JPH0873367A - 米からのアトピー性皮膚炎予防治療剤 - Google Patents

米からのアトピー性皮膚炎予防治療剤

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JPH0873367A
JPH0873367A JP6238642A JP23864294A JPH0873367A JP H0873367 A JPH0873367 A JP H0873367A JP 6238642 A JP6238642 A JP 6238642A JP 23864294 A JP23864294 A JP 23864294A JP H0873367 A JPH0873367 A JP H0873367A
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JP
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rice
product
present
atopic dermatitis
extraction
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JP6238642A
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English (en)
Inventor
Takashi Tokuyama
孝 徳山
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Soken Co Ltd
Original Assignee
Soken Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全であって加工が容易で、長期に亘って常
用しても心配がなく、しかも、全てのアトピー性皮膚炎
の予防治療に対して有効なアトピー性皮膚炎予防治療剤
を提供する。 【構成】 発芽させた米の粉砕物、米または発芽さ
せた米の抽出物、米または発芽させた米の加水物を酵
素分解または麹を作用させたもの、米または発芽させ
た米を抽出するに当たり、その抽出前、抽出と同時また
は抽出後に酵素分解または麹を作用させたもの、米ま
たは発芽させた米の抽出物あるいは酵素分解または麹を
作用させたものに、アルコール発酵あるいは有機酸発酵
を行なったもの、以上それぞれをそのまま、あるいはこ
れを含有してなるアトピー性皮膚炎予防治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、米または発芽させた米
を原料として得られるアトピー性皮膚炎の予防治療剤に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】アトピー性皮膚炎は最近急増してきた疾
患で、その治り難いことから社会問題にもなってきてい
る。その症状は著しいかゆみを伴う皮膚炎で、湿疹が自
然治癒の傾向を示しながら、再発を繰り返し、その症状
は年令と共に変化し、乳児期(2才まで)、幼児期(2
〜12才)、成人期に分けられる。乳児期には滲出傾向
の強い湿潤したびらんが特に頭部や顔面に出現するが、
幼児期には乾燥し、肘窩、ひざに苔癬化とよばれる乾い
て肥厚した局面を生じる。成人に移行したものは、より
重症となる。
【0003】その治療には、食事療法、免疫療法、薬剤
療法等が行われているが、アトピーの発生機序がはっき
りしていないので、治療も確立されていないのが実状で
ある。薬剤療法においては、かゆみを抑えるために局所
麻酔剤、炎症を抑えるためにステロイド外用剤があり、
効果を発揮しているが、副作用の問題があり、安全性の
面からも問題になっている。したがって、アトピー性皮
膚炎に対し有効で、しかも副作用がなく、安全なアトピ
ー性皮膚炎の予防治療剤は未だ開発されていないのが現
状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アトピーとはギリシャ
語で“奇妙な”“原因不明の”(病気)という意味があ
り、その原因については諸説があり、未だに定義付され
ていない。しかしながら、アトピー性皮膚炎の症状を大
別すると、乳児期によく見られるじくじく(炎症)型
と、成人するに伴ない現れてくるかさかさ肌のアトピー
性皮膚炎がある。ただし、いずれの場合も、激しい掻痒
感を伴うものであり、かくことにより皮膚を傷つけるた
め、より悪化もすることが多い。したがって、アトピー
性皮膚炎を予防、治療するには、じくじく肌の炎症を抑
え、かさかさ肌の改善を行い、その上でかゆみを抑える
ことが非常に重要である。
【0005】また、長期に亘って使用しても副作用が全
くなく、十分安全にアトピー性皮膚炎を予防、治療する
ことが現在要求されている。本発明は、安全であって加
工が容易で、長期に亘って常用しても全く心配がなく、
しかも、上記に示すような全てのアトピー性皮膚炎の予
防治療に対して有効なアトピー性皮膚炎予防治療剤を開
発することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、動植物合
和すの観点から、主食である米を中心に種々の植物成分
の研究を進めてきた。その過程で、米には今まで予測で
きなかった数多くの可能性および効果があることが判明
してきた。そこで、主食として用いられ、安全性が高い
ことが実証されている米をテーマとしてとり上げ、米の
総合利用研究を行ってきた。そのうちの一つのテーマと
して、米からのアトピー性皮膚炎予防治療剤について鋭
意研究を重ねてきたのであるが、その過程で、米および
発芽させた米にはかゆみを抑え、かつ皮膚に滑らかさお
よび潤いを与え、アトピー炎症を抑える効果を有する成
分を含有することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】本発明において、米および発芽させた米に
含有されているアトピー性皮膚炎に対する効果を有する
成分は、未だ解明するに至っていないが、米および発芽
させた米を、下記のように処理したものを塗布したとこ
ろ、アトピー性皮膚炎に対する予防効果および治療効果
を示すことが判明した。 発芽させた米の粉砕物をそのまま、あるいはこれを
含有してなるもの。 米または発芽させた米の抽出物をそのまま、あるい
はこれを含有してなるもの。 米または発芽させた米の加水物を酵素分解または麹
を作用させたものをそのまま、あるいはこれを含有して
なるもの。 米または発芽させた米を抽出するに当り、その抽出
前、抽出と同時または抽出後に酵素分解または麹を作用
させたものをそのまま、あるいはこれを含有してなるも
の。 米または発芽させた米の抽出物あるいは酵素分解ま
たは麹を作用させたものに、アルコール発酵あるいは有
機酸発酵を行なったものをそのまま、あるいはこれを含
有してなるもの。
【0008】本発明で使用される米とは、ジャポニカ、
インディカ米を問わず、うるち米、および餅米等の玄米
および白米を指し、品種、種類は問わない。さらに、精
白時に出てくる92%以上の赤糠あるいは92%以下の
白糠を使用してもよく、安価で経済的である。また、発
芽させた米が使用される。なお、有効成分は、熱および
光に対して安定であるため、上記の原料は、浸漬、蒸
煮、焙煎(砂焙り、網焙り、熱風焙煎等全てを指す)、
蒸煮焙煎、凍結乾燥等の表面変性、UV照射等の光変
性、パットライス等の加圧焙煎、揚げる等の原料処理を
してもよく、また、効果も変わらなかった。
【0009】米および発芽させた米は、そのまま用いて
も有効であるが、実用上の面から粉砕して用いるのが好
ましい。米および発芽させた米を粉砕して粉体化するに
は、粉砕機または精米機を用い一般的な方法で行えばよ
い。米を発芽させる場合、胚芽のついた米を水に浸漬あ
るいは水を噴霧して発芽させる。発芽させる時の温度は
5〜70℃である。ただし、発芽さえすれば、温度およ
び時間は問わない。また、発芽中に水が腐敗する危険性
がある場合は、腐敗しないように水を取り替えるか、何
らかの防腐を行うのが好ましい。ここで、発芽とは、発
芽する直前から発芽したものまで全てを指す。この発芽
させた米をよく洗浄して用いる。この時、乾燥して用い
てもよい。
【0010】米または発芽させた米を抽出、あるいは酵
素分解または麹を作用させる場合、原料の米を粉砕して
顆粒あるいは粉体化すると、表面積が大きくなるため効
率がよくなる。粉砕しなくてもよいが、この場合には、
米組織の分解および抽出に長時間を要する。米または発
芽させた米を水抽出する場合、抽出温度は、高温が効率
的であるが、低温でも十分に抽出を行うことができる。
ただし、40℃以下の低温の場合は、PHを酸性あるい
はアルカリ性にするか、防腐剤あるいはアルコールを加
えて、米が腐敗しないように処理することが望ましい。
抽出時間は、有効成分さえ抽出できれば、長くても短く
てもよく、抽出温度により定めればよい。また、抽出
は、加圧下または常圧下で行っても、減圧下で行っても
よい。
【0011】また、米の浸漬水あるいは浸漬水の中です
りつぶした液を用いてもよい。すなわち、米の成分が出
てくる方法ならば何でもよい。水抽出の場合、最も問題
になるのは糊化現象である。糊状になれば、抽出効率が
悪くなるばかりでなく、実作業においては困難を極め
る。これを防ぐためには、アミラーゼを加えて反応させ
るか、塩酸などで酸性にして澱粉を切ってやればよく、
この方法を用いることにより、十分に解決でき、実用上
も全く問題はない。
【0012】抽出物中の有効成分は、酸、アルカリに安
定であるためか、酸分解抽出、あるいはアルカリ分解抽
出を行うのも有効である。この場合、必要により中和、
脱塩を行う。有機溶媒で抽出する場合も、米はなるべく
微粉砕または粉体化して抽出することが望ましい。有機
溶媒はアルコール、アセトン、n−ヘキサン、メタノー
ル等の一般的な有機溶媒でよいが、人体に対して有害な
ものは抽出後、溶媒を完全に除去する必要があるので安
全なものがよい。
【0013】米あるいは発芽させた米を酵素分解する場
合、まず、米あるいは発芽させた米に加水した後、酵素
を添加する。加水量は収率、作業性、最終使用目的など
に応じて適宜選定する。また、加水温度は酵素あるいは
麹の至適温度が効率的であるが、低温でも長時間おけば
酵素分解は充分に行われる。ただし、40℃以下の低温
の場合は、なんらかの防腐を行うことが必要である。ま
た、分解さえすれば温度は高温でもよい。分解時間は温
度等に左右されるが、分解さえ行われれば短くても長く
てもよい。
【0014】ここで使用する酵素は、澱粉分解酵素、蛋
白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、リグニン分
解酵素およびペクチン分解酵素のうち1種または2種以
上である。また、麹を使用する場合においては、加水
量、作用温度、作用時間は、酵素分解の場合と同様であ
る。使用する麹は、一般に使用される麹でよく、麹菌の
種類および品種は問わない。
【0015】さらに、前記の抽出を行うに当たり、抽出
の前、抽出と同時または抽出の後に、上記の酵素分解お
よび麹を作用させてもよい。ここで、抽出と同時に酵素
分解あるいは麹を作用させる場合、具体的には、有機溶
媒中で酵素分解あるいは麹を作用させるか、減圧抽出下
で酵素分解あるいは麹を作用させるなどの方法により行
う。本発明においては、上記の各処理を行うと同時また
は処理後に、アルコール発酵あるいは乳酸発酵、酢酸発
酵等の有機酸発酵を行えば、さらに有効的である。
【0016】このアルコール発酵を行う場合、上記のよ
うにして得られた抽出物、酵素分解物(酵素分解、抽出
を組み合わせて得られるものも含む)または麹を作用さ
せたものをそのまま、または圧搾、濾過して得た液をア
ルコール発酵させる。なお、酵素分解とアルコール発酵
は同時に行ってもよい。すなわち、米または発芽させた
米に加水後、酵素または麹、さらに酒母または酵母を添
加して、糖化、アルコール発酵を行う。大量に製造する
場合、糖化と発酵のバランスを考えながら、清酒醸造に
準じて3段階あるいは何段階にも分けて、米または発芽
させた米を添加するのが望ましい。特に少量を処理する
場合においては、一度に添加するのが有効である。この
際、腐敗が心配な場合は、酸を添加するか、発酵の阻害
にならない適当な防腐を施す。
【0017】アルコール発酵を行うと、ベトツキがなく
なること、濃縮がしやすく有効成分の濃縮が容易になる
ことなどの利点もある。乳酸発酵を行う場合は、アルコ
ール発酵の場合と同様で、この場合は、酒母または酵母
の代わりに乳酸菌を添加して乳酸発酵を行う。乳酸発酵
は一般的な常法によって行い、乳酸菌の種類および乳酸
発酵の条件は問わない。
【0018】次に、酢酸発酵の場合は、上記のようにし
て得られた発酵物をそのまま、あるいは希釈してアルコ
ール4〜5%にした後、酢酸菌を添加して酢酸発酵を行
う。また、アルコールのないものは、アルコールを添加
して酢酸発酵を行えばよい。酢酸発酵は一般的な常法に
よって行い、酢酸菌の種類および乳酸発酵の条件は問わ
ない。以上のようにして得られた本発明品は、残渣を分
離することなくそのまま、あるいは圧搾、濾過して用い
る。そのまま用いるときは、殺菌あるいは除菌をして製
品とする。なお、必要により酵母による通気発酵、アル
コール沈澱、合成吸着剤等により除糖を行ってもよい。
【0019】次に、本発明品のアトピー性皮膚炎に対す
る効果を、試験に基いて以下に示す。まず、アトピー性
皮膚炎の予防効果を実証するために、皮膚のかさかさで
悩むパネラー各10名に、本発明品を毎日、朝、晩2回
患部に継続使用させ、1ケ月の経過を診断したところ、
全ての実施例で得た本発明品において、効果の差はあっ
たが、皮膚のかさかさがなくなり、みずみずしく改善さ
れたとした。
【0020】そこで、本発明品の予防効果を科学的に例
証するために、各実施例においてパネラー各5名の角層
水分含有量を測定した。すなわち、乾燥状態を示す皮疹
部位の角層水分含有量を、本発明品塗布前、塗布後3
0、60、120分について測定した。角層水分含有量
の測定は、IBM社製皮表角層水分含有測定装置(SK
ICON−200)を用いた。測定は室温20℃、湿度
40%の環境で測定した。その結果を表1に示した。な
お、対照としては尿素配合10%ローションをたてた。
【0021】
【表1】
【0022】表1に示したとおり、全ての本発明品にお
いて、塗布することにより、塗布後120分経ても、角
層水分含有量が塗布前より高く、持続していることが判
明した。比較対照の尿素は、現在のところ最も保湿効果
が高い保湿剤といわれている。その尿素においても、3
0分経つと角層水分含有量は塗布前にもどっている。こ
のことからも、本発明品は、今までにない保湿の持続性
の効果をもたらすことにより、かさかさ肌を改善し、ア
トピー性皮膚炎の予防効果を持つのであるといえる。
【0023】次に、アトピー皮膚炎の治療効果を実証す
るために、各種アトピー皮膚炎で悩むパネラーに、本発
明品を毎日、朝晩2回患部に継続使用させ、1ケ月の経
過を診断した。その結果を表2に記載した。なお、パネ
ラーは男性40名、女性49名、計89名、平均年令3
0.5才(年令1〜75才)で行った。判定は著明改
善、改善、やや改善、変化なし、悪化、中止で別け、有
用率(著明改善+改善+やや改善の全体の割合)で出し
た。
【0024】
【表2】
【0025】注 その他アトピー:かさかさ肌型、じ
くじく型(炎症)に含まれないアトピー性皮膚炎 乾燥度:かさかさ肌型のアトピー性皮膚炎に対する
有用率 じくじく度:じくじく型(炎症)のアトピー性皮膚
炎に対する有用率 治療度:その他アトピー性皮膚炎に対する有用率 掻痒度:かゆみに対する有用率でパネラーの証言を
もとに有用率を出した。
【0026】表2から分かるように、本発明品は、かさ
かさ肌、アトピー性皮膚炎、じくじく型(炎症型)、ま
た、その他原因不明の湿疹をともなう全てのアトピー性
皮膚炎に対して有効であった。また、アトピー性皮膚炎
には、はげしい掻痒感がともなうものであるが、表2の
ように、かゆみに対しても顕著な効果が認められた。そ
こで、本発明品のかゆみを抑える効果を科学的に実証す
るために、抗ヒスタミン、ヒスタミン遊離抑制効果を調
べた。その結果を表3に記載する。
【0027】実験方法は以下のとおりである。 抗ヒスタミン作用 体重約150gの雄性ラットの背部体毛を除毛し、両側
背部の皮膚に等間隔に4個(合計8個)の目印をマジッ
クでつけ、本発明品を両側背部の対称となる2点に正確
に皮内注射した。その30分後に、同じ場所にヒスタミ
ン溶液を皮内注射し、直後にエバンスブルー溶液を尾静
脈注射した。30分後、動物は断頭致死させ、首の方か
ら皮膚を剥いで、皮膚内面より生じた円形あるいは楕円
形の青色斑の面積(単位mm2 )を求めた。なお、本発
明品の代りに、生理的食塩水を皮内注射したものを対照
群として、これと比較した。
【0028】 ヒスタミン遊離抑制作用 ウィスター系雄性ラットを出血致死させた後、phis
iologicalsalt solution(Na
Cl 154mM、KCl 2.7mM、CaCl2
0.9mM、HEPES 5mM、pH7.4)10m
lを腹腔内に注入した。腹部を90秒間軽くマッサージ
した後、開腹し、腹腔内細胞浮遊液を採取した。4℃、
5000rpmで5分間遠心分離して得た細胞のペレッ
トに、上記生理食塩水にグルコースを1g/リットル当
り添加した液に再浮遊させた。
【0029】単離肥満細胞浮遊液50μlに本発明1.
75mlを加え、37℃、15分間インキュベートした
後、48/80溶液(最約濃度10-7g/ml)200
μlを添加し、さらに10分間培養した。氷冷により反
応を停止させ、遠心分離した上清および細胞に残存した
ヒスタミン含量を蛍光定量し、ヒスタミン遊離率を算出
した。本発明品を添加しないで同様に測定した場合の値
を対照とした。
【0030】
【表3】
【0031】抗ヒスタミン作用は、面積が小さいほど抗
ヒスタミン作用を持っている。また、ヒスタミン遊離抑
制作用は、ヒスタミン遊離率が低いほどヒスタミンの遊
離抑制をしている。本発明は、全て対照と比較して抗ヒ
スタミン作用、ヒスタミン遊離抑制作用を持っているこ
とが判明した。アトピー性皮膚炎の予防、治療におい
て、かゆみを抑えることは必須条件である。
【0032】このようにヒスタミン遊離抑制およびヒス
タミンブロックを持つことが判明したことは、本発明品
がかゆみに対して顕著な裏付けであるといえる。現在、
かゆみを抑えるものとしては、局所麻酔以外見当たらな
いが、局所麻酔は一時的にかゆみを麻痺させるだけであ
るのに対し、本発明品は、上記の科学的データーと臨床
を併せて考えると、アトピー性皮膚炎におけるさまざま
な要因のかゆみに対して、一時的にかゆみを抑制するの
みではなく、以後かゆみ自体を発生させない効果を持っ
ているといえる。また、アトピー性皮膚炎の原因として
アレルギー説が有力であるので、抗アレルギー作用をP
CA反応で調べた。その結果を表4に記載する。
【0034】測定方法は以下のとおりである。 PCA反応 体重約150gの雄性ラットの背部体毛を除毛し、両側
背部の皮膚に等間隔に4個(合計8個)の目印をマジッ
クでつけ、この点にマウス抗卵白アルブミン抗体を正確
に皮内注射し、受動感作した。約3.5時間後、両側背
部の対称となる2点に、本発明品を皮内注射し、その3
0分後に、卵白アルブミン−エバンスブルー溶液を尾静
脈内注射した。30分後に動物を断頭致死させ、首の方
から皮膚を剥いで、皮膚内面より生じた円形あるいは楕
円形の青色斑の面積(単位mm2)を求めた。なお、比
較対照として生理食塩水を皮内注射したものを用いた。
【0035】
【表4】
【0036】表4から分かるように、PCA反応におい
ても有効なことが判明した。すなわち、本発明品は、症
状からも、原因からも有効であるといえる。次に、アト
ピー炎症の起きた状態の治療効果を科学的に実証するた
めに、カラゲニン肉芽腫形成抑制実験を行い、その結果
を表5に記載した。
【0037】実験方法は以下のとおりである。 カラゲニン肉芽腫形成抑制実験 1群3匹の雄性ラット(6〜8週齢)の背部体毛を除毛
後、皮下に空気を注入して空気嚢を作成し、24時間
後、この空気嚢内にカラゲニンを注入し、炎症を惹起し
た。炎症惹起後、4日目よりエキスを1日2回、決まっ
た時間に塗布し、1週間続けた。なお、水を塗布しただ
けのものをコントロールとした。塗布1週間後、ラット
を炭酸ガスにて窒息死させ、空気嚢内液量と炎症による
肉芽の重量を測定し、抑制率を求めた。
【0038】
【表5】
【0039】上記のように、本発明品には抗炎症作用が
あることが分かり、アトピー性皮膚炎の治療効果に有効
なことが判明した。なお、実施例およびそれに伴うデー
ターは、玄米の場合について記載したが、白米および9
2%以下の白糠の場合についても、同様の効果が認めら
れた。
【0040】
【実施例】
(実施例1)胚芽のついたままの米1kgを25℃の水
につけ、3日間浸漬させ、米を発芽させた。この発芽米
をよく洗浄した後、50℃で24時間乾燥し、その後、
細かく微粉砕し、本発明品990gを得た。 (実施例2)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500
gを得た。この粉砕物に水1500mlを添加、塩酸で
PHを落とし10日間放置した。その後、絞り機で絞
り、得た清澄液を中和して、本発明品1200mlと残
渣760gを得た。
【0041】(実施例3)実施例1で得られた本発明品
500gを用いて、実施例2と同様の操作を行い、別の
本発明品1190mlを得た。 (実施例4)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500
gを得た。この粉砕物に液化酵素10gと水1500m
lを添加した。その後、徐々に温度を上げていき、5分
間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞り機で絞り、
本発明品1420mlと残渣560gを得た。
【0042】(実施例5)実施例1で得られた本発明品
500gを用いて、実施例4と同様の操作を行い、別の
本発明品1400mlを得た。 (実施例6)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500
gを得た。この粉砕物に2N−NaOH1500mlを
添加して5日間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄
液1350mlと残渣650gを得た。この清澄液を1
0N−HClで中和して、本発明品1480mlを得
た。
【0043】(実施例7)実施例1で得られた本発明品
500gを用いて、実施例6と同様の操作を行い、別の
本発明品1490mlを得た。 (実施例8)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500
gを得た。この粉砕物に95%エタノール1500ml
を添加して、5日間放置した。その後、絞り機で絞り、
清澄液1300mlと残渣650gを得た。この清澄液
に水2000mlを添加し、ロータリーエバプレーター
で濃縮し、本発明品1500mlを得た。
【0044】(実施例9)実施例1で得られた本発明品
500gを用いて、実施例8と同様の操作を行い、別の
本発明品1500mlを得た。 (実施例10)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に麹300g、水1500ml
を加え、55℃で20時間放置した。その後、絞り機で
絞り、本発明品1230mlと残渣1000gを得た。
【0045】(実施例11)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例10と同様の操作を行い、
別の本発明品1210mlを得た。 (実施例12)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に蛋白分解酵素2gと水150
0mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞
り機で絞り、本発明品1310mlと残渣670gを得
た。
【0046】(実施例13)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例12と同様の操作を行い、
別の本発明品1380mlを得た。 (実施例14)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に脂肪分解酵素2gと水150
0mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞
り機で絞り、本発明品1290mlと残渣680gを得
た。
【0047】(実施例15)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例14と同様の操作を行い、
別の本発明品1360mlを得た。 (実施例16)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に繊維分解酵素2gと水150
0mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞
り機で絞り、本発明品1330mlと残渣650gを得
た。
【0048】(実施例17)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例16と同様の操作を行い、
別の本発明品1370mlを得た。 (実施例18)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に澱粉分解酵素2gと水150
0mlを加え、55℃で20時間放置した。その後、絞
り機で絞り、本発明品1380mlと残渣600gを得
た。
【0049】(実施例19)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例18と同様の操作を行い、
別の本発明品1400mlを得た。 (実施例20)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物にペクチン分解酵素2gと水1
500mlを加え、50℃で20時間放置した。その
後、絞り機で絞り、本発明品1320mlと残渣660
gを得た。
【0050】(実施例21)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例20と同様の操作を行い、
別の本発明品1300mlを得た。 (実施例22)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に蛋白分解酵素2g、脂肪分解
酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペク
チン分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で2
0時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品14
20mlと残渣560gを得た。
【0051】(実施例23)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例22と同様の操作を行い、
別の本発明品1440mlを得た。 (実施例24)実施例22と同様の操作をして、米の酵
素分解物2000gを得た。その後、徐々に温度を上げ
ていき、5分間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞
り機で絞り、本発明品1400mlと残渣550gを得
た。
【0052】(実施例25)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例24と同様の操作を行い、
別の本発明品1420mlを得た。 (実施例26)玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物50
0gを得た。この粉砕物に麹300gと40%エタノー
ル1500mlを加え、55℃で48時間放置した。そ
の後、絞り機で絞り、清澄液1300mlと残渣850
gを得た。その後、清澄液に1000mlの水を加水
し、ロータリーエバプレーターで濃縮し、本発明品13
00mlを得た。
【0053】(実施例27)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例26と同様の操作を行い、
別の本発明品1300mlを得た。 (実施例28)実施例4と同様にして、米の抽出物20
00gを得た。この抽出物に蛋白分解酵素2g、脂肪分
解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペ
クチン分解酵素2gを添加し、50℃で24時間放置し
た。その後、絞り機で絞り、本発明品1400mlと残
渣580gを得た。
【0054】(実施例29)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例28と同様の操作を行い、
別の本発明品1390mlを得た。 (実施例30)実施例24と同様にして、米の酵素分解
抽出物2000gを得た。この酵素分解抽出物に酵母を
添加し、16日間アルコール発酵した。その後、絞り機
で絞り、本発明品1880mlと残渣80gを得た。
【0055】(実施例31)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例30と同様の操作を行い、
別の本発明品1800mlを得た。 (実施例32)実施例24と同様にして、米の酵素分解
抽出物2000gを得た。この酵素分解抽出物を煮沸殺
菌した後、37℃まで冷却し、前もって乳酸菌を培養し
たスターター200mlを添加後、よく攪拌密封し、3
7℃で2日間乳酸発酵を行った。その後、絞り機で絞
り、本発明品1380mlと残渣590gを得た。
【0056】(実施例33)実施例1で得られた本発明
品500gを用いて、実施例32と同様の操作を行い、
別の本発明品1400mlを得た。 (実施例34)実施例24で得られた本発明品1000
mlに、95%エタノール80mlを添加し、20日間
酢酸発酵を行った。その後、濾過をし、本発明品990
mlを得た。
【0057】
【発明の効果】アトピー性皮膚炎の症状の特徴は、著し
いかゆみを伴う皮膚炎で、これらを予防治療するには、
かゆみを抑え、しかも、かさかさ肌の改善、アトピー炎
症を抑える必要がある。本発明によれば、米を原料にし
て簡単に全く安全で、アトピー性皮膚炎を予防、治療す
るための上記の効果を併せ持つ予防治療剤が得られる。
【0058】米は今まで主食であったため、食以外の新
規な分野での製法、利用用途は殆んど開発されていなか
った。本発明は、優れた効果を持つアトピー性皮膚炎治
療剤を見出したばかりでなく、米の過剰生産といわれる
現在、新たな利用用途を見出したこと、および米のイメ
ージアップによる消費拡大を図り得ることは、極めて有
意義なことである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発芽させた米の粉砕物をそのまま、ある
    いはこれを含有してなるアトピー性皮膚炎予防治療剤。
  2. 【請求項2】 米または発芽させた米の抽出物をそのま
    ま、あるいはこれを含有してなるアトピー性皮膚炎予防
    治療剤。
  3. 【請求項3】 米または発芽させた米の加水物を酵素分
    解または麹を作用させたものをそのまま、あるいはこれ
    を含有してなるアトピー性皮膚炎予防治療剤。
  4. 【請求項4】 米または発芽させた米を抽出するに当
    り、その抽出前、抽出と同時または抽出後に酵素分解ま
    たは麹を作用させたものをそのまま、あるいはこれを含
    有してなるアトピー性皮膚炎予防治療剤。
  5. 【請求項5】 米または発芽させた米の抽出物あるいは
    酵素分解または麹を作用させたものに、アルコール発酵
    あるいは有機酸発酵を行なったものをそのまま、あるい
    はこれを含有してなるアトピー性皮膚炎予防治療剤。
JP6238642A 1994-09-07 1994-09-07 米からのアトピー性皮膚炎予防治療剤 Pending JPH0873367A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1081615A (ja) * 1996-08-16 1998-03-31 Kao Corp 毛髪及び頭皮処理用組成物
WO2001095922A1 (fr) * 2000-06-14 2001-12-20 Fukuda, Koji Remedes contre des maladies allergiques et leur procede de production
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WO2016021847A1 (ko) * 2014-08-05 2016-02-11 전남대학교산학협력단 쌀 프롤라민을 포함하는 경구용 항아토피 조성물

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