JPS6327099Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、サイホン式水車の始動装置、特に小
形のサイホン式水車に用いて有効な始動装置に関
する。

水の位置エネルギにより運転される水車は、通
常、水の流路中に設けられるので、今までの水車
においては、その入口側に運転開始或いは停止の
ための弁を設けている。しかし、この弁は高価で
あることから、別の手段の提案が望まれ、現在、
サイホン式のものが提供されている。これは、貯
水池等とその水面より下方に設置されている水車
の入口とをサイホン管でつなぎ、サイホンの原理
により水をサイホン管内に導いて水車を運転する
ものであり、運転停止に際しては、サイホン管内
に外部空気を導入するだけでよく、弁が不要とな
る。ところが、この水車の運転開始の際には、サ
イホン管内を真空にしなければならず、そのため
の設備、つまり真空ポンプ等が必要となり、弁を
なくしたことの効果が半減或いは相殺されてしま
う。

本考案は、上記現状にかんがみてなされたもの
で、サイホン式水車において真空ポンプ等のいら
ない始動装置を提供することを目的とするもので
あつて、その要旨とするところは、水源装置の水
中よりこの水源装置のせきを越えてサイホン管に
より導かれた水で駆動され、その後前記水をドラ
フト管を介して放水庭に排出するようになつてい
るサイホン式水車を始動するための始動装置にお
いて、弁を有する放水管を介して下部が放水庭に
連通しているタンクと、水源装置の水面より下方
の部分とタンクの上部とを水源装置からタンク内
に水が流れ込むように連通するとともに弁を有す
る給水管と、水源装置の水面より下方の部分とサ
イホン管の水車より上方の部分とを水源装置から
サイホン管内に水が流れ込むように連通するとと
もに弁を有する導水管と、サイホン管の頂部に導
入されるとともに、一端部が弁を介して大気と連
通し、且つ他端部が他の弁を介してタンクの上部
に連通している空気管とを有することを特徴とす
る。

以下、本考案に係るサイホン式水車の始動装置
を図面に示す一実施例に基づき詳細に説明する。

図面には本考案をサイホン式クロスフロー水車
に適用した実施例の部分断面が示されている。１
はせき等でせき止められた貯水池等の水源装置で
あり、その水面１ａより十分低い位置に放水庭２
がとられている。２ａは放水庭２の放水面であ
る。放水面２ａの上方には基礎（図示省略）が構
築され、そこにクロスフロー水車３が設置されて
いる。クロスフロー水車３は、出口管４と入口管
５とを有するケーシング６と、その中に設けられ
た水車ランナ７と、水車ランナ７の上流側に設け
られ入口管５を塞ぎ得るガイドベーン８と、ケー
シング６の上部に設けられケーシング６内の圧力
が所定の負圧になると開いて空気を導入する空気
流入弁９とから構成されている。そして、このク
ロスフロー水車３のケーシング６の出口管４に
は、前記放水庭２の放水面２ａの下に伸びるドラ
フト管１０が接続し、ケーシング６の入口管５に
は前記水源装置１の水中よりせきを越えてサイホ
ン管１１が接続している。なお、１２はサイホン
管１１の端部に設けられたスクリーンであり、ゴ
ミ等の侵入を防ぐ役目をはたしている。

以上がサイホン式クロスフロー水車の構造であ
り、従来はケーシング６に真空ポンプを接続し、
サイホン管１１内を真空引きすることによつて水
源装置１より水をサイホン管１１内に導き、クロ
スフロー水車３を運転していた。

本考案は、上記構造に加え、まず、サイホン管
１１の頂部１１ａに空気管１３が導入されてその
一端に設けられた空気弁１４を介して大気と連通
するとともに、空気管１３の他端はクロスフロー
水車３の近傍に設置されたタンク１５の上部と連
結せしめられている。この場合、サイホン管１１
の頂部１１ａに形成される空気容積をできるだけ
小さくするとともに、この容積よりも大きな容積
を有するタンク１５を用意する方がサイホンの原
理を利用する上で好ましい。また、水源装置１の
水面１ａの下方とタンク１５の上部およびサイホ
ン管１１のクロスフロー水車３における入口管５
側端部とは、それぞれ給水管１６および導水管１
７を介して連結されるとともに、タンク１５の下
部は放水管１８により放水庭２と連結されてい
る。

したがつて、水車３の運転に先立つて導水管１
７に設けられた弁１９を開いて入口管５を水で充
満すると同時に、放水管１８に設けられた弁２０
を閉じ、給水管１６に設けられた弁２１を開く
と、タンク１５内は水で充満する。次いで、給水
管１６の弁２１を閉じ、空気管の１３の弁２２お
よび放水管１８の弁２０を開くと、タンク１５内
の水は放水管１８から放出されるとともにタンク
１５内は負圧となるから、空気管１３を通じてサ
イホン管１１頂部１１ａの空気は吸い出され、タ
ンク１５内の上部には水面１５ａとの間に空気部
分が形成される。放水管１８からの放水に従つて
タンク１５内の水面（水位）１５ａは低下し、サ
イホン管１１内の水位Haは上昇を続けて、やが
てHbに到達する。かくして水車３の運転準備は
完了し、前記弁２０〜２２を閉じれば水源装置１
の水はサイホン管１１を通つてドラフト管１０に
向けて流れ出すことになる。

なお、弁２２を閉じるかわりに空気管１３の途
中にフロートバルブを設けておけば同一機能をは
たし得る。

以上、図面に示した実施例にもとずいて説明し
たように、本考案に係る始動装置によれば、特別
の真空装置を用いることなくサイホン式水車を始
動せしめることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案をサイホン式クロスフロー水車
に適用した実施例を示す部分断面図である。 図面中、１は水源装置、２は放水庭、３はクロ
スフロー水車、１１はサイホン管、１１ａはその
頂部、１３は空気管、１４は空気弁、１５はタン
ク、１６は給水管、１７は導水管、１８は放水
管、１９〜２２は弁である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 水源装置の水中よりこの水源装置のせきを越え
   てサイホン管により導かれた水で駆動され、その
   後前記水をドラフト管を介して放水庭に排出する
   ようになつているサイホン式水車を始動するため
   の始動装置において、 弁を有する放水管を介して下部が放水庭に連通
   しているタンクと、 水源装置の水面より下方の部分とタンクの上部
   とを水源装置からタンク内に水が流れ込むように
   連通するとともに弁を有する給水管と、 水源装置の水面より下方の部分とサイホン管の
   水車より上方の部分とを水源装置からサイホン管
   内に水が流れ込むように連通するとともに弁を有
   する導水管と、 サイホン管の頂部に導入されるとともに、一端
   部が弁を介して大気と連通し、且つ他端部が他の
   弁を介してタンクの上部に連通している空気管と
   を有することを特徴とするサイホン式水車の始動
   装置。