JP4021582B2 - 乾燥食品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、即席めん、即席みそ汁、お茶漬けの素などの具材として使用される乾燥食品の製造方法に関する。さらに詳細には、魚由来の骨や皮、鱗などの夾雑物の混入がなく、湯によって魚肉特有のほぐれ感および繊維感のある食感を有するものに復元することができる魚肉フレーク様乾燥食品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、即席めんや即席みそ汁、お茶漬けの素等の具材に用いられる魚肉乾燥フレークとして、原料魚を三枚におろし、蒸し等の加熱処理をした後、骨や皮を手作業等で除いたほぐし身を、真空凍結乾燥あるいは熱風乾燥して得られる鱗片状の乾燥食品である魚肉乾燥フレークが商品化されている。
【0003】
しかし、上記のようなほぐし身を使用して製造する魚肉乾燥フレークの場合、魚肉の身と身の間にある中骨、あるいはピンボーンといわれる細長い骨が製品に混入し、製品の食感に悪影響を及ぼすばかりでなく、消費者へ危害を与える可能性がある等の商品価値を左右する問題がある。特に、乾燥工程を経て製造された場合、混入していた骨が係る乾燥処理により硬化するため危険性が高まり、製品の安全性の面から骨の混入は無視できない問題である。
【0004】
通常、ほぐし身の製造においては、骨の除去は手作業で行われ、骨を完全に除く努力はなされているものの、作業労力、コスト等の点から完全に除去することは非常に困難である。
【0005】
一方、魚肉を採肉、水晒し、砕肉、擂潰処理して製造されるすり身は、その製造工程にて骨が魚肉もろとも擂り潰されるので、上記のほぐし身を使用した場合のような製品への骨の混入という問題は生じない。
【0006】
ところが、すり身を主原料として乾燥フレークを製造した場合は、通常、ほぐし身を使用した場合に得られるような魚肉様のほぐれ感や繊維感を有する食感は得られない。例えば、すり身を主原料とした練り製品である、かまぼこ、ちくわ等の乾燥品が、即席めんなどの即席食品の具材として利用されているが、これら練り製品の乾燥物を復元した場合、やはりカマボコ様のぷりぷりした弾力性の食感を呈し、魚肉の食感とはかけ離れたものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、魚肉乾燥フレークの製造において、復元後に望ましい魚肉様のほぐれ感や繊維感を有する食感を呈するものとするためには、原料にほぐし身を使用する必要があったが、この場合、製品中にほぐし身に由来する細長い骨が混入するという問題があった。
【0008】
従って本発明は、喫食者に危害を与えうる形状を保った骨が混入している可能性のないすり身を原料として用いているにも係わらず、ほぐし身を用いたと同様の魚肉様のほぐれ感や繊維感のある食感を有したものに復元することができる、商品価値の高い乾燥食品の製造を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鮭等の魚肉のほぐし身より製造した乾燥フレーク中に骨が混入して、商品価値が減じ、消費者に危害を及ぼす可能性があるという上記問題を解決するために、魚のほぐし身でなく、すり身を用いてフレーク状の乾燥食品を製造することを着想した。通常、すり身を用いて製造した乾燥食品は復元後にもぷりぷりしたかまぼこ様の食感となるが、本発明者らは、すり身を用いても、魚肉様のほぐし感、繊維感のある食感を呈するものを得ることを目的として、すり身と種々の食品素材を混合することで食感の改善を試みた。
【0010】
その結果、本発明者らは、すり身と適切な長さを有した略直線状の繊維状可食体とを混合して混練し、それを棒状に成形した後、加熱変性処理、乾燥、ほぐし処理することで、すり身を用いたにも係わらず、魚肉特有のほぐし感、繊維感を有する食感が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
従って、本発明の請求項1は、食肉すり身および繊維状可食体を含む生地を調製し、棒状に成形し、加熱変性処理の後、乾燥処理及びほぐし処理を施すことを特徴とする乾燥食品の製造方法である。
【0012】
この発明で、繊維状可食体を含む生地を棒状に成形する工程により、繊維状可食体を棒状物の長軸方向に略平行に一定の方向性をもって配列(整列)させるという作用効果が奏される。この配列は乾燥後の食品中にも認められ、このように繊維状可食体が一定の長軸方向に配列した構造により、すり身を用いているにも関わらず魚肉様のほぐれ感および繊維感を有した食感が得られるものと考えられる。例えば、同様の生地を団子状に丸めたり、板状に伸ばした場合には、繊維状可食体は方向性なく散乱してしまい、本発明による乾燥食品におけるような好ましい食感は得られない。
【0013】
ここで、魚肉様のほぐれ感、繊維感とは、魚肉を食した時に得られる食感を表現したものであり、主に魚肉の筋繊維の存在によってもたらされる食感である。ほぐれ感とは、筋線維がその配列に沿ってほぐれるような食感であり、繊維感とは、繊維質のものを噛んだ時に感じる独特の歯ごたえである。図1に示すように、通常の魚肉組織においては、筋繊維12が体軸とほぼ平行に配列しており、この筋繊維12によって、ほぐれ感、繊維感という魚肉11特有の食感が得られるのである。ほぐし身においてはこれらの魚肉組織が維持されているので、これを使用して製造した魚肉フレーク等によれば、ほぐれ感、繊維感を有する食感が得られる。一方、すり身は前記したように加工工程中の擂潰処理等により肉の組織が破壊され筋繊維の配列が残存していないので、これらを使用して製造した食品では、ほぐれ感、繊維感等の魚肉様の食感は全く得られない。
【0014】
本発明によれば、調製した生地に配合された繊維状可食体が食品中で一定方向に配列し、食感上、魚肉中の筋繊維と同様の働きをするので、すり身を原料としているにも係わらず魚肉様のほぐれ感、繊維感を有する食感が得られると考えられる。
【0015】
請求項2の発明は、食肉すり身および繊維状可食体を含む生地を調製し、棒状に成形し、マイクロ波処理の後、ほぐし処理を施すことを特徴とする乾燥食品の製造方法である。
【0016】
本発明においては、マイクロ波処理することにより、加熱変性処理と乾燥処理が同時に行えるというメリットがある。マイクロ波乾燥以外の熱風乾燥や凍結乾燥では十分な加熱変性が生じないので、乾燥前に蒸し等の加熱変性処理をする必要があったが、マイクロ波処理する場合は中心部まで加熱が十分に行われるので、これらの処理を省略することができる。さらに、マイクロ波処理した場合は、対象物が乾燥と同時に膨化するので、乾燥食品をスープ等の具に使用した場合には復元時にスープの上方に浮くという、商品上好ましい効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
さらに本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
本発明における食肉すり身として、魚、甲殻類、貝類等の魚介類の肉、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉等の種々の食肉およびこれらの加工品から製造されたすり身を用いることができる。食感、風味、入手容易性などの点からは、魚肉すり身が最も好ましい。この魚肉すり身は、かまぼこ、ちくわ等に使用されるものと同様の、通常の方法によって製造される魚肉すり身であってよい。例えば、ニシン、サケ、タラ等の魚肉を、魚肉採取機にかけて魚肉と骨、皮に分離して、水晒し、脱水、砕肉して擂潰したものが用いられる。もしくは、冷凍すり身をサイレントカッターで擂潰したものでもよい。これら擂潰の処理により骨が完全に破砕されるので、喫食者に危害を与えうる形状を保ったままで骨がすり身中に残存することはない。
【0019】
食肉すり身は、本発明において調製される乾燥食品の主原料であり、好ましい食味、食感等を有する食品とするためには、生地原料の総重量中30〜70重量%、好ましくは30〜50重量%含まれるように配合するとよい。
【0020】
繊維状可食体は、繊維状の形状を有しており、混練等の処理工程中から乾燥食品となるまで、繊維状の形状がそのまま維持され得るものであるべきである。例えば、処理工程中に溶解、溶融に伴って繊維状の形状を示さなくなるものは本発明における繊維状可食体に含まれない。この点を考慮すれば、繊維状可食体は水不溶性の性質であることが好ましく、例えば水不溶性食物繊維を含有するものがよく、さらに材料の混合、混練や棒状物に成形する工程において物理的な外力を受けても破断、折れなどが生じないよう、適切な強度および可撓性を有するものであることが好ましい。また、適度な保水性を有し、食肉すり身等の原料に含まれる水分とのなじみが良好であれば、混練、成形等の工程を円滑に行うことができ、しかも湯戻しによる復元性も向上するのでより好ましい。
【0021】
繊維状可食体を構成する成分としては、例えばセルロース、デンプン等の多糖類を主成分としたものや、蛋白質を主成分としたもの、もしくはそれらを適宜混合加工したもの等が挙げられるが、上記の特性を有している限り特に限定されるものではない。
【0022】
また、形状としては略直線状(糸状)がよく、例えば、繊維状とはいっても湾曲して団子状になったものは好ましくない。繊維状可食体の長さは、2mm〜20mm程度、好ましくは4mm〜20mm、より好ましくは4mm〜16mmであるとよい。長さが4mm未満では十分な魚肉様のほぐれ感、繊維感を有した食感が得られない場合がある。また、繊維の長さが長すぎると、外観上繊維が目立ちすぎて不自然であり、これを配合した商品としての価値は減少してしまう。そして、繊維状可食体の直径は20〜100μm、好ましくは30〜60μmであるとよい。細すぎると繊維感のある食感が提供され難く、逆に太すぎると食感を損なう原因になったり、棒状に成形する際に一定方向に配列しにくくなることもある。
【0023】
食品素材として販売されているもので、上記の望ましい性質および形状を有する繊維状可食体として、商品名「セキセルDL(旭フーズ(株))」や商品名 「セキセルDC(旭フーズ(株))」がある。セキセルDL、セキセルDCともに、澱粉とセルロースを混合溶解し特殊処理して繊維状にした食品素材であり、水不溶性の繊維状である等、本発明での使用にとって望ましい性質を有している。
【0024】
繊維状可食体の添加量としては、食肉すり身を含む生地原料の総重量中5重量%以上を添加配合することが好ましい。繊維状食品の添加量が5重量%未満であると、繊維感を有する食感が十分でない場合がある。また、あまり多く添加すると、外観上繊維が目立ちすぎて不自然であり、商品としての価値が減少するので、すり身を含む生地原料の総重量中16.4重量%以下の添加量が好ましい。
【0025】
本発明において、食肉すり身および繊維状可食体の他に、適宜、馬鈴薯、コーンスターチ等のデンプン、卵白等の蛋白質成分、油分、調味料等の副原料を混合、混練した生地を棒状に成形するのであるが、全体の水分量が少ないと成形がうまくできないので、成形に必要な結着性が得られる程度、すなわち生地総重量の20〜40重量%の含水量となるように水や水溶液にて水分を添加して調製するとよい。
【0026】
本発明における、棒状に成形する工程は、繊維状可食体が配合された魚肉すり身と適宜の副原料を混練した混合物からなる生地を、押出機を用いて棒状に押出成形する方法や、該混合物を手作業で押し延ばして棒状に成形する方法に従うとよい。例えば、板状の生地を切断することで棒状に成形するような方法は、本発明には含まれない。係る展延のみ行う方法によれば、棒状に成形する過程で繊維状可食体が一定方向、すなわち棒状体の長さ方向と略平行に配列するという現象が生じないからである。そして、棒状の成形物は、直径5〜30mm、好ましくは直径10〜15mm程度の円筒状になるように成形するとよい。この直径が小さすぎると、以後の工程における取り扱いが困難になり、好ましいサイズのほぐし身に製造できなくなることもあるという不都合が生じ、そして棒状体の直径が大きすぎると中心部に至るほどに繊維状可食体が方向性なく散乱しやすくなってしまう。
【0027】
このように繊維状可食体を含んだ生地を棒状に成形することにより、図2に示すように繊維状可食体2が、棒状成形物1の中で、一定の方向すなわち棒状成形物の長軸方向と略平行に配列するのである。このような繊維状可食体2の配列は、下記の乾燥、ほぐし処理を経た最終食品中でも維持されており、この構造によって本発明の乾燥食品に、魚肉様のほぐれ感、繊維感を有する食感がもたらされるのである。
【0028】
成形後に行われる加熱変性処理工程は、生地に含まれる蛋白質に変性を生じさせることを目的とするものであり、例えば、湯煮、蒸煮もしくはマイクロ波照射等によって加熱して蛋白変性させるとよい。概して、品温63℃で30分間以上に相当する加熱処理を施すことによって、十分な加熱変性が成し遂げられる。この工程で変性が不十分であると、乾燥工程後、復元性が不十分になるという不都合が生じる。
【0029】
乾燥処理の方法としては、従来より知られている熱風乾燥、凍結乾燥、マイクロ波乾燥等、いずれの方法も適用できる。温度、時間等の条件は特に限定されないが、製品の保存性、安定供給可能性に鑑みれば水分量が10重量%以下になるまで乾燥するとよい。
【0030】
ほぐし処理とは、乾燥後の棒状成形物をほぐしてフレーク状にする処理であり、その方法としては、手作業もしくは解砕器等を用いる方法が考えられるが、特に限定されるものではない。このほぐし処理によって、適切な形状およびサイズ、例えば、幅0.5〜1cm、長さ1〜2cm、厚み5〜10mm程度を有する本発明の乾燥食品が得られる。
【0031】
本発明において、加熱変性処理に付した棒状成形物を、乾燥処理及びほぐし処理するのであるが、これら乾燥処理とほぐし処理の順序が特に限定されることはない。例えば、加熱変性処理後の成形物をまず乾燥処理した後、ほぐし処理してフレーク状の乾燥食品を得ることもできるし、加熱変性処理した成形物をほぐし処理してフレーク状にした後、乾燥処理して乾燥食品とすることもできる。さらには、ほぐし処理の前後に乾燥処理をすることもできる。棒状の成形物のまま乾燥処理した場合は乾燥ムラが生じやすいので、ほぐし処理の後で乾燥処理をする方法か、または、ほぐし処理の前後で乾燥処理をする方法がより好ましい。
【0032】
請求項2に係る本発明において実施されるマイクロ波処理は、常法によるものであってよい。請求項1に係る発明と同様に生地を棒状に成形した後、マイクロ波処理することで、食肉蛋白の加熱変性と乾燥とが同時に行われるので、蒸し、茹で処理等の加熱変性処理を省略することができる。さらに、マイクロ波処理によれば、対象品が膨化するので、製造された乾燥食品をスープ等の具材に使用した場合、具がスープの上方に浮くという効果が得られる。
【0033】
なお、棒状の成形物をマイクロ波処理したのみでは、乾燥ムラが生じることがあるので、ほぐし処理した後に、さらにマイクロ波乾燥、熱風乾燥等により仕上げ乾燥することが望ましい。
【0034】
以上のようにして製造された本発明に係る乾燥食品は、即席麺、即席みそ汁、お茶漬けの素等の、熱湯をかけて復元させるタイプの乾燥具材として使用できる他、ふりかけ等の乾燥したままで食するタイプの乾燥具材としても使用できる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。以下、本実施例における「%」はすべて、重量%を示すものとする。
【0036】
[実施例1〜4および比較例1:繊維状可食体の添加量]
たらすり身を主原料とし、澱粉(コーンスターチ)、調味料等および繊維長が約8mm、直径40μmの繊維状可食体(セキセルDL)を0〜16.4%の範囲で添加して、それぞれ表1に示す配合の混合物とした。
【0037】
上記混合物を混練して調製した生地を、手でこねながら伸ばし、長さ約20cm、直径約15mmの棒状に成形した。この際、混練および成形しやすさに係る製造適性を評価した。
【0038】
棒状の成形物を、マイクロ波乾燥(出力600w、2分間)し、その後、棒状の乾燥品を手で長さ2〜3cm、幅約1cmの鱗片状にほぐして、さらに温度60℃、3時間の熱風乾燥により仕上げ乾燥を行い、フレーク状の乾燥食品を得た。
【0039】
これらを、85℃以上の熱湯中で3分間湯戻しして復元性を評価したのち、パネラー5名で喫食時の魚肉様のほぐれ感および繊維感ならびに外観について官能評価を行い、その結果を表2にまとめた。
【0040】
【表1】
Figure 0004021582
【0041】
【表2】
Figure 0004021582
【0042】
表2に明らかなとおり、繊維状可食体を5〜13.3%を添加した場合(実施例1〜3)は、良好な復元性および、魚肉様のほぐれ感、繊維感が得られた。しかし、繊維状可食体を16.4%添加した場合(実施例4)は、生地が硬すぎて混練が困難であるという点で製造適性に劣り、しかも繊維感が強すぎて紙様となり、外観上は繊維が目立ちすぎて不自然なものとなった。また、繊維状可食体を添加しない場合(比較例1)は、繊維感等の食感が劣り、そのうえ生地の物性が柔らかすぎて製造作業性も悪かった。
【0043】
[実施例5および比較例2〜5:各種水不溶性食物繊維]
繊維状可食体として種々の水不溶性食物繊維を9.9%配合し、表3に示すような配合にした以外は上記実施例1と同様の手順により、実施例5および比較例2〜5の各乾燥食品を製造した。
【0044】
これらを、85℃以上の熱湯で3分間処理して復元させた後、パネラー5名で官能評価を行った。その結果を表4に示す。また、添加した水不溶性食物繊維の形状を表5にまとめた。
【0045】
【表3】
Figure 0004021582
【0046】
【表4】
Figure 0004021582
【0047】
【表5】
Figure 0004021582
【0048】
この結果、略直線状の形状で約8mmの繊維長、40μmの直径を有するセキセルDLを添加した実施例5では、魚肉様のほぐれるような食感、繊維感を有するものが得られたが、粒状の水不溶性食物繊維を添加した比較例2〜5では、このような食感は得られなかった。
【0049】
[実施例6〜9:繊維状可食体の長さ]
表6に示すように繊維状可食体の繊維長が2mm、4mm、16mm、20mmのものを使用した以外は、実施例5と同様の配合、同様の手順により乾燥食品を製造した。ここで、繊維長2mmの繊維状可食体としてはセキセルDCを用い、繊維長4mm〜20mmの繊維状可食体としてはセキセルDLを各線維長になるよう調整して用いた。
【0050】
得られた各乾燥食品を、85℃以上の熱湯で3分間処理して復元させたのち、パネラー5名で官能評価を行った。その結果を表6に示す。
【0051】
繊維長が4mm〜20mmの範囲では、魚肉様のほぐれるような食感、繊維感が得られたが、繊維長が2mmのものでは、ほぐれるような食感は得られなかった。
【0052】
また、繊維長が20mmのものは、食感の点では好ましいものの、外観上、繊維が目立ちすぎて不自然な印象を与えた。
【0053】
【表6】
Figure 0004021582
【0054】
[実施例10〜11:加熱変性および乾燥方法の比較]
実施例5と同様の配合および手順で棒状物を成形した後、下記の各手順に従って加熱変性および乾燥処理を行い、乾燥食品を得た。
【0055】
実施例10:蒸煮処理および熱風乾燥
前記棒状物を、温度95℃で7分間蒸煮処理して、その後、手で長さ2〜3cm、幅約1cmの鱗片状にほぐし、次いで温度60℃で3時間、熱風乾燥処理した。
【0056】
実施例11:蒸煮処理および凍結真空乾燥
前記棒状物を、温度95℃で7分間蒸煮処理して、その後、手で長さ2〜3cm、幅約1cmの鱗片状にほぐし、次いで温度−20℃のフリーザーで急速凍結し、真空乾燥した。
【0057】
上記の方法で製造した各乾燥食品を、85℃以上の熱湯で3分間処理して復元させたのち、パネラー5名で官能評価を行った。その結果を表7に示す。
【0058】
【表7】
Figure 0004021582
【0059】
蒸煮処理に次いで、凍結真空乾燥もしくは熱風乾燥した、実施例10および11ではいずれも、復元性および魚肉様の食感については良好な結果が得られたが、復元後に湯の中に沈んでしまった。
【0060】
一方、マイクロ波処理後ほぐして熱風乾燥した実施例5では、復元性および魚肉様の食感も良好で、且つ復元後も湯の上面に浮いたままであった。この性質は、乾燥食品をスープ等の具材として使用した場合に、喫食しやすさや視覚的効果の点で非常に好ましいものである。
【0061】
[比較例6〜7:成形方法の比較]
棒状に成形する工程を、下記のように成形する工程に変更した以外は、実施例5と同様の配合および製造方法で製造し、比較例6および7の乾燥食品を製造した。
【0062】
比較例6:板状展延成形
混練した生地を、まな板の上で厚さ10〜15mmの板状になるように麺棒を用いて押し拡げた。これを一辺約70mmの正方形状に切断した。
【0063】
比較例7:団子状成形
混練した生地を、手でこねて丸めて、直径15mmの団子状に成形した。
【0064】
これらを、それぞれ85℃以上の熱湯で3分間処理して復元させたのち、パネラー5名で官能評価を行った。その結果を表8に示す。
【0065】
【表8】
Figure 0004021582
【0066】
この結果、板状に成形した比較例6および手で団子状に丸めた比較例7の場合、繊維の配向性が少なく、カマボコ様のぷりぷりした食感を有するものが得られた。
【0067】
[実施例12:押出成形機による製造]
実施例5と同じ配合の100kg分の原料をミキサーに投入し、20分間混練した。得られた生地を、直径15mmの孔が先端に5個ついたノズルから、1.8kg/分の速度で押出した。この時の吐出圧力は、1.5kg・f/cm2 であった。
【0068】
連続的に押し出される生地を、マイクロ波加熱装置のコンベアに受け取り、標準出力60kwで3分間照射されるようにコンベア速度を調整し、加熱変性処理および乾燥処理を行った。マイクロ波加熱装置出口の乾燥物の水分は12%であった。
【0069】
連続的に棒状に乾燥されてくるものを、スライサー(エムラ製)で15mmピッチでカットし、パンチングサイズを直径12〜20mmに設定したフェザーミル(ホソカワミクロン製)にて、長さ8mm、幅5mmの鱗片状にした。
【0070】
これを温度約80℃で10分間の熱風乾燥処理をして仕上げ乾燥とし、水分7%の乾燥品50kgを得た。
【0071】
できた乾燥食品を、85℃以上の熱湯で3分間処理して復元させたのち、パネラー5名で官能評価を行った。その結果、実施例5と同様、良好な復元性と魚肉様の良好な食感を示し、復元後の浮きも認められ、大量生産可能な方法によって十分に商品価値を有するものが得られることが明らかになった。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、喫食者に危害を与えうる形状を保った骨が混入している可能性のないすり身を原料として用いているにも係わらず、ほぐし身を用いたと同様の魚肉独特のほぐれ感や繊維感のある食感を有したものに復元することができる、商品価値の高い乾燥食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、筋繊維を含むことにより独特の食感を呈する魚肉の構造を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法において、棒状の成形物中で繊維状可食体が一定方向に配列する様子を示す一部欠切断面を含む斜視概略図である。
【符号の説明】
1…棒状成形物
2…繊維状可食体
11…魚肉
12…筋繊維

Claims (3)

  1. 食肉すり身および繊維状可食体を含む生地を調製し、棒状に成形し、加熱変性処理の後、乾燥処理及びほぐし処理を施す工程を含み、
    前記繊維状可食体は、水不溶性食物繊維を含有し、略直線状であって、4 mm 〜16 mm の長さを有し、
    前記繊維状可食体の添加量は、前記生地中、5重量%以上16.4重量%以下である、魚肉フレーク様乾燥食品の製造方法
  2. 食肉すり身および繊維状可食体を含む生地を調製し、棒状に成形し、マイクロ波処理の後、ほぐし処理を施す工程を含み、
    前記繊維状可食体は、水不溶性食物繊維を含有し、略直線状であって、4 mm 〜16 mm の長さを有し、
    前記繊維状可食体の添加量は、前記生地中、5重量%以上16.4重量%以下である、魚肉フレーク様乾燥食品の製造方法
  3. 前記食肉が魚肉である請求項1または2に記載の魚肉フレーク様乾燥食品の製造方法
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