JP3900451B2 - セルロースエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑剤、紫外線吸収剤等の含有量の少ない層を表面に積層することにより、フィルム表面に可塑剤や紫外線吸収剤が析出するのを防止したセルロースエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースエステルフィルムは、透明性がよく、機械的強度が大きく、かつ、湿度の変化及び熱にともなう寸法変動が小さい(寸法安定性がよい)ので、写真感光材料や光学材料の支持体として用いられており、例えば、セルロースアセテートフィルム、特にセルローストリアセテート(トリアセチルセルロース、TAC)フィルムが広く用いられている。
【0003】
セルロースエステルフィルムはそのままでは機械的な強度が弱いという問題があり、特に、低湿度の条件下では、非常に硬く脆くなり、かつ裂けやすくなるものであった。したがって、この問題を解決するために、通常、可塑剤をセルロースエステルフィルムに添加している。この可塑剤の代表的な例としては、リン酸エステル系可塑剤(例:トリフェニルホスフェート)があり、このような可塑剤は、一般に低分子量であって、揮発性を有している。また、偏光板保護フィルムには可塑剤の他、液晶表示装置を保護するための紫外線吸収剤が添加されており、この紫外線吸収剤もやはり揮発性を有している。
【0004】
このようなセルロースエステルフィルムを製造するには、一般に、セルロースエステルおよび可塑剤又は必要により紫外線吸収剤を溶剤中に溶解してドープを形成する工程、形成したドープを支持体(例:ドラム、バンド)上に流延する工程、および溶剤を蒸発させて乾燥する工程によりに行われている。この製造方法においては、溶剤が蒸発すると共に可塑剤や紫外線吸収剤が揮発するという問題があった。また、セルロースエステルフィルムの製造後、保存時あるいは使用時にフィルム表面に可塑剤や紫外線吸収剤が析出(ブリードアウト)するという問題があった。
【0005】
ところで、セルロースエステルフィルムから写真材料または光学材料を製造する場合、セルロースエステルフィルムを支持体とし、この支持体の上に写真機能層または光学機能層を設けるものである。したがって、上述したようにセルロースエステルフィルムの表面に可塑剤や紫外線吸収剤が析出すると、機能層を均一に設けることができず、ハジキ状の欠陥や接着力の不良が生じるものであった。
【0006】
この問題を解決するために、セルロースエステルフィルムと機能層との間に下塗り層を設ける方法、フィルム表面をコロナ処理等により活性化する方法等が提案されている。しかし、これらの方法における処理は簡単ではないものであり、また、処理工程が増加することによって、コストが増加したり、取り扱いが面倒になるものであった。もちろん、可塑剤や紫外線吸収剤の使用量を大幅に削減すれば析出の問題は生じないが、それでは可塑剤や紫外線吸収剤の機能が失われて、機械的な強度が貧弱であったり、UV吸収が不充分なセルロースエステルフィルムしか得られないものである。
【0007】
そこで、特開平8−57879号公報において、溶剤の残留量が5重量%未満であるセルロースエステルフィルムを100乃至160℃の温度で加熱して、セルロースエステルフィルムの表面部分に含まれている可塑剤の量を減少させることにより、可塑剤の析出を防止するセルロースエステルフィルムの処理方法が提案されている。
【0008】
また、特開平8−207210号公報には、酢化度(置換度)の異なるコア部分と表層とを有することにより、長期間にわたり透明性、寸法安定性、耐湿熱性を向上させたセルロースアセテート積層フィルムが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−57879号公報で提案されたセルロースエステルフィルムの処理方法においては、フィルムの高温加熱処理過程で揮発した可塑剤が乾燥機内で凝縮して工程内を汚染し、フィルム表面への汚れの付着などの問題が発生することが判明し、さらに、紫外線吸収剤についても、可塑剤と同様の挙動が見られるものであった。従来、これらの問題に対し、工程内の定期的な掃除を行っているが、生産性の低下につながっていた。
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決し、可塑剤、紫外線吸収剤等のブリードアウト性添加剤の含有量を下げず、また高温加熱処理を行わなくても、可塑剤や紫外線吸収剤の析出(ブリードアウト)を防止することができるセルロースエステルフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上の問題点を解決するために鋭意検討し、基層に表層を積層し、基層より表層に含有させる可塑剤、紫外線吸収剤等のブリードアウト性添加剤の含有量を少なくすると、ブリードアウト性添加剤の本来の機能を十分に発揮しつつ、フィルム表面に析出するブリードアウト性添加剤を抑制し、また、乾燥工程における揮発も抑制することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0012】
すなわち、本発明のセルロースエステルフィルムは、基層と基層に積層された表層とを有し、表層におけるブリードアウト性添加剤の含有量が基層におけるブリードアウト性添加剤の含有量より少なく、かつ基層における可塑剤の含有量が5〜20重量%、表層における可塑剤の含有量が0.1〜5重量%であることを特徴として構成されている。
【0013】
また、前記ブリードアウト性添加剤が、可塑剤及び紫外線吸収剤であった場合に特に有意義である。
【0014】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法は、上述したセルロースエステルフィルムを共流延法により製造することを特徴として構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、基層と表層とを有しているが、表層は基層の両面に積層されていても、一方の面にのみ積層されているものでもよい。すなわち、図1に示すように、基層1とその両面に積層された表層2とからなる三層の態様と、図2に示すように、基層1とその一方の面に積層された表層2とからなる二層の態様とがある。そして、このような層構成において、表層2におけるブリードアウト性添加剤の含有量が、基層1におけるブリードアウト性添加剤の含有量より少なくなるように設定されている。
【0016】
以上のようなセルロースエステルフィルムにおいては、基層が、可塑剤の機械的強度、紫外線吸収剤の紫外線の吸収等の各ブリードアウト性添加剤の機能を確保しつつ、表層がブリードアウト性添加剤が揮発したり析出したりするのを少なくしている。
【0017】
ブリードアウト性添加剤の含有量は、ブリードアウト性添加物の種類によって異なるが、可塑剤の場合、基層における含有量(セルロースエステルに対する重量%)は1〜40重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、表層における含有量は0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。紫外線吸収剤の場合、基層における含有量(セルロースエステルに対する重量%)は0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、表層における含有量は0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。
【0018】
基層の厚さは、20〜400μmが好ましく、40〜200μmがより好ましい。表層の厚さは、1〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。
【0019】
ブリードアウト性添加剤は、溶剤とともに揮発しやすく、また、フィルム表面に析出しやすい添加剤であり、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、染料が挙げられる。
【0020】
可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤が代表的である。代表的なリン酸エステル系可塑剤を下記式(Ia)および(Ib)で示す。
【0021】
【化1】
【0022】
式(Ia)および(Ib)において、R1,R2,R3,R4,R5,R6およびR7は、それぞれ、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アリール基またはアラルキル基である。角基は置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1乃至12であることが好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、ブチル、シクロヘキシルおよびオクチルを挙げることができる。アリール基の例としてはフェニルを挙げることができる。アラルキル基の例としてはベンジルを挙げることができる。上記置換基の例としては、アルキル基(例:メチル)、アリール基(例:フェニル)、アルコキシ基(例:メトキシ、ブトキシ)およびアリールオキシ基(例:フェノキシ)を挙げることができる。式(Ib)において、R8は、 アルキレン基、アリーレン基、スルホニル基およびそれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基である。nは1以上の整数であり、1乃至10であることが好ましい。
【0023】
リン酸エステル系可塑剤の例には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホスフェートが含まれる。また、カルボン酸エステル系可塑剤が利用される場合もある。カルボン酸エステル系可塑剤の例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、グリセロールトリアセテート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレートおよびトリアセチンが含まれる。またクエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)、クエン酸トリブチル(OACTB)等が、その他のカルボン酸エステルの例としては、オレイン酸ブチル(BO)、リノール酸メチルアセチル(MAL)、セバチン酸ジブチル(DBS)、種々のトリメリット酸エステル等がある。その他の低分子可塑剤の例としては、o−またはp−トルエンエチルスルフォンアミドを挙げることができる。
【0024】
また、トリメリット酸やピロメリット酸のエステルを、リン酸エステル系可塑剤と併用してもよい。トリメリット酸やピロメリット酸のエステルは、リン酸エステル系可塑剤のブリードアウトを防止する作用がある。これらの酸のエステルについては、特開平5−5047号公報に記載がある。
【0025】
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、サリチレート系およびベンゾトリアゾール系の化合物がある。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例には、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノンが含まれる。サリチレート系紫外線吸収剤の例としては、4−t−ブチルフェニルサリチレートが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例には、2−(ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2'−ヒドロキシ−3,5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが含まれる。その他の紫外線吸収剤の例としては、[2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]n−ブチルアミンニッケルIIを挙げることができる。
【0026】
前記劣化防止剤としては、エポキシ化合物、弱有機酸、飽和多価アルコールや、一般的な有機材料の酸化防止剤、例えば亜リン酸エステル化合物、ヒンダードフェノール、チオエーテル等のイオウ系酸化、光安定剤、金属不活性化剤、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物分解剤、2級アミン、3級アミン等がある。
【0027】
セルロースエステルの例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートが含まれる。
【0028】
セルロースエステルとしては、下記を含む。
セルロースの低級脂肪酸エステル(例:セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネート)が代表的である。低級脂肪酸は、炭素原子数6以下の脂肪酸を意味する。セルロースアセテートには、セルローストリアセテート(TAC)やセルロースジアセテート(DAC)が含まれる。
【0029】
また、セルロースエステルフィルムの製造において、一般にセルロースエステルおよび可塑剤の溶剤を使用する。溶剤としては、低級脂肪族炭化水素の塩化物や低級脂肪族アルコールが一般に使用される。低級脂肪族炭化水素の塩化物の例としては、メチレンクロライドを挙げることができる。低級脂肪族アルコールの例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびn−ブタノールが含まれる。その他の溶剤の例としては、ハロゲン化炭化水素を実質的に含まない、アセトン、炭素原子数4から12までのケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれ、炭素原子数3から12までのエステルとしては、例えばギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及び2−エトキシ−エチルアセテート等が含まれ、炭素原子数1から6までのアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が含まれ、炭素原子数が3から12までのエーテルとしては、例えばジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が含まれ、また炭素原子数が5から8までの環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタン等が含まれる。
【0030】
可塑剤、紫外線吸収剤等のブリードアウト性添加剤の添加方法は、あらかじめ溶解タンク内にてドープ中に混合しても、またドープ送液配管途中にて、オンラインで添加混合してもよい。
【0031】
溶剤としては、メチレンクロライドが特に好ましい。メチレンクロライドに他の溶剤を混合して用いてもよい。ただし、メチレンクロライドの混合率は70重量%以上であることが好ましい。特に好ましい混合率は、メチレンクロライドが75〜93重量%、そして他の溶剤が7〜25重量%である。溶剤はセルロースエステルフィルムの形成において除去する。溶剤の残留量は一般に5重量%未満である。残留量は、1重量%未満であることが好ましく、0.5重量%未満であることがさらに好ましい。
【0032】
以上のようなセルロースエステルフィルムを製造するには、共流延法、逐次流延法、塗布法等を用いることができるが、共流延法により製造することが好ましい。共流延法は工程が単純で、生産性が高く、フィルムの平面性を容易に得ることができる。
【0033】
図3に、スリットダイに使用することができる内部合流型共流延ダイを示す。図3は、内部合流型共流延ダイの断面図である。高粘度高分子樹脂溶液3dは主流管24aを通って主流ポケット部24cに送られ、更に、スリット21に送られる。低粘度高分子樹脂溶液6dは、外層流管25a,26aを通って外層流ポケット部25c,26cに送られ、更に、それぞれスリット22,23に送られる。スリット21を通って送られる高粘度高分子樹脂溶液3dの層と、スリット22,23を通って送られる低粘度高分子樹脂溶液6dの層は、ダイスリット27で合流して、ここから支持体上に同時に押し出され、流延される。24b,25b,36bは、それぞれの管とポケット部の境界線である。
【0034】
図4に、スリットダイに使用することができる外部合流型共流延ダイを示す。図4は、外部合流型共流延ダイの断面図である。高粘度高分子樹脂溶液3dはダイ上部に取り付けられたフィードブロックの主流管33aを通って主流ポケット部33bに送られ、低粘度高分子樹脂溶液6dは、ダイ上部に取り付けられたフィードブロックの外層流管35a,36aを通って外層流ポケット部35b,36bに送られる。主流ポケット部33bを通って送られる高粘度高分子樹脂溶液3dの層と、外層流ポケット部35b,36bを通って送られる低粘度高分子樹脂溶液6dの層は、ダイ給液管34aで合流して、ダイ給液ポケット部34cを通ってダイスリット31より支持体上に押し出され、流延される。34bは、給液管とポケット部の境界線である。
【0035】
高粘度高分子樹脂溶液層の上下表面を被覆する低粘度高分子樹脂溶液層の押し出し時の層厚が、いずれも高粘度高分子樹脂溶液層の1/10以下であることが好ましい。
【0036】
高粘度高分子樹脂溶液41層の幅は、一般に100〜9000mmの範囲である。高粘度高分子樹脂溶液層の上下表面を被覆する低粘度高分子樹脂溶液層の押し出し時の層厚が、いずれも高粘度高分子樹脂溶液層の1/10以下であることが好ましい。さらに、押し出された高粘度高分子樹脂溶液層の厚さ(未乾燥状態)は、100〜2000μmの範囲が一般的であり、300〜1000μmの範囲が好ましい。また、低粘度高分子樹脂溶液層の厚さ(未乾燥状態)は、1〜60μmの範囲が一般的であり、2〜20μmの範囲が好ましい。
【0037】
高粘度高分子樹脂溶液41層の乾燥後の幅は、一般に100〜9000mmの範囲である。また、高粘度高分子樹脂溶液層の上下表面を被覆する低粘度高分子樹脂溶液層の乾燥後の層厚が、いずれも高粘度高分子樹脂溶液層の1/10以下であることが好ましい。さらに、高粘度高分子溶液層の乾燥後の厚さは、20〜400μmの範囲が一般的であり、60〜400μmの範囲が好ましい。また、低粘度高分子樹脂溶液層の乾燥後の厚さが、0.2〜20μmの範囲が一般的であり、0.5〜10μmの範囲が好ましい。
【0038】
本発明の方法により、ダイのスリットより支持体に押し出された高分子樹脂溶液層は、上記図5に示したように、高粘度高分子樹脂溶液層と低粘度高分子樹脂溶液層が、混合することなく、積層体を構成している。このため、高粘度高分子樹脂溶液層の表面は、低粘度層であり、ダイのスリットより大きい剪断速度で押し出されても表面にシャークスキンが発生することもなく、平滑性等の面質が良好なフィルムを得ることができる。
【0039】
【実施例】
[実施例1]
表1に示したドープ処方にて、基層ドープと表層ドープを重層流延し、乾燥後のそれぞれ厚みを0.06mmおよび0.01mmとした。100℃の熱風にて残留溶剤量が10重量%になるまで乾燥させ、その後140℃の熱風にて10分間乾燥させた。140℃の熱風乾燥前後にて添加剤の含有量を測定し、揮発量を求めた。結果は、トリフェニルホスフェート(可塑剤)の揮発量が乾燥前に対して0.4重量%であり、2,2'−ヒドロキシ−4,4'−メトキシベンゾフェノン(紫外線吸収剤)の揮発量は乾燥前に対して0.1重量%であった。
【0040】
また、得られたフィルムに市販のハードコート剤(商品名「ダイヤビーム」)をディップコート法で塗布し、塗工面を肉眼で観察したところハジキ状の欠陥は見られず、均一な塗工面が得られた。さらに、塗工表面にカッターで細かく枡目を切り、粘着テープを用いて剥離試験を行ったところ剥離はなかった。
【0041】
[比較例]
表1の処方にて、基層ドープのみを単層流延し、乾燥後の厚みを0.08mmとし、実施例1と同様の評価を行った。その結果、トリフェニルホスフェート(可塑剤)の揮発量は乾燥前に対して2.0重量%であり、2,2'−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン(紫外線吸収剤)の揮発量は乾燥前に対して1.0重量%であった。
【0042】
また、得られたフィルムに市販のハードコート剤(商品名「ダイヤビーム」)をディップコート法で塗布し、塗工面を肉眼で観察したところハジキ状の欠陥の存在が認められた。さらに、塗工表面にカッターで細かく枡目を切り、粘着テープを用いて剥離試験を行ったところ剥離が認められた。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、可塑剤、紫外線吸収剤等のブリードアウト性添加剤の含有量や、フィルムの乾燥温度を下げることなく、ブリードアウト性添加剤の揮発や析出を防ぐことができるので、工程の汚染や、汚れ付着による不良品の発生を防止しつつ、ブリードアウト性添加剤の機能を確保したセルロースエステルフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるセルロースエステルフィルムの層構成を示す部分断面図である。
【図2】 本発明によるセルロースエステルフィルムの層構成を示す部分断面図である。
【図3】 内部合流型共流延ダイの一例の側断面図である。
【図4】 外部合流型共流延ダイの一例の側断面図である。
【図5】 共流延ダイのスリットより支持体に押し出された本発明フィルムの層構成を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 基層
2 表層
Claims (4)
- 基層と基層に積層された表層とを有し、表層におけるブリードアウト性添加剤の含有量が基層におけるブリードアウト性添加剤の含有量より少なく、かつ基層における可塑剤の含有量が5〜20重量%、表層における可塑剤の含有量が0.1〜5重量%であることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
- 前記基層の厚さが20〜400μm、前記表層の厚さが1〜20μmである請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
- 前記基層の厚さが40〜200μm、前記表層の厚さが0.5〜10μmである請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
- 請求項1、2又は3に記載のセルロースエステルフィルムを共流延法により製造することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方
法。
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