JPH0866157A - 組織状蛋白食品素材 - Google Patents

組織状蛋白食品素材

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JPH0866157A
JPH0866157A JP20571894A JP20571894A JPH0866157A JP H0866157 A JPH0866157 A JP H0866157A JP 20571894 A JP20571894 A JP 20571894A JP 20571894 A JP20571894 A JP 20571894A JP H0866157 A JPH0866157 A JP H0866157A
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protein
dry weight
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water
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JP20571894A
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Takashi Nishimura
隆司 西村
Takeshi Akasaka
武志 赤坂
Hiroyuki Mori
弘之 森
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Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 大豆蛋白及び小麦グルテンを含む植物性蛋白
ならびに澱粉を主原料とし、かつ水不溶性多糖類の乾燥
重量が全原料乾燥重量あたり5%以下に抑制され、繊維
が一方向に卓越して配向する実質的に非膨化の組織状蛋
白食品素材。 【効果】 緻密でかつ方向性に優れた繊維状の組織を有
し、咀嚼性、喉通りが良好で、味剤の保持性に優れ、風
味、色調の改善された組織状食品素材が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は植物性蛋白と澱粉を主成
分とし、緻密で組織に方向性を持ち、かつジューシーで
喉通りの良好な組織状蛋白食品素材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、蛋白質を凝固、加熱、蒸しに
より組織化した蛋白食品として、豆腐、蒲鉾、ハム、ソ
ーセージが主に知られている。近年、練り製品のような
食感でなく、組織を膜状、繊維状に加工し、肉や貝柱等
に似た組織、食感を有する新しいタイプの蛋白組織化食
品が開発され、市場にも出回っている。蛋白質を組織化
する方法としては、エクストルーダーによる方法、蛋白
原料を酸、アルカリ性溶液としてノズル噴射して繊維状
にする方法、加熱や凝固による方法等が知られている
が、ほとんどがエクストルーダーによる方法である。し
かしながら、エクストルーダーによる方法では、水と混
合し、加圧加熱下で混練された原料がほとんどダイ出口
で膨化させることにより組織化するので、緻密で方向性
のある繊維状の組織とならない等の問題があった。この
問題に対し、ダイ出口の口金部分において原料がフラッ
シュしない温度まで冷却してから押し出すことにより膨
化を防止することが提案されている(特開昭64-23855号
公報)。
【0003】植物性蛋白、あるいは植物性蛋白と澱粉と
を主原料とし、これを水と混合して二軸エクストルーダ
ーを用いて繊維状に組織化する方法は、特開昭61-22494
1号公報、JAOCS, Vol.70, p.417, 1993(大豆蛋白と澱
粉)、特開昭60-248139、特開昭64-23855号公報(大豆
蛋白と小麦グルテン)等がある。しかし、これらは植物
性蛋白と澱粉以外に水不溶性多糖類が含まれていたり、
水分含量が低く、高い水分含量を保持させて組織するに
は至っていなかったりすることで、得られた組織状蛋白
食品の喉通り、咀嚼性、味剤の保持性について必ずしも
満足できるものではなかった。
【0004】一方、蛋白含有物質の流動性を改善させる
ために還元剤を添加することが特開昭60-248139等に開
示されているが、流動性の改善に有効な量の還元剤を添
加すると、色調に赤みが増したり、組織化物の繊維性、
組織強度を低下させるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題を解決するためになされたものであり、緻密でかつ
方向性に優れた繊維状の組織を有し、かつ咀嚼性、喉通
りも良好な組織状蛋白食品素材を、蓄肉や魚肉等の動物
性蛋白質を使用することなく、植物性蛋白と澱粉を主成
分として提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記のよう
な課題について鋭意研究を行った結果、分離大豆蛋白及
び小麦グルテンを含む植物性蛋白ならびに澱粉を主成分
とし、かつ、水不溶性多糖類の乾燥重量が全原料乾燥重
量あたり5%以下に抑制された原料を調製して、これに
多量の水を添加し、加圧加熱下で混練した後、この蛋白
食品原料が膨化もしくはフラッシュしない温度まで冷却
して押し出すことで風味、色調が良好で、緻密でかつ方
向性に優れた繊維組織を有し、咀嚼性、喉通りも良好な
組織状蛋白食品素材が得られるという知見を得た。
【0007】すなわち、本発明は、分離大豆蛋白及び小
麦グルテンを含む植物性蛋白ならびに澱粉を主成分と
し、かつ、水不溶性多糖類の乾燥重量が全原料乾燥重量
あたり5%以下に抑制され、繊維が一方向に卓越して配
向する実質的に非膨化の組織状蛋白食品素材である。
【0008】本発明はまた、大豆蛋白及び小麦グルテン
を含む植物性蛋白ならびに澱粉を主原料とし、かつ、水
不溶性多糖類の乾燥重量が全原料乾燥重量あたり5%以
下に抑制された原料を調製し、これを水分含量50〜70%
で押出機中加圧加熱した後、冷却ダイを通じて実質的に
膨化させることなく押し出して組織化することを特徴と
する繊維が一方向に卓越して配向する組織状蛋白食品素
材の製造方法である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明において、蛋白食品原料として分離
大豆蛋白を用いるのは、おからやホエー成分が分離され
て精製度が高く、風味が優れているからである。また、
分離大豆蛋白だけでは組織が固くなるだけで組織の方向
性は発現しないが、澱粉を添加することで組織が方向性
を持ち、緻密な繊維状構造をとることができる。さらに
小麦グルテンを添加することで組織の繊維性と強度を向
上させることができる。小麦グルテンの添加は分離大豆
蛋白の乾燥重量比で10〜50%の置き換えが好ましい。こ
れ以上添加すると、組織は固くなりすぎ食感が低下し、
風味も悪くなる。全原料乾燥重量あたりの分離大豆蛋白
および小麦グルテンを含む植物性蛋白と澱粉の乾燥重量
が、それぞれ60〜90%、10〜40%が好ましい。澱粉をこ
れ以上増やすと組織が柔らかくなり、加水の際に澱粉が
溶出してしまう。また澱粉の種類としては、小麦澱粉、
馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、α化コーンスターチ等が
挙げられる。組織の繊維性と組織強度の点から、α化コ
ーンスターチが好ましい。なお、膨潤性、溶解性を抑制
させた架橋澱粉は、水不溶性多糖類と同様に組織の繊維
構造を劣化させる等の悪影響を及ぼすため好ましくな
い。
【0011】おから、パルプ等の水不溶性多糖類は、従
来の膨化タイプの組織状蛋白食品においては組織の膨化
状態の改善や保水性の改善、あるいは増量の目的で積極
的に添加することがなされてきた。ところが、本発明者
らの研究において、このような水不溶性多糖類の添加
は、かえって組織の繊維性や喉通りを低下させるという
ことが明らかとなった。よって、本発明においては、蛋
白食品原料中に水不溶性多糖類が存在しないことが好ま
しく、もし分離大豆蛋白の調製工程で混入してくる場合
や、他の原料から移行する場合は、水不溶性多糖類の乾
燥重量が全原料乾燥重量あたり5%以下に抑えることが
望ましい。
【0012】本発明では、必要に応じて組織の色調を改
善するために、原料中に、あるいは組織化前に酸化防止
剤(還元剤)を添加する。酸化防止剤を添加して組織化
することで組織化物の酸化による褐変を抑制することが
できる。酸化防止剤としては、L−アスコルビン酸及び
その塩類が好適に使用され、その添加量は全原料乾燥重
量あたりの0.05〜0.5%なるようにすればよい。
【0013】次にこのような蛋白食品原料に加える水の
量は、組織化後の水分含量が50〜70%となるように調整
する。水分含量が50%未満であると組織化後の蛋白食品
素材の組織強度が高くなり、さらに組織内部でも部分的
に気泡が生じて、そのままでは勿論、加水後も組織が固
く、咀嚼性、特に喉通りが格段に悪くなる。水分含量が
70% を越えると組織が柔らかくなり、さらには組織化で
きなくなる。
【0014】また、蛋白食品原料にはこれらの他に、組
織の繊維性、組織強度を損なわない範囲で製造する製品
の用途に応じてその他の原料を加えることができ、たと
えば各種の調味料や油脂を加えて食品蛋白原料自体に味
を持たすことも可能である。
【0015】得られた蛋白食品原料を組織化させるため
に、二軸エクストルーダーを利用する場合は、バレルの
加熱温度はバレル前半部の温度が90〜120℃、バレル後
半部の温度が140〜170℃になるように調整し、また圧力
は冷却ダイ直前の圧力が3〜25kg/cm2となるように調整
する。スクリューの構成は剪断力を強くし、蛋白食品原
料を充分に組織化させるため、ニーディングディスク、
リバーススクリューを組み合わせて使用することが望ま
しい。このように蛋白食品原料を高温高圧下で混練して
組織化した後、二軸エクストルーダー先端の冷却ダイで
組織が膨化、フラッシュしないように冷却しながら押し
出す。
【0016】上記に如く調製された組織状蛋白食品素材
は含水量が50〜70%であり、組織化物の風味が良く、色
調も明るく、緻密でかつ繊維性に優れた組織を持ち、咀
嚼性に優れ、喉通りも良く官能評価も高い。
【0017】この組織状蛋白食品素材の組織の繊維性、
強度はインストロン等の物性測定器を用いた引張り破断
試験で測定できる。
【0018】この組織状蛋白食品素材の組織の強度は、
水分含量を60%の状態に調整し、室温下で測定したとき
の繊維配向方向の引張り破断最大応力が30〜120g/mm2
好ましくは50〜90g/mm2 であることが望ましい。繊維性
(組織配向性)は、繊維配向方向のその垂直方向の対す
る強度比が大きいほど優れていると考えられるが、繊維
配向方向の引張り破断最大応力(T)とその垂直方向の
引張り破断最大応力(Y)の比(T/Y)が2以上、好
ましくは3以上であることが望ましい。
【0019】この組織状食品素材を加水させることで、
さらに繊維性食感が向上する。この加水したものはカニ
足肉のような繊維が得られ、食感もカニ足肉と非常に近
いものとなる。この組織状蛋白食品素材は加水後の味剤
の保持性も高く、咀嚼中に味抜けすることなく摂取でき
る。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、緻密でかつ方向性に優
れた繊維状の組織を有し、咀嚼性、喉通りも良好で、味
剤の保持性に優れ、風味、色調の改善された組織状食品
素材を提供することが出来る。
【0021】
【実施例】以下に実施例、試験例を示し本発明をより詳
細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。なお、例中の%は、いずれも重量基準を
意味する。
【0022】〔実施例1〕(組織状蛋白食品素材の原料
比の検討) (1)組織状蛋白食品素材の調製 分離大豆蛋白、α化コーンスターチ、小麦グルテンおよ
び水不溶性多糖類としてパルプを表1に示されるように
配合し、蛋白食品原料とした。
【0023】
【表1】 分離大豆蛋白 : 不二製油(株)製 フジプロ N-PR-R α化コーンスターチ: 松谷化学(株)製 マツノリンCM 小麦グルテン : グリコ栄養食品(株)製 AグルG パルプ : ファイザー製薬(株)製
【0024】上記の各蛋白食品原料を、(株)日本製鋼
所製研究用小型二軸エクストルーダー(スクリュー直
径:30mm、長さ:300mm)の先端に冷却ダイ(厚み3m
m、幅10mm、長さ100mm、冷却温度45℃)を取り付けてた
ものを使用し、以下のようにして組織化を行った。ま
ず、エクストルーダーのバレル内に上記の蛋白食品原料
をそれぞれ0.35kg/h、水を0.44kg/hの割合で供給し
た。尚、水の供給量は組織化後の水分含量が60%になる
ように設定したものである。エクストルーダーはバレル
を150℃に加熱すると共に、スクリューを同方向に160rp
mで回転させ、水が加えられた上記蛋白食品原料を高温
高圧下で混練、組織化し、冷却ダイに冷却水を循環させ
冷却させつつ、ダイ圧力 8〜20kg/cm2にて押し出した。
【0025】(2)組織状蛋白食品素材の繊維配向性の
評価 (1)で得られた組織状蛋白食品素材を以下の条件下で
インストロン物性測定器で引張り破断試験を行った。得
られた評価値を表2に示す。 試験機器 インストロンフードテスター 4301型 試験条件:負荷10kg, 上昇速度30mm/min サンプル:測定部長さ5mm, 測定部幅1mm, 厚さ2mm
【0026】
【表2】
【0027】(結果) 分離大豆蛋白のみでは組織は固くなるだけで最大応力
の差がなく、組織の方向性は発現しなかった。 分離大豆蛋白に澱粉を添加することで最大応力比が2
以上となり、組織が方向性を持ち、緻密な繊維状構造を
とった。 分離大豆蛋白の一部を小麦グルテンに置き換えること
で、最大応力、最大応力比ともに向上し、組織の繊維
性、強度が向上した。 水不溶性多糖類であるパルプの添加は組織の最大応
力、最大応力比ともに低下させ、かつ組織の繊維性、強
度を低下させ、さらに咀嚼感、喉通りにも悪影響を与え
た。
【0028】〔実施例2〕(組織状蛋白食品素材の組織
化時の水分含量の影響) 蛋白食品原料の加水量を実施例1の原料(配合:分離
大豆蛋白:α化コーンスターチ:小麦グルテン=6:
2:2)に対し、変化させて、押し出し後の組織状蛋白
食品素材の水分含量を45%, 50%, 55%, 60%, 65%,
70%に調整する以外は、実施例1の方法に従って蛋白食
品素材を調製した。しかし、水分含量70%の条件下では
組織化できなかった。得られた組織状蛋白食品素材のイ
ンストロン物性測定器の引張り破断試験を行った。得ら
れた評価値を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】それぞれの官能評価結果を以下に示す。 : 押し出し後の組織は組織内部に気泡があり、噛
み切るのが難しいほど固かった。また、加水後(水分含
量80%) の組織も固く、咀嚼性が悪く、喉通りも良くな
かった。 : 押し出し後の組織は固く、咀嚼性、喉通りもあ
まり良くなかったが、加水後(水分含量80%) の組織は
繊維感があり、咀嚼性、喉通りも良くなっていた。 : 押し出し後の組織は緻密な繊維構造を示してお
り、食感も繊維感が感じられ、咀嚼性、喉通りも良好で
った。加水後(水分含量80%) の組織は繊維感、咀嚼
性、喉通りともに良くなっていた。 : 押し出し後の組織は柔らかく、繊維感、咀嚼感
はの方が良かった。しかし、喉通りはより優れ
ていた。加水後(水分含量80%) の組織も柔らかく同様
の傾向であった。 以上の結果から蛋白食品原料の組織化時の水分含量が50
%以上でないと組織が固くなりすぎ、そのままは勿論、
加水後も咀嚼性、喉通りが悪く、本発明の組織状蛋白食
品素材の効果を示すことができなかった。また水分含量
70%以上では組織が柔らかくなりすぎ、組織化できなか
った。
【0031】〔実施例3〕(組織状蛋白食品素材の色調
の改良) L−アスコルビン酸を実施例1の原料(配合:分離大
豆蛋白:α化コーンスターチ:小麦グルテン=6:2:
2)に対し、0%、0.05%、0.1%になるように組織化
前に添加する以外は、実施例1の方法に従って蛋白食品
素材を調製した。得られた蛋白食品素材を加水後にほぐ
して、それぞれの色調を色差計(日本電色工業(株)製
モデル Z-1001 DP) で測定した。結果を表4に示す。
【0032】
【表4】 アスコルビン酸を0.05%添加したものが明るく、さらに
赤み、黄色みが低下していた。特に赤みの低下が高く、
これが色調改善に寄与していた。これらの結果より、組
織化前にアスコルビン酸のような酸化防止剤を添加する
ことは、蛋白食品素材の色調改善に効果があることが明
らかとなった。
【0033】〔実施例4〕 (生産ラインでの検討) 二軸エクストルーダーの生産機での製造試験を行った。
幸和工業(株)製二軸エクストルーダー(スクリュー直
径:45mm、長さ:1125mm)の先端に冷却ダイ(厚み3m
m、幅50mm、長さ500mm、冷却温度45℃)を取り付けたも
のを使用し、以下のようにして組織化を行った。まず、
このエクストルーダーのバレル内に蛋白食品原料(分離
大豆蛋白:α化コーンスターチ:小麦グルテン=6:
2:2)を6.5kg/h、水を12.0kg/hの割合で供給し
た。エクストルーダーはバレル温度を♯2−105℃、♯
3−153℃、♯4−148℃、♯5−146℃に加熱すると共
に、スクリューを同方向に300rpmで回転させ、水が加え
られた上記蛋白食品原料を高温高圧下で混練、組織化
し、冷却ダイに冷却水を循環させ冷却させつつ、ダイ圧
力を10〜12kg/cm2で押し出した。このようにして得ら
れた組織状蛋白食品素材は研究用二軸エクストルーダー
で調製したものと同様に大豆が持つ悪風味が少なく、緻
密で方向性に優れた組織を持つものであった。該組織状
蛋白食品素材を50℃の温水に2〜3時間浸漬して加水し
たものは、水分含量が80%程度に増加し、繊維性が向上
し、咀嚼性、喉通りに優れた食品素材であった。ここで
得られた組織状蛋白食品素材の引張り強度試験の結果を
表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】〔試験例1〕 (味剤の保持性) 本発明の組織状蛋白食品素材と膨化タイプ組織化蛋白食
品素材と比較して着味した成分の保持にどのような差が
あるか検討した。味剤として食塩を用いて塩味の保持性
の比較試験を行った。試験に供する組織状蛋白食品素材
は実施例1−配合の条件で調製したものを用い、対照
となる膨化タイプ組織化物は不二製油(株)製ニューフジ
ニックN-PT-50を用いた。それぞれ水和させたサンプル
(20g)を3×3×10mmに細切し、5%食塩水(300g)
に一晩浸漬して食塩を保持させ、ザルで水切りした。こ
のサンプル(5g)を10倍量のイオン交換水(50g)に
浸漬し、経時時間毎に軽く攪拌したのち、浸漬水の伝導
率(S/cm)を伝導率計〔掘場製作所(株)製カスタニ
ーLAB伝導率計DS−14〕を用い、25℃にて測定し
た。また、分散後の伝導率は、浸漬したサンプルをその
ままホモゲナイザー(KINEMATICA AG 製 POLYTRON)で粉
砕・分散して測定した。伝導率の変化を組織から拡散し
た食塩量とみなし、組織化状態による味成分の保持性の
比較を行った。結果を表6に示す。尚、イオン交換水の
伝導率は1.00μS/cm、0.5%食塩水の伝導率は7.50m
S/cmであった。
【0036】
【表6】
【0037】膨化タイプが浸漬10分後で90%以上が溶出
しているのに対し、組織状蛋白食品素材は10分後で65
%、20分後で80%と膨化タイプに比べて小さく、食塩の
分散を抑制しており、膨化タイプより着味成分を長時間
保持できると判断される。着味成分の保持性は組織化物
の組織化条件による構造の違いによるものと考えられ、
本発明の組織状蛋白食品素材が物性、食感だけでなく、
その構造から着味成分の保持性にも優れることが明らか
となった。
【0038】〔試験例2〕 (組織状蛋白食品素材の食
材としての評価) 実施例3−で得た組織状蛋白食品素材を、種々の調理
態様において試作し、食材としての評価を行った。 :そのまま味付け煮込み 佃煮、貝類代替としてクラムチャウダー様のシチュー、
カレー等煮込み料理を試作し、評価した結果、繊維感は
低下するが歯ごたえがあり貝類の様な咀嚼感があり好ま
しい食材であった。 :加水後に味付け煮込み 佃煮、精進料理(煮物)、シチュー、カレー等煮込み料
理を試作し、評価した結果、柔らかく繊維感があり咀嚼
感は弱くなるが喉通りがさらに良くなり好ましい食材で
あった。 :加水後に圧扁して調理 サラダ、サンドイッチフィリング、酢の物、そぼろ、デ
ザート類を試作し、評価した結果、カニ足、ツナのよう
に使用でき、好ましい食材であった。細い繊維状に解繊
して十分に水洗すると大豆臭、グルテン臭はほとんどん
無くなった。 :その他、味付けしたものを炒め物、フライ、てんぷ
ら等で調理しても素材の繊維感、喉通りもよく、食材と
して良好であった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大豆蛋白及び小麦グルテンを含む植物性
    蛋白ならびに澱粉を主原料とし、かつ水不溶性多糖類の
    乾燥重量が全原料乾燥重量あたり5%以下に抑制され、
    繊維が一方向に卓越して配向する実質的に非膨化の組織
    状蛋白食品素材。
  2. 【請求項2】 室温下、水分含量60%の状態で測定した
    繊維配向方向の引張り破断最大応力が30〜120g/mm2、垂
    直方向に対する繊維配向方向の引張り破断最大応力の比
    が2以上である請求項1記載の組織状蛋白食品素材。
  3. 【請求項3】 全原料乾燥重量あたりの植物性蛋白なら
    びに澱粉の各乾燥重量が、それぞれ60〜90%、10〜40%
    である請求項1または2記載の組織状蛋白食品素材。
  4. 【請求項4】 大豆蛋白に対する小麦グルテンの比が乾
    燥重量比で10〜50%である請求項1〜3いずれか記載の
    組織状蛋白食品素材。
  5. 【請求項5】 大豆蛋白及び小麦グルテンを含む植物性
    蛋白ならびに澱粉を主原料とし、かつ、水不溶性多糖類
    の乾燥重量が全原料乾燥重量あたり5%以下に抑制され
    た原料を調製し、これを水分含量50〜70%で押出機中加
    圧加熱した後、冷却ダイを通じて実質的に膨化させるこ
    となく押し出して組織化することを特徴とする繊維が一
    方向に卓越して配向する組織状蛋白食品素材の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 原料中、又は組織化前に酸化防止剤を添
    加する請求項5記載の組織状蛋白食品素材の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸化防止剤がアスコルビン酸及びその塩
    である請求項6記載の組織状蛋白食品素材の製造方法。
JP20571894A 1994-08-30 1994-08-30 組織状蛋白食品素材 Pending JPH0866157A (ja)

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