JPH086464Y2 - 釣用電動リール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は釣用電動リール、詳しくは、スプールの胴部
内にモータを内装し、該モータにより前記スプールを駆
動する如く成した釣用電動リールに関する。

（従来の技術） 一般に、此種電動リールは、一対のサイドフレーム間
に、円筒状胴部と該胴部の両端部に突設する一対のフラ
ンジとを備えたスプールを回転自由に支持すると共に、
前記各サイドフレームの内側面に、前記スプールの各フ
ランジ外周面と小さな隙間を置いて対向する円筒部を設
け、これらフランジ外周面と円筒部との間の隙間に釣糸
がかみ込むのを防ぐようにする一方、前記スプールの胴
部内にモータを内装し、このモータの駆動軸と前記スプ
ールの胴部内周面との間に、駆動歯車機構を設け、前記
モータの駆動で前記スプールを回転し、該スプールの胴
部に釣糸を巻装する如く構成されている。又、前記スプ
ールの胴部内面には、前記駆動歯車機構の一部を構成す
る噛合歯が設けられているため、前記スプールはアルミ
ニュウムなどの軽金属で形成されている。

（考案が解決しようとする課題） 所が、以上の如くスプールを軽金属で形成するとリー
ル全体が重くなる問題がある。

本考案は、以上の如き従来の問題点に鑑み考案したも
ので、目的は、合成樹脂製のスプールを使用してリール
全体を軽くできながら、釣糸巻取時などスプールに作用
する荷重で前記スプールが変形して、前記各フランジ外
周面が前記円筒部内面と接触するのを防止できると共
に、スプールの内面に設ける噛合歯の摩耗を最小にでき
るようにするものである。

（課題を解決するための手段） しかして、本考案は、円筒状の胴部（21）と、 該胴部（21）の両端部に突設する一対の第１及び第２
フランジ（22）（23）とを備え、かつ両端が回転自在に
支持された合成樹脂製スプール（２）と、 前記スプール（２）の前記胴部（21）内にモータ
（３）を内装して成る両軸受けタイプのリールであっ
て、 前記胴部（21）の第１フランジ（22）側内面に軸受ハ
ウジング（６）を取付ける一方、前記胴部（21）の第２
フランジ（23）側内面に、内面に噛合歯（71）をもち、
かつ一端部に前記スプール（２）の外側面と対向する外
向きフランジ（72）を一体に成形された金属製のリング
ギヤ（７）を嵌合し、 前記外向きフランジ（72）を前記スプール（２）の第
２フランジ（23）側外側面に着脱可能に取付けると共
に、 前記胴部（21）の内面で、かつ前記モータ（３）と前
記リングギヤ（７）との内装位置間に、半径方向内方に
延びる内向きフランジ（24）を前記胴部（21）と一体に
設けた ことを特徴とする釣用電動リールである。

（作用） 合成樹脂製スプール（２）における胴部（21）の第１
フランジ側内周面に取付けた軸受ハウジング（６）と、
前記胴部（21）の第２フランジ側内面に嵌合したリング
ギア（７）と、前記胴部（21）内面に設けた内向きフラ
ンジ（24）とで前記スプール（２）の剛性を高めること
ができるので、このスプール（２）に大きな荷重が作用
しても、スプールが変形して、前記各フランジ外周面が
サイドフレームの円筒部内面と接触するのを防止できる
のであり、又、前記リングギア（７）は、金属製である
から、前記モータ（３）でスプール（２）を駆動すると
きにおける前記リングギヤ（７）の摩耗を最小にでき、
耐久性を高めることができるのである。又、前記胴部
（21）の内面で、前記モータ（３）とリングギヤ（７）
との内装位置間には、内向きフランジ（24）を設けてい
るため、前記リングギヤ（７）内にグリースなどの潤滑
材を塗っても、この潤滑剤が前記モータ側に浸入するの
を防止できるのである。

（実施例） 図示したリールは、所定間隔を置いて相対向するサイ
ドフレーム（1a）（1b）を備えたリールボディ（１）
に、円筒状の胴部（21）と該胴部（21）の両端部に突設
する一対の第１及び第２フランジ（22）（23）とを備え
たスプール（２）を１対の軸受（Ｇ）（Ｇ）を介して回
転自由に支持し、該スプール（２）の前記胴部（21）内
にモータ（３）を内装すると共に、前記胴部（21）の第
２フランジ側内部に、二組の太陽歯車（41）（42）と、
これらと太陽歯車と噛合する二組の遊星歯車（43）（4
4）とをもった駆動歯車機構（４）を設ける一方、前記
一方のサイドフレーム（1a）にハンドル軸（51）を介し
てハンドル（10）を回転自由に支持し、このハンドル
（10）と前記スプール（２）との間に前記ハンドル軸
（51）を備えた手動側駆動機構（５）を設け、前記スプ
ール（２）を、手動操作とモータ駆動とで回転させるこ
とができるようにしている。

又、前記各サイドフレーム（1a）（1b）の内側面に
は、前記各フランジ（22）（23）の外周面と小さな隙間
を置いて対向する円筒部（11）（12）を設けている。

しかして、図示した実施例では、前記スプール（２）
における胴部（21）の第１フランジ側内面に軸受ハウジ
ング（６）をねじ込みにより取付けて、該軸受ハウジン
グ（６）の一端部内面に前記軸受（Ｇ）を保持する一
方、前記胴部（21）の第２フランジ側内面に、内面に前
記遊星歯車（43）（44）と噛合する噛合歯（71）をも
ち、かつ一端部に前記スプール（２）の外側面と対向す
る外向きフランジ（72）をもった金属製のリングギヤ
（７）を嵌合し、前記外向きフランジ（72）を前記スプ
ール（２）の第２フランジ側外側面に止めねじ（８）な
どの取付手段で取付けて、前記リングギヤ（７）の回転
を阻止すると共に、前記胴部（21）の内面で、かつ前記
モータ（３）とリングギヤ（７）との内装位置間に、半
径方向内方に延びる内向きフランジ（24）を前記胴部
（21）と一体に設けたのである。尚、前記外向きフラン
ジ（72）は、周方向に所定間隔を置いて貫通孔をもち、
これら貫通孔に対応するねじ孔を前記胴部（21）の端面
に設けて、止めねじ（８）により取付けるのである。

斯くして、合成樹脂製のスプール（２）は、前記軸受
ハウジング（６）と、リンギギヤ（７）とで両端側部分
を補強でき、更に前記胴部（21）の中間部分を前記内向
きフランジ（24）で補強できるので、釣糸の前記スプー
ル（２）への巻取時など、前記スプール（２）に大きな
荷重が作用したとしても、この荷重によるスプール
（２）の変形を最小にでき、スプールの各フランジ（2
2）（23）外周面が前記円筒部（11）（12）内面と接触
してスプールの回転抵抗が増大するのを防止できるので
ある。又、前記駆動歯車機構（４）にグリースなどの潤
滑剤を塗布して歯車を円滑に回転させるようにした場
合、この潤滑剤が前記モータ（３）部分に浸入するのを
前記内向きフランジ（24）で防ぐことができるのであ
る。又、前記リングギヤ（７）は、金属製であるため。
前記遊星歯車（43）（44）との噛合による摩耗を最小に
できるのである。

又、前記内向きフランジ（24）の先端部には、前記駆
動歯車機構（４）側に向かって突出する環状突起（24
a）を突設して、前記駆動歯車機構（４）に塗布した前
記潤滑剤が前記モータ（３）部分により一層侵入しにく
いようにしている。

尚、前記モータ（３）の駆動力は、前記太陽歯車（4
1）と該太陽歯車及び前記噛合歯（71）に噛合する前記
遊星歯車（43）と前記リングギヤ（７）とを介して前記
スプール（２）に伝達されるのである。

又、前記スプール（２）の第２フランジ側端部には、
外周面に歯をもった伝動ギヤ（９）を連結板（31）を介
して設け、この伝動ギヤ（９）の内面に伝動筒（32）を
回転自由に支持し、該伝動筒（32）に、前記遊星歯車
（44）を支持している。尚、前記スプール（２）の第２
フランジ側は、前記連結板（31）と伝動ギヤ（９）と軸
受（Ｇ）とを介して前記サイドフレーム（1a）に支持さ
れている。

又、前記手動側駆動機構（３）は、前記ハンドル軸
（51）に回転可能に支持するマスターギヤ（52）と、こ
のマスターギヤ（52）と前記ハンドル軸（51）との間に
介装するドラッグ機構（53）と、前記サイドフレーム
（1a）に固定する支持軸（54）を介して回転及び軸方向
移動自由に支持し、前記マスターギヤ（52）と噛合する
ピニオン（55）と、前記伝動筒（32）及び遊星歯車（4
4）とを備え、前記ピニオン（55）と伝動筒（32）との
間にクラッチ（56）を設け、スプールの釣糸巻取方向へ
の正転時、前記クラッチ（56）を入れて前記ハンドル
（10）の回転操作による駆動力を、前記ハンドル軸（5
1）、ドラッグ機構（53）、マスターギヤ（52）、ピニ
オン（55）、クラッチ（56）、伝動筒（32）、遊星歯車
（44）及びリングギヤ（７）を介して前記スプール
（２）に伝え、又、前記スプール（２）の釣糸引出方向
への逆転時、前記クラッチ（56）を切って前記スプール
（２）をフリー回転可能とし、このスプール（２）に巻
装した釣糸における釣仕掛けの重さで逆転方向にフリー
回転させるようにしている。

尚、図中（33）は前記スプール（２）の回転に連動し
て回転するレベルワインド軸であって、このレベルワイ
ンド軸（６）の一端部に設ける従動ギヤ（34）と前記伝
動ギヤ（９）との間に複数個の中間ギヤ（35）を設けて
いる。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、合成樹脂製スプールの両端に軸
受ハウジング、及び一体成形された外向きフランジを備
えたリングギヤが取り付けられているので、スプールの
剛性を高めることが出来る。

また、胴部の中間部分に内向きフランジを一体に設け
たので、スプールに大きな荷重が作用したとしても、こ
の荷重によるスプールの変形を最小に出来るので、回転
が円滑である。更に、内向きフランジは、リングギヤに
潤滑材を塗ってもこの潤滑材がモータ側に侵入するのを
防止できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案リールの一実施例を示す一部省略断面図で
ある。 （２）……スプール （21）……胴部 （22）……第１フランジ （23）……第２フランジ （24）……内向きフランジ （３）……モータ （６）……軸受ハウジング （７）……リングギヤ （71）……噛合歯 （72）……外向きフランジ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状の胴部（21）と、 該胴部（21）の両端部に突設する一対の第１及び第２フ
   ランジ（22）（23）とを備え、かつ両端が回転自在に支
   持された合成樹脂製スプール（２）と、 前記スプール（２）の前記胴部（21）内にモータ（３）
   を内装して成る両軸受けタイプのリールであって、 前記胴部（21）の第１フランジ（22）側内面に軸受ハウ
   ジング（６）を取付ける一方、前記胴部（21）の第２フ
   ランジ（23）側内面に、内面に噛合歯（71）をもち、か
   つ一端部に前記スプール（２）の外側面と対向する外向
   きフランジ（72）を一体に成形された金属製のリングギ
   ヤ（７）を嵌合し、 前記外向きフランジ（72）を前記スプール（２）の第２
   フランジ（23）側外側面に着脱可能に取付けると共に、 前記胴部（21）の内面で、かつ前記モータ（３）と前記
   リングギヤ（７）との内装位置間に、半径方向内方に延
   びる内向きフランジ（24）を前記胴部（21）と一体に設
   けた ことを特徴とする釣用電動リール。