JP2004223787A - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイミドフィルムを製造するに際し、製膜工程から乾燥工程に至る途中でゲルフィルムを支持または延伸するための各種金属ロールとして、表面に厚みが0.2μmから7μmの範囲のアモルファスCrメッキが施された金属ロールを用いる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミドフィルムの製造過程において、ポリイミド内部からしみ出してくる重合未反応物や低重合物類によって引き起こされるロールの汚れを防止し、表面欠点が改善されたポリイミドフィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドフィルムを製造する場合は、一般的に極性溶媒中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸を反応させた後、化学閉環の場合は更にイミド化触媒と脱水剤を混合し、このポリアミド酸溶液を金属表面などの支持体上に流延してフィルム状に製膜する。製膜後のポリアミド酸溶液は、熱または化学閉環剤により溶媒を含んだポリイミドとなり、乾燥工程で溶媒を取り除いくことによりポリイミドフィルムが製造される。
【0003】
このようなポリイミドフィルムの製造方法においては、製膜工程から乾燥工程に至る途中で、ゲルフィルムを支持したり延伸したりするために各種のロールが使用される。
【0004】
ポリイミドフィルムの製造工程で用いるロールとしては、一般的にフッ素樹脂やフッ素樹脂で表面を覆ったロール、金属ロールおよびシリコーンゴムなどの耐薬品性の優れたロールが用いられている。
【0005】
一方、ポリイミドフィルムの製造工程においては、製膜後、ポリアミド酸およびポリイミド溶液から重合未反応物や低重合物類が排出され、これらの未反応物や低重合物およびそれらの変性物により、ポリイミドフィルム製造工程内のロール表面が汚れてしまうという問題があるため、定期的にロールの清掃を実施して、これらの汚れがフィルムに付着することを防止している。
【0006】
一般に、金属ロールは硬度が大きく傷が付きにくいものの、重合未反応物や低重合物類が付着しやすいという欠点がある。しかし、フッ素樹脂で表面を覆ったロールの場合(例えば、特許文献1参照)、接着剤を熱圧着する際に汚れが防止されることが知られている。
【0007】
しかしながら、フッ素樹脂で表面を覆ったロールを製膜工程で使おうとすると、フッ素樹脂の硬度が小さいために、製膜工程で発生成長した重合未反応物や低重合物類による固形物およびロール掃除の時にフッ素樹脂表面が傷つけられ、このために得られるポリイミドフィルムの品位が低下してしまうという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−104317号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、ポリイミドフィルムの製造工程中でポリイミドフィルム内部からしみ出してくる重合未反応物や低重合物等によって生じるロールの汚れを防止し、表面欠点が改善されたポリイミドフィルムを製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、ポリアミド酸溶液を支持体上にフィルム状に連続的に押し出しまたは塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、延伸、乾燥、熱処理することによりポリイミドフィルムを製造するに際し、製膜工程から乾燥工程に至る途中でゲルフィルムを支持または延伸するための各種金属ロールとして、表面に厚みが0.2μmから7μmの範囲のアモルファスCrメッキが施された金属ロールを用いることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、前記アモルファスCrメッキの厚みが0.5μmから6μmの範囲であること、および前記アモルファスCrメッキの硬度(Hv)が950から2000の範囲であることが、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のポリイミドフィルムの製造方法について具体的に説明する。
【0014】
本発明でいうポリイミドフィルムとは、有機溶媒中に溶解したポリアミド酸を用いてフィルムをイミド化して作られるものであり、有機溶媒溶液中のポリアミド酸は、部分的にイミド化されていてもよく、少量の無機化合物を含有していてもよい。
【0015】
本発明におけるポリイミドの先駆体であるポリアミド酸としては、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とからなり、次式Iで示される繰り返し単位で構成されるものが好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】
上記式において、R1は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基で、その炭素数は25以下であるものとし、R2は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基で、その炭素数は25以下である。
【0018】
本発明において、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とは、それぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるが、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で、他方に対して過剰に配合されてもよい。
【0019】
上記の芳香族テトラカルボン酸類の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸またはその酸無水物、あるいはその酸のエステル化合物またはハロゲン化物から誘導される芳香族テトラカルボン酸類が挙げられる。
【0020】
上記の芳香族ジアミン類の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジニフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチルー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
【0021】
本発明の方法におけるポリイミドに特に適合する芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の組み合わせとしては、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせが挙げられ、さらにこれらの共重合および/またはパラフェニレンジアミンの共重合が好ましい。また、本発明を阻害しない範囲であれば、製膜時に多層体で成形することもできる。
【0022】
ポリイミドの固有粘度(25℃硫酸中で測定)は、0.2〜3.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜2の範囲である。
【0023】
本発明において、ポリアミド酸溶液を形成するために使用される有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンなどの有機極性アミド系溶媒が挙げられ、これらの有機溶媒は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用されるが、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような非溶媒と組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は、固形分を好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%含有するものであって、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定で10〜2000Pa・s、好ましくは100〜1000Pa・sのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
【0025】
重合反応は、有機溶媒中で撹拌および/または混合しながら、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。
【0026】
この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。
【0027】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するために有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封鎖剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。
【0028】
本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用するのが好ましい。
【0029】
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。
【0030】
ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.5〜8となる範囲が好ましい。
【0031】
また、ポリアミド酸に対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.1〜4となる範囲が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトンなどのゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0032】
本発明のポリイミドフィルムは、ポリアミド酸溶液を回転する支持体上にフィルム状に連続的に押し出しまたは塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、延伸、乾燥、熱処理することにより製造されることが好ましいが、ポリアミド酸の有機溶媒からポリイミドフィルムを製造する代表的な方法としては、閉環触媒および脱水剤を含有しないポリイミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムにした後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法、および閉環触媒および脱水剤を含有せしめたポリアミド酸の有機溶媒をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学閉環法が挙げられる。
【0033】
本発明は、上記のいずれの閉環方法を採用してもよいが、化学閉環法はポリアミド酸の有機溶媒溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させる設備が必要とするものの、自己保持性を有するゲルフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。
【0034】
本発明は、上記したポリイミドフィルムの製造方法において、製膜工程から乾燥工程に至る途中でゲルフィルムを支持または延伸するための各種金属ロールとして、表面に厚みが0.2μmから7μmの範囲のアモルファスCrメッキが施された金属ロールを用いることを特徴とし、これによりポリイミド内部からしみ出してくる重合未反応物や低重合物類によって引き起こされるロールの汚れを効果的に防止し、表面欠点が改善されたポリイミドフィルムを製造することが可能となる。
【0035】
本発明でいうアモルファスCrメッキとは、通常のCrメッキと異なり非晶質のCrメッキである。通常のCrメッキは、Cr原子が規則正しく並んだ結晶から構成されているのに対して、アモルファスCrメッキとは、炭素原子などでCrの配列を乱し、規則性をなくして非晶質にしたCr合金メッキのことである。Crメッキがアモルファスであるかどうかはについては、X線の回折ピークで判断することができる。加熱処理によりX線の回折ピークが変化するものの、アモルファスCrメッキは、通常のCrメッキに比べて硬度(Hv)が高いので、硬度からもアモルファスCrメッキであることが容易に判断できる。
【0036】
本発明でいうメッキとは、電解溶液中で、素材を電極として通電し、表面にメッキ金属を析出させる電気メッキと溶液中での還元反応を利用して、素材の表面にメッキ金属を析出させる無電解メッキを含めたものであり、一般にアモルファスのCrメッキを行う場合は、6価と3価クロムイオン混合浴とシュウ酸浴、蟻酸浴、クエン酸浴の折衷浴中で、30℃から60℃の温度で電流密度10〜250A/dm2 の条件下または3価クロムイオン単独浴と硫酸クロム−蟻酸浴、硫酸クロム−シュウ酸浴中で、20℃から40℃の温度で電流密度3〜30A/dm2 の条件下で行われる。
【0037】
更に、アモルファスCrメッキ後に加熱処理しても良い。加熱処理によりアモルファスCrメッキは非晶質から結晶質となり、硬度(Hv)が大幅に高くなるからである。加熱処理は一般的に150℃から700℃の温度で1時間から100時間かけて行われる。好ましくは200℃から600℃で処理される。加熱処理温度が高いと硬化が進み、硬度の上昇と硬い酸化物の被膜により摩擦係数の低下が見られる半面、母材の変質や変形が多くなる。一方、加熱処理温度が低いと処理時間が長くなるという短所がある。
【0038】
本発明によるアモルファスCrメッキの厚みは、0.2μmから7μmの範囲が好ましい。特に好ましくは0.5から6μmの範囲である。アモルファスCrメッキの厚みが上記の範囲を越えると、製造が難しくなるばかりか、メッキ部にクラックやピンホールの欠陥が発生し易くなり、一方上記の範囲未満では、メッキの剥がれが生じやすくなるため好ましくない。
【0039】
また、アモルファスCrメッキの硬度(Hv)は、950〜2000Hvの範囲であり、特に好ましくは1000〜1500Hvの範囲である。本発明でいう硬度(Hv)とは、JIS Z 2244記載のビッカース硬度である。アモルファスCrの硬度(Hv)は熱処理前で1000程度であり、加熱処理により結晶化し硬度が2000前後まで変わる。通常のCrメッキの硬度(Hv)は900程度であり、アモルファスCrメッキ熱処理品とは硬度の点で異なっている。
【0040】
アモルファスCrメッキ金属ロールの表面は、バフおよびまたはグラインダーなどで磨いても良い。
【0041】
アモルファスCrメッキ表面の平均粗さについては特に断らないが、0.1から1Sが好ましい。特に好ましいのは0.1から0.8Sである。平均粗さが1Sより大きいとロールに汚れが付きやすくなり、0.1Sより小さくするには多大な労力と時間が必要になるため実用的ではない。
【0042】
本発明によりアモルファスCrメッキした金属ロールを用いて製造したポリイミドフィルムは、重合未反応物および低重合物類によるロールの汚れが少なく、表面欠点が改善されいるために、特に金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体(TAB)、フレキシブルプリント回路保護用カバーレイフィルム、ワイヤまたはケーブルの絶縁フィルムおよびフィルム表面接着剤をコーティングした粘着テープなどの用途に対して好適に適用することができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
撹拌機を備えた重合装置に、乾燥したN、N−ジメチルアセトアミド1900.6kgを入れ、その中に4,4’−ジアミノジフェニールエーテル200.024kg(1kmol)を撹拌溶解した。続いて、ピロメリット酸二無水物218.12kg(1kmol)を少量ずつ投入した。投入完了後、1時間撹拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は、20℃で3500ポイスの粘度であった。
【0044】
このポリアミド酸溶液に、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5mol、ピリジンをポリアミド酸単位に対して2.0mol混合し、このポリアミド酸溶液を口金スリット幅1.3mm、長さ1800mmのTダイから押し出し、90℃の金属エンドレスベルト上に流延して自己支持性のあるゲルフィルムを得た。
このゲルフィルムを金属エンドレスベル上から剥離して、65℃の温度で、ゴムロールとアモルファスCrメッキした金属ロールの間で挟み、もう1対のゴムロールとアモルファスCrメッキ金属ロールを用いて、2対のロール間で走行方向にゲルフィルムを延伸した。続いて、ゲルフィルムを、260℃の温度で40秒間乾燥し、更に430℃で1分間熱処理して、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、フィルム表面を市販のウエブクリーナでクリーニングすることにより、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0045】
ここで使用したアモルファスCrメッキ金属ロールは、SUS304の金属ロールにメッキ厚み5μmのアモルファスCrメッキを行ったものである。なお、同一条件でアモルファスCrメッキしたテスト板のX線解析ピークは、非常にブロードなバンドしかなく、結晶したCrメッキ品のX線回折パターンとは全く異なっていた。また、アモルファスCrメッキした金属ロールのビスカース硬度(Hv)は1000と高く、通常のCrメッキ品の900より高くなっていた。
【0046】
上記の方法で得たポリイミドフィルムについて、白熱灯や偏光を当てて、フィルムを走行させ、表面欠点の種類、個数を測定した結果、重合未反応物および低重合物が原因で発生した白色の欠点は0個であった。
[比較例1]
ゲルフィルムを走行方向に延伸する際に、2本のアモルファスCrメッキ金属ロールを、通常のCrメッキ金属ロール(メッキ厚み30μm)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、幅2000mm、厚み25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0047】
得られたポリイミドフィルムについて、白熱灯や偏光を当てて、フィルムを走行させ、表面欠点の種類、個数を測定した結果、重合未反応物および低重合物が原因で発生した白色の欠点は10個であった。
[実施例2および比較例2,3]
ゲルフィルムを走行方向に延伸する際に、2本のアモルファスCrメッキ金属ロールを、表1に示したアモルファスCrメッキ金属ロールに替えた以外は、全て実施例例1と同様の操作を行うことにより、幅2000mm、厚み25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0048】
得られた各ポリイミドフィルムについて、白熱灯や偏光を当てて、フィルムを走行させ、表面欠点の種類、個数を測定した結果を表1に示した。なお、比較例2のメッキ厚み8μmのアモルファス金属ロールは、メッキ表面にクラックが発生した。
[実施例3]
ゲルフィルムを走行方向に延伸する際に、2本のアモルファスCrメッキ金属ロールとして、実施例2で用いたアモルファス金属ロールを600℃で1時間加熱処理して用いた以外は、全て実施例1と同様の操作を行い幅2000mm、厚み25μmのポリイミドフィルムを500m得た。得られたポリイミドフィルムについて、白熱灯や偏光を当てて、フィルムを走行させ、表面欠点の種類、個数を測定した結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によりアモルファスCrメッキした金属ロールを用いて製造したポリイミドフィルムは、重合未反応物および低重合物類によるロールの汚れが少なく、表面欠点が改善されいるために、特に金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体(TAB)、フレキシブルプリント回路保護用カバーレイフィルム、ワイヤまたはケーブルの絶縁フィルムおよびフィルム表面接着剤をコーティングした粘着テープなどの用途に対して好適に適用することができる。
Claims (3)
- ポリアミド酸溶液を支持体上にフィルム状に連続的に押し出しまたは塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、延伸、乾燥、熱処理することによりポリイミドフィルムを製造するに際し、製膜工程から乾燥工程に至る途中でゲルフィルムを支持または延伸するための各種金属ロールとして、表面に厚みが0.2μmから7μmの範囲のアモルファスCrメッキが施された金属ロールを用いることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記アモルファスCrメッキの厚みが0.5μmから6μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記アモルファスCrメッキの硬度(Hv)が950から2000の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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