JPH0867599A - 強誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents
強誘電体薄膜の製造方法Info
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- JPH0867599A JPH0867599A JP20543494A JP20543494A JPH0867599A JP H0867599 A JPH0867599 A JP H0867599A JP 20543494 A JP20543494 A JP 20543494A JP 20543494 A JP20543494 A JP 20543494A JP H0867599 A JPH0867599 A JP H0867599A
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Landscapes
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- Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 結晶の配向性が良好で、信頼性の高い強誘電
体薄膜を得ること。 【構成】 繰り返し塗布するPb系有機金属アルコール
溶液のうち、最初に塗布した溶液を高温加熱してペロブ
スカイト構造とすることにより、この構造が、基板の配
向性を受け継ぎ、その後に、塗布した溶液をペロブスカ
イト構造とする際に、最初のペロブスカイト構造がシー
ドとなって、配向性を引き継ぎ易くなる。また、最初に
塗布するPb系有機金属アルコール溶液中のPbの割合
を、少なくとも最後に塗布するものよりも高くしておく
ことにより、最初に塗布した溶液が良好にペロブスカイ
ト構造の結晶となり、この構造が、基板の配向性を受け
継ぎ、その後に、塗布した溶液をペロブスカイト構造と
する際に、最初のペロブスカイト構造がシードとなっ
て、配向性を引き継ぎ易くなる。
体薄膜を得ること。 【構成】 繰り返し塗布するPb系有機金属アルコール
溶液のうち、最初に塗布した溶液を高温加熱してペロブ
スカイト構造とすることにより、この構造が、基板の配
向性を受け継ぎ、その後に、塗布した溶液をペロブスカ
イト構造とする際に、最初のペロブスカイト構造がシー
ドとなって、配向性を引き継ぎ易くなる。また、最初に
塗布するPb系有機金属アルコール溶液中のPbの割合
を、少なくとも最後に塗布するものよりも高くしておく
ことにより、最初に塗布した溶液が良好にペロブスカイ
ト構造の結晶となり、この構造が、基板の配向性を受け
継ぎ、その後に、塗布した溶液をペロブスカイト構造と
する際に、最初のペロブスカイト構造がシードとなっ
て、配向性を引き継ぎ易くなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強誘電体薄膜の製造方
法に関する。
法に関する。
【0002】
【従来の技術】Pb系強誘電体薄膜は、電気光学素子、
焦電素子、半導体薄膜素子等への応用が可能であり、そ
の製造方法も、ゾル・ゲル法、CVD法、スパッタ法、
レーザーアブレーション法等、さまざまな方法が研究さ
れている。ゾル・ゲル法によるペロブスカイト型構造の
Pb系強誘電体薄膜の製造方法は、例えば、特開平3−
11766号公報(H01L29/788)に記載され
ている。
焦電素子、半導体薄膜素子等への応用が可能であり、そ
の製造方法も、ゾル・ゲル法、CVD法、スパッタ法、
レーザーアブレーション法等、さまざまな方法が研究さ
れている。ゾル・ゲル法によるペロブスカイト型構造の
Pb系強誘電体薄膜の製造方法は、例えば、特開平3−
11766号公報(H01L29/788)に記載され
ている。
【0003】すなわち、PZT(Pb(Zr,Ti)O
3)等の強誘電体を、ゾル・ゲル法による液状原料を回
転塗布法により全表面に1〜2μm厚で形成し、更に焼
成することにより得るものである。この従来例の方法で
は、1回の塗布、焼成作業で、所望の膜厚の強誘電体薄
膜を得ようとするものであるが、得ようとする膜厚が厚
くなるにつれて、クラックや孔のない均質な膜を得るこ
とが難しくなるという問題がある。
3)等の強誘電体を、ゾル・ゲル法による液状原料を回
転塗布法により全表面に1〜2μm厚で形成し、更に焼
成することにより得るものである。この従来例の方法で
は、1回の塗布、焼成作業で、所望の膜厚の強誘電体薄
膜を得ようとするものであるが、得ようとする膜厚が厚
くなるにつれて、クラックや孔のない均質な膜を得るこ
とが難しくなるという問題がある。
【0004】そこで、塗布作業を繰り返し行うことによ
りこのような問題点を解消しつつ、所望の厚い膜厚の強
誘電体薄膜を得る方法が提案されている(例えば、サイ
エンスフォーラム社発行「塩崎ほか,強誘電体薄膜集積
化技術P133」参照)。すなわち、基板上に、原料
ゾル溶液をスピンコート法により塗布し、ゲル膜を得
る。続いて、200℃〜300℃の温度で熱処理し、
膜中に残っている溶媒や、金属原子に結合している有機
成分を除去する。
りこのような問題点を解消しつつ、所望の厚い膜厚の強
誘電体薄膜を得る方法が提案されている(例えば、サイ
エンスフォーラム社発行「塩崎ほか,強誘電体薄膜集積
化技術P133」参照)。すなわち、基板上に、原料
ゾル溶液をスピンコート法により塗布し、ゲル膜を得
る。続いて、200℃〜300℃の温度で熱処理し、
膜中に残っている溶媒や、金属原子に結合している有機
成分を除去する。
【0005】このの作業を、所定の膜厚になるまで
繰り返し、その後、600℃以上の温度で熱処理を行う
ことにより、ゲル膜をペロブスカイト相に結晶化させ
て、強誘電体薄膜として生成する。
繰り返し、その後、600℃以上の温度で熱処理を行う
ことにより、ゲル膜をペロブスカイト相に結晶化させ
て、強誘電体薄膜として生成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】強誘電体薄膜の配向性
は、基板の配向をそのまま受け継いで行われるが、従来
例にあっては、膜厚が厚くなるにつれ、基板からの影響
を受けずに結晶化が進む可能性が高くなり、基板の配向
性と強誘電体薄膜の配向性との整合が悪くなって、良好
な膜質が得られないという問題がある。
は、基板の配向をそのまま受け継いで行われるが、従来
例にあっては、膜厚が厚くなるにつれ、基板からの影響
を受けずに結晶化が進む可能性が高くなり、基板の配向
性と強誘電体薄膜の配向性との整合が悪くなって、良好
な膜質が得られないという問題がある。
【0007】また、Pb系強誘電体薄膜を製造する場
合、Pbの量が不足すると、常誘電相であるパイロクロ
ア構造が生成し、ペロブスカイト構造に結晶化すること
が妨げられるので、従来例のような方法では、繰り返し
塗布される原料ゾル溶液中のPbの量を化学量論組成よ
りも過剰に加えることが一般的であるが、このような措
置を行うと、各層ごとのゲル膜が、基板からの影響を受
けずに結晶化が進む可能性が高くなり、基板の配向性と
強誘電体薄膜の配向性との整合が悪くなって、上述と同
様の問題点が生じることになる。
合、Pbの量が不足すると、常誘電相であるパイロクロ
ア構造が生成し、ペロブスカイト構造に結晶化すること
が妨げられるので、従来例のような方法では、繰り返し
塗布される原料ゾル溶液中のPbの量を化学量論組成よ
りも過剰に加えることが一般的であるが、このような措
置を行うと、各層ごとのゲル膜が、基板からの影響を受
けずに結晶化が進む可能性が高くなり、基板の配向性と
強誘電体薄膜の配向性との整合が悪くなって、上述と同
様の問題点が生じることになる。
【0008】本発明は、強誘電体薄膜の製造方法に関
し、斯かる問題点を解消することを目的とする。
し、斯かる問題点を解消することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明における
強誘電体薄膜の製造方法は、原料溶液がペロブスカイト
構造になりやすい条件で、基板上に強誘電体薄膜を形成
したものである。また、請求項2の発明における強誘電
体薄膜の製造方法は、前記原料溶液として、鉛(Pb)
の含まれている割合の高いPb系強誘電体材料溶液を用
いるものである。
強誘電体薄膜の製造方法は、原料溶液がペロブスカイト
構造になりやすい条件で、基板上に強誘電体薄膜を形成
したものである。また、請求項2の発明における強誘電
体薄膜の製造方法は、前記原料溶液として、鉛(Pb)
の含まれている割合の高いPb系強誘電体材料溶液を用
いるものである。
【0010】また、請求項3の発明における強誘電体薄
膜の製造方法は、前記原料溶液を比較的高温で熱処理す
るものである。また、請求項4の発明における強誘電体
薄膜の製造方法は、基板上に、原料溶液を、熱処理工程
を挟んで2回以上塗布し、その後、原料溶液が強誘電体
相となる温度で熱処理するものであって、最初の原料溶
液を塗布した後の熱処理時の温度を、この原料溶液がペ
ロブスカイト構造となる温度としたものである。
膜の製造方法は、前記原料溶液を比較的高温で熱処理す
るものである。また、請求項4の発明における強誘電体
薄膜の製造方法は、基板上に、原料溶液を、熱処理工程
を挟んで2回以上塗布し、その後、原料溶液が強誘電体
相となる温度で熱処理するものであって、最初の原料溶
液を塗布した後の熱処理時の温度を、この原料溶液がペ
ロブスカイト構造となる温度としたものである。
【0011】また、請求項5の発明における強誘電体薄
膜の製造方法は、基板上に、原料溶液を、熱処理工程を
挟んで2回以上塗布し、その後、原料溶液がペロブスカ
イト構造となる温度で熱処理するものであって、最初の
原料溶液を塗布した後の熱処理時の時間を、この原料溶
液がペロブスカイト構造となる時間としたものである。
膜の製造方法は、基板上に、原料溶液を、熱処理工程を
挟んで2回以上塗布し、その後、原料溶液がペロブスカ
イト構造となる温度で熱処理するものであって、最初の
原料溶液を塗布した後の熱処理時の時間を、この原料溶
液がペロブスカイト構造となる時間としたものである。
【0012】また、請求項6の発明における強誘電体薄
膜の製造方法は、基板上に、Pb系強誘電体材料溶液
を、熱処理工程を挟んで2回以上塗布し、その後、Pb
系強誘電体材料溶液がペロブスカイト構造となる温度で
熱処理するものであって、最初に塗布するPb系強誘電
体材料溶液中のPbの割合を、最後に塗布するものより
も高くしたものである。
膜の製造方法は、基板上に、Pb系強誘電体材料溶液
を、熱処理工程を挟んで2回以上塗布し、その後、Pb
系強誘電体材料溶液がペロブスカイト構造となる温度で
熱処理するものであって、最初に塗布するPb系強誘電
体材料溶液中のPbの割合を、最後に塗布するものより
も高くしたものである。
【0013】前記請求項4乃至請求項6の発明におい
て、原料溶液を3回以上塗布する場合は、1回塗布する
ごとに熱処理工程を行ってもよいし、2回目以降連続し
て重ね塗りしたのちに熱処理工程を行ってもよい。ま
た、初回の熱処理工程の前にも原料溶液を重ね塗りして
もよいが、この場合は、初回の熱処理工程で、膜が基板
の配向を引き継いだペロブスカイト構造となるように、
膜厚や熱処理温度やPbの割合等を適宜設定する必要が
ある。
て、原料溶液を3回以上塗布する場合は、1回塗布する
ごとに熱処理工程を行ってもよいし、2回目以降連続し
て重ね塗りしたのちに熱処理工程を行ってもよい。ま
た、初回の熱処理工程の前にも原料溶液を重ね塗りして
もよいが、この場合は、初回の熱処理工程で、膜が基板
の配向を引き継いだペロブスカイト構造となるように、
膜厚や熱処理温度やPbの割合等を適宜設定する必要が
ある。
【0014】また、請求項7の発明における強誘電体薄
膜の製造方法は、前記最初に塗布するPb系強誘電体材
料溶液中のPbの原子比を、化学量論組成よりも多くし
たものである。また、請求項8の発明における強誘電体
薄膜の製造方法は、前記基板として、MgO(100)
単結晶基板、スピネル単結晶基板、Pt(111)配向
基板、Pt(100)配向基板等、Pb系強誘電体との
格子整合性が比較的よいものを用いたものである。
膜の製造方法は、前記最初に塗布するPb系強誘電体材
料溶液中のPbの原子比を、化学量論組成よりも多くし
たものである。また、請求項8の発明における強誘電体
薄膜の製造方法は、前記基板として、MgO(100)
単結晶基板、スピネル単結晶基板、Pt(111)配向
基板、Pt(100)配向基板等、Pb系強誘電体との
格子整合性が比較的よいものを用いたものである。
【0015】また、請求項9の発明における強誘電体薄
膜の製造方法は、前記原料溶液又はPb系強誘電体材料
溶液として、Pb系ペロブスカイト型強誘電体を構成す
る金属を含む有機金属溶液を用いたものである。
膜の製造方法は、前記原料溶液又はPb系強誘電体材料
溶液として、Pb系ペロブスカイト型強誘電体を構成す
る金属を含む有機金属溶液を用いたものである。
【0016】
【作用】即ち、繰り返し塗布する原料溶液のうち、最初
に塗布した原料溶液を高温加熱したり、長時間加熱した
りしてペロブスカイト構造とすることにより、この構造
が、基板の配向性を受け継ぎ、その後に、塗布した原料
溶液をペロブスカイト構造とする際に、最初のペロブス
カイト構造がシードとなって、配向性を引き継ぎ易くな
る。
に塗布した原料溶液を高温加熱したり、長時間加熱した
りしてペロブスカイト構造とすることにより、この構造
が、基板の配向性を受け継ぎ、その後に、塗布した原料
溶液をペロブスカイト構造とする際に、最初のペロブス
カイト構造がシードとなって、配向性を引き継ぎ易くな
る。
【0017】また、例えば、最初に塗布するPb系強誘
電体材料溶液中のPbの割合を、最後に塗布するものよ
りも高くしておくことにより、最初に塗布したPb系強
誘電体材料溶液が良好にペロブスカイト構造の結晶とな
り、この構造が、基板の配向性を受け継ぎ、その後に、
塗布した原料溶液をペロブスカイト構造とする際に、最
初のペロブスカイト構造がシードとなって、配向性を引
き継ぐ。
電体材料溶液中のPbの割合を、最後に塗布するものよ
りも高くしておくことにより、最初に塗布したPb系強
誘電体材料溶液が良好にペロブスカイト構造の結晶とな
り、この構造が、基板の配向性を受け継ぎ、その後に、
塗布した原料溶液をペロブスカイト構造とする際に、最
初のペロブスカイト構造がシードとなって、配向性を引
き継ぐ。
【0018】また、基板として、MgO(100)単結
晶基板、スピネル単結晶基板、Pt(111)配向基
板、Pt(100)配向基板等、Pb系強誘電体との格
子整合性が比較的よいものを用いることにより、基板の
配向と強誘電体薄膜の配向との整合性が良好となる。
晶基板、スピネル単結晶基板、Pt(111)配向基
板、Pt(100)配向基板等、Pb系強誘電体との格
子整合性が比較的よいものを用いることにより、基板の
配向と強誘電体薄膜の配向との整合性が良好となる。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1乃至図5は本発明の第1実施例におけるPb系強誘
電体薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。 工程(図1参照):MgO(酸化マグネシウム)(1
00)単結晶基板1上に、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb
(Zr,Ti)O3)(組成比(原子比):Pb/Zr
/Ti=110/50/50)を主成分とする有機金属
アルコール溶液を、スピンコーターを用いて、例えば約
3000rpmの回転数で塗布することにより、膜厚35
0Åのチタン酸ジルコン酸鉛薄膜(以下PZT薄膜とい
う)2を形成する。
図1乃至図5は本発明の第1実施例におけるPb系強誘
電体薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。 工程(図1参照):MgO(酸化マグネシウム)(1
00)単結晶基板1上に、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb
(Zr,Ti)O3)(組成比(原子比):Pb/Zr
/Ti=110/50/50)を主成分とする有機金属
アルコール溶液を、スピンコーターを用いて、例えば約
3000rpmの回転数で塗布することにより、膜厚35
0Åのチタン酸ジルコン酸鉛薄膜(以下PZT薄膜とい
う)2を形成する。
【0020】このPZT薄膜2は、有機成分を含んでい
るので、いまだペロブスカイト構造に結晶化していな
い。 工程(図2参照):前記PZT薄膜2を、温度190
℃で10分間乾燥させることにより、この薄膜中に残っ
ているアルコール成分や、金属原子に結合している有機
成分を除去する。
るので、いまだペロブスカイト構造に結晶化していな
い。 工程(図2参照):前記PZT薄膜2を、温度190
℃で10分間乾燥させることにより、この薄膜中に残っ
ているアルコール成分や、金属原子に結合している有機
成分を除去する。
【0021】その後、酸素流量約6lit/minの電気炉
中、温度600℃で5分間の熱処理を行うと、前記PZ
T薄膜2がペロブスカイト構造に結晶化する(これを純
PZT薄膜3という)。この純PZT薄膜3は、5分間
の熱処理で、さらに有機成分が除去され、当初400Å
だった膜厚が350Åに減少する。 工程(図3参照):前記純PZT薄膜3の上に、工程
と同じ有機金属アルコール溶液を、スピンコーターを
用いて、例えば約3000rpmの回転数で塗布すること
により、膜厚350ÅのPZT薄膜4を形成する。
中、温度600℃で5分間の熱処理を行うと、前記PZ
T薄膜2がペロブスカイト構造に結晶化する(これを純
PZT薄膜3という)。この純PZT薄膜3は、5分間
の熱処理で、さらに有機成分が除去され、当初400Å
だった膜厚が350Åに減少する。 工程(図3参照):前記純PZT薄膜3の上に、工程
と同じ有機金属アルコール溶液を、スピンコーターを
用いて、例えば約3000rpmの回転数で塗布すること
により、膜厚350ÅのPZT薄膜4を形成する。
【0022】更に、前記PZT薄膜4を、温度190℃
で10分間乾燥させることにより、この薄膜中に残って
いるアルコール成分や、金属原子に結合している有機成
分を除去する。この工程を繰り返すことにより、図4
の通り、所定の厚さのPZT薄膜5を得る。例えば、こ
の工程を4回繰り返せば、工程で形成した純PZT
薄膜3と合わせて、1700Åの膜厚となる。もちろ
ん、工程を繰り返す必要がないのなら、それでもよ
い。
で10分間乾燥させることにより、この薄膜中に残って
いるアルコール成分や、金属原子に結合している有機成
分を除去する。この工程を繰り返すことにより、図4
の通り、所定の厚さのPZT薄膜5を得る。例えば、こ
の工程を4回繰り返せば、工程で形成した純PZT
薄膜3と合わせて、1700Åの膜厚となる。もちろ
ん、工程を繰り返す必要がないのなら、それでもよ
い。
【0023】尚、前記PZT薄膜5は、有機成分を含ん
でいるので、いまだペロブスカイト構造に結晶化してい
ない。 工程4(図5参照):前記PZT薄膜5を電気炉に入
れ、温度600℃で60分間加熱する。すると、このP
ZT薄膜5もペロブスカイト構造に結晶化した膜厚15
00Åの純PZT薄膜6となる。
でいるので、いまだペロブスカイト構造に結晶化してい
ない。 工程4(図5参照):前記PZT薄膜5を電気炉に入
れ、温度600℃で60分間加熱する。すると、このP
ZT薄膜5もペロブスカイト構造に結晶化した膜厚15
00Åの純PZT薄膜6となる。
【0024】以上の第1実施例にあっては、第1層目の
純PZT薄膜3が、主としてMgO(100)基板1に
対し、c軸方向(001)に配向した結晶構造となり、
2層目以降の純PZT薄膜6もこの配向性を受け継ぐ。
次に、本発明の第2の実施例を説明する。この第2実施
例において、Pb系強誘電薄膜を得るプロセスは図1乃
至図5と同様であり、異なるのは、第1層目の有機金属
アルコール溶液の組成比(原子比)がPb/Zr/Ti
=115/50/50であり、Pbの割合が2層目以降
よりも多くなっていることである。すなわち、それだけ
温度600℃での熱処理によりペロブスカイト構造に結
晶化しやすくなる。
純PZT薄膜3が、主としてMgO(100)基板1に
対し、c軸方向(001)に配向した結晶構造となり、
2層目以降の純PZT薄膜6もこの配向性を受け継ぐ。
次に、本発明の第2の実施例を説明する。この第2実施
例において、Pb系強誘電薄膜を得るプロセスは図1乃
至図5と同様であり、異なるのは、第1層目の有機金属
アルコール溶液の組成比(原子比)がPb/Zr/Ti
=115/50/50であり、Pbの割合が2層目以降
よりも多くなっていることである。すなわち、それだけ
温度600℃での熱処理によりペロブスカイト構造に結
晶化しやすくなる。
【0025】第1層目が非常に良好なペロブスカイト構
造の結晶を有しているので、2層目以降のPZT薄膜
も、この配向を有効に受け継ぐことができる。図6は、
以上の第1実施例及び第2実施例の方法で作成したPb
系強誘電体薄膜の配向性をX線回折パターンとして図示
したものである。図中aに示す従来例(原料溶液を数回
スピンコートしてから、最後に高温加熱するもの)は、
MgO(100)単結晶基板のc軸方向(001)への
配向性がほとんど見られないのに対し、図中bに示す第
1実施例のものは、従来例に比べてc軸配向性が向上し
ている。また、図中cに示す第2実施例のものは、第1
層目の純PZT薄膜のペロブスカイト構造の結晶が非常
に良好であるぶん、c軸方向への配向性が強く見られ
る。
造の結晶を有しているので、2層目以降のPZT薄膜
も、この配向を有効に受け継ぐことができる。図6は、
以上の第1実施例及び第2実施例の方法で作成したPb
系強誘電体薄膜の配向性をX線回折パターンとして図示
したものである。図中aに示す従来例(原料溶液を数回
スピンコートしてから、最後に高温加熱するもの)は、
MgO(100)単結晶基板のc軸方向(001)への
配向性がほとんど見られないのに対し、図中bに示す第
1実施例のものは、従来例に比べてc軸配向性が向上し
ている。また、図中cに示す第2実施例のものは、第1
層目の純PZT薄膜のペロブスカイト構造の結晶が非常
に良好であるぶん、c軸方向への配向性が強く見られ
る。
【0026】以上の実施例にあっては、以下のような変
形例が考えられる。 1)第1実施例において、純PZT薄膜3を得るのに、
温度600℃、時間5分間という条件を用いたが、温度
を下げる代わりに時間を延ばしてもよい。この温度と時
間の関係は、原料溶液の材質や膜厚によっても異なるの
で、適宜実験に基づいて決定すればよい。 2)第1実施例において、(Pb/Zr/Ti=110
/50/50)を主成分とする有機金属アルコール溶
液、すなわち、ZrとTiの量に対して110%の量の
Pbを用いているが、円滑に純PZT薄膜を得るには、
ZrとTiの量に対して111%の量のPbを用いるこ
とが望ましい。 3)前記有機金属アルコール溶液の溶媒として、酢酸等
の他の有機溶媒を用いてもよい。 4)原料溶液を、スピンコート法ではなくディップコー
ト法で塗布してもよい。 5)MgO(100)単結晶基板に代えて、Pb系強誘
電体との格子整合性が比較的よい基板(例えば、スピネ
ル基板、Pt(111)配向基板、Pt(111)配向
基板)を用いる。 6)金属成分としてのPb(Zr,Ti)O3に代え
て、PbTiO3、(Pb,La)TiO3、(Pb,L
a)(Zr,Ti)O3等を用いる。 7)第1実施例において、第1層目の有機金属アルコー
ル溶液中のPbの原子比を110としたが、この数値に
限定するものではなく、115はもちろん、114、1
13、103等、本発明の主旨に逸脱していなければど
のような数値であってもよい。 8)第2実施例において、第1層目の有機金属アルコー
ル溶液中のPbの原子比を115としたが、この数値に
限定するものではなく、要は最終層目の原料溶液のPb
原子比よりも多ければよい。例えば、Pb/Zr/Ti
=114/50/50であってもよい。 9)上記実施例ではペロブスカイト相を得る熱処理温度
として600℃に設定したが、これに限定するものでは
なく、原料溶液の膜厚、組成比等により適宜変更すべき
ものである。 10)有機金属溶液のZrとTiの組成比(原子比)を
50/50としているが、これに限定するものではな
く、Zr/Ti=40/60、Zr/Ti=70/30
等適宜調整されるべきものである。
形例が考えられる。 1)第1実施例において、純PZT薄膜3を得るのに、
温度600℃、時間5分間という条件を用いたが、温度
を下げる代わりに時間を延ばしてもよい。この温度と時
間の関係は、原料溶液の材質や膜厚によっても異なるの
で、適宜実験に基づいて決定すればよい。 2)第1実施例において、(Pb/Zr/Ti=110
/50/50)を主成分とする有機金属アルコール溶
液、すなわち、ZrとTiの量に対して110%の量の
Pbを用いているが、円滑に純PZT薄膜を得るには、
ZrとTiの量に対して111%の量のPbを用いるこ
とが望ましい。 3)前記有機金属アルコール溶液の溶媒として、酢酸等
の他の有機溶媒を用いてもよい。 4)原料溶液を、スピンコート法ではなくディップコー
ト法で塗布してもよい。 5)MgO(100)単結晶基板に代えて、Pb系強誘
電体との格子整合性が比較的よい基板(例えば、スピネ
ル基板、Pt(111)配向基板、Pt(111)配向
基板)を用いる。 6)金属成分としてのPb(Zr,Ti)O3に代え
て、PbTiO3、(Pb,La)TiO3、(Pb,L
a)(Zr,Ti)O3等を用いる。 7)第1実施例において、第1層目の有機金属アルコー
ル溶液中のPbの原子比を110としたが、この数値に
限定するものではなく、115はもちろん、114、1
13、103等、本発明の主旨に逸脱していなければど
のような数値であってもよい。 8)第2実施例において、第1層目の有機金属アルコー
ル溶液中のPbの原子比を115としたが、この数値に
限定するものではなく、要は最終層目の原料溶液のPb
原子比よりも多ければよい。例えば、Pb/Zr/Ti
=114/50/50であってもよい。 9)上記実施例ではペロブスカイト相を得る熱処理温度
として600℃に設定したが、これに限定するものでは
なく、原料溶液の膜厚、組成比等により適宜変更すべき
ものである。 10)有機金属溶液のZrとTiの組成比(原子比)を
50/50としているが、これに限定するものではな
く、Zr/Ti=40/60、Zr/Ti=70/30
等適宜調整されるべきものである。
【0027】
【発明の効果】本発明における強誘電体薄膜の製造方法
にあっては、最初のペロブスカイト構造がシードとなっ
て、配向性を引き継ぎ易くなるので、結晶の配向性が良
好で、信頼性の高いものを得ることができる。特に、最
初に塗布するPb系強誘電体材料溶液中のPbの割合
を、少なくとも最後に塗布するものよりも高くしておく
ことにより、最初に塗布したPb系強誘電体材料溶液が
良好にペロブスカイト構造の結晶となり、強誘電体薄膜
の結晶の配向性が更に良くなる。
にあっては、最初のペロブスカイト構造がシードとなっ
て、配向性を引き継ぎ易くなるので、結晶の配向性が良
好で、信頼性の高いものを得ることができる。特に、最
初に塗布するPb系強誘電体材料溶液中のPbの割合
を、少なくとも最後に塗布するものよりも高くしておく
ことにより、最初に塗布したPb系強誘電体材料溶液が
良好にペロブスカイト構造の結晶となり、強誘電体薄膜
の結晶の配向性が更に良くなる。
【0028】また、基板として、Pb系強誘電体との格
子整合性が比較的よいものを用いることにより、基板の
配向と強誘電体薄膜の配向との整合性が良好となる。
子整合性が比較的よいものを用いることにより、基板の
配向と強誘電体薄膜の配向との整合性が良好となる。
【図1】本発明の第1の実施例におけるPb系強誘電体
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるPb系強誘電体
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるPb系強誘電体
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるPb系強誘電体
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるPb系強誘電体
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
薄膜を製造するプロセスを順次示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施例、第2実施例及び従来の方
法で作成したPb系強誘電体薄膜の配向性をX線回折パ
ターンを示すグラフである。
法で作成したPb系強誘電体薄膜の配向性をX線回折パ
ターンを示すグラフである。
1 MgO単結晶基板 2 チタン酸ジルコン酸鉛薄膜(PZT薄膜) 3、6 純PZT薄膜(強誘電体薄膜) 4、5 PZT薄膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 37/02 41/24 H01L 41/22 A
Claims (9)
- 【請求項1】 原料溶液がペロブスカイト構造になりや
すい条件で、基板上に強誘電体薄膜を形成したことを特
徴とする強誘電体薄膜の製造方法。 - 【請求項2】 前記条件は、前記原料溶液として、鉛
(Pb)の含まれている割合の高いPb系強誘電体材料
溶液を用いることであることを特徴とした請求項1に記
載の強誘電体薄膜の製造方法。 - 【請求項3】 前記条件は、前記原料溶液を比較的高温
で熱処理することであることを特徴とした請求項1又は
2に記載の強誘電体薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 基板上に、原料溶液を、熱処理工程を挟
んで2回以上塗布し、その後、原料溶液がペロブスカイ
ト構造となる温度で熱処理するものであって、最初の原
料溶液を塗布した後の熱処理時の温度を、この原料溶液
がペロブスカイト構造となる温度としたことを特徴とす
る強誘電体薄膜の製造方法。 - 【請求項5】 基板上に、原料溶液を、熱処理工程を挟
んで2回以上塗布し、その後、原料溶液がペロブスカイ
ト構造となる温度で熱処理するものであって、最初の原
料溶液を塗布した後の熱処理時の時間を、この原料溶液
がペロブスカイト構造となる時間としたことを特徴とす
る強誘電体薄膜の製造方法。 - 【請求項6】 基板上に、Pb系強誘電体材料溶液を、
熱処理工程を挟んで2回以上塗布し、その後、Pb系強
誘電体材料溶液がペロブスカイト構造となる温度で熱処
理するものであって、最初に塗布するPb系強誘電体材
料溶液中のPbの割合を、最後に塗布するものよりも高
くしたことを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。 - 【請求項7】 前記最初に塗布するPb系強誘電体材料
溶液中のPbの原子比が、化学量論組成よりも多いこと
を特徴とした請求項6に記載の強誘電体薄膜の製造方
法。 - 【請求項8】 前記基板として、MgO(100)単結
晶基板、スピネル単結晶基板、Pt(111)配向基
板、Pt(100)配向基板等、Pb系強誘電体との格
子整合性が比較的よいものを用いたことを特徴とする請
求項4乃至7のいずれかに記載の強誘電体薄膜の製造方
法。 - 【請求項9】 前記原料溶液又はPb系強誘電体材料溶
液として、Pb系ペロブスカイト型強誘電体を構成する
金属を含む有機金属溶液を用いたことを特徴とする請求
項1乃至8のいずれかに記載の強誘電体薄膜の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20543494A JPH0867599A (ja) | 1994-08-30 | 1994-08-30 | 強誘電体薄膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20543494A JPH0867599A (ja) | 1994-08-30 | 1994-08-30 | 強誘電体薄膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0867599A true JPH0867599A (ja) | 1996-03-12 |
Family
ID=16506808
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20543494A Pending JPH0867599A (ja) | 1994-08-30 | 1994-08-30 | 強誘電体薄膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0867599A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002027809A1 (fr) * | 2000-09-27 | 2002-04-04 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Element a pellicule dielectrique mince, actionneur comprenant cet element, tete a jet d'encre et enregistreur a jet d'encre |
JP2006245619A (ja) * | 1997-03-27 | 2006-09-14 | Seiko Epson Corp | 圧電体素子の製造方法 |
-
1994
- 1994-08-30 JP JP20543494A patent/JPH0867599A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006245619A (ja) * | 1997-03-27 | 2006-09-14 | Seiko Epson Corp | 圧電体素子の製造方法 |
WO2002027809A1 (fr) * | 2000-09-27 | 2002-04-04 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Element a pellicule dielectrique mince, actionneur comprenant cet element, tete a jet d'encre et enregistreur a jet d'encre |
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