JP3265760B2 - 難燃絶縁電線の製造方法 - Google Patents

難燃絶縁電線の製造方法

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JP3265760B2
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peroxide
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康彰 山本
正美 反町
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Hitachi Cable Ltd
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Hitachi Cable Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃性および耐摩耗性
に優れた難燃絶縁電線の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、乗用車を中心に自動車の高性能、
高機能化に伴い、電気、電子回路も増えることによりワ
イヤーハーネスも肥大化する傾向にある。
【0003】このようにワイヤーハーネスが肥大化する
と、配線スペースの増大、重量およびコストの増加など
の弊害を生じる。そのため、肥大化に対する対策が要望
されるようになり、この一環としてワイヤーハーネス電
線の細径、薄肉化が検討され、実際ポリ塩化ビニル絶縁
電線では芯線径および絶縁厚の低減による細径、薄肉化
が図られるようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、地球
環境の保全が世界的課題として注目を浴びるようにな
り、自動車に代表される広範囲の分野で資源や加工品の
リサイクル化、産業廃棄物処理が地球レベルで重大視さ
れるようになってきた。このため、自動車用ワイヤハー
ネス電線に使用するポリ塩化ビニルに対しても、燃焼
時、腐食性の高いハロゲン系ガスが発生するため地球環
境汚染源の一つとして問題視されるようになってきた。
このような社会的動向から、腐食性ガスの発生が少ない
ノンハロゲン難燃材料が注目されている。
【0005】このノンハロゲン難燃材料としては、電気
絶縁性に優れたポリオレフィンに金属水酸化物を混和し
て難燃性を付与する組成物が研究されている。しかし、
このポリオレフィンに金属水酸化物を混和するノンハロ
ゲン難燃材料では従来のポリ塩化ビニルに比べ強靭性が
劣り、特に耐摩耗性が悪かった。
【0006】そこで、本発明の目的は、前記した課題を
解消し、燃焼時に腐食性の高いハロゲン系ガスを発生せ
ず、かつ難燃性および耐摩耗性に優れた難燃絶縁電線の
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の難燃絶縁電線の製造方法は、ポリオレフィ
ンとカルボン酸変性ポリオレフィンのブレンドポリマ
00重量部に対して金属水酸化物30〜100重量部お
よびパーオキサイド0.1〜0.6重量部含有する組成
物を、前記パーオキサイドの分解温度以上で混練し、
れを導体外周に押出成形するものである。また、前記ポ
リオレフィンと前記カルボン酸変性ポリオレフィンのブ
レンド比が重量比で95/5〜60/40であることが
好ましい。
【0008】
【作用】ポリオレフィンに金属水酸化物を添加するだけ
では耐摩耗性が悪いが、カルボン酸変性ポリオレフィン
が存在するポリマに金属水酸化物を添加することによ
り、カルボン酸変性ポリオレフィンのカルボン酸と金属
水酸化物の水酸基とが反応し、この反応により耐摩耗性
が改良される。その上パーオキサイドによるミクロゲル
が形成されて、さらに耐摩耗性が向上する。従って、ポ
リオレフィンとカルボン酸変性ポリオレフィンのブレン
ドポリマに金属水酸化物およびパーオキサイドを添加す
ることにより耐摩耗性を大幅に向上させることができ、
これにより、難燃性および耐摩耗性に優れた難燃絶縁電
線を製造することが可能となる。また、この難燃絶縁電
線は燃焼時に腐食性、毒性の高いハロゲン系ガスを発生
しないため、地球環境保全にも有効である。
【0009】本発明で用いるポリオレフィンとしては、
低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリ
エチレン,超低密度ポリエチレン,エチレンエチルアク
リレートコポリマ,エチレン酢酸ビニルコポリマ等とい
ったポリマがあげられ、これらを2種以上併用してもよ
い。このポリオレフィンに添加するカルボン酸変性ポリ
オレフィンとは、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチ
レン,高密度ポリエチレン,ポリエチレン,エチレンエ
チルアクリレートコポリマ,エチレン酢酸ビニルコポリ
マに代表されるポリオレフィンにカルボン酸をグラフト
または共重合したものであり、カルボン酸としては無水
マレイン酸が代表的である。
【0010】ポリオレフィンとカルボン酸変性ポリオレ
フィンの比率は95/5 〜60/40の重量比であることが好
ましく、限定値未満では目的とする耐摩耗性への効果が
期待できず、また限定値を越えると金属への粘着が著し
く、混練性や押出加工性が大幅に低下する。
【0011】金属水酸化物としては、水酸化アルミニウ
ム,水酸化マグネシウム,ハイドロタルサイト,塩基性
硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等があげられ、こ
れらを2種以上併用してもよい。また、金属水酸化物
は、シランカップリング剤,チタネートカップリング
剤,脂肪酸,脂肪酸金属塩等の表面処理剤で表面処理し
たものを用いるのが好ましい。
【0012】金属水酸化物の添加量は、ブレンドポリマ
100重量部に対して30〜100重量部であり、限定
値未満では目的とする難燃性を付与できず、また限定値
を越えると耐摩耗性が著しく低下する。
【0013】パーオキサイドとしては、ジクミルパーオ
キサイド、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5(第三ブ
チルペルオキシ)ヘキシン−3等があげられ、これらを
2種以上併用してもよい。
【0014】パーオキサイドの添加量は、ブレンドポリ
マ100重量部に対して0.1〜0.6重量部であり
限定値未満では目的とする耐摩耗性への効果は見られ
ず、また限定値を越えるとポリマのゲル化が進み過ぎ押
出加工性が著しく低下する。
【0015】組成物を混練するには押出機や混練機等を
用いて行い、その混練はパーオキサイドの分解温度以上
で行うことが好ましく、限定値未満では目的とする耐摩
耗性への効果は見られない。
【0016】尚、本発明では前記成分の他に、架橋剤,
安定剤,難燃助剤,滑剤,着色剤等を適宜添加してもよ
い。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0018】先ず、表1の実施例1〜4および比較例1
〜5の各欄に示す配合成分に従って各種成分を 180℃に
設定した30mm2軸押出機で混練して組成物を形成し、
その後、これら組成物を 220℃に設定した40mm押出機
を用いて芯線外径 1.8φの銅導体上に0.20mmの厚さで
押出被覆して、各種絶縁電線を作製した。
【0019】次に、このようにして作製した各種電線
(試料)について以下に示す評価(押出外観、耐摩耗性
および難燃性)を行い、その結果を表1の下欄に示す。
【0020】(1)押出外観 目視観察により押出表面が平滑なものを良、凹凸の著し
いものを悪とした。
【0021】(2)耐摩耗性 JIS C 3406に準拠し、図1に示すように各種
試料について荷重1350gで導体露出までの摩耗テープの
長さを求めた。尚、図1中の単位はmmである。1試料
につき8点測定を行い、その平均値を求め、平均値以下
の測定値を再平均した値を示した。
【0022】(3)難燃性 日本自動車規格(JASO)D608−87に準拠し、
試料 300mmを水平に支持し、これにブンゼンバーナの
還元炎を10秒間当てた後の残炎時間を測定し、残炎時間
が30秒以内を合格、30秒を越えるものを不合格と判定し
た。
【0023】
【表1】
【0024】表1からも明らかなように、本発明にかか
る実施例1〜4の試料では、いずれも押出外観が良好
で、耐摩耗性はJIS C 3406の規格値30.5cm
以上を満足し、かつ難燃性試験にも合格する。これに対
して、カルボン酸変性ポリオレフィンを含まない比較例
1は耐摩耗性が低く規格値を満足しない。金属水酸化物
の添加量が限定値未満の比較例2は難燃性が不十分であ
る。金属水酸化物の添加量が限定値を越える比較例3お
よびパーオキサイドの添加量が限定値未満の比較例4は
いずれも耐摩耗性が低く、また、パーオキサイドの添加
量が限定値を越える比較例5は押出外観が悪く、それに
伴い耐摩耗性も著しく低下する。
【0025】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、燃焼時に
腐食性、毒性の高いハロゲン系ガスを発生せず、かつ難
燃性および耐摩耗性に優れた難燃絶縁電線を製造できる
という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐摩耗試験の一例を示す図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 13/00 - 13/20 H01B 3/16 - 3/56 H01B 7/30 - 7/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンとカルボン酸変性ポリオ
    レフィンのブレンドポリマ100重量部に対して金属水
    酸化物30〜100重量部およびパーオキサイド0.1
    〜0.6重量部含有する組成物を、前記パーオキサイド
    の分解温度以上で混練し、これを導体外周に押出成形す
    ることを特徴とする難燃絶縁電線の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリオレフィンと前記カルボン酸変
    性ポリオレフィンのブレンド比が重量比で95/5〜6
    0/40である請求項1記載の難燃絶縁電線の製造方
    法。
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