。 従来例6 従来例6は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部、アクリル系加工助剤(具体的には、メタクリル酸メ
チル)3重量部配合したもので、他は従来例5と同一で
ある。
【0027】従来例7 従来例7は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
2500)100重量部に対して、可塑剤(具体的に
は、TOTM)20重量部、安定剤(具体的には、Pb
系安定剤)4重量部、アクリル系強化剤(具体的には、
MBS)10重量部、アクリル系加工助剤(具体的に
は、メタクリル酸メチル)1重量部配合したものであ
る。 従来例8 従来例8は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重量
部、アクリル系加工助剤(具体的には、メタクリル酸メ
チル)1重量部配合したもので、他は従来例7と同一で
ある。
【0028】従来例9 従来例9は、ポリ塩化ビニル(具体的には、平均重合度
2500)100重量部に対して、可塑剤(具体的に
は、TOTM)20重量部、安定剤(具体的には、Pb
系安定剤)4重量部、アクリル系強化剤(具体的には、
MBS)20重量部、アクリル系加工助剤(具体的に
は、メタクリル酸メチル)1重量部配合したものであ
る。 従来例10 従来例10は、充填剤(具体的には、シリカ)を10重
量部配合し、アクリル系加工助剤(具体的には、メタク
リル酸メチル)3重量部にしたもので、他は従来例9と
同一である。
【0029】これら従来例1〜従来例5が表3に、従来
例6〜従来例10が表4に示されている。 表 3 表 4 この表3、4は、従来例の組成成分と特性を示す表であ
る。
【0030】表1、2と表3、4との比較から、従来例
は、従来例3〜従来例10が平均重合度2500のPV
Cを用いているが、これは、平均重合度2500のPV
Cとアクリル系強化剤を用いないと耐摩耗性と耐低温性
が不足してしまうからである。このアクリル系強化剤を
配合すると耐候性が劣化してしまう。これに対し、実施
例は、ポリ塩化ビニルにグラフト塩化ビニルコポリマー
を配合した樹脂を用いているため、ポリ塩化ビニルは平
均重合度が1300のものを用いても所定の特性を得る
ことができる。このため、アクリル系強化剤を配合する
必要がなく、耐候性が劣化する心配がない。
【0031】請求項3記載の発明及び請求項4記載の発
明は、表1〜表4に示される各組成成分からなる塩化ビ
ニル樹脂を絶縁体として被覆したものである。実施例1
〜10と従来例1〜10のいずれも断面積0.5mm2
導体に各組成成分の塩化ビル樹脂組成物を絶縁体として
被覆した。絶縁体の厚さは、実施例1〜4が0.16m
m、実施例5、6が0.14mm、実施例7、8が0.1
2mm、実施例9、10が0.10mmとなっている。これ
に対し、従来例1、2が0.20mm、従来例3〜6が
0.18mm、従来例7〜10が0.16mmとなってい
る。
【0032】これらについて硬度、耐摩耗性、耐低温
性、耐候性についての特性を調べてある。硬度は、ショ
アーD型の硬度計を用いて求めたもので、数値が大きい
ほど硬いことを示している。耐摩耗性は、導体に被覆さ
れた絶縁体の摩耗の度合いを示すスクレープ耐摩耗試験
(JASO D−611に準じた試験)の結果である。
スクレープ耐摩耗試験は、導体断面積0.5mm2 の導体
に絶縁体を各実施例、各従来例に示す厚さに被覆して作
製した電線を適宜長さ(例えば、100mm)にとり、こ
の電線にφ0.45mmのピアノ線をかけ、このピアノ線
に7Nの荷重を掛けて10mmストローク、毎分60回の
速さで絶縁体が摩耗し導体が露出する(ピアノ線と導体
とが接触する)まで往復させて、その回数を求める。耐
摩耗性は、790以上あれば合格としている。
【0033】耐低温性は、所定低温時において絶縁体に
クラックが生じたり、ピンホールが発生したりするか否
かについての特性である。耐低温性の試験は、(−)4
0℃で3Hr冷却した後、直ちに屈曲し導体と絶縁体間に
1000Vの電圧を1min 印加し、絶縁破壊に耐えられ
るかによって判定する。絶縁破壊に耐えられたものを
『○』、絶縁破壊に耐えられなかったものを『×』とし
た。耐候性は、屋外で長時間晒し、日照、風雪、降雨な
どの諸条件に対する諸物性の耐久性のことで、サンシャ
インウェザオメータを用い、65℃の環境下で1サイク
ル60min (内12min で水スプレーを与える)で行
う。このサイクルを繰り返し、200Hr、500Hr、1
000Hr、行った後に耐低温性の試験を行い、絶縁に絶
えられたものを『○』、絶縁に絶えられなかったものを
『×』とした。
【0034】表1、表2の実施例と表3、表4の従来例
を硬度、耐摩耗性、耐低温性、耐候性について比較す
る。まず、絶縁体としての厚さは、実施例は、実施例1
〜実施例10において0.16mm〜0.10mmと従来の
絶縁体の厚さよりも薄く成形されている。これに対し、
従来例は、従来例1〜従来例6が0.20mm〜0.18
mmと従来の厚さと変わらないものとなっている。このよ
うに従来の絶縁体の厚さ以上の厚さになったのは、従来
例1〜従来例6の組成成分では、これ以上薄く成形する
と絶縁体として有していなければならない諸特性を確保
できないからである。したがって、本来、実施例と対比
できるのは、従来例7〜従来例10の絶縁体の厚さ0.
16mmのものということになる。まず、耐摩耗性におい
て実施例は、実施例1、2が798、実施例3、4が9
01、実施例5、6が1023、実施例7、8が96
6、実施例9、10が898と790以上を示しており
合格している。これに対し、従来例は、従来例1、2が
851、従来例3、4が873、従来例5、6が79
5、従来例7、8が916、従来例9、10が722
と、従来例9、10が790を下回り問題がある。さら
に、耐低温性は、実施例においては、実施例1〜実施例
10の全て『○』で良好を示している。これに対し、従
来例は、従来例1〜6、従来例9、10は『○』で良好
を示しているが、従来例7、8は『×』と不良となって
いる。
【0035】またさらに、耐候性は、実施例において
は、200Hr後、500Hr後、1000Hr後のいずれに
ついても実施例1〜実施例10の全てが『○』で良好を
示している。これに対し、従来例は、従来例1〜4につ
いては、200Hr後、500Hr後、1000Hr後のいず
れについても『○』で良好を示している。しかし、従来
例5、6、9、10は200Hr後では『○』で良好を示
しているが、500Hr後、1000Hr後のいずれについ
ても『×』で不良となっている。また、従来例7、8は
200Hr後、500Hr後、1000Hr後のいずれについ
ても『×』で不良となっている。
【0036】以上総合すると、実施例1〜実施例10
は、絶縁体の厚さを0.16mm〜0.10mmと薄く成形
しても、従来の絶縁体(厚さ0.18mm〜0.20mm)
と同様の特性を保つことができる。これに対し、従来例
1〜従来例6は、絶縁体の厚さの点で本発明の目的を逸
脱しており、対象外となっている。また、従来例7〜従
来例10は、絶縁体の厚さの点では、0.16mmといず
れも問題はないが、従来例7、8は、耐候性が所望の特
性を得られず、従来例9、10も、500Hr後、100
0Hr後の耐候性が所望の特性を得られず実施例に及ばな
い。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、導体の上
に薄肉に押し出しても従来の諸特性を損なうことなく、
安価に絶縁体を形成できる。請求項2記載の発明によれ
ば、導体の上に薄肉に押し出しても従来の諸特性を損な
うことなく、安価に絶縁体を形成できる。請求項3記載
の発明によれば、絶縁体を導体の上に薄肉に押出して絶
縁体表面を平滑に容易に形成でき、適度な耐摩耗性、耐
低温性、耐候性を備えさせることができる。
【0038】請求項4記載の発明によれば、絶縁体を導
体の上に薄肉に押出して絶縁体表面を平滑に容易に形成
でき、適度な耐摩耗性、耐低温性、耐候性を備えさせる
ことができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年10月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】安定剤としては、従来より用いられている
安定剤のSn系安定剤、Ba系安定剤、Zn系安定剤、
Ca系安定剤、Pb系安定剤がある。安定剤が4〜8重
量部というのは、塩化ビニル樹脂組成物における安定剤
の一般的な配合量である。充填剤としては、CaC
3 、SiO2 があり、充填剤が0〜10重量部という
のは、一般的な配合量で、充填剤を多くすると硬度が高
くなる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系ゴムをグラフト重合したグラ
    フトPVCコポリマー単独で、又は該グラフトPVCコ
    ポリマーにPVCとを合わせて100重量部となし、こ
    れに可塑剤、安定剤、充填剤、アクリル系加工助剤を添
    加して構成してなる自動車電線用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アクリル系ゴムをグラフト重合したグラ
    フトPVCコポリマー100〜20重量部、PVC0〜
    80重量部の範囲で、グラフトPVCコポリマーとPV
    Cを合わせて100重量部に対し、可塑剤を5〜25重
    量部、安定剤を4〜8重量部、充填剤を0〜10重量
    部、アクリル系加工助剤を1〜5重量部配合して構成し
    てなる自動車電線用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 導体上にアクリル系ゴムをグラフト重合
    したグラフトPVCコポリマーを添加したポリ塩化ビニ
    ル又はアクリル系ゴムをグラフト重合したグラフトPV
    Cコポリマーに、可塑剤、安定剤、充填剤、アクリル系
    加工助剤を添加して構成した塩化ビニル樹脂組成物を
    0.16mm〜0.10mmの厚さに押出し被覆してなる自
    動車用薄肉低圧電線。
  4. 【請求項4】 アクリル系ゴムをグラフト重合したグラ
    フトPVCコポリマー100〜20重量部、PVC0〜
    80重量部の範囲で、グラフトPVCコポリマーとPV
    Cを合わせて100重量部に対し、可塑剤を5〜25重
    量部、安定剤を4〜8重量部、充填剤を0〜10重量
    部、アクリル系加工助剤を1〜5重量部配合して構成し
    た塩化ビニル樹脂組成物を0.16mm〜0.10mmの厚
    さに押出し被覆してなる自動車用薄肉低圧電線。
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