JPH0861288A - 立軸ポンプ設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 揚水遮断後の負荷を速やかに低下させ、かつ
不安定な空気の流れを抑制して、揚水遮断後の振動を低
減する立軸ポンプ設備を提供する。 【構成】 ポンプ胴体２の曲胴２ａと吐出管１２とから
なる横方向のポンプ流路に連通して通気管２１と排水管
２２を設ける。通気管２１の一端を流路軸心より上方部
位においてポンプ流路に接続するとともに、通気管２１
の他端を大気開放する。排水管２２の一端を流路軸心よ
り下方部位においてポンプ流路に接続するとともに、排
水管２２の他端を吸水槽３に連通させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、揚水遮断運転を行う立
軸ポンプ用設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の立軸ポンプ用設備としては、図４
に示すようなものがある。図４において、立軸ポンプ１
は鉛直方向に配置するポンプ胴体２を有しており、ポン
プ胴体２の下端側が吸水槽３の吸水面４より下方におい
て開口する吸込口５をなすとともに、吸込口５に続いて
羽根車室６を設けている。羽根車室６の内部には羽根車
７を配置しており、羽根車７は主軸８を介して駆動モー
タ９に接続している。吸気管１０は一端が羽根車７の下
方近傍位置で羽根車入口部６ａにおいてポンプ胴体２に
連通し、他端が大気中に開放しており、途中に吸気弁１
０ａを有している。ポンプ胴体２の上端側は曲胴２ａを
なし、曲胴２ａはポンプ吐出口１１を形成している。ポ
ンプ吐出口１１には吐出管１２を接続しており、吐出管
１２の先端側は吐出水槽１３に吐出水面１４より下方位
置において連通している。吐出管１２の途中には吐出弁
１５を介装しており、吐出水槽１３内に位置する吐出管
１２の先端には逆流防止弁１６を設けている。吐出管１
２には吐出弁１５より上流側の位置において排気管１７
が自動排気弁１８を介して連通している。排気管１７は
ポンプ胴体２の曲胴２ａの頂部に設けることもある。

【０００３】この構成においては、通常運転時には、吐
出弁１５を開放するとともに、吸気弁１０ａを閉塞する
状態で、駆動モータ９により主軸８を介して羽根車７を
回転駆動し、吸水槽３内の水を吸込口５からポンプ胴体
２内に吸引して揚水し、吐出管１２を通して吐出水槽１
３に吐出する。このとき、ポンプ流路内に残留する空気
は、自動排気弁１８により排気管１７を通して排出す
る。

【０００４】揚水遮断運転を行う立軸ポンプ用設備にお
いては、揚水遮断後においても、羽根車７は所定の回転
速度で運転しているので、吐出管１２およびポンプ胴体
２内のほとんどの水は吸水槽３に逆流せず、羽根車によ
り保持されている。このとき、逆流防止弁１６を介して
吐出水槽１３内の背圧と吐出管１２内の吐出圧が拮抗
し、吐出管１２内は正圧に維持される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記した構成により、
揚水遮断運転を行う立軸ポンプ用設備においては、揚水
遮断後においても吐出管１２内を正圧に保持するので、
揚水遮断運転時においては羽根車７が大きな負荷を受け
ながら長時間運転されることになる。また、揚水遮断運
転においては吸気弁１０ａを開放し、吸気管１０を通し
てポンプ胴体２内に空気を吸引するが、吐出管１２内を
正圧に保持するために、自動排気弁１８は閉状態を維持
するので、吸気管１０よりポンプ内に流入した空気はポ
ンプ内に閉じ込められたままで攪拌・流動することにな
り、ポンプの運転状態が不安定となる。この結果、ポン
プの振動が増大するとともに、長時間にわたってポンプ
の振動が継続する問題があった。

【０００６】本発明は上記した課題を解決するもので、
揚水遮断後の負荷を速やかに低下させ、かつ不安定な空
気の流れを抑制することにより、揚水遮断後の振動を低
減することができる立軸ポンプ設備を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の立軸ポンプ設備は、吸込口が吸水槽内
に位置する立軸ポンプに、ポンプ胴体の上側部をなす曲
胴のポンプ吐出口に接続して横方向に配置した吐出管を
設け、吐出水槽内で開口する吐出管の先端開口に逆流防
止弁を設け、一端が大気に連通する吸気管を羽根車より
下方位置においてポンプ胴体に接続して設けた立軸ポン
プ設備において、ポンプ胴体の曲胴と吐出管とからなる
横方向のポンプ流路に連通して通気管と排水管を設け、
通気管の一端を流路軸心より上方部位においてポンプ流
路に接続するとともに、通気管の他端を大気開放し、排
水管の一端を流路軸心より下方部位においてポンプ流路
に接続するとともに、排水管の他端を吸水槽に連通させ
た構成としている。

【０００８】また、横方向のポンプ流路がポンプ吐出口
から逆流防止弁に向けて上り勾配をなし、ポンプ流路の
上り勾配末端部に通気管を接続し、ポンプ流路の上り勾
配始端部に排水管を接続した構成としている。

【０００９】

【作用】上記した構成により、通常運転時には吸水槽内
の水を吸込口からポンプ胴体内に吸い込むとともに、吸
い上げた水を曲胴および吐出管を通して吐出水槽内に吐
出する。

【００１０】揚水遮断時には、吐出管の先端に設けた逆
流防止弁が吐出水槽からの逆流を防止する状態におい
て、水平方向のポンプ流路内に残留する水が排水管を通
して吸水槽に流出するので、吐出管内に大気圧以上の圧
力が残存せず、立軸ポンプの羽根車に対する負荷を低減
することができる。しかも、通気管よりポンプ流路内に
大気を導くことにより、排水を円滑に行うことができる
とともに、吐出管の上部領域に短時間で空気層を形成す
るので、吸気管からポンプ胴体内に吸い込んだ空気を空
気層に速やかに吸収してポンプ胴体内における気液を分
離することができるので、従来のようなポンプ胴体内に
おいて気泡が散在する状態を排除することができ、揚水
遮断運転におけるポンプの運転状態を安定化することが
できる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。先に図
４において説明した部材と同様の作用を行う部材につい
ては同一番号を付して説明を省略する。図１において、
ポンプ胴体２が縦方向のポンプ流路を形成するととも
に、ポンプ胴体２の曲胴２ａと水平方向に配置した吐出
管１２とが横方向のポンプ流路を形成している。

【００１２】通気管２１は吐出弁１５より吐出水槽１３
側の位置で吐出管１２に接続して設けており、通気管２
１は一端が流路軸心より上方部位、本実施例においては
流路の頂部に連通し、他端が吐出水槽１３における最高
水位以上の位置において大気に開放している。排水管２
２は吐出弁１５よりポンプ吐出口１１側の位置で吐出管
１２に接続して設けており、排水管２２は一端が流路軸
心より下方部位、本実施例においては流路の底部に連通
し、他端を吸水槽３に連通させている。

【００１３】以下、上記構成における作用を説明する。
通常運転時には、吸気弁１０ａを閉塞するとともに、吐
出弁１５を開放する状態で、羽根車７を回転駆動し、吸
水槽３内の水を吸込口５からポンプ胴体２内に吸い込む
とともに、吸い上げた水を曲胴２ａおよび吐出管１２を
通して吐出水槽１３内に吐出して揚水する。

【００１４】揚水を遮断する時には、吸気弁１０ａを開
放し、吸気管１０を通してポンプ胴体２内に羽根車入口
部６ａから空気を吸い込み、揚水を停止させる。このと
き、吐出管１２の先端に設けた逆流防止弁１６が吐出水
槽１３からの逆流を防止する状態において、吐出管１２
のポンプ流路内に残留する水が排水管２２を通して吸水
槽３に流出するので、吐出管１２内に大気圧以上の圧力
が残存せず、立軸ポンプ１の羽根車７に対する負荷を低
減することができる。

【００１５】しかも、通気管２１より吐出管１２のポン
プ流路内に大気を導くことにより、排水を円滑に行うこ
とができるとともに、吐出管１２の上部領域に短時間で
空気層を形成するので、吸気管１０からポンプ胴体２内
に吸い込んだ空気を空気層に速やかに吸収し、ポンプ胴
体２内における気液を分離することができる。このた
め、従来のようなポンプ胴体２内において気泡が散在す
る状態を排除することができ、揚水遮断運転におけるポ
ンプの運転状態を安定化することができる。

【００１６】尚、通気管２１および排水管２２に開閉弁
を設けることも可能であり、この場合には揚水遮断後に
開閉弁の開閉操作を行う。また、従来のように自動排気
弁１８を設けることも可能である。

【００１７】図２は本発明の他の実施例を示すものであ
る。図２において、排水管２２はポンプ胴体２の曲胴２
ａに設けており、曲胴２ａに既設されている点検口等の
利用して排水管２２を接続している。

【００１８】図３は本発明のさらに他の実施例を示すも
のである。図３において、吐出管１２はポンプ吐出口１
１から逆流防止弁１６に向けて上り勾配をなしている。
吐出管１２の上り勾配末端部に通気管２１を接続すると
ともに、吐出管１２の上り勾配始端部に排水管２２を接
続している。

【００１９】この構成によれば、吐出管１２の勾配によ
り排水をより速やかに行わせることができる。

【００２０】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、揚水
遮断時に、水平方向のポンプ流路内に残留する水が排水
管を通して吸水槽に流出するので、吐出管内に大気圧以
上の圧力が残存せず、立軸ポンプの羽根車に対する負荷
を低減することができる。通気管よりポンプ流路内に大
気を導くことにより、排水を円滑に行うとともに、吐出
管内に短時間で空気槽を形成するので、ポンプ胴体内に
おける気液を速やかに分離して、揚水遮断運転における
ポンプの運転状態を安定化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における立軸ポンプ設備を示
す全体構成図である。

【図２】本発明の他の実施例における立軸ポンプ設備の
要部構成図である。

【図３】本発明のさらに他の実施例における立軸ポンプ
設備の要部構成図である。

【図４】従来の立軸ポンプ設備を示す全体構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 立軸ポンプ ２ ポンプ胴体 ２ａ 曲胴 ３ 吸水槽 ４ 吐出弁 ５ 吸込口 １２ 吐出管 １６ 逆流防止弁 ２１ 通気管 ２２ 排水管

フロントページの続き (72)発明者 鈴木 信廣 大阪府枚方市中宮大池１丁目１番１号 株 式会社クボタ枚方製造所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸込口が吸水槽内に位置する立軸ポンプ
   に、ポンプ胴体の上側部をなす曲胴のポンプ吐出口に接
   続して横方向に配置した吐出管を設け、吐出水槽内で開
   口する吐出管の先端開口に逆流防止弁を設け、一端が大
   気に連通する吸気管を羽根車より下方位置においてポン
   プ胴体に接続して設けた立軸ポンプ設備において、ポン
   プ胴体の曲胴と吐出管とからなる横方向のポンプ流路に
   連通して通気管と排水管を設け、通気管の一端を流路軸
   心より上方部位においてポンプ流路に接続するととも
   に、通気管の他端を大気開放し、排水管の一端を流路軸
   心より下方部位においてポンプ流路に接続するととも
   に、排水管の他端を吸水槽に連通させたことを特徴とす
   る立軸ポンプ設備。
2. 【請求項２】 横方向のポンプ流路がポンプ吐出口から
   逆流防止弁に向けて上り勾配をなし、ポンプ流路の上り
   勾配末端部に通気管を接続し、ポンプ流路の上り勾配始
   端部に排水管を接続したことを特徴とする請求項１に記
   載の立軸ポンプ設備。