JP2004041041A - 乾燥食品の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は肉及び繊維状構造に優れる組織状大豆蛋白からなる湯戻りが速く肉的食感に優れる乾燥食品の製造法を目的とした。
【解決手段】a.原料肉に、組織状大豆蛋白を加える工程、b.混練する工程、c.成形する工程、d.加熱する工程、e.乾燥する工程を含むことを特徴とする乾燥食品の製造法。
【選択図】なし。
【解決手段】a.原料肉に、組織状大豆蛋白を加える工程、b.混練する工程、c.成形する工程、d.加熱する工程、e.乾燥する工程を含むことを特徴とする乾燥食品の製造法。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は肉及び繊維状構造に優れる組織状大豆蛋白からなる湯戻りが速く肉的食感に優れる乾燥食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カップラーメン等の即席食品に用いられる乾燥食品の製造方法として、例えば特公昭57−34981号公報には、フィブリル構造繊維状蛋白と畜肉から乾燥肉様食品を製造する方法が開示されている。
また、特開平2−138957号公報にも湯戻り復元性に優れる乾燥食品が開示されているが、セルロースによるパサつきがあり肉的食感が不満である。
また、乾燥食品を製造する場合の上記2件の発明の蛋白原料(繊維状蛋白)は水分が高く冷凍または冷蔵流通である必要があり物流費がかさむ経済的欠点もある。
【0003】
ところで、最近、肉の値段が下がっている。また、フィブリル構造繊維状蛋白のコストダウンも限界がある。また、カップラーメンも一般化と共に低価格化も進んでいる。
以上のような経済的環境がある一方で、即席食品用乾燥食品は湯戻り時間の短縮化が求められ、より肉的食感が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来用いられていた繊維状大豆蛋白を用いた即席食品用乾燥食品に比べて湯戻り復元性に優れ肉的食感に優れる乾燥食品を目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究の結果、組織状大豆蛋白のなかでも繊維構造にすぐれる肉様食品、特に押出機で製造する際に原料にカルシウムなどのアルカリ土類金属を用いた肉様食品を用いて肉と混合し成形し加熱し乾燥(特に凍結乾燥)したものが前記課題を解決できる知見を得て本発明を完成するに到った。
即ち、本発明はa.原料肉に、組織状大豆蛋白を加える工程、b.混練する工程、c.成形する工程、d.加熱する工程、e.乾燥する工程を含むことを特徴とする乾燥食品の製造法である。
原料肉はミンチ状若しくは細切されたものが好ましい。
組織状大豆蛋白はアルカリ土類金属をカルシウム乾物換算で0.01〜3重量%相当含むことが好ましい。
組織状大豆蛋白は、大豆蛋白を主原料とし澱粉とアルカリ土類金属を用いて押出機で水系下に加圧加熱し押し出し膨化した繊維状構造に優れるものが好ましい。
肉原料と組織状大豆蛋白の割合は原料肉100重量部に対して、組織状大豆蛋白(水分8%の場合)5〜100重量部が好ましい。
c.成形する工程〜e.乾燥する工程の間若しくは前後で切断することが好ましい。
切断した乾燥食品の大きさは縦×横×幅=1〜100mm×5〜100mm×5〜100mmの範囲が好ましい。
乾燥は凍結乾燥が好ましい。
乾燥食品の水分は1〜15重量%が好ましい。
乾燥食品は湯戻り復元性に優れる即席食品用が好ましい。以上の特徴である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるa.原料肉は、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等一般に食用とされる食肉及びそれらの加工品、及び助惣鱈、マダラ、アンコウ、鯛、鯉等の日本国内外で漁獲される海水魚、淡水魚の全て及び蟹、海老類などの甲殻類、さらには帆立、蛤、アサリ等の貝類もしくは、これらの魚貝類より得られたすり身及び魚貝類の加工品を用いることが出来る。好ましくは食肉類が即席食品用として適当である。
本発明の原料肉はミンチ状若しくは細切されてb.の組織状大豆蛋白と混練される。原料肉を大きなブロック肉のまま組織状大豆蛋白と混合しても均一に混練するにはカッター処理などを十分行わなくてはならず、そうすると組織状大豆蛋白の繊維構造が切断されて得られる乾燥食品の肉様食感が低下し好ましくない。原料肉をミンチ状若しくは細切する態様は、例えばチョッパーやサイレントカッター等を用いて、ミンチ状又は細切れ状等に加工することが出来る。
【0007】
本発明に用いる組織状大豆蛋白は、繊維状構造に優れ、好ましくはしなやかな性質を有するものが適当である。
湯戻しして繊維状構造を有する組織状大豆蛋白は2軸押出機(エクストルーダー)を用いて大豆蛋白原料を水系下に加圧・加熱して押し出し膨化させて得ることが出来る。単軸エクストルーダーでは方向性が与えられず繊維状構造を形成することが困難である。
大豆蛋白原料は大豆蛋白及び小麦粉の組み合わせ、大豆蛋白と小麦粉と澱粉の組み合わせ、大豆蛋白と澱粉の組み合わせなどにより得ることが出来るが、好ましくは大豆蛋白、小麦粉及び澱粉の組み合わせや大豆蛋白と澱粉の組み合わせが適当である。
更に、湯戻しした組織状大豆蛋白がしなやかな食感を有するためにはカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩を併用、好ましくはカルシウム、その化合物を併用することが適当である。
本発明の組織状大豆蛋白は繊維状構造に優れ、好ましくはしなやかな食感を有するものが適当であるので、大豆蛋白を主原料とし澱粉(小麦粉も含む)とアルカリ土類金属を用いて押出機で水系下に加圧加熱し押し出し膨化させて得ることが好ましい。
このときアルカリ土類金属を例えばカルシウムであれば乾物換算で押出機に供する原料中0.01〜3重量%含むことが好ましい。
また、押出機に供する原料中大豆蛋白含量は乾物換算で40〜85重量%が好ましい。
また、押出機に供する原料中の澱粉含量は乾物換算で6〜40重量%が好ましい。
以上のようにして得られる組織状大豆蛋白は従来の酸沈澱大豆蛋白カードを背圧下にオリフィスから吐出させて得るフィブリル構造を有する繊維状大豆蛋白に比べ繊維が細いがしなやかで肉に近い繊維感を有するものである。
【0008】
本発明においてb.混練する工程は、肉原料と組織状大豆蛋白をミキサー等を用いて混練することが出来る。
肉原料と組織状大豆蛋白の割合が原料肉100重量部に対して、組織状大豆蛋白(水分8%の場合)5〜100重量部、好ましくは15〜50重量部が適当である。
本発明においては混合と混練は区別するものではなく、肉原料と組織状大豆蛋白をそのまま、好ましくは組織状大豆蛋白を水戻し或いは湯戻ししてから原料肉と混練することが組織状大豆蛋白のしなやかな繊維状構造を発現させるのに好適である。
原料肉と組織状大豆蛋白を混練する手段は組織状大豆蛋白の繊維状構造を切断などして壊さない態様が好ましく、例えば混合機、サイレントカッターなどを用いる場合であれば刃の背を利用して混練することが好ましい。
サイレントカッターの刃の背で混練すると混練中に組織状大豆蛋白の水和物が繊維状にほぐれ適当な生地を形成できる。また、水或いは湯を用いて戻した組織状大豆蛋白を予めサイレントカッターなどの刃の背などで繊維状にほぐしてから用いることも出来る。予め繊維状にほぐしてから肉原料と混練するほうが肉原料との均一な混練物を形成することが出来るので好ましい。
原料肉と組織状大豆蛋白は均一に混合されることが必要である。均一に混合されて得られる乾燥食品は湯戻ししたとき肉様の食感に優れるものとなる。また、肉だけの乾燥では湯戻りしないものを本発明に用いる組織状大豆蛋白を用いることにより湯戻り復元の速度が速くなる効果がある。
【0009】
尚、この混合のときに調味や着色などすることが出来る。調味料、着色料などは市販のものを利用することが出来る。
又、必要に応じて、卵白などの蛋白、加工澱粉などの澱粉類、野菜、その他の食品添加物、pH調製剤等を加えることが出来る。
【0010】
本発明において前述の肉原料と組織状大豆蛋白、その他の原料を用いて混合された生地はc.成形することが出来る。
この成形は次の加熱工程により処理されやすくするためであり、任意の形状に成形することが出来る。
従って、成形する態様は、公知の打ち抜き成形機やドラム成形機等を利用することが出来る。またケーシングに詰めて成形することも出来る。
【0011】
このように成形された生地は、この成形工程の後、又は次の加熱工程の後であって乾燥工程の前に乾燥食品の形状に裁断することが出来る。
生地の状態では柔らかい状態であったり可塑状態であったりするので。予備冷凍を行って固形化して所望の形状に切断することが出来る。
形状はブロック状でもスライス状でも良く、乾燥工程の前或いは後で乾燥食品のサイズが後述のサイズとなるようにすることが好ましい。
乾燥の前に切断しておくと乾燥が早いだけでなく、切断により壊れることが少ない。
【0012】
乾燥食品のサイズは即席食品の具材として適当な大きさであればよいので特に限定しないが常識的な範囲が好ましい。
例えば、切断した乾燥食品の大きさは縦×横×幅=1〜100mm×5〜100mm×5〜100mmの範囲、好ましくは肉様のスライス状である1〜10mm×5〜20mm×5〜30mmが好ましい。
【0013】
次に、本発明において、かかる生地を、d.加熱することが出来る。
加熱の態様は調理されれば良く、特に限定するものではないが蒸し・焼・フライ等の加熱調理することが出きる。
【0014】
本発明において成形された生地、あるいは更に切断された生地はe.乾燥することが必須である。
本発明の乾燥食品が湯戻り復元性に優れる乾燥手段であれば特に限定しないが、工業的には凍結乾燥が好適である。
凍結乾燥手段は公知の手段を利用することが出来、凍結乾燥により湯戻り復元性に優れた乾燥食品とすることが出来る。
本発明の乾燥食品が薄いものであったり細かい粒状であれば凍結乾燥以外の手段を用いることが出来るが、肉片様の大きさでは通常の乾燥手段では湯戻り復元に時間がかかったり、芯が残ることもあるので凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥手段を利用すれば乾燥食品が適当な大きさの肉片でも湯戻り復元性を発現させることが出来る。
乾燥された本発明の乾燥食品の水分は1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%が適当である。水分活性が高く腐敗がない水分範囲であれば特に限定するものではない。
【0015】
本発明の乾燥食品は特に用途を制限するものではないが、その特性より湯戻り復元性に優れる即席食品用が好ましい。
以上のようにして得られる乾燥食品は、従来のフィブリル繊維と肉原料から得られた乾燥食品に比べて、食感が肉により類似しているだけでなく、水又は湯戻り復元速度も速いものである。
【0016】
以下、実施例により本発明の実施態様を説明するが、例示は当然単なる説明であって、発想思想の内包・外延とは直接関係の無いものである。
比較例1
(繊維状大豆蛋白の製造)
大豆蛋白原料のスラリー(水分75%、pH5)を、パイプ熱交換器により加圧下に加熱流動させ、φ1mmのオリフィス穴を通して放出し、繊維化させることによりフィブリル構造を有する繊維状大豆蛋白を製造した。
これを「試作品AW」という。この水分は65%であった。
【0017】
(ドライミートの製造)
豚ばら肉90.5重量部はΦ3mmでチョッパー引きし、調味料、色素等9.5重量部を加え、ミキサーで混合し、厚さ約10mmに成形後、切断し易くする為予備冷凍し、10mm×10mm×10mmのキュービック状に切断し、90℃*5分蒸し加熱を行い中心温度が85℃になるようにし、その後、凍結乾燥を行ってドライミートNo.1を得た。豚ばら肉90.5重量部の代わりに、豚ばら肉55重量部をΦ3mmでチョッパー引きし、さらに「試作品AW」35.5重量部を加え、ドライミートNo.1と同様に調製し、ドライミートNo.2を得た。
評価方法については、10名の専門パネラーにより、良い:○、普通:△、悪い:×で、湯戻し(90℃*3分)しで官能評価を行った。湯戻り復元性については、90℃1分、3分での湯戻し後の重量を蒸し加熱後の重量で割り、100を乗じパーセントで表した。「試作品AW」は生地pHが6.5となるように、あらかじめ重曹でpHの調整を行った。
【0018】単位:重量部
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No. 1 2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
豚ばら肉 90.5 55.0
食塩 3.0 3.0
砂糖 3.0 3.0
グルタミン酸Na 3.0 3.0
色素 0.5 0.5
「試作品AW」 − 35.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0 100.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 71.6 76.2
(90℃3分) 73.7 82.8
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官能評価
肉的繊維感 × △
肉的風味 ○ △
湯戻り性 × △
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総合評価 × △
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0019】
「試作品AW」を配合したドライミートNo.2は、ドライミートNo.1と比較して総合評価で改善がみられた。すなわち、肉的繊維感については、原料肉は細かく裁断している為、ドライミートNo.1は肉的繊維感に乏しいが「試作品AW」を配合することで、肉的繊維感が付与された。肉的風味については、肉の配合量が減った分、肉的風味が低減した。湯戻り復元性については、「試作品AW」を配合することで、湯戻り復元性が向上し、改善がみられた。しかしながら、ドライミートNo.2の肉的繊維感や湯戻り性は充分ではなく、満足いくものではなかった。
【0020】
実施例1
(組織状大豆蛋白の製造)
分離大豆蛋白(ニューフジプロ−E、不二製油(株)製)55重量部、脱脂大豆25重量部と小麦澱粉20重量部を混合し、さらにこの混合原料にカルシウム量1重量%に相当する量の硫酸カルシウムを混合したもの100重量部、水40重量部をエクストルーダーに供給して加熱、加圧、乾燥処理を行い製品を得た。なお、実施例に用いたエクストルーダーは二軸型のものであり、運転は全てスクリュー回転数200rpm、バレル入口側温度80℃、中央部120℃、出口側150℃、ダイの穴の径5mm、粉体原料流量30kg/時の条件で行った。
これを「試作品B1」という。同様にして、混合原料にカルシウム量5重量%に相当する量の硫酸カルシウムを混合したものから得た製品を「試作品B5」という。又、同様にして、混合原料に硫酸カルシウムを添加しなかったものから得た製品を「試作品B0」という。「試作品B0、B1、B5」の各々の水分は8%であった。次に、これら「試作品B0、B1、B5」各々1重量部に対し水6重量部を加え、充分に水和させた後、フードカッターの裏刃にて攪拌し、繊維状にほぐし、最終「試作品B0」水戻し品(以下「試作品B0W」と呼ぶ)、「試作品B1」水戻し品(以下「試作品B1W」と呼ぶ)、「試作品B5」水戻し品(以下「試作品B5W」と呼ぶ)、各々2.63重量部を得た。なお、この操作により本実施例においては「試作品B0W、B1W、B5W」の水分含量は「試作品AW」の水分と同じになった。
【0021】
(ドライミートの製造)
比較例1と同様にして、ドライミートを作製した。すなわち、比較例1の「試作品AW」35.5重量部の代わりに「試作品B0W」35.5重量部を用いて、ドライミートNo.3を、「試作品B1W」35.5重量部を用いて、ドライミートNo.4を、「試作品B5W」35.5重量部を用いて、ドライミートNo.5を得た。評価方法については、比較例1と同様に行った。
【0022】単位:重量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
No. 3 4 5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
豚ばら肉 55.0 55.0 55.0
食塩 3.0 3.0 3.0
砂糖 3.0 3.0 3.0
グルタミン酸Na 3.0 3.0 3.0
色素 0.5 0.5 0.5
「試作品B0W」 35.5 − −
「試作品B1W」 − 35.5 −
「試作品B5W」 − − 35.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0 100.0 100.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 82.5 82.8 83.4
(90℃3分) 87.6 88.8 89.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
官能評価
肉的繊維感 × ○ ○
肉的風味 △ △ ×(苦味)
湯戻り性 ○ ○ ○
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総合評価 △ ○ △
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【0023】
試作品B1Wを配合したドライミートNo.4は、比較例1のドライミートNo.2と比較し、肉的繊維感及び湯戻り性に飛躍的な改善が見られた。すなわち、繊維状大豆蛋白である試作品AWを用いたドライミートNo.2と比較し、繊維が細いがしなやかで肉に近い繊維感を有する試作品B1Wを用いたドライミートNo.4の方が、肉的な繊維感に優れており、湯戻り復元性(90℃1分)も80%以上であり、大幅な改善が見られた。
ところで、カルシウムを添加せずに作製した試作品B0Wは、試作品B1Wのような繊維状構造では無く、スポンジ的な構造であった為、これを用いて作製したドライミートNo.3は、肉的繊維感に乏しかった。
また、カルシウムを多く添加して作製した試作品B5Wは、試作品B1Wのような繊維構造を有していたものの、これを用いて作製したドライミートNo.5の風味は、カルシウム由来と思われる苦味を感じるものであった。
【0024】
実施例2
(試作品B1Wを用いたドライミートの製造)
実施例1で得られた試作品B1Wを豚ばら肉と各割合で置換してドライミートを作製し、比較評価を行った。製法、評価方法等は、実施例1と同様に行った。
【0025】
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No. 7 8
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豚ばら肉 27.6 −
食塩 3.0 3.0
砂糖 3.0 3.0
グルタミン酸Na 3.0 3.0
色素 0.5 0.5
「試作品B1W」 62.9 90.5
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合計 100.0 100.0
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湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 89.5 117.4
(90℃3分) 104.6 122.1
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官能評価
肉的繊維感 △(やや硬) ×(硬)
肉的風味 × ×
湯戻り性 ○ ○
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総合評価 △ ×
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【0026】
試作品B1Wを配合することで、ドライミートの肉的繊維感は付与された。しかし、ドライミートNo.8のように、試作品B1Wを過剰に配合すると、繊維感を感じ過ぎて硬い肉のような食感になり、好ましくなかった。肉的風味については、試作品B1Wの配合量が増えるに従って(豚ばら肉の配合を減らしているので)肉的風味は低減した。湯戻り復元性については、試作品B1Wを配合することで、大幅に改善され、試作品B1Wの配合量が増えるに従って、改善の効果は大きくなった。肉的繊維感、肉的風味、湯戻り性、湯戻り復元性を考慮した総合評価として、生地中の試作品B1Wの配合量は、10重量%から65重量%、好ましくは、25重量%から50重量%が適当であった。すなわち、試作品B1(水分8%)の配合量としては、肉100重量部に対して、5重量部から100重量部、好ましくは、15重量部から50重量部が適当であった。
【0027】
実施例3
(乾燥方法の違い)
実施例1及び2は、ドライミートの乾燥手段として凍結乾燥を行った。本実施例3では、熱風乾燥を行ってドライミートを作製し、凍結乾燥品との比較評価を行った。すなわち、実施例1におけるドライミートNo.4の乾燥前品について、95℃60分で熱風乾燥を行うことでドライミートNo.9を得、実施例1のドライミートNo.4(凍結乾燥品)と比較評価を行った。
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No. 4 9
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湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 82.8 54.7
(90℃3分) 88.8 60.8
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官能評価
肉的繊維感 ○ ○
肉的風味 △ △
湯戻り性 ○ ×
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総合評価 ○ △
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【0028】
凍結乾燥を行ったドライミートNo.4と比較し、熱風乾燥を行ったドライミートNo.9は、湯戻り復元性の数値はかなり低く、湯戻り復元性は不良であった。しかし、肉的繊維感は、ドライミートNo.4同様、良好であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、湯戻り復元性に優れ即席食品用として好適な乾燥食品が完成したものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は肉及び繊維状構造に優れる組織状大豆蛋白からなる湯戻りが速く肉的食感に優れる乾燥食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カップラーメン等の即席食品に用いられる乾燥食品の製造方法として、例えば特公昭57−34981号公報には、フィブリル構造繊維状蛋白と畜肉から乾燥肉様食品を製造する方法が開示されている。
また、特開平2−138957号公報にも湯戻り復元性に優れる乾燥食品が開示されているが、セルロースによるパサつきがあり肉的食感が不満である。
また、乾燥食品を製造する場合の上記2件の発明の蛋白原料(繊維状蛋白)は水分が高く冷凍または冷蔵流通である必要があり物流費がかさむ経済的欠点もある。
【0003】
ところで、最近、肉の値段が下がっている。また、フィブリル構造繊維状蛋白のコストダウンも限界がある。また、カップラーメンも一般化と共に低価格化も進んでいる。
以上のような経済的環境がある一方で、即席食品用乾燥食品は湯戻り時間の短縮化が求められ、より肉的食感が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来用いられていた繊維状大豆蛋白を用いた即席食品用乾燥食品に比べて湯戻り復元性に優れ肉的食感に優れる乾燥食品を目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究の結果、組織状大豆蛋白のなかでも繊維構造にすぐれる肉様食品、特に押出機で製造する際に原料にカルシウムなどのアルカリ土類金属を用いた肉様食品を用いて肉と混合し成形し加熱し乾燥(特に凍結乾燥)したものが前記課題を解決できる知見を得て本発明を完成するに到った。
即ち、本発明はa.原料肉に、組織状大豆蛋白を加える工程、b.混練する工程、c.成形する工程、d.加熱する工程、e.乾燥する工程を含むことを特徴とする乾燥食品の製造法である。
原料肉はミンチ状若しくは細切されたものが好ましい。
組織状大豆蛋白はアルカリ土類金属をカルシウム乾物換算で0.01〜3重量%相当含むことが好ましい。
組織状大豆蛋白は、大豆蛋白を主原料とし澱粉とアルカリ土類金属を用いて押出機で水系下に加圧加熱し押し出し膨化した繊維状構造に優れるものが好ましい。
肉原料と組織状大豆蛋白の割合は原料肉100重量部に対して、組織状大豆蛋白(水分8%の場合)5〜100重量部が好ましい。
c.成形する工程〜e.乾燥する工程の間若しくは前後で切断することが好ましい。
切断した乾燥食品の大きさは縦×横×幅=1〜100mm×5〜100mm×5〜100mmの範囲が好ましい。
乾燥は凍結乾燥が好ましい。
乾燥食品の水分は1〜15重量%が好ましい。
乾燥食品は湯戻り復元性に優れる即席食品用が好ましい。以上の特徴である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるa.原料肉は、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等一般に食用とされる食肉及びそれらの加工品、及び助惣鱈、マダラ、アンコウ、鯛、鯉等の日本国内外で漁獲される海水魚、淡水魚の全て及び蟹、海老類などの甲殻類、さらには帆立、蛤、アサリ等の貝類もしくは、これらの魚貝類より得られたすり身及び魚貝類の加工品を用いることが出来る。好ましくは食肉類が即席食品用として適当である。
本発明の原料肉はミンチ状若しくは細切されてb.の組織状大豆蛋白と混練される。原料肉を大きなブロック肉のまま組織状大豆蛋白と混合しても均一に混練するにはカッター処理などを十分行わなくてはならず、そうすると組織状大豆蛋白の繊維構造が切断されて得られる乾燥食品の肉様食感が低下し好ましくない。原料肉をミンチ状若しくは細切する態様は、例えばチョッパーやサイレントカッター等を用いて、ミンチ状又は細切れ状等に加工することが出来る。
【0007】
本発明に用いる組織状大豆蛋白は、繊維状構造に優れ、好ましくはしなやかな性質を有するものが適当である。
湯戻しして繊維状構造を有する組織状大豆蛋白は2軸押出機(エクストルーダー)を用いて大豆蛋白原料を水系下に加圧・加熱して押し出し膨化させて得ることが出来る。単軸エクストルーダーでは方向性が与えられず繊維状構造を形成することが困難である。
大豆蛋白原料は大豆蛋白及び小麦粉の組み合わせ、大豆蛋白と小麦粉と澱粉の組み合わせ、大豆蛋白と澱粉の組み合わせなどにより得ることが出来るが、好ましくは大豆蛋白、小麦粉及び澱粉の組み合わせや大豆蛋白と澱粉の組み合わせが適当である。
更に、湯戻しした組織状大豆蛋白がしなやかな食感を有するためにはカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩を併用、好ましくはカルシウム、その化合物を併用することが適当である。
本発明の組織状大豆蛋白は繊維状構造に優れ、好ましくはしなやかな食感を有するものが適当であるので、大豆蛋白を主原料とし澱粉(小麦粉も含む)とアルカリ土類金属を用いて押出機で水系下に加圧加熱し押し出し膨化させて得ることが好ましい。
このときアルカリ土類金属を例えばカルシウムであれば乾物換算で押出機に供する原料中0.01〜3重量%含むことが好ましい。
また、押出機に供する原料中大豆蛋白含量は乾物換算で40〜85重量%が好ましい。
また、押出機に供する原料中の澱粉含量は乾物換算で6〜40重量%が好ましい。
以上のようにして得られる組織状大豆蛋白は従来の酸沈澱大豆蛋白カードを背圧下にオリフィスから吐出させて得るフィブリル構造を有する繊維状大豆蛋白に比べ繊維が細いがしなやかで肉に近い繊維感を有するものである。
【0008】
本発明においてb.混練する工程は、肉原料と組織状大豆蛋白をミキサー等を用いて混練することが出来る。
肉原料と組織状大豆蛋白の割合が原料肉100重量部に対して、組織状大豆蛋白(水分8%の場合)5〜100重量部、好ましくは15〜50重量部が適当である。
本発明においては混合と混練は区別するものではなく、肉原料と組織状大豆蛋白をそのまま、好ましくは組織状大豆蛋白を水戻し或いは湯戻ししてから原料肉と混練することが組織状大豆蛋白のしなやかな繊維状構造を発現させるのに好適である。
原料肉と組織状大豆蛋白を混練する手段は組織状大豆蛋白の繊維状構造を切断などして壊さない態様が好ましく、例えば混合機、サイレントカッターなどを用いる場合であれば刃の背を利用して混練することが好ましい。
サイレントカッターの刃の背で混練すると混練中に組織状大豆蛋白の水和物が繊維状にほぐれ適当な生地を形成できる。また、水或いは湯を用いて戻した組織状大豆蛋白を予めサイレントカッターなどの刃の背などで繊維状にほぐしてから用いることも出来る。予め繊維状にほぐしてから肉原料と混練するほうが肉原料との均一な混練物を形成することが出来るので好ましい。
原料肉と組織状大豆蛋白は均一に混合されることが必要である。均一に混合されて得られる乾燥食品は湯戻ししたとき肉様の食感に優れるものとなる。また、肉だけの乾燥では湯戻りしないものを本発明に用いる組織状大豆蛋白を用いることにより湯戻り復元の速度が速くなる効果がある。
【0009】
尚、この混合のときに調味や着色などすることが出来る。調味料、着色料などは市販のものを利用することが出来る。
又、必要に応じて、卵白などの蛋白、加工澱粉などの澱粉類、野菜、その他の食品添加物、pH調製剤等を加えることが出来る。
【0010】
本発明において前述の肉原料と組織状大豆蛋白、その他の原料を用いて混合された生地はc.成形することが出来る。
この成形は次の加熱工程により処理されやすくするためであり、任意の形状に成形することが出来る。
従って、成形する態様は、公知の打ち抜き成形機やドラム成形機等を利用することが出来る。またケーシングに詰めて成形することも出来る。
【0011】
このように成形された生地は、この成形工程の後、又は次の加熱工程の後であって乾燥工程の前に乾燥食品の形状に裁断することが出来る。
生地の状態では柔らかい状態であったり可塑状態であったりするので。予備冷凍を行って固形化して所望の形状に切断することが出来る。
形状はブロック状でもスライス状でも良く、乾燥工程の前或いは後で乾燥食品のサイズが後述のサイズとなるようにすることが好ましい。
乾燥の前に切断しておくと乾燥が早いだけでなく、切断により壊れることが少ない。
【0012】
乾燥食品のサイズは即席食品の具材として適当な大きさであればよいので特に限定しないが常識的な範囲が好ましい。
例えば、切断した乾燥食品の大きさは縦×横×幅=1〜100mm×5〜100mm×5〜100mmの範囲、好ましくは肉様のスライス状である1〜10mm×5〜20mm×5〜30mmが好ましい。
【0013】
次に、本発明において、かかる生地を、d.加熱することが出来る。
加熱の態様は調理されれば良く、特に限定するものではないが蒸し・焼・フライ等の加熱調理することが出きる。
【0014】
本発明において成形された生地、あるいは更に切断された生地はe.乾燥することが必須である。
本発明の乾燥食品が湯戻り復元性に優れる乾燥手段であれば特に限定しないが、工業的には凍結乾燥が好適である。
凍結乾燥手段は公知の手段を利用することが出来、凍結乾燥により湯戻り復元性に優れた乾燥食品とすることが出来る。
本発明の乾燥食品が薄いものであったり細かい粒状であれば凍結乾燥以外の手段を用いることが出来るが、肉片様の大きさでは通常の乾燥手段では湯戻り復元に時間がかかったり、芯が残ることもあるので凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥手段を利用すれば乾燥食品が適当な大きさの肉片でも湯戻り復元性を発現させることが出来る。
乾燥された本発明の乾燥食品の水分は1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%が適当である。水分活性が高く腐敗がない水分範囲であれば特に限定するものではない。
【0015】
本発明の乾燥食品は特に用途を制限するものではないが、その特性より湯戻り復元性に優れる即席食品用が好ましい。
以上のようにして得られる乾燥食品は、従来のフィブリル繊維と肉原料から得られた乾燥食品に比べて、食感が肉により類似しているだけでなく、水又は湯戻り復元速度も速いものである。
【0016】
以下、実施例により本発明の実施態様を説明するが、例示は当然単なる説明であって、発想思想の内包・外延とは直接関係の無いものである。
比較例1
(繊維状大豆蛋白の製造)
大豆蛋白原料のスラリー(水分75%、pH5)を、パイプ熱交換器により加圧下に加熱流動させ、φ1mmのオリフィス穴を通して放出し、繊維化させることによりフィブリル構造を有する繊維状大豆蛋白を製造した。
これを「試作品AW」という。この水分は65%であった。
【0017】
(ドライミートの製造)
豚ばら肉90.5重量部はΦ3mmでチョッパー引きし、調味料、色素等9.5重量部を加え、ミキサーで混合し、厚さ約10mmに成形後、切断し易くする為予備冷凍し、10mm×10mm×10mmのキュービック状に切断し、90℃*5分蒸し加熱を行い中心温度が85℃になるようにし、その後、凍結乾燥を行ってドライミートNo.1を得た。豚ばら肉90.5重量部の代わりに、豚ばら肉55重量部をΦ3mmでチョッパー引きし、さらに「試作品AW」35.5重量部を加え、ドライミートNo.1と同様に調製し、ドライミートNo.2を得た。
評価方法については、10名の専門パネラーにより、良い:○、普通:△、悪い:×で、湯戻し(90℃*3分)しで官能評価を行った。湯戻り復元性については、90℃1分、3分での湯戻し後の重量を蒸し加熱後の重量で割り、100を乗じパーセントで表した。「試作品AW」は生地pHが6.5となるように、あらかじめ重曹でpHの調整を行った。
【0018】単位:重量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
No. 1 2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
豚ばら肉 90.5 55.0
食塩 3.0 3.0
砂糖 3.0 3.0
グルタミン酸Na 3.0 3.0
色素 0.5 0.5
「試作品AW」 − 35.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0 100.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 71.6 76.2
(90℃3分) 73.7 82.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
官能評価
肉的繊維感 × △
肉的風味 ○ △
湯戻り性 × △
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
総合評価 × △
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0019】
「試作品AW」を配合したドライミートNo.2は、ドライミートNo.1と比較して総合評価で改善がみられた。すなわち、肉的繊維感については、原料肉は細かく裁断している為、ドライミートNo.1は肉的繊維感に乏しいが「試作品AW」を配合することで、肉的繊維感が付与された。肉的風味については、肉の配合量が減った分、肉的風味が低減した。湯戻り復元性については、「試作品AW」を配合することで、湯戻り復元性が向上し、改善がみられた。しかしながら、ドライミートNo.2の肉的繊維感や湯戻り性は充分ではなく、満足いくものではなかった。
【0020】
実施例1
(組織状大豆蛋白の製造)
分離大豆蛋白(ニューフジプロ−E、不二製油(株)製)55重量部、脱脂大豆25重量部と小麦澱粉20重量部を混合し、さらにこの混合原料にカルシウム量1重量%に相当する量の硫酸カルシウムを混合したもの100重量部、水40重量部をエクストルーダーに供給して加熱、加圧、乾燥処理を行い製品を得た。なお、実施例に用いたエクストルーダーは二軸型のものであり、運転は全てスクリュー回転数200rpm、バレル入口側温度80℃、中央部120℃、出口側150℃、ダイの穴の径5mm、粉体原料流量30kg/時の条件で行った。
これを「試作品B1」という。同様にして、混合原料にカルシウム量5重量%に相当する量の硫酸カルシウムを混合したものから得た製品を「試作品B5」という。又、同様にして、混合原料に硫酸カルシウムを添加しなかったものから得た製品を「試作品B0」という。「試作品B0、B1、B5」の各々の水分は8%であった。次に、これら「試作品B0、B1、B5」各々1重量部に対し水6重量部を加え、充分に水和させた後、フードカッターの裏刃にて攪拌し、繊維状にほぐし、最終「試作品B0」水戻し品(以下「試作品B0W」と呼ぶ)、「試作品B1」水戻し品(以下「試作品B1W」と呼ぶ)、「試作品B5」水戻し品(以下「試作品B5W」と呼ぶ)、各々2.63重量部を得た。なお、この操作により本実施例においては「試作品B0W、B1W、B5W」の水分含量は「試作品AW」の水分と同じになった。
【0021】
(ドライミートの製造)
比較例1と同様にして、ドライミートを作製した。すなわち、比較例1の「試作品AW」35.5重量部の代わりに「試作品B0W」35.5重量部を用いて、ドライミートNo.3を、「試作品B1W」35.5重量部を用いて、ドライミートNo.4を、「試作品B5W」35.5重量部を用いて、ドライミートNo.5を得た。評価方法については、比較例1と同様に行った。
【0022】単位:重量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
No. 3 4 5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
豚ばら肉 55.0 55.0 55.0
食塩 3.0 3.0 3.0
砂糖 3.0 3.0 3.0
グルタミン酸Na 3.0 3.0 3.0
色素 0.5 0.5 0.5
「試作品B0W」 35.5 − −
「試作品B1W」 − 35.5 −
「試作品B5W」 − − 35.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0 100.0 100.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 82.5 82.8 83.4
(90℃3分) 87.6 88.8 89.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
官能評価
肉的繊維感 × ○ ○
肉的風味 △ △ ×(苦味)
湯戻り性 ○ ○ ○
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
総合評価 △ ○ △
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0023】
試作品B1Wを配合したドライミートNo.4は、比較例1のドライミートNo.2と比較し、肉的繊維感及び湯戻り性に飛躍的な改善が見られた。すなわち、繊維状大豆蛋白である試作品AWを用いたドライミートNo.2と比較し、繊維が細いがしなやかで肉に近い繊維感を有する試作品B1Wを用いたドライミートNo.4の方が、肉的な繊維感に優れており、湯戻り復元性(90℃1分)も80%以上であり、大幅な改善が見られた。
ところで、カルシウムを添加せずに作製した試作品B0Wは、試作品B1Wのような繊維状構造では無く、スポンジ的な構造であった為、これを用いて作製したドライミートNo.3は、肉的繊維感に乏しかった。
また、カルシウムを多く添加して作製した試作品B5Wは、試作品B1Wのような繊維構造を有していたものの、これを用いて作製したドライミートNo.5の風味は、カルシウム由来と思われる苦味を感じるものであった。
【0024】
実施例2
(試作品B1Wを用いたドライミートの製造)
実施例1で得られた試作品B1Wを豚ばら肉と各割合で置換してドライミートを作製し、比較評価を行った。製法、評価方法等は、実施例1と同様に行った。
【0025】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
No. 7 8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
豚ばら肉 27.6 −
食塩 3.0 3.0
砂糖 3.0 3.0
グルタミン酸Na 3.0 3.0
色素 0.5 0.5
「試作品B1W」 62.9 90.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0 100.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 89.5 117.4
(90℃3分) 104.6 122.1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
官能評価
肉的繊維感 △(やや硬) ×(硬)
肉的風味 × ×
湯戻り性 ○ ○
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
総合評価 △ ×
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0026】
試作品B1Wを配合することで、ドライミートの肉的繊維感は付与された。しかし、ドライミートNo.8のように、試作品B1Wを過剰に配合すると、繊維感を感じ過ぎて硬い肉のような食感になり、好ましくなかった。肉的風味については、試作品B1Wの配合量が増えるに従って(豚ばら肉の配合を減らしているので)肉的風味は低減した。湯戻り復元性については、試作品B1Wを配合することで、大幅に改善され、試作品B1Wの配合量が増えるに従って、改善の効果は大きくなった。肉的繊維感、肉的風味、湯戻り性、湯戻り復元性を考慮した総合評価として、生地中の試作品B1Wの配合量は、10重量%から65重量%、好ましくは、25重量%から50重量%が適当であった。すなわち、試作品B1(水分8%)の配合量としては、肉100重量部に対して、5重量部から100重量部、好ましくは、15重量部から50重量部が適当であった。
【0027】
実施例3
(乾燥方法の違い)
実施例1及び2は、ドライミートの乾燥手段として凍結乾燥を行った。本実施例3では、熱風乾燥を行ってドライミートを作製し、凍結乾燥品との比較評価を行った。すなわち、実施例1におけるドライミートNo.4の乾燥前品について、95℃60分で熱風乾燥を行うことでドライミートNo.9を得、実施例1のドライミートNo.4(凍結乾燥品)と比較評価を行った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
No. 4 9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
湯戻り復元性(%)
(90℃1分) 82.8 54.7
(90℃3分) 88.8 60.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
官能評価
肉的繊維感 ○ ○
肉的風味 △ △
湯戻り性 ○ ×
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
総合評価 ○ △
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0028】
凍結乾燥を行ったドライミートNo.4と比較し、熱風乾燥を行ったドライミートNo.9は、湯戻り復元性の数値はかなり低く、湯戻り復元性は不良であった。しかし、肉的繊維感は、ドライミートNo.4同様、良好であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、湯戻り復元性に優れ即席食品用として好適な乾燥食品が完成したものである。
Claims (10)
- a.原料肉に、組織状大豆たん白を加える工程、b.混練する工程、c.成形する工程、d.加熱する工程、e.乾燥する工程を含むことを特徴とする乾燥食品の製造法。
- 原料肉がミンチ状若しくは細切されたものである請求項1記載の製造法。
- 組織状大豆蛋白がアルカリ土類金属をカルシウム乾物換算で0.01〜3重量%相当含む請求項1又は請求項2記載の製造法。
- 組織状大豆蛋白が、大豆蛋白を主原料とし澱粉とアルカリ土類金属を用いて押出機で水系下に加圧加熱し押し出し膨化した繊維状構造に優れるものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の製造法。
- 肉原料と組織状大豆蛋白の割合が原料肉100重量部に対して、組織状大豆蛋白(水分8%の場合)5〜100重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
- c.成形する工程〜e.乾燥する工程の間若しくは前後で切断する請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
- 切断した乾燥食品の大きさが縦×横×幅=1〜100mm×5〜100mm×5〜100mmの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
- 乾燥する工程が凍結乾燥である請求項1〜7のいずれかに記載の製造法。
- 乾燥食品の水分が1〜15重量%である請求項1〜8のいずれかに記載の製造法。
- 乾燥食品が湯戻り復元性に優れる即席食品用である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法。
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