JPH0860557A - ヌバック調外観を有する皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

ヌバック調外観を有する皮革様シートおよびその製造方法

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JPH0860557A
JPH0860557A JP22413194A JP22413194A JPH0860557A JP H0860557 A JPH0860557 A JP H0860557A JP 22413194 A JP22413194 A JP 22413194A JP 22413194 A JP22413194 A JP 22413194A JP H0860557 A JPH0860557 A JP H0860557A
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JP
Japan
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water
sheet
polyurethane resin
leather
nubuck
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JP22413194A
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Sei Arai
聖 新井
Katsumi Osawa
克己 大沢
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 家具や車輌の表皮材として好適に使用でき
る、柔らかな風合いで、かつ適度な伸縮性を有するヌバ
ック調外観を有する皮革様シートおよびその製造方法を
提供する。 【構成】 予め有機ケイ素重合体および水溶性高分子を
付着させ、かつ起毛処理した編布に、ポリウレタン樹脂
溶液を含浸、塗布させた後、非溶剤中に浸漬してポリウ
レタン樹脂を凝固させて得られるシート材表面を起毛処
理することにより得られるヌバック調外観を有する皮革
様シート。ポリウレタン樹脂としては、無黄変型ポリカ
ーボネート系ポリウレタン樹脂が好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家具、車輌等の表皮材
として用いられる、風合の柔らかい伸縮性に優れたヌバ
ック調外観を有する皮革様シートおよびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ヌバック調外観を有するシート(以下、
「ヌバック調皮革様シート」と略記することがある)と
しては、繊維基材の表面にポリウレタン樹脂溶液を含
浸、塗布させ、次いでポリウレタン樹脂を湿式凝固させ
て微多孔質層とした後、ポリウレタン樹脂微多孔質層表
面のスキン層を研削除去して微多孔質層の微細気孔の一
部を露出させたものや、起毛処理や立毛処理(以下、
「起毛処理」と略記することがある)した繊維基材の表
面にポリウレタン樹脂溶液を塗布、含浸させて、次いで
ポリウレタン樹脂を湿式凝固させて微多孔質層をした
後、ポリウレタン樹脂微多孔質層表面をバフィングして
繊維基材の起毛部を表面に露出させたものなどが用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のヌバッ
ク調皮革様シートは、繊維基材として伸びにくい織物等
を使用しており、またポリウレタン樹脂を含浸、塗布さ
せる際に、ポリウレタン樹脂が繊維基材の裏面側にまで
浸透し、繊維基材の組織を固着してしまうため、得られ
たヌバック調皮革様シートは伸縮性に乏しく、かつ風合
いが硬いものであった。
【0004】一方、一般に乾式法と呼ばれる方法で得ら
れる合成皮革としては、繊維基材としてメリヤスやトリ
コットなどの伸縮性のある編布を用いたものがある。こ
の合成皮革は、繊維基材に用いたメリヤスやトリコット
などの編み組織による伸縮性を利用して、得られる合成
皮革に柔らかい風合いと伸縮性を付与したものである。
【0005】また、基材にメリヤスやトリコットを繊維
基材として用い、上記のようにポリウレタンを含浸、塗
布させ、湿式凝固させた、一般に湿式法と呼ばれる方法
で得られる合成皮革もあるが、一般にはメリヤスやトリ
コットの繊維基材裏面に伸び止め用のバッキング材を貼
り合わせて加工されるため、伸縮性が充分でなく、また
上記のバッキング材を貼り合わせずに加工すると、繊維
基材が伸び過ぎるために加工性に劣り、加工できたとし
ても、耳部にカールが発生したり、得られた合成皮革の
縦方向と横方向の伸縮性が、アンバランスとなるといっ
た問題が生じていた。
【0006】更に、上記のように繊維基材としてメリヤ
スやトリコットなどを用いたとしても、得られる合成皮
革の風合いや伸縮性は充分に満足できるものではなく、
更なる改良が望まれていた。
【0007】更にまた、湿式法と呼ばれる方法で得られ
る合成皮革は、ポリウレタン樹脂の湿式凝固時にピンホ
ールが発生して外観を損なう虞があるが、このようなピ
ンホールの発生は、ポリウレタン樹脂微多孔層を研削除
去したり、バフィングしたりして得られるヌバック調皮
革様シートでは致命的であり、その改善が望まれてい
た。
【0008】本発明は、上記の技術背景を基になされた
ものであって、ピンホールの発生が致命的となるヌバッ
ク調皮革様シートにおいて、特定の処理を施したメリヤ
スやトリコットなどの編み組織を有する繊維基材を用い
ることにより、ピンホールの発生がなく、しかも従来の
方法で得られる上記の合成皮革よりも更に柔らかな風合
いを有し、適度な伸縮性を有するヌバック調皮革様シー
トを得られることを見出し完成に至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明のヌバック調皮革様シートは、編み組
織からなる繊維基材にポリウレタン樹脂を含浸、塗布し
た後、ポリウレタン樹脂を湿式凝固させて得られるシー
ト材表面を起毛処理してなるヌバック調外観を有する皮
革様シートであって、繊維基材が起毛処理され、かつ予
め有機ケイ素重合体および水溶性高分子が付着された繊
維基材であることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明のヌバック調皮革様シートの
製造方法は、起毛処理を施した編み組織からなる繊維基
材に有機ケイ素重合体および水溶性高分子を付着させる
工程、繊維基材にポリウレタン樹脂溶液を含浸、塗布す
る工程、ポリウレタン樹脂溶液を含浸、塗布した繊維基
材を非溶剤に浸漬してポリウレタン樹脂を湿式凝固させ
表面にポリウレタン樹脂層を有するシート材を形成する
工程、シート材表面にエンボスを施す工程、シート材表
面に起毛処理を施す工程、とからなることを特徴とする
ものである。
【0011】本発明の編み組織からなる繊維基材として
は、メリヤスやトリコットなどの従来より市販されてい
る編布を用いることができ、編み組織は縦編みであって
も横編みであってもよい。また繊維基材の伸びは、縦方
向、横方向共に40〜120%程度で、かつ縦方向と横
方向の伸びのバランスのよいものが望ましい。繊維基材
の伸びが40〜120%の範囲を外れると、ポリウレタ
ン樹脂を含浸、塗布した後に湿式凝固させる際の加工性
に劣り、縦方向と横方向の伸びのバランスが悪いと、得
られたヌバック調皮革様シートを用いた製品が型崩れを
起こし易くなる。
【0012】上記の繊維基材を構成する繊維としては、
例えばポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリ
ル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールなどの合成
繊維や再生セルロースなどの化学繊維などを用いること
ができる。また、繊維基材を構成する繊維の単糸繊度
は、1デニール以下とするのが好ましい。
【0013】編み組織からなる繊維基材は、サンドペー
パー、サンドクロス、サンドネット、サンドロール、針
布、砥石、ブラシなどを用いた公知の方法で起毛処理が
なされる。このときの起毛の長さ、密度は特に制限はな
いが、一般的には起毛が短く、密度が高い方が、より好
ましいヌバック調皮革様シートを得ることができる。ま
た、起毛部を構成する繊維の単糸繊度は、1デニール以
下であるのが望ましい。
【0014】上記繊維基材に付与される有機ケイ素重合
体として具体的には、ジメチルポリシロキサン、ジヒド
ロキシメチルポリシロキサン、エポキシ変成ジメチルポ
リシロキサン、アミノ変成ジメチルポリシロキサン、メ
チルハイドロジェンポリシロキサン等を主成分としたオ
ルガノポリシロキサン等の水溶性エマルジョンが挙げら
れる。
【0015】有機ケイ素重合体と共に繊維基材に付与さ
れる水溶性高分子として具体的には、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース等のセルロース系高分子;
可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデ
ヒドデンプンなどのデンプン系高分子;ポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキ
シド等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性
高分子としては、特にポリビニルアルコールが好ましく
用いられる。
【0016】上記の有機ケイ素重合体および水溶性高分
子の付与は、例えば、水100重量部に対して有機ケイ
素重合体0.1〜10重量部、水溶性高分子0.1〜1
0重量部で、かつ有機ケイ素重合体と水溶性高分子の合
計量が水100重量部に対して0.5〜15重量部とな
るように混合した水性混合液を繊維基材に含浸させるこ
とにより行なわれる。上記混合割合より少ないと、風合
いの柔軟化効果、湿式凝固時のピンホール発生防止効果
が、充分に発揮されない虞があり、また上記混合割合よ
り多くするとコスト高となる。また、上記の水性混合液
には、恒久的柔軟性を付与させる目的で、脂肪酸金属
塩、高級脂肪酸金属塩等の触媒など、各種添加剤を添加
することもできる。
【0017】上記の繊維基材に含浸、塗布されるポリウ
レタン樹脂としては、ポリエステル系ポリウレタン樹
脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネー
ト系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレ
タン樹脂、あるいはこれらの共重合体や混合物など、従
来から用いられているものであれば何れのものでも使用
できるが、家具や車輌などの表皮材として求められる諸
特性を満足させるためには、無黄変型ポリカーボネート
系ポリウレタン樹脂を用いるのが望ましい。
【0018】上記の無黄変型ポリカーボネート系ポリウ
レタン樹脂は、ポリカーボネートジオール成分と無黄変
型ジイソシアネート成分、および低分子鎖伸長剤とを反
応させて得られる重合物である。
【0019】ポリカーボネートジオール成分としては、
従来より使用されているものであればいずれのものであ
ってもよいが、特にポリエチレンカーボネートジオー
ル、ポリブチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメ
チレンカーボネートジオールから選ばれる1種以上のア
ルキレンポリカーボネートジオール、またはこれらを主
体とし、これに線状ポリシロキサンの両末端に水酸基が
結合したポリシロキサンジカルビトールや1つの末端が
イソシアネート基と非反応性の官能基でかつ他の末端に
2つの水酸基を有するオルガノポリシロキサンとの混合
物などが、耐薬品性、耐摩耗性を向上させるためには好
適である。
【0020】上記ポリカーボネートジオールは、水酸基
価から求めた平均分子量が500〜5000、特に90
0〜3000のものが好適である。分子量が小さ過ぎる
とウレタン基濃度が高くなり、ポリウレタン樹脂の柔軟
性、溶剤溶解性が低下し、分子量が大き過ぎるとウレタ
ン基濃度が低下し、ポリウレタン樹脂特有の強靱性、耐
摩耗性が悪化する。
【0021】無黄変型ジイソシアネートは、テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネー
ト等の脂肪族、または脂環族のものが使用できる。これ
らのジイソシアネートは、単独で使用してもよいし、2
種以上を混合して使用してもよい。また、耐薬品性、耐
摩耗性を向上させるためには、イソホロンジイソシアネ
ート、またはイソホロンジイソシアネートを主体とした
シクロヘキシルジイソシアネートまたは/およびジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネートとの混合物が好適に
使用できる。
【0022】低分子鎖伸長剤としては、脂肪族ジオール
類、脂環族ジオール類、脂環族ジアミン類、ヒドラジン
誘導体などが使用できる。これらの低分子鎖伸長剤は単
独で用いてもよいし、2種以上の混合物として使用して
もよい。
【0023】上記の無黄変型ポリカーボネート系ポリウ
レタン樹脂は、耐加水分解性や耐光性、耐熱性などの家
具や車輌などの表皮材として求められる諸特性を損なわ
ない程度であれば、無黄変型ポリカーボネート系ポリウ
レタン樹脂以外のポリウレタン樹脂との共重合体や混合
物であっても使用することができる。共重合体として具
体的には、ポリカプロラクトン−ポリカーボネート共重
合系ポリウレタン樹脂、炭素6以上のジオールとジカル
ボン酸との縮合によって得られるポリエステルジオール
−ポリカーボネート共重合系ポリウレタン樹脂等が挙げ
られ、また無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタン樹
脂に混合できるポリウレタン樹脂としては、ポリカプロ
ラクトン系ポリウレタン樹脂、ポリテトラメチレングリ
コール系ポリウレタン樹脂、炭素6以上のジオールとジ
カルボン酸との縮合によって得られるポリエステル系ポ
リウレタン樹脂などが挙げられる。
【0024】本発明に使用される上記のポリウレタン樹
脂は、ジメチルホルムアミドの20重量%溶液としたと
きの粘度が、25℃において50〜250ポイズの範囲
にあるものを使用するのが好ましい。また、上記のポリ
ウレタン樹脂は、100%モジュラスが10〜120k
g/cm2 のものであるのが好ましい。100%モジュ
ラスが低過ぎると機械的物性が低下し、100%モジュ
ラスが高過ぎると風合いが硬くなる。
【0025】上記のポリウレタン樹脂は、必要に応じて
凝固調整剤(界面活性剤)、着色剤、充填剤、酸化防止
剤、撥水剤、撥油剤などの各種添加剤を混入し、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルスルホキシド等の溶剤によって適宜
の濃度のポリウレタン樹脂溶液とされる。このときのポ
リウレタン樹脂含有割合は、目的、用途によって異なる
ので一概には規定することができないが、一般には繊維
基材に対し5〜50重量%となるように調整される。ま
た、ポリウレタン樹脂溶液には、必要に応じてコラーゲ
ン粉末などを添加してもよい。
【0026】上記ポリウレタン樹脂は、予め有機ケイ素
重合体および水溶性高分子を付着された繊維基材に含
浸、塗布された後、湿式凝固される。こうして得られた
表面にポリウレタン樹脂層を有するシート材は、更にサ
ンドペーパー、ブラシなどによって起毛処理が施され、
本発明のヌバック調皮革様シートとなる。また、本発明
のヌバック調皮革様シートは、必要に応じて起毛処理が
施される前にエンボス加工によって凹凸が付与されたも
のであってもよいし、揉み加工、染色加工がなされたも
のであってもよい。
【0027】次に、本発明のヌバック調皮革様シートの
製造方法について説明する。
【0028】まず、予めサンドペーパー、サンドクロ
ス、サンドネット、サンドロール、針布、砥石、ブラシ
などを用いた公知の方法で起毛処理がなされた編布から
なる繊維基材にディップロールコート法などの手段によ
り有機ケイ素重合体および水溶性高分子の水性混合液を
含浸させた後、乾燥、キュアリングの工程を経て有機ケ
イ素重合体および水溶性高分子を付着させる。このとき
の水性混合液は、水100重量部に対して有機ケイ素重
合体0.1〜10重量部、水溶性高分子0.1〜10重
量部で、かつ有機ケイ素重合体と水溶性高分子の合計量
が水100重量部に対して0.5〜15重量部となるよ
うに混合した水性混合液であるのが望ましい。また、乾
燥の条件は70〜80℃で3〜5分間、キュアリングの
条件は130〜150℃で3〜5分間が望ましい。
【0029】上記の有機ケイ素重合体および水溶性高分
子を付着させた繊維基材には、ディップロールコータ
ー、オポジットナイフコーター等の手段にてポリウレタ
ン樹脂溶液が含浸され、ナイフコーター等の手段でポリ
ウレタン樹脂溶液が塗布される。このとき使用されるポ
リウレタン樹脂溶液の固形分濃度は、一般には10〜1
8%程度とされる。また、含浸させるポリウレタン樹脂
溶液の固形分濃度と塗布するポリウレタン樹脂溶液の固
形分濃度は、略同等或いは塗布するポリウレタン樹脂溶
液の固形分濃度を若干高めとするのが望ましい。
【0030】ポリウレタン樹脂溶液が含浸、塗布された
繊維基材は、水や前記のポリウレタン樹脂の溶剤の水溶
液などの非溶剤中に浸漬されて、ポリウレタン樹脂の湿
式凝固され、次いで脱溶媒、水洗、乾燥の工程を経て表
面にポリウレタン樹脂層を有するシート材とされる。上
記の水洗工程においては、先に繊維基材に付着させた水
溶性高分子が非溶剤中に溶出される。
【0031】上記の非溶剤として好ましくは、0〜20
%のジメチルホルムアミドの水溶液が好ましく、また、
水洗工程にて用いられる水の温度は、50〜70℃、水
洗時間は30〜60分間程度とするのが好ましい。ま
た、ポリウレタン樹脂の凝固温度は、15〜40℃の範
囲で適宜選定すればよい。
【0032】上記のようにして得られた表面にポリウレ
タン樹脂層を有するシート材は、必要に応じて型押しロ
ール等によるエンボス加工により表面に凹凸を付与され
た後、起毛処理が施される。このときの起毛処理は、上
記の繊維基材の起毛処理と同様の手段にて行なうことが
できるが、あまり強い条件ではなく、研削作用の緩やか
なサンドペーパーやブラシなどを用いて、軽く起毛処理
するのが好ましい。
【0033】また、起毛処理はシート材の全表面に施し
てもよいが、起毛処理を施した起毛部と起毛処理を施し
ていない非起毛部が区分けされずに混然一体となるよう
に混じり合っている状態とすると、より天然皮革と類似
したヌバック調皮革様シートを得ることができる。
【0034】上記のヌバック調皮革様シートの製造方法
の任意の工程において、通常行なわれている染色処理や
揉み処理などを施してもよいことはいうまでもない。
【0035】
【作用】本発明のヌバック調皮革様シートは、繊維基材
として起毛処理され、かつ有機ケイ素重合体および水溶
性高分子が付着した編み組織からなる繊維基材を用いて
いるので、繊維基材に含浸、塗布したポリウレタン樹脂
が繊維基材の裏面にまで浸透して繊維基材の組織を固着
したとしても、風合いが柔らかで、かつ適度な伸縮性を
有するものである。また、本発明のヌバック調皮革様シ
ートは、有機ケイ素重合体および水溶性高分子が付着し
た繊維基材を用いているため、ポリウレタン樹脂を湿式
凝固させる際の作業性に優れる。
【0036】
【実施例】以下に具体的な実施例を挙げ、本発明を更に
詳細に説明する。
【0037】〔実施例1〕フロントに単糸繊度が0.6
デニールのハイマルチフィラメントからなるポリエステ
ル繊維、ミドルおよびバックに単糸繊度が1デニールの
マルチフィラメントからなるポリエステル繊維とを縦編
みに編成し、茶色に染色した厚さ0.9mmの片面起毛
を有する繊維基材を、表1に示す組成からなる有機ケイ
素重合体と水溶性高分子との水性混合液にパッディング
し、ニップロールにて絞り率80%に絞搾した。次いで
80℃で5分間予備乾燥し、さらに150℃で3分間キ
ュアリングした。
【0038】
【表1】 ゲラネックスSH *1 5重量部 ゴーセノールGL−05 *2 5重量部 触媒 *3 1.2重量部 水 88.8重量部 *1 固形分30%;松本油脂製薬社製 *2 ポリビニルアルコール;日本合成化学社製 *3 MC−1(脂肪酸金属塩);松本油脂製薬社製
【0039】上記の繊維基材に、表2に示す配合からな
る無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液
を、ポリウレタン樹脂固形分が70g/m2 (ポリウレ
タン付着量は繊維基材に対して25重量%)となるよう
にオポジットナイフコーターを用いて含浸させた後、ポ
リウレタン樹脂溶液を含浸させた繊維基材表面に、表3
に示すポリウレタン樹脂溶液をポリウレタン樹脂固形分
が120g/m2 (ポリウレタン付着量は繊維基材に対
して40重量%)となるようにナイフコーターを用いて
塗布した。
【0040】
【表2】 レザミンCNU650−20 *1 100重量部 ジメチルホルムアミド 53重量部 着色剤 15重量部 撥水剤 0.5重量部 凝固調節剤 2.0重量部 *1 固形分20%;100%モジュラス60kg/cm2 ;大日精化社製
【0041】
【表3】 レザミンCNU650−20 *1 100重量部 ジメチルホルムアミド 28重量部 着色剤 15重量部 撥水剤 0.5重量部 凝固調節剤 2.0重量部 *1 固形分20%;100%モジュラス60kg/c
2 ;大日精化社製
【0042】次いで、ジメチルホルムアミド12%水溶
液(液温25℃)中に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固
させた後、60℃の温水中で60分間脱溶媒、水洗する
と共に、水溶性高分子を溶出させ、130℃で10分間
乾燥して厚さ1.0mmのシート材を得た。
【0043】得られたシート材の表面に、皮絞模様のエ
ンボスロールにて加熱加圧エンボス加工を行なった後、
表面を240メッシュのサンドペーパーにて軽くバフィ
ングし、温水で洗浄、乾燥して厚さ0.8mmのヌバッ
ク調皮革様シートを得た。得られたヌバック調皮革様シ
ートは、風合いがソフトでかつ伸縮性に優れると共に、
しっとりとした触感と天然皮革と類似の外観およびスム
ーズで自然なタッチを有するものであった。また、得ら
れたヌバック調皮革様シートは、耐加水分解性、耐光
性、耐熱性に優れ、かつ伸縮性に優れるものであり、家
具や車輌の表皮材として好適なものであった。
【0044】〔実施例2〕フロントに単糸繊度が0.3
デニールのハイマルチフィラメントからなるポリエステ
ル繊維、ミドルおよびバックに単糸繊度が1デニールの
マルチフィラメントからなるポリエステル繊維とを縦編
みに編成し、グレーに染色した厚さ0.85mmの片面
起毛を有する繊維基材を、表4に示す組成からなる有機
ケイ素重合体と水溶性高分子との水性混合液にパッディ
ングし、ニップロールにて絞り率100%に絞搾した。
次いで80℃で5分間予備乾燥し、さらに150℃で3
分間キュアリングした。
【0045】
【表4】 ゲラネックスS−3 *1 7重量部 ファインガムSP−1 *2 7重量部 触媒 *3 1.8重量部 水 84.2重量部 *1 固形分30%;松本油脂製薬社製 *2 カルボキシメチルセルロース;固形分20%;第一工業製薬社製 *3 TSC−450(高級脂肪酸金属塩・陽イオン活性剤配合品);松本油 脂製薬社製
【0046】上記の繊維基材に、表5に示す配合からな
る無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液
を、ポリウレタン樹脂固形分が60g/m2 (ポリウレ
タン付着量は繊維基材に対して20重量%)となるよう
にオポジットナイフコーターを用いて含浸させた後、ポ
リウレタン樹脂溶液を含浸させた繊維基材表面に、表6
に示すポリウレタン樹脂溶液をポリウレタン樹脂固形分
が100g/m2 (ポリウレタン付着量は繊維基材に対
して35重量%)となるようにナイフコーターを用いて
塗布した。
【0047】
【表5】 クリスボンMP−303 *1 100重量部 ジメチルホルムアミド 82重量部 着色剤 15重量部 撥水剤 0.5重量部 凝固調節剤 2.0重量部 *1 固形分20%;100%モジュラス45kg/c
2 ;大日本インキ社製
【0048】
【表6】 クリスボンMP−303 *1 100重量部 ジメチルホルムアミド 53重量部 着色剤 15重量部 撥水剤 0.5重量部 凝固調節剤 2.0重量部 *1 固形分20%;100%モジュラス45kg/c
2 ;大日本インキ社製
【0049】次いで、ジメチルホルムアミド13%水溶
液(液温23℃)中に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固
させた後、60℃の温水中で60分間脱溶媒、水洗する
と共に、水溶性高分子を溶出させ、130℃で10分間
乾燥して厚さ1.0mmのシート材を得た。
【0050】得られたシート材の表面に、エルク絞模様
のエンボスロールにて加熱加圧エンボス加工を行なった
後、表面を240メッシュのサンドペーパーにて軽くバ
フィングし、温水で洗浄、乾燥して厚さ0.75mmの
ヌバック調皮革様シートを得た。得られたヌバック調皮
革様シートは、風合いがソフトでかつ伸縮性に優れると
共に、しっとりとした触感と天然皮革と類似の外観およ
びスムーズで自然なタッチを有するものであった。ま
た、得られたヌバック調皮革様シートは、耐加水分解
性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ伸縮性に優れるもので
あり、家具や車輌の表皮材として好適なものであった。
【0051】〔比較例1〕有機ケイ素重合体(ゲラネッ
クスSH)を繊維基材に含浸させない以外は、実施例1
と同様にしてシート材を得た。得られたシート材は、表
面全面に大きなピンホールが発生し、エンボス加工や起
毛処理を施してもピンホールが消えず、外観の著しく劣
るものであった。
【0052】〔比較例2〕水溶性高分子(ゴーセノール
GL−05)を繊維基材に含浸させない以外は、実施例
1と同様にしてシート材を製造したが、繊維基材が伸び
すぎて作業性に劣り、得られたシート材の耳部にカール
が発生した。また、得られたシート材から実施例1と同
様にしてヌバック調皮革様シートを得たが、風合いが硬
く、柔軟性に劣り、縦方向の伸縮性に劣るものであっ
た。
【0053】
【発明の効果】本発明のヌバック調皮革様シートは、風
合いが柔らかく、伸縮性に優れるものであって、しかも
繊維基材中にポリウレタン樹脂が充分に含浸しているた
め、天然皮革と同様の一体感、充実感を有する。しか
も、ポリウレタン樹脂を湿式凝固させて得られるもので
あるにも係わらず、ピンホールの発生が見られず、従っ
て、外観的にも優れるものである。
【0054】また、本発明のヌバック調皮革様シート
は、ポリウレタン樹脂を湿式凝固させる際に、裏面に伸
び防止のバッキング材を貼り合わせる必要がなく、製造
時の作業性にも優れ、従って、家具や車輌の表皮材とし
て好適な、高品質のヌバック調皮革様シートを安価に提
供することができるものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 編み組織からなる繊維基材にポリウレタ
    ン樹脂を含浸、塗布した後、ポリウレタン樹脂を湿式凝
    固させて得られるシート材表面を起毛処理してなるヌバ
    ック調外観を有する皮革様シートであって、繊維基材が
    起毛処理され、かつ予め有機ケイ素重合体および水溶性
    高分子が付着された繊維基材であるヌバック調外観を有
    する皮革様シート。
  2. 【請求項2】 ポリウレタン樹脂が、無黄変型ポリカー
    ボネート系ポリウレタン樹脂である請求項1記載のヌバ
    ック調外観を有する皮革様シート。
  3. 【請求項3】 繊維基材の起毛部を構成する繊維の単糸
    繊度が、1デニール以下である請求項1または2記載の
    ヌバック調外観を有する皮革様シート。
  4. 【請求項4】 起毛処理を施した編み組織からなる繊維
    基材に、有機ケイ素重合体および水溶性高分子の水性混
    合液を含浸させて有機ケイ素重合体および水溶性高分子
    を付着させる工程、繊維基材にポリウレタン樹脂溶液を
    含浸、塗布する工程、ポリウレタン樹脂溶液を含浸、塗
    布した繊維基材を非溶剤中に浸漬してポリウレタン樹脂
    を湿式凝固させ表面にポリウレタン樹脂層を有するシー
    ト材を形成する工程、シート材表面にエンボス加工を施
    す工程、シート材表面に起毛処理を施す工程、とからな
    るヌバック調外観を有する皮革様シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 有機ケイ素重合体および水溶性高分子の
    水性混合液が、水100重量部に対して有機ケイ素重合
    体0.1〜10重量部、水溶性高分子0.1〜10重量
    部で、かつ有機ケイ素重合体と水溶性高分子の合計量が
    水100重量部に対して0.5〜15重量部となるよう
    に混合した水性混合液である請求項4記載のヌバック調
    外観を有する皮革様シートの製造方法。
JP22413194A 1994-08-25 1994-08-25 ヌバック調外観を有する皮革様シートおよびその製造方法 Pending JPH0860557A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20130118209A1 (en) * 2011-11-11 2013-05-16 Edmund Jin Fabric construction and method of manufacturing
CN109898333A (zh) * 2017-12-07 2019-06-18 世联株式会社 牛巴戈风格布帛、以及牛巴戈风格布帛的制造方法

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