JP7252034B2 - 組織状大豆蛋白の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、大豆蛋白原料、カルシウム、及び水をエクストルーダーにより加熱、加圧下に反応させダイより押し出す蛋白食品の製造法が記載されいる。実施例では、分離大豆蛋白、及び脱脂大豆の混合原料に炭酸カルシウムを混合したものと水をエクストルーダーに供給し、加熱、加圧処理をして組織状大豆蛋白を製造することで、風味がよくて、色が白く、緻密で、方向性があり、咀嚼性に富んだ(硬くて弾力性に富み、噛み応えがある)、品質に優れた蛋白食品を得ている。
また、特許文献2には、大豆蛋白原料、および水をエクストルーダーにより加熱、加圧下に反応させる際、カルシウムおよび澱粉類を併用して配合し、ダイより押し出す繊維状蛋白食品の製造法が記載されている。実施例では、分離大豆蛋白、脱脂大豆、及び小麦澱粉の混合原料に硫酸カルシウムを混合したものと水を供給し、加熱、加圧処理をして組織状大豆蛋白を製造することで、しなやか(強くてなめらか)で緻密であり、しかも繊維状にほぐれ、食感に優れた蛋白食品を得ている。
また、特許文献3には、大豆蛋白原料とマグネシウムおよびカルシウムとが加熱加圧下で混練され、組織化されてなることを特徴とする、蛋白食品の製造法が記載されている。実施例では、分離大豆蛋白、及び脱脂大豆の混合原料に硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムを混合したものと水を供給し、加熱、加圧処理をして組織状大豆蛋白を製造することで、得られた蛋白食品に大豆蛋白原料に由来する特有の風味が付与されるということが少なく、風味の悪さが改善され、良好な風味を持つ蛋白食品を得ている。
本発明の第2の態様は、さらに、大豆蛋白素材を含む原料に乳酸カルシウム水溶液を添加する工程を有することを特徴とする第1の態様に記載の組織状大豆蛋白の製造方法である。
本発明の第3の態様は、前記大豆蛋白素材が、脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、及び大豆粉から選らばれる1種、又は2種以上のものであることを特徴とする第1又は第2の態様に記載の組織状大豆蛋白の製造方法である。
本発明の第4の態様は、大豆蛋白素材を含む原料中の大豆蛋白素材の含量が、50~100質量%であることを特徴とする第1~第3の態様いずれか1つに記載の組織状大豆蛋白の製造方法である。
本発明の第5の態様は、大豆蛋白素材を含む原料が、澱粉、加工澱粉、デキストリン、増粘剤、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上のものを含有するものであることを特徴とする第1~第4の態様のいずれか1つに記載の組織状大豆蛋白の製造方法である。
本発明の第6の態様は、前記第1~第5の態様のいずれか1つに記載された組織状大豆蛋白の製造方法で製造された組織状大豆蛋白、及び畜肉を混合後、加熱処理することを特徴とする畜肉加工食品の製造方法である。
本発明の第7の態様は、前記第1~第5の態様のいずれか1つに記載された組織状大豆蛋白の製造方法で製造された組織状大豆蛋白を原料に使用することを特徴とする食品の製造方法である。
また、本発明によれば、大豆のえぐ味及び甘味を低減させるために添加した塩化カルシウムによるえぐ味によって、商品価値が損なわれない風味の組織状大豆蛋白を製造することができる。
本発明の組織状大豆蛋白の製造方法は、大豆蛋白素材を含む原料に塩化カルシウム水溶液を添加する工程と、塩化カルシウム水溶液が添加された大豆蛋白素材を含む原料をエクストルーダーにより加圧・加熱する工程、を有する方法である。
大豆蛋白素材を含む原料の大豆蛋白素材としては、脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、大豆粉等が挙げられる。これらの大豆蛋白素材は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、及び大豆粉は、市販品を使用することができる。脱脂大豆の市販品としては、例えば、日清オイリオグループ株式会社販売の商品「ソーヤフラワーA」が挙げられ、分離大豆蛋白の市販品としては、日清オイリオグループ株式会社販売の商品「ソルピー4000H」が挙げられ、濃縮大豆蛋白の市販品としては、例えば、ADM社販売の商品「アーコンF」が挙げられ、大豆粉の市販品としては、日清オイリオグループ株式会社販売の商品「アルファプラスHS-600」「ソーヤフラワーNSA」が挙げられる。
これらの成分は、市販品を使用することができ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、大豆蛋白素材を含む原料には、本発明の目的達成を阻害しない範囲において、通常の組織状大豆蛋白の製造方法において原料に添加される各種添加物も適宜用いることもできる。そのような添加物としては、例えば、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、保存料等が挙げられる。
これらは、大豆蛋白素材を含む原料に直接添加することもできるが、水に溶解できる添加物は、後に説明をする塩化カルシウム水溶液、又は水に混合して添加することもできる。
なお、大豆蛋白素材の含量100質量%は、大豆蛋白素材のみからなる原料のことである。
大豆蛋白素材を含有する原料への塩化カルシウム水溶液の添加方法には特に制限はない。
例えば、塩化カルシウム水溶液の添加は、例えば、エクストルーダーへの水や着色剤の供給ラインを用いることにより原料に添加することができる。
塩化カルシウムは市販品を使用することができる。塩化カルシウムの市販品としては、例えば、株式会社徳山販売の塩化カルシウムが挙げられる。
原料に添加する塩化カルシウムの量は、大豆蛋白素材100質量部に対して、0.03~0.08質量部であり、0.03~0.07質量部であることが好ましく、0.04~0.06質量部であることがより好ましい。
0.03質量部未満であると、大豆のえぐ味及び大豆の甘味を低減することができず、0.08質量部より多いと、塩化カルシウムのえぐ味を強く感じるようになってしまうからである。
水の添加量は、後に説明をする塩化カルシウム水溶液由来の水や乳酸カルシウム水溶液由来の水の添加量も含めて、大豆蛋白素材100質量部に対して、30~60質量部の水を添加することが好ましく、30~50質量部の水を添加することがより好ましい。
塩化カルシウム水溶液も、水と同じように、大豆蛋白素材を含有する原料と水の混錬時に添加することができ、また、エクストルーダーへの供給ラインを用いることによりエクストルーダー内の原料に添加することができる。
また、原料に添加する水のすべてを塩化カルシウム水溶液として添加することもできる。
塩化カルシウム水溶液の供給速度は、大豆蛋白素材を含む原料の供給速度、塩化カルシウムの濃度、及び塩化カルシウム水溶液の添加量を考慮した上で調整すればよい。
例えば、大豆蛋白素材100質量部に塩化カルシウムを0.05質量部添加したものを製造するには、大豆蛋白素材を含む原料の供給速度が1000kg/時間の場合、0.5質量%の塩化カルシウム水溶液を、100kg/時間の供給速度で添加すれば良い。
本工程では、大豆蛋白素材を含有する原料に乳酸カルシウム水溶液の添加方法には特に制限はない。
例えば、乳酸カルシウム水溶液の添加は、塩化カルシウム水溶液と同じように、エクストルーダー内への水や着色剤の供給ラインを用いることにより原料に添加することができる。
乳酸カルシウムは市販品を使用することができる。特に、乳酸カルシウムは、水への溶解性等の点で、L型発酵乳酸カルシウムが好ましい。乳酸カルシウムの市販品としては、例えば、昭和化工株式会社販売のL型発酵乳酸カルシウム(商品名「発酵乳酸カルシウム」)が挙げられる。
原料に添加する乳酸カルシウムの量は、大豆蛋白素材100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましく、0.3~2質量部であることがより好ましく、0.3~1.5質量部であることがさらにより好ましく、0.5~1質量部であることが最も好ましい。
乳酸カルシウム水溶液の濃度は、1~12質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。なお、乳酸カルシウム水溶液の25℃での溶解度は、約9~10g/Lで、50℃の溶解度は約14g/Lなので、その点を考慮して水溶液濃度及び水温を調整する必要がある。
乳酸カルシウム水溶液も、塩化カルシウム水溶液と同じように、大豆蛋白素材を含有する原料と水の混錬時に添加することができ、また、エクストルーダーへの供給ラインを用いることによりエクストルーダー内の原料に添加することができる。
例えば、大豆蛋白素材100質量部に乳酸カルシウムを0.5質量部添加したものを製造するには、大豆蛋白素材を含む原料の供給速度が1000kg/時間の場合、5質量%の乳酸カルシウム水溶液(25℃)を、100kg/時間の供給速度で添加すれば良い。
また、例えば、原料に添加する乳酸カルシウム量が0.5質量%のものを製造するには、大豆蛋白素材を含む原料の供給速度が1000kg/時間の場合、10質量%の乳酸カルシウム水溶液(50℃)を、50kg/時間の供給速度で添加すれば良い。
塩化カルシウム及び乳酸カルシウムを含有する水溶液中の塩化カルシウム及び乳酸カルシウムの濃度は、それぞれ先に説明した濃度であることが好ましい。また、塩化カルシウム及び乳酸カルシウムを含有する水溶液の原料への添加は、先に説明をした塩化カルシウム水溶液、又は乳酸カルシウム水溶液の添加方法と同様の方法で添加することができる。
本工程は、大豆蛋白素材を含有する原料に油脂を添加できれば良く、油脂の添加方法には特に制限はない。
油脂の添加は、例えば、エクストルーダーへの油脂供給ラインを用いることによりエクストルーダー内の原料に油脂を添加することができる。
油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、麺実油、紅花油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム分別油、牛脂、豚脂や、これらの油脂の水添油や、これらの油脂の1種又は2種以上をエステル交換した油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
原料に添加する油脂の量は、大豆蛋白素材100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.5~3質量部であることがより好ましく、0.5~2質量部であることが最も好ましい。
混練は、大豆蛋白素材を含有する原料と水が混練できればよく、混練方法に特に制限はない。
混練方法としては、例えば、原料タンクとエクストルーダーの間に設置した混練機で混練することができる。
本発明で用いるエクストルーダーは、一軸エクストルーダーでもあっても良く、二軸エクストルーダーであっても良い。エクストルーダーは、公知のエクストルーダーに備えられている各種装置や部材を備えていてもよく、例えば、二軸スクリューと、シリンダー(バレル)とダイと、駆動装置と、温度調節装置とを備え、必要に応じて、出口に回転カッターやカッティングヘッドを備えてもよい。
エクストルーダーでの加圧圧力は、原料を十分に混合し、膨化できる条件であれば特に限定されないが、エクストルーダーのシリンダー出口(ダイを備える場合はダイ出口)で90~200kpaであることが好ましく、100~150kpaであることがより好ましい。
また、エクストルーダーでの加熱温度は、特に限定されないが、エクストルーダーのシリンダー出口温度が、100~180℃になるように調整することが好ましく、120~170℃になるように調整することがより好ましい。かかる温度であると、原料蛋白をより効果的に膨化させることができるからである。
組織状大豆蛋白の形状は、粒状又はフレーク状であることが好ましい。
組織状大豆蛋白の大きさは、回転カッターの回転速度等の条件を変えることで調整することができるが、例えば、長径が1~50mmのものにすることができる。組織状大豆蛋白の長径は、その用途により調整することができ、例えば、長径3~20mmのものや、長径5~10mmのものを製造することもできる。
膨化した組織状大豆蛋白は、熱風乾燥機等を用いて乾燥することにより、その水分含量を10質量%以下にすることができる。
したがって、本発明の組織状大豆蛋白は、通常の組織状大豆蛋白に比べ、食品に使用した場合、食品を食した時の大豆の味を感じにくくすることができる。
例えば、本発明の組織状大豆蛋白をハンバーグに配合した場合、配合した組織状大豆蛋白の大豆のえぐ味及び大豆の甘味が低減しているので、ハンバーグを食した時に大豆の味を感じにくく、肉の味を感じやすくなる。
ここで、組織状大豆蛋白粉砕物、及びその製造方法について説明をする。
組織状大豆蛋白の粉砕は、フードプロセッサー、ピンミル、ハンマーミル、ローラーミル、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機を用いて行うことができる。得られた粉砕物は、篩処理をすることにより、求める大きさのものを製造することができる。
篩処理には、例えば、10~100メッシュの篩を用いることが好ましく、10~50メッシュの篩を用いることがより好ましい。
本発明の組織状大豆蛋白粉砕物のメディアン径は、例えば500μm以下であることが好ましく、10~300μmであることがより好ましく、10~100μmであることがさらに好ましく、20~100μmであることが最も好ましい。
組織状大豆蛋白粉砕物のメディアン径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3300EXII、マイクロトラック・ベル(株)製)を用いて測定することができる。
組織状大豆蛋白粉砕物を使用する食品の種類や目的により、様々な大きさの組織状大豆蛋白粉砕物を使用することができる。
これにより、本発明の組織状大豆蛋白を含有する食品や、本発明の組織状大豆蛋白粉砕物を含有する食品を得ることができる。
例えば、畜肉加工食品としては、ハンバーグ、ミートボール、ソーセージ、ロールキャベツなどの原料である挽肉の代替として好適に用いられる。
また、畜肉様加工食品としては、肉を含有しない加工食品、すなわち、原料の肉をすべて本発明の組織状大豆蛋白に置き替えて作ったハンバーグ様食品、パティ様食品、ミートボール様食品等が挙げられる。
また、魚肉加工食品としては、魚フレークの原料となる魚肉の代替として好適に用いられる。また、スナック菓子としては、ノンフライスナック、油ちょうスナック、シリアル、パフ等が挙げられる。
特に、メディアン径を100μm以下に調製した組織状大豆蛋白粉砕物は、粒度が小さいため、食した時に口の中でのざらつきが少なくなるので、小麦粉を主原料とした製品、例えば、製菓、製パン、ピザ、麺等に使用すると、食感の良好な製品を得ることができる。
例えば、畜肉加工食品の場合、組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物を、畜肉の代替として使用することができ、畜肉の一部、又は全部を、組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物に置き替えて使用することができる。この場合、畜肉加工食品中の組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物の配合量は、2~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
例えば、魚肉加工食品の場合、組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物を、魚肉の代替として使用することができ、魚肉の一部、又は全部を組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物に置き替えて使用することができる。この場合、魚肉加工食品中の組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物の配合量は、2~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
例えば、製菓、製パン、ピザ、麺のような小麦粉主原料製品の場合、組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物を、小麦粉の代替として使用することができ、小麦粉の一部、又は全部を組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物に置き替えて使用することができる。この場合、小麦粉主原料製品中の組織状大豆蛋白、又は組織状大豆蛋白粉砕物の配合量は、小麦粉に対して、2~50質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましい。
特に、畜肉加工食品は、本発明の組織状大豆蛋白の製造方法で製造された組織状大豆蛋白及び畜肉を混合後、加熱処理することにより製造することができる。
特に、魚肉加工食品は、本発明の組織状大豆蛋白の製造方法で製造された組織状大豆蛋白及び魚肉を混合後、加熱処理することにより製造することができる。
大豆蛋白素材を含む原料として、低変性脱脂大豆(商品名「ソーヤフラワーA」、日清オイリオグループ株式会社販売、NSI=85)を用いた。
低変性脱脂大豆100gと水30gを原料ホッパーに入れ、一軸エクストルーダー(出口温度:約100℃)で加圧・加熱処理して膨化物を得た。得られた膨化物を80℃の熱風で20分間熱風乾燥することで、組織状大豆蛋白の水分含量が約10質量%になるまで乾燥した。得られた組織状大豆蛋白のNSIは、約12であった。
なお、低変性脱脂大豆への水の添加量は、低変性脱脂大豆100質量部に対して30質量部であった。
大豆蛋白素材を含む原料として、低変性脱脂大豆(商品名「ソーヤフラワーA」、日清オイリオグループ株式会社販売、NSI=85)を用いた。
低変性脱脂大豆100gと表1に示す各濃度の塩化カルシウム水溶液30gを原料ホッパーに入れ、一軸エクストルーダー(出口温度:約100℃)で加圧・加熱処理して膨化物を得た。得られた膨化物を80℃の熱風で20分間熱風乾燥することで、組織状大豆蛋白の水分含量が約10質量%になるまで乾燥した。得られた組織状大豆蛋白のNSIは、約12であった。
各試験における低変性脱脂大豆100質量部に対する塩化カルシウムの添加量を表1に示す。
なお、低変性脱脂大豆への水の添加量は、低変性脱脂大豆100質量部に対して30質量部であった。
大豆蛋白素材を含む原料として、低変性脱脂大豆(商品名「ソーヤフラワーA」、日清オイリオグループ株式会社販売、NSI=85)を用いた。
低変性脱脂大豆100gと表2に示す各濃度の塩化カルシウム及び乳酸カルシウム含有水溶液30gを原料ホッパーに入れ、一軸エクストルーダー(出口温度:約100℃)で加圧・加熱処理して膨化物を得た。得られた膨化物を80℃の熱風で20分間熱風乾燥することで、組織状大豆蛋白の水分含量が約10質量%になるまで乾燥した。得られた組織状大豆蛋白のNSIは、約12であった。
各試験における低変性脱脂大豆100質量部に対する塩化カルシウム及び乳酸カルシウムの添加量を表2に示す。
なお、低変性脱脂大豆への水の添加量は、低変性脱脂大豆100質量部に対して30質量部であった。
各試験で得られた組織状大豆蛋白1質量部に対して水2質量部を添加後、1時間膨潤させたものを、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネル3名により食して表3に示す評価基準に従って各評価項目(大豆特有のえぐ味、大豆の甘み、塩化カルシウムのえぐ味)について評価をしてもらい、得られた評価点の平均値を食感評価結果とした。
大豆特有のえぐ味、及び大豆の甘みについては、カルシウムを添加していない試験1の評価を5点として、試験1に比べたときのえぐ味、甘みの減少の程度により評価点を5点~1点とした。
また、塩化カルシウムのえぐ味については、カルシウムを添加していない試験1の評価を5点として、試験1に比べたときのえぐ味の増加の程度により評価点を5点~9点とした。
低変性脱脂大豆100質量部に対する塩化カルシウムの添加量が0.01質量部(試験2)の場合、大豆のえぐ味及び甘味の低減効果はなかったが、0.03~0.09質量部の場合(試験3~6)には、大豆のえぐ味及び甘味の低減効果が見られた。しかし、0.09質量部の場合、添加した塩化カルシウムのえぐ味を強く感じるようになってしまったので、大豆のえぐ味及び甘味の低減効果はあったものの商品価値がないものと判断した。
また、塩化カルシウムの他に乳酸カルシウムを添加すると、さらに大豆のえぐ味や甘味の低減効果が見られた。
表6に示す配合のハンバーグを製造した。
具体的には、まず、試験1の組織状大豆蛋白を水に30分間浸漬することで、膨潤した試験1の組織状大豆蛋白の吸水処理品(原料2)を調製した(吸水処理1;組織状大豆蛋白:水の質量比=1:2)。吸水処理の配合を表5に示す。
次に、原料1及び原料2をホバートミキサーの容器に入れ、約2分間混合した。その後、原料3を添加して約30秒間混合した。最後に、原料4を添加し、約2分間混合し、ハンバーグ生原料を得た。得られたハンバーグ生原料90gを量り取り、縦10cm、横6cmの楕円形の型に入れ、楕円形のハンバーグ生原料(縦:約10cm、横:約6cm、厚さ:約1.5cm)を作った。得られた楕円形のハンバーグ原料を、加熱したフライパン(フライパン表面温度170℃)で、ハンバーグの両面をそれぞれ30秒ずつ焼成した後、蒸し器を用いて、92℃で40分間蒸すことによりハンバーグを製造した。
比較例1のハンバーグの製造で使用した試験1の組織状大豆蛋白を、試験4の組織状大豆蛋白に替えて、表5の配合で吸水処理2(組織状大豆蛋白:水の質量比=1:2)をした以外は、比較例1と同様の方法で表6に示す配合のハンバーグを製造した(実施例1)。
また、比較例1のハンバーグの製造で使用した試験1の組織状大豆蛋白を、試験7の組織状大豆蛋白に替えて、表5の配合で吸水処理3(組織状大豆蛋白:水の質量比=1:2)をした以外は、比較例1と同様の方法で表6に示す配合のハンバーグを製造した(実施例2)。
得られた実施例1、2、及び比較例1ハンバーグについて、官能評価試験を行った。官能評価試験は、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネル6人が行った。具体的には、次の表7に示す4つの風味の質問に対して、どちらのハンバーグがそれに該当するかを選択してもらい、その人数を集計した。評価結果を表8、及び表9に示す。
表9からわかるように、塩化カルシウム及び乳酸カルシウムを添加した組織状大豆蛋白を使用した実施例2のハンバーグは、比較例1のハンバーグに比べて、大豆の味を感じにくく、肉の香りが強く、肉の味を感じやすいことがわかった。また、6人全員が実施例2のハンバーグの方が美味しいと判断した。
さらに、表8及び表9の結果から、組織状大豆蛋白に塩化カルシウム及び乳酸カルシウムを添加することで、塩化カルシウムのみを添加した場合に比べ、大豆の味の低減効果が高く、より美味しくなることがわかった。
Claims (7)
- 大豆蛋白素材を含む原料に塩化カルシウム水溶液を添加する工程と、大豆蛋白素材を含む原料をエクストルーダーにより加圧・加熱する工程、を有する組織状大豆蛋白の製造方法で、前記塩化カルシウム水溶液の添加による塩化カルシウムの添加量が、大豆蛋白素材100質量部に対して、0.03~0.08質量部であることを特徴とする組織状大豆蛋白の製造方法。
- さらに、大豆蛋白素材を含む原料に乳酸カルシウム水溶液を添加する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の組織状大豆蛋白の製造方法。
- 前記大豆蛋白素材が、脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、及び大豆粉から選らばれる1種、又は2種以上のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の組織状大豆蛋白の製造方法。
- 大豆蛋白素材を含む原料中の大豆蛋白素材の含量が、50~100質量%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の組織状大豆蛋白の製造方法。
- 大豆蛋白素材を含む原料が、澱粉、加工澱粉、デキストリン、増粘剤、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上のものを含有するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の組織状大豆蛋白の製造方法。
- 前記請求項1~5のいずれか1項に記載された組織状大豆蛋白の製造方法で製造された組織状大豆蛋白、及び畜肉を混合後、加熱処理することを特徴とする畜肉加工食品の製造方法。
- 前記請求項1~5のいずれか1項に記載された組織状大豆蛋白の製造方法で製造された組織状大豆蛋白を原料に使用することを特徴とする食品の製造方法。
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