JP4529465B2 - 光学セルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

光学セルロースエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶画像表示装置用部材に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルムなどの光学フィルムとして有用な光学セルロースエステルフィルムの製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、従来のCRT表示装置に比べて、省スペース、省エネルギーであることからモニターとして広く使用されている。さらにTV用としても普及が進んできている。このような液晶表示装置には、偏光フィルムや位相差フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されている。
偏光フィルムは、延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の片面または両面に、セルロースエステルフィルムを保護膜として積層されている。また、位相差フィルムは、視野角の拡大やコントラストの向上などの目的で用いられており、ポリカーボネ−ト、環状ポリオレフィン樹脂、セルロースエステルなどのフィルムを延伸するなどしてレタデーションが付与されたものである。光学補償フィルムとも呼ばれることがある。
これらの光学フィルムでは、光学的な欠陥がなく、レタデーションが均一であること、特に遅相軸のばらつきがないことが要求される。特に、モニターやTVの大型化や高精細化が進み、これらの要求品質は、ますます厳しくなってきている。
光学フィルムの製造方法には、大別して溶融流延製膜法と溶液流延製膜法とがある。前者は、ポリマーを加熱溶融して支持体上に流延し、冷却固化し、さらに必要により延伸してフィルムにする方法であり、後者は、ポリマーを溶媒に溶かして、その溶液を支持体上に流延し、溶媒を蒸発し、さらに必要により延伸してフィルムにする方法である。特にセルロースエステルフィルムでは、その膜厚の均一性に優れるなどの点から、後者の溶液流延製膜法が広く採用されている。つまり、セルロースエステル溶液を支持体(エンドレスベルトやドラム)上に流延し、溶媒を剥離可能になるまで蒸発させるか、または流延した溶液を冷却して凝固させて、支持体から剥離し、さらに搬送ロールで搬送させながら乾燥する方法である。
いずれの製膜法であっても、溶融したポリマーやポリマー溶液を支持体上で冷却固化や乾燥固化させ、支持体から剥離した後、ポリマーフィルムは、複数の搬送ロールを用いて搬送されながら、乾燥や延伸などの処理がなされるのである。
光学的な欠陥としては、特に搬送ロールに付着した汚れや異物による押し傷等の外観的な欠陥が問題となる。このような問題が発生した場合、生産を中断して、清掃を行なうなどが必要となり、生産安定性を著しく損ねることになり、改善が望まれていた。
特開平4−85011号公報 この特許文献1には、溶液流延によるセルローストリアセテートフィルムの製造方法において、表面エネルギーが80dyne/cm以下の搬送ローラーを用いることが提案されている。具体的には、セラミックロール(面エネルギー60〜70dyne/cm)、ポリエチレンテレフタレート(表面エネルギー約40dyne/cm)、フッ素コーティングロール(表面エネルギー20〜25dyne/cm)といった表面エネルギーが70dyne/cm以下の搬送ロールを用いることで、搬送ロールへの付着汚れが改善されるというものであった。 特開平11−138626号公報 この特許文献2には、表面にクロムのスピネル型酸化水和物皮膜と硬膜層とを設けたロールを用いる溶液製膜フィルムの製造方法が提案されている。具体的には芳香族ポリアミドを溶液製膜した際に付着異物や傷の転写が改善されることが記載されている。 特開2002−86474号公報 この特許文献3には、セルロースエステルフィルムの溶液流延製膜方法において、表面粗さが0.6μm以下、表面エネルギーが70〜100mN/mのロールを用いる方法が提案されている。 特開2002−292658号公報 この特許文献4には、セルロースエステルフィルムの溶液流延製膜方法において、ビッカース硬度が500〜800のロールを用いる方法が提案されている。具体的には、表面がNi合金で形成された搬送ロールを用いることで、長時間製造しても搬送ロールへの異物汚れ付着が改善されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来法によれば、搬送ロールへの付着汚れは減少されるものの、得られるフィルムの遅相軸のばらつきが大きくなるという問題があった。また、上記特許文献2に記載の従来法によれば、セルロースエステルフィルムを製造しても、搬送ロールへの異物付着が改善されないという問題があった。また、上記特許文献3に記載の従来法によれば、搬送ロールに異物による汚れが付着しにくくできるが、長期間使用すると搬送ロールに異物の汚れが付着するようになるなど、耐久性に課題が残った。さらに、上記特許文献4に記載の従来法によれば、搬送ロール表面が柔らかいため、傷が入らないようにその取り扱いに最新の注意をする必要があるという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、遅相軸のばらつきがなく、光学セルロースエステルフィルムを長時間製造しても、搬送ロールによる光学的な欠陥の発生がない光学セルロースエステルフィルムの製造方法を提供すること、及び表面の硬度が高く、取り扱い性に優れた搬送ロールを用いる光学セルロースエステルフィルムの製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、セルロースエステルフィルムの樹脂溶液(ドープ)を支持体上に流延してウェブ(ドープ膜)を形成し、支持体より剥離後、乾燥して、セルロースエステルフィルムを製造する溶液流延製膜法による光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、支持体より剥離された後のフィルムを搬送する搬送ロール(剥離ロールを含む)として、表面に非晶質クロムメッキ層を設けた搬送ロールを用いることを特徴としている。
本発明の請求項2記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面の20℃における表面エネルギーが、70〜100mN/mであることを特徴としている。
本発明の請求項3記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1または2記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層の表面粗さRyが、0.6μm以下であることを特徴としている。
本発明の請求項4記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面のビッカース硬度が、850〜1500であることを特徴としている。
本発明の請求項1記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、セルロースエステルフィルムの樹脂溶液を支持体上に流延してウェブを形成し、支持体より剥離後、乾燥して、セルロースエステルフィルムを製造する溶液流延製膜法による光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、支持体より剥離された後のフィルムを搬送する搬送ロール(剥離ロールを含む)として、表面に非晶質クロムメッキ層を設けた搬送ロールを用いることを特徴とするもので、本発明の請求項1記載の方法によれば、表面の硬度が高く、取り扱い性に優れた搬送ロールを用いて、遅相軸のばらつきがなく、長時間製造しても搬送ロールによる光学的な欠陥の発生がない光学セルロースエステルフィルムを製造することができるという効果を奏する。
本発明の請求項2記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面の20℃における表面エネルギーが、70〜100mN/mであることを特徴とするもので、本発明の請求項2記載の方法によれば、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面の表面エネルギーをこの範囲とすることで、遅相軸のばらつきが小さく、押され傷の少ない光学セルロースエステルフィルムを得ることができるという効果を奏する。
本発明の請求項3記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1または2記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層の表面粗さRyが、0.6μm以下であることを特徴とするもので、本発明の請求項3記載の方法によれば、搬送ロールへの異物付着を防止することができ、光学セルロースエステルフィルムの押され傷を少なくすることができるという効果を奏する。
本発明の請求項4記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面のビッカース硬度が、850〜1500であることを特徴とするもので、本発明の請求項4記載の方法によれば、表面の硬度が高く、取り扱い性に優れた搬送ロールを用いて、遅相軸のばらつきがなく、長時間製造しても搬送ロールによる光学的な欠陥の発生がない光学セルロースエステルフィルムを製造することができるという効果を奏する。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、表面に非晶質クロムメッキ層を設けた搬送ロール(剥離ロールを含む)を用いることを特徴とするものである。
ここで、非晶質クロムメッキ層を構成する非晶質クロムメッキ皮膜は、従来の硬質クロムメッキ皮膜が規則的な原子配列、つまり結晶から構成されているのに対して、規則的な原子配列が欠如した非晶質金属の状態にあり、その耐腐食性が大幅に向上している。非晶質クロムメッキについては、インターネットのホームページにおいて、森河務、横井佐幸、「最近のクロムめっき技術」(http://www.tri.pref.osaka.jp/group/surface)に詳しく報告されているように、X線回折によるクロムの(110)面からの回折強度が小さいことや示差走査熱量計(DSC)での測定によるその第一発熱ピークが大きいことからその非晶性が検出できる。
また、非晶質クロムメッキは、シュウ酸浴やギ酸浴、あるいはクエン酸浴などから得ることができる。皮膜中に1.4%以上、好ましくは2.0〜3.0%の炭素を含ませることで、皮膜の硬度が高くでき、耐磨耗性が向上でき、好ましい。具体的にはオテック株式会社製の「クロアモール」(登録商標)などが挙げられる。
つぎに、本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法に用いるセルロースエステルとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートブチレートが好ましい。上記セルロースエステルのアセチル基の置換度は、少なくとも1.5以上であることが、得られるフィルムの寸法安定性に優れるので、好ましい。セルロースエステルのアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。セルロースエステルの分子量は、数平均分子量として50,000〜300,000、とくに60,000〜200,000であることが、得られるフィルムの機械的強度が強くできるので好ましい。
光学セルロースエステルの合成方法は特に限定はされないが、例えば、リンターパルプ、ウッドパルプ及びケナフパルプなどのセルロースを用いてセルロースに無水酢酸、無水プロピオン酸または無水酪酸などのエステルに対応する酸類を常法により反応して得ることができる。合成されたセルロースエステルは、フレーク状、パウダー状、チップ状あるいはペレット状で使用されるが、粒径を0.1〜5.0mmの大きさに成形することにより取り扱い性や溶解性が向上できるので好ましい。
本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、溶液流延製膜法により実施され、樹脂溶液(ドープ)を支持体上に流延してウェブ(ドープ膜)を形成し、支持体より剥離後、乾燥して、光学セルロースエステルフィルムを製造するものである。
また、本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面の20℃における表面エネルギーが、70〜100mN/mであることが好ましい。このように、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面の表面エネルギーをこの範囲とすることで、遅相軸のばらつきが小さく、押され傷の少ない光学セルロースエステルフィルムを得ることができる。表面エネルギーは、水、ニトロメタン及びヨウ化メチレンとの接触角を測定し、これらの値からヤング・フォークズの式を用いて算出したものである。
本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層の表面粗さRyが、0.6μm以下であることが好ましい。ここにいう表面粗さRyは、JIS規格B0601により定義されている「最大高さRy」をいう。搬送ロールの非晶質クロムメッキ層の表面粗さRyを0.6μm以下とすることにより、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層の表面への異物付着が防止できるのである。さらに表面粗さRyが0.4μm以下、特に0.2μm以下が好ましく、平滑であるほどよい。
本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面のビッカース硬度が、850〜1500であることが好ましい。このように、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面のビッカース硬度をこの範囲とすることで、搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面に傷がつき難く、かつ異物付着を防止することができる。ビッカース硬度のより好ましい範囲は1000〜1500である。
本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、搬送ロールの真円度は、0.1mm以下、さらに0.05mm以下、特に0.03mm以下が好ましい。搬送ロールの静バランスは、100g以下、さらに30g以下、特に5g以下が好ましい。搬送ロールの撓み量は、1.0mm以下、さらに0.5mm以下、特に0.3mm以下であることが好ましい。搬送ロールの特性をこの範囲とすることで、フィルムの擦り傷が防止できるのである。
搬送ロールの直径は、特に限定はないが、85〜300mmが好ましく、特に90〜200mmが好ましい。搬送ロールの直径が小さすぎると、搬送ロール面に掛かるフィルムからの圧力が大きくなり、搬送ロールに異物が付着した場合、フィルムの押され傷が強くなる場合がある。また、搬送ロールの直径が大きすぎると、搬送ロールの回転むらがおこりフィルムに擦り傷が発生する場合がある。
本発明では、上記の搬送ロールを、フィルムが高い温度に晒される場合や、フィルム中に残留溶媒が多く残存している場合に用いることにより、その効果が顕著となる。本発明においては、溶液流延製膜法での支持体からの剥離直後付近や高温での乾燥ゾーンの搬送ロールであり、また、溶液流延製膜法の延伸ゾーン付近の搬送ロール(延伸ロール)がある。
本発明による光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、光学セルロースエステルフィルム中には、種々の目的で可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤及びマット剤などの添加剤を含有させることができる。可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルホスフェート、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート及びジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート及びブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系可塑剤、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸系可塑剤、ジプロピレングリコールベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、1,3−ジブチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリベンゾエート等の多価アルコールエステル系可塑剤、その他にトリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)などを挙げることができる。必要に応じて上記のうち2種類以上の可塑剤を併用して用いてもよい。
これらの可塑剤を添加することで、フィルムの水分率を低くでき、水バリアー性が向上できる。可塑剤のセルロースエステルに対する添加量としては、0.5〜30%、とくに2〜15%が好ましい。
また、上記光学セルロースエステルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止上波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れかつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましい。とくに、波長370nmでの透過率が10%以下である必要があり、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。上記紫外線吸収剤の具体例としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物及びニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。ベンゾトリアゾール系の好ましい市販の紫外線吸収剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等がある。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコール、メチレンクロライド、酢酸メチル及びジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。紫外線吸収剤の使用量は、セルロースエステルに対し0.5〜20%で添加することができ、0.6〜5.0%が好ましく、0.6〜2.0%がとくに好ましい。
光学セルロースエステルフィルム中には、酸化防止剤を含有させることが好ましい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が適当であり、その具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。とくに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕及びトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対し、質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがとくに好ましい。
上記光学セルロースエステルフィルム中に微粒子のマット剤を含有させることが好ましく、微粒子のマット剤の具体例としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は、0.01〜1.0μmで、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3%が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子には有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理において好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン及びシロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径は、大きい方がマット効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜50nmであり、より好ましくは7〜14nmである。微粒子は、セルロースエステルフィルム中で通常凝集体として存在し、セルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。好ましい市販の二酸化ケイ素の微粒子としては、アエロジル株式会社製のAEROSIL−200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,OX50及びTT600等を挙げることができ、とくに好ましくは、AEROSIL−200V、R972、R972V、R974、R202及びR812である。マット剤は2種以上併用してもよく、2種以上併用する場合は、任意の割合で混合して使用することができる。このさい、平均粒径や材質の異なるマット剤、例えば、AEROSIL−200VとR972Vを、質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用できる。
上記光学セルロースエステルフィルム中には染料等を含有させてもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがとくに好ましい。また、この他、上記光学セルロースエステルフィルム中に帯電防止剤、難燃剤、滑剤及び油剤等も加える場合もある。これらの添加剤は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法では、特に溶液流延製膜法を用いることにより、その効果が顕著に得られるので好ましい。
以下に、本発明の光学セルロースエステルフィルムの製造方法を詳細に記述する。
まず、溶液流延製膜法で用いるポリマー溶液の溶解方法としては、常圧で行なう方法、主溶媒の沸点以下で行なう方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行なう方法、冷却溶解法で行なう方法、並びに特開平11−21379号公報に開示されているような高圧で行なう方法等がある。溶解後溶液を濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。溶液中のセルロースエステルの濃度は10〜35%程度であり、好ましくは15〜25%である。
溶液流延製膜法で用いる溶媒としては、ポリマーを溶解すれば特に限定はないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、塩化メチレン及びブロモプロパン等を挙げることができる。なかでも酢酸メチル、アセトンまたは塩化メチレンが好ましい。また、溶液にメタノール、エタノール及びブタノール等の低級アルコールを含有させることにより、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上したり、溶液の粘度が低減できるので好ましい。なかでも沸点が低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。このような目的で使用する低級アルコールの量は、溶媒の量に対して、2〜50%が好ましく、さらに4〜30%であることが好ましい。
前述したような種々の添加剤または分散液をセルロースエステル溶液に添加するさい、それぞれ移送されてきて移送管が合流したところで合流し、その直後に管内混合器で十分に混合する方法が好ましい。例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)(東レエンジニアリング社製)のようなインラインミキサーが使用される。インラインミキサーを用いる場合、セルロースエステルを高圧下で濃縮溶解した溶液に適用することもできる。
ポリマー溶液の濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行なわなければならないので、生産性を低下させるという問題がある。このため、溶液に使用する濾材は、絶対濾過精度0.001〜0.008mmのものが好ましく、なかでも0.003〜0.006mmがとくに好ましい。濾材としては、通常のものを使用することができるが、ポリプロピレン及びテフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製のものやステンレス繊維等の金属製のものが繊維の脱落等がなく好ましい。溶液の濾過は、通常の方法で行なうことができるが、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の差圧(以下、「濾圧」という)の上昇が小さくて好ましい。好ましい温度範囲は、45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、なかでも45〜55℃がとくに好ましい。濾圧は、1.6×10 Pa以下、なかでも1.2×10 Pa以下が好ましく、1.0×10 Pa以下がとくに好ましい。
このようにして得られたポリマー溶液は、駆動金属製エンドレスベルトやドラムなどの支持体上に流延される。流延する方法は、定量ギヤポンプを用いて押し出しダイから流延する方法が膜厚を均一にし易く好ましい。押し出しダイには、コートハンガーダイやTダイがあるが、いずれも好ましく用いることができる。押し出しダイは単層でもよいし、多層でもよい。また、2台以上の押し出しダイを用いて重層流延してもよい。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、溶液濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力及び支持体の移動速度等をコントロールすることで調整できる。
ついで、支持体に流延された溶液中の溶媒を蒸発させて剥離可能になった時点で剥離する。または、支持体に流延された溶液を冷却することで、ゲル化させて剥離する。溶媒を蒸発させるには、溶液が流延された側及び支持体の裏側から温風を送る方法、支持体の裏側から加熱液体により加熱する方法、輻射熱により加熱する方法、これらを組み合わせる方法等がある。
支持体からフィルムを剥離する位置のことを剥離点といい、剥離を助けるロールを剥離ロールという。剥離点でのフィルムの残留溶媒量は、通常20〜300%である。フィルム中の残留溶媒量は、次式で表される。
残留溶媒量=残存揮発分重量/加熱処理後フィルム重量×100%
なお、残留溶媒量とはサンプルを110℃で3時間乾燥させたときの乾燥減量を乾燥後のサンプル質量で除したものである。
支持体から剥離されたフィルムは、複数の搬送ロール(剥離ロールも含む)により搬送しながら乾燥される。必要により、乾燥中または乾燥後に横方向、縦方向または任意の斜め方向にテンターやロール延伸機等を用いて延伸や収縮され、所望の光学特性を備えた光学セルロースエステルフィルムが得られる。
つぎに、図面を参照して、本発明による光学セルロースエステルフィルムの製造方法の実施形態を説明する。
図1は、本発明による光学セルロースエステルフィルムの製造方法を実施する溶液流延製膜装置例の概略を示す側面図である。図2は、同溶液流延製膜装置例の概略を示す側面図である。
まず、図1において、本発明による光学セルロースエステルフィルムの製造方法は、予め調整されたポリマー溶液を回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルト(支持体)(3)上に流延ダイ(2)から流延し、フィルム(ウェブ)(1)がエンドレスベルト(3)の下面に至りほぼ一巡したところで、剥離ロール(4)により剥離する。ついで、フィルム(1)を側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(10)で搬送して乾燥装置(5)に導入する。乾燥装置(5)内では上下に交互に配置せられた複数の搬送ロール(6)によってフィルム(1)が搬送され、その間に乾燥装置(5)の底の前寄り部分から吹き込まれかつ乾燥装置(5)の天井の後寄り部分から排出せられる乾燥ガス(7)によってフィルム(1)が乾燥され、光学セルロースエステルフィルム(11)として巻取機(8)に巻き取られる。上記乾燥装置(5)は乾燥ガスを用いるものであるが、赤外線で乾燥するようにしてもよい。
つぎに、図2に示す例では、フィルム(1)が剥離ロール(4)により剥離されてから乾燥装置(5)に導入される前に、フィルムの両側縁部をクリップで把持して延伸するとともに乾燥するテンター乾燥装置(9)が介在されている。
本発明の方法により得られた光学セルロースエステルフィルムは、レタデーションの均一性に優れており、押され傷等の光学的欠陥もないので、液晶表示装置の部材、例えば、偏光板保護用フィルム、位相差板、反射板、光学補償フィルム、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム及び帯電防止フィルムに好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテート 100重量部
(アセチル置換度2.88、数平均分子量150000)
トリフェニルホスフェート(融点47.5) 10重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
チヌビン326 1重量部
AEROSIL 200V 0.1重量部
メチレンクロライド 414重量部
エタノール 36重量部
上記のセルローストリアセテート溶液を、絶対濾過精度0.005mmの濾紙を用い、濾過流量300リットル/m ・時、濾圧1.0×10Paで濾過を行なった後、図1に示す溶液流延製膜装置により、セルローストリアセテートフィルムを以下のようにして製造した。
まず、セルローストリアセテート溶液を流延ダイ(2)から、25℃の回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルト(3)の上に流延し、最初に温度45℃の風を10m/秒で斜めにあて、エンドレスベルト(3)の下側では温度40℃の風を10m/秒で下から垂直にあてて乾燥し、フィルム(1)中の残留溶媒量が100%になるまで溶媒を蒸発して剥離した。
ついで、搬送ロール(剥離ロール)(4)及び搬送ロール(10)により、張力10kg/mで搬送し、さらに乾燥装置(5)で110℃で乾燥した。そして、最終的に20℃に冷却して巻取機(8)で巻き取り、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(11)を得た。
こうして得られたセルローストリアセテートフィルムについて、下記の方法で遅相軸のばらつき測定を行ない、さらに押され傷の有無を目視で調べて、下記の基準で評価した。なお、搬送ロール(4)及び搬送ロール(10)には、表面エネルギー80mN/m、表面粗さRy0.4μm、ビッカース硬度1200の非晶質クロムメッキ層を表面に具備した搬送ロールを使用した。
レタデーション値Ro、及び遅相軸のばらつきの測定
得られたセルローストリアセテートフィルムの幅方向に50mm間隔で自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器■製)を用いてレタデーション値Ro(nm)、及び遅相軸角度を測定した。遅相軸のばらつきは、最大最小の範囲で表わした。
押され傷の評価基準
フィルムの押され傷の評価は、下記の基準により行なった。得られた結果を、下記の表1に示した。
A:押され傷なし。
B:直径50μm未満の大きさの押され傷が1〜30個あり。
C:直径50μm以上の大きさの押され傷1〜10個あり。
D:直径50μm以上の大きさの押され傷11以上あり。
搬送ロールの耐久性評価
搬送ロールの耐久性評価は、使用する搬送ロールを、予め表面がセルローストリアセテート溶液中に接触するように1ヶ月間浸漬させて加速劣化処理したものに交換して同様に製膜し、得られたセルローストリアセテートフィルムについて、押され傷の有無を目視で調べて、下記の基準で評価し、得られた結果を、下記の表1に示した。
A:押され傷なし。
B:直径50μm未満の大きさの押され傷が1〜30個あり。
C:直径50μm以上の大きさの押され傷1〜10個あり。
D:直径50μm以上の大きさの押され傷11以上あり。
比較例1
搬送ロールに、表面エネルギー20mN/m、ビッカース硬度300、表面粗さRy0.6のフッ素コーティングロールを使用した以外は、実施例1の場合と同様にして、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(11)を製造し、評価した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
比較例2
搬送ロールに、表面エネルギー75mN/m、ビッカース硬度820、表面粗さRy0.6の硬質クロムメッキロールを使用した以外は、実施例1の場合と同様にして、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(11)を製造し、評価した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
実施例2
(ドープ液の調製)
セルロースアセテートプロピオネート 100重量部
(アセチル置換度1.95、プロピオニル置換度0.7、
及び数平均分子量70000)
トリフェニルホスフェート(融点47.5) 10重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
チヌビン326 1重量部
AEROSIL 972V 0.1重量部
メチレンクロライド 336重量部
エタノール 64重量部
上記のセルロースアセテートプロピオネート溶液を、絶対濾過精度0.005mmの濾紙を用い、濾過流量300リットル/m ・時、濾圧1.0×10Paで濾過を行なった後、図2に示す溶液流延製膜装置により、セルロースアセテートプロピオネートフィルムを以下のようにして製造した。
セルロースアセテートプロピオネート溶液を流延ダイ(2)から、25℃の回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルト(3)の上に流延し、最初に温度45℃の風を10m/秒で斜めにあて、エンドレスベルト(3)の下側では温度40℃の風を10m/秒で下から垂直にあてて乾燥し、フィルム(1)中の残留溶媒量が80%になるまで溶媒を蒸発した。ついで、搬送ロール(剥離ロール)(4)により、張力10kg/mで剥離し、テンター(9)で横方向に150℃で1.4倍延伸し、さらに乾燥装置(5)で110℃で乾燥した。そして、最終的に20℃に冷却して巻取機(8)で巻き取り、厚さ80μmのセルロースアセテートプロピオネートフィルム(11)を得た。
こうして得られたセルロースアセテートプロピオネートフィルムについて、遅相軸のばらつき測定、押され傷の有無を、実施例1の場合と同様にして評価した。なお、搬送ロール(4)及び(10)には、表面エネルギー80mN/m、表面粗さRy0.4μm、ビッカース硬度1200の非晶質クロムメッキ層を表面に具備した搬送ロールを使用した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
比較例3
搬送ロールに、表面エネルギー20mN/m、ビッカース硬度300、表面粗さRy0.6のフッ素コーティングロールを使用した以外は、実施例2と同様にして、厚さ80μmのセルロースアセテートプロピオネートフィルム(11)を製造し、評価した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
実施例3
実施例1で得られたセルローストリアセテートフィルムをロール延伸機に導入し、延伸温度160℃で縦方向に1.2倍延伸した。得られたセルローストリアセテートフィルムについて、遅相軸のばらつき測定、押され傷の有無を、実施例1の場合と同様に測定して評価した。なお、延伸ロールには、表面エネルギー80mN/m、表面粗さRy0.4μm、ビッカース硬度1200の非晶質クロムメッキ層を表面に具備した搬送ロールを使用した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
比較例4
搬送ロールに、表面エネルギー20mN/m、ビッカース硬度300、表面粗さRy0.6のフッ素コーティングロールを使用した以外は、実施例2の場合と同様にして、厚さ80μmのセルロースアセテートプロピオネートフィルム(11)を製造し、評価した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
Figure 0004529465
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1と2によるセルローストリアセテートフィルムの製造方法、並びに実施例3によるセルロースアセテートプロピオネートフィルムの製造方法によれば、いずれも表面に非晶質クロムメッキ層を設けた搬送ロールを用いることにより、表面の硬度が高く、取り扱い性に優れた搬送ロールを用いて、遅相軸のばらつきがなく、長時間製造しても搬送ロールによる光学的な欠陥の発生がない光学セルロースエステルフィルムを製造することができることが判る。
これに対し、比較例1と2によるセルローストリアセテートフィルムの製造方法、並びに比較例3と4によるセルロースアセテートプロピオネートフィルムの製造方法によれば、搬送ロールに、フッ素コーティングロール、または硬質クロムメッキロールを使用しているため、フィルムの押され傷は少ないものの、フィルムの遅相軸のばらつきが大きく、得られた比較例1〜4のフィルムは、偏光板用保護フィルムに適していなかった。しかもフッ素コーティングロールや硬質クロムメッキロールよりなる従来の搬送ロールは、耐久性に劣るもので、光学セルロースエステルフィルムを、長時間連続して製造することができないものであることが判る。
本発明による光学セルロースエステルフィルムの製造方法を実施する溶液流延製膜装置例の概略を示す側面図である。 同溶液流延製膜装置例の概略を示す側面図である。
1:フィルム(ウェブ)
2:流延ダイ
3:駆動ステンレス鋼製エンドレスベルト
4:搬送ロール(剥離ロール)
5:乾燥装置
6:搬送ロール(乾燥用ロール)
7:乾燥ガス
8:巻取機
9:テンター乾燥装置
10:搬送ロール

Claims (4)

  1. セルロースエステルフィルムの樹脂溶液(ドープ)を支持体上に流延してウェブ(ドープ膜)を形成し、支持体より剥離後、乾燥して、セルロースエステルフィルムを製造する溶液流延製膜法による光学セルロースエステルフィルムの製造方法において、支持体より剥離された後のフィルムを搬送する搬送ロール(剥離ロールを含む)として、表面に非晶質クロムメッキ層を設けた搬送ロールを用いることを特徴とする光学セルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面の20℃における表面エネルギーが、70〜100mN/mであることを特徴とする請求項1記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法。
  3. 搬送ロールの非晶質クロムメッキ層の表面粗さRyが、0.6μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. 搬送ロールの非晶質クロムメッキ層表面のビッカース硬度が、850〜1500であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の光学セルロースエステルフィルムの製造方法。
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