JPH0857879A - セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法

Info

Publication number
JPH0857879A
JPH0857879A JP6218128A JP21812894A JPH0857879A JP H0857879 A JPH0857879 A JP H0857879A JP 6218128 A JP6218128 A JP 6218128A JP 21812894 A JP21812894 A JP 21812894A JP H0857879 A JPH0857879 A JP H0857879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose ester
plasticizer
film
ester film
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6218128A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Yoshida
透 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP6218128A priority Critical patent/JPH0857879A/ja
Publication of JPH0857879A publication Critical patent/JPH0857879A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な手段で可塑剤の析出を防止することが
できるセルロースエステルフイルムの処理方法および製
造方法、並びに写真材料または光学材料の製造方法を提
供する。 【構成】 セルロースエステルおよびセルロースエステ
ルに対して5乃至40重量%の量の可塑剤を含み、溶剤
の残留量が5重量%未満であるセルロースエステルフイ
ルムを100乃至160℃の温度で加熱し、これにより
セルロースエステルフイルムの表面部分に含まれている
可塑剤の量を減少させることを特徴とするセルロースエ
ステルフイルムの処理方法、およびその処理を採用する
セルロースエステルフイルムの製造方法と写真材料また
は光学材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可塑剤を含むセルロー
スエステルフイルムの処理方法および製造方法、並びに
それを用いる写真材料または光学材料の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】セルロースエステルフイルムは、主に写
真材料や光学材料の製造に用いられている。セルロース
エステルの例には、セルロースアセテート、セルロース
アセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロ
ピオネートが含まれる。写真材料や光学材料の製造で
は、セルロースアセテートフイルム、特にセルロースト
リアセテート(トリアセチルセルロース、TAC)が広
く用いられている。セルロースエステルフイルムは、そ
のままでは機械的な強度が弱いという問題がある。特に
低湿度の条件下では、非常に硬く脆くなり、かつ裂けや
すくなる。この問題を解決するために、可塑剤をフイル
ムに添加することは古くから良く知られている。代表的
な可塑剤は、リン酸エステル系可塑剤(例、トリフェニ
ルホスフェート)である。これらの可塑剤は、一般に低
分子量であって、揮発性を有している。
【0003】セルロースエステルフイルムは、一般に、
セルロースエステルおよび可塑剤を溶剤中に溶解してド
ープを形成する工程、形成したドープを支持体(例、ド
ラム、バンド)上に流延する工程、および溶剤を蒸発さ
せて乾燥する工程により製造する。この製造方法におい
て、溶剤が蒸発すると共に可塑剤が揮発するという問題
がある。また、セルロースエステルフイルムの製造後、
保存時あるいは使用時にフイルム表面に可塑剤が析出す
る問題、いわゆるブリードアウトが起きる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】セルロースエステルフ
イルムから写真材料または光学材料を製造する場合、フ
イルムの上に写真機能層または光学機能層を設ける。上
記のようにセルロースエステルフイルムの表面に可塑剤
が析出すると、均一に機能層を設けることができず、ハ
ジキ状の欠陥や接着力の不良が生じる。この問題を解決
するために、フイルムと機能層の間に下塗り層を設ける
方法、あるいはフイルム表面をコロナ処理等により活性
化する方法が提案されている。しかし、これらの方法に
おける処理は簡単ではない。また、処理工程が増加する
ことによって、コストが増加したり、取り扱いが面倒に
なる。もちろん、可塑剤の使用量を大幅に削減すれば、
析出の問題は生じない。しかし、それでは可塑剤の機能
が失われて、機械的な強度が貧弱なセルロースエステル
フイルムしか得られない。
【0005】本発明の目的は、簡単な手段で可塑剤の析
出(ブリードアウト)を防止することができるセルロー
スエステルフイルムの処理方法、製造方法および使用方
法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記のセ
ルロースエステルフイルムの処理方法(1)および製造
方法(2)、並びに写真材料または光学材料の製造方法
(3)により達成された。 (1)セルロースエステルおよびセルロースエステルに
対して5乃至40重量%の量の可塑剤を含み、溶剤の残
留量が5重量%未満であるセルロースエステルフイルム
を100乃至160℃の温度で加熱し、これによりセル
ロースエステルフイルムの表面部分に含まれている可塑
剤の量を減少させることを特徴とするセルロースエステ
ルフイルムの処理方法。
【0007】(2)セルロースエステルおよびセルロー
スエステルに対して5乃至40重量%の量の可塑剤を溶
剤中に溶解してドープを形成する工程;形成したドープ
を支持体上に流延する工程;溶剤の残留量が5重量%未
満となるようにドープを乾燥してセルロースエステルフ
イルムを形成する工程;そして形成したセルロースエス
テルフイルムを100乃至160℃の温度で加熱し、こ
れによりセルロースエステルフイルムの表面部分に含ま
れている可塑剤の量を減少させる工程からなることを特
徴とするセルロースエステルフイルムの製造方法。 (3)セルロースエステルおよびセルロースエステルに
対して5乃至40重量%の量の可塑剤を含み、溶剤の残
留量が5重量%未満であるセルロースエステルフイルム
を100乃至160℃の温度で加熱し、これによりセル
ロースエステルフイルムの表面部分に含まれている可塑
剤の量を減少させる工程;そして、セルロースエステル
フイルム上に写真機能層または光学機能層を設ける工程
からなることを特徴とする写真材料または光学材料の製
造方法。
【0008】上記(1)〜(3)の方法は、下記(4)
〜(14)の態様で実施することができる。 (4)セルロースエステルフイルムを加熱する温度が、
セルロースエステルフイルムの軟化点±20℃の範囲内
である(1)〜(3)に記載の方法。 (5)セルロースエステルフイルムを加熱する時間が、
1秒乃至60分の範囲内である(1)〜(3)に記載の
方法。 (6)上記セルロースエステルが、セルロースアセテー
トである(1)〜(3)に記載の方法。
【0009】(7)上記可塑剤がリン酸エステル系可塑
剤である(1)〜(3)に記載の方法。 (8)上記可塑剤が揮発性を有する(1)〜(3)に記
載の方法。 (9)上記可塑剤がトリフェニルホスフェートである
(7)または(8)に記載の方法。 (10)上記可塑剤が、セルロースエステルに対して1
0乃至20重量%の量で含まれている(1)〜(3)に
記載の方法。
【0010】(11)上記溶剤の残留量が1重量%未満
である(1)〜(3)に記載の方法。 (12)上記溶剤が低級脂肪族炭化水素の塩化物である
(1)〜(3)に記載の方法。 (13)上記セルロースエステルフイルムが、10乃至
500μmの厚さを有する(1)〜(3)に記載の方
法。 (14)上記セルロースエステルフイルムが光学材料の
製造に用いられるものであって、さらに紫外線吸収剤を
含む(1)〜(3)に記載の方法。
【0011】
【発明の効果】本発明者の研究により、非常に簡単な処
理で可塑剤の析出(ブリードアウト)を防止できること
が判明した。すなわち、溶剤の残留量が5重量%未満で
あるセルロースエステルフイルムを100乃至160℃
の温度で加熱すると、セルロースエステルフイルムの表
面部分に含まれている可塑剤の量を減少させることがで
きる。前述した可塑剤の析出(フリードアウト)の問題
は、セルロースエステルフイルムの表面部分に含まれて
いる可塑剤によって起きる。従って、本発明に従い表面
部分に含まれている可塑剤を選択的に除去すれば、可塑
剤の機能を損なうことなく、問題を解決することができ
る。
【0012】
【発明の詳細な記述】
[加熱処理]本発明の方法は、セルロースエステルフイ
ルムを100乃至160℃の温度で加熱する処理工程を
特徴とする。加熱温度は、110乃至150℃の範囲で
あることがさらに好ましい。また、加熱温度は、セルロ
ースエステルフイルムの軟化点との関係で、軟化点±2
0℃の範囲内であることが好ましく、軟化点±10℃の
範囲内であることがさらに好ましい。セルロースエステ
ルフイルムの加熱時間は、1秒乃至60分の範囲内であ
ることが好ましく、1分乃至30分の範囲内であること
がさらに好ましく、5分乃至20分の範囲内であること
が最も好ましい。
【0013】加熱手段については、特に制限はない。オ
ーブンやホットプレートなどの様々な加熱手段を利用で
きる。ただし、一般に揮発性を有する可塑剤を除去する
ために加熱するのであるから、フイルムの表面が空気に
開放された状態で加熱することが好ましい。加熱処理
は、セルロースエステルフイルムを製造してから、使用
するまでの間に実施すればよい。ただし、加熱処理をセ
ルロースエステルフイルムの製造方法の最後の工程とし
て実施するか、あるいはフイルムの使用方法(例えば、
写真材料や光学材料の製造方法)の最初の工程として実
施することが、実用的には好都合である。
【0014】加熱処理をセルロースエステルフイルムの
製造方法の最後の工程として実施する場合は、溶剤の残
留量が5重量%未満となるようにドープを乾燥してから
実施する。フイルムの製造方法の詳細は後述する。以上
の加熱処理により、セルロースエステルフイルムの表面
部分の可塑剤の量を選択的に減少させることができる。
フイルムの表面部分の可塑剤の量は、例えば、赤外線吸
収スペクトル分析により測定することができる。本発明
の加熱処理により、表面部分の可塑剤の量を選択的に1
0〜65%程度減少させることができる。一方、セルロ
ースエステルフイルムに含まれる可塑剤の総量は、1〜
5%程度しか減少しない。
【0015】以下、本発明の他の構成要件について順次
説明する。 [セルロースエステル]セルロースエステルとしては、
セルロースの低級脂肪酸エステル(例、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロ
ースアセテートプロピオネート)が代表的である。低級
脂肪酸は、炭素原子数6以下の脂肪酸を意味する。セル
ロースアセテートには、セルローストリアセテート(T
AC)やセルロースジアセテート(DAC)が含まれ
る。
【0016】[可塑剤]可塑剤としては、リン酸エステ
ル系可塑剤が代表的である。また本発明では、揮発性を
有するような低分子可塑剤を用いる場合に特に有効であ
る。低分子可塑剤の分子量は1000以下であり、一般
的には800以下である。代表的なリン酸エステル系可
塑剤を下記式(Ia)および(Ib)で示す。
【0017】
【化1】
【0018】式(Ia)および(Ib)において、R
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7 は、それ
ぞれ、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アリー
ル基またはアラルキル基である。各基は置換基を有して
いてもよい。アルキル基の炭素原子数は1乃至12であ
ることが好ましい。アルキル基の例としては、メチル、
エチル、ブチル、シクロヘキシルおよびオクチルを挙げ
ることができる。アリール基の例としてはフェニルを挙
げることができる。アラルキル基の例としてはベンジル
を挙げることができる。上記置換基の例としては、アル
キル基(例、メチル)、アリール基(例、フェニル)、
アルコキシ基(例、メトキシ、ブトキシ)およびアリー
ルオキシ基(例、フェノキシ)を挙げることができる。
式(Ib)において、R8 は、アルキレン基、アリーレ
ン基、スルホニル基およびそれらの組み合わせから選ば
れる2価の連結基である。nは1以上の整数であり、1
乃至10であることが好ましい。
【0019】リン酸エステル系可塑剤の例には、トリフ
ェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホ
スフェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチル
ホスフェートが含まれる。また、カルボン酸エステル系
可塑剤が利用される場合もある。カルボン酸エステル系
可塑剤の例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレ
ート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ
メトキシエチルフタレート、グリセロールトリアセテー
ト、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリ
ルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレ
ートおよびトリアセチンが含まれる。その他の低分子可
塑剤の例としては、o−またはp−トルエンエチルスル
フォンアミドを挙げることができる。
【0020】可塑剤は一般に、セルロースエステルに対
して5乃至40重量%の範囲で使用する。セルロースエ
ステルに対して10乃至20重量%の量で使用すること
が好ましい。トリメリット酸やピロメリット酸のエステ
ルを、リン酸エステル系可塑剤と併用してもよい。トリ
メリット酸やピロメリット酸のエステルは、リン酸エス
テル系可塑剤のブリードアウトを防止する作用がある。
これらの酸のエステルについては、特開平5−5047
号公報に記載がある。
【0021】[溶剤]セルロースエステルフイルムの製
造において、一般にセルロースエステルおよび可塑剤の
溶剤を使用する。溶剤としては、低級脂肪族炭化水素の
塩化物や低級脂肪族アルコールが一般に使用される。低
級脂肪族炭化水素の塩化物の例としては、メチレンクロ
ライドを挙げることができる。低級脂肪族アルコールの
例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコ
ール、イソプロピルアルコールおよびn−ブタノールが
含まれる。その他の溶剤の例としては、シクロヘキサン
およびジオキサンが挙げられる。
【0022】溶剤としては、メチレンクロライドが特に
好ましい。メチレンクロライドに他の溶剤を混合して用
いてもよい。ただし、メチレンクロライドの混合率は7
0重量%以上であることが好ましい。特に好ましい混合
率は、メチレンクロライドが75乃至93重量%、そし
て他の溶剤が7乃至25重量%である。溶剤はセルロー
スエステルフイルムの形成において除去する。溶剤の残
留量は一般に5重量%未満である。残留量は、1重量%
未満であることが好ましく、0.5重量%未満であるこ
とがさらに好ましい。
【0023】[製造方法]セルロースエステルフイルム
は、一般に、セルロースエステルおよび可塑剤を溶剤中
に溶解してドープを形成する工程、ドープを支持体上に
流延する工程およびドープを乾燥する工程により製造す
る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、10乃至
50重量%の範囲であることが好ましい。ドープ中の固
形分(乾燥後に固体となる成分)の総量は18乃至35
重量%であることが特に好ましい。ドープ中には、セル
ロースエステルおよび可塑剤に加えて、フイルムの用途
に応じて様々な成分を添加することができる。
【0024】ドープは、セルロースエステル、溶剤、可
塑剤およびその他の添加剤を容器に入れて、なるべく一
定の温度条件下で、攪拌することにより得ることができ
る。加熱条件下で攪拌してもよい。その加熱温度は、一
般に溶媒の常圧における沸点以上で、かつ加圧下で溶媒
が沸騰しない範囲内である。加熱温度は、通常は60℃
以上であり、好ましくは80乃至110℃である。ま
た、加圧条件下で攪拌してもよい。さらに、加圧と加熱
を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱するこ
とができる。圧力により沸騰を抑えて過濃縮状態を生じ
ないようにして、ゲルの発生を防止してもよい。一方、
加熱により溶解度及び溶解速度を上昇させ、短時間に各
成分を溶剤中に完全に溶解することもできる。
【0025】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。
【0026】容器には、圧力計、温度計等の計器類を設
置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調
製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、
取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。調製した
ドープは支持体上に流延する。この支持体としてはバン
ドまたはドラムを用いる。
【0027】流延したドープから溶剤を蒸発させる。特
に乾燥風を使用しなくても溶剤を蒸発させることは可能
である。乾燥風を用いる方法は、剥離前にフイルムの表
面が乾燥して、剥離後のフイルムの伸びを防止できる利
点がある。上記の乾燥風を使用する場合、支持体表面の
温度が上昇しないように注意する。特に、乾燥風により
ドープが流延されていない部分の支持体表面の温度が上
昇すると、溶剤がドープ内で気化し、発泡してしまう。
このため、熱を遮蔽する手段を実施することが好まし
い。あるいは、上記のように支持体上のドープが流延さ
れている部分を冷却することが好ましい。
【0028】熱を遮蔽する手段として、遮風板を用いる
ことができる。遮風板は、乾燥風が支持体上のドープが
流延されている部分のみを通過し、流延されていない部
分には接触しないように設ける。カーテンやエアーカー
テンを設けて同様に乾燥風を遮蔽してもよい。遮蔽手段
は乾燥風が支持体(バンド)面を流れる流路全体に設け
ることが好ましい。ただし、乾燥が進行すると発泡が生
じにくくなるため、支持体の後半部分を省略することも
できる。また、熱風の熱量の多くが消費される排風部付
近においても省略することができる。セルロースエステ
ルフイルムの厚さは、一般に10乃至500μmの範囲
である。
【0029】[使用方法]セルロースエステルフイルム
は、写真材料や光学材料の製造に好ましく用いることが
できる。光学材料には、偏光板、動画用セルあるいは光
学用フィルターが含まれる。セルロースエステルフイル
ムの他の用途としては、離型用フイルムがある。
【0030】写真材料の製造では、セルロースエステル
フイルム支持体上に、写真機能層として一般にハロゲン
化銀乳剤層が設けられる。支持体とハロゲン化銀乳剤層
の間に、下塗り層を設けてもよい。偏光板の製造におい
ては、セルロースエステルフイルムを偏光膜(光学機能
層)の保護フイルムとして使用する。偏光板の製造に用
いる場合、フイルムに紫外線吸収剤、滑剤や劣化防止剤
を添加する場合が多い。以下、偏光板の製造についてさ
らに説明する。
【0031】偏光膜(偏光素子)は、通常ポリビニルア
ルコールフイルムを圧延配向し、ヨウ素または二色性染
料を吸着させた構造を有している。偏光膜はヨウ素の蒸
散や表面の傷によって著しく品質が低下するため、無色
透明で平面性の良い薄いフイルムを張り合せて表面を保
護する。本発明に従い処理したセルロースエステルフイ
ルムは、偏光膜の保護フイルムとして特に好ましく用い
ることができる。偏光膜と保護フイルムは、一般に接着
剤を用いて張り合せる。得られた偏光板は、さらに粘着
剤を用いてLCDのガラス基板や位相差板と張り合せて
使用する場合が多い。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、
アクリル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤およびシリ
コーン粘着剤が利用できる。透明性の観点からアクリル
系粘着剤が好ましい。
【0032】アクリル系粘着剤は、アクリルまたはメタ
クリル酸の(エステル、アミドを含む)ポリマーからな
る。ポリマーを構成する主要なモノマーの例には、エチ
ルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチル
へキシルアクリレートが含まれる。ポリマーはコポリマ
ーであってもよい。コポリマーを構成する他のモノマー
の例としては、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリ
ルアミド、スチレン、メチルメタクリレートおよびメチ
ルアクリレートを挙げることができる。ポリマーには、
特定の官能基を導入してもよい。官能基を有するモノマ
ーの例には、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、
メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート
および無水マレイン酸が含まれる。粘着剤の溶剤として
は、有機溶剤(例、トルエン、ベンゼン、酢酸ブチル、
酢酸エチル)が用いられる。二種類以上の溶剤を混合し
て用いてもよい。
【0033】偏光板の製造においてフィルムに添加する
紫外線吸収剤には、ベンゾフェノン系、サリチレート系
およびベンゾトリアゾール系の化合物がある。ベンゾフ
ェノン系紫外線吸収剤の例には、2,2’−ジヒドロキ
シ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキ
シ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノンが含まれ
る。サリチレート系紫外線吸収剤の例としては、4−t
−ブチルフェニルサリチレートが挙げられる。ベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤の例には、2−(ヒドロキシ
−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−3,5’
−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾールが含まれる。その他の紫外線吸収剤の例として
は、[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラ
ート)]n−ブチルアミンニッケルIIを挙げることがで
きる。紫外線吸収剤の使用量は、一般にセルロースエス
テルに対して0.1乃至3.0重量%の範囲で使用され
る。
【0034】
【実施例】
[比較例1]下記の組成からなるドープを調整した。
【0035】 ──────────────────────────────────── トリアセチルセルロース 18重量% 可塑剤(トリフェニルホスフェート) 12.5重量% 混合溶剤(メチレンクロライド:メタノール(重量比)=92:8) 69.5重量% ────────────────────────────────────
【0036】上記のドープをバンド流延法でバンド上に
流延した。バンドの温度は16℃として、120℃の送
風で乾燥した後、バンドより剥ぎ取り、溶剤の残留量が
1%以下になるように乾燥して、厚さ80μmのセルロ
ースエステルフイルムAを製造した。
【0037】[実施例1]セルロースエステルフイルム
Aを130℃のオーブンに入れ、10分間加熱した。こ
のようにして、本発明に従い処理したセルロースエステ
ルフイルムBを得た。
【0038】「フイルムの評価」フイルムAおよびB
に、市販のハードコート剤(商品名:ダイヤビーム)を
ディップコート法で塗布した。塗工面を肉眼で観察した
ところ、フイルムAの表面の一部には、斑状の模様が見
られ、均一な塗工面ではなかった。これに対して、フイ
ルムBには均一な塗工面が観察された。次に、塗工表面
にカッターで細かく升目を切り、粘着テープを用いて剥
離試験を行なった。フイルムBでは剥離が無かったが、
フイルムBでは一部の接着不良部が剥れた。
【0039】ポリビニルアルコール偏光膜(偏光素子)
とフイルムAおよびBとを、それぞれ、ポリニビルアル
コール系の接着剤を用いて張り合せて、フイルムAまた
はBを保護フイルムとする偏光板を作成した。偏光板に
耐熱試験(85℃と−35℃の繰り返し試験)を行なっ
た。その結果、フイルムAには「曇り」が発生して、偏
光板としての使用には問題が生じた。一方、フイルムB
には「曇り」が認められなかった。
【0040】フイルムAおよびBの表面の可塑剤含有率
を赤外線吸収スペクトル(FT−IR−ATR)法によ
り分析した。その結果、フイルムBの表面の可塑剤の量
は、フイルムAの表面可塑剤量の60%であった。な
お、可塑剤の吸収スペクトルは1390cm-1、セルロ
ースエステルの吸収スペクトルは1470cm-1であ
る。定量比は、1390cm-1/1470cm-1の強度
比で換算した。別に、フイルムAおよびBの可塑剤の総
量を分析した。その結果、フイルムBの可塑剤の総量
は、フイルムAの可塑剤の総量の96%であった。以上
の結果から明らかなように、本発明に従うと、可塑剤の
総量を大幅に減少させることなく、言い換えると可塑剤
の機能を低下させることなく、可塑剤によって生じる問
題(ブリードアウト)を解決することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29L 7:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースエステルおよびセルロースエ
    ステルに対して5乃至40重量%の量の可塑剤を含み、
    溶剤の残留量が5重量%未満であるセルロースエステル
    フイルムを100乃至160℃の温度で加熱し、これに
    よりセルロースエステルフイルムの表面部分に含まれて
    いる可塑剤の量を減少させることを特徴とするセルロー
    スエステルフイルムの処理方法。
  2. 【請求項2】 セルロースエステルおよびセルロースエ
    ステルに対して5乃至40重量%の量の可塑剤を溶剤中
    に溶解してドープを形成する工程;形成したドープを支
    持体上に流延する工程;溶剤の残留量が5重量%未満と
    なるようにドープを乾燥してセルロースエステルフイル
    ムを形成する工程;そして形成したセルロースエステル
    フイルムを100乃至160℃の温度で加熱し、これに
    よりセルロースエステルフイルムの表面部分に含まれて
    いる可塑剤の量を減少させる工程からなることを特徴と
    するセルロースエステルフイルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロースエステルおよびセルロースエ
    ステルに対して5乃至40重量%の量の可塑剤を含み、
    溶剤の残留量が5重量%未満であるセルロースエステル
    フイルムを100乃至160℃の温度で加熱し、これに
    よりセルロースエステルフイルムの表面部分に含まれて
    いる可塑剤の量を減少させる工程;そして、 セルロースエステルフイルム上に写真機能層または光学
    機能層を設ける工程からなることを特徴とする写真材料
    または光学材料の製造方法。
JP6218128A 1994-08-19 1994-08-19 セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法 Withdrawn JPH0857879A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6218128A JPH0857879A (ja) 1994-08-19 1994-08-19 セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6218128A JPH0857879A (ja) 1994-08-19 1994-08-19 セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0857879A true JPH0857879A (ja) 1996-03-05

Family

ID=16715080

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6218128A Withdrawn JPH0857879A (ja) 1994-08-19 1994-08-19 セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0857879A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH106351A (ja) * 1996-06-26 1998-01-13 Konica Corp セルローストリアセテートフィルムの製造方法及び液晶表示用部材の製造方法
JP2002258049A (ja) * 2001-03-05 2002-09-11 Nitto Denko Corp 低カール偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2003025351A (ja) * 2001-07-23 2003-01-29 Tdk Corp 偏光板用保護膜の製造方法
JP2003103544A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Konica Corp セルロースエステルフィルムの製造方法
JP2006209096A (ja) * 2004-12-28 2006-08-10 Fuji Photo Film Co Ltd 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
EP2105767A1 (en) 2008-03-28 2009-09-30 Fujifilm Corporation Transparent support, optical film, polarizing plate and image display device
US7622194B2 (en) 2004-12-28 2009-11-24 Fujifilm Corporation Optical film, anti-reflection film, polarizing plate, and image display device
JP2011102044A (ja) * 2011-02-16 2011-05-26 Konica Minolta Holdings Inc セルロースアシレートフィルムの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH106351A (ja) * 1996-06-26 1998-01-13 Konica Corp セルローストリアセテートフィルムの製造方法及び液晶表示用部材の製造方法
JP2002258049A (ja) * 2001-03-05 2002-09-11 Nitto Denko Corp 低カール偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2003025351A (ja) * 2001-07-23 2003-01-29 Tdk Corp 偏光板用保護膜の製造方法
JP2003103544A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Konica Corp セルロースエステルフィルムの製造方法
JP2006209096A (ja) * 2004-12-28 2006-08-10 Fuji Photo Film Co Ltd 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
US7622194B2 (en) 2004-12-28 2009-11-24 Fujifilm Corporation Optical film, anti-reflection film, polarizing plate, and image display device
EP2105767A1 (en) 2008-03-28 2009-09-30 Fujifilm Corporation Transparent support, optical film, polarizing plate and image display device
JP2011102044A (ja) * 2011-02-16 2011-05-26 Konica Minolta Holdings Inc セルロースアシレートフィルムの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4686846B2 (ja) 偏光板用保護フィルム及びそれを用いた偏光板並びに表示装置
JP2012098752A (ja) 架橋性セルロースエステル組成物およびそれから形成されるフィルム
JP2002020410A (ja) セルロースエステルドープ組成物、セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム及びそれを用いた偏光板
JP3807167B2 (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板保護フィルム及びセルロースエステルフィルムの製造方法
KR20160022246A (ko) 광학 필름의 제조 방법, 및 광학 필름
JPH0857879A (ja) セルロースエステルフイルムの処理方法および製造方法並びに写真材料または光学材料の製造方法
JP2001131301A (ja) セルロースエステルフィルム
JP4251736B2 (ja) セルロースエステルフィルム
JP2001163995A (ja) セルロースエステルフィルム及びその製造方法、偏光板保護フィルム
JP3727756B2 (ja) セルロースアセテートフイルムの製造方法
US6036913A (en) Cellulose ester film manufacturing method
JP3900451B2 (ja) セルロースエステルフィルム及びその製造方法
US7125918B2 (en) Protective film of a polarizing plate
JP2002179819A (ja) セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、光学素子、偏光板用保護フィルム、偏光板、表示装置
JP2003183417A (ja) セルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルム
JP2003043250A (ja) 光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置
JPH1190946A (ja) セルロースアセテートフイルムおよび製造方法
JPH1044327A (ja) セルロースアセテートフイルム
JP6251167B2 (ja) 低い複屈折率を有するセルローストリアセテートフィルム
JPH07112446A (ja) 偏光板用保護膜の製造方法及び偏光板
JP2000273199A (ja) セルロースエステルフィルムとその製造方法及び偏光板保護フィルムとそれを用いた偏光板
JP3727754B2 (ja) セルロースアセテートフイルムおよび偏光板保護膜
WO2023054048A1 (ja) カバーフィルム
WO2010116823A1 (ja) 光学フィルム、光学フィルムを製造する方法、液晶パネル、及び画像表示装置
WO2023054074A1 (ja) カバーフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011106